(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記光源並列インピーダンスが並列接続していない発光ダイオードのうち少なくともいずれかは、上記光源並列インピーダンスが並列接続した発光ダイオードよりも相関色温度が低いことを特徴とする請求項1に記載の光源回路。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、
図1〜
図7を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における照明装置820の外観を示す斜視図である。
照明装置820は、複数の光源111を有する。光源111は、例えばLEDなど、電気エネルギーにより発光する素子である。なお、複数の光源111は、同じ光源であってもよいし、異なる光源であってもよい。
【0010】
図2は、この実施の形態における光源モジュール110の形状を示す正視図である。
光源モジュール110は、光源111や光源並列抵抗112を実装した基板115である。基板115は、例えば円板状のプリント配線板であり、光源111や光源並列抵抗112の間を接続するプリント配線を有する。
【0011】
図3は、この実施の形態における照明システム800の構成を示すシステム構成図である。
照明装置820は、電源回路821と、光源回路100とを有する。光源回路100は、光源モジュール110の基板115に実装された光源111や光源並列抵抗112がプリント配線により接続されて形成された回路である。電源回路821は、光源111を点灯するための直流電力を生成し、光源回路100に対して供給する。
【0012】
照明システム800は、位相制御調光器810と、照明装置820とを有する。
照明システム800は、商用電源などの交流電源ACから電力の供給を受けて、照明装置820の光源111を点灯する。照明システム800は、調光機能を有し、光源111を点灯する明るさを調整可能である。
位相制御調光器810は、調光率を入力し、入力した調光率にしたがって、交流電源ACから供給される電力の電圧波形を位相制御する。照明装置820は、位相制御調光器810が位相制御した電力を入力して、光源111を点灯する。
【0013】
図4は、この実施の形態における位相制御調光器810・電源回路821・光源回路100の回路構成を示す回路図である。
位相制御調光器810は、例えば、調光入力部811と、双方向サイリスタ812と、駆動回路813とを有する。調光入力部811は、調光率を入力する。調光入力部811は、例えば、パルス幅変調された調光信号や、リモコンからの赤外線信号など、調光率を表わす信号を入力する。あるいは、調光入力部811は、利用者が操作して調光率を指定する操作ツマミや操作スイッチの状態を入力する。駆動回路813は、調光入力部811が入力した調光率に基づいて、双方向サイリスタ812をオンする駆動パルスを生成する。双方向サイリスタ812は、スイッチング素子の一種であり、駆動回路813が生成した駆動パルスを入力するとオンし、流れる電流が0になると自動的にオフになる。
なお、位相制御調光器810は、双方向サイリスタ812とは別に、交流電源からの電力を導通遮断する電源スイッチを有する構成であってもよい。
【0014】
電源回路821は、例えば、整流回路と、直流直流変換回路とを有する。整流回路は、例えば、ダイオードブリッジDBである。直流直流変換回路は、例えば、制御回路822と、スイッチング素子Q23と、トランスT24と、ダイオードD27と、平滑コンデンサC28とを有するフライバックコンバータ回路である。ダイオードブリッジDBは、位相制御調光器810が位相制御した電力を入力し、全波整流して、電圧波形を脈流にする。制御回路822は、スイッチング素子Q23を高周波でオンオフする制御信号を生成する。トランスT24は、時期的に密結合した一次巻線L25と二次巻線L26とを有する。一次巻線L25は、スイッチング素子Q23と直列に電気接続している。スイッチング素子Q23がオンになると、一次巻線L25には、ダイオードブリッジDBが全波整流した脈流電圧が印加され、電流が流れる。スイッチング素子Q23がオフになると、一次巻線L25を流れる電流が0になり、二次巻線L26に電流が流れる。二次巻線L26と、ダイオードD27と、平滑コンデンサC28とは、閉回路を形成している。二次巻線L26を流れる電流は、ダイオードD27により整流され、平滑コンデンサC28を充電する。平滑コンデンサC28の両端電圧は、光源回路100に印加される。
