特許第5669915号(P5669915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5669915
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】路面用排水溝
(51)【国際特許分類】
   E01H 11/00 20060101AFI20150129BHJP
   E03F 5/04 20060101ALI20150129BHJP
   E01C 11/22 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   E01H11/00 A
   E03F5/04 A
   E01C11/22 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-220170(P2013-220170)
(22)【出願日】2013年10月23日
【審査請求日】2014年5月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392035499
【氏名又は名称】石田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079050
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 憲秋
(72)【発明者】
【氏名】石田 昭三
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3930826(JP,B2)
【文献】 特開2010−163863(JP,A)
【文献】 特開平08−113906(JP,A)
【文献】 特許第3900500(JP,B1)
【文献】 登録実用新案第3168876(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 11/00
E01C 11/22
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面内部に埋設され上部に樋部が形成された金属製のグレーチング枠体を備えた路面用排水溝であって、前記グレーチング枠体の少なくとも一側の側壁部の長手方向に沿って、前記グレーチング枠体の底板部から鉛直方向へ前記路面より下側となるように立設された下鉛直面部と、該下鉛直面部の上端から前記グレーチング枠体内側方向の下方へ傾斜して延設された傾斜部と、該傾斜部の下端から鉛直方向へ延設されて対向する側壁部とともに前記樋部を形成する上鉛直面部とを一体に形成した断面N字状の雑草抑制部形成され、前記下鉛直面部と前記傾斜部との連設部分に山部透水孔が形成されていることを特徴とする路面用排水溝。
【請求項2】
前記グレーチング枠体の両側の側壁部の長手方向に沿って前記雑草抑制部が一体に形成されている請求項1に記載の路面用排水溝。
【請求項3】
前記グレーチング枠体の一側の側壁部の長手方向に沿って前記雑草抑制部が一体に形成され、他側の側壁部の長手方向に沿って前記路面に配設される縁石ブロックを載置するための段部が形成されている請求項1に記載の路面用排水溝。
【請求項4】
前記傾斜部の傾斜角度が、前記下鉛直面部に対して40°〜75°である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の路面用排水溝。
【請求項5】
前記樋部の下方に、前記傾斜部と前記上鉛直面部との連設部分を支持する支持凹部を有する補強板が前記一側の側壁部から前記他側の側壁部に亘って架設されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の路面用排水溝。
【請求項6】
前記傾斜部の上面側に前記傾斜部の上面と前記上鉛直面部の外面と接合される第2補強板が設けられている請求項に記載の路面用排水溝。
【請求項7】
前記傾斜部と前記上鉛直面部との連設部分に谷部透水孔が形成されている請求項1ないしのいずれか1項に記載の路面用排水溝。
【請求項8】
前記グレーチング枠体の前記樋部に蓋部が取り付けられている請求項1ないしのいずれか1項に記載の路面用排水溝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や駐車場等の路面に埋設される路面用排水溝に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路等の路面表面の水はけ性をよくするために、透水性のあるアスファルト等で形成した透水性舗装が多用されている。このような透水性舗装にあっては、路面の雨水等は路面上面を流れるとともに舗装部内に浸透して、排水溝水路に集水されて排水される。
