(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内核と該内核を覆う外層部からなる錠剤であって、該内核に2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸を含んでおり、該外層部に2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸および外層部の重量に対し16〜60(w/w)%のゲル形成性水溶性高分子を含む、放出制御性錠剤。
ゲル形成性水溶性高分子がヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはメチルセルロースである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放出制御性錠剤。
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が80〜120mPa・sおよび/または3000〜5600mPa・sである、請求項6記載の放出制御性錠剤。
20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が80〜120mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有率が外層部の重量に対して35〜45(w/w)%である、請求項6に記載の放出制御性錠剤。
20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が80〜120mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有率が外層部の重量に対して17.5〜22.5(w/w)%と、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が3000〜5600mPa・sであるヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有率が外層部の重量に対して17.5〜22.5(w/w)%の混合物である、請求項6に記載の放出制御性錠剤。
内核に含まれる2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸の平均粒子径が1.0〜5.0μmである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の放出制御性錠剤。
外層部に含有される2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸が一定速度で徐々に溶出し一定時間経た後、内核に含有される2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸が溶出を開始し、該内核からの2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸の溶出率が日本薬局方溶出試験パドル法を用いる溶出試験において10分で85%以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の放出制御性錠剤。
2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸の溶出率が、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験法において、
60分後 5〜25%
150分後 30〜50%
240分後 80%以上
であることを特徴とする請求項14に記載の放出制御性錠剤。
2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸の溶出率が、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験法において、
120分後 5〜25%
300分後 30〜50%
480分後 80%以上
であることを特徴とする請求項14に記載の放出制御性錠剤。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の有核錠剤の外層部は徐放性マトリックス層であり、化合物Iとゲル形成性水溶性高分子を含有する。外層部は、ゲル形成性水溶性高分子を外層部の重量を基準にして、16(w/w)%以上、好ましくは18(w/w)%以上、さらに好ましくは20〜60(w/w)%、さらに好ましくは20〜55(w/w)%、さらに好ましくは35〜45(w/w)%の範囲で含有することができる。水溶性高分子の含有量が15(w/w)%以下の場合、中性より高いpHにて外層部の浸食・崩壊が速くなり化合物Iの溶出速度が速くなり、場合によりバーストが起こりうるため好ましくない。水溶性高分子の含有量を上述の範囲とすることで、外層部の浸食・崩壊が消化管蠕動運動や食事などの機械的破壊力や消化管内pH変化による影響を受けにくくなり、化合物Iを一定速度で放出することができる。このとき崩壊抑制作用を有する水不溶性高分子を添加することができるが、添加しないほうが好ましい。
【0021】
ゲル形成性水溶性高分子は、水と接触したときに膨潤しゲル状となる水溶性高分子であり、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カンテン、トラガント、キサンタンガム、グアーガム、アラビアゴム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキシド、酢酸ビニルポビドンポリマーマトリックス、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどを単独または複数種類組み合わせて用いることができる。上記のゲル形成性水溶性高分子の中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウムが好ましく、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウムが好ましく、さらにはヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
