(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
レーザ光源は、光ピックアップ装置や通信機器、映像表示機器に広く用いられている。そして、映像表示機器の中でも、特に、超小型のプロジェクタがノートパソコンや携帯電話に接続されて、プレゼンテーションや映像を大画面で楽しむ娯楽用として、市場のニーズが高まってきた。プロジェクタには、赤色、緑色、青色の3色の光が光源として用いられるが、緑色は、赤色、青色のようにレーザ光を直接発光する半導体レーザが今は存在しない。
【0003】
従って、緑色のレーザ光を得る一つの方法として、赤色又は赤外の半導体レーザ(レーザ素子)のレーザ光を非線形光学結晶素子で波長変換し、緑色のレーザ光を出射させることが提案されている。この波長変換は、非線形光学結晶素子として光導波路型の第2高調波発生素子(Second Harmonic Generation:以後SHG素子と記す。)を用いて、赤色又は赤外レーザ光をSHG素子の光導波路に光結合して導き、第2高調波を発生して元のレーザ波長の1/2波長のレーザ光、即ち、緑色レーザ光をSHG素子から出射させることである。例えば赤外発振波長1064nmを波長変換して発振波長532nmの緑色レーザ光を得ることが可能である。
【0004】
この波長変換によるレーザ光を出射するレーザ光源においては、半導体レーザの発光部とSHG素子の光導波路を光結合するための位置合わせ精度が非常に重要で、レーザ光源の発光効率に大きく影響を及ぼすことは周知のことである。SHG素子の光導波路の入射口寸法は、通常、幅5μm、高さ3μm程度である。従って、半導体レーザの発光部とSHG素子の光導波路の光結合は、微小な点と点の位置合わせとして、高精度が要求されているのである。
【0005】
従来の波長変換したレーザ光を出射するレーザ光源として、半導体レーザと光導波路型のSHG素子を用いたレーザ光源及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図19は、特許文献1に記載のレーザ光源100の構成を示す説明図である。
図19に示すように、レーザ光源100において、半導体レーザ101と光導波路110が形成された基板(以下SHG素子と言う)109が、L字型のSiサブマウント113の上に固定される。半導体レーザ101が固定されている第1の面113Aと、SHG素子109の固定されている第2の面113Bがお互いに垂直な位置関係にある。
【0007】
Siサブマウント113は、厚さ約5mmのSi基板を、第1の面113Aと第2の面113Bが垂直な位置関係になるように切断して作製される。Siサブマウント113の第1の面113Aには、Au薄膜が形成されている。半導体レーザ101が取り付けられる位置にはボンディング用のAu/Sn半田層が蒸着されている。
【0008】
半導体レーザ101は、Siサブマウント113上の第1の面113Aの基準線C(第2の面113Bの延長線に一致する)より約1μm離れたところに半導体レーザ101の活性層102の発光領域が位置するように固定される。発光点Eは、基準線Dより約1μm離れている。
【0009】
半導体レーザ101の活性層102の発光領域とSHG素子109の光導波路110の位置は、図に示す矢印のZ軸方向が基準線Cより約1μmの位置、Y軸方向が基準線Dより1μmの位置と決まっているから、位置合わせ調整は、X軸方向の一軸に沿って、即ち、第2の面113B上に沿って入射端面が基準線Dに接した状態でSHG素子109を平行移動させるだけで、高精度の位置合わせ調整が可能である。
【0010】
また、他の従来技術として、TOキャンパッケージに半導体レーザと非線形光学結晶素子を組み込み実装して、波長変換したレーザ光を出射するレーザ光源が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
図20は、特許文献2に記載のレーザ光源200の構成を示す説明図である。
図20に示すように、レーザ光源200において、半導体レーザ221は、導電性の金属からなるブロック222に半田等により固定されており、このブロック222は円盤状の導電性金属からなる基台203上に固定されている。
【0012】
基台203には、半導体レーザ励起用の2本の端子用ピンが設けられている。このうちP端子用ピン204−1は、基台203の開口部205を貫通して設けられ、その先端は,金線213により半導体レーザ221に接続されている。このP端子用ピン204−1は、開口部205に充填された絶縁物206により、基台203とは、電気的に絶縁されている。一方、N端子用ピン204−2は、基台203に電気的に接続されており、この基台203及びブロック222を介して、半導体レーザ221に接続されている。
【0013】
基台203上の半導体レーザ221は、キャップ207に覆われている。このキャップ207は、筒状の内部に半導体レーザ221を収納するキャップ本体207−1、キャップ本体207−1の端部に設けられた基台203に固定されたフランジ部207−2.及びキャップ本体207−1の頂部付近内部に設けられた窓部材208−1により構成されており、半導体レーザ221を気密封止してその劣化を防ぐためのものである。
【0014】
