特許第5669775号(P5669775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669775
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/06 20060101AFI20150129BHJP
   H01H 9/04 20060101ALI20150129BHJP
   H01H 23/00 20060101ALN20150129BHJP
【FI】
   H01H23/06
   H01H9/04 B
   !H01H23/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-42514(P2012-42514)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-178973(P2013-178973A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】森 幸治
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄一
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−221929(JP,A)
【文献】 実開昭60−168232(JP,U)
【文献】 実開平01−092741(JP,U)
【文献】 特開2010−199015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00− 9/28
H01H 23/00−23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接点を収納する容器と、
前記容器の上部に設けられた矩形枠状の筒と、
前記筒の上端の開口を塞ぎ、前記筒に軸で揺動可能に支持され、揺動操作することにより前記接点を開閉する操作ノブと、
前記操作ノブの揺動面に対して垂直な、前記筒の両方の側壁側に、該側壁の横幅に渡ってそれぞれ設けられたプランジャと、を備え、
前記各プランジャは、前記筒の側壁とこれに対向する前記操作ノブの側壁のうち、一方から突出して、前記操作ノブの揺動状態に関わらず、他方に横幅に渡って線状に弾性接触し、遮水壁として機能する、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置において、
前記操作ノブの揺動面に対して平行な前記筒の側壁と前記操作ノブの側壁とは、該筒の側壁の横幅に渡って線状に接する、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、
前記各プランジャは、前記軸の水平中心線上に平行に設けられていて、
一方の前記プランジャの接触力と、他方の前記プランジャの接触力の、それぞれの作用方向が反対になっている、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、
前記各プランジャが弾性接触する前記筒の側壁または前記操作ノブの側壁に、前記操作ノブの揺動に伴って前記プランジャと擦れることにより、節度感を生じさせる節度部を設け、前記各プランジャが、遮水壁および節度子として機能する、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置において、
前記操作ノブは、前記筒に上側から覆い被さっていて、
前記各プランジャは、前記操作ノブの揺動面に対して垂直な、前記筒の側壁の外側面から突出して、該外側面に対向する前記操作ノブの側壁の内側面に線状に弾性接触する、ことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスイッチ装置において、
前記操作ノブが接触することにより、前記操作ノブの揺動量を制限する制限壁を設け、
前記操作ノブの前記制限壁に対する接触力と、前記プランジャの前記操作ノブに対する接触力の、それぞれの作用方向が反対になっている、ことを特徴とするスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ノブを操作することにより、接点が開閉するスイッチ装置の防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
