(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669704
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】装飾体駆動装置
(51)【国際特許分類】
G04B 45/00 20060101AFI20150122BHJP
【FI】
G04B45/00 T
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-213813(P2011-213813)
(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公開番号】特開2013-72826(P2013-72826A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム時計工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082784
【弁理士】
【氏名又は名称】森 正澄
(72)【発明者】
【氏名】片野 広大
(72)【発明者】
【氏名】田邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】村杉 光司
(72)【発明者】
【氏名】村田 俊之
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−057230(JP,A)
【文献】
特開昭63−082819(JP,A)
【文献】
特許第3561669(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 45/00
G04B 25/06
A63H 29/22
A63H 31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾体をモータの動力で回転駆動する駆動機構と、前記装飾体の回転位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段で検出した前記装飾体の位置に応じて前記モータを制御する制御手段とを備え、
前記位置検出手段は、前記装飾体と同期回転するカムと、前記カムによって操作されるリミットスイッチとを備え、
前記装飾体は、所定のホームポジションから回転を開始して1回転するとともに再び前記ホームポジションに至って停止し、且つその回転中に一時停止するものであり、
前記カムは、前記装飾体の回転量に対する前記リミットスイッチのON・OFF間隔が比較的長い第1部位と、比較的短い第2部位とを備え、
前記第1部位は、前記ホームポジションに隣接して両側に一対設けられ、
前記装飾体が前記ホームポジションにあるときは、前記隣接する一対の前記第1部位の間に前記リミットスイッチが位置する状態とし、
前記制御手段は、回転中の前記装飾体を一時停止する一時停止モードと、前記装飾体を停止させる停止モードとを設定してなり、
前記装飾体が回転を開始すると前記リミットスイッチが前記第1部位の前記一対のうち回転時に回転後方に位置する前記一方を検出したところで前記一時停止モードとなり、
前記一時停止モードでは、前記第2部位を検出する毎に前記装飾体を一時停止し、
前記一時停止モードにおいて前記装飾体を所定の回数一時停止すると前記停止モードとなり、
前記停止モードでは、前記第1部位の前記一対のうち回転時に回転前方に位置する前記他方を検出したところで前記装飾体を停止するようにしたことを特徴とする装飾体駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾体を回転駆動する装置に関し、リミットスイッチを用いて装飾体を所定の位置で停止及び一時停止するものである。
【背景技術】
【0002】
壁掛け時計や置き時計は、装飾性に優れたものが好まれる傾向にあり、所定の時刻になると報知音を発生するとともに装飾体を駆動するように構成されたものがある。装飾体は、所定の位置で停止する必要があり、装飾体の駆動装置としては、リミットスイッチを利用してなるものが知られている。特許文献1乃至3には、リミットスイッチを利用して装飾体を所定の位置で停止する構成が開示されている。また、カムとリミットスイッチからなる位置検出手段としては、特許文献4及び5にも開示されているように、1つのリミットスイッチにて複数の位置を検出可能とするものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3561669号公報
【特許文献2】特開2000−171573号公報
【特許文献3】特開2004−28972号公報
【特許文献4】特開平09−113259号公報
【特許文献5】特開平10−62156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、装飾体の駆動様式は様々であるところ、本願発明者は、装飾体が所定のホームポジションから回転を開始してそのホームポジションで停止し、且つその回転中に一時停止する装飾体駆動装置について検討した。このような回転式の装飾体を回転中に所定の位置で一時停止させる構成としては、ホームポジションを検出するリミットスイッチとは別途に、一時停止位置を検出するためのリミットスイッチを設ける構成が考えられる。しかし、リミットスイッチの個数が増加するうえに配線構造も複雑化するという問題がある。そこで、1つのリミットスイッチにて装飾体の停止位置と一時停止位置とを検出可能とすべく、カムとリミットスイッチからなる位置検出手段についてその構造及び制御方法を工夫すべきと考えた。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装飾体の停止及び一時停止を簡便な構成にて正確に行なうことができる装飾体駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1請求項に記載した発明は、装飾体(21)をモータ(22)の動力で回転駆動する駆動機構(20)と、前記装飾体(21)の回転位置を検出する位置検出手段(30)と、前記位置検出手段(30)で検出した前記装飾体(21)の位置に応じて前記モータ(22)を制御する制御手段(10)とを備え、
前記位置検出手段(30)は、前記装飾体(21)と同期回転するカム(31)と、前記カム(31)によって操作されるリミットスイッチ(32)とを備え、
前記装飾体(21)は、所定のホームポジションから回転を開始して
1回転するとともに再び前記ホームポジション
に至って停止し、且つその回転中に一時停止するものであり、
前記カム(31)は、前記装飾体(21)の回転量に対する前記リミットスイッチ(32)のON・OFF間隔が比較的長い第1部位(31a)と、比較的短い第2部位(31b)とを備え、
前記第1部位(31a)は、前記ホームポジションに隣接して両側に一対設けられ、
前記装飾体(21)が前記ホームポジションにあるときは、
前記隣接する一対の前記第1部位(31a)の間に前記リミットスイッチ(32)が位置する状態とし、
前記制御手段(10)は、回転中の前記装飾体(21)を一時停止する一時停止モードと、前記装飾体(21)を停止させる停止モードとを設定してなり、
