【課題を解決するための手段】
【0008】
今や、特別なカプセル化された顆粒に変換される顔料が、洗浄プロセスの間に形成された泡に色をもたらすのに適していることが見出された。
【0009】
本発明は、コア部(A)及びシェル部(B)を含むマイクロカプセル化された着色剤顆粒に関し、ここで該コア部(A)は、1〜1000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは100〜400μm、特に好ましくは200〜300μmの径を有し、そして、
a) 着色剤(I)、
b) 微結晶性セルロース、
c) ポリオール、
を含んでなり、そして、該シェル部(B)は、1〜500μm、好ましくは10〜400μm、より好ましくは50〜300μm、特に好ましくは100〜300μmの厚さを有し、そして、
d) ポリカルボン酸、ポリカルボン酸、ビニルポリマー、セルロース及びセルロース誘導体のコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含んでなる。
【0010】
本発明によるカプセル化された着色剤顆粒は、無色又は有色の洗浄組成物、好ましくはハンドソープに導入することができる。手をこすり洗いするプロセスの間、上記のシェル部は崩壊し、そして、微小な着色粒子が放出されて、泡中に分散し、その泡を着色するか又はその色を変化させる。本発明によれば、洗浄組成物の温度とは関係なく、泡を着色又はその色を変えるため、着色剤としてサーモクロミック染料を使用する必要性がない。したがって、以下で述べる着色剤(I)及び着色剤(II)はサーモクロミックでないのが好ましい。
【0011】
本発明の別の実施態様においては、二酸化チタン(C.I. ピグメント ホワイト 6)、硫酸バリウム又は酸化亜鉛のような白色顔料(e)がシェル部中に取り入れられる。この場合、コア部の着色剤(I)の色は隠されていて、泡が、白色からその着色剤(I)の色へと変えることになる。
【0012】
本発明の別の実施態様では、シェル部が着色剤(I)とは色の異なる着色剤(II)(f)を含む。この場合、成分(d)及び(e)を含むシェル部上へ、着色剤(II)をトップコートとして適用するのが都合良い。それから、泡の色は、その着色剤(II)の色から着色剤(I)の色へと変化する。カプセル化された着色剤顆粒が洗浄組成物、例えば固形せっけん中で目に見えないか、又は少なくとも見えにくくするために、着色剤(II)の色は洗浄剤の基材、例えばせっけん基材の色と等しいか、又は少なくとも似た色であるのが好ましい。
【0013】
本発明の実施態様のいずれにおいても、コア部及びシェル部は、顆粒形態を維持する量を超えない水分、例えば、その顆粒の全重量に基づいて重量で、0〜50%、好ましくは1〜30%、より好ましくは5〜20%の水を含むことができる。
【0014】
好ましくは、着色剤(I)及び着色剤(II)は化粧用途を考慮し、例えば次の着色剤から選択される。
C.I. ピグメント ブラック 7 (C.I. 77266)、C.I. ピグメント ブルー 15 (C.I. 74160)、C.I. ピグメント ブルー 15:1 (C.I. 74160)、C.I. ピグメント レッド 4 (C.I. 12085)、C.I. ピグメント レッド 5 (C.I. 12490)、C.I. ピグメント レッド 112 (C.I. 12370)、C.I. ピグメント レッド 181 (C.I. 73360)、C.I. Vat レッド 1、C.I. ピグメント グリーン 7 (C.I. 74260)、C.I. ピグメント ヴァイオレット 23 (C.I. 51319)、C.I. ピグメント イエロー 1 (C.I. 11680)、C.I. ピグメント イエロー 3 (C.I. 11710)。
【0015】
好ましいポリオール(c)は、グリセリン、グリコール、ポリグリコール、ペンタエリスリトール、糖アルコール、特にマンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、及び単糖類、特に乳糖である。
【0016】
微結晶性セルロース(E460i)及び粉末化セルロース(E460ii)が、加工食品及び薬剤中の不活性なフィラー、増粘剤又は安定剤として市場から入手できる。微結晶性セルロースは成分b)としてコア部中で使用される一方で、粉末化セルロースは成分d)としてシェル部中で使用することができる。粉末化セルロースの代わりに、又は粉末化セルロースに加えて、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体類を使用することができる。
【0017】
成分d)として好ましいカルボン酸は、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリレート−メタクリレートコポリマー、例えば、メタクリル酸−エチルアクリレートコポリマー、ポリ(エチルアクリレート−メチルメタクリレート−ヒドロキシエチルメタクリレート)、スチレン−(メタ)アクリレート、及びマレイン酸コポリマー、例えば、アクリル酸−マレイン酸コポリマーである。
【0018】
好ましいビニルポリマーは、ポリ酢酸ビニル及びビニル(メタ)アクリル酸コポリマーである。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、成分d)のポリマーは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸とポリメタクリル酸とのコポリマー、スチレン(メタ)アクリレート、マレイン酸コポリマー、ポリ酢酸ビニル、ビニルアクリル酸コポリマー、ビニルメタクリル酸コポリマー、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される。ポリマー(d)の分子量は、好ましくは500〜500,000g/モル、より好ましくは1,000〜300,000g/モルである。
