特許第5669761号(P5669761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許56697613次元画像を記録、遠隔送信、および再生するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669761
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】3次元画像を記録、遠隔送信、および再生するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G03B 35/08 20060101AFI20150129BHJP
   H04N 13/00 20060101ALI20150129BHJP
   G02B 17/00 20060101ALI20150129BHJP
   G03B 35/18 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   G03B35/08
   H04N13/00
   G02B17/00 Z
   G03B35/18
【請求項の数】30
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-553365(P2011-553365)
(86)(22)【出願日】2010年3月12日
(65)【公表番号】特表2012-520475(P2012-520475A)
(43)【公表日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2010001591
(87)【国際公開番号】WO2010102838
(87)【国際公開日】20100916
【審査請求日】2011年10月24日
(31)【優先権主張番号】102009012664.3
(32)【優先日】2009年3月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500355949
【氏名又は名称】ドイチェ テレコム アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】レーマー シュテファヌス
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−183486(JP,A)
【文献】 特表2004−516523(JP,A)
【文献】 特開2002−333598(JP,A)
【文献】 特開平08−149355(JP,A)
【文献】 特開2007−233151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 35/08
G02B 17/00
G03B 35/18
H04N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(12)の画像を記録するための記録デバイスであって、光軸(1)と、この光軸(1)の周りで曲線を回転させることによって形成される1つの凹面鏡(10)とを備えて構成され、前記凹面鏡(10)を使用することによって、物体(12)の画像が反射により生成され、前記物体(12)は前記凹面鏡(10)の焦点(11)の近くで前記光軸(1)上に位置する記録デバイスにおいて、前記凹面鏡(10)と前記物体(12)の間に平坦な光スキャナ面(17)が配設され、それにより、前記凹面鏡(10)によって反射された光ビーム(15、16)が、前記光スキャナ面(17)上に前記物体(12)の2次元投影を生成し、前記光スキャナ面(17)が受光素子(19)を備え、この受光素子(19)によって、前記2次元投影の入射光ビーム(15、16)はそれらの周波数および/または位相および/または大きさに関して捕捉され、前記捕捉された2次元投影を電子ファイルに符号化する手段が設けられることを特徴とする記録デバイス。
【請求項2】
前記凹面鏡(10)が放物面鏡であることを特徴とする請求項1に記載の記録デバイス。
【請求項3】
前記凹面鏡(10)が弾性材料からなり、前記凹面鏡(10)が、幾何形状を変えることができることを特徴とする請求項1または2に記載の記録デバイス。
【請求項4】
前記光スキャナ面(17)が前記光軸(1)に対し垂直に配設されることを特徴とする請求項に記載の記録デバイス。
【請求項5】