【0015】
光源回路100は、複数(例えば7つ)の光源111と、光源並列抵抗112(光源並列インピーダンス)とを有する。なお、同じ要素が複数ある場合、符号の後ろにアルファベットを付けて区別する場合がある。複数の光源111は、直列に電気接続している。光源並列抵抗112は、複数の光源111のうち少なくともいずれかと並列に電気接続している。この例では、4つの光源並列抵抗112a〜112dが、それぞれ、光源111a〜111dと並列に電気接続している。
【0016】
図5は、この実施の形態における照明システム800の各部の電圧・電流の一例を示すタイミング図である。
横軸は、時刻を示す。縦軸は、電圧もしくは電流を示す。実線で示した電圧711は、照明システム800が入力する交流電力の電圧値である。実線で示した電圧712は、位相制御調光器810が位相制御した電力の電圧値である。実線で示した電流721は、トランスT24の二次巻線L26を流れる電流である。実線で示した電圧713は、平滑コンデンサC28の両端電圧である。
【0017】
位相制御調光器810の駆動回路813は、入力した交流電力の電圧がゼロクロスしたことを検出し、調光入力部811が入力した調光率にしたがった遅延時間が経過したとき、双方向サイリスタ812をオンにする駆動パルスを生成する。遅延時間は、交流電力の半周期より短く、調光率が高い(明るい)ほど短く、調光率が低い(暗い)ほど長い。双方向サイリスタ812は、次のゼロクロスで自動的にオフになるまで、オン状態を保つ。
例えば、破線で示した時刻731において、駆動回路813がゼロクロスを検出する。破線で示した時刻732において、遅延時間が経過し、駆動回路813が駆動パルスを生成して、双方向サイリスタ812がオンになる。破線で示した時刻733において、双方向サイリスタ812は、自動的にオフになる。これを繰り返すことにより、位相制御調光器810は、位相制御された電力を照明装置820に対して供給する。
【0018】
照明装置820の電源回路821では、制御回路822がスイッチング素子Q23を高周波でオンオフすることにより、鋸波状の電流721が、二次巻線L26を流れる。制御回路822は、電流721の平均値が電圧712の絶対値と相似形になるよう、スイッチング素子Q23をオンオフすることにより、照明装置820の力率を改善する。
【0019】
二次巻線L26を流れる電流721により、平滑コンデンサC28が充電される。
電源投入直後において、平滑コンデンサC28の両端電圧は0であり、光源回路100には電流が流れないので、平滑コンデンサC28の両端電圧713は、上昇していく。平滑コンデンサC28の両端電圧の上昇に伴い、光源回路100に電流が流れ始める。平滑コンデンサC28の両端電圧713は、二次巻線L26を流れる電流721と、光源回路100を流れる電流とが釣り合う電圧に達すると、平衡状態となる。
【0020】
導通角(双方向サイリスタ812がオンの期間の長さを交流電力の位相角で表現したもの)が大きければ、二次巻線L26を流れる電流721の総量が増えるので、光源回路100を流れる電流が大きくなり、光源111が明るく点灯する。導通角が小さければ、二次巻線L26を流れる電流721の総量が減るので、光源回路100を流れる電流が小さくなり、光源111が暗く点灯する。
【0021】
なお、交流電源ACの周波数は、例えば50Hz〜60Hzである。したがって、半周期の長さは、例えば8.3ミリ秒〜10ミリ秒である。この間に、平滑コンデンサC28の両端電圧713が大きく変化すると、光源回路100を流れる電流が大きく変化して、光源111のチラツキになる。それを防ぐため、平滑コンデンサC28は、例えば2200μF〜3300μF程度のかなり大きな静電容量のものを用いる。
平滑コンデンサC28の静電容量が大きいので、電源投入後の平滑コンデンサC28の両端電圧713は、ゆっくりと上昇する。更に、導通角が小さいほど、平滑コンデンサC28の両端電圧713の上昇率は、小さくなる。
【0022】
図6は、この実施の形態における光源111及び光源回路100の電圧電流特性の一例を示す図である。
横軸は、電圧を示す。縦軸は、電流を示す。実線で示した特性741及び特性742は、光源111単体の電圧電流特性を示す。特性742は、電流が微小な場合を示すため、縦軸を拡大している。実線で示した特性743及び特性744は、光源回路100全体の電圧電流特性を示す。特性745及び破線で示した特性746は、光源回路100全体に印加される電圧と、光源並列抵抗112が並列に接続された光源111を流れる電流との関係を示す。特性744及び特性746は、特性742と同様、縦軸を拡大している。なお、特性745は、特性743とほとんど重なっている。
