(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669872
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】駆動穴付きねじ及び駆動穴付きねじの製造用ヘッダーパンチ
(51)【国際特許分類】
F16B 23/00 20060101AFI20150129BHJP
B21J 13/02 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
F16B23/00 V
F16B23/00 G
B21J13/02 K
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-28001(P2013-28001)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-156898(P2014-156898A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2013年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】392019123
【氏名又は名称】株式会社ミヤガワ
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(72)【発明者】
【氏名】宮川 勤
(72)【発明者】
【氏名】中井 吉幸
(72)【発明者】
【氏名】北野 克史
(72)【発明者】
【氏名】浅井 武春
【審査官】
竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第04321325(DE,A1)
【文献】
登録実用新案第3089927(JP,U)
【文献】
米国特許第05797659(US,A)
【文献】
実開昭53−097261(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00 − 43/02
B21J 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部(1)の頂面に四角ビット(8)が嵌合される複数の内壁面(5)を有する駆動穴(4)を形成した駆動穴付きねじに於いて、前記駆動穴(4)を正方形の駆動穴(4)とし、ねじのねじ込み時に四角ビット(8)が係合する四つの内壁面(5)にねじの軸線(φ)に沿う凸条(7)をそれぞれ一つずつ形成し、前記各凸条(7)の位置は、内壁面(5)の中央位置から偏倚した位置で且つねじのねじ込み時に四角ビット(8)からトルクを受ける位置とし、更に前記凸条(7)の横断面形状を台形状、三角形状又は四角形状としたことを特徴とする駆動穴付きねじ。
【請求項2】
頭部(1)の頂面に四角ビット(8)が嵌合される複数の内壁面(5)を有する駆動穴(4)を形成した駆動穴付きねじに於いて、前記駆動穴(4)を二つの正方形の穴をねじの軸線(φ)の周りに45度位相をずらせて対称的に配置して形成した八つの角溝(13)を備えた駆動穴(4)とし、各角溝(13)を形成する一対の内壁面(5)のうち、ねじのねじ込み時に四角ビット(8)が係合する一方の内壁面(5)にねじの軸線(φ)に沿う凸条(7)をそれぞれ一つずつ形成し、前記各凸条(7)の位置は、内壁面(5)の中央位置から偏倚した位置で且つねじのねじ込み時に四角ビット(8)からトルクを受ける位置とし、更に前記凸条(7)の横断面形状を台形状、三角形状又は四角形状としたことを特徴とする駆動穴付きねじ。
【請求項3】
頭部(1)の頂面に四角ビット(8)が嵌合される複数の内壁面(5)を有する駆動穴(4)を形成した駆動穴付きねじに於いて、前記駆動穴(4)を正方形の穴と十字穴とを正方形の穴の四隅に十字穴の各溝部(14)が位置するように同心状に配置して形成した駆動穴(4)とし、ねじのねじ込み時に四角ビット(8)が係合する正方形の穴の四つの内壁面(5)にねじの軸線(φ)に沿う凸条(7)をそれぞれ一つずつ形成し、前記各凸条(7)の位置は、内壁面(5)の中央位置から偏倚した位置で且つねじのねじ込み時に四角ビット(8)からトルクを受ける位置とし、更に前記凸条(7)の横断面形状を台形状、三角形状又は四角形状としたことを特徴とする駆動穴付きねじ。