前記光スキャナ面(17)が前記光軸(1)と同心の開口(18)を備えていることを特徴とする請求項に記載の記録デバイス。
【請求項6】
前記光スキャナ面(17)が、前記開口(18)の直径を変えるための手段であって、物体(12)の投影の鮮明さを自動調整するための手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載の記録デバイス。
【請求項7】
前記凹面鏡(10)または放物面鏡の焦点距離が、前記光軸(1)に沿った前記鏡(10)と前記光スキャナ面(17)の距離よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の記録デバイス。
【請求項8】
前記凹面鏡(10)の焦点(11)に、または焦点(11)の近くに前記物体(12)の虚像を投影するレンズ系が設けられることを特徴とする請求項に記載の記録デバイス。
【請求項9】
前記物体(12)の虚像が厳密に前記凹面鏡(10)の焦点(11)に、または焦点(11)の近くに投影されるように前記レンズ系を調整するための手段を備えていることを特徴とする請求項8に記載の記録デバイス。
【請求項10】
前記光スキャナ面(17)が、互いに等距離に配置された受光素子(19)を備えることを特徴とする請求項に記載の記録デバイス。
【請求項11】
前記符号化された電子ファイルを、デジタル化されたグラフィックまたはビデオシーケンスとして記憶するための記憶媒体が設けられていることを特徴とする請求項に記載の記録デバイス。
【請求項12】
前記符号化された電子ファイルを受信機に送信するための手段が設けられることを特徴とする請求項に記載の記録デバイス。
【請求項13】
前記開口(18)が透明なフィルムまたはディスクによって覆われていることを特徴とする請求項5に記載の記録デバイス。
【請求項14】
3次元物体(12)の画像(22)を再生するための再生デバイスであって、2次元グラフィックを表示するための平坦な投影面(27)を備え、電子ファイルを復号するための手段と、電子ファイルに符号化された光ビームに関する周波数および/または位相および/または大きさの情報に従って前記投影面(27)上にグラフィックを表示させるための手段とが設けられる再生デバイスにおいて、前記投影面(27)が、1つの凹面鏡(20)と前記物体(12)の生成されるべき3次元投影(22)との間に配設され、前記凹面鏡(20)が、光軸(2)の周りで曲線を回転させることによって形成され、前記凹面鏡(20)を使用することによって、前記投影面(27)から放出された光ビーム(25、26)の反射により、前記凹面鏡(20)の焦点(21)の近くで前記光軸(2)上に位置する前記物体(12)の3次元投影(22)が生成されることを特徴とする再生デバイス。
【請求項15】
前記凹面鏡(20)が放物面鏡であることを特徴とする請求項14に記載の再生デバイス。
【請求項16】
前記投影面(27)が前記光軸(2)に対し垂直に配設されることを特徴とする請求項14または15に記載の再生デバイス。
【請求項17】
前記投影面(27)が前記光軸(2)と同心の開口(28)を備えていることを特徴とする請求項14に記載の再生デバイス。
【請求項18】
前記投影面(27)が、前記開口(28)の直径を変えるための手段であって、前記物体(12)の投影(22)の鮮明さを自動調整するための手段を備えていることを特徴とする請求項17に記載の再生デバイス。
【請求項19】
前記凹面鏡(20)または放物面鏡の焦点距離が、前記光軸(2)に沿った前記鏡(20)と前記投影面(17)の間の距離よりも大きいことを特徴とする請求項14に記載の再生デバイス。
【請求項20】
前記投影面(27)が、互いに等距離に配置された発光素子(29)を備えることを特徴とする請求項14に記載の再生デバイス。
【請求項21】
前記投影面(27)が、発光素子(29)を備え、これら発光素子(29)が、低散乱で前記投影面(27)に対し垂直に光を放射することを特徴とする請求項14に記載の再生デバイス。
【請求項22】
電子ファイルをグラフィックまたはビデオシーケンスのデジタル化として記憶するための記憶媒体が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の再生デバイス。
【請求項23】