窓部材208−1は、非線形光学結晶素子により構成されるもので、半導体レーザ221の光学軸212上に設置されている。この窓部材208−1の半導体レーザ221に対向する側には、半球上の突起部208−2が形成されており、この突起部208−2は、集光されて入射する全ての光がその入射面にほぼ垂直に入射する曲面を有するように設定されている。窓部材208−1と半導体レーザ221の間のキャップ本体207−1の内側には、光学軸212上に集光レンズ209がレンズ固定部材210を介して設けられている。
【0015】
この集光レンズ209は、半導体レーザ221から出射されたレーザ光211が窓部材208−1のほぼ中央で焦点を結ぶように設定されている。そして、この窓部材208−1の非線形光学結晶素子の光学軸を半導体レーザ221の光学軸212に対して、24°から26°傾くように設定することにより、レーザ光211が入射すると、第2高調波、即ち入射光の1/2波長のレーザ光が窓部材208−1より出射する。即ち、元のレーザ光の半分の波長のレーザ光を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明のレーザ光源の実施例を図面に基づき説明する。なお、以下に説明する実施例においては、半導体レーザ(レーザ素子)の赤色又は赤外のレーザ光を非線形光学結晶素子であるSHG素子の光導波路に導き、緑色レーザ光をSHG素子から出射させる例で説明する。例えば赤外発振波長1064nmを波長変換して発振波長532nmの緑色レーザ光を出射するレーザ光源について説明する。
【0025】
(実施例1)
[実施例1の構成:
図1−
図4]
図1から
図4は、実施例1のレーザ光源1の構成を説明する図面である。
図1はレーザ光源1の外観を示す斜視図であり、
図2(a)は、レーザ光源1の構成を示す分解斜視図であり、
図2(b)は後述するSHG素子ホルダとSHG素子の分解斜視図である。
図3は
図1のA−A断面図であり、
図4は、レーザ光源1から後述するキャップを取り外した状態を示す斜視図である。各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
【0026】
実施例1のレーザ光源1は、発光部にレンズが設けられた半導体レーザのレーザ光を、SHG素子で波長変換して出射する。
図3および
図4に示すように、半導体レーザがレーザ光を発光する方向をZ軸方向とし、Z軸に直交する平面で互いに直交する方向をX軸方向、Y軸方向とする。
【0027】
図1に示すように、実施例1のレーザ光源1は、いわゆるTOキャンパッケージ形状の外観であり、基台11とキャップ16とフィルタ17と複数本のリード線19で外観が形成されている。複数本のリード線19の全長は、通常、レーザ光源本体より長い寸法を有するが、各図においては模式的に短く示す。
【0028】
図2(a)および
図3に示すように、レーザ光源1は、基台11と、半導体レーザ12と、フランジ13aと、SHG素子ホルダ14と、SHG素子15と、キャップ16と、フィルタ17と、複数本のリード線19と、を備えて構成されている。
【0029】
基台11は、例えばSPC又はコバールからなり、表面がAuメッキされている。半導体レーザ12は、発光部にレンズが設けられている。半導体レーザ12は、基台11に実
装され、リード線19とワイヤボンディング(図示せず)されて電気的に接続されている。
【0030】
図2(b)に示すように、第1の保持部材の一例であるSHG素子ホルダ14は、円柱形をなし、その円柱中心軸に沿って平行に溝140が形成されている。SHG素子ホルダ14は、材質が例えばSUS304からなる。SHG素子15は、表面に光導波路150を有している。
【0031】
SHG素子15とSHG素子ホルダ14は、SHG素子ホルダ14の溝140の底面141と左側壁142に、SHG素子15の裏面153と側面152を当接して、光導波路150がSHG素子ホルダ14の円柱中心軸に一致するように、接着治具にて定められた位置にエポキシ系接着剤により固着され、
図2(a)に示すように一体化されている。
【0032】
図2(a)および
図3に示すように、第2の保持部材の一例であるフランジ13aは、ガイド孔133が形成された円筒形の胴部131と、フランジ孔135が形成された円筒形のフランジ部132とからなる。
フランジ部132は側面に、後述する調整工程においてカメラによる調整用の視野を提供する窓部134が形成される。フランジ13aは、SHG素子ホルダ14と同様に、材質が例えばSUS304からなる。
【0033】
図1から
図3に示すように、キャップ16は、SUSの薄板を絞り加工により円筒形に形成し、上端部はレーザ光が透過する孔161を設け、下端部はフランジ部162が基台11に抵抗溶接される形状で形成されている。フィルタ17はキャップ16の上端部の孔161の内側にハーメチックシールを施されて固着され、赤色或いは赤外レーザ光を遮断し、緑色レーザ光を透過させる特性を持っている。
【0034】
図3および
図4に示すように、フランジ13aは、フランジ部132の下面と基台11の平面部111が面接触し、基台11の平面部111に載置されX軸方向、Y軸方向に安定な移動が可能である。基台11の平面部111は第1の案内部の一例である。フランジ部132のフランジ孔135が、半導体レーザ12とリード線19を包含する空間を形成していることで、このフランジ13aの十分な移動範囲が確保される。フランジ13aの円筒中心軸は、基台11の上面に垂直な方向、即ち、レーザ光の光軸の方向と一致する方向に形成される。
