(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による演奏評価装置を有する電子楽器の構成例を示すブロック図である。バス107には、CPU101、ROM102、RAM103、液晶表示器(LCD)104、外部記憶媒体105、外部入出力インタフェース106、キースキャン回路108、パネルスキャン回路110、楽音発生部112が接続されている。鍵盤109は、複数の白鍵及び黒鍵を有する演奏を行うための演奏操作子である。キースキャン回路108は、鍵盤109上の押鍵操作又は離鍵操作に応じて、ノートオンイベント又はノートオフイベントをCPU101に出力する。パネル111は、スイッチ及びそれに対応する発光ダイオードを含む。パネルスキャン回路110は、パネル111上のスイッチ操作に応じて、その操作情報をCPU101に出力する。液晶表示器104は、演奏評価結果等を表示する。
【0012】
楽音発生部112は、CPU101から楽音パラメータを入力して楽音信号を生成し、D/A変換部113に出力する。上記の楽音パラメータは、鍵盤109のノートオンイベント及びノートオフイベント、パネル111の操作情報等を含む。D/A変換部113は、楽音信号をデジタル形式からアナログ形式に変換する。アナログ信号処理部114は、アナログ形式の楽音信号を調整するための処理を行い、アンプ115に出力する。アンプ115は、楽音信号を増幅し、スピーカ116に出力する。スピーカ116からは楽音が発音される。
【0013】
ROM102は、複数の楽音波形(音色データ)を記憶する波形メモリを含む。楽音発生部112は、波形メモリに記憶されている楽音波形を基に発音処理及び消音処理を行う。ROM102は、その他、コンピュータプログラムを記憶する。CPU101は、そのコンピュータプログラムを実行することにより、後に説明する
図2及び
図3の処理等を行う。RAM103は、CPU101のワークエリア等を有する。外部記憶媒体105は、フレキシブルディスク等であり、演奏データやコンピュータプログラム等を記憶することができる。外部入出力インタフェース106は、例えばMIDI(musical instrument digital interface)等であり、外部に対して演奏データ(MIDIデータ)等の入出力を行うことができる。
【0014】
図4(A)は、ROM102又は外部記憶装置105に記憶される曲の手本発音情報401の例を示す図である。手本発音情報401は、複数の音符情報411を有する。音符情報411は、キーナンバ421、ステップタイム422、ゲートタイム423、ベロシティ424及び指番号425を有する。キーナンバ421は、発音する音符の音高を示す。ステップタイム422は、小節データ又は拍データを基準にした音符の発音タイミング(押鍵タイミング)を示す。ゲートタイム423は、演奏する音符の長さ(押鍵から離鍵までの長さ)を示す。ベロシティ424は、押鍵速度(音量)を示す。指番号425は、両手の10本の指の番号であり、当該音符を演奏すべき指の番号を示す。以上のように、ROM102又は外部記憶装置105等の記憶部は、音符と音符を演奏すべき指番号425とを対応付けた音符情報411を含む手本発音情報401を記憶し、CPU101はその手本発音情報401を記憶部から読み出すことができる。
【0015】
演奏の練習として、運指の練習がある。手本となる演奏では、曲に応じて運指が決まっており、音符毎にその音符を演奏すべき指が指定される。各音符毎に、指定の指で演奏することにより、所望の音の大きさ(押鍵速度)で滑らかな演奏を実現可能である。運指の練習は、極めて重要である。手本発音情報401は音符毎に指番号425を有するので、演奏者の演奏に対して運指に関する評価が可能となる。
【0016】
図2は、
図1の電子楽器が行う演奏評価処理の例を示すフローチャートである。ステップS201では、CPU101は、演奏者の演奏を録音処理する。まず、演奏者は、パネル111上の曲選択スイッチにより練習する曲を選択し、録音スイッチを押す。すると、CPU101は、ROM102又は外部記憶媒体105から選択された曲の伴奏データを読み出して再生、又はメトロノーム音を再生する。演奏者は、鍵盤109を操作することにより、選択した曲の演奏を行う。CPU(録音部)101は、鍵盤109の演奏操作に応じて演奏発音情報402(
図4(B))をRAM103に記録(録音)する。
【0017】
図4(B)は、曲の演奏発音情報402の例を示す図である。演奏発音情報402は、複数の押鍵情報(音符情報)412を有する。押鍵情報412は、
