【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、エラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物であって、
(a)(i)数平均分子量(M
n)が少なくとも100,000のオルガノポリシロキサン鎖並びにシラノールおよび/または他の加水分解性基のいずれかから選択される末端基;または不飽和基を有する高分子量のオルガノポリシロキサンポリマー;および
(ii)1以上の有機可塑剤および/または1以上の有機増量剤またはこれらの混合物を含む希釈ポリマー;
(b)(a)を架橋結合するための適量の1以上の適切な架橋剤;
(c)適量の触媒;
(d)1以上の充填剤;および(e)または(f)のいずれかであって、(a)および(b)と化学的相互作用を示すものから選択されたもの、
(e)−OH官能基または加水分解可能な官能基を含む末端シリル基および/またはペンダントシリル基を有する1以上の有機ポリマー、および
(f)(a)の末端基に応じて選択される1以上の不飽和基を有する
末端シリル基および/またはペンダントシリル基を含む1以上の有機ポリマーを包含し、
組成物が8重量%以下の高分子量のオルガノポリシロキサンポリマーを成分(a)に含む、ことを特徴とする湿分硬化性組成物を提供する。
【0014】
本明細書中で用いられる「含む(comprising)」の概念は、「包含する(include)」および「からなる(consists of)」の表記を意味すると共に、これらを包含する広い意味として用いられる。特に指示がない限り、与えられる全ての粘度値は、25℃の温度における値であり、%として示される全ての組成物および範囲は、累積的に合計して100%になる組成物の一部を意図する。本出願の目的において、「置換」は、炭化水素基中の1または複数の水素原子が、別の置換基で置き換えられることを意味する。このような置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素、およびヨウ素等のハロゲン原子;クロロメチル、パーフルオロブチル、トリフルオロエチルおよびノナフルオロヘキシル等のハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリルおよびカルボキシル等の酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基およびシアノ官能基等の窒素原子含有基;硫黄原子;メルカプト基等の硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
希釈ポリマーは、ASTM D5296−05に従って測定し、ポリスチレン分子量当量として算出した数平均分子量(M
n)が100,000以上のオルガノポリシロキサンポリマー成分(a)(i)を含む。オルガノポリシロキサンポリマーに関して、M
n値100,000は、通常、25℃で1,000,000mPa・sを超える粘度を有する。
【0016】
好ましくは、オルガノポリシロキサンポリマー成分(a)(i)は、一般式(1)
X
2−A−X
1 (1)
(式中、X
2およびX
1は独立して、
(I)少なくとも1のヒドロキシル基または加水分解性基;または
(II)少なくとも1の不飽和基
のいずれかを実質的に含むすべてのシリル基から選択される)で表される構造を有する。
X
2基またはX
1基の例としては、−Si(OH)
3、−(R
a)Si(OH)
2、−(R
a)
2SiOH、−R
aSi(OR
b)
2、−Si(OR
b)
3、−R
a2SiOR
bまたは−R
a2Si−R
c−SiR
dp(OR
b)
3−p(式中、R
aは独立して一価のヒドロカルビル基、例えば特に1から8個の炭素原子を有するアルキル基を表し(好ましくはメチル基である);R
b基およびR
d基は、それぞれ独立してアルキル基またはアルコキシ基(ここで、アルキル基は適宜6個までの炭素原子を有する)であり、R
cは、6個までのシリコーン原子を有する1つ以上のシロキサンスペーサーが介在し得る二価の炭化水素基であり、pは0、1または2の値を有する)が挙げられる。好ましくは、X
2および/またはX
1は、ヒドロキシル基、あるいは、湿分の存在下で加水分解する基を含有する。一実施形態において、X
2基は一定の割合(20%まで)で、トリアルキルシリル基でもよい。
【0017】
X
2またはX
1基の例として、それらが少なくとも1つの不飽和基を含む場合、アルケニル末端(例えばエテニル末端、プロペニル末端、アリル末端(CH
2=CHCH
2−))を含むか、それらはアクリル系若しくはアルキルアクリル、例えばCH
2=C(CH
3)−CH
2−基で末端化される。アルケニル基の代表例(限定するものではない)としては、以下の構造;H
2C=CH−、H
2C=CHCH
2−、H
2C=C(CH
3)CH
2−、H
2C=CHCH
2CH
2−、H
2C=CHCH
2CH
2CH
2−およびH
2C=CHCH
2CH
2CH
2CH
2−が挙げられる。アルキニル基の代表例(限定するものではない)としては、以下の構造:HC≡C−、HC≡CCH
2−HC≡CC(CH
3)−、HC≡CC(CH
3)
2−およびHC≡CC(CH
3)
2CH
2−が挙げられる。或いは、不飽和性有機基は、有機官能性炭化水素、例えばアクリレート、メタクリレートである。アルケニル基、例えばビニル基が特に好ましい。
【0018】
式(1)における適切なシロキサン含有ポリマー鎖Aの例としては、ポリジオルガノ−シロキサン鎖が挙げられる。したがって、A基としては、好ましくは式(2)のソロキサン単位
−(R
5sSiO(4−s)/2)− (2)
(式中、R
5は独立して、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基、または18個以下の炭素原子を有するヒドロカルボノキシ基等の有機基であり、sは平均して1〜3の値、好ましくは1.8〜2.2である)が挙げられる。好ましくは、R
5が、塩素またはフッ素等の1つ以上のハロゲン基に任意に置換される、1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、sは0、1または2である。R
5基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、3,3,3−トリフルオロプロピル等の塩素またはフッ素で置換されるプロピル基、クロロフェニル基、β−(ペルフルオロブチル)エチル基またはクロロシクロヘキシル基が挙げられる。R
5基の少なくともいくつか、好ましくは実質的に全てがメチルとすることが望ましい。
【0019】
式(1)の化合物中のポリマー鎖Aとしては、任意の適切なシロキサンまたはシロキサン/有機分子鎖が挙げられる。得られるポリマーは、25℃で少なくとも20,000,000mPa・sまでの粘度(本発明による可塑剤または希釈剤の非存在下)(即ち式(2)の200,000単位まで、またはそれよりもさらに大きい重合度(dp))を有する。好ましい一実施形態において、ポリマー鎖Aは、全ての鎖単位に対して直鎖オルガノポリシロキサン分子鎖(すなわち、s=2)である。好ましい物質は、一般式(3)
−(R
52SiO)
t− (3)
(式中、R
5はそれぞれ、前記の規定通りであり、好ましくはメチル基であり、tは200000までのまたはそれよりもさらに大きい値である)で表されるポリジオルガノシロキサン鎖を有する。適切なポリマーは、増量剤の非存在下、25℃で少なくとも20,000,000mPa・sまでの粘度を有するが、増量剤の存在下で調製される場合、ポリマーマトリックス中の増量剤の存在により、粘度は、一般的に25℃で1,000〜100,000mPa・s程度となる。ポリジオルガノシオキサンは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。末端縮合性基を有する複数種のポリジオルガノシロキサンの混合物も適切である。成分(a)中の高分子量のオルガノポリシロキサンポリマーは、組成物中に存在しなくてはならず、組成物中の存在率は0.1重量%〜8重量%とできる。
【0020】
任意の適切な可塑剤および/もしくは増粘剤またはこれらの組み合わせを、成分(a)(ii)の希釈ポリマーに利用することができる。錯誤を回避するために、本発明において、“適切な”とは、希釈ポリマー(a)中で、実質的に、好ましくは完全にオルガノポリシオキサンと混和性であり、しかしながら、それらは有機ポリマー成分(e)と混和性である必要はない。このような化合物としては、
