製函機の下流部で上流側から送り出されたシート状の段ボール箱をフロントストップで停止させてホッパ部内の積重部で受けて集積しバッチとして排出するカウンタエゼクタ部に装備されるスケアリング装置であって、
前記積重部が前記段ボール箱の送出速度及び前記段ボール箱のスタックの設定枚数に応じた滞留時間だけ積重位置に滞留する際に前記積重部上に積重される前記段ボール箱を前記フロントストップと協働してスケアリングするスケアリングプレートと、
前記スケアリングプレートを前記フロントストップに対して離接方向に往復駆動する往復駆動装置と、を備え、
前記往復駆動装置は、前記スケアリングプレートを往復駆動するスケアリング速度の前記送出速度に対する速度比率を可変に構成されている
スケアリング装置。
前記制御装置は、前記変更操作部により変更操作された前記設定速度をこのときの前記送出速度及び前記設定枚数と紐付した設定速度データを記憶するデータ記憶部と、前記製函機のオーダー変更時に前記データ記憶部に新オーダーに対応した設定速度データが記憶されている場合はこの設定速度データを用いて新オーダーにかかる前記送出速度及び前記設定枚数に対応した前記設定速度を自動で呼び出す自動設定部とを有している
請求項5記載のスケアリング装置。
前記制御装置は、前記設定速度とこれに対応する前記送出速度及び前記設定枚数とを紐付した設定速度データ群をデータベースとして予め記憶したデータ記憶部と、前記製函機のオーダー変更時に前記データ記憶部に記憶されたデータベースを用いて新オーダーにかかる前記送出速度及び前記設定枚数に対応した前記設定速度を自動で呼び出す自動設定部とを有している
請求項5記載のスケアリング装置。
製函機の下流部で上流側から送り出されたシート状の段ボール箱をフロントストップで停止させてホッパ部内の積重部で受けて集積しバッチとして排出するカウンタエゼクタ部に装備されるカウンタエゼクタであって、
前記フロントストップと、
前記積重部と、
請求項1〜12の何れか1項に記載のスケアリング装置と、をそなえている
カウンタエゼクタ。
前記積重部は、前記段ボール箱の送出速度及び前記段ボール箱のスタックの設定枚数に応じた滞留時間だけ前記積重位置である上昇位置に滞留するエレベータ台座であって、
前記エレベータ台座上に集積されて形成されたスタックが設定枚数に達した時に作動して次のスタックを形成する前記段ボール箱を受けるレッジと、
前記ホッパ部の下部に配置され前記レッジ上のスタックを受ける補助レッジと、
を更に備え、
前記エレベータ台座は、前記上昇位置に上昇すると前記補助レッジ上のスタックを受けて、その後、送り出された前記段ボール箱を受けて枚数増加したスタックが設定枚数に達するまで前記上昇位置に滞留する
請求項13記載のカウンタエゼクタ。
前記エレベータ台座上の前記スタックが設定枚数に達すると、前記ホッパ部内に進出し、設定枚数に達したスタックを上方から押圧して前記エレベータ台座と協働して前記スタックを把持するプレスバーを有し、
前記プレスバーは、前記エレベータ台座の前記上昇位置から下降位置まで下降する際に、前記エレベータ台座と共に下降しながら前記設定枚数のスタックの把持を続行する
請求項14記載のカウンタエゼクタ。
前記スケアリング装置の前記スケアリングプレートは、前記プレスバーと前記エレベータ台座とで挟持された前記設定枚数のスタックの各段ボール箱を少なくとも2回スケアリングする
請求項15記載のカウンタエゼクタ。
前記エレベータ台座の前記下降位置に沿って搬送面を配置され、前記エレベータ台座の前記下降位置で前記エレベータ台座上の前記スタックを受け取る下部コンベアを備え、
前記プレスバーは、前記下部コンベアが前記スタックを受け取った後、前記下部コンベアと協働して前記スタックを把持しながら前記下部コンベアの搬送方向に移動して前記スタックを搬送し、前記下部コンベアの下流側に配置された搬出コンベア及び上部コンベアに受け渡す
請求項15又は16記載のカウンタエゼクタ。
前記レッジは、前記プレスバーの前記ホッパ部内への進出と連動して前記ホッパ部内へ進出して、前記プレスバーの前記下部コンベアの搬送方向への移動と連動して前記ホッパ部外へ退出するように構成され、
前記補助レッジは、前記レッジの前記ホッパ部外への退出に伴って前記レッジ上のスタックを受ける
請求項17記載のカウンタエゼクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のように、スケアリングプレートの往復動は所定の周期で行なわれるが、この往復動の周期は、通常、段ボール箱の送り出し周期に対応して設定される。言い換えると、一般に、単位時間当たりのスケアリングプレートの往復動の回数(スケアリング回数)として規定できるスケアリング速度は、単位時間当たり送り出される段ボール箱の枚数として規定できる製函機のマシン速度に対応して設定される。これにより、シート状の段ボール箱1枚毎のスケアリングの回数が一定に保たれる。
【0007】
また、カウンタエゼクタ部では、積重部に積み重ねられた段ボール箱のスタックが設定枚数に達するとバッチとして積重部から排出する。スケアリングはスタックが積重部に滞留している際に行なわれ、積重部から排出されると行なえない。このため、特許文献1に記載されるように、積重部に下から順に段ボール箱を積み重ねる方式のカウンタエゼクタ部では、最後に積み重ねられたスタックの最上部の段ボール箱のスケアリング回数は最も少なくなり、スケアリング不足を招き易い。
【0008】
バッチとするスタックの設定枚数は、人手による運搬を考慮して段ボール箱1枚分の重量に応じて設定される。例えば、1枚の段ボール箱が軽いほど(即ち、段ボール箱が小型であるほど)、多く積み上げても人力での搬送が可能なためスタックの設定枚数は多くなる。1枚の段ボール箱が重いほど(即ち、段ボール箱が大型であるほど)、多く積み上げると人力での搬送が困難になるためスタックの設定枚数は少なくなる。