アルギン酸ナトリウムは20℃でpH6.4〜7.0における1(w/v)%水溶液をBL型回転粘度計にて測定した時の粘度が約900〜1100mPa・sのグレードを用いることが好ましい。また、カルボキシビニルポリマーは医薬品添加物規格カルボキシビニルポリマーの粘度試験法にて規定される粘度グレードとして、pH7.5における0.5(w/v)%水溶液の粘度が約4000〜11000mPa・sのグレードまたは約29400〜39400mPa・sのグレードを用いることができるが、pH7.5における0.5(w/v)%水溶液の粘度が約29400〜39400mPa・sのグレードを用いることが好ましい。カルメロースナトリウムは1(w/w)%水溶液をB型粘度計にて測定した時の粘度が約320mPa・sのものを用いることが好ましい。ヒドロキシプロピルセルロースは、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約150〜約400mPa・sのグレード、または約1000〜約4000mPa・sのグレードの粘度グレードを単独で用いるか、任意の重量比率で混合して用いることが好ましい。
【0022】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースは日本薬局方ヒプロメロース粘度試験法にて規定される種々の粘度グレードが存在する。外層部のヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度グレードとしては、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約40〜60mPa・sのグレード、または約80〜約120mPa・sのグレード、または約320〜約480mPa・sのグレード、または約3000〜約5600mPa・sのグレード、または約7500〜約14000mPa・sのグレード、または約11250〜約21000mPa・sのグレード、または約75000〜約140000mPa・sのグレードを用いることができる。これらの粘度グレードは、上記いずれかを単独で用いるか、数種類を任意の重量比率で混合して外層部に含有させることができるが、好ましくは20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約40〜60mPa・sのグレード、または約80〜約120mPa・sのグレード、または約320〜約480mPa・sのグレード、または約3000〜約5600mPa・sのグレード、または約7500〜約14000mPa・sのグレード、さらに好ましくは、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約40〜60mPa・sのグレード、または約80〜約120mPa・sのグレード、または約320〜約480mPa・sのグレード、または約3000〜約5600mPa・sのグレード、またさらに好ましくは20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約80〜約120mPa・sのグレード、または約3000〜約5600mPa・sのグレードを単独で用いるか任意の重量比率で混合して外層部に含有させることが望ましい。
【0023】
外層部中にヒドロキシプロピルメチルセルロースは、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約80〜約120mPa・sのグレードを16(w/w)%以上、好ましくは18(w/w)%以上、さらに好ましくは20〜60(w/w)%、さらに好ましくは20〜55(w/w)%、さらに好ましくは35〜45(w/w)%含有させるか、または20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約80〜約120mPa・sのグレードを8(w/w)%以上、好ましくは9(w/w)%以上、さらに好ましくは10〜30(w/w)%、さらに好ましくは10〜27.5(w/w)%、さらに好ましくは17.5〜22.5(w/w)%と、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約3000〜約5600mPa・sのグレードを8(w/w)%以上、好ましくは9(w/w)%以上、さらに好ましくは10〜30(w/w)%、さらに好ましくは10〜27.5(w/w)%、さらに好ましくは17.5〜22.5(w/w)%を混合して含有させることが望ましい。
【0024】
外層部に用いるゲル形成性水溶性高分子の種類および粘度グレードの最終的な組成は、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験において、化合物Iの溶出率が、
60分後 5〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜20%
150分後 25〜55%、好ましくは30〜50%、より好ましくは35〜45%
240分後 70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上
となるように調整するか、または、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験において、化合物Iの溶出率が、
