(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンは自動車産業の基礎的材料として重要な役割をしており、今日では自動車のイクシテリア用途、例えばバンパーやサイドシルや自動車のインテリア用途、例えばダッシュボードやインテリアトリムで広く使用されている。ポリプロピレンは低密度、優れた機械強度、優れた耐熱性、優れた耐薬品性を有し、他の材料と比較してコストが安いという利点がある。
【0003】
ポリプロピレンは衝撃強度が限られ、それが自動車用途での使用の限定要因であった。しかし、この問題はポリプロピレンとエラストマーとをブレンド(混合)することで解決された。このブレンドに加えたエラストマー成分によって衝撃強度が向上し、脆化温度が増加した。このタイプのブレンドは例えば特許文献1(米国特許第US 6,797,779号明細書)に開示されている。多くのポリプロピレンの中で、メタロセン触媒を用いて製造したポリプロピレンも同様である。
【0004】
特許文献2(米国特許公開第US-A-2004/0044107号明細書)には下記(A)〜(D)から成る自動車インテリア用パーツが開示されている:
(A) 結晶性ホモポリプロピレン、
(B) 結晶性ホモポリプロピレンとポリエチレン-プロピレンゴム[このゴムの固有粘度は4.0〜7.0 dl/g(デカリン、135℃)、エチレン含有量は45〜80重量%、ゴムはホモポリプロピレンの少なくとも10重量%で存在する]、
(C) 結晶性ホモポリプロピレンとポリエチレン-プロピレンゴム[このゴムの固有粘度は5.0〜10 dl/g(デカリン、135℃)、エチレン含有量は45〜80重量%、ゴムはホモポリプロピレンの少なくとも10重量%で存在する)、
(D) エチレン/α-オレフィンゴム。
この自動車インテリアパーツは成形性が良く、物理特性のバランスが良く、外観が良く、低光沢で、引掻き抵抗性が良いという特徴を有している。ホモポリプロピレン(A)の沸騰パラキシレン中への溶解ファクターは6.0重量%以下、好ましくは3.0重量%以下、さらに好ましくは0.1〜2.0重量%である。
【0005】
特許文献3(米国特許公開第US-A-2007/0037914号明細書)には充填された熱可塑性ポリオレフィン組成物から作られる自動車用パーツが開示されている。この充填された熱可塑性組成物は高結晶性アイソタクチックプロピレンホモポリマーと、エチレン/α-オレフィンエラストマーの衝撃改質剤と、プラティ充填材、例えばタルクの補強剤とから成る。この特許の目的は機械特性および熱的特性に優れた自動車パーツを提供することにある。しかし、この文書には自動車パーツから出る放出物(emission)に関する記載はない。
【0006】
最近になって、プロピレンベースの自動車パーツから出る揮発性有機化合物(VOC)の全放出量を減らすことに注目が集まっている。上記文献にはこの問題についての記載はない。ここで、可溶分(solubles)、例えば沸騰パラキシレン中の可溶分が低レベルであることが低VOC放出である指数にはならない、ということを強調しておく。揮発性有機化合物(VOC)は可溶分を単離するためにp-キシレンを除去する時にパラキシレンと一緒に除去されるということを注意しておく。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で使用するブレンドは(a)と(b)を含む:
(a) 99.1〜20重量%のメタロセンベースの触媒の存在下で製造したポリプロピレン、
(b) 0.1〜50重量%のエラストマー。
【0012】
本発明で使用するメタロセンポリプロピレンすなわちメタロセンをベースにした触媒の存在で製造したポリプロピレンはプロピレンのホモポリマーか、プロピレンと少なくとも一つのコモノマーとのコポリマーにすることができる。コモノマーはエチレンおよびC4〜C10アルファオレフィン、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンから成る群の中から選択できる。コポリマーはランダム共重合体またはヘテロ相(heterophasic)コポリマーにすることができる。
【0013】
本発明のメタロセン・ランダム共重合体はコモノマーを少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、さらに好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1%、最も好ましくは少なくとも2重量%含む。コモノマーは10重量%以下、好ましくは8重量%以下、好ましくは6重量%以下にする。メタロセンランダム共重合体はプロピレンとエチレンとのコポリマーであるのが好ましい。