図4(A)の音符情報411に対して指番号425を削除したものであり、キーナンバ421、ステップタイム422、ゲートタイム423及びベロシティ424を有する。CPU101は、押鍵された鍵の音高をキーナンバ421として記録する。また、CPU101は、小節データ又は拍データを基準にした押鍵タイミング(音符の発音タイミング)をステップタイム422として記録する。また、CPU101は、押鍵操作から離鍵操作までの長さ(音符の長さ)をゲートタイム423として記録する。また、CPU101は、押鍵速度(音量)をベロシティ424として記録する。
【0018】
次に、
図2のステップS202では、CPU101は、ROM102又は外部記憶媒体105から手本発音情報401の有効範囲内の音符情報411を先頭タイミングから順に読み出す。次に、ステップS203では、CPU101は、有効範囲内の
図4(B)の演奏発音情報402の押鍵情報412を探索する。演奏発音情報402は、演奏者の演奏を録音したものであるため、手本発音情報401に対して、発音タイミングのずれが生じ得る。そこで、ステップS203では、手本発音情報401の音符情報411の発音タイミングを基準として、その前後の有効範囲内の演奏発音情報402の押鍵情報412を探索する。
【0019】
次に、ステップS204では、CPU101は、上記の有効範囲内に押鍵情報412があるか否かをチェックする。押鍵情報412がある場合にはステップS205へ進み、押鍵情報412がない場合にはステップS212へ進む。ステップS205では、CPU101は、有効範囲内の押鍵情報412の数に対応する押鍵数を取得する。次に、ステップS206では、演奏発音情報402の有効範囲内の押鍵情報412の数が、手本発音情報401の有効範囲内の音符情報411の数より少ないか否かをチェックする。少ない場合には音抜けであるのでステップS207へ進み、少なくない場合にはステップS208へ進む。ステップS207では、CPU101は、音抜けの数を音抜けカウンタに加算し、ステップS208へ進む。同様に、ステップS212では、CPU101は、手本発音情報401に対して足りない押鍵数を音抜けの数として音抜けカウンタに加算し、ステップS213へ進む。
【0020】
ステップS208では、CPU101は、有効範囲内の押鍵情報412を先頭タイミングから順に取得する。次に、ステップS209では、CPU101は、手本発音情報401の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のステップタイム(音符の発音タイミング)422のずれ及び/又はベロシティ424のずれを指番号毎に累積して検出する。ステップS209の詳細は、
図3を参照しながら説明する。
【0021】
図3は、
図2のステップS209の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS301では、CPU101は、手本発音情報401の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のステップタイム(音符の発音タイミング)422のずれを累積して検出する。すなわち、CPU101は、指番号425に関係なく、ステップタイム(発音タイミング)422のずれの総計のヒストグラム520(
図5)を生成して更新する。
【0022】
図6は、ヒストグラム520の例を示す図である。横軸はステップタイム(音符の発音タイミング)422のずれ量を示し、縦軸は回数(頻度)を示す。ステップタイム(音符の発音タイミング)422のずれ量毎に、回数を累積することによりヒストグラム520を生成する。ヒストグラム520は、指番号425に関係なく、すべての押鍵情報412についてずれの回数を累積したものである。ヒストグラム520を生成することにより、演奏者の押鍵タイミングが曲の全体的に早い又は遅い等の演奏評価が可能になる。
【0023】
次に、
図3のステップS302では、CPU101は、手本発音情報401の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のステップタイム(音符の発音タイミング)422のずれを指番号425毎に累積して検出する。すなわち、CPU101は、指番号425毎に、ステップタイム(発音タイミング)422のずれのヒストグラム500〜509(
図5)を生成して更新する。
図5のヒストグラム500〜509は、それぞれ両手の10本の指の指番号425に対応するヒストグラムであり、それぞれは
図6のヒストグラムと同様に生成される。手本発音情報401の音符情報411の指番号425が0であるときには、0番の指番号のヒストグラム500にずれの回数が累積される。同様に、手本発音情報401の音符情報411の指番号425が1〜9であるときには、それぞれ1番〜9番の指番号のヒストグラム501〜509にずれの回数が累積される。ヒストグラム500〜509を生成することにより、例えば左手の薬指の押鍵タイミングが平均的に早い又は遅い等の演奏評価が可能になる。