120分後 5〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜20%
300分後 25〜55%、好ましくは30〜50%、より好ましくは35〜45%
480分後 70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上
となるように調整することが望ましい。
【0025】
本明細書で日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験法は、下記の条件下で実施されたものである。
【0026】
試験液:pH6.0の薄めたMcIlvaine緩衝液 900mL
温度:37℃
回転数:毎分200回
ステーショナリーバスケット:試験液の液面とベッセル底部との中間でかつ溶出試験液の容器壁から約23mm離れた位置に、40メッシュのバスケットを固定する。
【0027】
崩壊抑制作用を有する分子である水不溶性高分子とは、例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などが挙げられる。
【0028】
また、外層にはゲル形成性水溶性高分子のほかに、必要に応じて、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール等の糖類、小麦デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファ化デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチ等のデンプン類、結晶セルロースなどのセルロース類、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどの無機塩類、パラフィン、ワックス、高級脂肪酸等の油脂類、カルメロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、デンプン類、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、粉末セルロースなどの崩壊剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、合成ケイ酸アルミニウム等の流動化剤または滑沢剤、各種色素等の着色剤、各種界面活性剤等の溶解補助剤など含有させることができる。
【0029】
本発明の有核錠剤の内核の化合物Iの放出速度は、外層部からの放出速度より速いことが好ましい。内核に含まれる成分は特に限定されないが、化合物Iと崩壊剤を含有する錠剤ないしは、化合物Iとゲル化剤を含有する錠剤であることが好ましい。
【0030】
内核に含有する崩壊剤は少量の水で速やかに内核を崩壊させ化合物Iを放出させることを可能とする物質である。少量の水で速やかに内核を崩壊させる性質とは、例えば、内核(直径2〜9mm)を1mLの37℃の日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)に浸したときに10分以内、好ましくは5分以内に内核が崩壊分散する性質を指す。また速やかに薬物を放出させる性質とは、例えば、内核を日本薬局方溶出試験パドル法(試験液:日本薬局方溶出試験第2液900mL、温度:37℃、回転数:毎分50回)にて溶出試験をしたとき、試験開始から20分以内、好ましくは15分以内、さらに好ましくは10分以内に80%の薬物溶出率を示す性質を指す。
【0031】
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、アルファ化デンプンなどのデンプン、クロスポビドンなどを単独または複数種組み合わせて用いることができる。上記の崩壊剤の中でも、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウムが好ましく、特にクロスカルメロースナトリウムが好ましい。
【0032】
内核は、上記崩壊剤を、内核の重量を基準にして、1〜50(w/w)%、好ましくは1〜30(w/w)%、さらに好ましくは1〜20(w/w)%の範囲で含有することができる。
【0033】
また、内核には崩壊剤のほかに、必要に応じて、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール等の糖類、小麦デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファ化デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチ等のデンプン類、結晶セルロースなどのセルロース類、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどの無機塩類、パラフィン、ワックス、高級脂肪酸等の油脂類、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、合成ケイ酸アルミニウム等の流動化剤または滑沢剤、各種色素等の着色剤、各種界面活性剤等の溶解補助剤など含有させることができる。
【0034】
内核に含有するゲル化剤とは、少量の水で速やかにゲル化する性質を有する物質である。少量の消化液や水分で速やかにゲル化する性質とは、例えば、直径6mm(8R錠)、厚み3.4mm、質量100mgの内核を1mLの37℃の日本薬局方溶出試験第2液に浸したときに1時間以内、好ましくは45分以内に内核が完全にゲル化する性質、あるいは、直径5mm(平面錠)、厚み2.0mm、質量50mgの内核を1mLの37℃の日本薬局方溶出試験第2液に浸したときに、45分以内、好ましくは30分以内に内核が完全にゲル化する性質を指す。
【0035】