【0014】
本発明のメタロセンヘテロ相コポリマーは、上記のメタロセンプロピレンのホモポリマーまたはランダム共重合体から成るマトリックスと、ゴム相とから成る。このメタロセンヘテロ相コポリマーはプロピレンとエチレンとのコポリマーであるのが好ましい。そのエチレン含有量は4重量%〜15重量%である。メタロセンヘテロ相コポリマーは5重量%〜35重量%のゴム相を含む。このゴム相はエチレンプロピレンゴム(EPR)であるのが好ましい。
【0015】
本発明で使用するメタロセンプロピレンで最も好ましいホモポリマーはメタロセンポリプロピレンである。
【0016】
プロピレンと一種または複数の任意成分のコモノマーの重合は一種または複数のメタロセンと、担体と、活性化剤とから成る一種または複数のメタロセンベースの触媒系の存在下で実行される。このメタロセンベースの触媒系は当業者に公知であり、その詳細な説明は省略する。
【0017】
メタロセン・ポリプロピレンを製造するのに用いるメタロセン成分は当業者に公知の任意のブリッジしたメタロセンにすることができ、好ましくは下記一般式で表されるメタロセンである:
μ−R
1(C
5R
2R
3R
4R
5)(C
5R
6R
7R
8R
9)MX
1X
2 (I)
(ここで、
ブリッジR
1は−(CR
10R
11)p−または−(SiR
10R
11)p−で、p=1または2であり、好ましくは−(SiR
10R
11)−であり、
MはTi、ZrおよびHfから選択れる金属であり、好ましくはZrであり、
X
1とX
2はハロゲン、水素、C1〜C10アルキル、C6〜C15アリール、C1〜C10アルキルを有するアルキルアリールおよびC6〜C15アリールからそれぞれ独立して選択される基を表し、
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は水素、C1.C10アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C6〜C15アリール、C1〜C10アルキルおよびC6〜C15アリールを有するアルキルアリールからそれぞれ独立して選択される基を表し、また、互いに近隣する2つのRは飽和または不飽和のC4〜C10環を形成することもでき、各R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11も同様に置換されていてもよい。
【0018】
好ましいメタロセン成分は上記一般式(I)で表され、
ブリッジR
1はSiR
10R
11で、
MはZrで、X
1とX
2はそれぞれハロゲン、水素およびC1〜C10アルキルから成る基から選択され、(C
5R
2R
3R
4R
5)および(C
5R
6R
7R
8R
9)は一般式:C
9R
12R
13R
14R
15R
16R
17R
18R
19のインデニルであり、ここで、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18およびR
19はそれぞれ独立して水素、C1〜C10アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C1〜C10アルキルおよびC6〜C15アリールを有するアルキルアリールから成る群の中から選択され、また、互いに近隣した2つのRは飽和または不飽和のC4〜C10環を形成することもでき、
R
10およびR
11はそれぞれC1〜C10アルキル、C5〜C7シクロアルキルおよびC6〜C15アリールから成る群の中から選択れ、また、R
10とR
11は飽和または不不飽和のC4−C10環を形成することができ、
各R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18およびR
19も同様に置換されていてもよい。
【0019】
驚くことに、上記の好ましいメタロセン化合物を用いて製造したポリプロピレンは揮発性有機化合物(VOC)の含有量が極めて低いということが確認されている。
特に適したメタロセンはC2−相称を有するものである。
【0020】
特に適したメタロセンの例は下記である:
ジメチルシランジイル−ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(2-メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(3-メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(3-tert-ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(3-tert-ブチル-5-メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(2,4-ジメチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(2-メチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