破線で示した電流722は、光源111が発光していると照明装置820の利用者が視認できる最低輝度としてあらかじめ定めた所定の輝度(以下「最小視認輝度」と呼ぶ。)で光源111を発光させるため、光源111に流すべき電流(以下「最小視認電流」と呼ぶ。)を示す。破線で示した電流723は、照明装置820が入力する交流電力の導通角が、導通角の最小値としてあらかじめ定めた所定の導通角(以下「最小導通角」と呼ぶ。)である場合に、光源回路100を流れる電流(以下「最小電流」と呼ぶ。)を示す。破線で示した電流724は、照明装置820が入力する交流電力の導通角が、導通角の最大値としてあらかじめ定めた所定の導通角(以下「最大導通角」と呼ぶ。)である場合に、光源回路100を流れる電流(以下「最大電流」と呼ぶ。)を示す。
【0023】
破線で示した電圧714は、光源111を流れる電流が最小視認電流722である場合における光源111の両端電圧(以下「最小視認電圧」と呼ぶ。)である。例えば、最小視認電流722を100μAとすると、電圧714は、例えば2.4Vである。
破線で示した電圧715は、光源111を流れる電流が最小電流723である場合における光源111の両端電圧(以下「最小電圧」と呼ぶ。)を示す。例えば、最小電流723を20mAとすると、電圧715は、例えば2.64Vである。
破線で示した電圧716は、光源111を流れる電流が最大電流724である場合における光源111の両端電圧(以下「最大電圧」と呼ぶ。)を示す。例えば最大電流724を600mAとすると、電圧716は、例えば3.26Vである。
なお、電圧電流特性は、光源111によって異なるので、上述した数値は、一例である。
【0024】
破線で示した電圧717は、光源回路100を流れる電流が最小視認電流722である場合における光源回路100の両端電圧を示す。両端電圧717は、次の式で表わされる。
【数11】
ただし、V
Lは、光源回路100の両端電圧である。I
vは、最小視認電流722である。Rは、光源並列抵抗112の抵抗値である。V
Fvは、光源並列抵抗112が並列接続していない光源111の最小視認電圧714である。なお、光源並列抵抗112の抵抗値Rは、次の式を満たす。
【数12】
ただし、V’
Fvは、光源並列抵抗112が並列接続した光源111の最小視認電圧714である。
例えば、上述した数値例によれば、最小視認電流722が100μA、最小視認電圧714が2.4Vだから、光源並列抵抗112の抵抗値Rは、24kΩ(=2.4V/100μA)以下である。
【0025】
光源111の最小視認電圧714がすべて等しく、光源並列抵抗112の抵抗値もすべて等しいとすると、
【数13】
ただし、n
1は、光源並列抵抗112が並列接続した光源111の数である。n
2は、光源並列抵抗112が並列接続していない光源111の数である。
【0026】
破線で示した電圧718は、光源並列抵抗112が並列に接続している光源111を流れる電流が最小視認電流722である場合における光源回路100の両端電圧を示す。破線で示した電圧719は、光源回路100を流れる電流が最小電流723である場合における光源回路100の両端電圧を示す。破線で示した電圧720は、光源回路100を流れる電流が最大電流720である場合における光源回路100の両端電圧を示す。
【0027】
例えば、光源111の数が7、そのうち光源並列抵抗112が並列接続した光源111の数が4、最大電流724が600mA、最大電圧716が3.26V、最小電流723が20mA、最小電圧715が2.64V、最小視認電流722が100μA、最小視認電圧714が2.4V、光源並列抵抗112の抵抗値Rが10kΩであるとする。その場合、電圧720は22.82V(=3.26V×7)、電圧719は18.48V(=2.64V×7)、電圧717は11.2V(=10kΩ×100μA×4+2.4V×3)になる。
【0028】
図7は、この実施の形態における光源回路100の電圧・電流の一例を示すタイミング図である。
横軸は、時刻を示す。縦軸は、電圧もしくは電流を示す。実線で示した電圧713は、電源回路821の平滑コンデンサC28の両端電圧、すなわち、光源回路100の両端電圧を示す。実線で示した電流725及び電流726は、光源回路100を流れる電流を示す。破線で示した電流727及び電流728は、光源回路100のうち、光源並列抵抗112が並列接続している光源111を流れる電流を示す。電流726及び電流728は、電流が微小な場合を示すため、縦軸を拡大している。なお、電流727は、電流725とほとんど重なっている。