ゲル化剤としては、例えば前述の外層に用いるゲル形成性水溶性高分子を用いることができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カンテン、トラガント、キサンタンガム、グアーガム、アラビアゴム、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキシド、酢酸ビニルポビドンポリマーマトリックス、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどを単独または複数種類組み合わせて用いることができる。上記のゲル化剤の中でも、アルギン酸ナトリウム、カルメロースナトリウム、カルボキシビニルポリマーが好ましく、特にカルボキシビニルポリマーが好ましい。
【0036】
カルボキシビニルポリマーは医薬品添加物規格カルボキシビニルポリマーの粘度試験法にて規定される粘度グレードとして、pH7.5における0.5(w/v)%水溶液の粘度が約4000〜11000mPa・sのグレード、または約29400〜39400mPa・sのグレードを用いることができるが、pH7.5における0.5(w/v)%水溶液の粘度が約29400〜39400mPa・sのグレードを用いることが好ましい。
【0037】
内核は、上記ゲル化剤を、内核の重量を基準にして、5〜50(w/w)%、好ましくは5〜40(w/w)%、さらに好ましくは5〜30(w/w)%の範囲で含有することができる。
【0038】
また、内核にはゲル化剤のほかに、必要に応じて、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、果糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール等の糖類、小麦デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファ化デンプン、デキストリン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチ等のデンプン類、結晶セルロースなどのセルロース類、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどの無機塩類、パラフィン、ワックス、高級脂肪酸等の油脂類、カルメロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、デンプン類、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、粉末セルロースなどの崩壊剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、合成ケイ酸アルミニウム等の流動化剤または滑沢剤、各種色素等の着色剤、各種界面活性剤等の溶解補助剤など含有させることができる。
【0039】
以上に述べた、組成を持つ内核と外層部からなる有核錠剤は、それ自体は既知の方法で製造することができる。内核は、定法にて直接圧縮法、造粒圧縮法、あるいは製丸によって得られる。また、外層部は、定法にて混合、湿式造粒、あるいは乾式造粒によって得られる。有核錠剤は、有核打錠機を用いて内核を外層部で被覆することにより製造することが可能である。
【0040】
本発明の有核錠剤の直径は、経口投与して飲み込むことが出来れば特に限定されない。一般的には、例えば有核錠剤の直径は4〜12mmの範囲、内核の直径は一般的に2〜9mmの範囲である。
【0041】
本発明の有核錠剤における外層部と内核の重量比は有核錠剤としたときの外層の厚みに影響を及ぼすが、特に限定されるものではない。外層部と内核の重量比10/90〜95/5、さらに好ましくは20/80〜95/5、さらに好ましくは30/70〜95/5の範囲で選択することができる。また外層部は内核の浸食を回避するためにある程度の厚みが必要であるが、その厚みは1mm以上であることが好ましく、さらには1.5mm以上であることが好ましい。
【0042】
最終的な外層と内核の重量比は、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験において、化合物Iの溶出率が、
60分後 5〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜20%
150分後 25〜55%、好ましくは30〜50%、より好ましくは35〜45%
240分後 70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上
となるように外層部の厚みを調整するか、または、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験において、化合物Iの溶出率が、
120分後 5〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜20%
300分後 25〜55%、好ましくは30〜50%、より好ましくは35〜45%
480分後 70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上
となるように外層部の厚みを調整し、その厚みおよび有核錠剤全体の大きさと重量に基づいて最終的な外層部と内核の重量比を決定することが望ましい。
【0043】
本発明の有核錠剤における外層部と内核に含有する化合物Iの重量比は、上部消化管(胃および小腸)における薬物吸収量と下部消化管(大腸)における薬物吸収量に影響を及ぼすが特に限定されるものではない。有核錠剤の重量、大きさ、外層部と内核の重量比、外層部および内核の製造特性などによって適当な比率を決定することが可能である。
【0044】
外層部と内核に含有する化合物Iの重量比は5/95〜95/5、好ましくは10/90〜95/5、さらに好ましくは15/85〜95/5の範囲とすることができる。
【0045】
