【実施例】
【0013】
(構成)
まず、
図1、2を用いて、本実施例のクッション1の全体構成を説明する。クッション1は、
図1に示すように、ピアノ又はオルガン用の椅子8に載置されて高さを調整するために用いられる。すなわち、一般にピアノ又はオルガン用の椅子8の座面の高さは、床面から約42cm〜約55cmの範囲で調整できるようになっている。しかしながら、従来、子供又は背の低い大人が使用する場合には、上述した範囲では依然として座面が低すぎて、肘よりも手首が上がってしまっていた。
【0014】
このように、手首が上がってしまう姿勢は演奏姿勢として好ましくない。すなわち、椅子の高さは鍵盤91に手を置いたときに、手首と肘がほぼ水平になるように調整することが好ましいのである。そこで、本実施例のクッション1を椅子8の上に載置して、座面をいっそう高く調整するのである。
【0015】
クッション1は、
図1に示すように、ピアノ又はオルガン用の椅子に載置されて高さを調整するためのクッション1である。そして、
図2の分解斜視図に示すように、クッション1は、ピアノ又はオルガン用の椅子8の高さと演奏者の体格とに基づいて厚みを変えられる板状部材2と、板状部材2の上面を覆う柔軟部材3と、板状部材2の前面側の隅角部を覆う低反発ウレタンフォーム5と、板状部材2及び柔軟部材3並びに低反発ウレタンフォーム5を収容する袋状部材4と、全体を覆うカバー部材6と、を備えている。
【0016】
板状部材2は、複数の板片21、22、23を重ねて構成されている。各板片21(22、23)は、1つの端面(ピアノ側、前面側)が斜めに切り落とされた四角形の板である。各板片21(22、23)の厚みは、例えば、1cm〜3cmとすることができる。各板片の材料としては、人間が乗っても大きく変形しない程度の剛性を有する素材、例えば押出発砲ポリスチレンフォームの断熱材・保温材、を用いることができる。具体的には、商品名「スタイロフォーム(登録商標)」を用いることができる。スタイロフォーム(登録商標)は、ボード、板タイプの断熱材であり、以下の特徴を備える。すなわち、熱を伝えにくい、水を吸収しない、軽くて丈夫、加工が容易、といった特徴がある。このように、軽く、かつ、剛性の高い素材を用いることで、座っても凹むことなく、子供でも持ち運べるようになる。
【0017】
そして、各板片21、22、23の斜めに切り落とされた端面が合成されて傾斜部24が形成されている。さらに、最下部に位置する板片21の底面は、椅子8の上面の凸形状に対応するように、凹形状になっている。より詳細にいえば、荷重が作用していない状態では、椅子8の上面のクッション部の凸形状よりも、傾斜の緩やかな凹形状となっている。そして、荷重が作用することで椅子8の上面のクッション部が潰されるように変形して両者が密着するようになる。さらに、密着性を高めるために、最下部の板片21のさらに下方に低反発ウレタンフォームをさらに配置することもできる。
【0018】
柔軟部材3としては、例えば、シート状に形成された綿(オーガニック・コットン)を複数枚(例えば4枚)重ねて用いることができる。柔軟部材3を板状部材2の上に重ねることにより、座面が柔らかくなって座り心地がよくなるとともに、臀部とクッション1のフィット感が向上する。
【0019】
低反発ウレタンフォーム5は、低反発弾性フォームとも称する。低反発ウレタンフォーム5は、衝撃吸収性に優れ、荷重が作用したときに応力が分散されて、局部的な圧力がかからないという性能をもっている。低反発ウレタンフォーム5は、足が接触する板状部材2の隅角部に取り付けられるため、長時間の練習によって足(太もも)の裏側が擦れて痛くなることを防止できる。
【0020】
袋状部材4は、板状部材2及び柔軟部材3並びに低反発ウレタンフォーム5を収容して形状を維持するために正に丁度よい大きさ(ぴったり)に形成されている。素材としては、布が好ましい。家庭内での使用等で、カバー部材6を用いる必要のない場合には、袋状部材4が表面素材となる。
【0021】
カバー部材6は、袋状部材4を覆うものであり、キルティング素材などによって袋状に形成される。カバー部材6には、長さ調節可能な肩掛けベルト7が取り付けられている。カバー部材6の色は、ピアノ発表会で使用することを考慮して地味な色彩(例えば、黒色)とすることが好ましい。カバー部材6の開口部は、両側に配置したマジックテープ(登録商標)によって閉じることが好ましい。これによって、肩掛けベルト7を開口部から内部に折り込み、肩掛けベルト7を外部から見えないように収納できる。
【0022】
肩掛けベルト7は、クッション1を持ち運ぶ(携帯する)ときに肩に掛けられ、クッション1を椅子8に固定するときに椅子8の昇降するクッション部に掛け回して取り付けられる。肩掛けベルト7は、麻などの伸縮性のない繊維によって形成してもよいが、ゴムなどの弾性部材によって形成することで、椅子8への固定がより容易になる。
【0023】
