【実施例1】
【0019】
まず、実施例1におけるX線CT装置の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施例1におけるX線CT装置の構成を説明するための図である。
図1に示すように、本実施例におけるX線CT装置は、架台装置10と、寝台装置20と、コンソール装置30とを備える。
【0020】
架台装置10は、被検体PにX線を照射して投影データ群を収集する装置であり、高電圧発生部11と、X線管12と、X線検出器13と、データ収集部14と、回転フレーム15と、架台駆動部16とを有する。
【0021】
高電圧発生部11は、高電圧を発生して、発生した高電圧をX線管12に供給する装置である。
【0022】
X線管12は、高電圧発生部11から供給された高電圧によりX線を発生する真空管であり、X線管12が発生したX線は、被検体Pに対して照射される。
【0023】
X線検出器13は、X線管12から照射され被検体Pを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データを検出する検出器であり、チャンネル方向(
図1に示すY軸方向)に複数のX線検出素子が配列されている。
【0024】
回転フレーム15は、X線管12とX線検出器13とを被検体Pを挟んで対向するように支持し、架台駆動部16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線管12およびX線検出器13を旋回させる駆動装置である。
【0025】
データ収集部14は、X線検出器13により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理などを行なって投影データを生成する装置であり、X線管12からのX線照射方向それぞれに対応するX線強度分布データそれぞれから投影データを生成することにより、投影データ群を収集する。そして、データ収集部14は、収集した投影データ群を後述するコンソール装置30に送信する。
【0026】
寝台装置20は、被検体Pを載せる装置であり、
図1に示すように、天板22と、寝台駆動装置21とを有する。天板22は、被検体Pが載置されるベッドであり、寝台駆動装置21は、天板22を被検体Pの体軸方向(Z軸方向)へ移動させることで、被検体Pを回転フレーム15内に移動させる。
【0027】
コンソール装置30は、操作者によるX線CT装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された投影データ群から断層画像を再構成する装置であり、
図1に示すように、入力装置31と、表示装置32と、スキャン制御部33と、前処理部34と、投影データ記憶部35と、画像再構成部36と、画像記憶部37と、システム制御部38とを有する。
【0028】
入力装置31は、X線CT装置を操作する医師や技師などの操作者が各種指示を入力するためのマウス、キーボード、ボタン、トラックボール、ジョイスティックなどを有し、操作者から受け付けた各種コマンドを、後述するシステム制御部38に転送する。
【0029】
表示装置32は、入力装置31を介して操作者から指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、後述する画像記憶部37が記憶する再構成画像を表示したりするためのモニタを有する。
【0030】
スキャン制御部33は、高電圧発生部11、架台駆動部16、データ収集部14および寝台駆動装置21の動作を制御することにより、架台装置10における被検体PのX線スキャン処理および投影データ群の収集処理を制御する。
【0031】
前処理部34は、データ収集部14から受信した投影データ群それぞれに対して感度補正などの前処理を行なって前処理済み投影データ群を生成し、投影データ記憶部35は、前処理部34により生成された前処理済み投影データ群を記憶する。
【0032】
画像再構成部36は、投影データ記憶部35が記憶する前処理済み投影データ群から、中心断面定理(Central Section Theorem)を用いて再構成画像(断層画像)を生成する処理部であるが、これについては後に詳述する。
【0033】
画像記憶部37は、画像再構成部36によって生成された再構成画像を記憶する。
【0034】
システム制御部38は、架台装置10、寝台装置20およびコンソール装置30の動作を制御することによって、X線CT装置の全体制御を行う。
【0035】
具体的には、システム制御部38は、入力装置31から転送された操作者の指示に基づいて、スキャン制御部33を制御することで、架台装置10および寝台装置20による投影データ群収集処理を制御する。また、システム制御部38は、入力装置31から転送された操作者の指示に基づいて、前処理部34、画像再構成部36を制御することで、コンソール装置30による画像再構成処理を制御する。また、システム制御部38は、画像記憶部37から再構成画像を読み出して、表示装置32が備えるモニタにおいて表示するように制御する。
【0036】