外層部と内核に含有する化合物Iの最終的な重量比は、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験において、化合物Iの溶出率が、
60分後 5〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜20%
150分後 25〜55%、好ましくは30〜50%、より好ましくは35〜45%
240分後 70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上
となるように調整するか、または、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験において、化合物Iの溶出率が、
120分後 5〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは10〜20%
300分後 25〜55%、好ましくは30〜50%、より好ましくは35〜45%
480分後 70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上
となるように調整することが好ましい。
【0046】
本発明の有核錠剤の外層に配合する化合物Iの性状は特に限定されるものではないが、画像解析法またはレーザー回折散乱式粒度分布測定において、平均粒子径(レーザー回折散乱式粒度分布測定においては体積換算したときのメジアン径)が5.0μm以上の薬物であることが好ましく、さらには8.0μm以上であることが好ましい。平均粒子径が5.0μmより小さい場合、化合物Iの溶解速度が速くなり外層部からの溶出速度、特に中性より高いpHでの溶出速度が速くなり、結果、胃から小腸下部にかけての消化管内で化合物Iを一定速度で放出することが難しくなる場合がある。
【0047】
また、本発明の有核錠剤の内核に配合する化合物Iの性状は、特に限定されるものではないが、微粉砕した結晶であることが好ましい。その粒子径は、画像解析法またはレーザー回折散乱式粒度分布測定において、平均粒子径(レーザー回折散乱式粒度分布測定においては体積換算したときのメジアン径)が0.1〜8.0μmであることが好ましく、さらには1.0〜8.0μmであることが好ましく、さらには1.0〜5.0μmであることが好ましい。
【0048】
内核は、外層部で被覆するのに先立ち、フィルムコーティングを施してもよい。該フィルムコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体やポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーなどの水溶性コーティング基剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース誘導体腸溶性コーティング基剤、メタクリル酸コポリマー、セラックなどの腸溶性フィルムコーティング基剤が挙げられる。
【0049】
さらに有核錠剤には水溶性フィルムコーティングを設けてもよい。該フィルムコーティング基剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いるのが好適であり、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が100mPa・s以下、特に17.5mPa・s以下が好ましい。これらのフィルムコーティング基剤には必要に応じて、ポリエチレングリコールなどの可塑剤、タルクなどの流動化剤、各種色素等の着色剤を添加することができる。
【0050】
本発明の有核錠剤の適用する薬物は、化合物Iの他に、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、さらには化合物Iを含む2―アリールチアゾール誘導体を含む。本発明の有核錠剤1錠あたりに含有される薬物の量は特に限定されないが、5mg〜200mg、好ましくは5mg〜160mg含有することができる。
【0051】
本発明の有核錠剤をヒトに投与した時、化合物Iが以下の(a)、(b)、および(c)を満たす血中動態を示すことが好ましい。
【0052】
(a)化合物Iの血漿中濃度−時間曲線において2つ以上の極大点を有し、2つ目の極大点(2峰目)の血漿中濃度が、化合物Iの投与量が80mgの場合に0.2μg/mL以上であるか、もしくは投与後24時間における血漿中濃度が化合物Iの投与量が80mgの場合に0.05μg/mL以上である。
【0053】
(b)化合物Iの最高血中濃度(Cmax)が化合物Iの投与量が80mgの場合に2.0μg/mL未満を示す。より好ましくは、最高血中濃度(Cmax)が化合物Iの投与量が80mgの場合に0.8〜2.0μg/mL、もしくは最高血中濃度(Cmax)が化合物Iの投与量が80mgの場合に0.3〜0.8μg/mLである。
【0054】
(c)時間ゼロから無限大時間までの血漿中濃度下面積(AUC∞(ng・hr/mL))と最高血中濃度(Cmax(ng/mL))の比、AUC∞:Cmaxが化合物Iの投与量が80mgの場合に5.0:1〜20:1となる。より好ましくは、時間ゼロから無限大時間までの血漿中濃度下面積(AUC∞)と最高血中濃度(Cmax)の比、AUC∞:Cmaxが化合物Iの投与量が80mgの場合に5.0:1〜7.5:1となるか、もしくは時間ゼロから無限大時間までの血漿中濃度下面積(AUC∞(ng・hr/mL))と最高血中濃度(Cmax(ng/mL))の比、AUC∞:Cmaxが化合物Iの投与量が80mgの場合に7.5:1〜15.0:1となる。
【実施例】
【0055】
以下に本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
【0056】
