特許第5670071号(P5670071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5670071
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20150129BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20150129BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20150129BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   A61B5/16
   A61B5/14 322
   A61B5/00 102C
   A61B10/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-52463(P2010-52463)
(22)【出願日】2010年3月10日
(65)【公開番号】特開2011-183005(P2011-183005A)
(43)【公開日】2011年9月22日
【審査請求日】2013年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】川島 真一
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−177128(JP,A)
【文献】 特開2007−203913(JP,A)
【文献】 特開2004−351184(JP,A)
【文献】 特開2007−222276(JP,A)
【文献】 特開2009−181478(JP,A)
【文献】 特開2004−150961(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/138930(WO,A1)
【文献】 特開2005−287691(JP,A)
【文献】 特開2004−230152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/16
A61B 5/00
A61B 5/1455
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を人体に照射する赤外線照射手段と、
前記赤外線を照射した後の反射光により疲労度を分析する疲労度分析手段と、
この分析結果をユーザに通知制御する制御手段と、
を含み、
ユーザの腕の動きに基づいて、体全体の複合動作を、種々の行動パターンとして定期的に識別して、この識別結果と共に前記疲労度を通知し、
前記制御手段は、前記疲労度に応じた通知をなし、
前記制御手段は、前記疲労度に応じて表示画面の配色や壁紙、更には警告音の設定を変更自在とし、
前記制御手段は、前記疲労度が健康を害するレベルである場合には、ユーザへの警告および通信網を介して病院や診療所へ通知することを特徴とする腕時計型携帯端末。
【請求項2】
位置情報を生成する手段を更に含み、
前記制御手段は、疲労度測定時毎の前記位置情報、前記識別結果、前記疲労度を表示するようにしたことを特徴とする請求項記載の腕時計型携帯端末。
【請求項3】
前記疲労度に応じて疲労改善のためのケアおよびアドバイス情報を、通信網を介してサーバより取得し、前記アドバイス情報を表示部へ表示する手段を、更に含むことを特徴とする請求項1又は2記載の腕時計型携帯端末。
【請求項4】
防水仕様とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の腕時計型携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯端末に関し、特に疲労分析機能を備えた腕時計型携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
疲労および疲労感は、高度に発展した現代社会に生きる多数の人が日常向き合っている現象であり、人類普遍的な問題である。また、私たちの日常生活における様々なストレスの延長線上にあり、病気への下地にもなる。そのために、病気になる前に早期発見して認知させケアを行うことが重要である。
【0003】
最近では、疲労の研究が進んでおり、突然激しい疲労に襲われ、半年以上続く原因不明の病気、慢性疲労症候群(以下、CFS)が簡単に診断できる方法が提案されており、特許文献1では、血液に赤外線を照射してそれが吸収される波長のパターンで、患者がCFSかどうかを判定する方法、すなわち近赤外分光法が提案されている。
【0004】
CFS患者は潜在する人も含めて国内に数百万人いるものと推計されており、簡易に疲労判定が可能な機器の早期商品化およびCFS患者への認知、更にはその後のアフターケアの確立が望まれている。
【0005】
ここで、特許文献2,3を参照すると、携帯電話機などの携帯情報端末に、人の脈拍、血圧、体温などの生体情報を計測する機能を付加して、健康管理のための支援システムを構成した例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO06/123611号
【特許文献2】特開2007−325842号公報
【特許文献3】特開2004−351184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示の技術では、上述した様に、携帯情報端末に生体情報を計測する機能を付加するものであるが、この場合、携帯情報端末に設けられているポインティングデバイスに測定対象者の指を載置することで、生体情報を測定する様になっている。そのために、他人が指を載置することも考えられ、よって測定対象者を正しく認識する必要があるので、この特許文献2における携帯情報端末では、測定対象者を特定するために個人認証機能を追加する必要があり、よってそれだけ高機能が要求され、簡易な装置とはならないという問題がある。