操作ノブを操作することにより、接点が開閉するスイッチ装置には、操作フィーリングを向上させるため、操作ノブの操作時に節度感(クリック感)を生じさせる構造を備えたものがある。
【0003】
たとえば特許文献1では、スイッチボディーに操作ノブを揺動可能に取り付け、操作ノブの下方のスイッチボディー上面に、V字状の節度面部とストッパを設けている。また、操作ノブの下面から突出する筒部にコイルばねとボールを設けて、コイルばねによりボールを節度面部に弾性接触させている。操作ノブを揺動操作することにより、節度子が節度面部を摺動して、節度感が発生する。
【0004】
また、たとえば特許文献2では、容器(支持部材)内の支持体の壁部に斜めにカム面を設け、支持体に回転体を軸で揺動可能に支持させ、回転体の上方へ突出する突部に操作ノブを固定している。また、回転体の斜め下方へ突出する円筒状の付勢部に、コイルばねとホルダを設けて、コイルばねによりホルダの先端のボールをカム面に弾性接触させている。操作ノブと回転体を揺動操作することにより、ボールがカム面を摺動して、節度感が発生する。
【0005】
また、たとえば特許文献3では、矩形状の容器(ベース部)内に操作ノブ(トグル部)を配置して、操作ノブを容器にピンで揺動可能に支持させている。また、開口部を有するプレート状のクリック部材を、操作ノブの揺動面に対して垂直な容器の側壁と操作ノブの側面との間に連結している。さらに、操作ノブにコイルばねとボールを設けて、コイルばねによりボールをクリック部材に弾性接触させている。操作ノブを揺動操作することにより、ボールがクリック部材を摺動して、開口部に係合し、節度感が発生する。
【0006】
また、たとえば特許文献4では、矩形枠状の筒を容器(ケーシング)の上部に設け、該筒の上端の開口を塞ぐように、操作ノブを筒に軸で揺動可能に支持させている。また、操作ノブの揺動面に対して垂直な、筒の両方の側壁の傍に、板状の駆動部を設け、各駆動部の下端を作動板で支持し、各駆動部の上端を操作ノブの内側のリブに当接させている。さらに、作動板の下方に、接点を覆ったクリックゴムを設けている。操作ノブを揺動操作することにより、駆動部がリブに押下されて、作動板が弾性変形し、クリックゴムが座屈変形して、節度感が発生する。
【0007】
さらに、たとえば特許文献5では、容器(ハウジングカバー)の上部をシリコンゴム製のスイッチカバーで覆い、スイッチカバーの弾性撓み部で接点を覆っている。また、容器の上方にパネルを取り付け、パネルの取付孔の内側に操作ノブを軸で揺動可能に取り付けている。さらに、操作ノブの下方へ突出する両方の作動部を、スイッチカバーの弾性撓み部上に当接させている。操作ノブを揺動操作することにより、作動部が弾性撓み部を座屈変形させて、節度感が発生する。
【0008】
ところで、スイッチ装置の容器内には、電気的な接点や回路が設けられているため、水など(その他の液体を含む。)が浸入すると、接点や回路が短絡して誤動作したり、腐食や故障が発生したりする。
【0009】
たとえば、特許文献1のような構造では、操作ノブやスイッチボディーに水浸入防止策が講じられていないので、水を浴びると、水が容易に接点に到ってしまう。また、特許文献2のような構造では、水が、操作ノブと容器(支持部材)との間と、支持体の孔を通って、容器内に容易に浸入してしまう。また、特許文献3のような構造でも、水が、操作ノブと容器の端部壁との間から、容器内に容易に浸入してしまう。
【0010】
また、特許文献5のような構造では、水が、パネルと操作ノブの間から浸入した後、スイッチカバーを伝って流れ、容器の側面の合わせ目からハウジング内に浸入するおそれがある。
【0011】
一方、特許文献4のような構造では、筒の側壁が容器内への浸水を防ぐように機能する。しかしながら、操作ノブの揺動面に対して垂直な、筒の両方の側壁と操作ノブの両方の側壁との間には、操作ノブが揺動する際のスペースを確保するために、所定の間隔が設けられている。このため、水が、前記操作ノブの側壁と筒の側壁との間を上昇して、筒の側壁と駆動部との隙間や、駆動部の上端の段差と操作ノブのリブとの間を通って、容器内に浸入してしまう。
【0012】
特に、操作ノブが揺動するときには、駆動部と操作ノブの内面やリブが離間して、その間隔が大きくなって行くので、水が駆動部を越えて、筒の内側を通り、容器内に浸入するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−75128号公報
【特許文献2】特開2006−210221号公報