電子ファイルを、ネットワークを介して、符号化されたグラフィックまたはビデオシーケンスとして受信するための手段が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の再生デバイス。
【請求項24】
前記開口(28)が透明なフィルムまたはディスクによって覆われていることを特徴とする請求項17に記載の再生デバイス。
【請求項25】
前記発光素子(29)が互いに等距離に配置されていることを特徴とする請求項21に記載の再生デバイス。
【請求項26】
前記発光素子(29)がレーザであることを特徴とする請求項21に記載の再生デバイス。
【請求項27】
請求項に記載の記録デバイスと、請求項14に記載の再生デバイスとを備えて構成される、3次元物体(12)の画像(22)を記録し再生するための記録・再生システム。
【請求項28】
前記記録デバイスと前記再生デバイスの凹面鏡(10、20)がどちらも同じ焦点距離を有する放物面鏡であることを特徴とする請求項27に記載の記録・再生システム。
【請求項29】
前記記録デバイスの光軸(1)に沿った前記凹面鏡(10)から前記光スキャナ面(17)までの距離が、前記再生デバイスの光軸(2)に沿った前記凹面鏡(20)から前記投影面(27)までの距離に等しいことを特徴とする請求項27または28に記載の記録・再生システム。
【請求項30】
端末が、請求項に記載の記録デバイス、または請求項14に記載の再生デバイス、または請求項1に記載の記録デバイスと請求項14に記載の再生デバイスの両方を備えて構成されることを特徴とする、移動無線通信ネットワークでの遠隔通信用の移動無線端末デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の画像を記録するための記録デバイスであって、光軸と、光軸の周りで曲線を回転させることによって形成される凹面鏡とを備える記録デバイスに関する。前記凹面鏡を使用することによって、凹面鏡の焦点に位置された、または焦点の近くで光軸上に投影される物体の画像が反射により生成される。
【0002】
さらに、本発明は、3次元物体の画像を再生するための再生デバイスであって、2次元グラフィックを表示するための平坦な投影面を備え、電子ファイルを復号するための手段と、投影面上にグラフィックを表示させるための手段とが設けられる再生デバイスに関する。
【0003】
さらに、本発明は、本発明による記録デバイスおよび再生デバイスを備えるシステムと、本発明による記録デバイスおよび/または再生デバイスを備える移動無線端末デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
特許文献1から、2つの放物面鏡を逆向きに配設することによって物体の3次元再生を生成するための、2つの凹面鏡を備える光学装置が知られている。この過程で、3次元画像は、上下に重ねられた2つの放物面鏡を用いて生成される。鏡は、両方の鏡の焦点がそれぞれ向かい合う鏡の頂点に正確に位置されるように上下に位置する。
【0005】
この構成の欠点は、鏡を互いに直接向かい合わせて配設しなければならないことであり、したがって、任意の位置で3次元画像を生成および表示することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3647284号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、任意の位置で物体の3次元画像を生成して表示するための記録デバイス、再生デバイス、およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載のデバイスによって、請求項14に記載のデバイスによって、請求項27に記載のシステムによって、および請求項30に記載の移動無線端末デバイスによって達成される。有利な改良形態は、それぞれの従属請求項に示される。
【0009】
本発明の利点は、物体の3次元画像を、任意の距離にわたって伝送することができ、任意の位置で再生することができることである。利用分野の可能性としては、3次元テレビ電話や仮想世界などがある。
【0010】
