【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係るソーラパネル装置は、両側の高温領域と高温領域の間の低温領域とから構成される直管状蛍光灯のランプ管又は全体が低温領域から構成される直管状LED灯のランプ管に取付けられて発電ランプを構成することができるソーラパネル装置であって、横幅方向に上記ランプ管の断面外周長さの1/5以上で1/2以下の範囲内の円弧長さを有する断面円弧帯状をなし、上記ランプ管背面からの光を受光して起電力を発生するソーラパネルと、上記ソーラパネルの起電力を取り出す通電線と、筒状をなし、その内面又は外面に上記ソーラパネルが長手方向に貼付けられ、上記ランプ管に外挿されることによって上記ランプ管に被せられ、上記ソーラパネルの受光面が上記ランプ管の表面に接触し又は上記ランプ管の表面から10mm以下の間隔になるように上記ソーラパネルを保持する筒状ベースと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴の1つは断面円弧帯状のソーラパネルを筒状ベースに貼付け、筒状ベースを蛍光灯やLED灯のランプ管に被せることによってソーラパネルの受光面の全部又は一部をランプ管に密着させ、あるいはソーラパネルの受光面をランプ管表面から10mm以下の距離で対面させるようにした点にある。これにより、ソーラパネルの十分な起電力を確保することができ、筒状ベースを既存の照明灯のランプ管に被せるだけで発電ランプを構成でき、発電ランプの更なる普及が期待される。
【0011】
ソーラパネルの起電力の大きさは光源との間の距離の2乗に反比例する。本発明ではソーラパネルの受光面とランプ管との間の距離は10mm以下であり、特許文献1、2に比較して短く、ソーラパネルによって大きな起電力を発生させることができる。
【0012】
ソーラパネルがフィルム基板等のフレキシブル基板を用いて構成される場合、運搬時にはソーラパネルを平坦に展開し、使用時にはソーラパネルを断面円弧状に曲げることができる。しかし、ソーラパネルがソリッド基板、例えばガラス基板、プラスチック基板あるいは金属基板等を用いて構成される場合、ソリッド基板そのものを断面円弧帯状に加工する必要がある。この場合、断面円弧帯状のソーラパネルは梱包すると嵩張り、輸送のコスト高を招来する。
【0013】
そこで、ソリット基板を用いたソーラパネルの場合、複数の平板帯状のソーラパネル(以下、「単位ソーラパネル」という)を横幅方向に並べて折畳み可能かつ展開可能に連結して構成すると、折畳み時にはコンパクトになって運搬が容易である一方、折畳み状態から展開して断面多角形状の連続した複数の辺に変形させると、ソーラパネルの受光面の一部をランプ管の表面に密着させ、受光面の残部をランプ管の表面から10mm以下の距離に保持することができる。
【0014】
本発明に係るソーラパネル装置は、両側の高温領域と高温領域の間の低温領域とから構成される直管状蛍光灯のランプ管又は全体が低温領域から構成される直管状LED灯のランプ管に取付けられて発電ランプを構成することができるソーラパネル装置であって、平板帯状をなす複数の単位ソーラパネルを横幅方向に上記ランプ管の断面外周長さの1/5以上で1/2以下の範囲内の寸法に並べ隣接する単位ソーラパネルの側縁を折畳み可能かつ展開可能に連結して構成され、上記ランプ管背面からの光を受光して起電力を発生するソーラパネルと、上記ソーラパネルの起電力を取り出す通電線と、筒状をなし、その内面又は外面に、折畳み状態から展開して断面多角形状の連続した複数の辺に変形させた上記複数の単位ソーラパネルが長手方向に貼付けられ、上記ランプ管に外挿されることによって上記ランプ管に被せられ、上記単位ソーラパネルの受光面の一部が上記ランプ管の表面に接触され受光面の残部が上記ランプ管の表面から10mm以下の間隔になるか又は上記単位ソーラパネルの受光面が上記ランプ管の表面から10mm以下の間隔になるように上記ソーラパネルを保持する筒状ベースと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
ソーラパネルをランプ管に接近させ又は接触させると、ランプ管の発熱によってソーラパネルの温度が上昇し、ソーラパネルの性能が低下して発電の効率が低くなることが懸念される。蛍光灯の場合、フィラメントが設けられた箇所(高温領域)では65°C〜75°C程度の高温になるが、高温領域の間は38°C〜40°Cと比較的低温であり、かかる温度ではソーラパネルの性能はほとんど低下しないことが、本件発明者らの実験によって確認された。
【0016】