【0009】
スタックの設定枚数が多いと、カウンタエゼクタからスタックをバッチとして排出する周期、即ち、カウンタエゼクタの動作サイクルが長くなる。このため、スタックが設定枚数に達してからスタックを積重部から排出するまでの時間、即ち、スタックの積重部での滞留時間を長く設定できる。したがって、最上部の段ボール箱のスケアリング回数も十分に確保することが可能である。
【0010】
一方、スタックの設定枚数が少なければ、カウンタエゼクタからバッチとして排出する周期、即ち、カウンタエゼクタの動作サイクルが短くなる。このため、スタックが設定枚数に達してからスタックを積重部から排出するまでの時間、即ち、スタックの積重部での滞留時間を十分に確保できない。したがって、最上部の段ボール箱に対してスケアリングを十分な回数だけ実施できず、スケアリング不足を招きスケアリングを適正に行なえない場合がある。
【0011】
また、例えば、大きい段ボール箱ほどスケアリングを適正に行なうのに必要なスケアリング回数も増加する傾向がある。
したがって、大きい段ボール箱ほど、要求されるスケアリング回数が増加するのに対して、可能なスケアリング回数がより制限され、これらの両面からスケアリングを適正に行なえない状況にある。
【0012】
そこで、スケアリング速度をマシン速度に対してより高く設定して、シート状の段ボール箱1枚毎のスケアリングの回数を多く設定することが考えられる。しかし、スケアリング回数を多く設定したまま、マシン速度を高めた場合に、スケアリングプレート等による機械振動が顕著になって、機械の損傷や段ボール箱の損傷が発生し易くなる。よって、段ボール箱1枚毎のスケアリングの回数を一律に設定すると、生産性の観点からマシン速度を高速化したいという要求に答えることができなくなる。
【0013】
なお、特許文献2のように、段ボール箱を搬送方向上流からスライドさせて排出集積部のスタックの下部に送り込む構成は、送り込まれる段ボール箱と矯正板との干渉を避けるように、段ボール箱の送り込まれるタイミングに合わせて矯正板を段ボール箱が干渉しない位置に回避させることが必要であり、段ボール箱の送り込まれる周期に合わせて矯正板を往復動させる必要があると考えられる。最後に送り込まれる最下段の段ボール箱のスケアリング回数を多く確保するには、スタックの排出集積部での滞留時間を長くすることが必要になり、バッチとして排出する周期が長くなり、マシン速度の高速化は困難になる。
【0014】
本発明はかかる課題に鑑み創案されたもので、段ボール箱の送出速度や、スタックの枚数に係らず、スケアリングを適正に行なえるようにしたスケアリング装置、及びこれを備えたカウンタエゼクタ、更には、これを備えた製函機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)上記目的を達成するために、本発明のスケアリング装置は、製函機の下流部で上流側から送り出されたシート状の段ボール箱をフロントストップで停止させてホッパ部内の積重部で受けて集積しバッチとして排出するカウンタエゼクタ部に装備されるスケアリング装置であって、前記積重部が前記段ボール箱の送出速度及び前記段ボール箱のスタックの設定枚数に応じた滞留時間だけ積重位置に滞留する際に前記積重部上に積重される前記段ボール箱を前記フロントストップと協働してスケアリングするスケアリングプレートと、前記スケアリングプレートを前記フロントストップに対して離接方向に往復駆動する往復駆動装置と、を備え、前記往復駆動装置は、前記スケアリングプレートを往復駆動するスケアリング速度の前記送出速度に対する速度比率を可変に構成されている。
なお、スケアリング速度の送出速度に対する速度比率を可変に構成するということは、スケアリング速度の送出速度との比率(速度比率)が一定に固定されていないことを意味し、例えば、速度比率が変化してもスケアリング速度は一定である場合や、速度比率が変化してもこれとは違う変化率でスケアリング速度が変化する場合を含む。
【0016】
(2)前記積重部は、前記段ボール箱の送出速度及び前記段ボール箱のスタックの設定枚数に応じた滞留時間だけ前記積重位置である上昇位置に滞留するエレベータ台座であることが好ましい。
【0017】
(3)前記往復駆動装置は、前記段ボール箱を送り出す送出駆動装置に対して独立して設けられたアクチュエータと、前記アクチュエータの前記往復駆動にかかる作動速度が設定速度になるように前記アクチュエータの作動を制御する制御装置と、をそなえていることが好ましい。
【0018】
(4)また、前記往復駆動装置は、前記段ボール箱を送り出す送出駆動装置の駆動源と前記駆動源と前記スケアリングプレートの駆動軸(スケアリング軸)との間に介装された変速機とからなるアクチュエータと、前記アクチュエータの前記往復駆動にかかる作動速度が設定速度になるように前記変速比の変速比を制御する制御装置と、をそなえていることも好ましい。
(5)これらの場合、前記制御装置は、前記設定速度を変更操作する変更操作部を備えていることが好ましい。
【0019】
(6)さらに、前記制御装置は、前記変更操作部により変更操作された前記設定速度をこのときの前記送出速度及び前記設定枚数と紐付した設定速度データを記憶するデータ記憶部と、前記製函機のオーダー変更時に前記データ記憶部に新オーダーに対応した設定速度データが記憶されている場合はこの設定速度データを用いて新オーダーにかかる前記送出速度及び前記設定枚数に対応した前記設定速度を自動で呼び出す自動設定部とを有していることが好ましい。
