(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669819
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】浚渫船が抽出した浚渫物を処理するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
E02F 3/94 20060101AFI20150129BHJP
E02F 3/88 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
E02F3/94 B
E02F3/88 E
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-500204(P2012-500204)
(86)(22)【出願日】2010年3月15日
(65)【公表番号】特表2012-520406(P2012-520406A)
(43)【公表日】2012年9月6日
(86)【国際出願番号】EP2010053288
(87)【国際公開番号】WO2010106015
(87)【国際公開日】20100923
【審査請求日】2013年2月21日
(31)【優先権主張番号】2009/0158
(32)【優先日】2009年3月16日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】505458599
【氏名又は名称】ドレッジング・インターナショナル・ナムローゼ・フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】DREDGING INTERNATIONAL N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダイク,ステファン
【審査官】
須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−323498(JP,A)
【文献】
特開2002−227238(JP,A)
【文献】
特開2001−276898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/94
E02F 3/88
E02F 7/00
E21C 50/00
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浚渫船が抽出した浚渫物を処理する方法であって、
該浚渫物が浚渫船から少なくとも1つの遠心分離器へ、少なくとも6000m3/時間のほぼ一定の流速で供給され、
上記浚渫物の質量密度が、水流を設け、制御しながらこの水流に浚渫物を供給することによって、適切な質量密度に調整され、
この遠心分離器が浚渫物を湿った成分と乾いた成分とに分離し、
少なくともこの乾いた成分が収集され、重力式分離器へ供給され、
この重力式分離器が、収集された乾いた成分を、この乾いた成分に対して相対的に乾いた成分と相対的に湿った成分とにさらに分離し、
少なくとも上記相対的に乾いた成分が、少なくとも50000t(トン)の浚渫物に含まれる相対的に乾いた成分の量を収納するように構成された輸送船に収集される方法。
【請求項2】
上記浚渫物が、遠心分離器へ供給される前に適切な質量密度に調整される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記ほぼ一定の流速が、少なくとも9000m3/時間である請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記ほぼ一定の流速が、少なくとも12000m3/時間である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記遠心分離器が液体サイクロンを備えている請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
上記遠心分離器がマルチサイクロンを備えている請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記重力式分離器が、収集された乾いた成分を振動させ、重力の影響下で相対的に乾いた成分と相対的に湿った成分とに分離する排水スクリーンを備えている請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