【特許文献3】特開2004−51089号公報
【特許文献4】特開2004−146069号公報
【特許文献5】特開平8−293222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の課題は、水などの液体を浴びても、操作ノブと筒との間から容器内へ液体が浸入するのを防止することができるスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によるスイッチ装置は、接点を収納する容器と、容器の上部に設けられた矩形枠状の筒と、筒の上端の開口を塞ぎ、筒に軸で揺動可能に支持され、揺動操作することにより接点を開閉する操作ノブと、操作ノブの揺動面に対して垂直な、筒の両方の側壁側に、該側壁の横幅に渡ってそれぞれ設けられたプランジャとを備える。各プランジャは、前記筒の側壁とこれに対向する操作ノブの側壁のうち、一方から突出して、操作ノブの揺動状態に関わらず、他方に横幅に渡って線状に弾性接触し、遮水壁として機能する。
【0016】
上記によると、操作ノブの揺動面に対して垂直な、操作ノブの両方の側壁と筒の両方の側壁との間にそれぞれ設けられたプランジャが、操作ノブと筒との間を通って筒の上端の開口へ到る水の浸入を遮断するので、水を浴びても、容器内への浸水を防止することができる。
【0017】
また、本発明では、上記スイッチ装置において、操作ノブの揺動面に対して平行な筒の側壁と操作ノブの側壁とは、該筒の側壁の横幅に渡って線状に接していてもよい。
【0018】
また、本発明では、上記スイッチ装置において、各プランジャは、前記軸の水平中心線上に平行に設けられていて、一方のプランジャの接触力と、他方のプランジャの接触力の、それぞれの作用方向が反対になっていてもよい。
【0019】
また、本発明では、上記スイッチ装置において、各プランジャが弾性接触する筒の側壁または操作ノブの側壁に、操作ノブの揺動に伴ってプランジャと擦れることにより、節度感を生じさせる節度部を設け、各プランジャが、遮水壁および節度子として機能するようにしてもよい。
【0020】
また、本発明では、上記スイッチ装置において、操作ノブは、筒に上側から覆い被さっていて、各プランジャは、操作ノブの揺動面に対して垂直な、筒の側壁の外側面から突出して、該外側面に対向する操作ノブの側壁の内側面に線状に弾性接触していてもよい。
【0021】
さらに、本発明では、上記スイッチ装置において、操作ノブが接触することにより、操作ノブの揺動量を制限する制限壁を設け、操作ノブの制限壁に対する接触力と、プランジャの操作ノブに対する接触力の、それぞれの作用方向が反対になっていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、水などの液体を浴びても、操作ノブと筒との間から容器内へ液体が浸入するのを防止できるスイッチ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態によるスイッチ装置の分解斜視図である。
図2図1のスイッチ装置の組立斜視図である。
図3図1のスイッチ装置の上面図である。
図4図1のスイッチ装置の側面図である。
図5図4のY−Y断面図である。
図6図1のスイッチ装置の筒近傍の斜視図である。
図7図3のX−X断面図である。
図8図1のスイッチ装置の操作ノブ近傍の拡大図である。
図9図1のスイッチ装置の接点の開閉状態を示した図である。
図10】他の実施形態を示した断面図である。
図11】他の実施形態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0025】
図1図4に示す、本発明の実施形態によるスイッチ装置100は、自動車のパワーウインドウシステムで用いられ、たとえば、助手席のドアに設置されたアームレスト(図示省略)に取り付けられる。スイッチ装置100には、ウインドウスイッチWとドアロックスイッチDとが設けられている。
【0026】
スイッチ装置100の容器10は、図1に示すように、ケース10aとカバー10bから構成されている。ケース10aの下側は開口していて、カバー10bを嵌め合わせることにより塞がれる。容器10内には、基板11、ライトガイド12、およびストライカ5が収納される。
【0027】
基板11には、複数の固定接点7a〜7e、LED(発光ダイオード)13、およびその他のスイッチやコネクタなどの電子部品(図示省略)が実装され、これらによって電気回路が形成されている。ストライカ5には、図9に示すように、板ばねから成る複数の可動接点6a〜6cが設けられている。