【0035】
SHG素子ホルダ14は、フランジのガイド孔133と摺動可能に嵌合してフランジ13aで案内され、その円柱中心軸は、フランジ13aの円筒中心軸と同様にレーザ光の光軸の方向と一致している。従って、SHG素子ホルダ14と一体化しているSHG素子15は、Z軸方向に移動可能に構成されている。ガイド孔133は、第2の案内部の一例である。
【0036】
キャップ16は、上端部の孔161をフィルタ17でハーメチックシール18して塞ぎ、下端部のフランジ部162を基台11の平面部111に抵抗溶接して半導体レーザ12、SHG素子15を気密封止して、TOキャンパッケージ形状のレーザ光源1を形成する。
【0037】
上述した構成を備えるレーザ光源1において、基台11に実装された半導体レーザ12から出射した赤色又は赤外のレーザ光は、SHG素子15の光導波路150を透過し、波長変換され緑色のレーザ光120となりフィルタ17を透過してキャップの孔161から出射する。
【0038】
レーザ光120を高効率で出射するためには、半導体レーザ12のレーザ光をできるだけ多くSHG素子15の光導波路150に導くことである、言い換えると、半導体レーザ12のレーザ光の焦点とSHG素子15の光導波路150の入射口が一致するように、位置合わせをすることである。
【0039】
即ち、
図3のレーザ光120の光軸方向(Z軸方向)、その光軸方向に垂直な平面内で互いに直交する2方向(X軸方向、Y軸方向)の3次元方向に、半導体レーザ12の焦点とSHG素子の光導波路150の入射口とが一致するように、位置合わせ調整をする。
【0040】
Z軸方向の位置合わせは、半導体レーザ12と光導波路150の入射口の間隙の調整であり、フランジ13aに支持されたSHG素子ホルダ14をレーザ光の光軸方向に、即ち、上下方向に移動することで達成される。そして、X軸方向、Y軸方向の位置あわせは、フランジ13aのフランジ部132の下面と基台11の上面を面接触させながらフランジ13aを前後左右に移動することで達成される。
以下、実施例1のレーザ光源1の調整方法について説明する。
【0041】
[実施例1の調整方法:
図4−
図5]
図5は、実施例1のレーザ光源1の位置合わせ調整方法の工程の説明図である。
調整装置(図示せず)は、基台11、フランジ13aおよびSHG素子15が固定されたSHG素子ホルダ14を定位置に設置し、
図4に示すM方向、N方向から配置したカメラ(図示せず)の検出画像をディスプレイにM視野、N視野として表示する。
また、調整装置は、フランジ13aをX軸、Y軸方向に移動させ、SHG素子ホルダ14をZ軸方向に移動させる。
【0042】
即ち、M方向のカメラのM視野は、
図5に示すように、SHG素子15の光導波路150と半導体レーザの焦点121のX軸およびY軸方向の位置を表示する。従ってM視野による位置調整は、基台11の上面でフランジ13aをX軸、Y軸方向に移動することで実施される。
そしてN方向のカメラのN視野は、
図5に示すように、SHG素子15の光導波路150と半導体レーザ12のZ軸方向の間隙を表示する。従って、N視野による間隙調整は、フランジ13aに嵌合し摺動可能なSHG素子ホルダ14を移動することで実施される。
【0043】
この際、M視野、N視野のカメラ検出においては、半導体レーザ12をパルス駆動で点灯することが、半導体レーザ12と光導波路150の関係を見やすくして望ましい。
なお、M方向のカメラは、上述の半導体レーザ12の焦点121とSHG素子15の光導波路150の位置を表示すると同時に、フィルタを介して赤色又は赤外光を遮蔽し緑色光を透過して光強度検出手段(例えば光パワーメータ)で光強度を測定し調整に利用することも可能となっている。
【0044】
以下、調整方法の工程について説明する。
まず、ST11において、基台11が調整装置(図示せず)に設置されて、基台11の平面部111(
図4参照)にフランジ13aが載置され、更にSHG素子ホルダ14がフランジ13aに挿入された組み込み初期状態にある。
【0045】
ST11のM視野は、調整前であるから、半導体レーザ12の焦点121とSHG素子15の光導波路150が離れた位置にある。更にST11のN視野も、調整前であるから、半導体レーザ12の焦点121とSHG素子15の光導波路150の入射口151の間隙が広く離れた位置にある。このM視野、N視野の図は模式的に間隙を大きく示してある。
【0046】
次に、ST12において、上下方向(Z軸方向)の粗調整を行う。Z軸方向の粗調整は、N視野において、基台11にフランジ13aの位置を固定(X軸方向、Y軸方向の移動を固定)したまま、SHG素子ホルダ14をZ軸方向に移動して、半導体レーザ12の焦点121と光導波路の入射口151の間隙を0.1mm程度まで縮める。M視野は、基台11に対しフランジ13aの位置を固定しているから、ST11と同様初期状態を表示している。
【0047】
次に、ST13において、前後左右方向(X軸方向、Y軸方向)の粗調整を行う。X軸方向、Y軸方向の粗調整は、M視野において、フランジ13aにSHG素子ホルダ14を固定(Z軸方向の移動を固定)したまま、フランジ13aを基台11の平面部111でX軸方向、Y軸方向に沿って移動し、半導体レーザの焦点121と光導波路150の位置をほぼ一致する状態に設定することである。N視野において、半導体レーザ12の焦点121と光導波路の入射口151の間隙は、ST12と同じ距離である。