【0020】
(7)前記制御装置は、前記設定速度とこれに対応する前記送出速度及び前記設定枚数とを紐付した設定速度データ群をデータベースとして予め記憶したデータ記憶部と、前記製函機のオーダー変更時に前記データ記憶部に記憶されたデータベースを用いて新オーダーにかかる前記送出速度及び前記設定枚数に対応した前記設定速度を自動で呼び出す自動設定部とを有していることも好ましい。
【0021】
(8)前記変更操作部は、前記設定速度を前記スケアリング速度の前記送出速度に対する倍率として設定するように構成されていることが好ましい。
(9)前記倍率のデフォルト値として、2倍又は2倍以上の値が設定されていることが好ましい。
(10)前記倍率のデフォルト値として、送出速度が低速域の場合には送出速度が高速域の場合よりも大きな値が設定されていることも好ましい。
【0022】
(11)前記アクチュエータは、前記制御装置により回転を制御される電動モータと、
前記電動モータの回転運動を往復運動に変換して前記スケアリングプレートに伝達する運動変換機構と、前記スケアリングプレートを所定方向に往復動するよう案内するリニアガイド部材と、を有していることが好ましい。
【0023】
(12)この場合には、前記運動変換機構は、回転軸心の位置を固定されて回転するスケアリング軸と、前記スケアリング軸の外周に突出形成され前記回転軸心に対して偏心した偏心外周面を有する偏心部と、一端に前記偏心外周面と摺動自在に係合する内周面を有するリング部を有し、他端に前記スケアリングプレートの端部にピン結合する結合部を有するアーム部材と、を備え、前記偏心外周面と前記リング部の内周面との摺動部分で回転運動を往復運動に変換するように構成され、前記電動モータと前記スケアリング軸との間は、ベルトプーリ機構で動力伝達されることが好ましい。
【0024】
(13)本発明のカウンタエゼクタは、製函機の下流部で上流側から送り出されたシート状の段ボール箱をフロントストップで停止させてホッパ部内の積重部で受けて集積しバッチとして排出するカウンタエゼクタ部に装備されるカウンタエゼクタであって、前記フロントストップと、前記積重部と、上記のスケアリング装置と、をそなえている。
【0025】
(14)前記積重部は、前記段ボール箱の送出速度及び前記段ボール箱のスタックの設定枚数に応じた滞留時間だけ上記積重位置である上昇位置に滞留するエレベータ台座であって、前記エレベータ台座上に集積されて形成されたスタックが設定枚数に達した時に作動して次のスタックを形成する前記段ボール箱を受けるレッジと、前記ホッパ部の下部に配置され前記レッジ上のスタックを受ける補助レッジと、を更に備え、前記エレベータ台座は、前記上昇位置に上昇すると前記補助レッジ上のスタックを受けて、その後、送り出された前記段ボール箱を受けて枚数増加したスタックが設定枚数に達するまで前記上昇位置に滞留することが好ましい。
【0026】
(15)さらに、前記エレベータ台座上の前記スタックが設定枚数に達すると、前記ホッパ部内に進出し、設定枚数に達したスタックを上方から押圧して前記エレベータ台座と協働して前記スタックを把持するプレスバーを有し、前記プレスバーは、前記エレベータ台座の前記上昇位置から下降位置まで下降する際に、前記エレベータ台座と共に下降しながら前記設定枚数のスタックの把持を続行することが好ましい。
【0027】
(16)この場合、前記スケアリング装置の前記スケアリングプレートは、前記プレスバーと前記エレベータ台座とで挟持された前記設定枚数のスタックの各段ボール箱を少なくとも2回スケアリングすることが好ましい。
【0028】
(17)前記エレベータ台座の前記下降位置に沿って搬送面を配置され、前記エレベータ台座の前記下降位置で前記エレベータ台座上の前記スタックを受け取る下部コンベアを備え、前記プレスバーは、前記下部コンベアが前記スタックを受け取った後、前記下部コンベアと協働して前記スタックを把持しながら前記下部コンベアの搬送方向に移動して前記スタックを搬送し、前記下部コンベアの下流側に配置された搬出コンベア及び上部コンベアに受け渡すことが好ましい。
【0029】
(18)さらに、前記レッジは、前記プレスバーの前記ホッパ部内への進出と連動して前記ホッパ部内へ進出して、前記プレスバーの前記下部コンベアの搬送方向への移動と連動して前記ホッパ部外へ退出するように構成され、前記補助レッジは、前記レッジの前記ホッパ部外への退出に伴って前記レッジ上のスタックを受けることが好ましい。
【0030】
(19)本発明の製函機は、下流部のカウンタエゼクタ部に、上記のカウンタエゼクタを装備している。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、スケアリングプレートを往復駆動するスケアリング速度の送出速度に対する速度比率を可変に構成されているので、積重部の積重位置への滞留時間が短いなどによって、例えば最後に送り出された段ボール箱に対するスケアリングプレートによるスケアリング回数が不足し適正にスケアリングできないおそれがある場合に、スケアリングプレートを往復駆動するスケアリング速度を送出速度に対して相対的に速くすることにより、スケアリング回数を増加させることができ、段ボール箱を適正にスケアリングすることができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、本発明にかかる実施形態を説明する。
図1は本実施形態にかかるカウンタエゼクタの構成を示し、
図2は本実施形態にかかる製函機の構成を示し、
図3〜
図6は本実施形態にかかるスケアリング装置の構成を示すものである。これらの図を参照して、本実施形態を説明する。
【0034】
〔1.製函機〕