・トリアルキルシリル末端ポリジアルキルシロキサンであり、それぞれのアルキル基は同じであるかまたは異なる1〜6個の炭素原子を有し、好ましくはメチル基であり、好ましくは25℃で100〜100,000mPa・sの粘度、最も好ましくは25℃で1,000〜60,000mPa・sの粘度を有する
・ポリイソブチレン(PIB)
・リン酸エステル、例えばリン酸トリオクチル
・ポリアルキルベンゼン
・直鎖および/または分岐鎖アルキルベンゼン、例えば重質アルキレート、ドデシルベンゼンおよび他のアルキルアレーン
・脂肪族モノカルボン酸エステル
・非反応性の短鎖シロキサン
・直鎖または分岐鎖モノ不飽和炭化水素、例えば12〜25個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルケンまたはその混合物および/または直鎖(例えばn−パラフィン系)鉱油、分岐鎖鉱油(イソパラフィン系)、環状鉱油(技術分野によってはナフテン系と称する)、およびその混合物を含む鉱油分画が挙げられる。好ましくは、使用される炭化水素は、1分子当り5〜25の炭素原子を含む
がそれぞれ単独で、または列挙される他のものと組み合せたものが挙げられる。
【0021】
好ましい増量剤としては、鉱油分画、アルキル脂環式化合物およびポリアルキルベンゼンを含むアルキルベンゼンが挙げられる。
【0022】
他の好ましい鉱油増量剤としては、アルキル脂環式化合物およびポリアルキルベンゼンを含むアルキルベンゼンが挙げられる。
【0023】
本発明における増量剤として鉱油分画の任意の適切な混合物を用いてもよいが、高分子量の増量剤(例えば数平均分子量(Mn)>220)が特に好ましい。例としては、アルキルシクロヘキサン(数平均分子量>220);1〜99%、好ましくは15〜80%のn−パラフィン系および/またはイソパラフィン系炭化水素(直鎖分岐鎖パラフィン系)、1〜99%、好ましくは85〜20%の環状炭化水素(ナフテン系)、3%以下、好ましくは1%以下の芳香族炭素原子を含有するパラフィン系炭化水素およびこれらの混合物が挙げられる。環状パラフィン系炭化水素(ナフテン系)としては、環状および/または多環式炭化水素が挙げられる。鉱油分画の任意の適切な混合物、例えば
(i)60〜80%のパラフィン系および20〜40%のナフテン系および1%以下の芳香族炭素原子;
(ii)30〜50%、好ましくは35〜45%のナフテン系および70〜50%のパラフィン系および/またはイソパラフィン系オイル;
(iii)60重量%超のナフテン系、20重量%以上の多環式ナフテン系および235℃よりも高いASTM D−86の沸点を含有する炭化水素流体;
(iv)炭化水素100重量部を基準として40重量部超のナフテン系炭化水素および60重量部未満のパラフィン系および/またはイソパラフィン系炭化水素を有する炭化水素流体
を含有する混合物を用いることができる。
【0024】
鉱油系増量剤またはその混合物は、好適には、以下のパラメータ:
(i)150超、最も好ましくは200超の分子量;
(ii)230℃以上の初留点(ASTM D86に基づく);
(iii)0.9以下の粘度対密度定数(ASTM 2501に基づく);
(iv)平均して1分子当り12個以上の炭素原子、最も好ましくは1分子当り12〜30個の炭素原子;
(v)70℃以上のアニリン点、最も好ましくはアニリン点が80〜110℃である(ASTM D611に基づく);
(vi)増量剤の20〜70重量%のナフテン含量、鉱油系増量剤は、増量剤の30〜80重量%のパラフィン含量を有する(ASTM D3238に基づく);
(vii)−50〜60℃の流動点(ASTM D97に基づく);
(viii)40℃で1〜20cStの動粘度(ASTM D445に基づく);
(ix)0.7〜1.1の比重(ASTM D1298に基づく);
(x)20℃で1.1〜1.8の屈折率(ASTM D1218に基づく);
(xi)700kg/m
3超の15℃での密度(ASTM D4052に基づく);および/または
(xii)100℃超、より好ましくは110℃超の引火点(ASTM D93に基づく)、
(xiii)+30以上のセイボルト色度(ASTM D156に基づく);
(xiv)250ppm以下の含水量(ASTM D6304に基づく);
(xv)2.5ppm未満の硫黄含量(ASTM D4927に基づく)
の少なくとも1つを有する。
【0025】
使用に適したアルキルベンゼン化合物としては、重質アルキレートアルキルベンゼンまたはアルキル脂環式化合物が挙げられる。増量剤および/または可塑剤として有用なアルキル置換アリール化合物の例としては、アルキル、場合によっては他の置換基で置換されたアリール基、特にベンゼンを有し、分子量が200以上の化合物が挙げられる。このような増量剤の例は、米国特許第4,312,802号明細書に記載されており、その内容は参考として本明細書に援用する。これらの化合物は、一般式(I)、(II)、(III)および(IV)によって表すことができる。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
【化3】
【0029】
【化4】
【0030】
(式中、R
6は1〜30個の炭素原子のアルキル鎖であり、R
7〜R
16はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ニトリル、アミン、アミド、アルキルエーテル等のエーテル、アルキルエステル基等のエステルから選択され、nは1〜25の整数である。)
【0031】
特に、本発明の工程に従って使用される増量剤は、式(I)(式中、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は、それぞれ水素であり、R
6はC
10−C
13アルキル基である)を有する。このような化合物の特に有用な原料は、いわゆる“重質アルキレート”であり、これは、油の蒸留後に製油所から回収することができる。通常、蒸留は230〜330℃の温度で行われ、重質アルキレートは、より軽い分画が蒸発された後に残存する分画に存在する。
【0032】
アルキル脂環式化合物の例としては、分子量が200超の置換シクロヘキサンが挙げられる。このような化合物の例は欧州特許第0842974号明細書に記載されており、その内容は参考として本明細書に援用する。このような化合物は、一般式(V)によって表すことができる。
【0033】
【化5】
【0034】
(式中、R
17は1〜25個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキル基であり、R
18およびR
19は、独立して、水素またはC
1−25直鎖または分岐鎖アルキル基から選択される。)
【0035】
組成物に含まれる可塑剤および/または増粘剤の量は、組成物が加えられる目的、使用される可塑剤および/または希釈剤等の分子量等の要因によって異なる。本発明におけるポリマー産物は、これらの要因に応じて、5%w/w〜70%w/wの可塑剤および/または希釈剤(ポリマー並びに可塑剤および/または希釈剤の混合重量を基準とする)を含有することができる。通常の組成物は70%w/w以下の可塑剤および/または増粘剤を含有するであろう。より適切なポリマー産物は、30〜60%w/wの直鎖可塑剤および/または希釈剤を含むが、可塑剤および/または希釈剤が重質アルキレートである場合には、25〜35%w/wがより好ましいであろう。可塑剤および/または希釈剤は、
硬化した組成物中でその相溶性を補助し、機械的特性を改良するため、本発明の組成物中の(a)と(e)の双方と相溶性とする。
【0036】
最も好ましくは、希釈剤は鉱油分画を含む。
【0037】
任意の適切な架橋剤を(b)として使用することができる。高分子量のオルガノポリシロキサンポリマー(a)(i)が−OH末端基を有する場合、適切な架橋剤は、
ケイ素結合加水分解性基を1分子当たり3つ有し;第4の基を望ましくは非加水分解性の
ケイ素結合有機基とすることができる。これらの
ケイ素結合有機基は、任意にハロゲン、例えばフッ素および塩素で置換される適切なヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチル)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチルおよびシクロヘキシル)、アルケニル基(例えばビニルおよびアリル)、アリール基(例えばフェニルおよびトリル)、アラルキル基(例えば2−フェニルエチル)および、これらの有機基における全てまたは一部の水素をハロゲンに置き換えることによって得られる基が挙げられる。しかしながら、第4の
ケイ素結合有機基はメチルまたはエチルであることが好ましい。
【0038】