【0028】
図1に示すライトガイド12は、アクリル樹脂などの光透過性樹脂の成形品から成る。ライトガイド12は、LED13が発した光をウインドウスイッチWの表示部1eとドアロックスイッチDの表示部21e、21fまで導く。
【0029】
容器10の上部には、矩形枠状の筒2、22がケース10aと一体で設けられている。筒22の外側面に設けられた各軸22j(図1図3)を、ドアロックスイッチDの操作ノブ21の側面に設けられた各孔21g(図1図2、および図4)に嵌め込む。すると、図1図4に示すように、操作ノブ21が、筒22の上端の開口を塞ぎ、筒22に軸22jで揺動可能に支持される。
【0030】
筒2の内側面に設けられた各軸2j(図1図5、および図6)を、ウインドウスイッチWの操作ノブ1の内側に設けられた各孔1g(図5)に嵌め込む。すると、図5および図7などに示すように、操作ノブ1が、筒2の上端の開口2aを塞ぎ、筒2に軸2jで揺動可能に支持される。すなわち、操作ノブ1が筒2に上側から覆い被さるように取り付けられる。
【0031】
筒2の内側には、小円筒部2tが設けられている(図5図7)。小円筒部2tの内側には、ライトガイド12の突出部12aが貫通している。小円筒部2tの下端側の外周面には、ストライカ5の円弧部5b(図5図7、および図9)が係合されている。ストライカ5は、基板11上の固定接点7a〜7eの近傍に載置されている。
【0032】
操作ノブ1の内側には、レバー8が設けられている(図1図5図7、および図9)。レバー8は、筒2の内側を貫通している。レバー8の下端に設けられた凹部8aは、ストライカ5に設けられた凸部5aと係合している。
【0033】
操作ノブ1を、図7(a)および図9(a)に示す中立状態から、図7(b)〜(e)および図9(b)、(c)に示すように軸2jを中心に揺動操作すると、レバー8が傾斜して、ストライカ5を小円筒部2tの外周面に沿って回動させる。これにより、ストライカ5に設けられた可動接点6a〜6cが基板11上を摺動して、固定接点7a〜7eに対して接離する。すなわち、操作ノブ1を揺動操作することにより、可動接点6a〜6cと固定接点7a〜7eが開閉(OFF・ON)する。
【0034】
操作ノブ1の揺動面(図7では、軸2jの中心軸と直交する面)に対して垂直な、筒2の両方の側壁2f、2b側には、プランジャ3がそれぞれ設けられている。各プランジャ3は、樹脂で形成されていて、図6に示すように、筒2の側壁2f、2bの横幅に渡る幅を有している。すなわち、各プランジャ3の横幅は、側壁2f、2bの横幅以上になっている。
【0035】
筒2の側壁2f、2bには、図1および図6に示すように、横幅に渡って溝2kが設けられている。各溝2k内にコイルばね4とともにプランジャ3を挿入してから、前述したように筒2に操作ノブ1を取り付ける。すると、図7に示すように、各プランジャ3が、コイルばね4の弾性力により、筒2の側壁2f、2bから突出して、該側壁2f、2bに対向する操作ノブ1の側壁1f、1bに、横幅に渡って線状に弾性接触する。この弾性接触状態は、図7(a)〜(e)に示すように、操作ノブ1の揺動状態に関わらず保持される。これにより、各プランジャ3は、遮水壁として機能する。
【0036】
また、各プランジャ3は、軸2jの水平中心線L上に平行に設けられている。操作ノブ1に対する、一方のプランジャ3の接触力と他方のプランジャ3の接触力の作用方向は、図7(a)で太矢印で示すように、反対になっている。
【0037】
操作ノブ1の側壁1f、1bには、節度部1sがそれぞれ設けられている。節度部1sは、谷部1r、1vと山状の傾斜部1p、1qとで構成されている。操作ノブ1の揺動に伴って、プランジャ3と節度部1sとが擦れることにより、節度感(クリック感)が生じる。したがって、各プランジャ3は、節度子としても機能する。
【0038】
詳しくは、図7(a)に示すように、操作ノブ1が中立状態にあるときは、各プランジャ3の先端が各節度部1sの谷部1rに係合している。この中立状態から、図7(b)に示すように、操作ノブ1を前傾方向へ小さな角度で揺動操作すると、側壁2f、1f間のプランジャ3の先端が節度部1sの傾斜部1pに係合して、節度感が生じる。さらに、図7(c)に示すように、操作ノブ1を前傾方向へ大きな角度で揺動操作すると、側壁2f、1f間のプランジャ3の先端が節度部1sの谷部1vを越えて傾斜部1qに係合して、節度感が生じる。