なお、外層部に配合した化合物Iは平均粒子径(レーザー回折散乱式粒度分布測定において体積換算したメジアン径)が8.0μm以上のものを、また内核錠に配合した化合物Iは微粉砕処理して平均粒子径(レーザー回折散乱式粒度分布測定において体積換算したメジアン径)が1.0〜5.0μmのものをそれぞれ用いた。METOLOSE 90SH−100SR、METOLOSE 90SH−4000SR、METOLOSE 90SH−100000SRとは信越化学工業(株)の商品名であり、それぞれヒドロキシプロピルメチルセルロース2208の、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約80〜約120mPa・sのグレード、または約3000〜約5600mPa・sのグレード、または約75000〜約140000mPa・sのグレードを指す。また、METOLOSE 60SH−50、TC−5Rとは信越化学工業(株)の商品名であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910の、20℃における2(w/w)%水溶液の粘度が約40〜約60mPa・s、または約5.2〜約7.0mPa・sのグレードを指す。オイドラギットRSPOとは、エボニック デグサ ジャパン(株)の商品名であり、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRSを指す。また、オパドライIIグリーンは、日本カラコン合同会社の商品名であり、水溶性フィルムコーティング用添加剤をあらかじめ混合したプレミックス添加剤である。また、ヒドロキシプロピルセルロースとしては日本曹達(株)製のヒドロキシプロピルセルロースの20℃における2(w/w)%水溶液の粘度の約3.0〜約5.9mPa・sのグレード(HPC−SL)、約6.0〜約10.0mPa・sのグレード(HPC−L)、約150〜約400mPa・sのグレード(HPC−M)を用いた。
〔実施例1〕
【0057】
【表1】
【0058】
上記の原料を均一に混合し流動層造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体97.0(w/w)%に対して2.0(w/w)%のクロスカルメロースナトリウム、1.0(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。ロータリー打錠機(HT−AP6SS−U;畑鉄工所製)にて打錠圧約550kgで打錠して、1錠の質量が100mgの内核(直径6mm、厚み3.2mm)を得た。
【0059】
【表2】
【0060】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物を外層部とし、先に製した内核とともに有核打錠機(リブラ45DC;菊水製作所製)を用いて打錠圧約1トンで打錠して、1錠あたり化合物Iを80mg含有する質量502mgの有核錠剤(直径10mm、厚み6.5mm)を得た。
〔実施例2〕
【0061】
【表3】
【0062】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。ロータリー打錠機(HT−AP6SS−U;畑鉄工所製)にて打錠圧約350kgで打錠して、1錠の質量が100.5mgの内核(直径6mm、厚み3.4mm)を得た。
【0063】
【表4】
【0064】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物を外層部とし、先に製した内核とともに有核打錠機(リブラ45DC;菊水製作所製)を用いて打錠圧約1トンで打錠して、1錠あたり化合物Iを80mg含有する質量502.5mgの有核錠剤(直径10mm、厚み6.5mm)を得た。
〔実施例3〕
【0065】
【表5】
【0066】
上記の原料を均一に混合し流動層造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体97.0(w/w)%に対して2.0(w/w)%のクロスカルメロースナトリウム、1.0(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。ロータリー打錠機(HT−AP6SS−U;畑鉄工所製)にて打錠圧約550kgで打錠して、1錠の質量が100mgの内核(直径6mm、厚み3.2mm)を得た。
【0067】
【表6】
【0068】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物を外層部とし、先に製した内核とともに有核打錠機(リブラ45DC;菊水製作所製)を用いて打錠圧約1トンで打錠して、1錠あたり化合物Iを80mg含有する質量502mgの有核錠剤(直径10mm、厚み6.5mm)を得た。
〔実施例4〕
【0069】
【表7】
【0070】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。ロータリー打錠機(HT−AP6SS−U;畑鉄工所製)にて打錠圧約350kgで打錠して、1錠の質量が100.5mgの内核(直径6mm、厚み3.4mm)を得た。
【0071】
【表8】
【0072】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物を外層部とし、先に製した内核とともに有核打錠機(リブラ45DC;菊水製作所製)を用いて打錠圧約1トンで打錠して、1錠あたり化合物Iを80mg含有する質量502.5mgの有核錠剤(直径10mm、厚み6.5mm)を得た。
〔比較例1〕
【0073】
【表9】
【0074】