架橋剤の具体例としては、メチルトリメトキシシラン(MTM)およびメチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン並びにイソブチルトリメトキシシラン(iBTM)を挙げる。他の適切なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン、アルケニルトリオキシモシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ−ブトキシジアセトキシシラン、フェニル−トリプロピオンオキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル−トリス−メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、エチルポリシリケート、n−プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、ジメチルテトラアセトキシジシロキサンが挙げられる。
【0039】
高分子量のオルガノシロキサンポリマー(a)(i)が−OH末端基を含む場合、架橋剤は下式のジシラアルカンを含む。
【0040】
【化6】
【0041】
(式中、R
1およびR
4は一価の炭化水素、R
2およびR
5はアルキル基またはアルコキシ化アルキル基、R
3は二価の炭化水素基であり、aおよびbは0または1である。)具体例としては、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン1,1−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)プロパン、1,1−ビス(メチルジメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−トリメトキシシリル−2−メチルジメトキシシリルエタン、1,3−ビス(トリメトキシエトキシシリル)プロパンおよび1−ジメチルメトキシシリル−2−フェニルジエトキシシリルエタンが挙げられる。
【0042】
さらに、選択的な架橋剤としては、アルキルアルケニルビス(N−アルキルアセトアミド)シラン、例えばメチルビニルジ(N−メチルアトアミド)シランおよびメチルビニルジ−(N−エチルアセトアミド)シラン;ジアルキルビス(N−アリールアセトアミド)シラン、例えばジメチルジ−(N−メチルアセトアミド)シラン;およびジメチルジ−(N−エチルアセトアミド)シラン;アルキルアルケニルビス(N−アリールアセトアミド)シラン、例えばメチルビニルジ(N−フェニルアセトアミド)シランおよびジアルキルビス(N−アリールアセトアミド)シラン、例えばジメチルジ−(N−フェニルアセトアミド)シランが挙げられる。使用される架橋剤としては、前記の化合物の2以上の組み合わせも含む。特に好ましい架橋剤は、メチルトリメトキシシランである。
【0043】
使用される架橋剤は、前記2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。好ましい縮合架橋剤は、組成物中に約0.1〜10%存在する。
【0044】
高分子量のオルガノポリシロキサンポリマー(a)(i)が、不飽和性末端基を含む場合、硬化工程はヒドロシリル化反応経路によって開始し、それ故に、架橋剤は、通常ケイ素が水素に結合した基を3つ以上有する。本組成物の硬化作用のため、オルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子当りケイ素が結合した水素原子を2以上含む。オルガノハイドロジェンシロキサンは、例えば1分子当り約4〜200のケイ素原子、好ましくは1分子当り約4〜50のケイ素原子を有し、25℃で約10Pa・s以下の粘度を示す。オルガノハイドロジェンシロキサンに存在する
ケイ素結合有機基としては、炭素原子1〜4の置換および非置換のアルキル基が挙げられ、他には、エチレンまたはアセチレンといった不飽和基が挙げられる。好ましくは、個々のオルガノハイドロジェンシロキサン分子が、オルガノハイドロジェンシロキサン中のSi−H基の、ポリマー(a)および(b)中
のアルケニル基の総量に対するモル比が1/1から10/1となるのに十分な量の、1分子当たり
ケイ素結合水素原子を少なくとも3つ有する1以上のオルガノハイドロジェンシロキサン分子を含む。
【0045】
高分子量のオルガノポリシロキサンポリマー(a)(i)が、−OH末端基または加水分解可能な末端基を有する場合、任意の適切な縮合触媒(c)は、組成物を硬化させるために用いることができ、スズ、鉛、アンチモン、鉄、カドミウム、バリウム、マンガン、亜鉛、クロミウム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ガリウムまたはゲルマニウムおよびジルコニウムが挙げられる。例としては、有機スズ金属触媒、例えばトリエチルスズ酒石酸塩、オクチル酸スズ、オレイン酸スズ、ナフトエ酸スズ、ブチルスズトリ−2−エチルヘキソエート、スズブチレート、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、イソブチルスズトリセロエートおよびジオルガノスズ塩、特にジオルガノスズジカルボキシレート化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジブチレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジアセテート、ジメチルスズビスネオデカン酸、ジ安息香酸ジブチルスズジ、オクチル酸第一スズ、ジメチルスズジネオデカン酸、ジブチルスズジオクトアートが挙げられ、オクチル酸スズが特に好ましい。他の例としては、鉄、コバルト、マンガン、鉛および亜鉛の2−エチルヘキソエートが挙げられる。
【0046】
選択的な縮合触媒としては、チタン酸またはジルコン酸化合物が挙げられる。該チタン酸としては、一般式Ti[OR]
4の化合物が挙げられ、Rはそれぞれ同じであるか異なる1〜10個の炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖の一価、第一級、第二級または第三級脂肪族化合物炭化水素基を示す。任意に、チタン酸は、部分的に不飽和基を含む。しかしながら、Rの非限定的な好ましい例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第三級ブチルおよび分岐鎖第二級アルキル基、例えば2,4−ジメチル−3−ペンチルが挙げられる。好ましくは、Rがそれぞれ同じ場合、Rは非分岐鎖第二級アルキル基、分岐鎖第二級アルキル基または第三級アルキル基、特に第四級ブチル、例えばテトラブチルチタン酸、テトライソプロピルチタン酸である。
【0047】
錯誤を回避するため、非分岐の第二級アルキル基とは、1個以上の炭素原子を含む副鎖、即ち、イソプロピル基を含まない直鎖有機鎖を意味するものとし、分岐鎖第二級アルキル基とは、例えば2,4−ジメチル−3−ペンチルのような1個以上の炭素原子の副鎖を有することを意味する。
【0048】
任意の適切なキレート化したチタン酸またはジルコン酸を使用してもよい。好ましくは、キレート基は、チタン酸キレートを供するアセチルアセトナートおよびアルキルアセトアセトナート等のモノケトエステルであって、例えばジイソプロピルビス(アセチルアセトニル)チタン酸、ジイソプロピルビス(エチルアセトアセトニル)チタン酸、ジイソプロポキシチタニウムビス(エチルアセテート)等が使用できる。適切な触媒の例は、本明細書に参考として援用されている欧州特許第1254192号明細書および国際公開第200149774号にさらに記載されている。
【0049】
好ましくは、触媒、成分(c)は、組成物成分(a)(i)の約0.1〜3重量%の量で存在し、キレート剤が使用される場合、より多くの量が存在してもよい。触媒は、チタン酸系が最も好ましいが、他の湿分硬化触媒系でもよい。
【0050】
成分(a)(i)中のシリル末端基が不飽和基を含む場合、適切なヒドロシリル化触媒が使用される。これらは、通常、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウムまたはルテニウム触媒から選択される白金族金属系の触媒である。本組成物の硬化を触媒するのに実用的な白金族金属を含む触媒は、ケイ素が結合した水素原子とケイ素が結合したアルケニル基との触媒反応として既知である。ヒドロシリル化によって本組成物に硬化作用を生じる触媒として使用するのに好ましい白金族金属は、白金である。本発明の組成物の硬化における、いくつかの好ましい白金族ヒドロシリル化触媒としては、白金金属、白金化合物および白金錯体が挙げられる。典型的な白金化合物としては、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金および低分子量のビニルを有するオルガノシロキサンを含むこれらの化合物の錯体が挙げられる。