【請求項4】
請求項1に記載の駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチであって、前記製造用ヘッダーパンチは、パンチ本体(9)の先端面中央位置に突出形成され、正方形の駆動穴(4)を形成する横断面形状が正方形の突出部(10)と、突出部(10)の四つの外壁面(11)にそれぞれ形成され、駆動穴(4)の四つの内壁面(5)に凸条(7)を形成する横断面形状が台形状、三角形状又は四角形状の溝(12)とを備え、前記突出部(10)及び溝(12)は、請求項1に記載の駆動穴付きねじの駆動穴(4)及び凸条(7)と同一の形状に形成されていることを特徴とする駆動穴付きねじの製造用ヘッダーパンチ。
【請求項5】
請求項2に記載の駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチであって、前記製造用ヘッダーパンチは、パンチ本体(9)の先端面中央位置に突出形成され、八つの角溝(13)を備えた駆動穴(4)を形成する横断面形状が請求項2に記載の駆動穴付きねじの駆動穴(4)と同一の突出部(10)と、突出部(10)の十六個の外壁面(11)に一つ置きごとに形成され、駆動穴(4)の八つの内壁面(5)に凸条(7)を形成する横断面形状が台形状、三角形状又は四角形状の溝(12)とを備え、前記突出部(10)及び溝(12)は、請求項2に記載の駆動穴付きねじの駆動穴(4)及び凸条(7)と同一の形状に形成されていることを特徴とする駆動穴付きねじの製造用ヘッダーパンチ。
【請求項6】
請求項3に記載の駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチであって、前記製造用ヘッダーパンチは、パンチ本体(9)の先端面中央位置に突出形成され、正方形の穴と十字穴を組み合せた駆動穴(4)を形成する横断面形状が請求項3に記載の駆動穴付きねじの駆動穴(4)と同一の突出部(10)と、突出部(10)の四つの外壁面(11)にそれぞれ形成され、駆動穴(4)の四つの内壁面(5)に凸条(7)を形成する横断面形状が台形状、三角形状又は四角形状の溝(12)とを備え、前記突出部(10)及び溝(12)は、請求項3に記載の駆動穴付きねじの駆動穴(4)及び凸条(7)と同一の形状に形成されていることを特徴とする駆動穴付きねじの製造用ヘッダーパンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部の頂面にインパクトドライバーやドリルドライバー等のねじ締付工具に挿着された四角ビットが嵌合される駆動穴を有する駆動穴付きねじ及び駆動穴付きねじの製造用ヘッダーパンチに係り、特に、ねじのねじ込み前は四角ビットが駆動穴に食い付き、ねじのねじ込み後は四角ビットを駆動穴から容易に外せるようにした施工性の良い駆動穴付きねじ及び駆動穴付きねじの製造用ヘッダーパンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築業界等に於いては、インパクトドライバー等のねじ締付工具のドライバービットには、十字ビットが用いられており、ねじも十字状の駆動穴が形成されたものが主流であった。
【0003】
ところで、近年、作業効率の向上の観点等から強力なねじ締付工具が使用されるようになり、そのようなねじ締付工具で、ねじを厚みのある建築材料や材質の硬い建築材料等にねじ込む場合、ねじ込みの途中や最後のねじ込み時に、十字ビットが十字状の駆動穴から外れてしまい、駆動穴を潰してしまうことが多かった。
【0004】
そのため、現在では十字状の駆動穴を有するねじの他に、頭部の頂面に四角形の駆動穴を有するねじ(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)とこのねじの駆動穴に嵌合する四角ビットが使用されるようになって来た。
