特許第5669890号(P5669890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5669890金融取引管理システム及び金融取引管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5669890
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】金融取引管理システム及び金融取引管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20120101AFI20150129BHJP
【FI】
   G06Q40/02 102
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-140291(P2013-140291)
(22)【出願日】2013年7月4日
(65)【公開番号】特開2015-14857(P2015-14857A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2013年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほ情報総研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 真
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−123104(JP,A)
【文献】 特開2004−318530(JP,A)
【文献】 特開2002−007700(JP,A)
【文献】 土屋 清美 ,基礎から学ぶSEの金融知識 改訂版,日経BP社 黒沢 正俊,2008年 6月23日,P.150−151
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融取引を行なうために顧客口座情報を管理する対顧管理部と、
静止断面情報を記録する静止情報管理部と、
管理情報の情報種別と作成期限とを記憶した種別記憶部と、
管理情報を作成する情報作成部とを備えた金融取引管理システムであって、
前記対顧管理部が、口座情報へのアクセスを取得した場合、前記アクセスがあった口座について、前記アクセス時に、前期決算期の決算利息の計算の実行の有無を確認し、前記決算利息の計算を終了していない場合には、前記口座に関する決算利息を計算し、前記対顧管理部の顧客口座情報に、前期決算期の決算日翌日の第一取引として反映させ、
前記静止情報管理部が、定期的に前記対顧管理部に記録された顧客口座情報の静止断面情報を生成し、生成時期に関連付けて、前記静止情報管理部に記録し、
前記情報作成部が、
金融取引を管理するための管理情報の計算期間の末日の基準時刻の静止断面情報を前記静止情報管理部から取得し、
計算期間の末日としての決算日の翌日以降に、前記種別記憶部に記憶された情報種別の管理情報の作成時限前に、前記決算日の静止断面情報を用いて、前記決算日以前の期中の口座残高の移動に対応した積数を算出し、前記積数に基づいて未実行の決算利息を計算して、前記決算利息も含めた財務帳票を、前記管理情報として作成することを特徴とする金融取引管理システム。
【請求項2】
前記静止断面情報に記録された顧客口座情報に基づいて、前記種別記憶部に記憶された還元帳票を作成することを特徴とする請求項1に記載の金融取引管理システム。
【請求項3】
金融取引を行なうために顧客口座情報を管理する対顧管理部と、
静止断面情報を記録する静止情報管理部と、
管理情報の情報種別と作成期限とを記憶した種別記憶部と、
管理情報を作成する情報作成部とを備えた金融取引管理システムを用いて、金融取引を管理するための方法であって、
前記対顧管理部が、口座情報へのアクセスを取得した場合、前記アクセスがあった口座について、前記アクセス時に、前期決算期の決算利息の計算の実行の有無を確認し、前記
決算利息の計算を終了していない場合には、前記口座に関する決算利息を計算し、前記対顧管理部の顧客口座情報に、前期決算期の決算日翌日の第一取引として反映させ、
前記静止情報管理部が、定期的に前記対顧管理部に記録された顧客口座情報の静止断面情報を生成し、生成時期に関連付けて、前記静止情報管理部に記録し、
前記情報作成部が、
金融取引を管理するための管理情報の計算期間の末日の基準時刻の静止断面情報を前記静止情報管理部から取得し、