物体の画像を記録するための記録デバイスであって、光軸と、光軸の周りで曲線を回転させることによって形成される1つの凹面鏡とを備え、前記凹面鏡を使用することによって、物体の画像が反射により生成され、物体は凹面鏡の焦点の近くで光軸上に位置する記録デバイスにおいて特に有利なのは、凹面鏡と物体の間に平坦な光スキャナ面が配設され、それにより、凹面鏡によって反射された光ビームが光スキャナ面上に物体の2次元投影を生成し、光スキャナ面が受光素子を備え、受光素子によって、2次元投影の入射光ビームはそれらの周波数および/または位相および/または大きさに関して捕捉され、捕捉された2次元投影を電子ファイルに符号化する手段が設けられることである。
【0011】
電子ファイルへの符号化とは、特に、入射光ビームの周波数および/または位相および/または大きさの情報に基づいたグラフィックファイルの生成、すなわち例えばベクトルグラフィックまたはピクセルグラフィックへの変換を意味するものと理解される。
【0012】
好ましくは、凹面鏡は放物面鏡である。そのような放物面鏡は、光軸の周りで回転される放物線によって記述され、平行な入射ビームが焦点に向けて集束するように反射される、または焦点から発するビームが車両のヘッドライトと同様に平行になるように反射されるという光学的特性を有する所定の焦点を備えることを特徴とする。
【0013】
記録デバイスの有利な実施形態では、凹面鏡、特に放物面鏡の幾何形状を少なくとも最小限変えることができ、すなわち放物面鏡は、鏡の断面を記述する放物線をわずかに横長または縦長にすることができるようにその形状を調整することができる。これは、少なくとも最小限の弾性を有する材料、例えばシリコーンから放物面鏡を形成し、鏡の凹形内面に反射材料をコーティングすることによって達成することができる。鏡に張力および圧力を及ぼすための手段を鏡の凸形の裏面に提供することができ、それに対応して鏡を縦長または横長にすることができる。鏡の放物線形状の変更は、鏡の焦点を調整することができる、または少なくとも比較的小さい範囲内で調整可能であるという利点を有する。これにより、物体を合焦させることができ、すなわち物体の画像の鮮明さを調整することができる。
【0014】
好ましくは、焦点を自動的に変更するための手段、すなわち光軸に沿った鏡の放物線形状を変更することによって物体またはその投影の幾何学的位置に焦点を移動させるための手段を提供することができる。この過程で、前記手段は、記録デバイスに対する物体の距離を求める測定デバイスを備えることができる。また、この手段は制御ユニットを備えることができ、制御ユニットは、距離測定を処理し、鏡の放物線形状に対する調整を自動的に行う。
【0015】
好ましくは、光センサ面は、光軸に垂直に配設される。スキャナ面、または光スキャナ面を形成する記録面のそのような平坦な構成および/または光軸に垂直な位置合わせにより、歪みを防止することができる。
【0016】
好ましくは、光スキャナ面は光軸と同心の開口を備える。特に、同心開口は、透明フィルムまたはディスクなどによって覆う、すなわち封止することができる。これは、汚れの侵入からデバイスを保護する。
【0017】
有利な様式では、光スキャナ面に関して、開口の直径を変更するための手段を提供することができる。これは、物体の合焦を可能にする。例えば、光学機器および写真で知られているものと同様の絞り開口をこの目的で使用することができる。開口は、手動または自動で調整することができる。特に、この手段は、幅、すなわち直径、したがって物体の投影の鮮明さを自動調整するように適合させることができる。例えば、自動焦点調整の目的では、光スキャナ面上のデジタル化された投影を解析することができ、投影の鮮明さに関する値を得ることができ、鮮明さを高めるためにこの値に基づいて開口を調整することができる。
【0018】
好ましい実施形態では、凹面鏡または放物面鏡の焦点距離は、光軸に沿った鏡と光スキャナ面の間の距離よりも大きい。これにより、撮像すべき物体のサイズ、および鮮明さ、すなわち記録または画像の質に関して、幾何的関係の構築の面でより大きな自由度が得られる。
【0019】
レンズ系を提供することができ、このレンズ系により、光軸上に、特に凹面鏡の焦点に、または焦点の近くに物体の虚像が投影される。
【0020】
記録デバイスの有利な改良形態では、デバイスは、レンズ系を調整するための手段を備えることができ、それにより物体の虚像が厳密に凹面鏡の焦点に、または焦点の近くに投影される。これは、光軸に沿って、レンズ系の少なくとも1つのレンズを物体のより近くに、または凹面鏡のより近くに移動させることによって実現することができる。
【0021】
