【課題を解決するための手段】
【0001】
本明細書および以下の特許請求の範囲では、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」のような単数形は、他の意味であることが本文中で明らかに示されていない限り、複数形のものも含む。本明細書に開示されているすべての範囲は、特定的に示されていない限り、すべての終点および中間値を含む。それに加えて、多くの用語について、以下のように定義されるべきであると述べてもよい。
【0002】
用語「官能基」は、例えば、官能基が接続した基および分子の化学特性を決定づけるような様式で整列した原子群を指す。官能基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボン酸基などが挙げられる。
【0003】
「任意要素の」または「場合により」は、例えば、その後に記載されている状況が起こってもよく、起こらなくてもよいような状況を指す。
【0004】
用語「1つ以上の」および「少なくとも1つの」は、例えば、その後に記載されている状況のうち1つが起こるような状況、その後に記載されている状況のうち2つ以上が起こるような状況を指す。
【0005】
1成分系の現像剤(すなわち、2成分系現像剤のような電荷キャリアを含有しない現像剤)の場合、トナー粒子が、優れた流動特性および機能的な凝集性を含む、高い移動効率を示すことが重要である。本明細書に記載のトナーは、1成分系の現像機で使用するのに適するような、適切な組成と物理特性を有する。
【0006】
少なくともバインダーと、任意要素のワックスと、任意要素の着色剤と、表面添加剤パッケージとを含むトナーが提供される。添加剤パッケージは、トナー粒子の外側表面をコーティングするために使用される。つまり、トナー粒子がまず形成され、その後、トナー粒子と、添加剤パッケージの材料とを混合する。その結果、添加剤パッケージは、一般的に、トナー粒子の塊に組み込まれるのではなく、トナー粒子の外側表面をコーティングするか、またはトナー粒子の外側表面に付着する。
【0007】
本開示の外部添加剤パッケージを含むように改質されてもよい、適切なトナー組成物としては、例えば、係属中の米国特許出願第12/575,718号に開示されているトナー組成物および粒子が挙げられる。
【0008】
トナー中で使用するためのラテックスを調製するのに適した任意のモノマーを用いてもよい。上述のように、トナーは、乳化凝集によって製造されてもよい。ラテックスポリマーエマルションを作成する際に有用であり、そのために、ラテックスエマルション中でラテックス粒子を得るのに有用な、適切なモノマーとしては、例えば、スチレン、アクリレート、メタクリレート、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0009】
トナー(またはバインダー)樹脂として、任意の従来のトナー樹脂を用いてもよい。適切なトナー樹脂の具体例としては、例えば、熱可塑性樹脂、例えば、一般的に、ビニル樹脂、または特定的には、スチレン樹脂、およびポリエステルが挙げられる。例としては、スチレンメタクリレート;ポリオレフィン;スチレンアクリレート、例えば、Hercules−Sanyo Inc.から得られるPSB−2700;スチレンブタジエン;架橋したスチレンポリマー;エポキシ;ポリウレタン;ビニル樹脂(ホモポリマー、または2種以上のビニルモノマーのコポリマーを含む);ジカルボン酸と、ジフェノールを含むジオールとのエステル化生成物ポリマーが挙げられる。他の適切なビニルモノマーとしては、スチレン;p−クロロスチレン;不飽和モノ−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなど;飽和モノ−オレフィン、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル;ビニルエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルを含むモノカルボン酸エステル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;アクリルアミド;これらの混合物などが挙げられる。それに加えて、スチレンポリマーのポリマー、コポリマー、ホモポリマーを含む架橋した樹脂を選択してもよい。
【0010】