【0005】
しかし、従来の四角形の駆動穴を有するねじを四角ビットを用いてインパクトドライバー等のねじ締付工具で建築材料等に打ち込んだ場合、次のような問題点があった。
【0006】
四角ビット20がねじの駆動穴21に食い付く場合、ねじのねじ込み前は、
図27(a)に示すように食い付きがあることから、四角ビット20にねじを容易にセットしてねじ込むことができ、また、ねじのねじ込み時には、四角ビット20とねじの駆動穴21のガタツキも少なく、ねじ込み時の施工性が良いが、ねじのねじ込み後には、
図27(b)に示すように四角ビット20がねじの駆動穴21に深く入り込んでクサビのように駆動穴21に深く食い付くと共に、四角ビット20と駆動穴21の接触面積が増えるため、四角ビット20がねじの駆動穴21から抜け難くなり、施工性が極めて悪くなると云う問題があった。
特に、ねじの締め付けに大きなトルクが必要となれば、四角ビット20がねじの駆動穴21から更に外れ難くなり、施工性がより悪くなる。
【0007】
上述した問題を解決するため、
図28に示すようにねじの駆動穴21を四角ビット20よりも若干大きくしたねじもある。
このねじは、駆動穴21への四角ビット20の食い付きがないため、ねじのねじ込み後には、駆動穴21から四角ビット20を容易に外すことができるが、ねじ込み時には、四角ビット20からのねじの脱落や四角ビット20とねじの駆動穴21のガタツキが発生し、施工性が極めて悪くなると云う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−222117号公報
【特許文献2】特開2005−113489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、ねじのねじ込み前は四角ビットが駆動穴に食い付き、ねじのねじ込み後は四角ビットを駆動穴から容易に外せるようにした施工性の良い駆動穴付きねじ及び駆動穴付きねじの製造用ヘッダーパンチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、頭部の頂面に四角ビットが嵌合される複数の内壁面を有する駆動穴を形成した駆動穴付きねじに於いて、
前記駆動穴を正方形の駆動穴とし、ねじのねじ込み時に四角ビットが係合する四つの内壁面にねじの軸線に沿う凸条をそれぞれ一つずつ形成し、前記各凸条の位置は、内壁面の中央位置から偏倚した位置で且つねじのねじ込み時に四角ビットからトルクを受ける位置とし、更に前記凸条の横断面形状を台形状、三角形状又は四角形状としたことに特徴がある。
【0011】
本発明の請求項2の発明は、
頭部の頂面に四角ビットが嵌合される複数の内壁面を有する駆動穴を形成した駆動穴付きねじに於いて、前記駆動穴を二つの正方形の穴をねじの軸線の周りに45度位相をずらせて対称的に配置して形成した八つの角溝を備えた駆動穴とし、各角溝を形成する一対の内壁面のうち、ねじのねじ込み時に四角ビットが係合する一方の内壁面にねじの軸線に沿う凸条をそれぞれ一つずつ形成し、前記各凸条の位置は、内壁面の中央位置から偏倚した位置で且つねじのねじ込み時に四角ビットからトルクを受ける位置とし、更に前記凸条の横断面形状を台形状、三角形状又は四角形状としたことに特徴がある。
【0012】
本発明の請求項3の発明は、
頭部の頂面に四角ビットが嵌合される複数の内壁面を有する駆動穴を形成した駆動穴付きねじに於いて、前記駆動穴を正方形の穴と十字穴とを正方形の穴の四隅に十字穴の各溝部が位置するように同心状に配置して形成した駆動穴とし、ねじのねじ込み時に四角ビットが係合する正方形の穴の四つの内壁面にねじの軸線に沿う凸条をそれぞれ一つずつ形成し、前記各凸条の位置は、内壁面の中央位置から偏倚した位置で且つねじのねじ込み時に四角ビットからトルクを受ける位置とし、更に前記凸条の横断面形状を台形状、三角形状又は四角形状としたことに特徴がある。
【0013】
本発明の請求項4の発明は、