【0048】
次にST14において、上下方向(Z軸方向)の微調整の工程を行う。Z軸方向の微調整は、ST12と同様に基台11にフランジ13aの位置を固定(X軸方向、Y軸方向の移動を固定)したまま、N視野において、半導体レーザの焦点121と光導波路の入射口151が一致する方向にSHG素子ホルダ14を微動し、そして、M視野のカメラの光強度検出手段でレーザ光の光強度が最大値になるように、SHG素子ホルダ14の位置を調整する。
【0049】
レーザ光の光強度が最大値になったSHG素子ホルダ14の位置で、フランジ13aの胴部131にレーザスポット溶接機(YAG溶接機)のレーザスポットを同時に複数個所照射し、フランジの胴部131とSHG素子ホルダ14を固着する。レーザスポットを同時に複数個所照射するのは、例えば3箇所120°ピッチで円周方向からレーザスポット溶接することにより、溶接による熱応力がバランスして溶接後の調整位置のズレが無い利点がある。更に、SHG素子ホルダ14の溝140を避けて等間隔にレーザスポット溶接する箇所を設定することが望ましい。この結果、半導体レーザの焦点121と光導波路の入射口151が一致して上下方向(Z軸方向)の調整は完了する。
【0050】
次にST15において、前後左右方向(X軸方向、Y軸方向)の微調整を行う。X軸方向、Y軸方向の微調整は、フランジ13aを基台11の平面部111でX軸方向、Y軸方向に沿って微動し、M視野のカメラの光強度検出手段で緑色レーザ光の光強度が最大値になるように、フランジ13aの位置を調整する。
【0051】
レーザ光の光強度が最大値になるフランジ13aの位置で、フランジのフランジ部132にレーザスポット溶接機のレーザスポットを同時に複数個所照射し、フランジのフランジ部132と基台11を固着する。その結果、
図5のST15のM視野、N視野に示すように、半導体レーザの焦点121と光導波路150の入射口151の位置が3軸方向で完全に一致する。
【0052】
上記調整工程の後、キャップ16のフランジ部162を抵抗溶接して、半導体レーザ12やSHG素子15を気密封止することで、
図1に示すTOキャンパッケージの形状に形成されたレーザ光源1が完成する。
【0053】
上述したように、実施例1によれば、SHG素子ホルダ14をフランジ13aに対して移動させて、半導体レーザ12に対するSHG素子15のZ軸方向の調整を行い、フランジ13aを基台11に対して移動させて、半導体レーザ12に対するSHG素子15のX軸方向およびY軸方向の調整を行う。これにより、半導体レーザ12とSHG素子15の位置調整を3軸方向に高精度で行うことができ、発光効率の良いレーザ光源1を提供する
ことが可能となる。
【0054】
また、実施例1によれば、SHG素子ホルダ14とフランジ13a、および、基台11とフランジ13aがそれぞれ互いに面接触する構成する構造を採用しているので、等角度ピッチのレーザスポット溶接を複数箇所行うことが可能であり、各部材の接合で熱による位置ずれを抑え、半導体レーザ12の焦点とSHG素子15の位置合わせ精度が保持されて、発光効率の良いレーザ光源1を提供することが可能となる。
【0055】
(実施例2)
次に、本発明に係るレーザ光源の実施例2について説明する。
実施例2のレーザ光源2は、半導体レーザの発光部にレンズを備えず、半導体レーザ発光部とSHG素子の光導波路を、直接光学的に結合し波長変換して発光する直接結合型のレーザ光源である。それ以外の構成部材については、実施例1と、寸法上の違いは多少あるものの、構造、材質、機能は同じでよい。
【0056】
[実施例2の構成:
図6−
図9]
図6から
図9は、実施例2のレーザ光源2の構成を説明する図面である。
図6はレーザ光源2の外観を示す斜視図であり、
図7は、レーザ光源2の構成を示す分解斜視図である。
図8は
図6のB−B断面図であり、
図9は、レーザ光源2からキャップを取り外した状態を示す斜視図である。各図において、実施例1と同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
【0057】
図8および
図9に示すように、半導体レーザがレーザ光を発光する方向をZ軸方向とし、Z軸に直交する平面で互いに直交する方向をX軸方向、Y軸方向とする。
【0058】
図6に示すように、レーザ光源2は、実施例1と同様に、いわゆるTOキャンパッケージ形状の外観であり、基台11とキャップ16とフィルタ17と複数本のリード線19で外観が形成されている。
また、
図7および
図8に示すように、レーザ光源2は、基台11と、ブロック21と、半導体レーザ22と、フランジ13aと、SHG素子ホルダ14と、SHG素子15と、キャップ16と、フィルタ17と、複数本のリード線19と、を備えて構成されている。
【0059】
ブロック21は、基台11と一体で形成されるか、溶着等の手段により一体的に基台11に固着されている。半導体レーザ22は、実施例1と異なり、発光部にレンズを備えない。半導体レーザ22は、ブロック21に実装され、リード線19とワイヤボンディング(図示せず)されて電気的に接続されている。
フランジ13a、SHG素子ホルダ14、SHG素子15、キャップ16、フィルタ17は、構成、機能について実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0060】