【0051】
白金族金属を含む触媒を、本組成物1パーツ・パー・ミリオン(ppm)当り、白金族金属元素をわずか0.001重量部と同量で添加してもよい。好ましくは、組成物中の白金族金属の濃度は、白金族金属元素の少なくとも1ppmと等量で提供することができる。白金族金属元素が約3〜50ppmとなる触媒濃度が、一般的に好ましい量である。
【0052】
長い反応時間または“ポットライフ”を得るため、大気中において、ヒドロシリル化触媒の活性は、適切な阻害剤の添加によって、遅延させるか、抑えることができる。既知の白金族金属触媒の阻害剤としては、米国特許第3,445,420号明細書に開示されているアセチレン化合物が挙げられる。2−メチル−3−ブチン−2−オルおよび1−エチニル−2−シクロヘキサノールのようなアセチレンアルコールは、白金系触媒の活性を25℃で抑える阻害剤の好ましいクラスを構成する。これらの触媒を含む組成物は、通常、実用的な速度で硬化するには、70℃以上の温度に加熱する必要がある。室温硬化は、通常、二部構成の系が使用され、架橋剤および阻害剤が二部のうちの一部を構成し、白金はもう一方の一部を構成する系により実施し得る。白金を増量することにより、室温での硬化を可能とした。
【0053】
本発明の組成物は、高表面積ヒュームドシリカ、沈降シリカのような1以上の微粉化した強化用充填剤(d)と、一定量までの炭酸カルシウム、または、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタンおよびカーボンブラック、タルク、ウォラストナイトのような追加の非強化用充填剤を含む。単独または前記のものと組み合わせて使用可能な他の充填剤としては、アルミナイト、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン等のクレイ、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(ブルーサイト)、黒鉛、炭酸銅(例えばマラカイト)、炭酸ニッケル(例えばザラカイト)、炭酸バリウム(例えば毒重石等)、および/または炭酸ストロンチウム(例えばストロンチアナイト)が挙げられる。
【0054】
酸化アルミニウム、シリケートは、カンラン石族、ザクロ石族、アルミノシリケート、環状シリケート、鎖状シリケートおよびシート状シリケートからなる群より選択される。カンラン石族は、シリケート鉱物、例えばフォルステライトおよびMg
2SiO
4を含むが、これらに限定されない。ザクロ石群は、粉砕シリケート鉱物、例えばパイローブ;Mg
3Al
2Si
3O
12;グロシュラー;およびCa
2Al
2Si
3O
12を含むが、これらに限定されない。アルミノシリケートは、粉砕シリケート鉱物、例えばシリマナイト;Al
2SiO
5;ムライト;3Al
2O
3・2SiO
2;カイヤナイト;およびAl
2SiO
5を含むが、これらに限定されない。環状シリケート基は、シリケート鉱物、例えばコージライトおよびAl
3(Mg,Fe)
2[Si
4AlO
18]を含むが、これらに限定されない。鎖状シリケート群は、粉砕シリケート鉱物、例えばウォラストナイトおよびCa[SiO
3]を含むが、これらに限定されない。
【0055】
シート状シリケート群としては、シリケート鉱物、例えばマイカ、K
2Al
14[Si
6Al
2O
20](OH)
4、パイロフィライト、Al
4[Si
8O
20](OH)
4、タルクおよびMg
6[Si
8O
20](OH)
4、蛇紋石(例えばアスベスト、カオリナイト、Al
4[Si
4O
10](OH)
8およびバーミキュライト)を含むが、これらに限定されない。
【0056】
さらに、充填剤の表面処理をしてもよく、例えば脂肪酸若しくはステアリン酸塩等の脂肪酸エステルによって、またはオルガノシラン、オルガノシロキサン若しくはオルガノシラザンヘキサアルキルジシラザン、または短鎖シロキサンジオールによって充填剤を疎水性にして、取り扱いをより容易にし、他のシーラント成分との均一な混合物が得ることができる。充填剤の表面処理は、粉砕シリケート鉱物がシリコーンポリマーによって容易に湿潤されるようにする。これらの表面修飾された充填剤は、凝集せず、シリコーンポリマーに均一に取り込むことができる。この結果、室温での未硬化性組成物の機械的特性が改良される。さらに、表面処理された充填剤は未処理材料または原料よりも導電率が低い。
【0057】
上記の充填剤を使用する場合の配合割合は、エラストマー形成組成物および
硬化したエラストマーにおいて必要とされる特性によって異なる。通常、組成物の充填剤含量は、高分子量オルガノポリシロキサンポリマー(a)(i)100重量部当り約5〜約500重量部である。ポリマー(a)100重量部当たり50〜400重量部が好ましい。
【0058】
成分(e)および(f)は、
末端シリル基および/またはペンダントシリル基を有する有機ポリマーであって、ポリウレタン、ポリエーテル、(メタ)アクリレートおよび飽和性炭化水素ポリマー(例えばポリイソブチレン)および/またはその混合物から選択される。成分(e)中のシリル基は、組成物中に存在し、ポリマー(a)(i)の反応基および残留含有物とともに硬化する反応基を包含する。残留含有物としては、例えば(a)が同様の末端基を含む場合、1以上の−OH基または加水分解性基を含み、(a)のシリル末端基にもこれらを含む場合、同様の成分(f)は少なくとも1つの不飽和基を含む。成分(e)および(f)の双方において、シリル基は、好ましくはポリマー骨格に結合している全ての末端基または全てのペンダント基のいずれかであるが、これらの混合物でもよい。
【0059】
任意の適切なシリル化ポリウレタンを、成分(e)または(f)として使用することができる。しかし、イソシアナートシランと反応したポリオールから合成されたポリウレタンが特に好ましい。好適なポリオールとしては、ポリオキシアルキレンジオール、例えばポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシブチレンジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオール等が挙げられる。あるいは、テトラオール、例えばペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等を含む他のポリオール化合物を使用してもよい。本発明に使用される好ましいポリオールは、約500〜約50,000;好ましくは約10,000〜30,000と等価重量のポリオキシプロピレンジオールである。様々な構造、分子量および/または官能性のポリオールの混合物を使用してもよい。
【0060】
適切なポリウレタンプレポリマーの中間体としては、ポリオールのジイソシアネートとの鎖延長反応によって調製することができるポリウレタンポリマーが挙げられる。任意の適切なジイソシアネートを用いることができる。例としては、例えば2,4−トルエンジイソシアネート;2,6−トルエンジイソシアネート;4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’ジイソシアネート;分岐した、または混合された2,4−および4,4’−異性体を有する様々な液状ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
シランエンドキャップは、それぞれ成分(e)および(f)に必要な末端基によって選択される。例えば、前記適切なシリル末端ポリウレタンの調製に用いることができる成分(e)シランエンドキャップの場合は、一般式
R’’−R−Si(X)
n(R’)
3−n
(式中、Rは二価有機基;R’は好ましくは1〜8個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール、Xは2から8個の炭素原子を有するアルコキシ基、−OH基または不飽和基;およびnは1〜3の整数)で示される。R”基は有機官能基であって、イソシアナートまたはヒドロキシル末端ポリマーのいずれかと反応することができ、例えばイソシアナート、一級若しくは二級アミノ、メルカプトまたはウレイド官能基である。Xが不飽和基の場合、Xは同じであるかまたは異なる前記ポリマー(a)の選択肢から選択される。アルケニル基、例えばビニル基が特に好ましい。
【0062】