【0003】
この種の排水溝水路の構造では、上部に樋部が形成された筒状の流水部と、流水部の樋部に取り付けられる蓋部とを備えた金属製の路面用排水溝を路面内部に配設することで、路面表面から雨水等を集水すると同時に、透水性舗装部内に浸透した水を導入する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この路面用排水溝は、加工が容易で耐久性に優れており、コンクリート製品に比して軽量であるから現場での作業性を簡略化でき、蓋部の脱着が可能で点検清掃や交換を簡単かつ効率よく実施することができる。
【0004】
しかるに、路面用排水溝が埋設された路面では、舗装部分や縁石等と路面用排水溝との境界部分に経年変化によりわずかな隙間が生じ、その隙間に植物の種子が進入することで雑草が繁殖することがある。このように雑草が繁殖すると、景観が悪化するとともに、路上の見通しが悪くなって危険が増すため、定期的に草刈りを行う等の繁雑な管理が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3930826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、簡易な構成で効果的に雑草の繁殖を抑制することができる路面用排水溝を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1の発明は、路面内部に埋設され上部に樋部が形成された金属製のグレーチング枠体を備えた路面用排水溝であって、前記グレーチング枠体の少なくとも一側の側壁部の長手方向に沿って、前記グレーチング枠体の底板部から鉛直方向へ前記路面より下側となるように立設された下鉛直面部と、該下鉛直面部の上端から前記グレーチング枠体内側方向の下方へ傾斜して延設された傾斜部と、該傾斜部の下端から鉛直方向へ延設されて対向する側壁部とともに前記樋部を形成する上鉛直面部とを一体に形成した断面N字状の雑草抑制部形成され、前記下鉛直面部と前記傾斜部との連設部分に山部透水孔が形成されていることを特徴とする路面用排水溝に係る。
【0008】
請求項2の発明は、前記グレーチング枠体の両側の側壁部の長手方向に沿って前記雑草抑制部が一体に形成されている請求項1に記載の路面用排水溝に係る。
【0009】
請求項3の発明は、前記グレーチング枠体の一側の側壁部の長手方向に沿って前記雑草抑制部が一体に形成され、他側の側壁部の長手方向に沿って前記路面に配設される縁石ブロックを載置するための段部が形成されている請求項1に記載の路面用排水溝に係る。
【0010】
請求項の発明は、前記傾斜部の傾斜角度が、前記下鉛直面部に対して40°〜75°である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の路面用排水溝に係る。
【0011】
請求項の発明は、前記樋部の下方に、前記傾斜部と前記上鉛直面部との連設部分を支持する支持凹部を有する補強板が前記一側の側壁部から前記他側の側壁部に亘って架設されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の路面用排水溝に係る。
【0012】
請求項の発明は、前記傾斜部の上面側に前記傾斜部の上面と前記上鉛直面部の外面と接合される第2補強板が設けられている請求項に記載の路面用排水溝に係る。
【0013】
請求項の発明は、前記傾斜部と前記上鉛直面部との連設部分に谷部透水孔が形成されている請求項1ないしのいずれか1項に記載の路面用排水溝に係る。
【0014】
請求項の発明は、前記グレーチング枠体の前記樋部に蓋部が取り付けられている請求項1ないしのいずれか1項に記載の路面用排水溝に係る。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明に係る路面用排水溝は、路面内部に埋設され上部に樋部が形成された金属製のグレーチング枠体を備えた路面用排水溝であって、前記グレーチング枠体の少なくとも一側の側壁部の長手方向に沿って、前記グレーチング枠体の底板部から鉛直方向へ前記路面より下側となるように立設された下鉛直面部と、該下鉛直面部の上端から前記グレーチング枠体内側方向の下方へ傾斜して延設された傾斜部と、該傾斜部の下端から鉛直方向へ延設されて対向する側壁部とともに前記樋部を形成する上鉛直面部とを一体に形成した断面N字状の雑草抑制部形成され、前記下鉛直面部と前記傾斜部との連設部分に山部透水孔が形成されているため、極めて簡易な加工作業及び構成で雑草の成長や繁殖を抑制することができるとともに、路面の水捌けを効果的に向上させることができる