【0039】
また、中立状態から、図7(d)に示すように、操作ノブ1を後傾方向へ小さな角度で揺動操作すると、側壁2b、1b間のプランジャ3の先端が節度部1sの傾斜部1pに係合して、節度感が生じる。さらに、図7(e)に示すように、操作ノブ1を後傾方向へ大きな角度で揺動操作すると、側壁2b、1b間のプランジャ3の先端が節度部1sの谷部1vを越えて傾斜部1qに係合して、節度感が生じる。
【0040】
操作ノブ1の揺動面に対して平行な筒2の側壁2m、2hの外側面には、図6に示すように、横幅に渡って凸部2nが設けられている。この凸部2nにより、図5に示すように、筒2の側壁2m、2hとこれに対向する操作ノブ1の側壁1m、1hとは、該筒2の側壁2m、2hの横幅に渡って線状に接している。また、筒2の側壁2m、2hと操作ノブ1の側壁1m、1hの間には、防水用のグリスが塗布されている(図示省略)。
【0041】
図2図4、および図8などに示すように、操作ノブ1の側壁1m、1hの下端には、凹部1zが設けられている。筒2の側壁2m、2hの外側面の下端には、図6および図8に示すように、凸状の制限壁2zが設けられている。制限壁2zの上部は、凹部1z内に入り込んでいる。
【0042】
図8(a)に示す中立状態から、図8(b)および(c)に示すように、操作ノブ1を揺動操作すると、操作ノブ1の凹部1zの側端面が制限壁2zに接触し、操作ノブ1の揺動量が制限される。この際、操作ノブ1の制限壁2zに対する接触力と、プランジャ3の操作ノブ1の節度部1sに対する接触力の作用方向は、太矢印で示すように、反対になっている。
【0043】
上記実施形態によると、操作ノブ1の揺動面に対して垂直な、筒2の両方の側壁2f、2b側に、該側壁2f、2bの横幅に渡ってプランジャ3がそれぞれ設けられている。また、各プランジャ3は、筒2の側壁2f、2bから突出して、操作ノブ1の揺動状態に関わらず、側壁2f、2bに対向する操作ノブ1の側壁1f、1bに横幅に渡って線状に弾性接触している。このため、操作ノブ1の側壁1f、1bと筒2の側壁2f、2bとの間を通って、筒2の上端の開口2aへ到る水の浸入が、プランジャ3により遮断される。これにより、スイッチ装置100が水を浴びても、容器10内への浸水を防止することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、操作ノブ1の揺動面に対して平行な筒2の側壁2m、2hと操作ノブ1の側壁1m、1hとが、凸部2nにより側壁2m、2hの横幅に渡って線状に接している。このため、筒2の側壁2m、2hと操作ノブ1の側壁1m、1hとの間を通って、筒2の上端の開口2aへ到る水の浸入も遮断することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、各プランジャ3を軸2jの水平中心線L上に平行に設けて、一方のプランジャ3の接触力と他方のプランジャ3の接触力の作用方向を反対にしている。これにより、節度感を得るための操作ノブ1の揺動量が少なくて済む。このため、操作ノブ1や筒2の高さを低くして、スイッチ装置100の低背化を図りつつ、プランジャ3により容器10内への浸水を防止することができる。また、両方のプランジャ3の接触力が打ち消しあって、バランスが良くなり、操作ノブ1の操作性に影響を与えないようにすることができる。さらに、操作ノブ1の操作性を確保するための、各部の設計も容易になる。
【0046】
また、上記実施形態では、各プランジャ3が弾性接触する操作ノブ1の側壁1f、1bに節度部1sを設けている。このため、操作ノブ1の揺動操作時に節度感を発生させて、操作フィーリングを向上させつつ、操作解除時に操作ノブ1を中立状態に復帰させることができる。また、プランジャ3が遮水壁と節度子の両機能を併せ持つことから、従来のように筒や容器の内部空間に節度部や節度子を設ける必要がないので、筒2や容器10の内部空間を別途有効利用することができる。
【0047】
具体的には、上記実施形態では、筒2の内部にライトガイド12やレバー8を設け、近傍の容器10の内部にストライカ5や接点6a〜6c、7a〜7eを設けている。このため、部品が密集して、スイッチ装置100を小型化することができる。また、ドアロックスイッチDでは、軸22jと孔21gが外側に露出した外嵌合構造で、操作ノブ21を筒22に取り付けているが、ウインドウスイッチWでは、軸2jと孔1gが筒2と操作ノブ1の内側に設けられた内嵌合構造で、操作ノブ1を筒2に取り付けている。このため、操作ノブ1のクラックの発生や、操作ノブ1の側壁1m、1hと筒2の側壁2m、2hの間に塗布したグリスの滲みの発生を抑制することができる。