実線で示した電流729は、比較例の光源回路を流れる電流を示す。比較例の光源回路は、光源並列抵抗112を有さず、単に、光源111を直列接続しただけの回路である。
なお、導通角は、最小導通角であるものとする。
【0029】
縦軸で示した時刻734において、照明装置820に対する電源の供給が開始され、光源回路100の両端電圧が、徐々に増加していく。
破線で示した時刻735において、光源回路100の両端電圧713が電圧717に達し、光源回路100を流れる電流が最小視認電流722に達する。これにより、利用者は、照明装置820が点灯しつつあることを視認する。
破線で示した時刻736において、光源回路100の両端電圧713が最小視認電圧718に達し、光源並列抵抗112が接続している光源111を流れる電流も、最小視認電流722に達する。
その後、光源回路100の両端電圧713は、電圧719に近づき、光源回路100を流れる電流727は、最小電流723に近づく。これにより、照明装置820の光源111は、所定の明るさで点灯する。
【0030】
これに対して、比較例の場合、光源回路を流れる電流が最小視認電流722に達するのは、時刻735よりも遅い時刻737である。このとき、光源回路の両端電圧は、
【数14】
【0031】
例えば、上述した数値例によれば、最小視認電圧714が2.4Vだから、このときの光源回路の両端電圧は、16.8V(=2.4V×7)である。
すなわち、比較例の場合、平滑コンデンサC28の両端電圧が16.8Vに達しないと、照明装置820が点灯しつつあることを利用者が認識できないのに対し、この実施の形態の構成では、平滑コンデンサC28の両端電圧が11.2Vに達した時点で、照明装置820が点灯しつつあることを利用者が認識できる。したがって、電源投入から、照明装置820が点灯しつつあることを利用者が認識するまでにかかる時間を短くすることができる。
【0032】
電源を投入してから、光源111を流れる電流が最小視認電流722に達するまでの間は、照明装置820が点灯しつつあることを利用者が認識できないので、この時間があまり長いと、利用者は、故障もしくは反応遅れとして認識する。
この実施の形態における照明装置820は、光源並列抵抗112が並列接続していない光源111を流れる電流が最小視認電流722に達するまでにかかる時間が短くなるので、利用者が、故障もしくは反応遅れとして誤認されるのを防ぐことができる。
【0033】
なお、照明装置820が点灯中は、常に、光源並列抵抗112に電流が流れるため、光源並列抵抗112における電力損失が発生する。光源並列抵抗112における電力損失が最大となるのは、導通角が最大導通角である場合である。光源並列抵抗112における電力損失の最大値は、次の式で表わされる。
【数15】
ただし、P
Rは、光源並列抵抗112における電力損失を示す。V
Fmaxは、光源111を流れる電流が最大電流724であるときの光源111の両端電圧716である。
【0034】
数11から明らかなように、光源並列抵抗112の抵抗値Rが小さいほど、最小視認電圧718が小さくなるので、照明装置820が点灯しつつあることを利用者が認識できるまでにかかる時間が短くなる。その一方、数15から明らかなように、光源並列抵抗112の抵抗値Rが小さいと、光源並列抵抗112における電力損失が大きくなる。
【0035】
そこで、あらかじめ2つのパラメータを設定しておき、設定したパラメータにしたがって、光源並列抵抗112の抵抗値Rを決定する。
1つは、光源並列抵抗112における電力損失として許容できる最大許容損失電力である。すなわち、次の式を満たすよう、光源並列抵抗112の抵抗値Rを決定する。
【数16】
ただし、P
maxは、最大許容損失電力である。最大許容損失電力P
maxは、例えば1mWなど、光源111における消費電力と比較して非常に小さい値に設定する。あるいは、最大許容損失電力P
maxは、光源111における消費電力に対する比(例えば1000分の1)という形式で設定してもよい。例えば、上述した数値例によれば、最大電流が600mA、最大電圧が3.26Vだから、1つの光源111における消費電力は1.96W(=3.26V×600mA)である。したがって、最大許容損失電力P
maxは、例えば、1.96mWに設定する。
例えば、最大許容損失電力P