【0024】
なお、本実施形態では、演奏者が実際に演奏した指番号の検出を行わない。演奏者は、手本発音情報401に示される指番号425の指で演奏を行ったものと仮定して、ヒストグラムの生成が行われる。
【0025】
次に、
図3のステップS303では、CPU101は、手本発音情報401の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のベロシティ424のずれを累積して検出する。すなわち、CPU101は、指番号425に関係なく、ベロシティ424のずれの総計のヒストグラム521(
図5)を生成して更新する。
図5のヒストグラム521は、
図6のヒストグラムと同様に生成され、横軸がベロシティ424のずれ量を示し、縦軸は回数(頻度)を示す。ベロシティ424のずれ量毎に、回数を累積することによりヒストグラム521を生成する。ヒストグラム521は、指番号425に関係なく、すべての押鍵情報412についてずれの回数を累積したものである。ヒストグラム521を生成することにより、演奏者の押鍵のベロシティ(押鍵速度)が曲の全体的に速い又は遅い等の演奏評価が可能になる。
【0026】
次に、
図3のステップS304では、CPU101は、手本発音情報401の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のベロシティ424のずれを指番号425毎に累積して検出する。すなわち、CPU101は、指番号425毎に、ベロシティ424のずれのヒストグラム510〜519(
図5)を生成して更新する。
図5のヒストグラム510〜519は、それぞれ両手の10本の指の指番号425に対応するヒストグラムであり、それぞれは
図6のヒストグラムと同様に生成される。手本発音情報401の音符情報411の指番号425が0であるときには、0番の指番号のヒストグラム510にずれの回数が累積される。同様に、手本発音情報401の音符情報411の指番号425が1〜9であるときには、それぞれ1番〜9番の指番号のヒストグラム511〜519にずれの回数が累積される。ヒストグラム510〜519を生成することにより、例えば左手の薬指の押鍵速度が平均的に早い又は遅い等の演奏評価が可能になる。
【0027】
次に、
図2のステップS210では、CPU101は、有効範囲内において、演奏発音情報402の押鍵情報412の中で、手本発音情報401の音符情報411にない余分な音符(ノート)があるか否かをチェックする。余分な音符がある場合にはステップS211に進み、余分な音符がない場合にはステップS213に進む。ステップS211では、CPU101は、余分な音符の数を演奏者の演奏操作のミスタッチとしてミスタッチカウンタに加算し、ステップS213に進む。
【0028】
ステップS213では、CPU101は、有効範囲内のすべての押鍵情報412の処理が終了したか否かをチェックする。終了した場合にはステップS214へ進み、終了していない場合には、ステップS208に戻り、CPU101は、有効範囲内の次のタイミングの押鍵情報412を取得し、上記と同様の処理を繰り返す。
【0029】
ステップS214では、CPU101は、処理済みの有効範囲が曲の最後か否かをチェックする。最後でなければステップS215へ進み、最後であればステップS216へ進む。ステップS215では、CPU101は、有効範囲を時間的に後にずらし、ステップS202に戻り、上記の処理を繰り返す。
【0030】
ステップS216では、CPU101は、
図5のヒストグラム500〜521、ステップS207及びS212の音抜けカウンタ、及びステップS211のミスタッチカウンタを基に演奏評価を行い、演奏評価の結果を液晶表示器104に表示する。音抜けカウンタは、手本発音情報401に存在する音符情報411が演奏発音情報402として押鍵されなかったため、指番号425毎に音抜け数がカウントされる。
【0031】
ヒストグラム500〜519及び音抜けカウンタを参照することにより、指番号425毎に、押鍵タイミング422及びベロシティ424のずれの大きさ及び音抜け数が分かるので、最も演奏評価の低い指に対して例えば「弱点:左手の薬指」等の演奏評価結果を表示することができる。また、最も演奏評価の低い3つをワースト3として、演奏評価結果を表示してもよい。
【0032】
また、ヒストグラム520を参照することにより、演奏者の押鍵タイミングが曲の全体的に早い又は遅い等の演奏評価結果を表示することができる。
【0033】