任意の適切なシリル末端ポリエーテルを成分(e)および(f)として用いてもよい。通常、これらは不飽和基を含むポリエーテルオリゴマーと反応性のケイ素基含有化合物とを、VIII族遷移金属触媒、例えば塩化白金酸の存在下で反応させて調製される。ポリエーテルは、適切な触媒の存在下、二価アルコールまたは多価アルコール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、メタリルアルコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリトリトールまたはヒドロキシルを含むオリゴマー)を重合開始剤として用いて、例えば置換または非置換のC2−12エポキシ樹脂化合物、例えば酸化アルキレン(酸化エチレン、酸化プロピレン、[α]−酸化ブチレン、[β]−酸化ブチレン、酸化ヘキセン、酸化シクロヘキセン、酸化スチレンおよび[α]−酸化メチルスチレン)またはアルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリールグリシジルエーテル(例えばメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルおよびフェニルグリシジルエーテル)の開環付加重合によって得られる。
【0063】
ヒドロキシル末端ポリエーテルオリゴマーへの不飽和基の導入は、既知の方法、例えばヒドロキシル末端ポリエーテルオリゴマーを不飽和基含有化合物と、エーテル結合、エステル結合またはカーボネート結合等の結合を介して反応させることで実施できる。より具体的には、有機ポリマー(A)の例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキキエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体およびポリオキシプロリレン−ポリオキシブチレン共重合体といったポリオキシアルキレンポリマーが挙げられる。ポポリオキシアルキレン系ブロックは、ヒドロシリル反応を介してシランまたはシロキサンと結合させることが好ましい。本発明に適したポリオキシアルキレンブロックは、平均式(−C
nH
2n−O−)
y(式中、nは2〜4の整数であり、yは4以上の整数である)で示されるオキシアルキレンの繰り返し単位(−C
nH
2n−O−)で構成される、オキシアルキレンをおもな構成単位とする直鎖ポリマーを含む。各ポリオキシアルキレンポリマーブロックの数平均分子量は、約300〜約50,000である。さらに、オキシアルキレン単位は、ポリオキシアルキレンモノマー全体を通して必ずしも同一である必要はなく、単位ごとに異っていてもよい。ポリオキシアルキレンブロックは、例えばオキシエチレン単位(−C
2H
4−O−);オキシプロピレン単位(−C
3H
6−O−);またはオキシブチレン単位(−C
4H
8−O−)またはこれらの混合物で構成されていてもよい。ポリオキシアルキレンポリマー骨格は、実質的にオキシプロピレン単位からなることが好ましい。
【0064】
他のポリオキシアルキレンブロックは、例えば
【0065】
【化7】
【0066】
(ここでPnは1,4−フェニレン基であり、R
eはそれぞれ同じであるかまたは異なる2〜8個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり、R
fはそれぞれ同じであるかまたは異なるエチレン基、プロピレン基またはイソプロピレン基であり、R
gはそれぞれ同じであるかまたは異なる水素原子またはメチル基であり、下付き文字のhおよびqはそれぞれ、3〜30の正の整数である)の構造単位を含むことができる。シリル末端基は、−OH基または前記の不飽和基のいずれかを含む。
【0067】
あらゆる適切なシリル末端(メタ)アクリレートポリマーを、成分(e)および(f)として用いることができる。これらとしては、例えばエチル(メタ)アクリレートおよびブチル(メタ)アクリレート等のモノマーのラジカル重合によって得られる(メタ)アクリレートポリマー;(メタ)アクリレートモノマーのラジカル重合によって得られるビニルポリマーが挙げられる。或いは、シリル末端飽和性炭化水素重合体、例えばポリイソブチレン、水素化ポリイソプレンおよび水素化ポリブタジエンを、選択的に(e)として用いてもよい。シリル末端基は、前記の種類の−OH基または不飽和基のいずれかを含む。
【0068】
成分(f)の場合、不飽和基は、それぞれ同じであるか異なるアルケニル末端、例えばエテニル末端、プロペニル末端、若しくはアリル末端(CH
2=CHCH
2−)であるか、またはアクリル酸基若しくはアルキルアクリル酸基(例えばCH
2=C(CH
3)−CH
2−基等)を末端として選択することができる。アルケニル基の非限定的な代表例としては、以下の構造:H
2C=CH−、H
2C=CHCH
2−、H
2C=C(CH
3)CH
2−、H
2C=CHCH
2CH
2−、H
2C=CHCH
2CH
2CH
2−およびH
2C=CHCH
2CH
2CH
2CH
2−で示される基が挙げられる。アルキニル基の非限定的な代表例はとしては、以下の構造:HC≡C−、HC≡CCH
2−、HC≡CC(CH
3)−、HC≡CC(CH
3)
2−、H
2C≡CC(CH
3)
2CH
2−で示される基が挙げられる。或いは、不飽和性有機基は、有機官能性炭化水素、例えばアクリレートおよびメタクリレートでもよい。アルケニル基、例えばビニル基が特に好ましい。
【0069】
任意の成分(e)または(f)は、1以上の適切な可塑剤および/または増量剤またはその混合物(以下、成分(g)として示す)と混合してもよい。成分(g)を使用する場合には、組成物に添加する前に成分(e)に添加しても、直接組成物に添加してもよい。成分(g)は、成分(e)または(f)のいずれか使用する方と実質的に混和性であり、完全に混和性であることが好ましいが、成分(a)(i)と混和性である必要はない。成分(g)を使用する場合には、成分(a)(ii)と混和性であることが好ましいが、これは必須ではない。実際に、適切な候補成分が同定され、(a)(ii)と成分(g)とが同一の場合、これは好ましくない。成分(g)の例としては、次のものが挙げられ、それぞれ単独で、または列挙された他のものと組み合せたものを包含する:ジアルキルフタレートであって、アルキル基は直鎖および/または分岐鎖でよく、6〜20個の炭素原子を含み、例えばジオクチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジアラニルフタレートおよび他のフタレート;アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、オレイン酸およびセバシン酸エステル、ポリオール、例えばエチレングリコールおよびその誘導体、有機リン酸塩、例えばリン酸トリクレジルおよび/またはリン酸トリフェニル。
【0070】
組成物に含むことができる他の成分としては、接着促進剤、顔料、UV安定剤、殺菌剤および/または殺生物剤等(適切には0〜0.3重量%で存在し得る)、水捕捉剤(water scavenger)(通常、架橋剤として使用されるものと同じ化合物またはシラザン)が含まれるが、これらに限定されない。上記リストのうち2以上の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤は、次に参照されるあらゆる方法において機能性を発揮する。
【0071】
任意の適切な接着促進剤を、本発明によるシーラント組成物に取り入れることができる。これらとしては、アミノアルキルアルコキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシランおよびγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、シリルアクリレートとエチレンジアミンの反応生成物が挙げられる。ケイ素基を含有するイソシアヌレート、例えば1,3,5−トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートをさらに使用できる。さらに適切な接着促進剤は、エポキシアルキルアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのようなエポキシアルコキシシランと、3−アミノプロピルトリメトキシシランのようなアミノ置換アルコキシシランと(任意にメチル−トリメトキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン等のアルキルアルコキシシランおよびこれらの誘導体と)を反応させた反応生成物である。
【0072】
増量剤中で重合化したシリコーンと−OH官能基有機ポリマーまたは加水分解可能な官能基シリル末端有機ポリマーとの混合物、またはシーラント配合物中の1以上の不飽和性シリル末端有機ポリマー(例えばシリル末端ポリエーテル(STPE))は、硬化性で、且つ、塗装可能なシリコーンハイブリッドシーラントを生成し得る。湿分硬化系の場合、2つの湿分硬化性ポリマーの使用は、硬化後、従来の不混和性ポリマーの混合物と比して、優れた機械的性能を有する相互貫入ポリマーネットワークが形成される。硬化物質は、シロキサン中の総含有量が10重量%未満に保たれた条件において、水溶性および溶媒系塗料として良好な塗装性を示す。伸長性のある部位は、0.5MPaの引張り力、弾性率100%の条件下で200%以下の伸長を示す。有機増量剤中で重合した高分子量のシリコーンの使用は、優れた機械的性能および優れた塗装性との組み合わせの双方を実現できることを要する。