maxを1mWに設定した場合、上記の数値例によれば、光源並列抵抗112の抵抗値Rは、10.63kΩ(=3.26V×3.26V/1mW)以上の値に設定する。
【0036】
もう1つのパラメータは、電源を投入してから、照明装置820が点灯しつつあることを利用者が認識できるまでにかかる時間として許容できる最大許容点灯時間である。すなわち、次の式を満たすよう、光源並列抵抗112の抵抗値Rを決定する。
【数17】
ただし、T
maxは、最大許容点灯時間である。最大許容点灯時間T
maxは、例えば400ミリ秒など、500ミリ秒以下の値に設定する。500ミリ秒以上の遅延があると、利用者が違和感を感じるからである。V
out(T
max)は、電源投入から最大許容点灯時間T
maxが経過した時点において、電源回路821が生成する直流電力の電圧値(平滑コンデンサC28の両端電圧)である。
なお、V
out(T
max)は、光源回路100を流れる電流によって変化する。このため、光源並列抵抗112の抵抗値Rの計算にあたっては、光源回路100を流れる電流が0である場合(すなわち、電源回路821の負荷である光源回路100が接続されていない場合)における値を用いる。
例えば、T
maxを400ミリ秒に設定し、V
out(T
max)が12Vである場合、上記の数値例によれば、光源並列抵抗112の抵抗値Rは、12kΩ[=(12V−2.4V×3)/(100μA×4)]以下の値に設定する。
【0037】
上記2つの式を満たすよう、光源並列抵抗112の抵抗値Rを決定する。例えば、上記の数値例によれば、光源並列抵抗112の抵抗値Rは、10.63kΩ以上12kΩ以下の値に設定する。
【0038】
これにより、利用者が故障もしくは反応遅れと誤認するのを防止しつつ、電力損失を抑えることができる。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態2について、
図8を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0040】
図8は、この実施の形態における照明装置820の回路構成を示す回路図である。
照明装置820は、実施の形態1で説明した電源回路821と、光源回路100とに加えて、放電回路823を有する。
放電回路823は、電源切断時に平滑コンデンサC28を放電する。放電回路823は、例えば、停電検出回路824と、フォトカプラPCと、ゲート抵抗R31と、放電抵抗R32と、サイリスタT33とを有する。停電検出回路824は、例えばダイオードブリッジDBが全波整流した電力の電圧波形を監視して、交流電源ACから照明装置820に対する電力供給が停止したか否かを判定する。停電検出回路824は、電力供給の停止を検出した場合、フォトカプラPCの発光ダイオードを点灯するパルスを生成する。
フォトカプラPCのフォトトランジスタのエミッタ端子は、ゲート抵抗R31の一端と、サイリスタT33のゲート端子とに電気接続している。ゲート抵抗R31の他端と、サイリスタT33のカソード端子とは、平滑コンデンサC28の陰極側端子に電気接続している。フォトカプラPCのフォトトランジスタのコレクタ端子と、放電抵抗R32の一端とは、平滑コンデンサC28の陽極側端子の電気接続している。放電抵抗R32の他端は、サイリスタT33のアノード端子に電気接続している。
停電検出回路824が生成したパルスにより、フォトカプラPCの発光ダイオードが点灯すると、フォトトランジスタがオンになり、ゲート抵抗R31を電流が流れて、サイリスタT33のゲート端子の電位が高くなり、サイリスタT33がオンになる。サイリスタT33がオンになると、放電抵抗R32を介して、平滑コンデンサC28を放電する電流が流れる。放電抵抗R32は、平滑コンデンサC28を放電する電流を制限する。平滑コンデンサC28が放電し終わると、サイリスタT33を流れる電流が0になり、サイリスタT33がオフになる。
【0041】
利用者が電源スイッチを切るなどして、照明装置820に対する電力供給が停止しても、平滑コンデンサC28に充電された電荷が残っている間は、光源111が点灯する。特に、光源並列抵抗112が並列接続していない光源111は、平滑コンデンサC28の両端電圧が低くても点灯するので、消え残る可能性が高い。
【0042】
そこで、この実施の形態の照明装置820は、照明装置820に対する電力供給が停止した場合に、平滑コンデンサC28を短時間で放電する。これにより、光源111が消え残るのを防ぐことができる。
【0043】
実施の形態3.