表9中の化合物I、乳糖水和物、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムを均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥、整粒した。得られた粉体にステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素を加えて混合し、一錠あたり500mgとなるようにオーバル型の臼杵で圧縮成型して錠剤を得た。この錠剤にオパドライIIをコーティングして520mgのコーティング錠を得た。
〔試験例1〕
実施例1の有核錠剤を用いて、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0075】
試験液:pH6.0の薄めたMcIlvaine緩衝液 900mL
温度:37℃
回転数:毎分200回
ステーショナリーバスケット:試験液の液面とベッセル底部との中間でかつ溶出試験液の容器壁から約23mm離れた位置に、40メッシュのバスケットを固定。
【0076】
その結果、
図1に示すとおり試験開始から3〜4時間までは、外層部より一定速度化合物Iが溶出し、その後、内核が露出して化合物Iが溶出を開始する溶出挙動が確認された。
〔試験例2〕
実施例2の有核錠剤を用いて、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0077】
試験液:pH6.0の薄めたMcIlvaine緩衝液 900mL
温度:37℃
回転数:毎分200回
ステーショナリーバスケット:試験液の液面とベッセル底部との中間でかつ溶出試験液の容器壁から約23mm離れた位置に、40メッシュのバスケットを固定。
【0078】
その結果、
図2に示すとおり試験開始から3〜4時間までは、外層部より一定速度化合物Iが溶出し、その後、内核が露出して化合物Iが溶出を開始する溶出挙動が確認された。
〔試験例3〕
実施例3の有核錠剤を用いて、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0079】
試験液:pH6.0の薄めたMcIlvaine緩衝液 900mL
温度:37℃
回転数:毎分200回
ステーショナリーバスケット:試験液の液面とベッセル底部との中間でかつ溶出試験液の容器壁から約23mm離れた位置に、40メッシュのバスケットを固定。
【0080】
その結果、
図3に示すとおり試験開始から6〜7時間までは、外層部より一定速度化合物Iが溶出し、その後、内核が露出して化合物Iが溶出を開始する溶出挙動が確認された。
〔試験例4〕
実施例4の有核錠剤を用いて、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0081】
試験液:pH6.0の薄めたMcIlvaine緩衝液 900mL
温度:37℃
回転数:毎分200回
ステーショナリーバスケット:試験液の液面とベッセル底部との中間でかつ溶出試験液の容器壁から約23mm離れた位置に、40メッシュのバスケットを固定。
【0082】
その結果、
図4に示すとおり試験開始から6〜7時間までは、外層部より一定速度化合物Iが溶出し、その後、内核が露出して化合物Iが溶出を開始する溶出挙動が確認された。
〔試験例5〕
【0083】
【表10】
【0084】
上記の原料を均一に混合し流動層造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体97.0(w/w)%に対して2.0(w/w)%のクロスカルメロースナトリウム、1.0(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。ロータリー打錠機(HT−AP6SS−U;畑鉄工所製)にて打錠圧約550kgで打錠して、1錠の質量が100mgの内核(直径6mm、厚み3.2mm)を得た。
【0085】
この内核を日本薬局方溶出試験パドル法にて溶出試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0086】
試験液:日本薬局方溶出試験第2液 900mL
温度:37℃
回転数:毎分50回
その結果、
図5に示すとおり試験開始から10分で、80%以上の化合物Iが溶出することが確認された。
〔試験例6〕
【0087】
【表11】
【0088】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。これをロータリー打錠機(HT−AP6SS−U;畑鉄工所製)を用いて、打錠圧350kgで以下に示す大きさの内核1を製した。
【0089】
内核1:錠剤質量100mg、直径6mm8R、厚み3.4mm
また、簡易錠剤成型機(ハンドプレス)を用いて、打錠圧400kgにて以下に示す大きさの内核2を製した。
【0090】
内核2:錠剤質量50mg、直径5mm平面、厚み2.0mm
細胞培養用の12wellプレートに、1wellあたり1mLの37℃の試験液(日本薬局方溶出試験第2液)を入れ、1wellあたり1錠の内核1または内核2を添加し、37℃でインキュベートし、所定時間にて内核を取り出しカッターで錠剤断面を切断後、目視にてゲル化の様子を観察した。
【0091】
その結果、内核1は試験液に投入後40分、内核2は試験液投入後30分で、内核は内部まで完全にゲル化していることが確認された。
〔試験例7〕
【0092】
【表12】
【0093】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物150mgを簡易錠剤成型機(ハンドプレス)を用いて、直径7mm、硬度約6kgfになるように圧縮成型し外層部成分のみの錠剤を得た。
【0094】
これらの外層部錠1〜4を、日本薬局方崩壊試験法にて崩壊試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0095】
試験液:薄めたMcIlvaine緩衝液(pH6.0)900mL、
または日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)900mL、