上記輸送船が、少なくとも100000t(トン)、より好ましくは少なくとも150000t、もっとも好ましくは少なくとも200000tの浚渫物に含まれる相対的に乾いた成分の量を収納するのに適している請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記相対的に乾いた成分が、最大20重量%、より好ましくは最大15重量%の水分を含んでいる請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
浚渫物を処理するための装置および浚渫船を含むアセンブリであって、
該装置が、
処理に供する浚渫物の供給部と、乾いた成分の放出部とを備えた、浚渫物を湿った成分と乾いた成分とに分離するのに適した少なくとも1つの遠心分離器と、
上記浚渫物を上記浚渫船から上記少なくとも1つの遠心分離器へ、少なくとも6000m3/時間のほぼ一定の流速で供給する手段と、
水流を設け、制御しながらこの水流に上記浚渫物を供給することによって、上記浚渫物の質量密度を適切な質量密度に調整する手段と、
上記遠心分離器の放出部に接続され、上記乾いた成分を、この乾いた成分に対して相対的に乾いた成分と相対的に湿った成分とに分離するのに適した少なくとも1つの重力式分離器との組み合わせを備え、
上記相対的に乾いた成分を放出するための放出手段と、
上記重力式分離器の放出手段に接続され、少なくとも50000tの浚渫物に含まれる相対的に乾いた成分の量を収納するように構成された輸送船とを備えているアセンブリ。
【請求項11】
上記装置が浚渫船またはポンツーンに設置される請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
上記装置が上記輸送船に設置される請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項13】
上記相対的に乾いた成分の船倉への放出が放出手段に干渉せずに行われるように、上記装置が上記輸送船の船倉に対して相対的な位置に設置される請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
大量の浚渫物を抽出領域から、遠方に位置する回収領域まで輸送する方法であって、
浚渫船より大きな寸法を有し、大量の浚渫物を輸送可能な状態で収納するのに適した少なくとも1つの航洋輸送船を該抽出領域の近くに停泊させるステップと、
少なくとも1つの浚渫船を用いて浚渫物を抽出するステップと、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法を適用することによって、浚渫物を輸送可能な状態にするステップと、
少なくとも該相対的に乾いた成分を輸送船に収集するステップと、
該相対的に乾いた成分を、輸送船を用いて該回収領域まで輸送するステップと、
該輸送船を回収領域において停泊させるステップと、
該相対的に乾いた成分を、回収領域において輸送船から降ろすステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、浚渫船が抽出した浚渫物を処理するための方法および装置に関する。本発明は、さらに、当該装置を装備した船舶に関連する。本発明は、同様に、大量の浚渫物を抽出領域から、遠方に位置する回収領域まで輸送する方法に関連し、具体的には、鉱石を含有する大量の浚渫物を抽出領域から、遠方に位置する回収領域または荷降ろし場所まで輸送することによって、大量の鉱石を抽出する方法に関連する。
【0002】
世界の各地で建築用地が不足している。例えば、大部分を水に囲まれたシンガポールおよびその周辺において、このような状況が見られる。このような地域では、土砂を建築予定地またはその周囲の水域に放出することによって建築用地を創生することが普通である。土砂は、通常ここでは周囲の入海、入り江、水路、および/または外洋の底から、目的に適した浚渫機を用いて抽出される。この際、浚渫した物は、その機能(例えば建築用地造成)に適した浚渫物にするために、荷降ろし後に処理しなければならないことも多い。
【0003】
ここで大きな問題が2つ発生する。通常の浚渫方法が費用対効果が良く技術的に実施可能であるのは、浚渫地が荷降ろし地点から大して離れていない場合に限られることがわかっている。しかしながら、荷降ろし地点から比較的短い距離で十分な土砂を見つけることは、ますます困難になっている。したがって、大量の浚渫物を、抽出領域から、遠方に位置する回収領域(または荷降ろし地点)まで費用対効果が良い態様で輸送する方法が必要とされている。もう1つの問題は、通常の方法では、浚渫物は陸上に降ろし、そして、所望であれば処理される。ただし、陸上の保管容量は限定されており、上述のシンガポールの場合のように、大部分を水に囲まれた地域では特に限定されている。