このように、本実施例におけるX線CT装置は、前処理部34によって生成され投影データ記憶部35に格納された前処理済み投影データ群から再構成画像を生成するが、以下で詳細に説明する画像再構成部36の処理を実行することにより、再構成画像の画質を向上させることが可能となることに主たる特徴がある。
【0037】
以下、この主たる特徴について、
図2〜5を用いて説明する。
図2は、実施例1における画像再構成部の構成を説明するための図であり、
図3は、実施例1におけるガウス関数記憶部を説明するための図であり、
図4は、実施例1におけるガウス基底展開データ生成部を説明するための図であり、
図5は、再構成画像生成部におけるフーリエ変換処理を説明するための図である。
【0038】
実施例1における画像再構成部36は、
図2に示すように、ガウス関数記憶部36aと、ガウス基底展開データ生成部36bと、再構成画像生成部36cとを有する。
【0039】
ガウス関数記憶部36aは、中心点が異なる複数のガウス関数を記憶する。例えば、ガウス関数記憶部36aは、
図3に示すように、ピーク値および分散値が同一であるが、中心点の位置座標が一定間隔で分散されている複数のガウス関数を記憶する。
【0040】
ガウス基底展開データ生成部36bは、ガウス関数記憶部36aが記憶する中心点が異なる複数のガウス関数を基底とした線形結合により、投影データ記憶部35が記憶する前処理済み投影データ群それぞれを展開したガウス基底展開データ群を生成する。
【0041】
なお、以下では、投影データ記憶部35が記憶する「前処理済み投影データ群」および「前処理済み投影データ」を、「投影データ群」および「投影データ」としてそれぞれ省略して記載する。
【0042】
ここで、実空間の静止直交座標系(X,Y)に対し角度「φ(ファイ)」の傾きをもった回転座標系(x,y)において、「y軸」に平行にX線を照射して得られたx軸方向の投影データを「S(x)」とすると、ガウス基底展開データ生成部36bは、投影データ「S(x)」から、ガウス関数記憶部36aが記憶する「N個」のガウス関数(G
1(x)〜G
N(x))を基底とし展開係数(a
1〜a
N)を用いた線形結合により以下に示す式(1)にて表されるガウス基底展開データを生成する。
【0043】
【数1】
【0044】
なお、ガウス基底展開データ生成部36bは、展開係数「a
i」を、以下に示す式(2)により算出する。
【0045】
【数2】
【0046】
すなわち、ガウス基底展開データ生成部36bは、回転座標系のx軸上における「−b」〜「b」の範囲で、投影データ「S(x)」のカウント数それぞれとG
i(x)とを内積することで、G
i(x)の展開係数「a
i」を算出する。なお、内積を行なう「−b」〜「b」の範囲は、X線CT装置における有効視野などから操作者により設定される数値である。
【0047】
これにより、ガウス基底展開データ生成部36bは、
図4に示すように、統計ノイズが含まれる投影データ(点線の波形参照)をガウス基底により展開することで、統計ノイズが除去されたガウス基底展開データ(実線の波形参照)を生成する。
【0048】
そして、ガウス基底展開データ生成部36bは、上述したガウス関数展開処理を投影データ群すべてについて実行することで、ガウス基底展開データ群を生成する。
【0049】
なお、本実施例では、ガウス関数記憶部36aが記憶する基底となる複数のガウス関数のピーク値および分散値が同一であり、各ガウス関数の中心点が一定間隔で均一に配置されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各ガウス関数のピーク値、分散値および中心点の配置間隔は、操作者によって任意に変更して設定することができる。
【0050】
図2に戻って、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ生成部36bによって生成されたガウス基底展開データ群それぞれに対し、フーリエ変換処理を行なう。
【0051】
ここで、再構成画像生成部36cは、ガウス関数をフーリエ変換するとガウス関数となることから、従来のFBP法におけるフーリエ変換のように非常に広い周波数帯の数値積分を行なうことなく、単純な積和によりフーリエ変換処理を行なうことができる。
【0052】
再構成画像生成部36cにおけるフーリエ変換が単純な積和となることについて、以下、
図5などを用いて説明する。まず、ガウス関数記憶部36aが記憶するガウス関数「G
i(x)」は、
図5に示すように、実空間における中心点の位置座標が「x
i」であり分散値が「μ
i」であるとすると、以下に示す式(3)として表される。なお、式(3)に示す「A」は、規格化定数である。
【0053】
【数3】
【0054】
また、「G
i(x)」をフーリエ変換した結果得られたガウス関数は、
図5に示すように、周波数空間における中心点の位置座標が「k
i」であり分散値が「λ
i」であるとすると、以下に示す式(4)として表される。なお、式(3)に示す「N」は、規格化定数である。
【0055】
【数4】
【0056】
ここで、式(1)を用いて説明したように、投影データ「S(x)」は、「G