【0073】
本発明の組成物は、任意の適切な混合装置を用いて組成物の構成物質を混合することによって調製することができる。任意の構成物質を、必要に応じて添加できる。例えば、好適には一液型の湿分硬化性組成物は、ヒドロキシル基または加水分解性基を有する希釈されたポリマーと使用される充填剤とを共に混合し、これを架橋剤および触媒のプレミックスと混合することによって生成することができる。UV安定剤、顔料および他の添加剤は、所望される任意の段階で混合物に添加することができる。重合後、追加の可塑剤および/または希釈剤が必要な場合、他の組成物の成分と混合することができる。
【0074】
混合後、組成物は使用時まで、実質的に無水条件下、例えば密封容器に保存することができる。
【0075】
可塑剤および/または増量剤の存在下で重合することにより、シーラント配合物に対していくつかの効果を奏する。レオロジーに関しては、可塑剤および/または増量剤の存在により長くなったポリマー鎖によって、希釈シーラント中の可塑剤および/または増量剤の量が補われ、希釈ポリマーの粘度を、例えば25℃で可塑剤および/または増量剤がシーラント配合物に使用される従来のポリマーに添加された場合の通常の粘度80,000〜100,000mPa・sよりも大幅に高いものとなる。生成されるシーラントの弾性率が低くなることで、たとえ可塑剤および/または増量剤の損失が生じても、本発明の工程に基づいて調製することができる高分子量のポリマーによる有効な弾性率が、収縮により密封部に生じる応力を補うことができる範囲で、密封された接続部においてより大きな可動性を有することを意味する。本発明の工程の生成物は、ポリマーの分子量を考慮した場合に、希釈ポリマーの粘度が比較的低いため、優れた加工性を有する、という利点がある。
【0076】
配合物(他の付加硬化性組成物でもよいが、好ましくは湿分硬化シーラント配合物)は、架橋結合により、2つの不混和ポリマー(a)および(e)のin−situカップリングを生じる。この反応は、良好な力学的性質および接着性を得る必要条件である、相互貫入ポリマーネットワークの形成を必要とする。
【0077】
本発明によるエラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物であって、
(I)オルガノポリシロキサンを含むモノマーまたはオリゴマーポリマーを、1以上の有機可塑剤および/若しくは1以上の有機増量剤またはその混合物の存在下、重縮合経路、開環経路、重付加経路または鎖延長反応経路を介して重合し、数平均分子量(M
n)が100,000以上のオルガノポリシロキサン鎖並びにシラノールおよび/または他の加水分解性基のいずれかから選択される末端基;または不飽和基を含む希釈ポリマー産物(a)を生成する工程;
(II)希釈ポリマー産物(a)を、
(b)(a)を架橋結合するための適量の1以上の適切な架橋剤;
(c)適量の触媒;
(d)1以上の充填剤;および(e)または(f)のいずれかであって、(a)および(b)と化学的相互作用を示すものから選択されたもの;
(e)−OH官能基または加水分解可能な官能基を含む末端シリル基および/またはペンダントシリル基を有する1以上の有機ポリマー;および
(f)(a)の末端基に
応じて選択される、1以上の不飽和基を有する
末端シリル基および/またはペンダントシリル基を含む1以上の有機ポリマー;を混合する工程を備えることによって、
組成物が8重量%
以下の高分子量のオルガノポリシロキサンポリマーを成分(a)に含むことを特徴とする硬化性組成物を提供する。
【0078】
本発明による組成物は、好ましくは一液型または二液型のオルガノポリシロキサンシーラント組成物である。二液型組成物は、使用の直前に適切な比率(例えば1:1〜10:1)で混合するため、第1部材に希釈ポリマーおよび充填剤(必要な場合)を含み、第2部材に触媒および架橋剤を含むものが提供される。前記任意の添加剤は、二液型組成物の第1または第2部材のいずれかにも添加することができるが、好ましくは、第2部材に添加する。
【0079】
組成物は、任意の適切な混合装置を用いて原料を混合することによって調製することができる。他の成分を適宜添加できる。例えば、好ましい一液型の、湿分硬化性組成物は、ヒドロキシル基または加水分解性基を有する増量ポリシロキサンと、使用されるオルガノシリコーン可塑剤または充填剤とを一緒に混合し、これを架橋剤および触媒のプレミックスと混合することによって製造することができる。UV安定剤、顔料および他の添加剤は、任意の段階で混合物に添加することが好ましい。
【0080】
混合後、組成物は、使用時まで、実質的に無水条件下、例えば密封容器に保存することができる。
【0081】
この態様による組成物は、保存の際は安定しているが、大気中の水分に曝されると硬化し、様々な用途において、例えばコーティング剤、コーキング剤および封入剤として用いることができる。しかしながら、これらは相対運動を受ける物品および構造体における接続部、空隙および他の空間を密封するのに特に適している。したがって、これらはガラスシーラントとして、またシーラントの外観が重要である建築構造物を密封するのに特に適している。
【0082】
したがって、さらなる態様では、本発明は2つのユニット間の空間を密封する方法を提供し、当該方法は、前記組成物を塗装すること、また組成物を硬化させる工程を備える。適切なユニットには、前記ガラス構造体または建築ユニットが含まれ、これらは本発明のさらなる態様を形成する。
【0083】
本発明のさらなる実施形態において、硬化保護用コーティングを用いて
硬化したシリコーンエラストマーを表面コーティングとして生成する方法であって、前記組成物を、
硬化したエラストマー表面が得られ、均質なつや消し面が生じるまで湿気に曝した後、大気状態において硬化する保護用コーティング組成物を塗装し、その後、それが塗装される
硬化したエラストマー表面の少なくとも一部が表面を湿潤し、実質的に欠陥のないフィルムを生成し、その後、保護用コーティング組成物が硬化させる工程を備える方法を提供する。
【0084】
組成物は好ましくは室温加硫組成物であり、これらは加熱することなく室温で硬化するが、硬化を加速するため、適宜加熱してもよい。
【0085】
好ましくは、本発明の組成物における増量ポリマーは、任意の適切な重合工程によって得ることができるが、但し、ポリマーは重合工程の間に増量剤で希釈される。前記ポリマーの調製の好ましい経路は、
(i)重縮合
(ii)開環/平衝
(iii)重付加
(iv)鎖伸長
を介して、必要であれば、前記の重合経路から得られるポリマーをエンドキャッピングして、必要な加水分解性
基を提供する。
【0086】
本発明によるエラストマー体に硬化することができる硬化性組成物の調製方法は、
(I)オルガノポリシロキサンを含むモノマーまたはオリゴマーポリマーを、1以上の有機可塑剤および/または1以上の有機増量剤またはその混合物の存在下、重縮合経路、開環経路、重付加経路または鎖延長反応経路を介して重合し、数平均分子量(M
n)が100,000以上のオルガノポリシロキサン鎖並びにシラノールおよび/または他の加水分解性基のいずれかから選択される末端基;または不飽和基を含む希釈ポリマー産物(a)を生成する工程;
(II)希釈ポリマー産物(a)を、
(b)(a)を架橋結合するための適量の1以上の適切な架橋剤;
(c)適量の触媒;
(d)1以上の充填剤;および
(e)または(f)のいずれかであって、(a)および(b)と化学的相互作用を示す
ものから選択されたもの、
(e)−OH官能基若しくは加水分解可能な官能基を含む末端シリル基および/またはペンダントシリル基を有する1以上の有機ポリマー、および
(f)(a)の末端基に
応じて選択される、1以上の不飽和基を有する
末端シリル基および/またはペンダントシリル基を含む1以上の有機ポリマー、
と混合する工程を備え、
組成物が8重量%
以下の高分子量のオルガノポリシロキサンポリマーを成分(a)に含むことを特徴とする硬化性組成物を調製する方法を提供する。
【0087】
生成される組成物は、室温で、大気中の水分の存在下で硬化させることができる。
【0088】
<重縮合>