好ましくは、光スキャナ面は、等距離で配設された受光素子を備える。入射光ビームの周波数および/または位相および/または大きさに関する情報が、あらゆる受光素子で得られる。受光素子は、光スキャナ面のサンプリング点またはセンサ画素を形成するセンサである。
【0022】
好ましくは、符号化された電子ファイルを記憶するための記憶媒体が記録デバイスに設けられる。
【0023】
好ましい実施形態では、記録デバイスは、符号化された電子ファイルを特にネットワークを介して受信機に送信するための手段を備える。したがって、記録デバイスは、例えばいわゆるウェブカメラと同様のハウジング内、または移動電話などの移動無線端末内に独立ユニットとして設計することができ、インターネットや移動無線ネットワークなどのネットワークに組み込むことができ、個々の画像またはビデオシーケンスまたは連続するビデオ録画を記録し、それらをデジタル符号化し、それらをネットワークを介して受信機に送信して再生することができる。代わりに、またはそれに加えて、さらなる処理または後の再生のために、電子画像ファイルまたはビデオファイルなどの形態での記憶が可能である。
【0024】
3次元物体の画像を再生するための本発明による再生デバイスであって、2次元グラフィックを表示するための平坦な投影面を備え、電子ファイルを復号するための手段と、電子ファイルに符号化された光ビームに関する周波数および/または位相および/または大きさの情報に従って投影面上にグラフィックを表示させるための手段とが設けられる再生デバイスにおいて特に有利なことは、投影面が、1つの凹面鏡と物体の生成される3次元投影との間に配設され、凹面鏡が、光軸の周りで曲線を回転させることによって形成され、前記凹面鏡を使用することによって、投影面から放出された光ビームの反射により、凹面鏡の焦点の近くで光軸上に位置する物体の3次元投影が生成されることである。
【0025】
好ましくは、凹面鏡は、記録デバイスに関して説明した鏡と同一に設計された放物面鏡である。投影面から放出される光ビームは、実質的に平行であることがある。
【0026】
好ましくは、投影面は光軸に垂直に配設される。投影面、すなわち2次元画像を表示する面のそのような平坦な構成および/または光軸に垂直な位置合わせにより、物体の3次元画像の再生時の歪みを防止することができる。
【0027】
好ましくは、再生デバイスの投影面は光軸と同心の開口を備える。特に、同心開口は、透明フィルムまたはディスクなどによって覆う、すなわち封止することができる。これは、汚れの侵入からデバイスを保護する。また、投影面は、開口の直径を変えるための手段を備えることもでき、前記手段は、光スキャナ面がその開口の直径を変えるために備えるものと同一に設計される。また、投影面の開口を手動または自動で調整するための手段は、光スキャナ面の開口に関して使用されるのと同じ手段でよい。
【0028】
凹面鏡または放物面鏡の焦点距離を、光軸に沿った鏡と投影面の距離よりも大きくすることが特に好ましい。
【0029】
これにより、やはり、撮像すべき物体のサイズ、および鮮明さ、すなわち画像の質に関して、幾何的関係の構築の面でより大きな自由度が得られる。特に、放物面鏡の焦点を鏡と投影面の間の中間空間内ではなく外部に移動させることができ、それにより、生成される物体の3次元表現を観察者が外部から容易に観察することができる。
【0030】
好ましくは、再生デバイスの投影面は、等距離でおよび/または一様に分布されて配設された発光素子を備える。
【0031】
再生デバイスの投影面が、発光素子、特に等距離で配設された発光素子を備えることが特に好ましく、発光素子は、低散乱で投影面に垂直な光を放射し、ここで発光素子は特にレーザであり、これはレーザが可視範囲内の様々な色の非常に集束したビームを放出することができるからである。
【0032】
好ましくは、電子ファイルを特にグラフィックやビデオシーケンスなどのデジタル化として記憶するための記憶媒体が再生デバイスに設けられる。
【0033】
本発明に関連して、用語「ファイル」または「グラフィックファイル」は、デジタル化された画像を意味するが、デジタル化されたビデオシーケンスなども同様に意味することがある。本発明は、静止画像の記録、送信、および再生に限定されず、任意の3次元物体や人物などを静止画像またはビデオとして記録、送信、および再生するのにも適している。
【0034】