また、ヒストグラム500〜509を参照することにより、例えば左手の薬指の押鍵タイミングが平均的に早い又は遅い等の指毎の演奏評価結果を表示することができる。
【0034】
また、ヒストグラム521を参照することにより、演奏者の押鍵速度(ベロシティ)が曲の全体的に速い又は遅い等の演奏評価結果を表示することができる。
【0035】
また、ヒストグラム510〜519を参照することにより、例えば左手の薬指の押鍵速度が平均的に早い又は遅い等の指毎の演奏評価結果を表示することができる。
【0036】
また、ヒストグラム520の平均値を求めることにより、指全体の押鍵タイミングが全体的に早い又は遅い等の演奏評価結果を表示することができる。また、ヒストグラム520の標準偏差又は分散を求めることにより、指全体の押鍵タイミングのずれのばらつきの演奏評価結果を表示することができる。
【0037】
また、ヒストグラム500〜509の平均値を求めることにより、指番号425毎に、押鍵タイミングが全体的に早い又は遅い等の演奏評価結果を表示することができる。また、ヒストグラム500〜509の標準偏差又は分散を求めることにより、指番号425毎に、押鍵タイミングのずれのばらつきの演奏評価結果を表示することができる。
【0038】
また、ヒストグラム521の平均値を求めることにより、指全体の押鍵速度が全体的に速い又は遅い等の演奏評価結果を表示することができる。また、ヒストグラム521の標準偏差又は分散を求めることにより、指全体の押鍵速度のずれのばらつきの演奏評価結果を表示することができる。
【0039】
また、ヒストグラム510〜519の平均値を求めることにより、指番号425毎に、押鍵速度が全体的に早い又は遅い等の演奏評価結果を表示することができる。また、ヒストグラム510〜519の標準偏差又は分散を求めることにより、指番号425毎に、押鍵速度のずれのばらつきの演奏評価結果を表示することができる。
【0040】
なお、ステップS216では、CPU101は、演奏評価結果を表示する他、演奏評価結果を印刷又は音声出力等してもよい。すなわち、ステップS216では、CPU(演奏評価結果出力部)101は、指番号毎の押鍵タイミング及び/又はベロシティのずれに応じて、指番号に対応する指の演奏評価を出力することができる。
【0041】
本実施形態によれば、指番号に対応する指の演奏評価を出力することにより、演奏の運指に関する評価を得ることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態による手本発音情報711〜714の例を示す図である。手本演奏情報711は、
図4(A)の手本演奏情報401に対応する。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。手本演奏情報711は、指使用回数700〜709及び発音情報710を有する。発音情報710は、
図4(A)の手本演奏情報401と同じである。すなわち、
図7の手本発音情報711は、
図4(A)の手本発音情報401に指使用回数700〜709を追加したものである。10個の指使用回数700〜709は、両手の10本の指に対応する10個の指番号に対応し、各指番号が発音情報710内の指番号425で使用されている回数を示す。すなわち、10個の指使用回数700〜709は、1曲の演奏で各指が使用されている回数を示す。10個の指使用回数700〜709を参照することにより、その手本発音情報711の曲で使用回数が多い指を知ることができる。ROM102又は外部記憶装置105には、複数の手本発音情報711〜714が記憶される。手本発音情報712〜714は、手本発音情報711と同様の構成を有する。手本発音情報711〜714は、それぞれ異なる曲の手本発音情報である。第1の実施形態の演奏評価により、演奏者の弱点である運指の指を知ることができる。本実施形態では、弱点の指の練習に適した曲を演奏者に提供することができる。弱点の指が分かれば、指使用回数700〜709を参照し、複数の曲の手本発音情報711〜714の中から、その弱点の指の使用回数が多い曲の練習を演奏者に勧めることができる。
【0043】
図8は、演奏評価に基づく練習曲の提示処理の例を示すフローチャートである。
図8の処理は、CPU101がプログラムを実行することにより行われる。ステップS801では、CPU101は、