上述した構成を備えるレーザ光源2において、
実施例1と同様に、基台11に実装された半導体レーザ22から出射した赤色又は赤外のレーザ光は、SHG素子15の光導波路150を透過し、波長変換され緑色のレーザ光120となりフィルタ17を透過してキャップの孔161から出射する。
【0061】
レーザ光120の出射の効率を最大にするために、実施例1と同様に、半導体レーザ22とSHG素子の光導波路150の精度のよい位置合わせが重要である。半導体レーザ22と光導波路150の間にレンズのない直接結合型にあっては、半導体レーザ22とSHG素子の光導波路150の間隙は、周知のごとく極めて狭い。
以下、実施例2のレーザ光源2の調整方法について説明する。
【0062】
[実施例2の調整方法:
図9−
図11]
図10および
図11は、実施例2のレーザ光源2の位置合わせ調整方法の工程の説明図である。
実施例2の調整方法においては、実施例1と同様に、調整装置(図示せず)は、基台11、フランジ13aおよびSHG素子15が固定されたSHG素子ホルダ14を定位置に設置し、
図9に示すM方向、N方向から配置したカメラ(図示せず)の検出画像をディスプレイにM視野、N視野として表示する。
【0063】
以下、調整方法の工程について説明する。
まず、
図10に示すST21において、基台11が調整装置(図示せず)に設置されて、基台11の平面部111(
図9参照)にフランジ13aが載置され、更にSHG素子ホルダ14がフランジ13aに挿入された組み込み初期状態にある。
【0064】
ST21のM視野は、調整前であるから、半導体レーザ22の発光点220とSHG素子15の光導波路150が離れた位置にある。更にST21のN視野も、調整前であるから、半導体レーザ22の発光点220とSHG素子15の光導波路150の入射口151の間隙が広く離れた位置にある。このM視野、N視野の図は模式的に間隙を大きく示してある。
【0065】
次に、ST22において、上下方向(Z軸方向)の粗調整を行う。Z軸方向の粗調整は、N視野において、基台11とフランジ13aの位置を固定(X軸方向、Y軸方向の移動を固定)したまま、SHG素子ホルダ14をZ軸方向に移動して、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の入射口151の間隙が0.1mm程度まで縮める。M視野は、基台11にフランジ13aの位置を固定しているから、ST21と同様初期状態を表示している。
【0066】
次に、ST23において、前後左右方向(X軸方向、Y軸方向)の粗調整を行う。X軸方向、Y軸方向の粗調整は、M視野において、フランジ13aにSHG素子ホルダ14を固定(Z軸方向の移動を固定)したまま、フランジ13aを基台11の平面部111でX軸方向、Y軸方向に沿って移動し、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の位置がほぼ合う状態に設定することである。N視野においては、半導体レーザ22の発光点220と光導波路の入射口151の間隙は、ST22と同じ距離にある。
【0067】
次に、
図11に示すST24において、上下方向(Z軸方向)の微調整を行う。Z軸方向の微調整は、ST22と同様に基台11にフランジ13aの位置を固定(X軸方向、Y軸方向の移動を固定)したまま、N視野において、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の入射口151の間隙が20〜50μm程度にまでSHG素子ホルダ14を徐々に下げて調整することである。M視野においては、半導体レーザの発光点220と光導波路150のX軸Y軸の位置関係がST23と同じ状態にある。
【0068】
次に、ST25において、前後左右方向(X軸方向、Y軸方向)の微調整を行う。X軸方向、Y軸方向の微調整は、フランジ13aを基台11の平面部111でX軸方向、Y軸方向に沿って微動し、M視野のカメラの光強度検出手段で緑色レーザ光の光強度が最大値になるように、基台11に対するフランジ13aの位置を調整する。
【0069】
レーザ光の光強度が最大値になるフランジ13aの位置で、フランジのフランジ部132にレーザスポット溶接機のレーザスポットを同時に複数個所照射し、フランジのフランジ部132と基台11を固着する。その結果、
図11のST25のM視野に示すように、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の位置が一致する。N視野において、半導体レーザの発光点220と光導波路の入射口151の間隙は、ST24と同じ距離に
ある。
【0070】
次に、ST26において、Z軸方向の再微調整を行う。N視野において、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の入射口151が接触する直前の10μm以下の間隙(望ましくは5μm以下)になるまでSHG素子ホルダ14を注意深く徐々に下げる。望ましい間隙に到達したSHG素子ホルダ14の位置で、フランジ13aの胴部131にレーザスポット溶接機(YAG溶接機)のレーザスポットを同時に複数個所照射し、フランジの胴部131とSHG素子ホルダ14を固着する。実施例1と同様に、SHG素子ホルダ14の溝140を避けて、かつ、等角度ピッチで複数個所レーザスポット溶接を行うことが望ましい。この結果、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の入射口151の間隙、位置の調整工程が全て完了する。