【0020】
好ましい実施形態において、マイクロカプセル化された着色剤顆粒は、その顆粒の全重量に対して、
a) 5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%の着色剤(I)、
b) 10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%の微結晶性セルロース、
c) 10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%のポリオール、
d) 0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%のポリマー、
を含む。
【0021】
もし含まれる場合、白色顔料(e)の量は顆粒の全重量に対して0〜50%、好ましくは0.1〜30%の間で可変であってよい。
【0022】
もし含まれる場合、着色剤(II)(f)の量は顆粒の全重量に対して0〜25%、好ましくは0.1〜20%の間で可変であってよい。
【0023】
更に好ましい実施形態において、マイクロカプセル化された着色剤顆粒は、該顆粒の全重量に対して、
a) 5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%の着色剤(I)、
b) 10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%の微結晶性セルロース、
c) 10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%のポリオール、
d) 0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%のポリマー、
e) 0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の白色顔料、及び1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の水、
を含む。
【0024】
更に好ましい実施形態において、マイクロカプセル化された着色剤顆粒は、該顆粒の全重量に対して、
a) 5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%の着色剤(I)、
b) 10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%の微結晶性セルロース、
c) 10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%のポリオール、
d) 0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%のポリマー、
e) 0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の白色顔料、
f) 0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の着色剤(II)、及び1〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の水、
を含む。
【0025】
本発明の好ましい対象は、上記の特徴を有するマイクロカプセル化された着色剤顆粒であり、その顆粒の粒度分布は100〜1,500μm、より好ましくは200〜1,000μm、特に好ましくは300〜600μmである。
【0026】
本発明の更なる対象は、上記で定義されたマイクロカプセル化された着色剤顆粒の製造方法であり、次の工程によって特徴付けられる。
・ 水、微結晶性セルロース、ポリオール及び着色剤(I)を混合して、均質な素材に均質化する工程;
・ 該均質な素材を押出成形し、その後顆粒化及び任意に乾燥して、マイクロカプセル化された着色剤顆粒のコアとしての微粒子を形成する工程;
・ 該微粒子を成分d)、及び任意に成分e)及び任意に成分f)でコーティングする工程。
【0027】
例えば、粉末状形態の着色剤(I)は、遊星型ミキサー中で微結晶性セルロース、ポリオール及び水と一緒に均質なゲル状素材が得られるまで均質化される。この素材は、その後スクリュー押出機に供されて小さい麺状物を得、その麺状物は更に造粒器(spherodizer)に装入されて微粒子を得る。この微粒子はコア部として扱われる。コーティングについて、そのコア部の微粒子が流動床処理装置に供され、そこで成分(d)及び任意に成分(e)及び任意に成分(f)の水溶液又は水分散物が上記の微粒子上に噴霧される。
【0028】
一実施形態では、白色顔料(e)及びポリマー(d)の水分散物が微粒子上に噴霧される。
【0029】
別の実施形態では、第一の噴霧操作において、白色顔料(e)及びポリマー(d)の水分散物が微粒子上に噴霧され、その後、第二の噴霧操作において、着色剤(II)及びポリマー(d)の水分散物がその微粒子上に噴霧されて着色された被膜が得られる。
【0030】
噴霧の間の好ましい処理温度は、20〜80℃、特に30〜60℃である。
【0031】
得られたコーティングされた微粒子は乾燥されて、本発明のマイクロカプセル化された着色剤顆粒が得られる。
【0032】
本発明の更なる対象は、上記で説明したマイクロカプセル化された着色剤顆粒を含んでなる、色が変わる洗浄組成物に関するものである。これについて、本明細書は、一実施形態において、一般に、ハンドソープ組成物のような身体の洗浄組成物に関するものであり、すなわち、該組成物が使用される際に、推定上十分な洗浄時間、例えば15秒〜2分経過した時に、使用者に知らしめるために色が変わることが意図される。以下でより詳細に説明されるように、色が変わることによってハンドソープ組成物もまた、正しい手洗い手順を子供達及び大人達に教える。この目に見える刺激は、適切な衛生習慣を強化するだけでなく、子供達及び大人達に彼らが適切に手を洗うのを奨励する。