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、前記グレーチング枠体の両側の側壁部の長手方向に沿って前記雑草抑制部が一体に形成されているため、路面用排水溝の両側における雑草の繁殖を効果的に抑制することができて、景観や見通しの悪化を抑制して極めて良好な環境を容易に整えることが可能となる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1において、前記グレーチング枠体の一側の側壁部の長手方向に沿って前記雑草抑制部が一体に形成され、他側の側壁部の長手方向に沿って前記路面に配設される縁石ブロックを載置するための段部が形成されているため、施工作業を簡便かつ効率的に行うことができる。
【0018】
請求項の発明は、請求項1ないし3において、前記傾斜部の傾斜角度が、前記下鉛直面部に対して40°〜75°であるため、より容易に加工することが可能であるとともに、良好な雑草抑制効果を得ることできる。
【0019】
請求項の発明は、請求項1ないし4において、前記樋部の下方に、前記傾斜部と前記上鉛直面部との連設部分を支持する支持凹部を有する補強板が前記一側の側壁部から前記他側の側壁部に亘って架設されているため、集水された雨水等の流通を妨げずに効率よく排水することが可能となるとともに、雑草抑制部の強度を向上させて変形を抑制することができる。
【0020】
請求項の発明は、請求項において、前記傾斜部の上面側に前記傾斜部の上面と前記上鉛直面部の外面と接合される第2補強板が設けられているため、雑草抑制部の強度をさらに向上させて変形をより効果的に抑制することができる。
【0021】
請求項の発明は、請求項1ないしにおいて、前記傾斜部と前記上鉛直面部との連設部分に谷部透水孔が形成されているため、傾斜部と上鉛直面部との連設部分に溜まった雨水等を効率よく排水することができる。
【0022】
請求項の発明は、請求項1ないしにおいて、前記グレーチング枠体の前記樋部に蓋部が取り付けられているため、グレーチング枠体内への落ち葉やゴミ等の侵入を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例に係る路面用排水溝の斜視図である。
図2】一側に雑草抑制部が形成された路面用排水溝の設置例を表す断面図ある。
図3図1のグレーチング枠体の断面図である。
図4図3のグレーチング枠体の上面図である。
図5】両側に雑草抑制部が形成された路面用排水溝の設置例を表す断面図ある。
図6】第1実施例に係る路面用排水溝の断面図である
図7】第2実施例に係る路面用排水溝の断面図である。
図8】第3実施例に係る路面用排水溝の断面図である。
図9】第4実施例に係る路面用排水溝の断面図である。
図10】縁石ブロック側に雑草抑制部が形成された路面用排水溝の設置例を表す断面図である。
図11】縁石ブロック側の側壁部に段部が形成された路面用排水溝の設置例を表す断面図である。
図12】両側に雑草抑制部が形成された路面用排水溝の他の設置例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1,2に示す本発明の一実施例に係る路面用排水溝10は、道路や駐車場等に用いられる透水性舗装部等の路面R内に埋設されて路面R表面から雨水等を集水するとともに、路面R内に浸透した水を導入するグレーチング枠体11を備える。図2において、符号Bは縁石ブロック、M1はコンクリート層、M2は基礎材層、R1は透水性舗装部Rの密粒度アスファルト層、R2は透水性舗装部Rの粗粒度アスファルト層、R3は透水性舗装部Rの砕石層、Rrは縁石ブロックBの反対側となる車道側の路面を表す。
【0025】
グレーチング枠体11は、図1〜4に示すように、路面R内部に埋設され、上部に路面Rからの雨水等を集水する樋部12が形成されて適宜の配水管等へ排水する鋼板等の金属板からなる金属製の筒状体である。このグレーチング枠体11は、底部を構成する底板部15と、底板部15の両端辺に対向して立設される側壁部16,16とからなり、少なくとも一側の側壁部16aの長手方向に沿って傾斜部22を有する断面N字状の雑草抑制部20が一体に形成されている。図示の例では、一側(縁石ブロックBと反対の車道Rr側)の側壁部16aのみに雑草抑制部20が形成されている。各図において、符号15aは各側壁部16,16との取付部分の強度を向上させるための底板部の折曲辺部、16bは他側の側壁部、17は少なくとも一方(例えば砕石層R3等のコンクリート層M1と反対側の層)の側壁部16(16a)下部の複数箇所に設けられてグレーチング枠体11を固定するための取付固定部である。