計算期間の末日としての決算日の翌日以降に、前記種別記憶部に記憶された情報種別の管理情報の作成時限前に、前記決算日の静止断面情報を用いて、前記決算日以前の期中の口座残高の移動に対応した積数を算出し、前記積数に基づいて未実行の決算利息を計算して、前記決算利息も含めた財務帳票を、前記管理情報として作成することを特徴とする金融取引管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、期限が決められた処理を負荷分散して実行するための金融取引管理システム及び金融取引管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業における決算処理等のように、これまでの取引実績に基づいた情報処理を予め定められた期限まで実行しなければならないことがある。例えば、金融機関における流動性預金(普通預金、当座預金、貯蓄預金など)の預金利息や貸越利息は、決算日当日までの取引振りに応じて算出された積数に対して、利息額を計算し、利息決算日翌日の第一取引として口座に入金する。
決算に当たっては今期決算利息の算出、利息入金データの作成、翌期の利息を計算するための積数のデータメンテナンス、利息額の口座入金などの処理が必要である。
【0003】
ところで、今日、現金自動預払機やインターネットといったリモートチャネルにより、休日、夜間の流動性預金取引が一般的になってきている。このような状況下では、上記処理を実施する時間を確保することが困難な場合がある。このため、一般的には決算日または決算日前日の時点で仮の決算処理を行ない、その後に口座残高の移動があった口座に対して、決算利息入金の取消し、利息額の再計算、決算利息再入金の処理を行なうことがある(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
ここでは、図7に示すように、毎日、顧客の口座を管理する顧客元帳500に記録されたデータの吸上・計算処理を行ない、決算日における財務会計処理を行なうための財務元帳501に反映する。顧客元帳500に変更があった場合には、財務元帳501の記録を取り消して、再計算を行なう。そして、決算日の24時以降に財務帳票を出力する場合には、財務元帳501に基づいて、財務帳票を出力する。また、営業店に対して、顧客との取引履歴を送付する場合にも、財務元帳501に基づいて還元帳票を作成して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−12319号公報(第1頁、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、上述のように、顧客元帳に変更が生じた場合、決算利息入金済みの顧客元帳/財務元帳を取り消して再計算を行なう必要がある。従って、口座数が多いと取消及び再計算のための時間の確保を要する。更に、そのために、複雑なシステム実装が必要であり、時限を考慮した運用も複雑となり、効率的な情報処理を実現することができなかった。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、期限が決められた処理を負荷分散して実行するための金融取引管理システム及び金融取引管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕上記課題を解決する金融取引管理システムは、金融取引を行なうために顧客口座情報を管理する対顧管理部と、静止断面情報を記録する静止情報管理部と、管理情報の情報種別と作成期限とを記憶した種別記憶部と、管理情報を作成する情報作成部とを備える。そして、前記対顧管理部が、口座情報へのアクセスを取得した場合、前記アクセスがあった口座について、前記アクセス時に、前期決算期の決算利息の計算の実行の有無を確認し、前記決算利息の計算を終了していない場合には、前記口座に関する決算利息を計算し、前記対顧管理部の顧客口座情報に、前期決算期の決算日翌日の第一取引として反映させる。前記静止情報管理部が、定期的に前記対顧管理部に記録された顧客口座情報の静止断面情報を生成し、生成時期に関連付けて、前記静止情報管理部に記録し、前記情報作成部が、金融取引を管理するための管理情報の計算期間の末日の基準時刻の静止断面情報を前記静止情報管理部から取得し、計算期間の末日としての決算日の翌日以降に、前記種別記憶部に記憶された情報種別の管理情報の作成時限前に、前記決算日の静止断面情報を用いて、前記決算日以前の期中の口座残高の移動に対応した積数を算出し、前記積数に基づいて未実行の決算利息を計算して、前記決算利息も含めた財務帳票を、前記管理情報として作成する。これにより、対顧管理部とは別に保存された静止断面情報を用いて、所定の基準時刻における管理情報を作成することができる。
【0009】