本件出願人による先行の国際特許出願(PCT/JP2011/59364)の出願時には市販のソーラパネルの耐熱性は十分でないことがあったことから、先行の国際特許出願に係る発明ではソーラパネルの受光面に透明耐熱層、例えば透明耐熱ガラスや透明耐熱プラスチックなどを積層したが、その後、耐熱温度50°C以上の耐熱性を有するソーラパネルが実用化され提供されるに至った。そこで、本発明では透明耐熱層については特に記載していないが、耐熱性が懸念される場合には勿論、透明耐熱層をソーラパネルの受光面に設けてもよい。
【0017】
また、LEDを用いた照明灯が実用化され、蛍光灯に代えてLED灯を採用する傾向にある。市販のLED灯は下方照明のために、LEDが下方を指向するように内蔵されているが、最近はLED灯の背後に大きな黒い影ができないように、上方を指向するLEDを内蔵したタイプが提案され実用化されており、このようなタイプのLED灯のランプ管にソーラパネルを設けることによって本発明の発電ランプを構成することができる。
【0018】
本件発明者らがLED灯の温度について測定したところ、ランプ管の全長にわたって40°C以下の低温領域であることが確認された。したがって、LED灯の場合にはランプ管の全長が低温領域に構成される。
【0019】
ソーラパネルをランプ管の背後に設ける場合、ソーラパネルで照明の光を十分に受光する必要がある一方、ソーラパネルによって下方照明の明るさが損なわれないようにする必要がある。そこで、断面円弧帯状のソーラパネルの横幅は蛍光灯やLED灯などの照明灯ランプ管の断面外周長さの1/5以上1/2以下の範囲内の円弧長さとし、断面多角形状の連続した複数の辺のソーラパネルの場合には平坦に展開したときにランプ管の断面外周長さの1/5以上1/2以下の範囲内の横幅とする。例えば、市販の蛍光灯やLED灯の断面外周長さは9.0cm程度であるので、上述の円弧長さや横幅は2.0cm以上4.5cm以下とすることができる。但し、照明打の背後に黒い影ができ、影の領域が広いと違和感を与えるおそれがあるときには、ソーラパネルの円弧長さや横幅はランプ管の断面外周長さの1/3、例えば9.0cm程度の蛍光灯について使用するときには3.0cm程度の寸法とするのが好ましい。
【0020】
ソーラパネルには単結晶シリコン型パネル、多結晶シリコン型パネル、薄膜シリコン型パネル、化合物系パネル、色素増感型パネル、有機薄膜型パネル及び量子ドット型パネルといった多種多様なソーラパネルが存在するが、いずれも採用可能である。
【0021】
上記では断面円弧帯状のソーラパネル又は断面多角形状の連続する複数の辺に変型したソーラパネルを筒状ベースの内面又は外面に貼付けるようにしたが、筒状ベースの内面又は外面に複数の帯状ソーラパネルを隙間をあけて並べて貼付けるようにしてもよい。
【0022】
本発明に係るソーラパネル装置は、両側の高温領域と高温領域の間の低温領域とから構成される直管状の蛍光灯のランプ管又は全体が低温領域から構成される直管状のLED灯のランプ管に取り付けられて発電ランプを構成することができるソーラパネル装置であって、帯状をなす複数の単位ソーラパネルから構成され、上記ランプ管背面からの光を受光して起電力を発生するソーラパネルと、上記ソーラパネルの起電力を取り出す通電線と、 内面又は外面の上記ランプ管の断面外周長さの1/5以上で1/2以下の横幅内に、長手方向に延びる上記複数の単位ソーラパネルが横幅方向に並べられて貼付けられ、上記ランプ管に外挿されることによって上記ランプ管に被せられ、上記単位ソーラパネルの受光面の一部が上記ランプ管の表面に接触し受光面の残部が上記ランプ管の表面から10mm以下の間隔になるか又は上記単位ソーラパネルの受光面が上記ランプ管の表面から10mm以下の間隔になるように上記ソーラパネルを保持する筒状ベースと、を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、蛍光灯やLED灯を発電ランプとしてのみ利用し、照明に使用しない場合にはソーラパネルでランプ管の全周を覆って起電力を増大させることもできる。
【0024】
本発明に係る発電ランプは、両側の高温領域と高温領域の間の低温領域とから構成される直管状蛍光灯又は全体が低温領域から構成される直管状LED灯のランプ管に取付けられて発電ランプを構成することができるソーラパネル装置であって、円筒状又は多角筒状をなし、上記ランプ管表面からの光を受光して起電力を発生するソーラパネルと、円筒状又は楕円筒状をなし、その内面又は外面に長手方向に貼付けられ、上記ランプ管に外挿されることによって上記ランプ管に被せられ、上記ソーラパネルの受光面が上記ランプ管の表面に接触し又は上記ランプ管の表面から10mm以下の間隔になるように上記ソーラパネルを保持する筒状ベースと、該ソーラパネルの起電力を取り出す通電線と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