実施の形態3について、
図9〜
図10を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態2と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0044】
図9は、この実施の形態における光源モジュール110の形状を示す正視図である。
光源モジュール110は、光源並列抵抗112を有さない、基板115には、複数の光源111だけが実装されている。
【0045】
図10は、この実施の形態における照明装置820の回路構成を示す回路図である。
光源モジュール110は、光源111が直列接続した回路を2つ有する。光源回路100は、光源モジュール110と、光源並列抵抗112とを有する。光源並列抵抗112は、光源111a〜111dが直列接続した回路と並列に電気接続している。
【0046】
このように、光源並列抵抗112は、1つの光源111に対して1つずつ並列に接続するのではなく、複数の光源111を直列に接続した回路に対して並列に接続していてもよい。
また、光源並列抵抗112を光源モジュール110とは別に設けることにより、光源並列抵抗112における電力損失による発熱の影響を光源111が受けないようにすることができ、光源111の温度上昇を抑えることができる。
【0047】
実施の形態4.
実施の形態4について、
図11〜
図12を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態3と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0048】
図11は、この実施の形態における照明装置820の回路構成を示す回路図である。
光源回路100は、実施の形態3の光源並列抵抗112の代わりに、光源並列コンデンサ113(光源並列インピーダンス)を有する。なお、光源並列コンデンサ113は、実施の形態1〜実施の形態2で説明した光源並列抵抗112と同様、1つの光源111に対して1つずつ並列に接続する構成であってもよい。また、光源並列コンデンサ113は、光源モジュール110とは別に設けるのではなく、光源モジュール110に実装されている構成であってもよい。
【0049】
図12は、この実施の形態における光源回路100の電圧・電流の一例を示すタイミング図である。
横軸は、時刻を示す。縦軸は、電圧もしくは電流を示す。実線で示した電圧713は、電源回路821の平滑コンデンサC28の両端電圧、すなわち、光源回路100の両端電圧を示す。実線で示した電流725及び電流726は、光源回路100を流れる電流を示す。電流727及び破線で示した電流728は、光源回路100のうち、光源並列抵抗112が並列接続している光源111を流れる電流を示す。電流726及び電流728は、電流が微小な場合を示すため、縦軸を拡大している。なお、電流727は、電流725とほとんど重なっている。
なお、導通角は、最小導通角であるものとする。
【0050】
縦軸で示した時刻734において、平滑コンデンサC28及び光源並列コンデンサ113の両端電圧は、ほぼ0である。照明装置820に対する電源の供給が開始されたことにより、光源回路100の両端電圧が、徐々に増加していく。光源並列コンデンサ113を流れる電流は、光源111e〜111gを流れる電流と同じである。光源111e〜111gが直列に接続した回路の両端電圧は、平滑コンデンサC28の両端電圧から、光源並列コンデンサ113の両端電圧を差し引いた差に等しい。最初のうちは、平滑コンデンサC28の両端電圧が低いので、光源111e〜111gには電流が流れず、光源並列コンデンサ113の両端電圧は、0のままである。その結果、光源111e〜111gが直列に接続した回路の両端電圧が上昇し、光源111e〜111gに電流が流れ始める。これにより、光源並列コンデンサ113の両端電圧も上昇を始める。