ラテックスポリマーは、少なくとも1つのポリマーを含んでいてもよい。例示的なポリマーとしては、スチレンアクリレート、スチレンブタジエン、スチレンメタクリレート、より特定的には、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン)、ポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル)、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸アルキル−アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸アリール)、ポリ(メタクリル酸アリール−アクリル酸アルキル)、ポリ(メタクリル酸アルキル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸アルキル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−1,3−ジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(アクリル酸アルキル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(メチルスチレン−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸メチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸エチル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸プロピル−ブタジエン)、ポリ(アクリル酸ブチル−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(メチルスチレン−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(メタクリル酸ブチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸メチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸エチル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸プロピル−イソプレン)、ポリ(アクリル酸ブチル−イソプレン)、ポリ(スチレン−アクリル酸プロピル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロノニトリル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリロニトリル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル)、ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(スチレン−メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル−アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−アクリル酸)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、または交互コポリマーであってもよい。
【0011】
ポリ(スチレン−アクリル酸ブチル)を、ラテックスポリマーとして使用してもよい。このラテックスのガラス転移温度は、約35℃〜約75℃、例えば、約40℃〜約70℃であってもよい。
【0012】
分子量は、混合床型ゲル透過クロマトグラフィーによって測定してもよい。
【0013】
ポリマーバインダー樹脂に加え、トナーは、1種類のワックスまたは2種類以上の異なるワックスの混合物のいずれかのワックスを含んでいてもよい。1種類のワックスをトナー配合物に加え、例えば、例えば、トナーの粒子形状、トナー粒子表面にワックスが存在すること、およびワックスの量、帯電特性および/または融合特性、光沢、剥離、オフセット特性などの特定のトナー特性を向上させることができる。または、ワックスの組み合わせを加え、トナー組成物に複数の特性を付与してもよい。
【0014】
トナーは、ワックスを、例えば、乾燥基準でトナーの約1〜約25wt%、例えば、約3〜約15wt%の任意の量で含んでいてもよく;または、トナーの約5〜約20wt%、または約5〜約12wt%の任意の量で含んでいてもよい。
【0015】
ワックスは、パラフィンワックスであってもよい。適切なパラフィンワックスとしては、改質された結晶構造を有するパラフィンワックスが挙げられ、これは、改質パラフィンワックスと呼ばれることがある。直鎖炭素と分枝鎖炭素の分布が対称的であってもよい、従来のパラフィンワックスと比較して、改質パラフィンワックスは、分枝鎖炭素を、ワックスの約1〜約20wt%、例えば、ワックスの約8〜約16wt%の量で有していてもよく、直鎖炭素が、ワックスの約80〜約99wt%、またはワックスの約84〜約92wt%の量で存在していてもよい。
【0016】
それに加えて、このような改質パラフィンワックス中に存在する異性体(すなわち、分枝鎖炭素)は、数平均分子量(Mn)が、約520〜約600、例えば、約550〜約570、または約560であってもよい。このようなワックス中に存在する直鎖炭素(本明細書で、ノルマルと呼ばれることもある)は、Mnが、約505〜約530、例えば、約512〜約525、または約518であってもよい。このような改質パラフィンワックス中に存在する分枝鎖炭素の重量平均分子量(Mw)は、約530〜約580、例えば、約555〜約575であってもよく、改質パラフィンワックス中に存在する直鎖炭素のMwは、約480〜約550、例えば、約515〜約535であってもよい。