好ましくは、電子ファイルを、特にネットワークを介して、特にグラフィックおよび/またはビデオシーケンスのデジタル化として受信するための手段が再生デバイスに設けられる。
【0035】
3次元物体の画像を記録および再生するための記録・再生システムにおいて、記録デバイスおよび再生デバイスが本発明に従って設けられ、前記デバイスは上述したタイプのものである。
【0036】
記録・再生システムの記録デバイスと再生デバイスの凹面鏡はどちらも、上述したように放物面鏡、特に同一の焦点距離の放物面鏡であることが好ましい。
【0037】
あるいは、異なる焦点距離の鏡または放物面鏡を提供することもできる。適切な選択および組合せにより、物体の画像の拡大または縮小が可能である。
【0038】
好ましくは、記録・再生システムでは、記録デバイスの光軸に沿った凹面鏡から光スキャナ面までの距離は、再生デバイスの光軸に沿った凹面鏡から投影面への距離に等しい。
【0039】
走査面(記録デバイスの投影面)および表示面(再生デバイスの投影面)に対する鏡の配置を変えること、同一の焦点距離または異なる焦点距離を選択すること、鏡の形状を変更することによって焦点距離を変えること、レンズ系の少なくとも1つのレンズを調整すること、スキャナおよび/または表示面の開口の開口幅を変えること、および/または画像ファイルを電子的に編集することによって、多くの方法で、表示される画像の質に影響を及ぼすことができる。特に、拡大、縮小、歪曲、横長、または縦長といった処理を行うことができ、それにより多様な視覚効果を生み出すことができ、機械的にまたはデジタル方式で画像修正を行うことができる。
【0040】
したがって、本発明は、3次元画像を記録、遠隔送信(遠隔伝送)、および再生するための方法および対応するデバイスを提供する。
【0041】
この過程で、送信機側で放物面鏡または凹面鏡を使用することによって、光軸または鏡の焦点に位置された物体、または鏡の焦点にその3次元画像が投影される物体の2次元画像が、放物面鏡の回転軸に垂直に配設された平坦なスキャナプレート上に投影され、前記プレートは、回転軸と同心の開口を備え、可視周波数範囲での等距離の受光素子が一様に設けられ、前記2次元投影のデジタル符号化を行う。
【0042】
2次元投影のこの符号化は、電話接続、移動電話ネットワーク、またはインターネットなどのコンピュータネットワークなど、デジタル送信ネットワークを介して受信機に送信され、受信機は、可視周波数範囲内での等距離の発光素子を一様に設けられた投影プレートを操作する。プレートは、符号化に従って、送信側の2次元投影の十分に高精度の再生が実現されるように操作される。
【0043】
受信機側では、2次元投影から、送信機側と同じ焦点距離または異なる焦点距離を有する放物面鏡または凹面鏡を使用して物体の3次元画像が生成され、前記鏡の回転軸は、放出光の方向で、投影プレートに垂直に向けられ、投影プレートは、好ましくは回転軸と同心の開口を備える。
【0044】
送信機側での受光素子と受信機側での発光素子との離間距離は、受信機側で物体の十分に高精度の3次元画像が得られるように選択しなければならない。この過程で、以下のことが当てはまる。すなわち、この距離が短ければ短いほど、3次元画像の精度が高くなる。
【0045】
この過程で、スキャナプレート(光スキャナ面)および投影プレート(投影面)の同心開口は、受信機側で十分に鮮明な3次元画像が得られるように選択しなければならない。この過程で、以下のことが当てはまる。すなわち、開口が小さければ小さいほど、画像が鮮明になる。
【0046】
発光素子は、そこから放出される光が十分に低い散乱度を有し、投影プレートに垂直にのみ放出されるように適合しなければならない。特にここでレーザを使用することができ、これはレーザが上記の要件を満たし、可視範囲内の様々な色を生成することができるからである。
【0047】
本発明による方法および対応するデバイスは、3次元画像の記録、遠隔送信、および再生を可能にする。
【0048】
放物面鏡または凹面鏡を用いて、物体の2次元投影が生成される。この投影は符号化され、任意の距離にある位置に送信される。そこで、この投影が符号化から再生され、放物面鏡または凹面鏡を使用して集束されて、物体の3次元画像を形成する。
【0049】