図2のフローチャートと同じ演奏評価処理を行う。次に、ステップS802では、CPU101は、上記の演奏評価処理により評価された最も演奏評価の低い弱点の指番号を検出する。次に、ステップS803では、CPU101は、手本発音情報711〜714の指使用回数700〜709を参照し、複数の曲の手本発音情報711〜714の中から、上記で検出された指の使用回数が最も多い曲を検索する。次に、ステップS804では、CPU101は、上記の検索された曲を、弱点の指の練習に適した練習曲として、液晶表示器104に表示する。例えば、CPU101は、「弱点:左手の薬指」及び「次曲:3番の曲を練習して下さい」の表示を行う。演奏者は、その提示された曲でよい場合には、パネル111上の「Yes」のスイッチを押し、他の曲を練習したい場合にはパネル111上の「No」のスイッチを押す。次に、ステップS805では、CPU101は、「Yes」のスイッチと「No」のスイッチのいずれが押されたのかをチェックする。「Yes」のスイッチが押された場合には、ステップS801に戻り、提示された練習曲の録音及び演奏評価を含む上記の処理を繰り返す。「No」のスイッチが押された場合には、ステップ803に戻り、上記で提示した練習曲を除いた複数の曲の手本発音情報711〜714の中からの検索を繰り返す。
【0044】
なお、ステップS804では、CPU101は、次回の練習曲を表示する他、印刷又は音声出力するようにしてもよい。すなわち、ステップS804では、CPU(演奏評価出力部)101は、押鍵タイミング及び/又はベロシティのずれの最も大きい指番号に対応する練習曲の情報を出力する。演奏者は、弱点の指の練習に適した曲の提示を受けることができるので、効果的に運指の練習をすることができる。
【0045】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態による手本発音情報901の例を示す図である。手本演奏情報901は、
図7の手本演奏情報711に対応する。以下、本実施形態が第2の実施形態と異なる点を説明する。手本演奏情報901は、指使用回数902及び発音情報903を有する。発音情報903は、
図4(A)の手本演奏情報401と同じである。指使用回数902は、
図7の指使用回数700〜709に対応する。100個の指使用回数902は、前回の音符の指番号425から今回の音符の指番号425への運指毎の使用回数を示す。例えば、前回の音符の指番号が0番であり今回の音符の指番号が1番の運指は、0番の指番号から1番の指番号への運指を示す。100個の指使用回数902を参照することにより、その手本発音情報901の曲で使用回数が多い運指を知ることができる。ROM102又は外部記憶装置105には、異なる曲の複数の手本発音情報901が記憶される。なお、和音を構成する複数の音符情報411の指情報425は、「なし(NULL)」にしてもよい。本実施形態では、
図3のステップS302及びS304において、前回の音符の指番号425から今回の音符の指番号425への運指毎に、手本発音情報901及び演奏発音情報402の音符の発音タイミングのずれ及び/又はベロシティのずれを検出する。
【0046】
図3において、ステップS301では、第1及び第2の実施形態と同様に、CPU101は、手本発音情報901の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のステップタイム(音符の発音タイミング)422のずれを累積し、
図10(B)のように総計のヒストグラムを生成する。
【0047】
次に、ステップS302では、CPU101は、前回の音符の指番号425から今回の音符の指番号425への運指毎に、手本発音情報901の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のステップタイム(音符の発音タイミング)422のずれを累積し、
図10(A)のように100個のヒストグラムを生成する。
【0048】
次に、ステップS303では、第1及び第2の実施形態と同様に、CPU101は、手本発音情報901の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のベロシティ(押鍵速度)424のずれを累積し、
図10(B)のように総計のヒストグラムを生成する。
【0049】
次に、ステップS304では、CPU101は、前回の音符の指番号425から今回の音符の指番号425への運指毎に、手本発音情報901の音符情報411と演奏発音情報402の押鍵情報412とを比較し、両者のベロシティ(押鍵速度)424のずれを累積し、
図10(A)のように100個のヒストグラムを生成する。
【0050】
また、
図2のステップS216では、CPU(演奏評価出力部)101は、前回の音符の指番号425から今回の音符の指番号425への運指毎のずれに応じて、運指の演奏評価を液晶表示器104に表示(出力)する。例えば、CPU101は、例えば「弱点:左手の薬指→左手の小指」の表示を行う。また、CPU101は、第1及び第2の実施形態と同様の演奏評価の表示を行ってもよい。本実施形態によれば、運指の演奏評価を出力することにより、演奏の運指に関する評価を得ることができる。