i(x)」と展開係数「a
i」との積和(i=1〜N)で表されることから、投影データ「S(x)」をフーリエ変換した結果は、以下の式(5)で示すように、「G
i(x)のフーリエ変換後のガウス関数」と展開係数「a
i」との積和(i=1〜N)で表される。
【0057】
【数5】
【0058】
このように、再構成画像生成部36cは、各投影データをガウス関数により展開する際に算出された各展開係数をそのまま用いた単純な積和によって、ガウス基底展開データ群それぞれに対するフーリエ変換を実行する。
【0059】
そして、再構成画像生成部36cは、フーリエ変換後のデータ群を用いて再構成画像を生成し、生成した再構成画像を、画像記憶部37に格納する。具体的には、再構成画像生成部36cは、フーリエ変換後のデータ群それぞれに対して、1次元逆フーリエ変換処理および逆投影処理を順次行なって再構成画像を生成する。または、再構成画像生成部36cは、フーリエ変換後のデータ群それぞれに対して、2次元逆フーリエ変換処理を行なって再構成画像を生成する。
【0060】
続いて、
図6を用いて、実施例1におけるX線CT装置の画像再構成処理の流れについて説明する。
図6は、実施例1におけるX線CT装置の画像再構成処理を説明するための図である。
【0061】
図6に示すように、実施例1におけるX線CT装置は、投影データ記憶部35に(前処理済みの)投影データ群が格納されると(ステップS601肯定)、ガウス基底展開データ生成部36bは、ガウス関数記憶部36aが記憶する中心点が異なる複数のガウス関数を基底とした線形結合により投影データ群それぞれを展開したガウス基底展開データ群を生成する(ステップS602、式(1)参照)。すなわち、ガウス基底展開データ生成部36bは、投影データのカウント数それぞれと基底となるガウス関数とを内積することで展開係数を算出して、ガウス基底展開データを生成する(式(2)参照)。
【0062】
そして、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ生成部36bによって生成されたガウス基底展開データ群を用いて再構成画像を生成する(ステップS603)。具体的には、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ群それぞれに対して、フーリエ変換処理、1次元逆フーリエ変換処理および逆投影処理を順次行なって再構成画像を生成する。または、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ群それぞれに対して、フーリエ変換処理および2次元逆フーリエ変換処理を順次行なって再構成画像を生成する。
【0063】
そののち、再構成画像生成部36cは、生成した再構成画像を画像記憶部37に格納し(ステップS604)、処理を終了する。
【0064】
上述してきたように、実施例1では、ガウス基底展開データ生成部36bは、ガウス関数記憶部36aが記憶する中心点が異なる複数のガウス関数を基底とした線形結合により投影データ群それぞれを展開したガウス基底展開データ群を生成する。そして、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ生成部36bによって生成されたガウス基底展開データ群を用いて再構成画像を生成する。したがって、実施例1では、従来のFBP法にてデコンボリューションにて行なわれるRampフィルタやガウスフィルタなどを用いたローパスフィルタ処理を実行することなく被検体Pの内部構造の輪郭情報に対応する高周波成分を残したまま投影データから統計ノイズを除去して、被検体Pの内部構造の輪郭を明確に再現した再構成画像を生成することができ、上記した主たる特徴の通り、再構成画像の画質を向上させることが可能となる。
【0065】
また、実施例1では、ガウス基底展開データをフーリエ変換するので、従来のFBP法のように数値積分によりフーリエ係数を算出することなく、ガウス基底展開データを生成するために算出した展開係数をそのまま用いた積和によりフーリエ変換処理を実行して計算量を大幅に削減することができ、再構成画像を高速に生成することが可能となる。
【実施例2】
【0066】
上述した実施例1では、ガウス基底展開データを生成する際に基底として用いられる複数のガウス関数が同一である場合について説明したが、実施例2では、ガウス基底展開データを生成する際に基底として用いられる複数のガウス関数が、投影データの投影方向によって変更される場合について説明する。
【0067】
実施例2における画像再構成部36は、
図2を用いて説明した実施例1における画像再構成部36と同様の構成であるが、ガウス関数記憶部36aが記憶する内容と、ガウス基底展開データ生成部36bによる処理の内容が、実施例1と異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0068】
まず、
図7AおよびBを用いて、FBP法により生成される再構成画像の特徴について説明する。なお、