請求項1に記載の駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチであって、前記製造用ヘッダーパンチは、パンチ本体の先端面中央位置に突出形成され、正方形の駆動穴を形成する横断面形状が正方形の突出部と、突出部の四つの外壁面にそれぞれ形成され、駆動穴の四つの内壁面に凸条を形成する横断面形状が台形状、三角形状又は四角形状の溝とを備え、前記突出部及び溝は、請求項1に記載の駆動穴付きねじの駆動穴及び凸条と同一の形状に形成されていることことに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項5の発明は、
請求項2に記載の駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチであって、前記製造用ヘッダーパンチは、パンチ本体の先端面中央位置に突出形成され、八つの角溝を備えた駆動穴を形成する横断面形状が請求項2に記載の駆動穴付きねじの駆動穴と同一の突出部と、突出部の十六個の外壁面に一つ置きごとに形成され、駆動穴の八つの内壁面に凸条を形成する横断面形状が台形状、三角形状又は四角形状の溝とを備え、前記突出部及び溝は、請求項2に記載の駆動穴付きねじの駆動穴及び凸条と同一の形状に形成されていることに特徴がある。
【0015】
本発明の請求項6の発明は、
請求項3に記載の駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチであって、前記製造用ヘッダーパンチは、パンチ本体の先端面中央位置に突出形成され、正方形の穴と十字穴を組み合せた駆動穴を形成する横断面形状が請求項3に記載の駆動穴付きねじの駆動穴と同一の突出部と、突出部の四つの外壁面にそれぞれ形成され、駆動穴の四つの内壁面に凸条を形成する横断面形状が台形状、三角形状又は四角形状の溝とを備え、前記突出部及び溝は、請求項3に記載の駆動穴付きねじの駆動穴及び凸条と同一の形状に形成されていることに特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の駆動穴付きねじは、頭部の頂面に四角ビットが嵌合される複数の内壁面を有する駆動穴が形成されており、ねじのねじ込み時に四角ビットが係合する前記駆動穴の内壁面にねじの軸線に沿う凸条を形成しているため、ねじのねじ込み時には、駆動穴の内壁面に形成した凸条が四角ビットに食い付くので、四角ビットからのねじの脱落や四角ビットとねじの駆動穴のガタツキを抑制することができ、また、ねじのねじ込み後には、駆動穴の内壁面に凸条を形成しているので、四角ビットがクサビのように駆動穴に強く食い付くことがなく、しかも、凸条と四角ビットの接触面積が小さいので、四角ビットをねじの駆動穴から簡単に外すことができ、極めて施工性が良くなる。
また、本発明の駆動穴付きねじは、駆動穴の内壁面に凸条を形成しているため、例えば、ねじのねじ込み時にインパクトドライバーの振動で四角ビットが駆動穴に深く入り込んで強く食い付くことになっても、インパクトドライバーの振動で駆動穴の内壁面の凸条を押し潰すことになり、その結果、四角ビットの食い付きが無くなって四角ビットが駆動穴から抜け易くなる。
【0018】
本発明の製造用ヘッダーパンチは、ねじの駆動穴と同一の形状に形成され、駆動穴を形成するための突出部と、突出部の外壁面に連続して形成され、凸条を形成するための複数の溝とを備えているため、当該製造用ヘッダーパンチを用いることにより施工性の良い駆動穴付きねじを簡単且つ容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る駆動穴付きねじの一部分を省略した拡大正面図である。
【
図2】
図1に示す駆動穴付きねじの拡大平面図である。
【
図3】
図1に示す駆動穴付きねじの要部の拡大縦断面図である。
【
図4】
図1示す駆動穴付きねじと四角ビットの嵌合状態を示し、ねじのねじ込み前の要部の拡大縦断面図である。
【
図5】
図1示す駆動穴付きねじと四角ビットの嵌合状態を示し、ねじのねじ込み後の要部の拡大縦断面図である。