本発明は、一点、すなわち焦点に集束するように入射光線を反射する放物面鏡または凹面鏡の特性に基づく。逆に、焦点から放出される光線は、反射された光線が鏡の回転軸に平行に進むように反射される。ここで、一方の鏡の焦点が他方の鏡の頂点と一致するように2つの同一の放物面鏡が上下に配置される場合、一方の鏡の頂点にある十分に小さい物体が二重反射され、それにより、他方の鏡の頂点に物体の3次元画像が生じる。
【0050】
本発明の核心は、ここで、本発明による方法を使用して2つの放物面鏡を互いに空間的に分離することができることであり、それにより、物体の3次元画像を任意の距離の位置で生成することができる。このために、2次元画像を記録して符号化し、送信するための既知の方法を使用することができる。
【0051】
例えば、本発明による記録デバイスおよび/または本発明による再生デバイスを移動電話に組み込むことができ、それにより、記録デバイスを備える移動電話を使用して、ある位置で物体のデジタル3次元画像を記録することができる。次いで、画像をファイルとして、移動無線通信ネットワークを介して、別の位置にある再生デバイスを備える別の移動電話に送信することができ、再生デバイスを使用して画像をそこに表示することができる。また、両方の機能、すなわち記録と再生を利用することができるように、移動電話が記録デバイスと再生デバイスの両方を備えることもできる。
【0052】
この方法は、以下のように機能する。すなわち、放物面鏡を使用して、記録デバイスの放物面鏡の焦点に位置された十分に小さい物体の2次元画像が、放物面鏡の回転軸に垂直に配設された平坦なスキャナプレート上に投影される。2次元投影は、例えば、既知の方法を使用して符号化され、任意の距離にある位置に送信される。そこで、2次元投影は、発光投影プレートを使用して十分な精度で再生される。この過程で、放物面鏡の回転軸に平行に、および回転軸の方向に、十分な精度で放射する光線を生成しなければならない。それにより、放物面鏡での反射によって、送信機側での物体の3次元画像が生成される。
【0053】
2次元画像のための走査および符号化方法は、例えば以下のものを含む。JPEGファイル交換形式(JFIF)、「ISO/IEC IS 10918−1 / ITU−T Recommendation T.81」、Windows(登録商標)ビットマップ形式(ビットマップ画像(BMP)とも呼ばれる)、GIF(グラフィックス交換形式)、または特にまたビデオシーケンスに関する同様の符号化方法。データ送信のために、ストリーミングビデオなど2次元画像に関する送信方法を使用することができる。受信機側での表示、すなわち再生表示は、VGA(ビデオグラフィックスアレイ)など2次元画像を表示するためのディスプレイを使用して行うことができる。また、低レベルの散乱で一方向の光を生成するためのレーザ技術を使用することもできる。
【0054】
本発明の例示的実施形態を図面に示し、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】記録デバイスの断面図である。
図2図1による記録デバイスのスキャナまたは光スキャナ面の上面図である。
図3】再生デバイスの断面図である。
図4図3による再生デバイスの投影面または表示面の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明によれば、システムは、図1および図3による送信ユニットおよび受信ユニットからなる。
【0057】
送信機側では、鏡の焦点11に位置された、または焦点11の近くに位置された物体の2次元画像が、凹面鏡を使用して平坦なスキャナプレート17上に投影される。この凹面鏡は、図示される例示的実施形態では放物面鏡10の形状である。あるいは、レンズ系によって、物体の3次元画像が鏡10の焦点11に投影される。
【0058】
放物面鏡10の光学的特性により、物体12から発した光ビーム13、14は、鏡によって平行ビーム15、16として反射され、光スキャナ面17によって記録される。
【0059】
スキャナプレートまたは光スキャナ面17は、放物面鏡10の回転軸に対して垂直に配設される。回転軸1は、放物面鏡10の光軸を成す。図1および図2に示されるように、光スキャナ面17は、回転軸1と同心の開口を備える。これにより、焦点11を外部に位置させることができるようになり、焦点11の近くに物体12を配置するために外部から焦点11に手が届くようになる。図2に示されるように、スキャナ面17は、可視周波数範囲内での等距離の受光素子を一様に設けられる。2次元投影もデジタル符号化される。
【0060】