【0021】
ジメチルシランジイル−ビス(3-メチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(3-tert-ブチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(4,7-ジメチル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(ベンズインデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(3,3'-2-メチル−ベンズインデニル)ジルコニウムジクロライド、
ジメチルシランジイル−ビス(4-フェニル−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
エチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、
エチレン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、
イソプロピリデン-(3-tert-ブチル-5-メチル−シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド。
【0022】
メタロセンベースの触媒系の存在でのプロピレンと任意成分の一種または複数のコモノマーとの重合は一つまたは複数の重合反応装置で公知の方法に従って実行できる。本発明のメタロセンポリプロピレンは20℃〜100℃の温度で液相でプロピレンを重合して行うのが好ましい。温度は60℃〜80℃が好ましい。圧力は大気か、それ以上にすることができ、25〜50バールが好ましい。ポリマー鎖の分子量、従ってメタロセンポリプロピレンの溶融流動性は重合媒体中への水素添加によって調節される。
【0023】
本発明のメタロセンポリプロピレンの特徴はメルトフローインデックスが1〜100dg/分(ISO 1133(条件L)に従って230℃、2.16kg下で測定)であることにある。メルトフローインデックスは少なくとも5dg/分、好ましくは少なくとも10dg/分であるのが好ましい。また、メルトフローインデックスは80dg/分以下、好ましくは60dg/分以下、より好ましくは50dg/分以下、最も好ましくは40dg/分以下である。
【0024】
本発明で使用するメタロセンプロピレンのホモポリマーは融解温度が135℃〜165℃、好ましくは140℃〜160℃、より好ましくは145℃〜155℃である点に特徴がある。融解温度の決定方法は当業者に周知である。一般に、サンプルの熱履歴を消すために最初にサンプルを融解温度以上の温度、例えば200℃まで加熱し、一定時間、例えば3分間その温度に維持する。冷却後にサンプルを再加熱して融解温度を測定する。
【0025】
本発明で使用するメタロセンプロピレンのホモポリマーはキシレン可溶分の含有量が3重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下であることで特徴付けられる。キシレン可溶分の含有量は還流キシレン中にポリプロピレンを溶かし、溶液を25℃まで冷却し、溶液を濾過し、次いで溶剤を蒸着させて求める。ポリプロピレンのキシレン可溶分である残渣を乾燥し、秤量する。
【0026】
本発明で使用するメタロセンポリプロピレンはアイソタクティシーが高いことで特徴付けられる。そのためにはmmmmペンタドの含有量を測定する。このmmmmペンタドの含有量は少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%である。アイソタクティシーは下記文献に記載の方法に従ってNMR解析で決定される:
【非特許文献1】GJ. Ray et al. in Macromolecules, vol. 10, no. 4, 1977, p. 773-778
【0027】
これはキシレン不溶分の沸騰ヘキサンによる抽出で得られる乾燥生成物で実行する。
【0028】