単位ソーラパネルはフレキシブル基板に太陽電池モジュールを搭載したものでもよく、ソリッド基板に太陽電池モジュールを搭載したものでもよい。
【0026】
上述の例では筒状ベースを用いてソーラパネルをランプ管に装着するようにしたが、ソーラパネル自体を筒状に製造すると、筒状ベースを用いることなくソーラパネルをランプ管に装着することができる。
【0027】
そこで、本発明に係るソーラパネル装置は、両側の高温領域と高温領域の間の低温領域とから構成される直管状の蛍光灯又は全体が低温領域から構成される直管状のLED灯のランプ管に取付けられて発電ランプを構成することができるソーラパネル装置であって、内径の円筒状、楕円筒状又は多角筒状をなし、上記ランプ管に外挿されることによって、その受光面が上記ランプ管の表面に接触し又は上記ランプ管の表面から10mm以下の間隔になるように上記ランプ管に被せられ、上記ランプ管からの光を受光して起電力を発生するソーラパネルと、該ソーラパネルの起電力を取り出す通電線と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
円筒状又は楕円筒状のソーラパネルは、帯状のフレキシブル基板に太陽電池モジュールを搭載して構成されるソーラパネルを用い、円筒状又は楕円筒状に曲成して粘着テープや治具によって円筒状又は楕円筒状に保持することによって構成することができる。
【0029】
また、ガラス基板やプラスチック基板等のソリッド基板を円筒状又は楕円筒状に成形し、このソリッド基板に太陽電池モジュールを搭載してソーラパネルを構成するようにしてもよい。
【0030】
また、多角筒状のソーラパネルは、帯状のソリッド基板に太陽電池モジュールを搭載した単位ソーラパネルを用い、複数の単位ソーラパネルを折畳み可能かつ展開可能に連結し、展開して多角筒状に折り曲げ粘着テープ又は治具によって多角筒状に保持することによって構成することができる。
【0031】
ここで、上記の各発明において、ソーラパネルはランプ管の低温領域の長手方向の長さ以下の長さであってもよいが、大きな起電力を得る上で、ソーラパネルはランプ管の低温領域の長手方向の長さと等しい長さを有するのが好ましい。
【0032】
また、発電ランプを照明にも利用する場合には筒状ベースのうち、少なくともランプ管の断面下半部の面と対面する部分を透明又は半透明とするのが好ましい。
【0033】
本発明における「ランプ管」とは蛍光灯及びLED灯の両方のランプ管を含んでいる。発電ランプの起電力はLEDの発光に適用して誘導灯や非常灯、補助照明あるいは主照明に利用することができる。
【0034】
また、ランプ管の低温領域を筒状のソーラパネルで覆う場合、両側の高温領域からの光はそのまま周囲に放射される。本件発明者らの実験によれば両側高温領域からの光は照明灯全体の発光量の約10%ないし20%であることが確認された。そこで、光を乱反射するように筒状ベースに工夫する、例えば筒状ベース内面に複数の微小突起を形成して光を乱反射させるようにすると、発電ランプは補助照明に利用することができる。
【0035】
筒状ベースの材料は特に限定されず、例えば軟質や硬質の合成樹脂材料、ガラス材料、金属材料あるいはこれらの組合わせ、例えば筒状ベースの上半部に金属材料、下半部に合成樹脂材料を採用することができる。ソーラパネルを断面円弧の帯状や断面多角形の連続する複数の辺に展開する場合、筒状ベースの下半部は光を透過するように透明又は半透明にして照明が損なわれないようにする必要がある。
【0036】
ソーラパネルの放熱を必要とする場合、ソーラパネルの背面や筒状ベースの背面に放熱性金属箔、例えばアルミニウム箔を貼付けるようにしてもよく、又筒状ベースの背面部分を放熱性の金属シート、例えばアルミニウム製シートで構成するようにしてもよい。
【0037】
最近、可視光を透過する透明ソーラパネルが提案されているが、円筒状、楕円筒状又は多角形筒状のソーラパネルに透明ソーラパネルを採用すると、筒状ソーラパネルを用いた発電ランプを照明灯又は補助照明灯にも活用することができる。
【0038】
また、上述の透明ソーラパネルを断面円弧帯状のソーラパネルや断面多角形状の連続する複数の辺状になすソーラパネルに使用すると、ランプ管背後にも照明の光が透過してランプ管背後が暗くなるのを軽減できる。