〔2〕更に、決算利息を計算していない顧客元帳とは別に、財務元帳に決算利息を反映し、財務帳票を作成することができる。ここで、「計算期間の末日の基準時刻」として、例えば「決算日24時」を想定する。
【0010】
〔3〕この金融取引管理システムにおいて、前記静止断面情報に記録された顧客口座情報に基づいて、前記種別記憶部に記憶された還元帳票を作成することが好ましい。これにより、静止断面情報を用いて、還元帳票を作成することができる。
【0011】
〔4〕更に、この金融取引管理システムにおいて、決算利息を入金した残高情報を顧客
口座情報に反映する処理と、管理情報の作成とを分けることができ、処理負荷の分散を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、期限が決められた処理を負荷分散して実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のシステム概略図。
図2】本実施形態の顧客元帳記憶部に記録されたデータの説明図。
図3】本実施形態のデータ記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)は時系列データ記憶部、(b)は帳票記憶部の説明図。
図4】本実施形態の処理手順の説明図であって、(a)は口座情報アクセス時処理、(b)は前期積数の確定処理の説明図。
図5】本実施形態の処理手順の説明図。
図6】本実施形態の処理スケジュールの説明図。
図7】従来の処理スケジュールの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1図6に基づいて説明する。本実施形態では、金融機関において、作業時間の確保が難しい大量処理の代表である流動性預金利息決算処理を、データ保有方法(積数記憶領域の多面化)や、リアルタイム処理(対顧処理)とバッチ処理(財務帳票/還元帳票作成)とを組み合わせることで、処理負荷の分散を図る。
【0015】
ここでは、図6に示すように、顧客の口座を管理する顧客元帳510へのアクセスがあった場合には、対顧処理として口座情報アクセス時処理を行なう。また、データウェアハウス(DWH)511において、定期的に、顧客元帳510の特定時点のデータ(静止断面)を取得して記録する。決算処理として、決算日(計算期間の末日)翌日以降に財務帳票を出力する場合には、決算日の24時の静止断面をデータウェアハウス511から取得し、財務元帳512に反映する。この財務元帳512に基づいて、財務帳票を出力する。また、営業店に対して、営業店事務処理に用いる還元帳票を送付する場合には、データウェアハウス511に記録された決算日24時の静止断面に基づいて還元帳票を作成して出力する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態では、取引端末10、ホストシステム20、帳票管理システム30を用いる。
取引端末10は、顧客との取引を行なうために、各種情報の入出力を行なうコンピュータ端末である。取引端末10としては、キャッシュカードや現金による取引を行なう現金自動預払機や、ネットバンキングサービスを管理するネット取引サーバを介して接続された顧客端末、金融機関店舗の窓口に設置された店頭端末等を想定する。
【0017】
処理依頼の入力が行なわれた取引端末10は、処理要求電文をホストシステム20に送信する。この処理要求電文には、処理種別(入出金等の取引依頼、残高照会依頼等)や、口座を特定するための情報を含める。
【0018】
ホストシステム20は、対顧管理部として機能し、顧客との取引を管理するコンピュータシステムである。このホストシステム20は、制御手段(CPU、RAM及びROM等)を備えており、口座管理部21、取引処理部22として機能する。更に、ホストシステム20は、顧客元帳記憶部23を備えている。
【0019】
口座管理部21は、口座管理プログラムを実行することにより、顧客の口座についての管理処理を実行する。本実施形態では、各口座の残高、積数を管理するとともに、決算利息を計算して、各口座に入金する。
【0020】
取引処理部22は、処理要求電文に応じて、顧客の口座を利用した各種取引処理を実行する。
【0021】
図2に示すように、顧客元帳記憶部23には、残高記憶領域230、積数記憶領域231が設けられている。
残高記憶領域230には、顧客の口座を管理するための残高管理レコードが記録されている。この残高記憶領域230は、顧客が口座を開設したときに登録される。残高管理レコードには、口座識別子、残高、履歴、最終移動日に関するデータが記録される。
【0022】