図7AおよびBは、FBP法により生成される再構成画像の特徴について説明するための図である。
【0069】
FBP法においては、各投影データを投影方向ごとの回転座標系にて処理を行なうため、視野周辺のデータ量は、視野中心のデータ量と比較して少なくなってしまう。このため、FBP法による再構成画像では、
図7Aに示すように、視野中心が高分解能となり、視野周辺では低分解能となってしまうといったように、画像の空間分解能が均一とはならない。
【0070】
また、FBP法による再構成画像では、各投影データを投影方向ごとの回転座標系にて処理を行なうため、
図7Bに示すように、座標中心などを中心とした放射状の偽像(ストリークアーチファクト)が発生してしまう。
【0071】
なお、実施例1のように、回転座標系にてガウス関数を基底として投影データからガウス基底展開データを生成する場合でも、
図7AおよびBを用いて説明したように、画像の空間分解能が均一とならなかったり、ストリークアーチファクトが発生したりする可能性はある。
【0072】
そこで、実施例2において操作者は、所定のピーク値および分散値を有する2次元ガウス関数を設定し、再構成画像の有効視野にて均一に分散された複数の中心点を設定する。
【0073】
これにより、実施例2におけるガウス関数記憶部36aは、
図8に示すように、再構成画像の有効視野に均一に配置された中心点が異なる複数の2次元ガウス関数を記憶する。なお、
図8は、実施例2におけるガウス関数記憶部を説明するための図である。
【0074】
そして、ガウス基底展開データ生成部36bは、ガウス関数記憶部36aが記憶する複数の2次元ガウス関数において、投影方向に直交し再構成画像の中心を通る断面により、投影データ群それぞれを展開するための基底となる1次元ガウス関数群を取得してガウス基底展開データ群を生成する。
【0075】
すなわち、ガウス基底展開データ生成部36bは、
図9に示すように、投影データの投影方向に直交し静止直交座標系(X,Y)の中心を通る垂直断面により複数の2次元ガウス関数を切断して現れる1次元ガウス関数それぞれを、投影データを展開するための基底となる1次元ガウス関数群とする。なお、
図9は、実施例2におけるガウス基底展開データ生成部を説明するための図である。
【0076】
そして、ガウス基底展開データ生成部36bは、投影方向ごとに取得した1次元ガウス関数群を基底として、対応する投影データからガウス基底展開データを生成する。すなわち、実施例2におけるガウス基底展開データ生成部36bは、実施例1と同様に、式(3)を用いて展開係数を算出する。しかし、実施例2では、式(3)におけるガウス関数が投影データごとに取得した1次元ガウス関数群となることが、実施例1と異なる。
【0077】
再構成画像生成部36cは、実施例1と同様に、ガウス基底展開データ生成部36bによって生成されたガウス基底展開データ群を用いて再構成画像を生成する。具体的には、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ群それぞれに対して、フーリエ変換処理、1次元逆フーリエ変換処理および逆投影処理を順次行なって再構成画像を生成する。または、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ群それぞれに対して、フーリエ変換処理および2次元逆フーリエ変換処理を順次行なって再構成画像を生成する。
【0078】
なお、本実施例では、ガウス基底展開データ生成部36bが、垂直断面と交わる2次元ガウス関数(
図9におけるハッチングされた実線の丸参照)すべてから基底となる1次元ガウス関数群を取得する場合について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ガウス基底展開データ生成部36bが、垂直断面と交わる2次元ガウス関数において、切断面によって得られる1次元ガウス関数のピーク値が所定の値以上となる関数のみを基底となる1次元ガウス関数群として取得する場合であってもよい。
【0079】
また、
図8や
図9では、2次元ガウス関数それぞれの裾野が近接するように中心点が均一に配置されているが、2次元ガウス関数それぞれの裾野が重なりあうように高密度で中心点が均一に配置されていてもよい。
【0080】
続いて、
図10を用いて、実施例2におけるX線CT装置の画像再構成処理の流れについて説明する。
図10は、実施例2におけるX線CT装置の画像再構成処理を説明するための図である。
【0081】
図10に示すように、実施例2におけるX線CT装置は、投影データ記憶部35に(前処理済みの)投影データ群が格納されると(ステップS1001肯定)、ガウス基底展開データ生成部36bは、投影データ群それぞれを展開するための基底となる1次元ガウス関数群を取得する(ステップS1002)。
【0082】
すなわち、ガウス基底展開データ生成部36bは、ガウス関数記憶部36aが記憶する再構成画像の有効視野に均一に配置された中心点が異なる複数の2次元ガウス関数において、投影方向に直交し再構成画像の中心を通る垂直断面により、投影データ群それぞれを展開するための基底となる1次元ガウス関数群を取得する(