【0048】
また、上記実施形態では、筒2の上側から操作ノブ1を覆い被せ、各プランジャ3を、筒2の側壁2f、2bの外側面から突出させて、操作ノブ1の側壁1f、1bの内側面に線状に弾性接触させている。このため、操作ノブ1の揺動面と平行な方向の操作ノブ1や筒2の幅を小さくすることができる。
【0049】
さらに、上記実施形態では、操作ノブ1の制限壁2zに対する接触力と、プランジャ3の操作ノブ1に対する接触力の、それぞれの作用方向を反対にしている。このため、操作ノブ1の制限壁2zに対する接触力とプランジャ3の操作ノブ1に対する接触力とが打ち消し合って、操作ノブ1の揺動操作時に、操作ノブ1が制限壁2zに衝突して発生する衝突音を低減することができる。
【0050】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、各プランジャ3を、操作ノブ1の揺動面に対して垂直な、筒2の側壁2f、2bから突出させて、操作ノブ1の側壁1f、1bに線状に弾性接触させる例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。
【0051】
たとえば、図10に示すように、各プランジャ3を、操作ノブ1の揺動面に対して垂直な、操作ノブ1の側壁1f、1bの内側面から突出させて、筒2の側壁2f、2bの外側面に線状に弾性接触させるようにしてもよい。この場合、筒2の側壁2f、2bの外側面に節度部1sを設ければ、操作ノブ1の揺動操作時に節度感を発生させることができる。
【0052】
また、たとえば、図11に示すように、各プランジャ3を、操作ノブ1の揺動面に対して垂直な、操作ノブ1の側壁1f、1bの外側面から突出させて、筒2の側壁2f、2bの内側面に線状に弾性接触させるようにしてもよい。また、プランジャ3を軸2jの水平中心線Lから外れた位置に設けるようにしてもよい。
【0053】
また、プランジャ3を軸2jの水平中心線Lに対して斜めに設けるようにしてもよい。さらに、一方のプランジャ3を、操作ノブ1の側壁1f、1bから突出させて、筒2の側壁2f、2bに線状に弾性接触させ、他方のプランジャ3を、筒2の側壁2f、2bから突出させて、操作ノブ1の側壁1f、1bに線状に弾性接触させるようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、操作ノブ1の側壁1f、1bに節度部1sを設けた例を示したが、節度部1sを省略してもよい。すなわち、プランジャ3を遮水壁としてのみ用いてもよい。この場合は、コイルばね4を省略し、プランジャ3をゴム等の弾性材料で形成して、プランジャ3をそれ自身の弾性力で、操作ノブ1の側壁1f、1bに弾性接触させてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、操作ノブ1の揺動面に対して平行な筒2の側壁2m、2hと操作ノブ1の側壁1m、1hとを、凸部2nにより側壁2m、2hの横幅に渡って線状に接触させた例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、筒2の側壁2m、2hと操作ノブ1の側壁1m、1hとを面接触させて、局所的に線接触する部分を形成してもよい。
【0056】
さらに、上記実施形態では、パワーウインドウシステムで使用されるスイッチ装置100のウインドウスイッチWに本発明を適用した例を示したが、本発明はドアロックスイッチDに対しても適用することができる。また、車載以外の用途に用いられるスイッチ装置にも、本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 操作ノブ
1b、1f 操作ノブの揺動面に対して垂直な操作ノブの側壁
1h、1m 操作ノブの揺動面に対して平行な操作ノブの側壁
1s 節度部
2 筒
2a 筒の上端の開口
2b、2f 操作ノブの揺動面に対して垂直な筒の側壁
2z 制限壁
2h、2m 操作ノブの揺動面に対して平行な筒の側壁
2j 軸
3 プランジャ
6a、6b、6c 可動接点
7a、7b、7c、7d、7e 固定接点
10 容器
100 スイッチ装置
L 軸の水平中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11