またはリン酸塩緩衝液(pH7.4)900mL
温度:37℃
ストローク数:30ストローク/分
錠剤1個を日本薬局方溶出試験法シンカーに入れて崩壊試験機に投入した。
【0096】
【表13】
【0097】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物150mgを簡易錠剤成型機(ハンドプレス)を用いて、直径7mm、硬度約6kgfになるように圧縮成型し外層部成分のみの錠剤を得た。
【0098】
これらのプラセボ錠1〜4を、日本薬局方崩壊試験法にて崩壊試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0099】
試験液:薄めたMcIlvaine緩衝液(pH6.0)900mL、
または日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)900mL、
またはリン酸塩緩衝液(pH7.4)900mL
温度:37℃
ストローク数:30ストローク/分
錠剤1個を日本薬局方溶出試験法シンカーに入れて崩壊試験機に投入した。
【0100】
その結果、
図6に示すとおり外層部錠2、外層部錠4の崩壊時間はpHによって大きく影響を受け、pH7.4の崩壊時間が短く、錠剤によってばらつきの非常に大きい結果となった。一方、
図7に示すとおりプラセボ錠は、どの処方においても崩壊時間はpHによって影響を受けなかった。以上の結果から、化合物Iを含有した外層部においてヒドロキシプロピルメチルセルロースの含有量を少なくした場合、pHが高くなると錠剤の崩壊が速くなり徐放性が損なわれ、その崩壊性の錠剤間のばらつきも大きくなることが確認された。
〔試験例8〕
【0101】
【表14】
【0102】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物150mgを簡易錠剤成型機(ハンドプレス)を用いて、直径7mm、硬度約6kgfになるように圧縮成型し外層部成分のみの錠剤を得た。
【0103】
これらの外層部錠5〜7を、日本薬局方崩壊試験法にて崩壊試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0104】
試験液:薄めたMcIlvaine緩衝液(pH6.0)900mL、
または日本薬局方溶出試験第2液(pH6.8)900mL、
またはリン酸塩緩衝液(pH7.4)900mL
温度:37℃
ストローク数:30ストローク/分
錠剤1個を日本薬局方溶出試験法シンカーに入れて崩壊試験機に投入した。
【0105】
その結果、
図8に示すとおり、外層部錠5、外層部錠6の崩壊時間はpHによって影響を受けないが、外層部錠7の場合pH7.4における崩壊時間が、外層部5および6と比較して長くなる傾向が確認された。
〔試験例9〕
【0106】
【表15】
【0107】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物502mgを簡易錠剤成型機(ハンドプレス)を用いて、直径10mmになるように下記の圧力で圧縮成型し外層部成分のみの錠剤を得た。得られた錠剤の硬度を錠剤破壊強度試験機(富山産業(株))にて測定した。
【0108】
打錠圧力:6kN, 9kN, 12kN, 15kN
その結果、
図9に示すとおり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを40%含有する外層部錠8が最も硬度の高い錠剤が得られ、ついでヒドロキシプロピルメチルセルロースを15%含有する外層部錠9の硬度が高く、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを60%含有する外層部錠10および外層部錠11は最も硬度が低くなった。以上の結果よりヒドロキシプロピルメチルセルロースを40%含有する外層部錠が、他のヒドロキシプロピルメチルセルロース含有率の外層部錠よりも圧縮成型性に優れていることが確認された。
〔試験例10〕
【0109】
【表16】
【0110】
上記の原料を均一に混合し湿式攪拌造粒法で造粒後、乾燥し、整粒した。得られた粉体に対して0.5(w/w)%のステアリン酸マグネシウムを加えて混合した。この組成物502mgを簡易錠剤成型機(ハンドプレス)を用いて、直径10mm、硬度約9kgfになるように圧縮成型し外層部成分のみの錠剤を得た。
【0111】
この外層部錠12、13の、日本薬局方溶出試験パドル法のステーショナリーバスケットを用いる溶出試験を実施した。試験の条件は以下のとおり。
【0112】
試験液:日本薬局法溶出試験第2液(pH6.8) 900mL
温度:37℃
回転数:毎分50回、または毎分200回
ステーショナリーバスケット:溶出試験液の容器壁から約23mm離れた位置に、パドルより1cm上にバスケットの底部が位置するように8メッシュのバスケットを固定。
【0113】
その結果、
図10に示すとおり、毎分50回転における外層部12および13からの化合物Iの溶出速度は同程度となった。毎分200回転における外層部12および13からの化合物Iの溶出速度は、毎分50回転の場合と比較して同程度速くなった。以上より、外層部錠12と外層部錠13の溶出挙動において、機械的負荷が溶出におよぼす影響は同程度であることが確認された。
〔試験例11〕
実施例1、2、3および4の有核錠剤(化合物Iを80mg含む)と比較例1の錠剤(化合物Iを80mg含む)、合計5種類の製剤を健常成人35名に、5時期に分けて投与するクロスオーバー法により絶食下で1日1回経口投与した。各投与時期の間の休薬期間は7日間とした。投与後、被験者より経時的に血液を採取し血漿中の化合物Iの濃度を定量した。各製剤を投与したときの化合物I血漿中濃度推移のグラフを
図11に、薬物動態パラメーターを表17に示す。
【0114】
【表17】