椅子8は、クッション部が上下することで無段階昇降が可能になっている。すなわち、クッション部の下方であって4本の脚部の上方には、X字状に交差するリンク部材が配置されている。そして、ダイヤルなどを回転することで、リンク部材の開閉度合を調整することによって、クッション部の高さを調整できる。
【0024】
(作用)
本実施例のクッション1の作用について説明する。まず、クッション1の高さh1が低い状態について説明する。低い状態では、例えば、1枚の板片21を用いる。これによって、1枚分の厚みに相当する高さh1となる。また、下方の1枚の板片21は、上方の板片22、23よりも前後の幅が広いので、相対的に身体の大きい人の荷重を支持しやすい。そして、高さh1分だけ、椅子8の座面よりも臀部の位置を上方に移動させることができる。したがって、従来の椅子8を最高位置まで持ち上げても、高さが少し不足する程度の身長(座高)の子供にとって、丁度よい高さを作り出すことができる。
【0025】
次に、クッション1の高さh2が高い状態について説明する。高い状態では、例えば、3枚の板片21、22、23を用いる。これによって、3枚分の厚みに相当する高さh2となる。上方の板片23は、下方の2枚の板片21、22よりも前後の幅が狭いが、相対的に身体の小さい人にとっては支障がない。そして、高さh2分だけ、椅子8の座面よりも臀部の位置を上方に移動させることができる。したがって、従来の椅子8を最高位置まで持ち上げても、高さがかなり不足する程度の身長(座高)の子供にとって、丁度よい高さを作り出すことができる。
【0026】
(効果)
次に、本実施例のクッション1の奏する効果を列挙して説明する。
【0027】
(1)本実施例のクッション1は、ピアノ又はオルガン用の椅子に載置されて高さを調整するためのクッション1である。そして、クッション1は、ピアノ又はオルガン用の椅子の高さと演奏者の体格とに基づいて厚みを変えられる板状部材2と、板状部材2の上面を覆う柔軟部材3と、板状部材2及び柔軟部材3を収容する袋状部材4と、を備えている。
【0028】
このため、板状部材2自体はそれほど変形せずに一定の高さを保持できる。すなわち、例えば、座布団などを用いると、変形量が大きいため、高さを調整することが難しい。これに対して、本実施例のように、変形量が小さい板状部材2を用いれば、高さ調節が容易になる。
【0029】
(2)板状部材2は、演奏者の足が当たる部位が面取りされている傾斜部24を有することで、長時間のレッスン後であっても、足(太もも)の後側が痛くなることはない。そして、後述するように、複数の板片21、22、23がそれぞれ、端面が斜めになっているため、いずれの板片21が最上部にある場合でも、演奏者の足が当たる隅角部が面取りされていることになる。
【0030】
(3)板状部材2と柔軟部材3との間に、板状部材2の隅角部から傾斜部24に沿って低反発ウレタンフォーム5をさらに備えることで、長時間のレッスン後であっても、いっそう足の痛みを防止できるようになる。さらに、低反発ウレタンフォーム5は、ゆっくりと変形する特性を有するため、演奏中の足の左右方向の位置が安定するという効果もある。
【0031】
(4)板状部材2は、複数の板片21、22、23を重ねて構成されることによって、それぞれ所定の厚みを有している板片21、22、23の枚数を調整することで、クッション1の全体の厚み(高さ)をきわめて容易に調整できる。さらに、事前に高さを調整していれば椅子8に載置するだけであるため、ピアノ発表会においても、クッション1を載置するだけで迅速に高さ調整できる。
【0032】
(5)袋状部材3を覆うカバー部材6をさらに備え、カバー部材6には携帯用の肩掛けベルト7が取り付けられるとともに、肩掛けベルト7は、クッション1を椅子8に固定するためにも用いることができる。このため、両手でクッション1を抱えることなく、スマートな姿勢でクッション1を運搬できるとともに、外観を損なうことなくクッション1を椅子8に固定できる。
【0033】
(6)板状部材2の底面は、ピアノ又はオルガン用の椅子8の上面の凸形状に対応する凹形状となっていることで、椅子8に対するクッション1の密着性が高まり、演奏者が座った状態の安定感が高まる。
【0034】
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0035】
例えば、実施例では、板状部材2として3枚の板片21、22、23を使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば10枚など、板片は何枚であってもよい。
【0036】
また、実施例では、袋状部材4とカバー部材6とが、別個の構成として説明したが、これに限定されるものではなく、袋状部材4とカバー部材6とを兼用することもできる。
【0037】
なお、実施例では、特に説明しなかったが、板片21、22、23は、板片21、22、23どうしがずれないように、互いに嵌合する凹凸形状を有することもできる。