【0051】
また、
図8において、ステップS802では、CPU101は、上記の演奏評価処理により評価された最も演奏評価の低い弱点の運指を検出する。次に、ステップS803では、CPU101は、手本発音情報901の指使用回数902を参照し、複数の曲の手本発音情報901の中から、上記で検出された運指の使用回数が最も多い曲を検索する。次に、ステップS804では、CPU101は、上記の検索された曲を、弱点の運指の練習に適した練習曲として、液晶表示器104に表示(出力)する。例えば、CPU101は、「弱点:左手の薬指→左手の小指」及び「次曲:5番の曲を練習して下さい」の表示を行う。すなわち、CPU(演奏評価出力部)101は、発音タイミング及び/又はベロシティのずれの最も大きい運指に対応する練習曲の情報を出力することができる。演奏者は、弱点の運指の練習に適した曲の提示を受けることができるので、効果的に運指の練習をすることができる。
【0052】
なお、第1〜第3の実施形態は、電子楽器の例として電子鍵盤楽器の例を示したが、電子鍵盤楽器に限定されず、運指に係る演奏を行うことができる電子弦楽器等の他の電子楽器にも適用することができる。
【0053】
(第4の実施形態)
図11は、本発明の第4の実施形態による演奏評価装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態の演奏評価装置は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータにより構成される。コンピュータがプログラムを実行することにより、第1〜第3の実施形態の演奏評価装置を実現することができる。バス1111には、CPU1112、ROM1113、RAM1114、通信インタフェース1115、入力装置1116、出力装置1117及び外部記憶装置1118が接続されている。CPU1112は、データの処理又は演算を行うと共に、バス1111を介して接続された各種構成要素を制御するものであり、第1〜第3の実施形態の演奏評価装置の処理を実行する。ROM1113には、予めCPU1112の制御手順(コンピュータプログラム)を記憶させておき、このコンピュータプログラムをCPU1112が実行することにより、コンピュータが起動する。外部記憶装置1118にコンピュータプログラムが記憶されており、そのコンピュータプログラムがRAM1114にコピーされ、CPU1112により実行される。RAM1114は、データの処理のためのワークメモリ、各構成要素の制御のための一時記憶として用いられる。通信インタフェース1115は、
図1の電子楽器等に接続するための通信インタフェースである。入力装置1116は、例えばキーボード及びマウス等であり、
図1のパネル111に対応し、各種指定又は入力等を行うことができる。出力装置1117は、ディスプレイであり、
図1の液晶表示器104に対応し、演奏評価結果及び次回の練習曲を表示することができる。外部記憶装置1118は、例えばハードディスク記憶装置、CD−ROM又はフレキシブルディスク記憶装置等であり、電源を切っても記憶内容が消えない。外部記憶装置1118は、上記のコンピュータプログラムの他、手本発音情報及び演奏発音情報を記憶することができる。
【0054】
本実施形態では、
図2のステップS201の処理は、
図1の電子楽器により行う。これにより、
図4(B)の演奏発音情報402が生成される。
図11の演奏評価装置は、外部記憶装置1118又は通信インタフェース1115を用いて、電子楽器で生成された演奏発音情報402を読み出す。また、
図11の演奏評価装置は、外部記憶装置1118又は通信インタフェース1115を用いて、予め用意された手本発音情報401、711又は901を読み出す。その後、
図11の演奏評価装置は、プログラムを実行することにより、第1〜第3の実施形態においてステップS201以外の処理を行う。
図11の演奏評価装置は、演奏者が演奏発音情報402のみを準備すれば、その演奏発音情報402についての演奏評価を行うことができる。以上のように、演奏評価装置は、
図1のような電子楽器で構成してもよいし、
図11のようなコンピュータで構成してもよい。
【0055】
本実施形態は、
図11のコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び上記のプログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0056】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。