口座識別子データ領域には、顧客の口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
残高データ領域には、この口座の残高に関するデータが記録される。
履歴データ領域には、この口座を用いて行なわれた入出金等の取引履歴に関するデータが記録される。本実施形態では、この履歴データ領域には、取引年月日、取引種別、取引金額に関するデータが記録される。本実施形態では、決算利息が入金された場合にも、この履歴データ領域に利息入金の履歴として記録される。
最終移動日データ領域には、積数の更新対象となる残高の移動日に関するデータが記録される。
【0023】
積数記憶領域231には、各決算期間に対応する各口座の積数を管理するための積数管理レコードが記録されている。この積数管理レコードは、決算日を経過した時に生成され、取引の都度、更新される。これにより、積数記憶領域231には、複数決算期(本実施形態では前期、今期)の積数管理レコードが記録される。積数記憶領域231には、決算期毎に、それぞれ口座識別子、積数に関するデータが記録される。
【0024】
決算期データ領域には、決算期を特定するための識別子に関するデータが記録される。
口座識別子データ領域には、顧客の口座を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0025】
積数データ領域には、この口座について、預金利息を計算するための積数に関するデータが記録される。本実施形態では、前回の決算日翌日以降の各日付の残高を加算した累計額(積数)が記録される。
【0026】
帳票管理システム30は、金融機関の財務会計等のための各種情報を管理するコンピュータシステムである。この帳票管理システム30は、制御手段(CPU、RAM及びROM等)を備えており、データ管理プログラムを実行することにより、データ取得部31として機能する。また、帳票管理システム30は、帳票管理プログラムを実行することにより、帳票管理部32として機能する。更に、帳票管理システム30は、時系列データ記憶部35、帳票記憶部36、財務元帳記憶部37を備えている。ここで、データ取得部31、時系列データ記憶部35は、時系列に整理された大量のデータを管理するデータウェアハウス(静止情報管理部)として機能する。
【0027】
データ取得部31は、顧客元帳記憶部23の積数記憶領域231に記録された積数の更新内容を取得して、時系列データ記憶部35に記録された積数を更新する。そして、データ取得部31は、毎日、所定時刻(例えば、24時)経過時に、前日の積数更新を締め切り、当日の積数を記録するための静止断面用のデータを生成して、時系列データ記憶部35に記録する。
帳票管理部32は、情報作成部として機能し、予め定められた時刻に、決算処理のための帳票を作成して出力する処理を実行する。
【0028】
図3(a)に示すように、時系列データ記憶部35は、口座状態を特定するための断面管理レコード350が記録される。この断面管理レコード350は、データ取得部31が、積数を変更するデータを取得したときに記録される。この断面管理レコード350には、生成日、静止断面に関するデータが記録される。
【0029】
生成日データ領域には、静止断面を生成した年月日に関するデータが記録される。
静止断面データ領域には、顧客元帳記憶部23の積数記憶領域231に記録された積数管理レコードについて、口座毎に、この生成日における積数(静止断面)に関するデータが記録される。
【0030】
図3(b)に示すように、種別記憶部としての帳票記憶部36には、金融機関の財務会計等のために用いる各種情報についての帳票に関する帳票管理レコード360が記録される。この帳票管理レコード360は、出力する帳票が登録されたときに記録される。この帳票管理レコード360には、帳票種別、帳票期限、開始時刻、作成方式に関するデータが記録される。
【0031】
帳票種別データ領域には、作成する帳票を特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、帳票種別として、財務会計の決算処理による財務帳票や、各営業店に還元する還元帳票を用いる。
【0032】
帳票期限データ領域には、この帳票についての管理情報の生成処理(図5を用いて後述)を完了する時限に関するデータが記録される。
開始時刻データ領域には、この帳票についての管理情報の生成処理を開始する年月日及び時刻に関するデータが記録される。この年月日としては、決算日の経過後の日付が設定される。開始時刻としては、管理情報の生成処理の所要時間を考慮して、帳票期限前に管理情報の生成処理を終了できる時刻が設定される。