英国特許第692668号明細書には、浚渫物を回収するためのポンプを備えた吸引型浚渫機について記載されている。このポンプの排出側は、浚渫物を乾燥させるために、互いに並列に設置された複数のサイクロンに接続されている。これらのサイクロンはポンプシステムの一部形成するが、適切に機能するためには比較的小さな容量を有していなければならない。
米国特許出願公開第2004/0181113号明細書には、河川から浚渫した汚泥中に存在する危険な化学物質を化学的に変化させる高温高圧法について記載されている。浚渫した汚泥は、遠心分離、濾過、圧縮などの任意の方法で固体含有率が50%(推定値)になるまで脱水される。次に、固体ストリームを複数の遠心分離器に通して、固体ストリームから重金属を除去する。そして、固体ストリーム(汚染されている固体ストリームおよび除去された固体ストリーム)を、どちらも再度脱水して所望の50%固体含有率を達成し、ポンプで艀船に積み込んで輸送する。艀船は小型である、つまり、河川の閘門システムを通過可能なサイズを有している。
独国特許出願公開第3825223号明細書には、砂/水/汚染物質の混合物を乾燥させるための装置が開示されている。当該装置は、軽い成分から重い成分を分離する、貫通している旋回底(a through like swing bottom)の形態の旋回分類機(swing sorter)を備えている。砂および水を含む重い成分は、旋回底の一方の側の分離器の後ろ側に溜まり、流体を噴射することによって洗浄される。過剰な水は、旋回底の上記側に設けられた穴を通して排出される。相対的に軽い成分は、上記分離器のもう一方の側(旋回底に穴が設けられていない側)に輸送される。この混合物を、サイクロンが上記装置まで搬送する。
独国特許出願公開第4410229号明細書には、浚渫物を特定の粒子サイズを有する成分に分離するための装置および方法が記載されている。該明細書に開示されている方法では、複数の分離器の組み合わせが使用される。
米国特許第4,541,927には、切断吸引浚渫機(cutter suction dredger)が浚渫した物質を処理するための方法および装置について記載されている。浚渫物は、続いて供給できるように回転台上に設置された遠心分離器に供給される。遠心分離器は、浚渫物を乾燥させた相対的に重い成分と相対的に湿った成分とに分離する。この相対的に湿った成分はカッターヘッドに再供給される。乾燥させた固体物質は、電気加熱式回転炉内でさらに乾燥させて、その結果として得られる破砕された乾燥物質は袋詰めされる。
【0004】
本発明は、浚渫船が抽出した浚渫物を処理するための方法および装置を提供すること、さらに、大量の浚渫物を抽出領域から、遠方に位置する回収領域まで輸送するための方法および船舶を提供し、上記の短所を少なくとも部分的に解消することを目的とする。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、上記の目的を達成するために、浚渫船が抽出した浚渫物を処理する方法であって、該浚渫物が浚渫船から少なくとも1つの遠心分離器へ供給され、この遠心分離器が浚渫物を湿った成分と乾いた成分とに分離し、少なくともこの乾いた成分が収集され
、重力式分離器へ供給され、この重力式分離器が、収集された乾いた成分を相対的に乾いた成分と相対的に湿った成分とにさらに分離し、少なくとも上記相対的に乾いた成分が、少なくとも50000t(トン)の浚渫物の相対的に乾いた成分量を収納するように構成された輸送船に収集される方法が提供される。浚渫物を浚渫船の船倉から遠心分離に供することによって、乾いた成分が費用対効果が良い態様で浚渫物から分離および収集され、さらに、所望であれば、建築用地として使用される。本発明に係る方法は、浚渫物を、陸上にまたは別の放出地点で降ろす前に処理できるようにする。本発明の方法で処理した浚渫物の占める空間は、未処理の浚渫物の占める空間に比べて小さいことがわかった。これは、保管容量が限定される場所に浚渫物を降ろす際に効果を奏する。本発明に係る方法において、所望であれば、湿った成分を上記の目的に適した収集手段に収集して、例えばさらに処理を実施してもよい。ただし、分離された湿った成分は周囲の水に戻されることが好ましい。
【0006】
本発明に
よれば、上記収集された乾いた成分は重力式分離器へ供給され、この重力式分離器が、収集された乾いた成分を相対的に乾いた成分と相対的に湿った成分とにさらに分離し、少なくとも上記相対的に乾いた成分が収集され
る。相対的に乾いた成分および相対的に湿った成分という用語は、ここでは乾いた成分に対して相対的に定義される。少なくとも1つの遠心分離器と少なくとも1つの重力式分離器との組み合わせが相乗的に作用し、その結果、定性的に改善された相対的に乾いた成分が得られることがわかった。この成分は、例えば建築用地としてさらに好適に使用される。