低分子量の副生成物、例えば水、アンモニアまたはメタノール等の脱離を伴う、複数のモノマーおよび/またはオリゴマーの重合。重縮合タイプの重合反応は、最も一般的には、例えば水またはメタノール等を放出して相互作用するヒドロキシル末端基および/または加水分解可能な末端基を有する化合物の相互作用に関連する。本発明によるモノマーおよび/またはオリゴマー間の重合工程にさらに利用することができる縮合反応の選択としては、
1)オルガノハロシリル基とオルガノアルコキシシリル基との縮合、
2)オルガノハロシリル基とオルガノアシルオキシシリル基との縮合、
3)オルガノハロシリル基とオルガノシラノールとの縮合、
4)オルガノハロシリル基とシラノレートとの縮合、
5)オルガノ−ヒドロキシル基とオルガノシラノール基との縮合、
6)オルガノアルコキシシリル基とオルガノアシルオキシシリル基との縮合、
7)オルガノアルコキシシリル基とオルガノシラノール基との縮合、
8)オルガノアミノシリル基とオルガノシラノールとの縮合、
9)オルガノアシルオキシシリル基とシラノレート基との縮合、
10)オルガノアシルオキシシリル基とオルガノシラノールとの縮合、
11)オルガノオキシモシリル基とオルガノシラノール基との縮合、
12)オルガノエノキシシリル基とオルガノシラノールとの縮合、
13)1以上のヒドロシラン官能基を含むシロキサン化合物を、少なくとも1つのアルコキシシラン官能基を含有するシロキサン化合物との、炭化水素副生成物を生成する縮合
を含む。
【0089】
前記縮合タイプの反応は、いずれもモノマー/オリゴマーの重合に使用することができ、それ自体が本発明に基づく重合工程の基礎である。
【0090】
重合工程の1つの好ましい方法は、式(1a)
R’aSi0
4−a/2 (1a)
(式中、R’はそれぞれ水素または前記のR
5のいずれかである)の直鎖および/または分岐鎖オルガノポリシロキサンの重合である。好ましくは、ポリジオルガノシロキサンは、ポリジアルキルシロキサン、最も好ましくはポリジメチルシロキサンである。それらは好ましくは実質的に直鎖の物質であり、式R’’
3SiO
1/2(式中、R’’はそれぞれ同じであるかかまたは異なり、R’または縮合性基である)のシロキサン基で末端封鎖されている。本発明の重合工程に縮合性末端基の任意の適切な組み合わせを使用することができる(即ち、選択される縮合性基は、重合するために相互に縮合反応を起こすことができるものでなければならない)。好ましくは、少なくとも1つのR’’基は、ヒドロキシル基または加水分解性基である。通常、モノマー/オリゴマー末端基として使用される縮合性基は、前記の通りであるが、本発明による増量剤の存在下におけるモノマー/オリゴマーの重縮合に関与するいずれの基でもよい。
【0091】
シラノール含有シロキサンの縮合反応のための出発原料は、アルコキシ等の、
ケイ素結合ヒドロキシル基または加水分解性基を有するオルガノポリシロキサンオリゴマーであり、これはシラノール基を縮合反応中に(in situ)生成することができる。好ましくは、出発原料は加水分解できない末端基を含む。いくつかの出発原料は、非加水分解性の末端基である。
【0092】
前記工程の多くには、触媒が必要である。任意の適切な重縮合触媒を利用することができる。これらの触媒としては、本発明による組成物の縮合硬化に使用する、前記任意の触媒としては、プロトン酸、ルイス酸、有機塩基、無機塩基、金属塩および有機金属錯体が挙げられる。本発明における重合に適したルイス酸触媒(「ルイス酸」とは、電子対を受け取って共有結合を形成する任意の物質を示す)としては、例えば三フッ化ホウ素、FeCl
3、AlCl
3、ZnCl
2およびZnBr
2が挙げられる。
【0093】
より好ましいのは、式R
20SO
3H(式中、R
20は、好ましくは6から18個の炭素原子を有するアルキル基(例えばヘキシルまたはドデシル基等)、アリール基(例えばフェニル基等)またはアルカリル基(例えばジノニル−またはジドエシル−ナフチル等)を表す)の酸性縮合触媒等の縮合特異性触媒である。水を任意に添加してもよい。R
20は、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)等の6〜18個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルカリル基であることが好ましい。他の縮合特異性触媒としては、n−ヘキシルアミン、テトラメチルグアニジン、ルビジウムまたはセシウムのカルボン酸塩、マグネシウム、カルシウムまたはストロンチウムの水酸化物、および当該技術分野、例えば英国特許第895091号、第918823号明細書および欧州特許第0382365号明細書において言及されるような他の触媒が挙げられる。また、塩化ホスホニトリルに基づく触媒、例えば米国特許第3,839,388号明細書および第4,564,693号明細書または欧州特許出願第215470号明細書に基づいて調製されるもの、並びに英国特許第2252975号明細書に記載されるような一般式[X
3(PX
32=N)
sPX
33]
+[M
2X
3(v−t+1)R
IIIt]
−(式中、X
3はハロゲン原子を示し、M
2は、ポーリング・スケールに従って1.0〜2.0の電気陰性度を有する元素であり、R
IIIは12個以下の炭素原子を有するアルキル基であり、sは1〜6であり、vはM
2の価数または酸化状態であり、tは0〜v−1の値を有する)を有するハロゲン化ホスホニトリルイオンに基づく触媒も好ましい。
【0094】
或いは、触媒は以下の一般式
Z
1−PCl
2=N(−PCl
2=N)n−PCl
2−O
(式中、Z
1は、酸素を介してリンに結合したオルガノシリコーンラジカル、塩素原子またはヒドロキシル基を表し、nは0または1〜8の整数を表す)を有するオルガノシリコーンラジカルを含有する、酸素含有クロロホスファゼンを含むことができる。また、触媒は、前記縮合性生物および/またはその互変異性体(Z
1がヒドロキシル基である場合には、触媒は互変異性形態で存在する)を含むことができる。
【0095】
本発明において、触媒として使用することができるさらに代替的な触媒は、国際公開第01/79330号に規定されるような、少なくとも1つのシラノール基と相互作用することができる、少なくとも1つの四置換ホウ素原子とプロトンとを有するアニオン源を提供する、任意の適切な化合物である。
【0096】
触媒の活性は、触媒と反応してこれを不活性化する中和剤を用いて、失活させることが好ましい。通常は、酸タイプの縮合触媒の場合、中和剤はアミン等例えばモノ/ジおよびトリアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン(MEA)およびトリエタノールアミン(TEA))のようなアミンといった、塩基である。あるいは、DBSA触媒を用いる系の場合、失活方法としては、DBSAを吸着して安定なポリマーを残存させるアルミナシリケートのゼオライト物質が挙げられる。多くの場合、触媒残渣は、ポリマー生成物に残存するか、または、適宜濾過若しくはその他の方法によって除去することができる。所望の粘度を有するホスファゼン系の触媒の場合、使用される触媒、または縮合および/または平衝に供与される有機ケイ素化合物との反応によりこの触媒から生成される反応生成物が、有機ケイ素化合物の縮合および/または平衡を促進するような手法によって、製造工程で生成される有機ケイ素化合物の粘度は一定に維持される。前記触媒または反応生成物は、阻害剤または不活性剤の添加によって阻害されるか、または不活性化される。このような阻害剤または不活性剤は、これまでホスファゼン、例えばトリイソノニルアミン、n−ブチルリチウム、リチウムシロキサノレート、ヘキサメチルジシラザンおよび酸化マグネシウム等と併せて使用されてきた。
【0097】
適宜重合反応を停止させ、これにより、平均分子量を制限する任意の適切な末端封鎖剤を使用して、X
2およびX
1のような前記シリル末端基を導入してもよい。
【0098】
<平衝/開環>
平衝重合工程、例えば開環重合のための出発原料は、シクロシロキサン(環状シロキサンとしても知られている)である。有用な環状シロキサンは、周知のものであり、市販の材料である。それらは、一般式(R
21SiO)
m(式中、R
21はそれぞれ前記のようなR’であり、mは3〜12の整数を示す)を有する。R
21は、ハロゲン、例えばフッ素または塩素と置換してもよい。アルキル基は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、トリフルオロプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルでもよい。アルケニル基は、例えばビニル、アリル、プロペニルおよびブテニルでもよい。アリール基およびアラルキル基は、例えばフェニル、トリルおよびベンゾイルでもよい。好ましい基は、メチル、エチル、フェニル、ビニルおよびトリフルオロプロピルである。好ましくは、全てのR