【0008】
また、特許文献3の技術では、携帯情報端末に、生体情報を検出するためのアダプタを端末のインタフェース部に外付けする様になっており、よって、これまた簡易な装置ではないという問題がある。
【0009】
更に述べれば、これらの健康管理機能を有するシステムでは、ユーザが痛みなく、無意識の内に疲労度を測定できることが望まれ、また、現代の核家族化した社会では重度の疲労状態になるまで自身での認知及び周りの認知が遅れがちで、それを知るすべもないのが実情であるために、最も身近にある携帯電話装置のような携帯端末でユーザに疲労状態を通知するのが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、簡便な構成で、ユーザが痛みなく無意識のうちに疲労度を測定でき、ユーザに疲労状態を通知することが可能な腕時計型携帯端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
赤外線を人体に照射する赤外線照射手段と、
前記赤外線を照射した後の反射光により疲労度を分析する疲労度分析手段と、
この分析結果をユーザに通知制御する制御手段と、
を含むことを特徴とする腕時計型携帯端末が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、腕時計型の携帯端末に、疲労分析機能を付加して、この腕時計型携帯端末を装着している使用者の疲労分析を行って表示する様にしたので、使用者に対して、簡便な構成で、かつ痛みなく無意識の内に疲労度を測定し通知できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態による腕時計型携帯端末の概略を示す外観斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態による腕時計型携帯端末の機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態による腕時計型携帯端末の疲労分析処理のフローチャートである。
図4】本発明の一実施の形態による腕時計型携帯端末を用いた疲労のケア/アドバイスを考慮したネットワークシステム構成図である。
図5】本発明の一実施の形態による腕時計型携帯端末の疲労分析結果表示処理のフローチャートである。
図6】保存/蓄積された疲労解析データ表示の一例を示す図である。
図7】保存/蓄積された疲労解析データ表示の他の例を示す図である。
図8】疲労改善のためのケア/アドバイスの表示例を示す図である。
図9】本発明の他の実施の形態による腕時計型携帯端末の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明による疲労分析機能付きの腕時計型携帯電話装置100の概略外観斜視図である。この本発明による疲労分析機能を備えた腕時計型携帯電話装置100は、それが搭載している近赤外分光部から、装着しているユーザの腕に向かって近赤外線を照射し、その吸収スペクトルを解析することにより、ユーザの疲労状態を分析しユーザに通知することができるようになっている。
【0015】
また、この疲労状態を段階的に分けて、ユーザに改善のアドバイスを通知することができ、更には、健康を害するような疲労状態の場合には、ネットワークを介して病院や診療所等に通知することができるようになっている。
【0016】
そのために、図1に示した腕時計型携帯電話装置100は、図2に示す様な機能ブロックを備えて構成されている。図2を参照すると、腕時計型携帯電話装置は、アンテナ2を介して図示せぬ基地局より送信される情報を受信し、また基地局へ情報を送信する無線部1と、情報の表示をなす表示部3と、各種操作をなす操作部4と、各種情報を記憶するメモリ部5と、スピーカ部7と、GPS(Global Positioning System)機能を有するGPS部8と、ユーザの動きに応じてユーザの生活状態を検出するモーション検出部9と、近赤外線を照射してその反射光により吸収スペクトルを解析する近赤外分光部11と、この解析結果を分析する疲労分析部12と、各部を制御する制御部(CPU)6とを有している。
【0017】
図3は、本発明の一実施の形態における疲労分析処理の動作を示すフローチャートである。先ず、疲労分析機能が起動されると、計測間隔タイマがセットされる(ステップ101)。タイマがタイムアップした場合(ステップ102)、GPS部8により現在位置の測位が行われ(ステップ103)、モーション検出部9によりユーザの生活状態が検出される(ステップ104)。
【0018】
次に、近赤外分光部11により、ユーザが装着している腕時計型携帯電話装置の内側から、人体(ユーザ)に向かって近赤外線が照射され、その吸収スペクトル解析が行われる(ステップ105)。その後、疲労分析部12で計測結果の疲労分析が行われ(ステップ106)、メモリ部5に、測定した現在位置情報と、検出した生活状態と、疲労分析結果とが保存されることになる(ステップ107)。なお、この疲労分析については、上述した特許文献1に詳しいので、その説明は省略する。
【0019】
ここで、疲労分析結果において健康を害するような疲労状態と判断された場合には(ステップ108)、モーション部9で検出されたユーザの生活状態により、その旨を通知するか否かが判断される(ステップ109)。
【0020】
モーション部9でのユーザの生活状態の検出判断について説明する。モーション部9には、角速度センサ(ジャイロセンサ)と加速度センサとが搭載されており、これらセンサにより、生活状態を認識するものである。