【0007】
本発明の方法のさらなる効果は、浚渫物の粒子サイズの分布が効率的に影響され得ることである。ここでは、上記乾いた成分および/または相対的に乾いた成分が、d
50が50μm〜1500μmの範囲、より好ましくは150μm〜1200μmの範囲、もっとも好ましくは300μm〜1000μmの範囲にある粒子サイズの分布を有するように、上記遠心分離および/または重力分離が実施されることが好適である。
【0008】
本発明に係る特に適した方法は、上記重力式分離器が、収集された乾いた成分を振動させ、重力の影響下で相対的に乾いた成分と相対的に湿った成分とに分離する排水スクリーンを備えていることを特徴とする。
【0009】
本方法のさらに好適な実施形態では、液体サイクロンが遠心分離器として用いられる。液体サイクロンは、底部に向かって、円錐状の排出流部へ転置する円筒状の回転体を有する。処理に供する浚渫物は、偏心した状態で設置された供給管を介して、最上部側において、圧力下で液体サイクロン内へ接線方向に導入される。こうすることによって、浚渫物は回転流または渦の中へ進入する。この渦は、浚渫物の相対的に重い成分を液体サイクロンの側壁に向かって飛ばし、この相対的に重い成分は重力の影響下で下向きの螺旋流を形成する。相対的に重い成分は、最終的に円錐部に入り、そこでさらに加速されて最後に排出流を介して放出される。相対的に軽い成分(水もここに含まれる)は浮遊し続けて、液体サイクロンの中央部に入る。液体サイクロンは円錐状の形態を有しているので、相対的に軽い成分は最終的に上向きに押され、そこで湧出流を介して放出される。浚渫物の相対的に軽い成分は水を含んでいるので、相対的に重い成分は乾いた成分に相当することになり、一方で、相対的に軽い成分は湿った成分に相当することになる。
【0010】
本変形例のさらなる効果は、湿潤成分だけではなく、乾いた成分および/または相対的に乾いた成分の粒子サイズの分布も制御可能であることである。この点に関連して、分離径d
50は、相対的に軽い成分の一部となる可能性と相対的に重い成分の一部となる可能性とが等しい粒子の直径として定義される。最終的な分離の精度は、他の要因の中で、例えば選択した液体サイクロンの構成や浚渫物の特性に依存する。この点について関連する量は、サイクロンの内径、吸入口の直径、湧出流および底流、液体サイクロンの円筒状および円錐状の部分の高さ、ならびに、液体サイクロンの容量である。本発明の方法のさらなる効果は、浚渫物の粒子サイズの分布が効率的に影響され得ることである。ここでは、上記乾いた成分および/または相対的に乾いた成分が、d
50が50μm〜1500μmの範囲、好ましくは150μm〜1200μmの範囲、より好ましくは300μm〜1000μmの範囲、もっとも好ましくは500μm〜800μmの範囲にある粒子サイズの分布を有するように、上記遠心分離および/または重力分離が実施されることが好適である。
【0011】
特に適した方法では、マルチサイクロンが遠心分離器として用いられる。このようなマルチサイクロンは互いに並列に接続された複数の液体サイクロンを有し、液体サイクロンの個数は、好ましくは2〜20であり、より好ましくは3〜15であり、もっとも好ましくは4〜10であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る方法のさらなる好適な実施形態は、上記浚渫物が、遠心分離器へ供給される前に適切な質量密度に調整されるという特徴を有する。この適切な質量密度は、特に、浚渫物の特性、処理後の浚渫物の所望の特性、前述の液体サイクロンまたはマルチサイクロンの設計上の各種数値などの複数の要因に依存する。遠心分離の前に質量密度をほぼ一定の平均質量密度に調整することによって、分離効率が高くなり、さらに、処理済み浚渫物の品質が向上する。未処理の浚渫物の特に適切な質量密度は、1.1t/m
3〜1.3t/m
3であり、より好ましくは1.15t/m
3〜1.25t/m
3である。上記処理済み浚渫物の乾いた成分の特に適切な質量密度は、1.8t/m
3〜2.0t/m
3であり、より好ましくは1.85t/m
3〜1.95t/m
3である。上記処理済み浚渫物の湿った成分の質量密度は一般に、1.03t/m
3〜1.13t/m
3であるが、特に多数の微粒子が湿った成分中に存在する場合には、この数値よりはるかに高い値であってもかまわない。上記処理済み浚渫物の相対的に乾いた成分の特に適切な質量密度は、1.75t/m
3〜1.95t/m