【0071】
上記調整工程の後、キャップ16のフランジ部162を抵抗溶接して、半導体レーザ22やSHG素子15を気密封止することで、
図6に示すTOキャンパッケージの形状に形成されたレーザ光源2が完成する。
【0072】
上述したように、実施例2によれば、実施例1と同様に、SHG素子ホルダ14をフランジ13aに対して移動させて、半導体レーザ22に対するSHG素子15のZ軸方向の調整を行い、フランジ13aを基台11に対して移動させて、半導体レーザ22に対するSHG素子15のX軸方向およびY軸方向の調整を行うことにより、半導体レーザ22とSHG素子15の位置調整を3軸方向に高精度で行うことができ、発光効率の良いレーザ光源2を提供することが可能となる。
【0073】
また、実施例2によれば、実施例1と同様に、SHG素子ホルダ14とフランジ13a、および、基台11とフランジ13aがそれぞれ互いに面接触する構成する構造を採用しているので、等角度ピッチのレーザスポット溶接を複数箇所行うことが可能であり、各部材の接合で熱による位置ずれを抑え、半導体レーザ22の焦点とSHG素子15の位置合わせ精度が保持されて、発光効率の良いレーザ光源2を提供することが可能となる。
【0074】
(実施例3)
次に、本発明に係るレーザ光源の実施例3について説明する。
実施例3のレーザ光源3は、実施例2と同様に半導体レーザの発光部にレンズを備えず、半導体レーザ発光部とSHG素子の光導波路を、直接光学的に結合し波長変換して発光する直接結合型のレーザ光源である。なお、本例は実施例1と同様にレンズを用いた例にも適用可能である。
また後述するように、実施例3は、実施例1、2に一部構成要素が追加されるが、それ以外の構成部材については、構造、材質、機能は同じでよい。
【0075】
[実施例3の構成:
図12−
図15]
図12から
図15は、本発明の実施例3のレーザ光源3の構成を説明する図面である。外観は実施例2の
図6と同様であるので外観図を省略する、
図12は、実施例2の断面図の
図8と同様にレーザ光源3の構成を示す断面図である。
図13は、レーザ光源3の構成を示す分解斜視図である。
図14は、レーザ光源3からキャップを取り外し、SHG素子が見える位置にフランジを持ち上げた状態を示す側面図である。
図15は、レーザ光源3からキャップを取り外した状態を示す斜視図である。各図において、実施例1および実施例2と同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
調整装置は、SHG素子ホルダ14に対してSHG素子15をスライドさせることができる。この点は、後述の実施例4も同様である。
【0076】
図12、
図14および
図15に示すように、半導体レーザがレーザ光を発光する方向を
Z軸方向とし、Z軸に直交する平面で互いに直交する方向をX軸方向、Y軸方向とする。
【0077】
また、
図12および
図13に示すように、レーザ光源3は、実施例2のレーザ光源2に支持部材の一例である支持台20を追加した構成となっている。即ち、基台11と、フランジ13bと、SHG素子ホルダ14と、SHG素子15と、キャップ16と、フィルタ17と、複数本のリード線19と、ブロック21と、半導体レーザ22と、そして、支持台20と、を備えた構成となっている。
【0078】
図12および
図13に示すように、第2の保持部材の一例であるフランジ13bは、ガイド孔133が形成された円筒形の胴部131と、フランジ孔135が形成された円筒形のフランジ部132とからなる。フランジ13bのフランジ部132は、実施例1および2と異なり、調整用の視野を提供する窓部は形成されない。フランジ13bは、材質が例えばSUS304からなる。
【0079】
支持台20は、円筒にフランジを形成した形状で、フランジ側の端面に平面部201を形成し、平面部201の内側に円筒リング状に突設された隔壁202を備えている。そして、支持台20の円筒側の端面が基台11の平面部111にロー付け又は接着されて、基台11と一体にして固着される。支持台20の平面部201は、第3の案内部の一例であり、第1の案内部の例である基台11の平面部111と平行な平面である。平面部201のZ軸方向の高さ位置は、半導体レーザ22の発光点に極めて近く、かつ、半導体レーザ22の発光点より少し低い位置に設定されている。
【0080】
図12の詳細図に示すように、円筒リング状の突設した隔壁202は、フランジ13bのフランジ部132の内側に形成されている。そして、フランジ13bのフランジ部132の下面が支持台20の平面部201と面接触して、実施例2と同様にX軸方向及びY軸方向に移動可能に形成される。
【0081】
支持台20に設けられた隔壁202は、例えば、半導体レーザ22の発光点と平面部201のほぼ中間の高さに形成されている。この隔壁202は、後述するように、調整方法の最終の工程で実施されるフランジ13bと支持台20のレーザスポット溶接において飛び出すスパッタや酸化物などの異物が、この隔壁202に遮られて、半導体レーザ22の発光点に付着することを防ぐ働きを担っている。
【0082】