まず、本実施形態にかかるカウンタエゼクタを備える製函機の構成を説明する。
図2は製函機の構成を示す側面図であり、段ボールシートがシート状の段ボール箱(製函用シート材)に加工される過程を、製函機の各工程の装置構成の上方に、装置構成とは分けて装置構成に対応させて付記している。
図2に示すように、この製函機は、上流側から、給紙部1,印刷部2,排紙部3,ダイカット部4,フォルダグルア部5,カウンタエゼクタ部6が設けられている。
【0035】
給紙部1では、板状の段ボールシート10aが多数積載された状態で搬入され、この段ボールシート10aを1枚ずつ印刷部2に供給(給紙)する。印刷部2は、所定の色数[ここでは、4色]の印刷ユニット2a〜2dからなり、印刷部2では、搬送コンベア7によって1枚ずつ搬送される段ボールシート10aに、各色のインキを順次印刷する。
【0036】
排紙部3では、印刷部2で印刷された段ボールシート10aに溝切りや罫線入れ加工を行なう。ダイカット部4では、打抜き型を用いて段ボールシート10aを任意の形状に加工し、そして、フォルダグルア部5では、溝切りや罫線入れをされた段ボールシート10aの左右方向一端の糊代に糊付けして、段ボールシート10aの左右両端部が裏側(下方)で重合するように、折り曲げ加工を行なって、折り曲げられた段ボールシート10aの左右両端部を糊によって接着してシート状の段ボール箱(製函用シート材)10とする。
【0037】
カウンタエゼクタ部6では、フォルダグルア部5で加工された製函用シート材10を計数しながら積載する。そして、所定枚数の製函用シート材10が積み上げられたら、このスタック50を1単位のバッチとして出荷する。
【0038】
〔2.カウンタエゼクタ〕
次に、
図1を参照して、カウンタエゼクタ部6に装備されるカウンタエゼクタ(以下、符号6を付して説明する)について説明する。
図1に示すように、カウンタエゼクタ6の入り口部の機械幅方向両側には、フレーム20がそれぞれ立設されており、このフレーム20にはフォルダグルア5の出口部(最後部)に設けられた上下一対のコンベアベルト21U,21L(以下、これらを合わせて符号21で示す)と、上下一対の送り出しロール22U,22L(以下、これらを合わせて符号22で示す)とが取り付けられている。これらの送り出しロール22U,22Lの下部には、後述するスタック(製函用シート材10が複数枚積み重なったもの)50の端部を押圧して製函用シート材10の形状を矯正するスケアリング装置60が設けられている。このスケアリング装置60の詳細は後述する。
【0039】
送り出しロール22の出口側の下方は、製函用シート材10が積み重ねられていくことによりスタック50が形成される空間(ホッパ部)Hとなっている。
スケアリング装置60の直下には、一方の補助レッジ25aがエアシリンダ26によりホッパ部Hに出入り可能に取り付けられている。
【0040】
また、送り出しロール22の前方の対向位置には、フォルダグルア5から排出された製函用シート材10を停止させるフロントストップ28が前後方向(製函用シート材10の搬送方向及びその反対方向)に位置調整可能に支持されている。すなわち、フロントストップ28の上部は、前後方向へ延びるねじ軸29に取り付けられ、モータ30の回転駆動によりねじ軸29が回転するとフロントストップ28が前後方向に移動し位置調整できるようになっている。フロントストップ28の下部には、もう一つの補助レッジ25bがエアシリンダ31によりホッパ部Hに出入り可能に設けられている。両補助レッジ25a,25bは互いに対向して配置され、後述するレッジ42上のスタック50を受けるように構成されている。
【0041】
また、フロントストップ28の下方には、これに当たって落ちた製函用シート材10を受けて支持し、製函用シート材10を積み重ねてスタック50を形成する積重部としてのエレベータ台座33を有するエレベータ32が設けられている。
このエレベータ32は、台座33を支持する支持軸34と、支持軸34と共に台座33を昇降駆動する昇降機構35と、昇降機構35を駆動するサーボモータ35aとをそなえ、サーボモータ35aを作動させることにより台座33を昇降駆動可能に構成されている。
このようなエレベータ32の作動の制御は、コントローラ(制御装置)54により行なわれる。
【0042】
一方、カウンタエゼクタ6におけるホッパ部Hを含んだ搬送方向下流側の機械幅方向両側には、サイドフレーム36がそれぞれ設けられており、このサイドフレーム36には水平にレール37が備えられ、両側のレール37にはレッジ支持体38が走行可能に支持されている。つまり、レッジ支持体38にはレール37上を走行する図示しないローラと、レール37に沿って設けられた図示しないラックと噛合する図示しないピニオンと、このピニオンを回転駆動するレッジ前後サーボモータ40とが装備され、サーボモータ40の回転により、レッジ支持体38が前後方向に移動する。
【0043】
このレッジ支持体38には、昇降機構41を介して水平に延びるレッジ42が装備されている。昇降機構41は、図示しないラック・ピニオン機構と、このピニオンを回転駆動するレッジ昇降サーボモータ43とから構成され、サーボモータ43の回転により、レッジ支持体38が昇降する。このレッジ42は、エレベータ32上に集積されて形成されたスタック50が設定枚数に達した時作動して次のスタック50を形成する製函用シート材10を受けるために設けられている。
【0044】
このレッジ42の縦方向部材42aには、スタック50を押圧するプレスバー44が昇降機構45により昇降可能に支持されている。昇降機構45も、図示しないラック・ピニオン機構と、このピニオンを回転駆動するプレスバー昇降サーボモータ46とから構成され、サーボモータ46の回転により、プレスバー44が昇降する。なお、プレスバー44は、レッジ支持体38の前後方向への移動に伴い、レッジ42と共に前後方向へ移動する。