【0017】
分枝鎖炭素の場合、改質パラフィンワックスの重量平均分子量(Mw)は、炭素原子の数が約31〜約59個、例えば、約34〜約50個であり、ピークが炭素原子約41個であることを示していてもよく、直鎖炭素の場合、Mwは、炭素原子の数が約24〜約54個、または約30〜約50個であり、ピークが炭素原子約36個であることを示していてもよい。
【0018】
改質パラフィンワックスは、トナーの約2wt%〜約20wt%、例えば、約4wt%〜約15wt%、または約5wt%〜約13wt%の量で存在していてもよい。
【0019】
また、トナーは、少なくとも1つの着色剤を含んでいてもよい。例えば、本明細書で使用されるような着色剤または顔料としては、顔料、染料、顔料と染料の混合物、顔料混合物、染料混合物などが挙げられる。単純にするために、本明細書で使用される用語「着色剤」は、特定の顔料または他の着色剤成分であると特定されていない限り、このような着色剤、染料、顔料、混合物を包含することを意味する。着色剤は、顔料、染料、これらの混合物、カーボンブラック、マグネタイト、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー、ブラウン、およびこれらの混合物を、組成物の合計重量を基準として、約0.1〜約35wt%、例えば、約1〜約25wt%の量で含んでいてもよい。
【0020】
着色剤(例えば、カーボンブラック、シアン、マゼンタ、および/またはイエローの着色剤)は、トナーに望ましい色を付与するのに十分な量で組み込まれる。一般的に、顔料または染料は、固体基準でトナー粒子の約1〜約35wt%、例えば、約5〜約25wt%、または約5〜約15wt%の量で使用される。
【0021】
トナーを製造するための乳化凝集プロセスで用いられる凝固剤としては、一価金属凝固剤、二価金属凝固剤、多価イオン凝固剤などが挙げられる。本明細書で使用される場合、「多価イオン凝固剤」は、塩または酸化物である凝固剤を指し、例えば、少なくとも三価、少なくとも四価、または少なくとも五価の価数を有する金属種から作られる金属塩または金属酸化物を指す。凝固剤が多価イオン凝固剤である場合、凝固剤には、任意の望ましい数の多価イオン原子が存在していてもよい。例えば、適切なポリアルミニウム化合物は、化合物中に、約2〜約13個、例えば、約3〜約8個のアルミニウムイオンが存在していてもよい。
【0022】
凝固剤は、粒子凝集中にトナー粒子に組み込まれてもよい。このように、凝固剤は、外部添加剤を除き、トナー粒子中に存在していてもよく、乾燥重量基準で、トナー粒子の0〜約5wt%、例えば、0wt%よりも多く、約3wt%までの量で存在していてもよい。
【0023】
トナー組成物を作成するために用いられる着色剤、ワックス、および他の添加剤は、界面活性剤を含む分散物の状態であってもよい。トナー粒子は、樹脂およびトナーの他の成分を、1つ以上の界面活性剤と接触させ、エマルションを生成させ、トナー粒子が凝集し、融着し、場合により、これを洗浄し、乾燥させ、回収するような乳化凝集方法によって作られてもよい。
【0024】
1種類、2種類またはそれ以上の界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、イオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤から選択されてもよい。アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤は、用語「イオン系界面活性剤」に包含される。界面活性剤は、トナー組成物の約0.01〜約5wt%、例えば、約0.75〜約4wt%、または約1〜約3wt%の量で存在してもよい。
【0025】
ラテックスポリマーを作成するために、開始剤を加えてもよい。適切な開始剤の例としては、水溶性開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、有機過酸化物を含む有機可溶性開始剤、Vazo過酸化物、例えば、VAZO 64
TM、2−メチル 2−2’−アゾビスプロパンニトリル、VAZO 88
TM、2−2’−アゾビスイソブチラミド無水物を含むアゾ化合物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
開始剤を適切な量で加えてもよく、例えば、モノマーの約0.1〜約8wt%、または約0.2〜約5wt%の量で加えてもよい。
【0027】
また、ラテックスポリマーを作成する際に、連鎖移動剤を用いてもよい。適切な連鎖移動剤としては、本開示にしたがって乳化重合が行われるときに、ラテックスポリマーの分子量特性を制御するために、モノマーの約0.1〜約10wt%、例えば、約0.2〜約5wt%の量の、ドデカンチオール、オクタンチオール、四臭化炭素、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0028】