基台11、SHG素子ホルダ14、SHG素子15、キャップ16、フィルタ17、リード線19、ブロック21、半導体レーザ22は、構成、機能が実施例2と同様であるので、説明を省略する。
【0083】
また、実施例3のレーザ光源3は、
図14に示すように、SHG素子15の下端が見える位置まで、フランジ13bを持ち上げてN視野を確保し、後述する調整工程においてZ軸方向の位置調整に用いられる。
【0084】
以下、実施例3のレーザ光源3の調整方法について説明する。
【0085】
[実施例3の調整方法:
図14−
図16]
図16は、実施例3のレーザ光源3の位置合わせ調整方法の工程の説明図である。
実施例3の調整方法においては、実施例1および実施例2と同様に、調整装置(図示せず)は、基台11と支持台20を定位置に設置し、フランジ13bとSHG素子ホルダ14を定位置に保持し、
図14及び
図15に示す矢印M方向、矢印N方向から配置したカメラ(図示せず)の検出画像をディスプレイにM視野、N視野として表示する。
【0086】
以下、調整方法の工程について説明する。
まず、
図16に示す、ST31において、支持台20と一体の基台11が、調整装置(図示せず)に設置されて、フランジ13bとSHG素子ホルダ14とが調整装置(図示せず)に保持されて、初期状態にある。また図l4に示すように、N視野が確保されるように、SHG素子15の下端が見える位置までフランジ13bを調整装置により持ち上げられる。
【0087】
ST31のM視野に示すように、X軸−Y軸方向において、半導体レーザ22の発光点220とSHG素子15の光導波路150は初期状態の離れた位置にある。またST31のN視野に示すように、Z軸方向においても、半導体レーザ22の発光点220とSHG素子15の光導波路150の入射口151の間隙は初期状態で広く離れた位置にある。N視野には、半導体レーザ22の発光点220の近傍に配置された支持台20と隔壁202がその視野の中に認められる。このM視野、N視野の図は光導波路150と半導体レーザ22の間隙を理解しやすくするため模式的に大きく示してある。
【0088】
次に、ST32において、Z軸方向とX軸方向、Y軸方向の粗調整を行う。Z軸方向の粗調整は、N視野において、SHG素子ホルダ14をZ軸方向に移動して、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の入射口151の間隙を約0.1mmに調整する。
X軸方向、Y軸方向の粗調整は、M視野において、フランジ13bとSHG素子ホルダ14を、支持台20の平面部201に沿ってX軸方向、Y軸方向に移動させ、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の位置がほぼ重なるように調整する。
【0089】
次に、ST33において、Z軸方向とX軸方向、Y軸方向の微調整を行う。Z軸方向の微調整は、N視野において、SHG素子ホルダ14をZ軸方向に移動して、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の入射口151の間隙が3〜7μm程度にまでSHG素子ホルダ14を徐々に下げて調整する。
X軸方向、Y軸方向の微調整は、M視野において、フランジ13bとSHG素子ホルダ14を、支持台20の平面部201に沿ってX軸方向、Y軸方向に移動させ、M視野のカメラの光強度検出手段で緑色レーザ光の光強度が最大値になるように、SHG素子ホルダ14の位置を調整する。
【0090】
Z軸方向の微調整、およびX軸方向、Y軸方向の微調整の後、フランジ13bを、フランジ部132が支持台20の平面部201に当接する位置まで下にスライドし、支持台20の平面部201の上に載置する。その後、フランジ13bの胴部131とSHG素子ホルダ14を、レーザスポット溶接機でレーザスポットを同時に複数個所照射し固着する。
【0091】
その結果、
図15に示すように、ST33の調整工程終了後のレーザ光源3は、N視野を用いたZ軸方向の調整が終了し、半導体レーザ22の周囲をフランジ13bと支持台20で覆った外観になる。従って、N視野はフランジ13bにより遮られた状態になるが、矢印M方向のカメラのM視野は表示可能となっている。
【0092】
次に、ST34において、フランジ13bを、支持台20の平面部201に沿ってX軸方向、Y軸方向に移動させ、M視野のカメラの光強度検出手段を用いて緑色レーザ光の光強度が最大値になるように、位置合わせの再調整を行う。
【0093】
フランジ13bを移動させて、光強度が最大値になった位置で、フランジ13bのフランジ部132と支持台20の平面部201に、レーザスポット溶接機(YAG溶接機)のレーザスポットを同時に複数個所照射し、フランジ13bと支持台20を固着する。
以上の工程により、半導体レーザ22の発光点220と光導波路150の入射口151の間隙、位置の調整が全て完了する。
【0094】
本発明の実施例3のレーザ光源3は、所定の高さを有する支持台20を基台11上に設け、支持台20に形成された平面部201にフランジ13bが載置されて固定される。これにより、基台11にフランジ13aが載置される実施例2の構成と比較して、フランジ13bが載置される面とSHG素子15の光導波路の入射口151の距離が短くなる。
【0095】
よって、調整工程のST34において溶接によりフランジ13bを固定する際に、アンバランスが生じてフランジ13bが若干傾くことがあったとしても、実施例3のレーザ光源3は、フランジ13bの傾きによる位置ずれを抑え、発光効率の良いレーザ光源を提供することが可能となる。