【0045】
また、エレベータ32が最下降した際のエレベータ32の上面と略同じ高さレベルには、下部コンベア47が設けられ、更にその下流側には排出コンベア48が下部コンベア47と同レベルの高さ位置に設けられている。これら下部コンベア47及び排出コンベア48は、それぞれ下部コンベア用サーボモータ47a及び排出コンベア用サーボモータ48aにより駆動される。下部コンベア47の入口先端位置は、最小長さ(搬送方向長さが最小)の製函用シート材10でも受けることが可能なように、エレベータ32の奥まで入り込んで設置されている。
【0046】
さらに、下部コンベア47及び排出コンベア48の上方には、下部コンベア47及び排出コンベア48と相まってスタック50を挟持する上部コンベア49が移動機構49aを介して高さ方向位置調整可能に支持されている。また、上部コンベア49は、移動機構49bを介して前後方向にも移動可能であり、箱サイズに合わせフロントストップ28と連動してこのフロントストップ28から一定の距離まで移動すべく構成されている。
【0047】
また、ホッパ部Hの上方に、送り出しロール22から送り出される製函用シート材10の上面にエアAを吹き付けるブロア(送風装置)56が設けられている。
また、フォルダグルア6のシート走行路の最下流部には、製函用シート材10の通過を検知する図示しない光電管(検知手段)が設けられている。この光電管が検知したシートの通過信号Pがコントローラ54に送られるようになっている。
【0048】
コントローラ54は、製函用シート材10の通過信号Pや、そのときの機械速度v(送出しロール22の回転速度)の情報等から、フロントストップ28までの到達時間を演算してレッジ42の作動を指令する信号(下降信号)Nをレッジ駆動用装置のサーボモータ40,41へ送るように構成されている。例えば、コントローラ54は、製函用シート材10の通過信号Pを受けてから、ΔT=S/vで表される時間遅れてサーボモータ41へ下降信号Nを発するようになっている。ここで、Sは光電管からフロントストップ28までの距離、vは機械速度を示している。
【0049】
また、コントローラ54は、更に、プレスバー昇降サーボモータ46,下部コンベア用サーボモータ47a,排出コンベア用サーボモータ48aについても制御して、プレスバー44の昇降や、下部コンベア47,排出コンベア48の作動タイミングを制御する。レッジ42の作動にかかるサーボモータ40,41の制御や、これらのサーボモータ46,47a,48aの制御は、スタック50の設定枚数に応じて実施される。スタック50の設定枚数は、オペレータが入力しても良く、オーダーされた製函用シート材10のサイズに応じて自動で設定されても良い。
【0050】
〔3.スケアリング装置〕
次に、本実施形態にかかるスケアリング装置60を説明する。
図3に示すように、スケアリング装置60には、送り出しロール22の下方に配置され装置幅方向に延在するスケアリングプレート(矯正板、スケアリングバー、或いは、スパンカとも言う)60Pと、このスケアリングプレート60Pを、ホッパ部Hを挟んで対向するフロントストップ28に対して離接する方向(
図3中の白抜き矢印を参照)に往復駆動する往復駆動装置60Dとが装備される。往復駆動装置60Dは、駆動系(アクチュエータ60A)と制御系(コントローラ54)とから構成される。
【0051】
アクチュエータ60Aは、
図3,
図4に示すように、装置幅方向に軸心線を向けて配置されモータ80(
図6参照)によって回転駆動されるスケアリング軸61と、スケアリング軸61の両端部の外周に一体回転するように結合された偏心リング62と、一端がベアリング62aを介して偏心リング62の外周に回転自在に結合されたリンク部材63と、スケアリングプレート60Pの両端部にそれぞれ装備されたブラケット部67からスケアリングプレート60Pの背面側に突設された一対のアーム部68と、一対のアーム部68の突出端部にスケアリング軸61と平行に配設され、リンク部材63の他端とベアリング64aを介して回転自在に結合されたピン部64とを有している。なお、スケアリング軸61は、スケアリングプレート60Pを往復駆動する駆動軸に相当する。
【0052】
また、
図6に示すように、スケアリング軸61を回転駆動するモータ80は、モータ80の回転軸に一体回転するように結合されたプーリ81と、スケアリング軸61に一体回転するように結合されたプーリ82と、これらのプーリ81,82に掛け回されたベルト83とからなる、ベルトプーリ機構を介してスケアリング軸61に接続される。したがって、プーリ81,82の径の大きさの比(プーリ比)によってモータ80でスケアリング軸61を駆動する際の固定変速比を設定することができる。
【0053】
特に、ここでは、モータ80を一定速度としてスケアリング軸61を一定速度で回転駆動しているので、モータ80の最適な回転速度(性能を最も発揮する回転速度)で一定速度で回転させた場合にスケアリング軸61が最適な回転速度で回転するように、このプーリ比の設定によってモータ80とスケアリング軸61との適切な固定変速比を設定することができる。アクチュエータ60Aは、これらのモータ80及びベルトプーリ機構81〜83も有している。
【0054】
また、各フレーム20と各ブラケット部67との間には、リニアガイド70が装備されている。このリニアガイド70は、
図3〜