【
図7】
図1に示す駆動穴付きねじの駆動穴と凸条の位置関係及び両者の寸法を示す説明図と表である。
【
図8】
図1に示す駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチの正面図である。
【
図9】
図8に示す製造用ヘッダーパンチの要部の拡大正面図である。
【
図10】
図8に示す製造用ヘッダーパンチの要部の拡大平面図である。
【
図11】
図8に示す製造用ヘッダーパンチの要部の寸法を示す説明図と表である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る駆動穴付きねじの拡大平面図である。
【
図13】
図12に示す駆動穴付きねじの要部の拡大縦断面図である。
【
図14】
図12に示す駆動穴付きねじの駆動穴と凸条の位置関係及び両者の寸法を示す説明図と表である。
【
図15】
図12に示す駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチの正面図である。
【
図16】
図12に示す製造用ヘッダーパンチの要部の拡大正面図である。
【
図17】
図12に示す製造用ヘッダーパンチの要部の拡大平面図である。
【
図18】
図12に示す製造用ヘッダーパンチの要部の寸法を示す説明図と表である。
【
図19】本発明の第3の実施形態に係る駆動穴付きねじの拡大平面図である。
【
図20】
図19に示す駆動穴付きねじの要部の拡大縦断面図である。
【
図21】
図19に示す駆動穴付きねじの駆動穴と凸条の位置関係及び両者の寸法を示す説明図と表である。
【
図22】
図19に示す駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチの正面図である。
【
図23】
図19に示す製造用ヘッダーパンチの要部の拡大正面図である。
【
図24】
図19に示す製造用ヘッダーパンチの要部の拡大平面図である。
【
図25】
図19に示す製造用ヘッダーパンチの要部の寸法を示す説明図と表である。
【
図26】駆動穴の内壁面に形成した凸条の変形例を示し、(a)は横断面形状が三角形状の凸条、(b)は横断面形状が四角形の凸条、(c)は横断面形状が円弧形状の凸条である。
【
図27】四角形の駆動穴を有する従来のねじと四角ビットの嵌合状態を示し、(a)はねじのねじ込み前の要部の拡大縦断面図、(b)はねじのねじ込み後の要部の拡大縦断面図である。
【
図28】四角形の駆動穴を四角ビットよりも大きくした従来のねじと四角ビットの嵌合状態を示す要部の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜
図6は本発明の第1の実施形態に係る駆動穴付きねじを示し、当該駆動穴付きねじは、四角ビット8が嵌合される複数の内壁面5を有する駆動穴4を形成した頭部1と、頭部1の下面に一体的に形成され、外周面に螺旋状のねじ山3を形成した軸部2とから成り、ドリルねじやタッピングねじ、小ねじ、木ねじ等に形成されている。
【0021】
尚、この実施形態では、頭部1を皿状に形成したが、頭部1を別の形状、例えば、丸皿、丸、鍋、平、丸平等に形成しても良いことは勿論である。
【0022】
前記駆動穴付きねじの駆動穴4は、頭部1の頂面中心部に軸部3側へ向って形成されており、正方形の駆動穴4となっている。
【0023】
即ち、前記駆動穴4は、
図2及び
図3に示す如く、四つの内壁面5と、各内壁面5に連続する円錐状底面6とから成り、円錐状底面6へ向うに従って寸法が小さくなるテーパ状の正方形の駆動穴4となっている。この駆動穴4の深さは、ねじのねじ込み時に於いて駆動穴4に嵌合した四角ビット8のカムアウト現象(四角ビット8が駆動穴4から抜け出そうとする現象)を防止できる程度に設定されている。
また、ねじのねじ込み時に四角ビット8が係合する駆動穴4の四つの内壁面5には、四角ビット8に食い付く横断面形状台形状の凸条7がねじの軸線φに沿ってそれぞれ形成されている。