理論に縛られるものではないが、ポリプロピレンの劣化(従って揮発性有機化合物の発生)の原因の一部は重合触媒からの金属残渣に起因すると思われる。従って、ポリプロピレン中の金属残渣の含有量を低くするのが望ましい。従って、本発明で使用するメタロセンポリプロピレンの特徴はジルコニウムの含有量が0.01ppm〜5ppmである点にある。このジルコニウムの含有量は少なくとも0.1ppmであるのが好ましい。ジルコニウムの含有量は4ppm以下が好ましく、より好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下、最も好ましくは1ppm以下である。ジルコニウムの含有量は誘導結合プラズマ法と原子発光分析とを組合せて測定できる。
【0029】
本発明で使用するエラストマー(「ゴム」ともいう)は公知の任意のエラストマーにすることができる。このエラストマーは例えば天然ゴム、ブタジエンエラストマー、イソプレンエラストマー、クロロプレンエラストマー、水素化したブタジエン−スチレンエラストマー、スチレン−エチレン/ブテン−スチレンブロック共重合体、水素化されたスチレン-イソプレンエラストマー、水素化されたスチレン−エチレン/イソプレン−スチレンブロック共重合体、アクリルゴム、ブチルエラストマー、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-オクテンエラストマー、エチレン-ブチレンエラストマー、スチレン-ブタジエン−スチレンエラストマー、ブチレン-プロピレンエラストマー、ペンテン-プロピレンエラストマー、ヘキセン-プロピレンエラストマー、オクテン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン−エチリデンノルボルネンエラストマー、エチレン-プロピレンビニルノルボルネンエラストマー、エチレン-プロピレン非共役ジエンエラストマー、水素化されたエチレン−ブタジエンエラストマー、スチレン・ブタジエン・スチレンおよびこれらの混合物から成る群の中から選択できる。好ましいエラストマーはエチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-オクテンエラストマー、エチレン-ブチレンエラストマー、スチレン-ブタジエン−スチレンエラストマーおよびこれらの混合物である。
【0030】
本発明の他の実施例のブレンドは、0〜50重量%の無機充填材を含む。この無機充填材はタルク、ウォラストナイト、マイカ、ガラス繊維、炭酸カルシウムおよびこれらの混合物から成る群の中から選択するのが好ましい。無機充填材の好ましい量はブレンドの5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。驚くことに、チーグラー−ナッタポリプロピレンと比較してメタロセンポリプロピレンの分子量分布の幅が狭いということがブレンド中の無機充填材の分布に負に影響しないということが分かっている。
【0031】
本発明の他の実施例のブレンドは、チーグラー−ナッタ触媒を用いて製造したプロピレンのホモポリマー、コポリマーおよびこれらの混合物、すなわちプロピレンを非メタロセンベース触媒の存在下で重合したプロピレンポリマーを0〜79.9重量%含むことができる。
【0032】
本発明のブレンドはさらに、本発明の上記目的を妨げない限り、添加剤を0〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%含むことができる。添加剤の例としては抗酸化剤、光安定剤、酸スカベンジャ、滑剤、帯電防止剤、核剤/清澄化剤、着色剤が挙げられる。この種の添加剤の概要は下記文献に記載されている。
【非特許文献2】Plastics Additives Handbook、ed. H. Zweifel、第5版、2001、Hanser Publishers
【0033】
ブレンドは公知の任意方法、例えば押出機中でのブレンディングによって製造できる。本発明の一つの実施例ではメタロセンポリプロピレン、エラストマー、任意成分の無機充填材、任意成分のチーグラー−ナッタポリプロピレンおよび任意成分の添加剤を押出機中に粉末の形またはペレットの形で導入する。任意成分の無機充填材は押出機の中央に導入するのが好ましい。好ましい実施例では押出機にはブレンドから揮発性有機化合物(VOC)を除去するための押出ベントと真空ポンプとを備えている。
【0034】
揮発性有機化合物(VOC)を除去するためにチーグラー−ナッタポリプロピレンを含むブレンドの押出成形時に真空ポンプを用いた場合でも、上記チーグラー−ナッタポリプロピレンをメタロセンポリプロピレンに置換した場合に、揮発性有機化合物(VOC)の残留含有量がドラステックに減少する点は驚くことである。事実、ブレンド中のポリプロピレンの百分比から見て、揮発性有機化合物(VOC)の減少は驚くほど高い。
【0035】