図5に示すように、スライダ71と、溝レール72とを有している。スライダ71は、ブラケット部67のフレーム20側の端部にフレーム20に向けて突設されたスライダブラケット69の突出部に下向き且つ水平に配置され固定されている。溝レール72は、フレーム20にブラケット部67に向けて突出するようにボルト74で固定されたレールブラケット73の突出部73aの上面に溝を上向き且つ水平に配置され固定されている。スライダ71は溝レール72の溝内を水平に摺動するように装着され、これにより、リニアガイド70はブラケット部67を水平方向にのみ往復動するように案内する。
【0055】
モータ80が
図6に矢印で示すように回転すると、スケアリング軸61は、
図3,
図6に矢印で示すように回転して、これと共に回転する偏心リング62の外周面はスケアリング軸61の回転軸に対して偏心しているので、偏心リング62の外周に回転自在に結合されたリンク部材63がスケアリング軸61の回転軸に対して移動する。リンク部材63の他端はベアリング64a,ピン部64を介してアーム部68に結合され、アーム部68を備えたブラケット部67は、リニアガイド70で水平方向にのみ往復動するように案内されるので、リンク部材63の移動によってブラケット部67は水平方向に往復駆動され、スケアリングプレート60Pがフロントストップ28に対して離接する水平方向に往復動する。
【0056】
また、
図6に示すように、送り出しロール22L,22Uは、スケアリング軸61を回転駆動するモータ80とは別のモータ90を用いた送出駆動装置90Dによって回転駆動される。このモータ90は、モータ90の回転軸に一体回転するように結合されたプーリ91と、送り出しロール22L,22Uの回転軸にそれぞれ一体回転するように結合されたプーリ92,93と、これらのプーリ92,93に掛け回されたベルト94とからなる、ベルトプーリ機構を介して送り出しロール22L,22Uの回転軸に接続される。ベルト94は位置が固定されたガイドプーリ95と、位置が移動可能なテンションプーリ96とも接触しており、テンションプーリ96の位置に応じた張力状態に調整される。送出駆動装置90Dはモータ90とプーリ91〜93,95,96及びベルト94とから構成される。なお、二点鎖線で示すベルト94´の軌道は、スケアリング軸61を送り出しロール22L,22Uと一体に回転させる場合を示す。
【0057】
このように、スケアリング装置60の駆動系は、送り出しロール22の駆動系とは独立して構成されており、これらの駆動系の各モータ80,90は、コントローラ54によって作動を制御される。また、スケアリング装置60の往復駆動装置60Dは、アクチュエータ60Aによってスケアリングプレート60Pを往復駆動する速度(スケアリング速度)の送出速度に対する速度比率を可変に構成されている。
なお、送出速度は、送り出しロール22から単位時間当たり送り出される段ボール箱10の枚数とし、スケアリング速度はアクチュエータ60Aによる単位時間当たりのスケアリングプレート60Pの往復動の速度(回数)、即ち、製函用シート材10の1シート当たりスケアリングする回数とする。
【0058】
また、コントローラ54は、スケアリングの制御に関連する機能として、設定速度を変更操作する変更操作部54aと、この変更操作部54aにより変更操作された設定速度をこのときの送出速度及び設定枚数と紐付した設定速度データとして学習記憶するデータ記憶部54bと、製函機のオーダー変更時にデータ記憶部に新オーダーに対応した設定速度データが記憶されているとこの記憶された設定速度データを用いて新オーダーにかかる送出速度及び設定枚数に対応した設定速度を自動で呼び出す自動設定部54cとを有している。
【0059】
あるいは、データ記憶部54bに、設定速度とこれに対応する送出速度及び設定枚数とを紐付した設定速度データ群をデータベースとして予め記憶しておき、自動設定部54cは、製函機のオーダー変更時には、このデータ記憶部に記憶されたデータベースを用いて新オーダーにかかる記送出速度及び設定枚数に対応した設定速度を自動で呼び出すようにしても良い。これにより、種々の製函用シート材10に対してスケアリング回数を適切に設定でき、スケアリング不足を招くことがない。
もちろん、変更操作部54aにより変更操作された設定速度をこのときの送出速度及び設定枚数と紐付した設定速度データとして学習記憶するデータがデータベースにない新データの場合、この新データを取り込んで、データベースを拡充させていくようにしても良い。
【0060】
なお、送出速度は、オーダーされた製函用シート材10のサイズ等に応じて設定され、この送出速度の設定は、オペレータが入力しても良く、オーダーされた製函用シート材10のサイズに応じて自動で設定されても良い。例えば、製函用シート材10のサイズが小さければ送出速度の制約は少なく、送出速度を比較的高速に設定できるが、製函用シート材10のサイズが大きければ、製函用シート材10がホッパH内に進入する際の挙動によって製函用シート材10の損傷や変形が考えられるため、送出速度を比較的低速に設定することが必要になる。
【0061】
ここでは、変更操作部54aは、設定速度を、スケアリング速度の送出速度に対する倍率として設定するように構成されている。また、倍率のデフォルト値として、送出速度が低速域の場合には送出速度が高速域の場合よりも大きな値が設定されている。そして、送出速度が所定速度以下の中速域,低速域の場合においては、倍率のデフォルト値として、2倍又は2倍以上の値が設定されている。
【0062】
スケアリング速度にかかる倍率のデフォルト値として、送出速度が相対的に低速域の場合には送出速度が相対的に高速域の場合よりも大きな値に設定すること、及び、相対的に中速域,低速域の場合においては、倍率のデフォルト値として、2倍又は2倍以上の値が設定されている。これは以下の理由による。
【0063】