2次元投影のこの符号化は、デジタル伝送ネットワークを介して図3による受信機に送信され、受信機は、可視周波数範囲内での等距離の発光素子29を一様に設けられた投影プレート27(投影面27の可能な実施形態は図4に示される)を、送信側での2次元投影の十分に高精度の再生が達成されるように操作する。
【0061】
受信側では、2次元投影から、凹面鏡20を使用して物体12の3次元画像22が生成される。この凹面鏡20は、図示される例示的実施形態では、送信側での焦点距離と同じまたは異なる焦点距離を有する放物面鏡20である。放物面鏡の光軸に対応する鏡20の回転軸2は、放出光の方向で、投影プレート27に垂直に向けられ、投影プレート27は、回転軸2と同心の開口28を備える。投影面27は、図4に上面図で示されている。
【0062】
送信機側での受光素子19と受信機側での発光素子29との離間距離は、受信機側で物体12の十分に高精度の3次元画像22が得られるように選択しなければならない。この過程で、以下のことが当てはまる。すなわち、この距離が短ければ短いほど、3次元画像22の精度が高くなる。
【0063】
この過程で、スキャナプレート17(光スキャナ面)の同心開口18、および投影プレート27(投影面)の同心開口28は、受信機側で十分に鮮明な3次元画像22が生じるように選択しなければならない。この過程で、以下のことが当てはまる。すなわち、開口18が小さければ小さいほど、画像22が鮮明になる。
【0064】
発光素子29は、そこから放出される光が十分に低い散乱度を有し、投影プレート27に垂直にのみ放出されるように適合しなければならない。特にここでレーザを使用することができ、これはレーザが上記の要件を満たし、可視範囲内の様々な色を生成することができるからである。
【0065】
図4にはビーム経路が示されている。放物面鏡20の光学的特性により、投影機面27の発光素子29から発せられた垂直な光ビーム25、26が、放物面鏡20の焦点21に向けて反射され、このようにして焦点21の近くに3次元画像22を生成する。鏡20によって反射されたビーム23、24は、図3にも示される。すなわち、発光素子29は、放物面鏡20の光軸2に平行にビーム25、26を放射する。これらのビームは、鏡20によって、ビーム23、24の形態で焦点21に集束される。
【0066】
その結果、本発明によれば、送信機側での放物面鏡10または凹面鏡の使用によって、鏡10の焦点11に位置された物体12の2次元画像が、放物面鏡10の回転軸1に垂直に配設された平坦なスキャナプレート17上に投影され、前記プレートは、図1による回転軸1と同心の開口18を備え、図2に示されるように可視周波数範囲内での等距離の受光素子19を一様に設けられ、前記2次元投影のデジタル符号化を行う。
【0067】
図4に従って可視周波数範囲内での等距離の発光素子29を一様に設けられた投影プレート27は、送信ユニットによって生成された符号化に従って、送信側からの2次元投影の十分に高精度の再生が実現されるように操作され、また受信側で、2次元投影から、送信側の鏡と同じ焦点距離または異なる焦点距離を有する放物面鏡20または凹面鏡を使用して物体12の3次元画像22が生成されるように操作され、前記鏡の回転軸2は、放出光の方向で、投影プレート27に垂直であり、投影プレート27は、図4に示されるように回転軸2と同心の開口28を備える。
【0068】
したがって、本発明はまた、コンピュータシミュレーションにより現実の物体の2次元投影を計算し、例えば、現実の物体に関して、図1による記録デバイスを使用して光スキャナ面(スキャナ面)上に2次元投影が得られ、次いで、このシミュレートされた2次元投影を、図3および図4による再生デバイスを使用して表示することができるようにする。
【0069】
これにより、仮想物体の3次元画像を生成することができるようになる。これは、例えば、試作品を製造することなく3次元画像を生成および評価することができるので、製品開発において有利に利用することができる。
【0070】
記録側での光スキャナプレートまたはスキャナプレート17の同心開口18、28、および再生側でのディスプレイまたは投影面27は、光学デバイスに塵または汚れが侵入するのを防止するために透明ディスクまたは透明フィルムなどによって覆うことができる。塵または汚れが侵入すると、記録および再生の質に悪影響を及ぼすおそれがある。
図1
図2
図3
図4