図9参照)。
【0083】
そして、ガウス基底展開データ生成部36bは、投影データ群からガウス基底展開データ群を生成する(ステップS1003)。すなわち、ガウス基底展開データ生成部36bは、取得した1次元ガウス関数群を基底として対応する投影データから展開係数を算出することでガウス基底展開データを生成する。なお、ガウス基底展開データ生成部36bは、この処理をすべての投影データに対して実行してガウス基底展開データ群を生成する。
【0084】
続いて、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ生成部36bによって生成されたガウス基底展開データ群を用いて再構成画像を生成する(ステップS1004)。具体的には、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ群それぞれに対して、フーリエ変換処理、1次元逆フーリエ変換処理および逆投影処理を順次行なって再構成画像を生成する。または、再構成画像生成部36cは、ガウス基底展開データ群それぞれに対して、フーリエ変換処理および2次元逆フーリエ変換処理を順次行なって再構成画像を生成する。
【0085】
そののち、再構成画像生成部36cは、生成した再構成画像を画像記憶部37に格納し(ステップS1005)、処理を終了する。
【0086】
上述してきたように、実施例2では、再構成画像の有効視野に均一に配置された複数の2次元ガウス関数から投影方向ごとに基底となる1次元ガウス関数群を取得するので、視野周辺にある投影データにおいても視野中心にある投影データと同程度の分解能でガウス基底展開データを生成することができ、空間分解能が均一でストリークアーチファクトのない高画質な再構成画像を生成することが可能となる。
【実施例3】
【0087】
「再構成画像の有効視野に均一に配置された中心点が異なる複数の2次元ガウス関数を用いた画像再構成処理」は、上述した実施例2で説明した処理に限定されず、以下に説明するような処理である場合であってもよい。
【0088】
実施例3におけるX線CT装置は、画像再構成部36にて、再構成画像の有効視野に均一に配置された中心点が異なる複数の2次元ガウス関数により投影データ群を展開するための基底となる2次元ガウス展開係数を算出して、当該投影データ群を逆投影処理した再構成画像を生成する。
【0089】
すなわち、投影データ群すべてを「再構成画像の有効視野に均一に配置された中心点が異なる複数の2次元ガウス関数」それぞれにより適切に展開できる2次元ガウス展開係数を算出すれば、算出した2次元ガウス展開係数を用いて展開したガウス基底展開データは、被検体Pのスキャン断面の2次元分布を表すデータ、つまり、投影データ群を逆投影処理した再構成画像となる。
【0090】
ここで、「投影データ群すべてを2次元ガウス関数により適切に展開できる2次元ガウス展開係数」を算出するためには、例えば、以下で説明する方法が挙げられる。まず、画像再構成部36は、「再構成画像の有効視野に均一に配置された一つの2次元ガウス関数」から、当該2次元ガウス関数と交わる複数の「投影方向に直交し再構成画像の中心を通る垂直断面(以下、中心断面と記載する)」それぞれにより、「基底となる1次元ガウス関数」を取得する。
【0091】
すなわち、画像再構成部36は、再構成画像の有効視野に均一に配置された2次元ガウス関数ごとに、当該2次元ガウス関数と交わり投影方向の角度が異なる中心断面それぞれにより、複数の「基底となる1次元ガウス関数」を取得する。
【0092】
そして、画像再構成部36は、取得した投影方向ごと複数の「基底となる1次元ガウス関数」により、投影方向に対応する投影データすべてを展開するための2次元ガウス展開係数を算出する。そして、画像再構成部36は、算出した2次元ガウス展開係数と、該当する2次元ガウス関数とにより、投影方向に対応する投影データすべてを展開したデータを生成する。
【0093】
そして、画像再構成部36は、上記した処理を、すべての2次元ガウス関数において実行することで、投影データ群すべてを2次元ガウス関数により適切に展開した2次元ガウス展開係数により展開したガウス基底展開データ、すなわち、再構成画像を生成する。
【0094】
このようにして、実施例3では、統計ノイズおよびストリークアーチファクトが除去された高品質の再構成画像を、迅速に生成することが可能となる。
【0095】
なお、上記した実施例1〜3では、本発明をX線CT装置に適用した場合について説明したが、本発明は、陽電子放出コンピュータ断層撮影(PET; Positron Emission computed Tomography)装置、単一光子放射断層撮影(SPECT; Single Photon Emission Computed Tomography)など他の放射線診断装置や非破壊検査用機器に対しても適用可能である。
【0096】
また、上記した実施例1〜3では、再構成画像として2次元画像を生成する場合について説明したが、本発明は、再構成画像として3次元画像を生成する場合であっても適用可能である。