【0026】
雑草抑制部20は、単一の金属板を公知の折曲げ加工を用いて形成したものであって、図3,4に示すように、グレーチング枠体11の底板部15から鉛直方向へ路面Rより下側となるように立設された下鉛直面部21と、該下鉛直面部21の上端からグレーチング枠体11内側方向の下方へ傾斜して延設された傾斜部22と、該傾斜部22の下端から鉛直方向へ延設されて対向する側壁部(16)とともに樋部12を形成する上鉛直面部23とを一体に形成して構成される。
【0027】
この雑草抑制部20は、傾斜部22の傾斜により、植物の屈光性や屈地性を利用して植物(雑草)の成長及び繁殖を抑制する。ここで、植物の屈光性や屈地性による性質を説明すると、植物は光刺激や重力刺激により植物の葉や茎、根等が所定方向に屈曲するものであり、特に、葉や茎は上方に成長して下方には成長せず、根は下方に成長して上方には成長しないことが知られている。そこで、側壁部16に傾斜部22を有する雑草抑制部20を設けることで、植物の葉や茎、根等の成長を阻害して、植物の繁殖を抑制することができる。すなわち、グレーチング枠体11の下鉛直面部21と路面Rとの隙間から伸びる雑草においては、葉や茎が下鉛直面部21の上端からさらに成長する場合に、傾斜部22により本来の成長方向(上方向)とは逆方向の下方側へ誘導される。一方、グレーチング枠体11の上鉛直面部23と路面Rとの隙間から伸びる雑草においては、根が上鉛直面部23の下端からさらに成長する場合に、傾斜部22により本来の成長方向(下方向)とは逆方向の上方側へ誘導される。このように、雑草抑制部20の傾斜部22によって、葉や茎、根等の成長を本来とは逆方向に誘導することで、雑草の成長を自然に抑制して繁殖を抑制することが可能となる。
【0028】
この雑草抑制部20において、傾斜部22の傾斜角度は、加工が容易で良好な雑草抑制効果を得る観点から、下鉛直面部21に対して40°〜75°である。傾斜角度が40°未満である場合、下鉛直面部21と傾斜部22の折り曲げ角度及び傾斜部22と上鉛直面部23との折り曲げ角度が鋭角になり過ぎて加工が困難となる。一方、傾斜角度が75°より大きい場合、傾斜が緩やかで屈光性や屈地性による雑草の成長を十分に妨げることが困難となる。なお、実施例の傾斜角度は、46,6°である。
【0029】
グレーチング枠体11では、図1図4に示すように、樋部12の下方に、傾斜部22と上鉛直面部23との連設部分を支持する支持凹部31を有する補強板30が一側の側壁部16aから他側の側壁部16bに亘って架設されている。補強板30は、図4に示すように、グレーチング枠体11の長手方向の複数箇所に設けられるものであり、公知の溶接等により各側壁部16a,16bに固着される。この補強板30では、傾斜部22と上鉛直面部23との連設部分を下側から支持して強度を向上させるため、路面Rに車の通過等により荷重が加わった場合の雑草抑制部20の変形を抑制することができる。また、補強板30では、各側壁部16a,16b間に架設されることにより、下部に通水開口部32を形成することができる。そのため、樋部12を介してグレーチング枠体11内に集水された雨水等の流通を妨げることがなく、効率よく排水することができる。
【0030】
また、グレーチング枠体11では、図1図4に示すように、傾斜部22の上面側に傾斜部22の上面と上鉛直面部23の外面と接合される第2補強板35が設けられている。第2補強板35は、図1,4に示すように、グレーチング枠体11の長手方向の複数箇所に設けられるものであり、公知の溶接等により傾斜部22の上面及び上鉛直面部23の外面に固着される。この第2補強板35では、傾斜部22の上面と上鉛直面部23の外面とそれぞれ接合されることにより、雑草抑制部20の傾斜部22の強度が向上するため、路面Rに車の通過等により荷重が加わった場合に傾斜部22と上鉛直面部23とが拡開する等の雑草抑制部20の変形をより効果的に抑制することができる。また、この第2補強板35の設置位置は特に限定されないが、補強板30の設置位置と同一の傾斜部22の上面側に設けることで、より効率よく補強することが可能となる。なお、第2補強板35の上端は、下鉛直面部21と傾斜面22との連設部分と略等しい位置かそれより下方となるように形成されている。
【0031】