作成方式データ領域には、この帳票についての管理情報の生成処理を実行するために用いるデータの種類や出力フォーマットに関するデータが記録される。
【0033】
財務元帳記憶部37には、金融機関の財務会計を管理するための各情報が記録される。本実施形態では、決算書等に含まれる各項目についての情報が記録される。
【0034】
次に、以上のように構成されたシステムにおいて、金融機関の財務会計等の情報管理を行なう場合についての処理手順を図4図5に基づいて説明する。
(口座情報アクセス時処理)
まず、図4(a)を用いて、口座情報アクセス時処理を説明する。この口座情報アクセス時処理は、取引端末10において残高照会等の口座参照や取引依頼の入力が行なわれた場合に実行される。
【0035】
ここでは、ホストシステム20は、口座情報へのアクセス処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、残高照会等の口座参照や取引依頼の入力が行なわれた場合、取引端末10は処理要求電文をホストシステム20に送信する。この場合、ホストシステム20の口座管理部21は、この取引端末10から処理要求電文を取得する。
【0036】
次に、ホストシステム20は、利息決算日後の最初のアクセスかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、ホストシステム20の口座管理部21は、顧客元帳記憶部23に記録された残高記憶領域230において、口座識別子に基づいて、アクセス先の口座の残高管理レコードを特定する。そして、この残高管理レコードにおいて、最終移動日を特定する。
【0037】
最終移動日が前期の決算期間内であり、利息決算日後の最初のアクセスであると判定した場合(ステップS1−2において「YES」の場合)、ホストシステム20は、前期積数を確定させて決算利息の計算処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、ホストシステム20の口座管理部21は、後述するように、前期積数の確定処理を行なう。そして、口座管理部21は、口座識別子に基づいて、顧客元帳記憶部23の積数記憶領域231から、アクセス先の口座の積数レコードを取得する。そして、口座管理部21は、この積数レコードに記録された積数に基づいて決算利息の利息額を算出する。
【0038】
次に、ホストシステム20は、利息額の入金処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、ホストシステム20の口座管理部21は、残高記憶領域230の口座管理レコードの履歴データ領域に、決算利息の入金を記録する。更に、口座管理部21は、口座管理レコードの残高データ領域に利息額を加算する。そして、口座管理部21は、計算後の利息額が「0」であった場合を含め、残高記憶領域230における最終移動日を、対顧上の本来の入金日である前期決算日翌日に更新する。
【0039】
一方、最終移動日が今期の決算期間内であり、利息決算日後の最初のアクセスでないと判定した場合(ステップS1−2において「NO」の場合)、ホストシステム20は、決算利息の計算処理(ステップS1−3)、利息額の入金処理(ステップS1−4)をスキップする。
【0040】
次に、ホストシステム20は、取引依頼かどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、ホストシステム20の口座管理部21は、取引端末10から取得した処理要求電文の処理種別に基づいて、取引依頼かどうかを判定する。
【0041】
取引依頼と判定した場合(ステップS1−5において「YES」の場合)、ホストシステム20は、取引処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、ホストシステム20の取引処理部22は、処理要求電文の処理種別に基づいて取引処理を実行する。
一方、取引依頼でないと判定した場合(ステップS1−5において「NO」の場合)、ホストシステム20は、取引処理(ステップS1−6)をスキップする。
【0042】
次に、ホストシステム20は、今期積数計上処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、ホストシステム20の口座管理部21は、取引結果に応じて、この口座の残高を算出する。そして、口座管理部21は、顧客元帳記憶部23の積数記憶領域231に記録された積数レコードの積数を、この残高に応じて更新する。更に、口座管理部21は、残高記憶領域230に記録された残高管理レコードにおいて、最終移動日を現在年月日に更新する。
【0043】
(前期積数の確定処理)