一般的に大きい製函用シート材10ほど、スタック50の設定枚数が少なくなる。スタック50の設定枚数が少ないと、カウンタエゼクタ部6でバッチとして排出するサイクルが短くなって、スタック50が設定枚数に達してからスタック50を積重部である台座33が上昇位置(積重位置)から下降位置への移動を開始するまでの時間、即ち、スタック50の積重部での滞留時間を十分に確保できず、最後に送り出された最上部の製函用シート材10に対してスケアリングを十分な回数だけ実施できず、スケアリング不足を招き易い。
【0064】
送出速度と製函用シート材10の大きさとは上述のような対応関係にあり、送出速度を低くするのは、製函用シート材10が大きいためであり、同時に、スタック50の設定枚数も少なくなり、送出速度が遅い状況は、最後に送り出された製函用シート材10に対してスケアリング不足を招き易い状況であるとも言える。そこで、この点からも、倍率のデフォルト値として、送出速度が低速域の場合には送出速度が高速域の場合よりも大きな値に設定しているのである。
【0065】
ただし、ここでは、スケアリング軸61を回転駆動するモータ80を一定速度として、上記の条件を満たすようにしている。
図9は、モータ80を一定速度で回転させた場合のマシン速度(送出速度と一致する)と、1シート当たりのスケアリング回数(即ち、スケアリング速度)との関係を示すグラフであり、モータ80を一定速度で回転させれば単位時間当たりのスケアリング回数は一定となり、マシン速度と1シート当たりのスケアリング回数とは反比例し、マシン速度(送出速度)が低速域の場合ほどマシン速度(送出速度)が高速域の場合よりも、1シート当たりのスケアリング回数は大きな値に設なる。
【0066】
また、マシン速度(送出速度)が中速域及び低速域である場合は、1シート当たりのスケアリング回数は2回以上になるよう設定されている。もちろん、モータ80の一定の回転速度をより高くすれば、1シート当たりのスケアリング回数をより大きくすることができるが、モータ80回転速度をより高くすると、スケアリングプレート等による機械振動が顕著になって、機械の損傷や段ボール箱の損傷が発生し易くなる。したがって、この点から、モータ80回転速度の上限は規制される。
図9に示す例は、これらを考慮してモータ80の一定の回転速度を設定した例であり、モータ80の一定の回転速度を
図9に曲線L1で示す回転速度以上にすると機械振動が顕著になるので、曲線L1で示す回転速度に規制してスケアリングプレート等による機械振動を抑えている。
【0067】
また、大サイズの製函用シート材10の場合、マシン速度を直線L2で示す速度よりも大きい高速域に設定すると製函用シート材10の損傷を招くおそれが発生する。そこで、大サイズの製函用シート材10の場合、マシン速度を直線L2で示す速度以下の中速域及び低速域に設定する。そして、1シート当たりのスケアリング回数が直線L3で示す1.5未満の場合、スケアリング不足を招くおそれがあるので、スケアリング回数を1.5以上に設定している。特に、ここでは、大サイズの製函用シート材10の場合、スケアリング回数が2回以上となり、スケアリング不足を確実に回避できるようになっている。
【0068】
〔4.動作及び効果〕
次に、本実施形態にかかるカウンタエゼクタ6の動作を
図7,
図8を参照して説明しながら、スケアリング装置60の動作及び効果を説明する。なお、
図7,
図8においては、主要な作動要素である送り出しロール22,補助レッジ25a,25b,エレベータ台座33,レッジ42,プレスバー44,下部コンベア47,排出コンベア48,上部コンベア49,スケアリングプレート60Pに着目して説明する。また、製函用シート材10が大きく、スタック50の設定枚数が比較的少ない(例えば数枚)の場合を説明する。
【0069】
図7(a)はエレベータ32上のスタック50が設定枚数に達した直後を示している。設定枚数目の製函用シート材10がフロントストップ28に達した瞬間、
図7(b)に示すように、レッジ42及びこれに内蔵された形のプレスバー44が下降して、次のスタック50aを形成する最初の製函用シート材10
1を受ける。レッジ42の下降指令は、最後の製函用シート材10
n(例えば5枚目)のシート先端が到達したシート通過信号Pとそのときの機械速度の情報Mより、フロントストップ28に達する時間を計算して出され、サーボモータ41へ送られることになる。
【0070】
図7(d)はエレベータ台座33が下部コンベア47の位置まで下降した状態を示している。
図7(b)に示す時点でレッジ42が次のスタック50aを形成する製函用シート材を順に受けるようになると、その後、
図7(c)に示すように、エレベータ32は直ちに下降を開始し、下部コンベア47の位置まで下がる。この時、スタック50がスプリングバックで崩れないようにすべく、プレスバー44がレッジ42より下方へ押し出され、エレベータ台座33と共にスタック50を挟みながら下降する。
【0071】
エレベータ台座33が下降しきると、
図8(a)に示すように、スタック50は下部コンベア47に支持され、下部コンベア47とプレスバー44とがスタック50を挟みながら排出方向へ移動する。これにより、スタック50が崩れることなく搬送される。このとき同時にレッジ42も排出方向へ移動する。レッジ42が移動する前に、補助レッジ25a,25bが互いに向き合う方向(ホッパH側)へ突き出されて、レッジ42の移動に伴って、レッジ42上の次のスタック50aが補助レッジ25a,25bに移される。
【0072】
その後、
図8(b)に示すように、レッジ42及びプレスバー44が上昇し、エレベータ台座33も上昇し、