さらに、グレーチング枠体11では、図1図4に示すように、傾斜部22と上鉛直面部23との谷部形状の連設部分に谷部透水孔40が形成されている。谷部透水孔40は、図1,4に示すように、グレーチング枠体11の長手方向の複数箇所に設けられる。谷部透水孔40の形状としては特に限定されないが、実施例では長孔形状に形成されている。この谷部透水孔40では、路面Rから透水した雨水等が傾斜部22と上鉛直面部23との連設部分に溜まった場合に、グレーチング枠体11内に通水させて効率よく排水することができる。
【0032】
加えて、グレーチング枠体11では、図1図4に示すように、下鉛直面部21と傾斜部22との山部形状の連設部分に山部透水孔45が形成されている。山部透水孔45は、図1,4に示すように、グレーチング枠体11の長手方向の複数箇所に設けられる。山部透水孔45の形状としては特に限定されないが、実施例では円形状に形成されている。この山部透水孔45では、路面R内の雨水等をグレーチング枠体11内に通水させて、路面Rの水捌けを効果的に向上させることができる。なお、路面Rの密粒度アスファルト層R1と粗粒度アスファルト層R2との境界部分に水が溜まりやすいことから、図2に示すように、当該路面用排水溝10を埋設した際に山部透水孔45を密粒度アスファルト層R1と粗粒度アスファルト層R2との境界部分に相当する位置に配設することにより、路面Rの水捌け効果をさらに向上させることができる。
【0033】
また、このグレーチング枠体11では、図5に示すように、両側の側壁部16a,16bに雑草抑制部20を形成して、路面Rに埋設することも可能である。雑草抑制部20が両側の側壁部16a,16bに形成される場合、補強板30は、両側の雑草抑制部20を個別に支持する支持凹部31,31を一体に有し、両側の下鉛直面部21,21間に架設される。なお、両側に雑草抑制部20を有するグレーチング枠体11を路面R内に埋設した場合、図示のように、他側(縁石ブロックB側)の側壁部16bに形成された雑草抑制部20では、下鉛直面部21がコンクリート層M1に当接するように配置される。図において符号Rbは縁石ブロックB側の路面を表す。
【0034】
次に、図6〜9等を用いて、路面用排水溝10の様々なバリエーションについて説明する。なお、以下の説明において同一符号は同一の構成を表すものとして説明を省略する。
【0035】
図6に示す第1実施例に係る路面用排水溝10Aは、一側の側壁部16aに傾斜部22を有する雑草抑制部20が一体に形成され、補強板30と、第2補強板35と、蓋部50とを備える。実施例では、縁石ブロックBと反対側となる車道Rr側に雑草抑制部20が形成されている。なお、図において、符号13は後述する蓋部50を載置するための載置部、14は蓋部50のための取付部14である。
【0036】
蓋部50は、図1,2,6に示すように、グレーチング枠体11の樋部12に取り付けられ、グレーチング枠体11内への落ち葉やゴミ等の侵入を抑制する。実施例の蓋部50は、長手方向に並設された断面I字状の主部材51と、主部材51に格子状に直交するねじり鋼等からなる補強部材52とからなり、樋部12の載置部13に載置されて取付部14に図示しないボルト部材等を用いて固定される。なお、図中の符号53は樋部12の載置部13に当接する側板部、54は樋部12の取付部14のための取付凹部である。
【0037】
この路面用排水溝10Aでは、車道Rr側(縁石ブロックBの反対側)に雑草抑制部20が配置されていることにより、車道Rr側の路面Rと路面用排水溝10Aの樋部12との間における雑草の繁殖を効果的に抑制することができる。また、補強板30及び第2補強板35により、雑草抑制部20の変形をより効果的に抑制するとともに、蓋部50により、グレーチング枠体11内への落ち葉やゴミ等の侵入を効果的に抑制することができる。
【0038】
図7に示す第2実施例に係る路面用排水溝10Bは、両側(縁石ブロックB側と車道Rr側)の側壁部16a,16bの長手方向に沿って雑草抑制部20が一体に形成され、補強板30と、第2補強板35と、谷部透水孔40と、蓋部50とを備える。この路面用排水溝10Bでは、縁石ブロックBと路面用排水溝10Bの樋部12との間の路面Rbと、路面用排水溝10Bの樋部12と車道との間の路面Rrとの双方における雑草の繁殖を効果的に抑制することができて、景観や見通しの悪化を抑制して極めて良好な環境を容易に整えることが可能となる。また、補強板30及び第2補強板35により雑草抑制部20の変形をより効果的に抑制し、谷部透水孔40により傾斜部22と上鉛直面部23との連設部分に溜まった雨水等を効率よく水抜きし、蓋部50によりグレーチング枠体11内への落ち葉やゴミ等の侵入を効果的に抑制することができる。