第2のラテックスを、界面活性剤に懸濁させた、架橋していないラテックス樹脂に加えてもよい。本明細書で使用される場合、第2のラテックスは、架橋した樹脂またはポリマー、またはこれらの混合物、または架橋反応をすでに行って、上述のような架橋していない樹脂を指していてもよい。
【0029】
第2のラテックスは、体積平均径で約10〜約200ナノメートル、例えば、約20〜約100ナノメートルである、ミクロン未満の架橋した樹脂粒子を含んでいてもよい。第2のラテックスを、界面活性剤を含む水の水相に懸濁させてもよく、ここで、界面活性剤は、固形分全体の約0.5〜約5wt%、例えば、約0.7〜約2wt%の量で存在している。
【0030】
架橋した樹脂は、架橋したポリマーであってもよく、例えば、架橋したポリ−スチレンアクリレート、ポリ−スチレンブタジエン、および/またはポリ−スチレンメタクリレートであってもよい。
【0031】
架橋剤、例えば、ジビニルベンゼンまたは他のジビニル芳香族またはジビニルアクリレートまたはメタクリレートのモノマーを架橋した樹脂中で用いてもよい。架橋剤は、架橋した樹脂の約0.01〜約25wt%、例えば、約0.5〜約15wt%の量で存在していてもよい。
【0032】
架橋した樹脂粒子は、トナーの約1〜約20wt%、例えば、約4〜約15wt%、または約5〜約14wt%の量で存在していてもよい。
【0033】
トナーを作成するために用いられる樹脂は、ゲル樹脂と、架橋していない樹脂との混合物であってもよい。
【0034】
ラテックスポリマーを作成し、このポリマーから粒子を作るときに、官能性モノマーが含まれていてもよい。適切な官能性モノマーとしては、カルボン酸官能基を有するモノマーが挙げられる。このような官能性モノマーは、以下の式(I)を有していてもよく、
【化1】
式中、R1は、水素またはメチル基であり;R2およびR3は、独立して、炭素原子を約1〜約12個含むアルキル基またはフェニル基から選択され;nは、約0〜約20、例えば、約1〜約10である。このような官能性モノマーの例としては、ベータカルボキシエチルアクリレート(β−CEA)、ポリ(2−カルボキシエチル)アクリレート、2−カルボキシエチルメタクリレート、これらの組み合わせなどが挙げられる。使用可能な他の官能性モノマーとしては、例えば、アクリル酸およびアクリル酸誘導体が挙げられる。
【0035】
カルボン酸官能基を有する官能性モノマーは、良好な乳化重合結果を得るために、少量の金属イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、および/またはカルシウム)も含んでいてもよい。金属イオンは、カルボン酸官能基を有する官能性モノマーの約0.001〜約10wt%、例えば、約0.5〜約5wt%の量で存在していてもよい。
【0036】
存在する場合、官能性モノマーを、トナーの約0.01〜約5wt%、例えば、約0.05〜約2wt%の量で加えてもよい。
【0037】
凝集した粒子の上に、シェルを作成してもよい。コアラテックスを作成するのに使用された上述の任意のラテックスを用い、シェルラテックスを作成してもよい。ある実施形態では、スチレン−アクリル酸n−ブチルコポリマーを用い、シェルラテックスを作成する。シェルラテックスは、ガラス転移温度が約35℃〜約75℃、例えば、約40℃〜約70℃であってもよい。
【0038】
存在する場合、シェルラテックスを、当業者の技術常識の範囲内にある任意の方法(浸漬、噴霧などを含む)によって塗布してもよい。トナー粒子の望ましい最終粒径(例えば、約3〜約12ミクロン、例えば、約4〜約9ミクロン)が達成されるまで、シェルラテックスを塗布してもよい。シェルラテックスは、ラテックスに対し、系中に接種する半連続的な乳化共重合を行い、凝集した粒子が生成したら、シェルラテックスを加えることによって調製されてもよい。
【0039】
存在する場合、シェルラテックスは、乾燥したトナー粒子の約20〜約40wt%、例えば、約26〜約36wt%、または約27〜約34wt%の量で存在してもよい。
【0040】
本開示のトナーは、凝集プロセスにおいて、ラテックスポリマーと、ワックスと、任意要素の着色剤とを合わせ、次いで融着プロセス、洗浄および乾燥、次いで外部表面添加剤を加えることによって調製されてもよい。ラテックスポリマーを調製可能な方法のひとつは、半連続的な乳化重合を含む、乳化重合方法によって調製する方法である。
【0041】
乳化凝集手順は、典型的には、ポリマーまたは樹脂、場合により、1つ以上のワックス、場合により、1つ以上の着色剤、場合により、1つ以上の界面活性剤、任意要素の凝固剤を含むエマルションと、1つ以上のさらなる任意要素の添加剤とを一緒に混合してスラリーを作成し;スラリーを加熱し、スラリー中に凝集した粒子を作成し;場合により、シェルを加え、pHを調節することによって、この粒子の凝集を凍結させ;このスラリー中の凝集した粒子を加熱し、粒子をトナー粒子へと融着させ;次いで、得られた乳化凝集トナー粒子を回収し、場合により、洗浄し、乾燥させる基本的な処理工程を含む。