更に、各凸条7は、ねじのねじ込み時に於いて駆動穴4の内壁面5の四角ビット8からトルクを受ける位置にそれぞれ形成されている。
【0024】
尚、
図7は駆動穴付きねじの駆動穴4と凸条7の位置関係及び両者の寸法を示す説明図と表であり、Xは駆動穴4の下端部分の対向する内壁面5間の距離、Zは駆動穴4の中心線から凸条7までの距離、Wは凸条7の先端面の幅、αは凸条7の両側面が成す角度である。また、凸条7の突出高さは0.05mmに、αは90°にそれぞれ設定されている。更に、Wの寸法及びZの寸法は、駆動穴4(四角穴)の寸法(番号)によって変化している。
【0025】
上述した構成の駆動穴付きねじの駆動穴4に四角ビット8を嵌合すると、駆動穴4の内壁面5に形成した凸条7が四角ビット8に食い付くので、ねじのねじ込み時には、四角ビット8からのねじの脱落や四角ビット8とねじの駆動穴4のガタツキを抑制することができる(
図4参照)。
また、ねじのねじ込み後には、駆動穴4の内壁面5に凸条7を形成しているので、四角ビット8がクサビのように駆動穴4に強く食い付くことがなく、しかも、凸条7と四角ビット8のの接触面積が小さいので、四角ビット8をねじの駆動穴4から簡単に外すことができる(
図5及び
図6参照)。
その結果、前記駆動穴付きねじを用いれば、施工性が極めて良くなる。
【0026】
図8〜
図10は上述した第1の実施形態に係る駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチを示し、当該製造用ヘッダーパンチは、駆動穴付きねじの駆動穴4を押し抜き成形加工するものであり、円柱状のパンチ本体9と、パンチ本体9の先端面中央位置に突出形成され、先端面が円錐状に形成されていると共に、正方形の駆動穴4を形成するための横断面形状が正方形の突出部10と、突出部10の四つの外壁面11にそれぞれ形成され、駆動穴4の四つの内壁面5に凸条7を形成するための横断面形状が台形状の溝12とを備えている。
また、前記突出部10及び溝12は、駆動穴付きねじの駆動穴4及び凸条7と同一の形状に形成されている。
更に、突出部10に対する溝12の形成位置は、駆動穴4に対する凸条7の形成位置と同じになっている。
【0027】
尚、
図11は製造用ヘッダーパンチの寸法を示す説明図と表であり、Xは突出部10の先端部分の対向する外壁面11間の距離、Zは突出部10の中心線から溝12までの距離、Wは溝12の底面の幅、αは溝12の両側面が成す角度である。また、溝12の深さは0.05mmに、αは90°にそれぞれ設定されている。更に、Wの寸法及びZの寸法は、駆動穴4(四角穴)の寸法(番号)によって変化している。
【0028】
前記製造用ヘッダーパンチは、駆動穴4を形成するための突出部10と、凸条7を形成するための溝12とを備えているため、当該製造用ヘッダーパンチを用いることにより
図1〜
図3に示す施工性の良い駆動穴付きねじを簡単且つ容易に製造することができる。
【0029】
図12及び
図13は本発明の第2の実施形態に係る駆動穴付きねじを示し、当該駆動穴付きねじは、四角ビット8が嵌合される複数の内壁面5を有する駆動穴4を形成した頭部1と、頭部1の下面に一体的に形成され、外周面に螺旋状のねじ山(図示省略)を形成した軸部(図示省略)とから成り、ドリルねじやタッピングねじ、小ねじ、木ねじ等に形成されている。
【0030】
前記駆動穴付きねじの駆動穴4は、頭部1の頂面中心部に軸部側へ向って形成されており、二つの正方形の穴をねじの軸線φの周りに45度位相をずらせて対称的に配置して形成した八つの角溝13を備えた駆動穴4となっている。
【0031】
即ち、前記駆動穴4は、
図12及び
図13に示す如く、十六個の内壁面5と、各内壁面5に連続する円錐状底面6とから成り、円錐状底面6へ向うに従って寸法が小さくなるテーパ状の八つの角溝13を備えた駆動穴4となっている。この駆動穴4の深さは、ねじのねじ込み字に時に於いて駆動穴4に嵌合した四角ビット8のカムアウト現象(防止できる程度に設定されている。