次に、図4(b)を用いて、前期積数の確定処理について説明する。この前期積数の確定処理においては、積数計上処理を行なう(ステップS2−1)。
【0044】
ここでは、ホストシステム20の口座管理部21は、決算期初日から決算日までの残高の増減を積数として計上する。
また、前期の顧客元帳を修正する必要が生じた場合、顧客元帳記憶部23に記録された積数記憶領域231において、修正対象の口座毎に積数を再計算して更新する。修正が必要な場合としては、例えば、金利変更に対する修正、他店券取引に対する修正、起算取引に対する修正等がある。
【0045】
〔金利変更に対する修正〕
金利変更に対する修正の場合には、金利変更後の最初の残高増減時に、金利変更前の積数を利息として確定する方法や、金利変更前の積数を変更後の金利により再計算して利息を算出する方法等がある。
【0046】
〔他店券取引に対する修正〕
支払場所が、取引の発生した金融機関支店以外の小切手、期日が到来した手形等のように他店券取引による入金の場合には、取引の発生した金融機関支店と支払場所との関係で、利息計算の対象になる日までの日数が違ってくる。このため、積数を計上する際、取引があった日と利息計算の対象となる日とのずれを考慮して積数を計上する。
【0047】
〔起算取引に対する修正〕
何らかの理由で、取引が発生した日ではない日に、取引があったことにしなければならない起算取引に対する修正の場合には、この起算日を取引発生日とみなして積数を計上する。
【0048】
(情報管理処理)
次に、図5を用いて、情報管理処理を説明する。この情報管理処理においては、静止断面の取得処理と、管理情報の生成処理とを行なう。
【0049】
まず、帳票管理システム30は、静止断面の取得処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、帳票管理システム30のデータ取得部31は、顧客元帳記憶部23の積数記憶領域231に記録された積数の更新情報を取得した場合、時系列データ記憶部35に記録された断面管理レコード350に、更新情報を反映させる。そして、データ取得部31は、定期的(本実施形態では、毎日24時)に、時系列データ記憶部35に記録された断面管理レコード350の積数更新を締め切る。そして、データ取得部31は、この断面管理レコード350の生成日としての前日の年月日を記録する。更に、データ取得部31は、翌日(当日)の静止断面を記録するための断面管理レコード350を生成し、時系列データ記憶部35に記録する。
【0050】
次に、管理情報の生成処理を説明する。
ここでは、帳票管理システム30は、開始時刻かどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、帳票管理システム30の帳票管理部32は、現在年月日及び時刻と、帳票記憶部36に記録された年月日及び開始時刻とを比較する。
【0051】
現在時刻が開始時刻と判定した場合(ステップS4−1において「YES」の場合)、帳票管理システム30は、決算日24時の静止断面の特定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、帳票管理システム30の帳票管理部32は、時系列データ記憶部35において、生成日として、決算日が記録された静止断面を取得する。
【0052】
次に、帳票管理システム30は、静止断面を用いて帳票の作成処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、帳票管理システム30の帳票管理部32は、取得した静止断面を用いて、帳票記憶部36に記録された作成方式により帳票を作成する。例えば、財務帳票の作成方式では、取得した静止断面を用いて、財務会計を管理するための各情報を生成し、財務元帳記憶部37に記録する。そして、財務元帳記憶部37に記録された情報に基づいて、財務会計を管理するための帳票を生成して出力する。
【0053】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態によれば、顧客元帳記憶部23には、残高記憶領域230、積数記憶領域231が設けられている。この積数記憶領域231において、決算期毎に積数を記録することにより多面化を図り、決算処理における翌期用利息積数情報のメンテナンス作業を不要とすることができる。
【0054】
(2)本実施形態によれば、口座情報アクセス時処理において、利息決算日後の最初のアクセスであると判定した場合(ステップS1−2において「YES」の場合)、ホストシステム20は、前期積数を確定させて決算利息の計算処理(ステップS1−3)、利息額の入金処理(ステップS1−4)を実行する。これにより、顧客に対応するための対顧客管理部であるホストシステム20から、決算利息計算のためのバッチ処理を排除して、負荷分散を図ることができる。