図8(c)に示すように、補助レッジ25a,25bが互いに離れる方向に後退し、補助レッジ25a,25b上の次のスタック50aがエレベータ台座33上に移される。このとき、同時に、レッジ42及びプレスバー44がホッパH側に突き出される。そして、
図7(a)に示すように、エレベータ32上のスタック50が設定枚数に達する。
【0073】
こうして、スタック50aが設定枚数になると、バッチとして排出する処理が繰り返されるが、この際、スケアリングプレート60Pは所定の速度で往復動して、レッジ42上或いは補助レッジ25a,25b上に位置するスタック50、さらには上昇位置にあるエレベータ台座33上に位置するスタック50の各製函用シート材10の後端を押圧して、各製函用シート材10のスケアリングを行なう。
【0074】
スタック50の最上部の製函用シート材10は、
図7(a)〜
図7(c)に示す間に、スケアリングプレート60Pによりスケアリングが行われるが、製函用シート材10のサイズが大きくてスタック50の設定枚数が少ないと、排出サイクルが短くなり、エレベータ台座33が上昇位置に滞留する滞留時間が短くなり、最上部の製函用シート材10のスケアリングの回数は制限されてしまう。
【0075】
しかし、本装置では、マシン速度(送出速度)に関わらず、スケアリング軸61を回転駆動するモータ80を一定速度としており、これにより、サイズが大きい製函用シート材10の1シート当たりのスケアリング回数が2回以上になるよう設定しているので、スケアリングを適正に実施することができる。
また、モータ80の設定速度は変更操作部54aによってより適切な速度に変更操作でき、しかも、この変更操作による設定速度が送出速度や設定枚数と紐付された設定速度データとしてデータ記憶部54bに学習記憶され、以降、同様な条件のオーダーに対しては、自動設定部54cが、この記憶されたデータから対応した設定速度を自動で呼び出して設定するので、オペレータの負担を軽減しながらスケアリングをより適切に実施することができる。
【0076】
〔5.その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のものに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形或いは省略して実施することができる。
つまり、本発明にかかるスケアリング装置は、スケアリングプレートを往復駆動する往復駆動装置が、スケアリング速度の送出速度に対する速度比率を可変に構成されているものであればよく、上述の実施形態のものに限定されない。また、上述の実施形態に例示するカウンタエゼクタや製函機の各部の具体的な構成も一例であり、これらの構成についても本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変形することができる。
【0077】
例えば、上記実施形態では、上昇位置にあるエレベータ台座を積重部としているが、下搬送ベルトで直接スタック50を受ける構成であれば、下搬送ベルトの要部が積重部として機能する。
また、上記の実施形態では、スケアリング速度に関する設定速度をスケアリング速度の送出速度に対する倍率として設定するように構成しているが、倍率として設定するものに限られない。
【0078】
また、本発明は、スケアリング速度の送出速度との比率(速度比率)が一定に固定されていなければよいため、上記実施形態のように、速度比率が変化してもスケアリング速度は一定としても良いが、速度比率が変化してもこれとは違う変化率でスケアリング速度が変化するようにしたりしてもよい。特に、変速機を利用して、スケアリング速度の送出速度に対する速度比率(倍率)として設定することもできる。
【0079】
この場合、スケアリング装置60の駆動系は、送り出しロール22の駆動系を利用して構成することができる。具体的には、往復駆動装置を構成するアクチュエータ60Aは、送出駆動装置の駆動源であるモータ90と、このモータ90とスケアリング軸61との間に介装された変速機とから構成することができる。例えば、
図6に符号94´を付して二点鎖線で示すように、送り出しロール22L,22Uを回転駆動するベルト94をプーリ82にも巻き掛けて、送り出しロール22L,22Uを回転駆動するモータ90でスケアリング軸61を駆動するようにし、スケアリング速度の送出速度に対する速度比率を変更するために、モータ90とスケアリング軸61との間に、変速機を介装する。変速機は、例えば、プーリ82とスケアリング軸61との間に介装することができる。コントローラ54によって、変速機の変速比を制御すれば、スケアリング速度の送出速度に対する速度比率を変更できる。
【0080】
さらに、上記実施形態では、スケアリング装置60のアクチュエータ60Aのモータ80を一定速回転にしてシンプルな制御にしているが、モータ80を適宜の速度に変更制御しても良い。
何れにしても、積重部の積重位置への滞留時間が短い場合にも必要なスケアリング回数を得られるように設定速度を設定すれば、段ボール箱を適正にスケアリングすることができるようになる。
【解決手段】製函機の下流部で上流側から送り出されたシート状の段ボール箱01をフロントストップ28で停止させてホッパ部H内の積重部で受けて集積しバッチとして排出するカウンタエゼクタ部に装備され、積重部が段ボール箱10の送出速度及び段ボール箱のスタック50の設定枚数に応じた滞留時間だけ積重位置に滞留する際に積重部上に積重される段ボール箱をフロントストップ28と協働してスケアリングするスケアリングプレート60Pと、スケアリングプレート60Pをフロントストップに対して離接方向に往復駆動する往復駆動装置と、を備え、往復駆動装置はスケアリングプレート60Pを往復駆動するスケアリング速度の送出速度に対する速度比率を可変に構成される。