また、各角溝13を形成する一対の内壁面5のうち、ねじのねじ込み時に四角ビット8が係合する一方の内壁面5には、四角ビット8に食い付く横断面形状台形状の凸条7がねじの軸線φに沿ってそれぞれ形成されている。
更に、各凸条7は、ねじのねじ込み時に於いて駆動穴4の内壁面5の四角ビット8からトルクを受ける位置にそれぞれ形成されている。
【0032】
尚、
図14は
図12及び
図13に示す駆動穴付きねじの駆動穴4と凸条7の位置関係及び両者の寸法を示す説明図と表であり、Xは駆動穴4の下端部分の対向する内壁面5間の距離、Zは駆動穴4の中心線から凸条7までの距離、Wは凸条7の先端面の幅、αは凸条7の両側面が成す角度である。また、凸条7の突出高さは0.05mmに、αは90°にそれぞれ設定されている。更に、Wの寸法及びZの寸法は、駆動穴4(四角穴)の寸法(番号)によって変化している。
【0033】
上述した構成の駆動穴付きねじも、駆動穴4の内壁面5(ねじのねじ込み時に四角ビット8が係合する内壁面5)に四角ビット8に食い付く凸条7を形成しているため、ねじのねじ込み時には、四角ビット8からのねじの脱落や四角ビット8とねじの駆動穴4のガタツキを抑制することができ、また、ねじのねじ込み後には、四角ビット8がクサビのように駆動穴4に強く食い付くことがなく、しかも、凸条7と四角ビット8の接触面積が小さいので、四角ビット8をねじの駆動穴4から簡単に外すことができ、その結果、この駆動穴付きねじを用いれば、施工性が極めて良くなる。
【0034】
図15〜
図17は上述した第2の実施形態に係る駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチを示し、当該製造用ヘッダーパンチは、駆動穴付きねじの駆動穴4を押し抜き成形加工するものであり、円柱状のパンチ本体9と、パンチ本体9の先端面中央位置に突出形成され、先端面が円錐状に形成されていると共に、八つの角溝13を備えた駆動穴4を形成するための横断面形状が前記駆動穴4と同一の突出部10と、突出部10の十六個の外壁面11に一つ置きごとに形成され、駆動穴4の八つの内壁面5に凸条7を形成するための横断面形状が台形状の溝12とを備えている。
また、前記突出部10及び溝12は、
図12及び
図13に示す駆動穴付きねじの駆動穴4及び凸条7と同一の形状に形成されている。
更に、突出部10に対する溝12の形成位置は、駆動穴4に対する凸条7の形成位置と同じになっている。
【0035】
尚、
図18は
図15〜
図17に示す製造用ヘッダーパンチの寸法を示す説明図と表であり、Xは突出部10の先端部分の対向する外壁面11間の距離、Zは突出部10の中心線から溝12までの距離、Wは溝12の底面の幅、αは溝12の両側面が成す角度である。また、溝12の深さは0.05mmに、αは90°にそれぞれ設定されている。更に、Wの寸法及びZの寸法は、駆動穴4(四角穴)の寸法(番号)によって変化している。
【0036】
前記製造用ヘッダーパンチも、駆動穴4を形成するための突出部10と、凸条7を形成するための溝12とを備えているため、当該製造用ヘッダーパンチを用いることにより
図15〜
図17に示す施工性の良い駆動穴付きねじを簡単且つ容易に製造することができる。
【0037】
図19及び
図20は本発明の第3の実施形態に係る駆動穴付きねじを示し、当該駆動穴付きねじは、四角ビット8が嵌合される複数の内壁面5を有する駆動穴4を形成した頭部1と、頭部1の下面に一体的に形成され、外周面に螺旋状のねじ山(図示省略)を形成した軸部(図示省略)とから成り、ドリルねじやタッピングねじ、小ねじ、木ねじ等に形成されている。
【0038】
前記駆動穴付きねじの駆動穴4は、頭部1の頂面中心部に軸部側へ向って形成されており、正方形の穴と十字穴とを正方形の穴の四隅に十字穴の各溝部14が位置するように同心状に配置して形成した駆動穴4となっている。
【0039】
即ち、前記駆動穴4は、
図19及び
図20に示す如く、四つの内壁面5と、四つの溝部14と、各内壁面5及び各溝部14に連続する円錐状底面6とから成り、円錐状底面6へ向うに従って寸法が小さくなるテーパ状の正方形の穴と十字穴を組み合せた駆動穴4となっている。この駆動穴4の深さは、ねじのねじ込み字に時に於いて駆動穴4に嵌合した四角ビット8のカムアウト現象を防止できる程度に設定されている。