【0096】
また、本発明の実施例3のレーザ光源3は、支持台20のフランジ13bより内側の位置に、円筒リング状に突出して設けられた隔壁202を備えている。これにより、調整工程のST34においてフランジ13bを溶接する際に飛び出すスパッタや酸化物などの異物が、この隔壁202に遮られて、スパッタや酸化物などの異物の付着による半導体レーザ22の不良を防ぐことが可能となる。
【0097】
上記調整工程の後、実施例2と同様に、
図6に示すように、キャップ16のフランジ部162を抵抗溶接して、半導体レーザ22やSHG素子15を気密封止することで、TOキャンパッケージの形状に形成されたレーザ光源3が完成する。
本例においては、フランジ13aに、実施例1、2で説明した窓134が形成されていても差し支えはない。
【0098】
(実施例4)
次に、本発明に係るレーザ光源の実施例4について説明する。
実施例4のレーザ光源4は、実施例2、3と同様に、半導体レーザ発光部とSHG素子の光導波路を、直接光学的に結合し波長変換して発光する直接結合型のレーザ光源である。なお、本例は実施例1と同様にレンズを用いた例にも適用可能である。
【0099】
[実施例4の構成:
図17−
図18]
図17と
図18は、本発明の実施例4のレーザ光源4の構成を説明する図面である。外観については実施例2の
図6と同様なので外観図は省略する。
図17は、実施例3の
図12の断面図と同様にレーザ光源4の構成を示す断面図であり、
図18(a)は、レーザ光源4の構成を示す分解斜視図であり、
図18(b)はフランジの分解斜視図である。各図において、実施例1と同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
【0100】
図17および
図18(a)に示すように、実施例4のレーザ光源4は、実施例3のレーザ光源3と比較して第2の保持部材の一例であるフランジ13cの構造が異なる。即ち、
図18(b)に示すように、フランジ13cが、第1の円筒136、第2の円筒137および第3の円筒138の3つの円筒を組み合わせて構成されている。
【0101】
第1の円筒136は、実施例3と同様に、SHG素子ホルダ14と嵌合する直径を持つガイド孔133を形成し、その外周に第2の円筒137が嵌合し固着される。また、第2の円筒137の外周には、第3の円筒138が嵌合し固着される。各円筒を互いに固着する方法は、例えば、嵌合のしまりばめ、または接着であってもよい。第1および第3の円筒の材質は例えばSUS304からなる。第2の円筒の材質は、断熱性と寸法安定性の優れた材質、例えば低熱伝導率のセラミクス等からなる。
【0102】
第1の円筒136は、実施例3のフランジ13bの胴部131(
図12参照)と同様に
、ガイド孔133が形成される。また、第3の円筒138は、実施例3のフランジ13bのフランジ部132(
図12参照)と同様に、フランジ孔135が形成される。
基台11、SHG素子ホルダ14、SHG素子15、キャップ16、フィルタ17、リード線19、支持台20、ブロック21、半導体レーザ22は、構成、機能について実施例3と同様であるので、説明を省略する。
【0103】
実施例4のレーザ光源4は、フランジ13cの第2の円筒137を断熱性の材質で形成することで、半導体レーザ22とSHG素子15が熱的に遮断される。これにより、半導体レーザ22とSHG素子15の動作温度を、それぞれ別々に管理することが可能となる。
例えば、
図17に示すように、基台11に、2点鎖線で示す領域に冷却機能を有するペルチェ素子112を取り付ける。また、第1の円筒136には2点鎖線で示す領域に発熱機能を有するチップ抵抗139を取り付ける。
【0104】
このような構成とすることにより、例えば、半導体レーザ22を最も発光効率の良い動作温度の約40℃に保つとともに、SHG素子15を最も波長変換効率の良い動作温度の約50℃に保つように温度を管理することが可能である。これにより、発光効率の一段と優れたレーザ光源を提供することが可能である。
【0105】
上述したように、実施例4のレーザ光源4は、フランジ13c以外の構成は実施例3と同様であり、
図14−
図16に示す方法で、半導体レーザ22とSHG素子15の3軸方向の位置調整を高精度で行うことが可能である。
【0106】
図17および
図18においては、実施例3のレーザ光源の構成において、断熱性の材質で形成される円筒部を有するフランジを備える例を示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、実施例1または2のレーザ光源の構成において、SHG素子を保持するフランジが断熱性の材質で形成される円筒部を有する構成であってもよい。
このような構成とすることにより、同様に、半導体レーザとSHG素子を熱的に遮断し、半導体レーザとSHG素子を最適な温度に保つように温度管理をすることが可能となる。
本例においても、第3の円筒138に、実施例1、2で説明した窓が形成されていても差支えがない。
【0107】
なお、本発明の実施例において、赤色あるいは赤外のレーザ光を波長変換して緑色レーザ光を得るレーザ光源の説明を行ったが、この波長変換は青色、紫色、紫外レーザ光にも適応できることは言うまでもない。