【0021】
例えば、角速度センサ(ジャイロセンサ)によって、体の進行方向に平行な腕の振りを検出し、加速度センサによって、腕の長手方向の力や動きを検出し、その成分の大きさ、周期性などを分析するアルゴリズムによって、体全体の複合動作を、種々の行動パターン(睡眠、食事、仕事、通勤、入浴等)として定期的に識別するようになっている。
【0022】
なお、かかるモーション検出部については、既に以下のURLにも示されている様に開発済みの技術である。
http://www.microstone.co.jp/case/technical-03.html
【0023】
なお、本発明においては、上記のセンサだけでは、行動パターンの識別が困難な場合もあるために、GPS部8を併用して、これにより得られる位置情報から行動パターンの識別精度を上げるようにしている。
【0024】
ステップ109において、ユーザへ通知可の場合には、表示部3で警告の表示及びスピーカ部7での鳴動が行われ(ステップ110)、ネットワークを介して病院、診療所等にメールで重度疲労状態の旨が通知される(ステップ111)。
【0025】
重度疲労状態でない場合には、疲労分析結果のレベルに応じて、ユーザが自身の疲労状態を認識し易いように、画面の配色、壁紙、鳴動等の変更が行われる(ステップ112)。
【0026】
図4は、疲労のケア/アドバイスを考慮したネットワーク構成例である。個人情報サーバ502に、図2に示したメモリ部5に保存されている測定時の位置情報、生活状態、疲労分析結果を、ネットワーク504,505を介して保存することも可能である。この個人情報サーバ502に、病院や診療所等503からアクセス可能な構成となっている。
【0027】
次に、本発明による腕時計型携帯電話装置における疲労分析結果表示について、図5のフローチャートを参照して説明する。図2に示したメモリ部5に保存された測定時の位置情報、生活状態、疲労分析結果が、制御部6により読出されて表示部3に表示される(ステップ201)。図6及び図7は、疲労分析データの表示例を示しており、図6は重度疲労状態ではない場合の表示例であり、図7は重度疲労状態の場合の表示例を示している。
【0028】
ここで、ユーザが疲労分析結果に対するケア/アドバイスを要求した場合(ステップ202)、図4に示したネットワーク504を介してケア/アドバイス情報サーバ501から疲労分析結果に応じたケア/アドバイス情報が取得されて表示部3で表示される(ステップ203)。
【0029】
次に、ユーザがケア/アドバイスの詳細情報を要求した場合(ステップ204)、GPS部8で自身の位置情報が測定され、ケア/アドバイス情報サーバ501に位置情報が送信されることにより(ステップ205)、更に詳細なケア/アドバイス情報が取得されて、表示部3で表示されることになる(ステップ206)。
【0030】
図8は、疲労改善のためのケア/アドバイスの表示例であり、上段の表示部分は、疲労レベルが「注意」であり、この「注意」に対するケア/アドバイスの例が示されている。下段の表示部分(お勧めメニュー)は、ケア/アドバイスの詳細情報の例である。ユザーの現在の位置情報を元に、図に示す様に、レストラン情報や、スポーツ&エクスサイズ情報、更には、エンターテイメント情報などが、適宜表示される。これにより、ユーザは、自身の疲労状態レベルを認識し、疲労改善のための行動を起こすことが可能となる。
【0031】
図9は、本発明の他の実施の形態における病理診断機能を備えた腕時計型携帯電話装置の機能ブロック図であり、図2と同等部分は同一符号により示している。本例では、図3のステップ105による吸収スペクトル解析の結果は、疲労病体だけではなく、生活習慣病やいくつかの癌などの診断にも有用であることが分かっているので、図2の疲労分析部12を病理診断部32に置換えて構成したものである。
【0032】
以上述べた様に、本発明による疲労分析機能付腕時計型携帯電話装置では、腕に装着時に携帯電話装置から人体に向かって近赤外線が照射され、その吸収スペクトル解析結果から疲労度合いが分析できることから、ユーザが痛みなく無意識の内に測定できる。
【0033】
また、現代の核家族化した社会では、重度の疲労状態になるまで自身での認知及び周りの認知が遅れがちで、それを知るすべもないのが実情であるために、最も身近にある携帯電話装置でユーザに疲労状態を通知することができる。さらに、防水仕様とすることにより、入浴中も含めて常時装着が可能となるので望ましいものとなる。
【0034】
最近の携帯電話装置では、インターネットアクセス機能、カメラによる撮像機能、GPS機能等、種々の機能が搭載されており、ユーザへの多様なサービスが可能となっているので、携帯電話装置に搭載されている、この様な種々の機能を使用し、疲労状態に応じたケア(アドバイス)を行うことが可能となる。また、疲労状態が健康を害するレベル、例えばCFSと判断された場合には、自動的に病院または診療所等に通知することで、より効果的なケアが可能となる。
【0035】
上述した本発明の実施の形態では、携帯電話装置に適用した場合を述べたが、一般に、通信機能を有し情報処理をなす腕時計タイプの携帯端末に広く適用可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0036】
1 無線部
2 アンテナ
3 表示部
4 操作部
5 メモリ部
6 制御部
7 スピーカ部
8 GPS部
9 モーション検出部
11 近赤外分光部
12 疲労分析部
32 病理診断部
100 腕時計型携帯電話装置
501 ケア/アドバイス情報サーバ
502 個人情報サーバ
503 病院、診療所
504,505 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9