3であり、より好ましくは1.80t/m
3〜1.90t/m
3である。
【0013】
さらなる好ましい変形例では、上記浚渫物の質量密度が、水を浚渫物に添加することによって適切な質量密度に調整され、より好ましくは、水流を設け、制御しながらこの水流に浚渫物を供給することによって、適切な質量密度に調整される。これは、浚渫船自身において適切な様態で実施してもよく、および/または、浚渫船と少なくとも1つの遠心分離器への供給部との間で実施してもよい。所望であれば、浚渫船の船倉に存在する浚渫物を、浚渫物の中に配置される高圧噴射ノズルから発射される高圧水流に供することによって流動化してもかまわない。分離効率の向上が、まさしく、処理に供する浚渫物(特に乾燥した浚渫物)に前もって水を添加することによって達成できるのだとということは、特筆すべきことである。
【0014】
上記浚渫物がほぼ一定の流速で少なくとも1つの遠心分離器へ供給されれば、さらに好適である。本発明に係る方法を用いることにより、例外的に大量の浚渫物を費用対効果が良い態様で処理可能であることがわかった。本発明に係る好ましい方法は、少なくとも1つの遠心分離器に供給されるほぼ一定の流速が、少なくとも6000m
3/時間であり、好ましくは少なくとも9000m
3/時間であり、より好ましくは少なくとも12000m
3/時間であり、もっとも好ましくは少なくとも20000m
3/時間であることを特徴とする。並列に接続された複数の遠心分離器は、比較的速い流速で使用することが好ましい。このような流速であれば、少なくとも年間4500万tの浚渫物を処理することが可能になり、こうすることによって、通常であれば少なくとも年間1000万tの処理済み浚渫物が得られる。これらの量は、例えば重力に基づく分離方法などの従来の分離方法では達成することが不可能である。
【0015】
本発明に係る方法が、上記乾いた成分および/または相対的に乾いた成分が、最大20重量%、より好ましくは最大15重量%、もっとも好ましくは最大10重量%の水分を含んでいれば、特に効果的であることがわかった。これは、上記乾いた成分および/または相対的に乾いた成分が輸送船(特に、少なくとも50000t、好ましくは少なくとも100000t、より好ましくは少なくとも150000t、もっとも好ましくは少なくとも200000tの浚渫物に含まれる、乾いた成分または相対的に乾いた成分の量を収納するのに適した輸送船)に収集され、その後、回収領域(好ましくは遠方に位置する回収領域)まで輸送される方法に、このような浚渫物の処理が非常に適しているからである。
【0016】
本発明によれば、さらに具体的には、大量の浚渫物を抽出領域から、遠方に位置する回収領域まで輸送する方法であって、浚渫船より大きな寸法を有し、大量の浚渫物を輸送可能な状態で収納するのに適した少なくとも1つの航洋輸送船を該抽出領域の近くに停泊させるステップと、少なくとも1つの浚渫船を用いて浚渫物を抽出するステップと、本発明に係る浚渫物を処理する方法を適用することによって、浚渫物を輸送可能な状態にするステップと、上記乾いた成分および/または相対的に乾いた成分を輸送船に収集するステップと、上記乾いた成分および/または相対的に乾いた成分を、輸送船を用いて該回収領域まで輸送するステップと、該輸送船を回収領域において停泊させるステップと、上記乾いた成分および/または相対的に乾いた成分を、回収領域において輸送船から降ろすステップとを含む方法が提供される。
【0017】
本発明の方法のさらなる効果は、上記乾いた成分および/または相対的に乾いた成分が、国際海事機関(International Maritime Organization)がバラ積み貨物船を用いた輸送について定める要求(バラ積み貨物船を用いた輸送に関するIMO標準(the IMO standards for transport with bulk carriers))を満たしていることである。
【0018】
本発明は、浚渫物を湿った成分と乾いた成分とに分離するのに適した少なくとも1つの遠心分離器を備えた、浚渫物を処理するための装置であって、該遠心分離器が、処理に供する浚渫物の供給部と、乾いた成分の放出部とを備えている装置にも関する。上記供給は、浚渫船の船倉の放出管に結合されていることが好ましい。
【0019】
上記装置は
、上記遠心分離器の放出部に接続され、上記乾いた成分を相対的に乾いた成分と相対的に湿った成分とに分離するのに適した少なくとも1つの重力式分離器をさらに備え、上記相対的に乾いた成分を放出するための放出手段をさらに備えている。
【0020】