また、駆動穴4を形成する正方形の穴の四つの内壁面5には、四角ビット8に食い付く横断面形状台形状の凸条7がねじの軸線φに沿ってそれぞれ形成されている。
更に、各凸条7は、ねじのねじ込み時に於いて駆動穴4の内壁面5の四角ビット8からトルクを受ける位置にそれぞれ形成されている。
【0040】
尚、
図21は
図19及び
図20に示す駆動穴付きねじの駆動穴4と凸条7の位置関係及び両者の寸法を示す説明図と表であり、Xは駆動穴4の下端部分の対向する内壁面5間の距離、Zは駆動穴4の中心線から凸条7までの距離、Wは凸条7の先端面の幅、αは凸条7の両側面が成す角度である。また、凸条7の突出高さは0.05mmに、αは90°にそれぞれ設定されている。更に、Wの寸法及びZの寸法は、駆動穴4(四角穴)の寸法(番号)によって変化している。
【0041】
上述した構成の駆動穴付きねじも、駆動穴4の内壁面5(ねじのねじ込み時に四角ビット8が係合する内壁面5)に四角ビット8に食い付く凸条7を形成しているため、ねじのねじ込み時には、四角ビット8からのねじの脱落や四角ビット8とねじの駆動穴4のガタツキを抑制することができ、また、ねじのねじ込み後には、四角ビット8がクサビのように駆動穴4に強く食い付くことがなく、しかも、凸条7と四角ビット8のの接触面積が小さいので、四角ビット8をねじの駆動穴4から簡単に外すことができ、その結果、この駆動穴付きねじを用いれば、施工性が極めて良くなる。
【0042】
図22〜
図24は上述した第3の実施形態に係る駆動穴付きねじの製造に用いる製造用ヘッダーパンチを示し、当該製造用ヘッダーパンチは、駆動穴付きねじの駆動穴4を押し抜き成形加工するものであり、円柱状のパンチ本体9と、パンチ本体9の先端面中央位置に突出形成され、先端面が円錐状に形成されていると共に、正方形の穴と十字穴を組み合せた駆動穴4を形成するための横断面形状が前記駆動穴4と同一の突出部10と、突出部10の四つの外壁面11にそれぞれ形成され、駆動穴4の四つの内壁面5に凸条7を形成するための横断面形状が台形状の溝12とを備えている。
また、前記突出部10及び溝12は、
図19及び
図20に示す駆動穴付きねじの駆動穴4及び凸条7と同一の形状に形成されている。
更に、突出部10に対する溝12の形成位置は、駆動穴4に対する凸条7の形成位置と同じになっている。
【0043】
尚、
図25は
図22〜
図24に示す製造用ヘッダーパンチの寸法を示す説明図と表であり、Xは突出部10の先端部分の対向する外壁面11間の距離、Zは突出部10の中心線から溝12までの距離、Wは溝12の底面の幅、αは溝12の両側面が成す角度である。また、溝12の深さは0.05mmに、αは90°にそれぞれ設定されている。更に、Wの寸法及びZの寸法は、駆動穴4(四角穴)の寸法(番号)によって変化している。
【0044】
前記製造用ヘッダーパンチも、駆動穴4を形成するための突出部10と、凸条7を形成するための溝12とを備えているため、当該製造用ヘッダーパンチを用いることにより
図19及び
図20に示す施工性の良い駆動穴付きねじを簡単且つ容易に製造することができる。
【0045】
尚、上記の各実施形態に於いては、駆動穴4の内壁面5に形成した凸条7の横断面形状を台形状としたが、他の実施形態に於いては、凸条7の横断面形状を
図26(a),(b),(c)に示すように三角形状、四角形状又は円弧形状としても良い。この場合、製造用ヘッダーパンチも、溝12の横断面形状を凸条7の横断面形状と同じ三角形状、四角形状又は円弧形状とすることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1は頭部、2は軸部、3はねじ山、4は駆動穴、5は駆動穴の内壁面、6は円錐状底面
7は凸条、8は四角ビット、9はパンチ本体、10は突出部、11は外壁面、12は溝、13は角溝、14は溝部、φはねじの軸線。