光源並列コンデンサ113の両端電圧の上昇幅は、平滑コンデンサC28の両端電圧の上昇幅とほぼ等しい。なぜなら、それよりも多くの電流が光源並列コンデンサ113を流れると、光源111e〜111gが直列に接続した回路の両端電圧が低下するので、光源111e〜111gを流れる電流が減少し、逆に、それよりも少ない電流しか光源並列コンデンサ113を流れないと、光源111e〜111gが直列に接続した回路の両端電圧が上昇するので、光源111e〜111gを流れる電流が増加する。このとき、光源並列コンデンサ113を流れる電流は、両端電圧の上昇幅がほぼ等しいことから、
【数18】
ただし、Iは、光源並列コンデンサ113を充電する電流である。Cは、光源並列コンデンサ113の静電容量である。C
outは、平滑コンデンサC28の静電容量である。I
outは、平滑コンデンサC28を充電する電流である。
【0051】
光源並列コンデンサ113を充電する電流Iと、平滑コンデンサC28を充電する電流I
outとの合計は、二次巻線L26から供給される電流とほぼ等しい。導通角が最小導通角のとき、二次巻線L26から供給される電流は、最小電流723とほぼ等しい。
【数19】
ただし、I
minは、最小電流723である。
【0052】
光源並列コンデンサ113を充電する電流Iが、最小視認電流722より大きければ、照明装置820が点灯しつつあることを利用者が視認できるので、次の式を満たすよう、光源並列コンデンサ113の静電容量Cを設定する。
【数20】
【0053】
例えば、平滑コンデンサC28の静電容量が3300μFである場合、実施の形態1で用いた数値例によれば、光源並列コンデンサ113の静電容量Cは、16.6μF(=100μA/(20mA−100μA)×3300μF)以上の値に設定する。
【0054】
この式を満たすよう、光源並列コンデンサ113の静電容量Cを設定しておくことにより、破線で示した時刻735において、光源回路100を流れる電流が最小視認電流722を超える。これにより、利用者は、照明装置820が点灯しつつあることを視認する。
【0055】
その後、光源並列コンデンサ113の両端電圧が上昇していき、破線で示した時刻736において、光源111a〜111dを直列に接続した回路の両端電圧が、最小視認電圧714の合計を超える。これにより、光源並列抵抗112が接続している光源111を流れる電流も、最小視認電流722に達する。
その後、光源回路100の両端電圧713は、電圧719に近づき、光源回路100を流れる電流727は、最小電流723に近づく。これにより、照明装置820の光源は、所定の明るさで点灯する。
【0056】
このように、光源並列コンデンサ113が並列接続していない光源111を流れる電流が最小視認電流722に達するまでにかかる時間が短くなるので、利用者が、故障もしくは反応遅れとして誤認されるのを防ぐことができる。
【0057】
また、電源投入時の過渡期間を過ぎると、光源並列コンデンサ113が十分に充電されるので、光源並列コンデンサ113を流れる電流はほぼ0になる。光源並列抵抗112を接続する場合と異なり、電力損失がないので、照明装置820の電力効率を高めることができる。
【0058】
また、消灯時(電源遮断時)には、光源並列コンデンサ113が充電されているので、光源111a〜111dを一定時間点灯することができる。
なお、実施の形態2で説明した放電回路823を、平滑コンデンサC28と並列に接続する場合、光源並列コンデンサ113にも、放電回路を並列に接続することが好ましい。そうすれば、光源111a〜111dをすぐに消灯できるだけでなく、電源遮断後すぐに電源が投入された場合でも、光源並列コンデンサ113が放電されているので、光源111e〜111gを光源111a〜111dよりも先に点灯させることができる。
【0059】
実施の形態5.