本発明に係る装置は、原理的に、浚渫船と荷降ろし地点または輸送船との間の任意の所望の地点に設置可能である。ただし、上記装置を浚渫船に配置する、または、浚渫船の近くに通常停泊しているポンツーン、および/もしくは、輸送船に配置することが好適である。
【0021】
もっとも好ましくは、本発明に係る装置を装備した輸送船(具体的には上記サイズの輸送船)が提供される。この場合、上記乾いた成分または相対的に乾いた成分の船倉への放出が放出手段に干渉せずに行われるように、上記装置が輸送船の船倉に対して相対的な位置に設置されていれば、さらなる効果がある。このような構成によって、荷降ろしの速さがが大幅に上昇する。
【0022】
通常の浚渫方法は、トレーリング吸引底開き浚渫機(a trailing suction hopper dredger)や切断吸引浚渫機(a cutter suction dredger)などの浚渫船を使用することを含み、浚渫物が水底から吸い上げられ、吸引管を介して浚渫船の船倉内に一時的に貯蔵される。船倉内に収集された浚渫物を離れた地点まで輸送しなければならない場合には、この輸送は、陸上輸送、および/または、特別に敷設されたパイプライン、および/または、当該地点まで航行する浚渫船によって通常実施される。この目的を達成するために必要とされる設備および物流業務によって、公知の方法はコストが高くなる。本発明に係る方法は、上記の目的を達成するために効率的な解決法を提供する。
【0023】
上記輸送船は、好ましくは、大きな積荷容量を有する。特に相応しいのは、少なくとも50000DWT(載貨重量トン数;deadweight tonnage)、好ましくは少なくとも100000DWT、より好ましくは少なくとも150000DWT、もっとも好ましくは少なくとも200000DWT、または、さらに大きな積荷容量を有する輸送船である。特に適切な輸送船の例としては、一般に積荷を1つの主要港から別の主要港まで輸送するために用いられる改造型のケープサイズ船やパナマックス船などがあげられる。また、上記目的を達成するために改造されたいわゆるVLCC(巨大タンカー;very large crude carrier)も相応しい。これらの輸送船を浚渫物の輸送に使用することは知られておらず、自明でもない。これは、例えば安定性の問題や浚渫物の一般に研磨性の高い特性が理由である。本発明に係る方法は、これらの船舶を用いた浚渫物の輸送を可能にする。これらの船舶を、さらに、空気層を間に形成する二重壁を設けることによって改造することが好適である。2つの壁の間の空気層の幅は、所望であれば、輸送船の船倉の幅に近い大きさであってもよい。本発明に係る方法は、例えば年間2000万m
3の浚渫物の長距離輸送を可能にする。一方で、公知の方法はせいぜい約4百万m
3しか実現できない。
【0024】
独創的な本方法は、大量の浚渫物を抽出領域から、遠方に位置する回収領域まで輸送するのに特に適している。好適な距離は、片道が500kmを超える距離であり、より好ましくは片道が1000kmを超える距離であり、もっとも好ましくは片道が1500kmを超える距離である。
【0025】
本発明に係る方法のさらなる好適な実施形態では、上記浚渫物を水分が最大20重量%、より好ましくは最大15重量%になるまで試される。
【0026】
本発明に係る方法は、鉱石を含有する大量の浚渫物を抽出領域から、遠方に位置する回収領域または荷降ろし場所まで輸送することによって、大量の鉱石を抽出するのに特に適している。
【0027】
本発明について、以下の図面に基づいてさらに説明する。ただし、これは本発明に何らの限定を加えるものでもない。
図1は、本発明に係る装置の一実施形態を概略的に示している。
図2は、本発明に係る方法において典型的に適用される輸送船と浚渫船とのアセンブリの斜視図を概略的に示している。
【0028】
図1は、浚渫物50を処理するための装置1の一実施形態を示している。図示された実施形態では、装置1は、マルチサイクロン10の形態の遠心分離器と、これに直列に接続された、排水スクリーン20の形態の重力式分離器とを備えている。
【0029】