【0042】
乳化凝集および融着プロセスの速度を制御するために、pH調節剤を加えてもよい。pH調節剤は、生成する生成物に悪影響を与えない任意の酸または塩基であってもよい。適切な塩基としては、金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、これらの組み合わせが挙げられる。適切な酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、クエン酸、酢酸、これらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
表面添加剤パッケージを、トナー粒子に塗布してもよい。添加剤パッケージは、一般的に、トナー粒子の塊に組み込まれるのではなく、トナー粒子の外側表面をコーティングするか、またはトナー粒子の外側表面に付着する。添加剤パッケージの成分は、トナーの流動特性を高め、トナーの電荷を高め、電荷安定性を高め、画像を緻密化し、ドラムの汚染を減らすことができるように選択される。
【0044】
表面添加剤パッケージは、第1のシリカと第2のシリカとを含んでいてもよく、第1のシリカは、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で表面処理されており、第2のシリカは、処理されていない表面を有し、第2のシリカは、第1のシリカの体積平均径の約10〜20倍の体積平均径を有する。HMDSシリカは、体積平均径が、約5〜約50nm、例えば、約10〜約50nm、または約20〜約40nm、または約5〜約10nm、または約8〜約15nm、または約7〜約9nm、例えば、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、35nm、または40nmであってもよい。いくつかの実施形態では、40ナノメートルのHMDSシリカを使用する。第2のシリカは、ゾル−ゲルシリカであってもよい。第2のシリカは、体積平均径が、約100〜約180nm、例えば、約100〜約150nm、または約140〜約180nm、または約120〜約150nmであってもよい。いくつかの実施形態では、140ナノメートルのゾル−ゲルシリカを使用する。
【0045】
表面添加剤パッケージは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)シリカをさらに含んでいてもよい。PDMSシリカは、体積平均径が、約5〜約50nm、例えば、約10〜約50nm、または約20〜約40nm、または約5〜約10nm、または約8〜約15nm、または約7〜約9nm、例えば、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、35nm、または40nmであってもよい。いくつかの実施形態では、40ナノメートルのPDMSシリカを使用する。
【0046】
HMDSで表面処理されたシリカは、粒子の約0.05〜約2wt%、例えば、約0.25〜約1.8wt%、または約0.3〜約1.4wt%、または約0.50〜約1.3wt%の量で存在していてもよい。また、HMDSで表面処理されたシリカとゾル−ゲルシリカとの重量比は、約1:0.3〜約1.5:1、例えば、約1.0:0.5〜約1:1の範囲であってもよい。ゾル−ゲルシリカは、粒子の約0.10〜約1.00wt%、例えば、約0.30〜約0.90wt%、または約0.40〜約0.80wt%、または約0.45〜約0.65wt%の量で存在していてもよい。PDMSシリカは、粒子の約0.10〜約3.00wt%、例えば、約0.30〜約2.75wt%、または約0.40〜約2.7wt%、または約0.5〜約2.55wt%の量で存在していてもよい。
【0047】
外部表面添加剤パッケージは、トナー粒子の約2.5〜約5wt重量%、例えば、約3〜約4wt%の量で存在していてもよい。添加剤パッケージ合計は、トナーの約2〜約4wt%の量で存在していてもよい。表面添加剤パッケージ中の異なるシリカの合計は、約1.5〜約3.5wt%、例えば、約2〜約3.4%、または約2.3〜約3.3wt%であってもよい。
【0048】
上述の表面添加剤パッケージに加え、さらなる任意要素の添加剤をトナーと合わせてもよい。例えば、トナーは、正電荷または負電荷の制御剤を、例えば、トナーの約0.1〜約10wt%、例えば、約1〜約3wt%の量で含んでいてもよい。適切な電荷制御剤の例としては、アルキルピリジニウムハロゲン化物を含む四級アンモニウム化合物;硫酸水素塩;アルキルピリジニウム化合物;有機サルフェートおよびスルホネートの組成物;セチルピリジニウムテトラフルオロボレート;ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェート;サリチル酸金属塩、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0049】