【0055】
(3)本実施形態によれば、情報管理処理においては、静止断面の取得処理と、管理情報の生成処理とを行なう。これにより、決算利息入金についてのリアルタイム処理と、大量のシステム処理を要する管理情報の生成についてのバッチ処理との関連性を排除することができる。例えば、財務会計への流動性預金決算処理結果の反映や決算日翌日に必要な還元情報の作成等を、顧客口座への決算利息入金の終了を待つことなく、決算日24時の静止点を持ったバッチ処理専用のデータを用いて終了させることができる。従って、複雑な処理順序の組み立て等の作業スケジュールを軽減するとともに、安定したシステム稼動を実現することができる。更に、顧客に対応するための対顧管理部であるホストシステム20から、決算のための処理を排除して、ホストシステム20の処理負担を軽減することができる。
【0056】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、口座情報アクセス時処理において、利息決算日後の最初のアクセスであると判定した場合(ステップS1−2において「YES」の場合)、ホストシステム20は、前期積数を確定させて決算利息の計算処理(ステップS1−3)。利息額の入金処理(ステップS1−4)を実行する。これに加えて、決算日翌日以降の一定期間後に、口座情報アクセス時処理により利息額が入金されていない口座について、負荷分散を図ったバッチ処理により、決算利息の計算処理、利息額の入金処理を行なうようにしてもよい。
【0057】
・上記実施形態では、ホストシステム20は、利息決算日後の最初のアクセスかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、ホストシステム20の口座管理部21は、顧客元帳記憶部23に記録された残高記憶領域230において、アクセス先の口座の残高管理レコードを特定する。そして、この残高管理レコードの履歴において、前期の決算利息が記録されているかどうかを確認する。これに代えて、積数記憶領域231を用いて、利息決算日後の最初のアクセスかどうかについての判定を行なうようにしてもよい。この場合には、積数記憶領域231の積数レコードに、確定の有無を判定するためのフラグを記録する。
【0058】
・上記実施形態では、預金利息についての処理を行なう。処理対象は、預金利息に限定されるものではなく、貸越利息についても適用できる。また、総合口座貸越のみならず、カードローンなどの一部の融資商品にも適用することができる。
【0059】
・上記実施形態では、帳票記憶部36には、金融機関の財務会計等のために用いる各種情報についての帳票に関する帳票管理レコード360が記録される。この帳票管理レコード360には、帳票種別、帳票期限、開始時刻、作成方式に関するデータが記録される。この開始時刻データ領域には、この帳票についての管理情報の生成処理を開始する年月日及び時刻に関するデータが記録される。ここで、帳票管理システム30が、開始時刻を計算して、帳票記憶部36に記録するようにしてもよい。この場合には、帳票管理システム30に、計算の所要時間を算出するための所要時間算出情報(関数やテーブル)を保持させておく。この関数やテーブルにおいては、計算対象数(例えば、口座数)を変数とする。次に、帳票管理システム30は、時系列データ記憶部35において、計算対象数(例えば、口座数数)を特定し、所要時間算出情報を用いて、計算時間を予測する。そして、帳票管理システム30は、帳票期限から計算時間を遡及させた時刻を開始時刻として、帳票記憶部36に記録する。
【0060】
・上記実施形態では顧客元帳記憶部23には、積数記憶領域231が設けられている。この積数記憶領域231には、複数決算期(本実施形態では前期、今期)の積数が記録される。この積数記憶領域に記録される積数は、前期、今期に限定されるものではなく、更に多くの決算期の積数を記録できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…取引端末、20…ホストシステム、21…口座管理部、22…取引処理部、23…顧客元帳記憶部、230…残高記憶領域、231…前期積数記憶領域、23…今期積数記憶領域、30…帳票管理システム、31…データ取得部、32…帳票管理部、35…時系列データ記憶部、36…帳票記憶部、37…財務元帳記憶部。
図1
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図7