21基の少なくとも80%が、メチル基またはフェニル基であり、最も好ましくはメチルである。好ましくはmの平均値は、3〜6である。適切な環状シロキサンの例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタ(メチルビニル)シロキサン、シクロテトラ(フェニルメチル)シロキサン、シクロペンタメチルヒドロシロキサンおよびその混合物である。1つの特に適切な市販材料は、オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンを含む混合物である。通常、湿分はモノマー中に存在する。水の存在は、ポリマー上にOH末端基を形成することによって、末端封鎖剤として作用する。
【0099】
任意の適切な触媒を用いることができる。これらとしては、アルカリ金属水酸化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドまたはアルカリ金属水酸化物とアルコールとの錯体、カリウムシラノレート、セシウムシラノレート、ナトリウムシラノレートおよびリチウムシラノレートまたはトリメチルカリウムシラノレート等のアルカリ金属シラノレートが挙げられる。利用可能な他の触媒としては、テトラ−アルキルアンモニウム水酸化物とシロキサン四量体との反応によって得られる触媒および前記のようなホウ素系の触媒が挙げられる。
【0100】
しかしながら、平衝型反応に最も好ましい触媒は、前記のようなハロゲン化ホスホニトリル、ホスファゼン酸およびホスファゼン塩基である。
【0101】
生成されるポリマーは、必要であれば、ポリマーの分子量を規定する方法および/または官能性を付与するために末端封鎖してもよい。適切な末端封鎖剤としては、希釈ポリマーにおいて調製され、生成されるポリマーの構成物質の末端基と反応できる基を1つ有するシラン類が挙げられる。しかしながら、本発明の課題のための末端封鎖剤として利用することができるシラン類が好ましい。末端封鎖剤は、X
2およびX
1として前記ヒドロキシル基および加水分解性基を導入するために用いられる。
【0102】
<重付加>
本明細書において、「重付加」または(「付加重合」)工程とは、縮合反応とは異なり、重合の際、モノマーおよびオリゴマーの共反応化合物から副生成物、例えば水またはアルコールを発生しない重合工程を指す。好ましい付加重合経路は、適切な触媒の存在下における不飽和性有機基、例えばアルケニル基またはアルキニル基とSi−H基の間のヒドロシリル化反応である。
【0103】
通常、重付加経路を利用して、増量剤および適切な触媒並びに任意に末端封鎖剤の存在下における付加反応経路を介して、
(a)オルガノポリシロキサンと、
(b)1以上の
(i)オルガノポリシロキサンポリマーまたは
(ii)有機ポリマーと
を反応させること、および
必要であれば、この重合工程を失活させることによって、ブロックコポリマーを生成する。
【0104】
オルガノポリシロキサン(a)は、ポリマー(b)(i)または(ii)と適切な付加反応を生じるような置換基を含有している必要がある。好ましい付加反応は、不飽和基とSi−H基との間のヒドロシリル化反応である。
【0105】
オルガノポリシロキサンモノマー(a)は、好ましくは式(1a)の単位
R’
aSiO
4−2/a (1a)
(式中、R’はそれぞれ、前記の通りである)を含む直鎖および/または分岐鎖オルガノポリシロキサンの形態である。ポリジオルガノシロキサンは、好ましくはポリジアルキルシロキサン、最も好ましくはポリジメチルシロキサンである。オルガノポリシロキサンまたはシラン(a)がオルガノポリシロキサンモノマーである場合、当該オルガノポリシロキサンモノマーは、付加反応工程を介して、ポリマー(b)(i)または(ii)の少なくとも2つの基、通常は末端基と反応性のある基を少なくとも1つ有していなければならない。好ましくはオルガノポリシロキサン(a)(i)は、1分子当り少なくとも1つのSi−H、好ましくは1分子当り少なくとも2つのSi−H基を含む。好ましくはオルガノポリシロキサン(a)(i)は、式H(R’’)
2SiO
1/2(式中、R’’はそれぞれ炭化水素基または置換炭化水素基であり、最も好ましくはアルキル基である)のシロキサン基で末端封鎖される。好ましくは、オルガノポリシロキサン(a)は25℃で10mPa・s〜5000mPa・sの粘度を有する。
【0106】
オルガノポリシロキサンポリマー(b)(i)は、好ましくは式(1b)の単位
R’’’
aSiO
4−2/a (1b)
(式中、R’’’は、それぞれ同じであるか異なる1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1から18個の炭素原子を有する置換炭化水素基または18個以下の炭素原子を有するヒドロカルボノキシ基を示し、
aは平均して1〜3、好ましくは1.8〜2.2である)を含む直鎖および/または分岐鎖オルガノポリシロキサンである。R’’’基は、水素基でないことが好ましい。好ましいR’’’基は、それぞれ同じであるか異なるアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシルおよびオクタデシル;シクロアルキル、例えばシクロヘキシル;アリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジルおよび2−フェニルエチル;並びにハロゲン化炭化水素基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピルおよびジクロロフェニルが例示されるが、これらに限定するものではない。
【0107】
オルガノポリシロキサンポリマー(b)(i)は、任意の適切なオルガノポリシロキサンポリマー骨格を含むことができるが、好ましくは直鎖または分岐鎖であり、付加反応経路を介して、オルガノポリシロキサンまたはシラン(a)中の前記基と反応する1つ以上、好ましくは2つ以上の置換基を含む。好ましくは、ポリマー(b)(i)の前記置換基は、末端基である。オルガノポリシロキサンまたはシラン(a)が、1つ以上のSi−H基を含む場合、Si−H基と相互作用するように設計されたオルガノポリシロキサンポリマー(b)(i)上の好ましい置換基は、好ましくは不飽和基(例えばアルケニル末端、例えばエテニル末端、プロペニル末端、アリル末端(CH
2=CHCH
2−))であるか、またはアクリル酸基若しくはアルキルアクリル酸基、例えばCH
2=C(CH
3)−CH
2−基で終端される。アルケニル基の非限定的な代表例は、次の構造:H
2C=CH−、H
2C=CHCH
2−、H
2C=C(CH
3)CH
2−、H
2C=CHCH
2CH
2−、H
2C=CHCH
2CH
2CH
2−およびH
2C=CHCH
2CH
2CH
2CH
2−で示される。アルキニル基の非限定的な代表例は、次の構造:HC≡C−、HC≡CCH
2−、HC≡CC(CH
3)−、HC≡CC(CH
3)
2−、HC≡CC(CH
3)
2CH
2−で示される。あるいは、アルケニル基および/またはアルキニル基等の不飽和性有機基は、アクリレートおよびメタクリレート等の有機官能性炭化水素でもよい。
【0108】
本発明による組成物は、任意の適切な混合装置を用いて組成物の構成物質を混合することによって調製することができる。構成物質を、適宜必要に応じて添加することができる。例えば、好ましい一液型湿分硬化性組成物は、ヒドロキシル基または加水分解性基を有する希釈ポリマーおよび使用される充填剤を一緒に混合し、これを架橋剤と触媒とのプレミックスと一緒に混合することによって製造することができる。UV安定剤、顔料および他の添加剤は、所望される任意の段階で混合物に添加することができる。必要な場合、付加的な可塑剤および/または増量剤を、重合後、他の原料組成物に添加してもよい。
【0109】
混合後、組成物は使用時まで、実質的に無水条件下、例えば密封容器に保存することができる。
【0110】
本発明による組成物は、一液型組成物として配合され、保存中に安定であるが、大気中の水分に曝されると硬化し、様々な用途において、例えばコーティング剤、コーキング剤および封入剤として使用することができる。しかしながら、これらは、相対運動を受ける物品および構造体の接続部、空隙および他の空間を密封するために特に適している。したがって、これらは、ガラスシーラントとして、またシーラントの外観が重要である建築構造物を密封するために特に適切である。
【0111】
したがって、さらなる態様では、本発明は2つのユニット間の空間を密封する方法を提供し、当該方法は、前記組成物を塗装すること、また組成物を硬化させることを備える。適切なユニットには、前記ガラス構造体または建築ユニットが含まれ、これらは本発明のさらなる態様を形成する。