実施の形態5について、
図13〜
図14を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態4と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
図13は、この実施の形態における照明装置820の回路構成を示す回路図である。
光源回路100は、実施の形態3の光源並列抵抗112や、実施の形態4の光源並列コンデンサ113の代わりに、光源並列抵抗112と光源並列コンデンサ113との直列回路(光源並列インピーダンス)を有する。
【0061】
図14は、この実施の形態における光源回路100の電圧・電流の一例を示すタイミング図である。
横軸は、時刻を示す。縦軸は、電圧もしくは電流を示す。実線で示した電圧713は、電源回路821の平滑コンデンサC28の両端電圧、すなわち、光源回路100の両端電圧を示す。実線で示した電流725及び電流726は、光源回路100を流れる電流を示す。破線で示した電流727及び電流728は、光源回路100のうち、光源並列抵抗112が並列接続している光源111を流れる電流を示す。電流726及び電流728は、電流が微小な場合を示すため、縦軸を拡大している。
なお、導通角は、最小導通角であるものとする。
【0062】
この例において、光源並列抵抗112の抵抗値Rは、実施の形態1で説明した抵抗値と比べてかなり小さい。また、光源並列コンデンサ113の静電容量Cは、平滑コンデンサC28の静電容量を同程度である。
これにより、光源並列抵抗112と光源並列コンデンサ113との直列回路が並列接続している光源111a〜111dが点灯を開始する前に、光源並列抵抗112と光源並列コンデンサ113との直列回路が並列接続していない光源111e〜111gを流れる電流が大きくなる。このため、照明装置820が点灯しつつあることを利用者が認識するに留まらず、照明装置820にフェードイン効果を付けることができる。
【0063】
なお、実施の形態4と同様、電源投入時の過渡期間を過ぎると、光源並列コンデンサ113が十分に充電されるので、光源並列コンデンサ113を流れる電流はほぼ0になる。このため、光源並列コンデンサ113と直列に接続された光源並列抵抗112を流れる電流がほぼ0になり、光源並列抵抗112における電力損失もほぼ0になる。このため、照明装置820の電力効率を高めることができる。
【0064】
実施の形態6.
実施の形態6について、説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態5と共通する部分については、同一の符号を使用し、説明を省略する。
【0065】
この実施の形態における光源回路100において、光源111は、いわゆる白色光を放射する。光源111のうち、光源並列インピーダンス(光源並列抵抗112または光源並列コンデンサ113または光源並列抵抗112と光源並列コンデンサ113との直列回路)が並列接続されていない光源111は、光源並列インピーダンスが並列接続されている光源111よりも、相関色温度が低い光を放射する。例えば、光源並列インピーダンスが並列接続されていない光源111の光源色は、日本工業規格Z9112:2004「蛍光ランプの光源色及び演色性による区分」に定められた「電球色」であり、光源並列インピーダンスが並列接続されている光源111の光源色は「昼白色」である。あるいは、光源並列インピーダンスが並列接続されていない光源111の相関色温度は例えば3000K、光源並列インピーダンスが並列接続されている光源111の相関色温度は例えば5000Kである。
【0066】
電源投入直後は、光源並列インピーダンスが並列接続されていない光源111だけが点灯する。したがって、照明装置820は、相関色温度が低い光を放射する。その後、光源並列インピーダンスが並列接続された光源111も点灯する。したがって、照明装置820が放射する光は、相関色温度が低い光と相関色温度が高い光とが混合し、両者の間の相関色温度を有する光となる。
【0067】
一般に、光源の相関色温度が低いと、部屋が暑苦しい雰囲気になり、相関色温度が高いと、陰気な雰囲気になることが知られている。部屋が快適な雰囲気になるちょうどよい相関色温度は、照度によって異なり、照度が低いときは、低い相関色温度で快適な雰囲気になるのに対し、照度が高いときは、高い相関色温度で快適な雰囲気になる(Willoughbyの曲線)。
【0068】
この実施の形態における光源回路100は、点灯開始直後の出力が低いときは、放射する光の相関色温度が低く、その後、出力が大きくなると、相関色温度が高くなる。これにより、常に、快適な雰囲気を保つことができ、点灯時の違和感がなく、高い演出効果を得ることができる。
【0069】
以上、各実施の形態で説明した構成は一例であり、異なる実施の形態で説明した構成を組み合わせた構成や、重要でない部分を既知の構成と置き換えた構成などであってもよい。
【0070】
以上説明した光源回路・照明装置・照明システムは、低調光点灯でも電源オンからの遅延時間が短くなるので、電源スイッチのオンオフに違和感がない。また、電源オン時には徐々にLEDからの光出力が増加するフェードイン効果を得ることができる。
電源オフ時には、徐々に光出力が低下するフェードアウト効果を得ることも可能であるし、放電回路823を設けることにより、消灯時間を短縮し、すぐに消灯することもできる。