【0039】
図8に示す第3実施例に係る路面用排水溝10Cは、一側(縁石ブロックBと反対側の車道Rr側)の側壁部16aに傾斜部22を有する雑草抑制部20が一体に形成され、細溝状の樋部12aと、補強板30と、第2補強板35と、山部透水孔45とを備える。細溝状の樋部12aは、上鉛直面部23と他側の側壁部16bが近接配置されて形成される。そのため、路面用排水溝10A,10Bのような蓋部50を取り付けなくてもグレーチング枠体11内への落ち葉やゴミ等の侵入を効果的に抑制することができる。
【0040】
この路面用排水溝10Cでは、車道Rr側(縁石ブロックBの反対側)に雑草抑制部20が配置されていることにより、車道Rr側の路面Rと路面用排水溝10Aの樋部12との間における雑草の繁殖を効果的に抑制することができる。また、補強板30及び第2補強板35により雑草抑制部20の変形をより効果的に抑制し、山部透水孔45により路面R(Rr)の水捌けを向上させ、細溝状の樋部12aによりグレーチング枠体11内への落ち葉やゴミ等の侵入を効果的に抑制することができる。
【0041】
図9に示す第4実施例に係る路面用排水溝10Dは、両側(縁石ブロックB側と車道Rr側)の側壁部16a,16bの長手方向に沿って雑草抑制部20が一体に形成され、細溝状の樋部12aと、補強板30と、第2補強板35と、谷部透水孔40と、山部透水孔45とを備える。この路面用排水溝10Dでは、縁石ブロックBと路面用排水溝10Dの樋部12との間の路面Rbと、路面用排水溝10Dの樋部12と車道との間の路面Rrとの双方における雑草の繁殖を効果的に抑制することができて、景観や見通しの悪化を抑制して極めて良好な環境を容易に整えることが可能となる。また、補強板30及び第2補強板35により、雑草抑制部20の変形をより効果的に抑制し、谷部透水孔40及び山部透水孔45により傾斜部22と上鉛直面部23との連設部分及び路面R内の双方に溜まった雨水等を効率よく排水可能となり、細溝状の樋部12aにより、グレーチング枠体11内への落ち葉やゴミ等の侵入を効果的に抑制することができる。
【0042】
以上図示し説明したように、本発明の路面用排水溝10は、路面R内部に埋設され上部に樋部12が形成された金属製のグレーチング枠体11を備え、グレーチング枠体11の少なくとも一側の側壁部16の長手方向に沿って傾斜部22を有する断面N字状の雑草抑制部20が一体に形成されているため、極めて簡易な構成で雑草の成長や繁殖を抑制することができる。
【0043】
特に、雑草抑制部20が、グレーチング枠体11の底板部15から鉛直方向へ路面より下側となるように立設された下鉛直面部21と、該下鉛直面部21の上端からグレーチング枠体11内側方向の下方へ傾斜して延設された傾斜部22と、該傾斜部22の下端から鉛直方向へ延設されて対向する側壁部16とともに樋部12を形成する上鉛直面部23とを一体に形成して構成されているため、極めて簡易な加工作業によって雑草抑制部20を形成することができる。そして、傾斜部22の傾斜角度を下鉛直面部21に対して40°〜75°とすれば、より容易に加工することが可能であるとともに、良好な雑草抑制効果を得ることできる。
【0044】
また、グレーチング枠体11の両側の側壁部16a,16bの長手方向に沿って雑草抑制部20を一体に形成すれば、路面用排水溝10の両側(例えば、縁石ブロックB側と車道側)における雑草の繁殖を効果的に抑制することができて、景観や見通しの悪化を抑制して極めて良好な環境を容易に整えることが可能となる。
【0045】
さらに、樋部12の下方に、傾斜部22と上鉛直面部23との連設部分を支持する支持凹部31を有する補強板30を一側の側壁部16aから他側の側壁部16bに亘って架設することで、樋部12を介してグレーチング枠体11内に集水された雨水等の流通を妨げずに効率よく排水することが可能となるとともに、雑草抑制部20の強度を向上させて変形を抑制することができる。
【0046】
加えて、傾斜部22の上面側に傾斜部22の上面と上鉛直面部23の外面と接合される第2補強板35を設ければ、雑草抑制部20の強度をさらに向上させて変形をより効果的に抑制することができる。
【0047】
また、傾斜部22と上鉛直面部23との連設部分に谷部透水孔40がを形成することにより、傾斜部22と上鉛直面部23との連設部分に溜まった雨水等をグレーチング枠体11内に通水させて効率よく排水することができる。
【0048】