【0033】
本発明のハンドソープ組成物はまた、より特別な手のこすり洗いプロセス用に処方されて使用されることができる。例えば、本発明のハンドソープ組成物はまた、より長期間手のこすり洗いが、例えば、約2分間より長い時間、例えば、約4分〜約6分間継続される、外科手術又は医療用ハンドソープとして特別に処方することもできる。
【0034】
本明細書の教示はハンドソープ組成物を処方するのに特に良好に適しているが、様々なその他の洗浄組成物が、本発明に従って製造できることは理解されるべきである。例えば、本発明によって製造できるその他の洗浄組成物は、シャンプー類、洗顔ソープ類、ボディソープ類、ベビーソープ類、及びペット用洗剤又は洗浄剤を包含する。更に、その他の洗浄組成物もまた、身体部分の洗浄が意図されないかもしれないように処方することもできる。例えば、本発明に従って製造され得るその他の洗浄組成物は、消毒薬、汎用的な洗剤、窓用洗剤、洗浄剤、乗り物用洗剤、又はその他の適した洗浄剤製品を包含する。
【0035】
一般に、マイクロカプセル化された着色剤顆粒は、洗浄組成物の全重量に対して約0.1重量%〜約10重量%の量、好ましくは0.2〜約7重量%の量、より好ましくは0.5〜5重量%の量でその洗浄組成物中に存在する。
【0036】
好ましい実施形態において、洗浄組成物はハンド用固形せっけんである。
【0037】
本発明の洗浄組成物は、せっけん基材の他に、せっけん及び洗浄剤産業の分野で共通する成分、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤、懸濁化剤、皮膚軟化剤、防腐剤、香料、pH調整剤、抗菌剤、着色剤、水、及び非水性溶剤を含む。
【0038】
洗浄組成物中に含まれる界面活性剤の量は、様々な要因に依存して大きく変えることができる。いくつかの実施形態において、洗浄組成物は、約1〜約60重量%、例えば、約5〜約40重量%の量で界面活性剤を含むことができる。
【0039】
洗浄組成物はまた、様々な皮膚軟化剤を含むこともできる。実際、上述の界面活性剤のいくつかは皮膚軟化剤と考えられる。使用可能な特別な皮膚軟化剤には、エトキシ化アルコール類及びプロポキシ化アルコール類、例えば、セチルアルコール類及びエトキシ化ラノリンが包含される。
【0040】
いくつかの例において、洗浄組成物はまた、一種又はより多種の非水性溶剤を含むこともできる。非水性溶剤は、必要ではないが、時にはある種の成分、例えば防腐剤、抗菌剤の溶解を助ける。いくつかの好適な非水性溶剤の例には、それらに限定されるものではないが、次のものが包含される。グリセリン;プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール及びジプロピレングリコールのようなグリコール類;エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールのようなアルコール類;トリグリセリド類;酢酸エチル;アセトン;トリアセチン;及びそれらの組み合わせ。溶剤の組み合わせには、グリコール、特にヘキシレングリコール及び/又はプロピレングリコール、及び一種又はより多種の低級アルコール類、特にイソプロパノール、n−プロパノール、及び/又はエタノールが含まれる。
【0041】
洗浄組成物はまた、その組成物の保存可能期間を高めるために様々な防腐剤を含むこともできる。例えば、防腐剤は、その洗浄処方物の約0.001〜約5重量%の量で存在し、いくつかの実施形態では約0.001〜約1重量%、そしていくつかの実施形態では約0.1〜約0.15重量%の量で存在する。
【0042】
必要であれば、種々のpH調整剤を洗浄組成物中に利用して、所望のpHレベルを達成することができる。例えば、本発明において使用可能な塩基性pH調整剤の例のいくつかは、それらに限定されるものではないが、アンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属シリケート及びアルカリ土類金属シリケート、鉱酸、カルボン酸及びポリマー酸を含む。
【0043】
懸濁化剤は、粘度、でんぷん誘導体を包含するでんぷん、変性セルロース、天然ゴム、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、多官能性アルコール、コロイド粒子又はフュームド粒子、脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコールエーテル又はそれらの混合物を含むことができる。
【0044】
上記の懸濁化剤は、カプセル化された顔料の細粒が沈降するのを防ぐのに十分な量で洗浄組成物中に存在させることができる。懸濁化剤は、約0.1〜約15重量%、例えば約0.1〜約10重量%の量で洗浄組成物中に存在させることができる。例えば、ラポナイト(laponite)粘土は、懸濁化剤として約0.5〜約3重量%の量で存在する。
【0045】
本発明の色が変わる洗浄組成物は、上記で定義したようなせっけん及び洗浄剤産業の分野で共通する成分を含むせっけん基材を調製する工程、該せっけん基材、カプセル化微粒子及び、任意に、上記で定義したようなせっけん及び洗浄剤産業の分野で共通する更なる成分を混合装置、例えばシグマミキサー中で約20〜40℃の温度で、圧延機中で約20〜40℃の温度で、均質な素材が得られるまで混合する工程、その後、その均質な混合物を約30〜60℃の温度で押出成形する工程、及び、任意に、バー寸法の単位に切断する工程含む製造工程にしたがって製造することができる。
【0046】
以下の実施例において“部”は重量部を、そして%は重量%を示す。