他の添加剤としては、有機スペーサー、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が挙げられる。有機スペーサーは、体積平均径が、約300〜約600nm、例えば、約300〜約400nm、または約350〜約450nm、例えば、300nm、350nm、400nm、450nm、または500nmであってもよい。いくつかの実施形態では、400ナノメートルのPMMA有機スペーサーを用いる。
【0050】
他の添加剤としては、表面添加剤、着色強化剤などが挙げられる。洗浄または乾燥させた後にトナー組成物に加えることが可能な表面添加剤としては、例えば、金属塩、脂肪酸金属塩、コロイド状シリカ、金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、これらの組み合わせなどが挙げられ、添加剤は、それぞれ、トナーの約0.1〜約10wt%、例えば、約0.5〜約7wt%の量で存在する。他の添加剤としては、ステアリン酸亜鉛、Degussaから入手可能なAEROSIL R972(登録商標)が挙げられる。米国特許第6,190,815号および米国特許第6,004,714号のコーティングされたシリカも、例えば、トナーの約0.05〜約5wt%、例えば、約0.1〜約2wt%の量で選択されてもよい。これらの添加剤を、凝集中に加えてもよく、生成したトナー生成物に混ぜ合わせてもよい。
【0051】
乳化凝集プロセスは、トナー中の微細なトナー粒子および粗いトナー粒子の量を両方とも制限することによって、トナーの粒径分布を大きく制御することができる。いくつかの実施形態では、トナー粒子は、数比率による下側幾何標準偏差(GSDn)が約1.15〜約1.40、例えば、約1.15〜約1.25、または約1.20〜約1.35であり、比較的狭い粒径分布を有する。また、トナー粒子は、容積による上側幾何標準偏差(GSDv)が、約1.15〜約1.35、例えば、約1.15〜約1.21、または約1.18〜約1.30の範囲であってもよい。
【0052】
トナー粒子は、体積平均径(「体積平均粒径」または「D
50v」とも呼ばれる)が、約3〜約25μm、例えば、約4〜約15μm、または約5〜約12μm、または約6.5〜約8μmであってもよい。D
50v、GSDv、GSDnは、製造業者の指示にしたがって操作されたBeckman Coulter Multisizer 3のような測定装置を用いて決定されてもよい。代表的なサンプリングは、以下のように行ってもよい。25マイクロメートルのふるいで少量のトナーサンプル(約1g)を得て、濾過し、次いで、等張性溶液に入れ、濃度約10%を得て、次いで、このサンプルをBeckman Coulter Multisizer 3で操作する。
【0053】
粒子の粒径を最適化する(ある場合には、約6.5〜約7.7μm)ことによって、本開示のトナーは、特定的には、ブレードを用いない洗浄システム(すなわち、一成分系の現像(SCD)システム)に適している場合がある。適切な球状を有していれば、本開示のトナーは、最適化された機械の性能を補助する場合がある。
【0054】
トナー粒子は、真円度が、約0.920〜約0.999、例えば、約0.940〜約0.980、または約0.950〜約0.998、または約0.970〜約0.995、または約0.962〜約0.980、約0.982より大きく、約0.999まで、または、約0.965より大きく、約0.990までであってもよい。真円度1.000は、完全な球であることを示す。真円度は、例えば、Sysmex FPIA 2100または3000分析機を用いて測定してもよい。
【0055】
トナー粒子は、形状係数SF1*aが約105〜約170、例えば、約110〜約160であってもよい。走査型電子顕微鏡法(SEM)を用い、トナーの形状係数の分析をSEMおよび画像分析(IA)によって決定してもよい。平均的な粒子の形状は、以下の形状係数(SF1*a)式を用いることによって定量化される:SF1*a=100πd
2/(4A)、式中、Aは、粒子の面積であり、dは、主要な軸である。完全に円形または球状の粒子は、形状係数がちょうど100である。形状がより不規則になるか、または表面積が大きくなるような形状に伸ばされると、形状係数SF1*aは、大きくなる。
【0056】
トナー粒子は、表面積が、約0.5m
2/g〜約1.4m
2/g、例えば、約0.6m
2/g〜約1.2m
2/g、または約0.7m
2/g〜約1.0m
2/gであってもよい。表面積は、Brunauer,Emmett,Teller(BET)方法によって決定されてもよい。球のBET表面積は、以下の式によって決定することができる:
表面積(m
2/g)=6/(粒子の直径(um)*密度(g/cc))。
【0057】
トナー粒子は、重量平均分子量(Mw)が約2,500〜約65,000ダルトンの範囲であってもよく、数平均分子量(Mn)が約1,500〜約28,000ダルトンの範囲であってもよく、MWD(トナー粒子のMnに対するMwの比率、ポリマーの多分散性または幅の指標)は、約1.2〜約10の範囲であってもよい。
【0058】