前記装飾体(21)が回転を開始すると前記リミットスイッチ(32)が前記第1部位(31a)
の前記一対のうち回転時に回転後方に位置する前記一方を検出したところで前記一時停止モードとなり、
前記一時停止モードでは、前記第2部位(31b)を検出する毎に前記装飾体(21)を一時停止し、
前記一時停止モードにおいて前記装飾体(21)を所定の回数一時停止すると前記停止モードとなり、
前記停止モードでは、前記第1部位(31a)
の前記一対のうち回転時に回転前方に位置する前記他方を検出したところで前記装飾体(21)を停止するようにした構成の装飾体駆動装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の装飾体駆動装置によれば、装飾体の停止及び一時停止を簡便な構成にて正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例に係り、装飾体駆動装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例に係り、装飾体駆動装置の要部を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施例に係り、位置検出機構を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施例に係り、リミットスイッチのON・OFFとカムの回転角度との関係を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施例に係り、装飾体駆動装置の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1乃至3に示す本例の装飾体駆動装置1は、装飾体21をモータ22の動力で回転駆動する駆動機構20と、装飾体21の回転位置を検出する位置検出手段30と、位置検出手段30で検出した装飾体21の位置に応じてモータ22を制御する制御手段10とを備えたものである。
【0010】
装飾体21の形態は特に限定はしないが、本例の場合、時計の文字盤、又は文字盤に設けられた回転飾りであり、正時になると不図示のスピーカから報知音としてメロディーが流れるとともに、これが回転する構成となっている。また、この装飾体21は、所定のホームポジションから回転を開始してホームポジションで停止し、且つその回転中に一時停止するものとなっている。
【0011】
駆動機構20は、減速ギアを介してモータ22の動力を装飾体21に伝達するものである。装飾体21は、モータ21の回転方向を変えることにより、正逆回転可能となっている。
【0012】
位置検出手段30は、装飾体21と同期回転するカム31と、カム31によって操作されるリミットスイッチ32とを備えている。図例したカム31は、装飾体21と回転軸が共通の従動側最後の減速ギアに一体成形又はねじ止めして設けられたものである。リミットスイッチ32としては、起倒式の作動軸を備えたものを採用している。リミットスイッチ32は、作動軸がカム31と当接するように所定の位置に固定配置されている。
【0013】
本例のカム31は、装飾体21の回転量に対するリミットスイッチ32のON・OFF間隔が比較的長い第1部位31aと、比較的短い第2部位31bとを備えている。また、装飾体21がホームポジションにあるときは、隣接する一対の第1部位31aの間にリミットスイッチ32が位置する状態としている(
図3参照)。
【0014】
本例の位置検出手段30について、リミットスイッチのON・OFFとカム31の回転角度との関係は、
図4に示す通りである。制御手段10は、この関係を踏まえてモータ22を制御することにより、1つのリミットスイッチ32にて装飾体21の停止位置と一時停止位置との検出を可能としている。
【0015】
図5は、装飾体駆動装置1の制御を示すフローチャートである。本例の制御手段10は、回転中の装飾体21を一時停止する一時停止モードと、装飾体21を停止させる停止モードとを設定してなるものである。尚、本例の場合、モータ21の速度はほぼ一定となっている。故に、装飾体21の回転量に対するリミットスイッチ32のON・OFF間隔は、モータ21の駆動時における経過時間と対応している。
【0016】
先ず、正時になるとモータ21が駆動してホームポジションにある装飾体21が回転を開始する(step1)。そして、リミットスイッチ32がONとなり(step2)、そのまま所定の時間が経過すると(step3)、第1部位31aが検出されたとみなし、一時停止モードとなる(step4)。つまり、リミットスイッチ32が第1部位31aを検出したところで一時停止モードとなる。
【0017】
回転開始後に検出された第1部位31aと次に検出される第1部位31aとの間には、任意の間隔で所定数(図例では3個)の第2部位31bが設けられている。一時停止モードでは、リミットスイッチ32がONとなると(step5)、第2部位31bが検出されたとみなし、そこでモータ21を約1秒ほど一時停止する(step6)。つまり、第2部位31bを検出する毎に装飾体21を一時停止する。そして、一時停止モードにおいて装飾体21を所定の回数(図例では3回)一時停止すると(step7)、停止モードとなる(step8)。
【0018】
停止モードでは、リミットスイッチ32がONとなり(step9)、そのまま所定の時間が経過すると(step10)、第1部位31aが検出されたとみなし、その後リミットスイッチ32がOFFとなったところで(step11)、モータ21を停止する(step12)。つまり、第1部位31aを検出したところで装飾体21を停止する。装飾体21は、ホームポジションで停止する。
【0019】
このような構成によると、1つのリミットスイッチ32にて装飾体32の駆動制御を合理的に行なうことができる。特に、モータ21の回転方向を変えて装飾体21を逆回転させても、制御方法を変更せずに装飾体21を同じ位置で一時停止し、ホームポジションで停止することができる。
【0020】
また、装飾体駆動装置1の使用上のトラブルとしては、装飾体21の回転中に電源の供給が途絶するなどして、装飾体21がホームポジション以外の位置で停止してしまう場合が考えられる。この点、本例の制御方法によると、回転を開始すれば、回転方向を問わずいずれかの第1部位31aにて一時停止モードとなり、その後の停止モードで第1部位31aを検出したところで装飾体21を停止するので、自ずと装飾体21がホームポジションに復帰するという利点もある。
【0021】
以上説明した本例の装飾体駆動装置1によると、装飾体の停止及び一時停止を簡便な構成にて正確に行なうことができる。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の装飾体駆動装置は、壁掛け時計や置き時計を装飾する装置として好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 装飾体駆動装置
10 制御手段
20 駆動機構
21 装飾体
22 モータ
30 位置検出手段
31 カム
31a 第1部位
31b 第2部位
32 リミットスイッチ