処理に供する浚渫物50は、浚渫船30の船倉(図示せず)から供給される。適切な浚渫船30の例としては、例えばトレーリング吸引底開き浚渫機や切断吸引浚渫機などがあげられる。浚渫物50は、供給部11に結合された導管31を通ってマルチサイクロン10へ供給され、圧力下で分配タンク12に供給される。マルチサイクロン10は、下記において詳述するように、浚渫物50を湿った成分51と乾いた成分52とに分離する。図示する変形例では、5つの液体サイクロン(14a、14b、14c、...)の供給部(13a、13b、13c、...)が、分配タンク12に接続されている。各供給部(13a、13b、13c、...)には、対応する閉塞バルブ(15a、15b、15c、...)が設けられている。この閉塞バルブは、各サイクロンに供給される流れの速さを制御することができる。マルチサイクロン10の各液体サイクロン(14a、14b、14c、...)は、底部に向かって、円錐状の排出流部へ転置する円筒状の回転体を備えている。処理に供する浚渫物50は、偏心した状態で設置された供給部(13a、13b、13c、...)を介して、対応する各液体サイクロンの最上部側において、圧力下で液体サイクロン内へ接線方向に導入される。こうすることによって、浚渫物50は回転流または渦の中へ進入する。この回転流または渦は、浚渫物50の相対的に重い成分を液体サイクロン(13a、13b、13c、...)の側壁に向かって飛ばし、この相対的に重い成分が重力の影響下で下向きの螺旋流形成することを保証する。相対的に重い成分は、最終的に各液体サイクロン(14a、14b、14c、...)の円錐部に入り、そこでさらに加速されて最後に排出流を介してバッファ船(a buffer vessel)16へ放出される。相対的に軽い成分(水もここに含まれる)は液体サイクロン(14a、14b、14c、...)の中央部に入る。液体サイクロンは円錐状の形態を有しているので、相対的に軽い成分は最終的に上向きに押され、そこで湧出流(17a、17b、17c、...)を介して収集容器18へ放出される。収集容器18からは、相対的に軽い成分はさらにポンプで放出管19を介して周囲の海へと汲み出される。処理に供する浚渫物の50相対的に軽い成分は水を含んでいるので、湿った成分51に相当する。一方で、相対的に重い成分は乾いた成分52に相当する。乾いた成分52は、バッファ船16からコンベヤーベルト60を介して、排水スクリーン20の形態の重力式分離器まで搬送される。排水スクリーン20はバッファ用トラフ部21を備え、乾いた成分52がこのバッファ用トラフ部21から分離貯蔵部22へ運ばれる。分離貯蔵部22は、所定の寸法の開口部を有する床(図示せず)を備えている。この床は、駆動部(図示せず)によって鉛直に振動する。この目的を達成するために、床はバネ23を備えている。離貯蔵部22に収納された乾いた成分52は振動に供されるので、乾いた成分52が重力の影響下で分離して、乾いた成分52および相対的に湿った成分54より乾燥している成分53を形成する。設定したメッシュ幅に応じて、相対的に乾いた成分53の粒子サイズは影響され得る。相対的に乾いた成分および相対的に湿った成分は、それぞれコンベヤーベルト25および放出管24によって放出される。湿った成分54の放出管24は、周囲の海に通じている。相対的に乾いた成分53のコンベヤーベルト25は、荷降ろし地点、または、好適な実施形態では、輸送船40(特にパナマックス船、または、同タイプの船)の船倉(図示せず)に通じている。放出管24およびコンベヤーベルト25は、必須ではない。したがって、例えばバッファ用トラフ部21とは反対に位置する分離貯蔵部22の側部26を開放し、排水スクリーン20を輸送船40の船倉の側部に沿って設置してもよい。この場合、相対的に乾いた成分53は分離貯蔵部22から船倉へ自動的に落下する。導管24も省略してかまわない。この場合、上記相対的に湿った成分(主に水)は、床を流れて例えば周囲の海まで到達する。多数の技術的な変形例が可能であることは、自ずから理解できるはずである。
【0030】
図2は、パナマックス型輸送船40と浚渫船30とのアセンブリを示している。輸送船30は浚渫船30に比べてはるかに大きな寸法(例えば10倍を超える寸法)を有し、大量の浚渫物50を輸送可能な状態で収納するのに適している。本発明の一態様によれば、大量の浚渫物50が抽出領域から、遠方に位置する回収領域まで輸送される。輸送船40は、この目的を達成するために抽出領域の近くに停泊する。浚渫船30を用いて、浚渫物50が水底から浚渫され、船倉(図示せず)内に一時的に貯蔵される。浚渫物50は、上述のように方法を適用することによって、輸送可能な状態にされる。図示した実施形態では、この目的を達成するために、変形例である輸送船40に装置1が設置されている。上記のようにして得られた乾いた成分および/または相対的に乾いた成分は、輸送船内、さらに具体的には輸送船40の船倉内に貯蔵され、その後、回収領域まで輸送される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明に係る装置の一実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】本発明に係る方法において典型的に適用される輸送船と浚渫船とのアセンブリの斜視図を概略的に示す図である。