さらに、下鉛直面部21と傾斜部22との連設部分に山部透水孔45を形成することにより、路面R内の雨水等をグレーチング枠体11内に通水させて、路面Rの水捌けを効果的に向上させることができる。
【0049】
加えて、グレーチング枠体11の樋部12に蓋部40を取り付けることにより、グレーチング枠体11内への落ち葉やゴミ等の侵入を効果的に抑制することができる。
【0050】
なお、本発明の路面用排水溝は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、第1実施例〜第4実施例の路面用排水溝において形成された谷部透水孔や山部透水孔は、当該路面用排水溝の用途に応じて、適宜に組み合わせてグレーチング枠体に形成することができる。すなわち、谷部透水孔と山部透水孔の双方を形成しない、谷部透水孔のみを形成する、山部透水孔のみを形成する、谷部透水孔と山部透水孔の双方を形成する等、適宜に選択される。
【0051】
また、実施例では、グレーチング枠体の一側の側壁部に雑草抑制部を設けた場合、雑草抑制部が縁石ブロックと反対側の車道側となるように路面用排水溝を配設したが(図2参照)、図10に示すように、雑草抑制部20を縁石ブロックB側となるように路面用排水溝10を配設してもよい。このように配設した場合、縁石ブロックBと路面用排水溝10の樋部12との間の路面Rbにおける雑草の繁殖を効果的に抑制することができるとともに、縁石ブロックBの反対側(車道側)を通過する自動車等の荷重が雑草抑制部20に作用しにくく、変形を大幅に抑制することができる。なお、図示のように、グレーチング枠体11を固定するための取付固定部17は路面Rr側となる他側の側壁部16bに設けられ、雑草抑制部20の下鉛直面部21はコンクリート層M1に当接される。
【0052】
さらに、グレーチング枠体の一側の側壁部に雑草抑制部を設けた場合には、図11に示すように、他側の側壁部16bの長手方向に沿って路面Rに配設される縁石ブロックBを載置するための段部18を形成してもよい。段部18は、他側の側壁部16bからグレーチング枠体11の外側方向に少なくとも縁石ブロックBの一部が載置可能なように延設された略水平面である。このように、縁石ブロックBを載置するための段部18を設けることにより、縁石ブロックBの設置を容易に行うことが可能となり、施工作業を簡便かつ効率的に行うことができる。この図において、符号19は縁石ブロックBの傾斜面に沿って傾斜された傾斜側壁部、M3は縁石ブロックBとコンクリート層M1及び縁石ブロックBと段部18との間に介在されるモルタル層である。
【0053】
また、実施例では、一方に縁石ブロックが設置された路面内に路面用排水溝を埋設する構成としたが(図2,5参照)、図12に示すように、縁石ブロックが設置されない路面R(例えば、両側が車道Rr)に路面用排水溝10を埋設してもよい。路面用排水溝10の両側が路面Rとなる場合には、グレーチング枠体11の両側の側壁部16a,16bに雑草抑制部20がそれぞれ一体に形成される。これにより、縁石ブロックがない路面Rに路面用排水溝10を埋設した場合であっても、路面用排水溝10の両側において効果的に雑草の成長や繁殖を抑制することができる。
【0054】
なお、図10図12の実施例において、各路面用排水溝の樋部の構成を細溝状の樋部とするか蓋部を設置するかは、適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 路面用排水溝
11 グレーチング枠体
12 樋部
15 底板部
16 側壁部
20 雑草抑制部
21 下鉛直面部
22 傾斜部
23 上鉛直面部
30 補強板
31 支持凹部
35 第2補強板
40 谷部透水孔
45 山部透水孔
50 蓋部
B 縁石ブロック
R 路面
【要約】
【課題】簡易な構成で効果的に雑草の繁殖を抑制することができる路面用排水溝を提供する。
【解決手段】路面R内部に埋設され上部に樋部12が形成された金属製のグレーチング枠体11を備えた路面用排水溝10であって、グレーチング枠体11の少なくとも一側の側壁部16の長手方向に沿って傾斜部22を有する断面N字状の雑草抑制部20が一体に形成されている。雑草抑制部20は、グレーチング枠体11の底板部15から鉛直方向へ路面Rより下側となるように立設された下鉛直面部21と、該下鉛直面部21の上端からグレーチング枠体11内側方向の下方へ傾斜して延設された傾斜部22と、該傾斜部22の下端から鉛直方向へ延設されて対向する側壁部16とともに樋部12を形成する上鉛直面部23とを一体に形成した。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12