トナーは、所望な場合、ラテックスバインダーの分子量と、乳化凝集手順後に得られるトナー粒子の分子量との間に特定の関係を有していてもよい。バインダーは、処理中に架橋反応を受け、架橋度は、処理中に制御することができる。この関係は、Mwの最大ピークを表すバインダーの分子ピーク値(Mp)に対して最も良好にみることができる。バインダーは、Mp値が約5,000〜約50,000ダルトン、例えば、約7,500〜約45,000ダルトンであってもよい。また、バインダーから調製されるトナー粒子は、大きな分子ピークを示し、例えば、約5,000〜約43,000、例えば、約7,500〜約40,500ダルトンの分子ピークを示し、このことは、分子ピークが、着色剤のような別の成分ではなく、バインダーの特性によって生じることを示す。
【0059】
本開示のトナーは、熱オフセット耐性、低い最低固定温度、高い密度を含む、優れた特性を有する。例えば、トナーは、低い最低固定温度(すなわち、トナーを用いて画像が製造され、基板に固定されるようになる可能性のある温度)が、約135℃〜約220℃、例えば、約155℃〜約220℃である場合がある。トナーは、融合率が約50%〜約100%、または約60%〜約90%であってもよい。トナーは、初期設定値に依存して、低温から高温で融合する。トナーの紙への接着性は、目的の領域のテープを剥がした後、密度を測定することによって測定される。試験領域の密度を、剥がす前のその領域の密度で割り、100を掛けて、融合率を得る。光学密度は、分光光度計(例えば、938 Spectrodensitometer、X−Rite製)を用いて測定する。次いで、このようにして決定した光学密度を用い、以下の式にしたがって融合比を算出する。
【数1】
【0060】
折り目固定MFTは、広範囲の融合温度で融合させた画像を折り曲げ、次いで、折り曲げた領域全体にわたって規定の塊を転がすることによって測定される。また、印刷物を、Duplo D−590紙挟みのような市販の書類挟みを用いて折り曲げてもよい。次いで、紙シートの折り目を広げ、紙シートから砕けたトナーを表面から拭き取る。次いで、砕けた領域と、内部標準チャートとの比較を行う。砕けた領域の方が小さいということは、トナーの接着性が良好であることを示しており、許容され得る接着性を達成するのに必要な温度は、折り目固定MFTとして定義される。トナー組成物は、折り目固定MFTが、例えば、約115℃〜約145℃、例えば、約120℃〜約140℃、または約125℃〜約135℃であってもよい。
【0061】
また、トナーは、極端な相対湿度(RH)条件にさらされたときに、優れた帯電特性を有していてもよい。低湿度ゾーンは、約12℃/15%RHであってもよく、一方、高湿度ゾーンは、約28℃/85%RHであってもよい。本開示のトナーは、質量あたりの親トナー電荷比率(Q/M)が約−2μC/g〜約−50μC/g、例えば、約−4μC/g〜約−35μC/gであってもよく、表面添加剤を混ぜ合わせた後の最終的なトナーの電荷は、約−8μC/g〜約−40μC/g、例えば、約−10μC/g〜約−25μC/gであってもよい。
【0062】
トナーは、54℃で、例えば、約0%〜約60%、例えば、約5%〜約20%、または約0%〜約10%、または約5%が熱による凝集を示してもよい。トナーは、55℃で、例えば、約0%〜約80%、例えば、約5%〜約20%、または約0%〜約60%、または約8%が熱による凝集を示してもよい。トナーは、56℃で、例えば、約0%〜約90%、例えば、約5%〜約30%、または約0%〜約70%、または約20%が熱による凝集を示してもよい。
【0063】
トナーは、例えば、約200℃〜約230℃、例えば、約200℃〜約220℃、または約205℃〜約215℃の高温オフセット温度を示してもよい。
【0064】
トナー組成物は、Hosakawa Powder Flow Testerによって測定すると、流動性を有していてもよい。本開示のトナーは、約25〜約55%、または約30〜約40%の流動性を有していてもよい。
【0065】
トナー組成物は、部分的に流動性の関数である圧縮率を測定されてもよい。本開示のトナーは、9.5〜10.5kPaで約8〜約14%、または約10〜約12%の圧縮率を示してもよい。
【0066】
トナー組成物を用いた後のドラムの汚染度は、ドラムをはずした後、計量することによって測定されてもよい。このトナーは、約0〜約20%、または約1〜約8%のドラム汚染度を示してもよい。
【0067】
トナー組成物の密度は、密度計によって測定されてもよい。トナーは、約1.2〜約1.8、または約1.4〜約1.6の密度を示してもよい。
【0068】
トナーは、プリンタ、コピー機などを含む種々の画像作成デバイスで用いられてもよい。作成されたトナーは、画像作成プロセスにとって、特にゼログラフィープロセスにとって優れており、優れた画像解像度を有し、許容され得るシグナル対ノイズ比、画像均一性を有する高品質の着色画像を得ることができる。さらに、トナーは、デジタル画像作成システムおよびプロセスのような電子写真式画像作成および印刷プロセスのために選択されてもよい。