メタロセンポリプロピレンを含む本発明ブレンドの機械特性は、メタロセンポリプロピレンをチーグラー−ナッタポリプロピレンに置換した時の各ブレンドの機械特性に似ている。メタロセンポリプロピレンを含むブレンドの曲げモジュラス(曲げ弾性率)はメタロセン・ポリプロピレンをチーグラー−ナッタポリプロピレンに置換した各ブレンドの曲げモジュラスの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。メタロセンポリプロピレンを含むブレンドの衝撃強度は、メタロセンポリプロピレンをチーグラー−ナッタポリプロピレンに置換した各ブレンドの衝撃強度の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%である。
【0036】
本発明はさらに、本発明ブレンドの自動車部品の製造での使用に関するものであり、特に、揮発性有機化合物(VDA-278によって決定)が45ppm以下である自動車部品を製造するための本発明ブレンドの使用に関するものである。
ブレンドに関連して説明した上記の詳細および実施例は本発明の使用にも適用される。
本発明の自動車部品はプロピレンベースの樹脂組成物を成形するための従来の任意の成形方法、例えば射出成形、押出成形、圧縮射出成形、ブロー射出成形で成形することができる。好ましい方法は射出成形である。
【0037】
本発明ブレンドはインテリアのような自動車部品、例えばドアパネル、インストルメントパネル、コンソール、A,B,Cピラートリム、シートプロテクタ、エアーダクト、ドアリスト、ドアトリム、エアーバッグ容器、その他の製造に使用できる。自動車部品にはエキステリーパーツ、例えばボディーパネル、バンパー、ロッカーパネル、ドアリスト、サイドシル、カウルカバー、その他が含まれる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例を示す。
ブレンド成分
mPP
メルトフローインデックス(ISO 1133、230℃、2.16kg)が25dg/分であるメタロセンプロピレンのホモポリマー。曲げモジュラスが1300MPa(ISO 178)で、融点が151℃(ISO 3146)であることで特徴付けられる。
Elast
メルトインデックス(ASTM D 1238)が5dg/分で、密度が0.865g/cm
3(ASTM D 792)で、121℃でのムーニー粘度ML
1+4が7(ASTM D 1646)であるエチレン−ブテンコポリマー。ショーアA硬度が64(ASTM D 2240)で、曲げモジュラス(1%セカント)が7.8MPa(ASTM D 790)であることで特徴付けられる。ダウ・ケミカル社からENR 7447.00の名称で市販されている。
Talc
10μm以下の粒度分布が97%、5μm以下の粒度分布が82%、2μm以下の粒度分布が45%のタルク。吸油能が50g/100gであることで特徴付けられる。
この種のタルクは例えばモンドミネラル(Mondo Minerals OY)社からフィンタルク(Finntalc) M05として市販されている。
ZNPP−1
メルトフローインデックス(ISO 1133、230℃、2.16kg)が25dg/分のエチレン−プロピレンゴムを約12重量%含むヘテロ相プロピレンコポリマー。曲げモジュラスが1300MPa(ISO 178)で、アイゾット衝撃強度が23℃で7kJ/m
2、-20℃で5kJ/m
2 (ISO 180)で、シャルピー衝撃強度(ノッチ付き)が23℃で8kJ/m
2、-20℃で5.5kJ/m
2(ISO 179)で、融点が165℃(ISO 3146)であることで特徴付けられる。
ZNPP−2
メルトフローインデックス(ISO 1133、230℃、2.16kg)が44dg/分であるエチレン‐プロピレンゴムを約12重量%含む核化(Nucleated)静電気防止性ヘテロ相プロピレンコポリマー。曲げモジュラスが1500MPa(ISO 178)で、アイゾット衝撃強度が23℃で7.5 kJ/m
2、-20℃で4 kJ/m
2 (ISO 180)で、シャルピー衝撃強度(ノッチ付き)が23℃で7kJ/m
2、-20℃で4.5kJ/m
2(ISO 179)で、融点が165℃(ISO 3146)であることで特徴付けられる。
B225
イルガノックス(Irganox)B225はイルガノックス(Irganox)1010とイルガフォス(lrgafos)168との重量比が1:1の混合物。チバ(Ciba Specialty Chemicals)社から市販。
PEB3089
LDPEキャリア中にフブロン(Hubron)社から供給された粒径が20nm〜25nmのカーボンブラックを40重量%含む黒いカラーマスターバッチ。
【0039】
ブレンド
これらのブレンド成分を使用して本発明のブレンドと、本発明の範囲外にある比較例のブレンドとを製造した。ブレンドの組成は[表1]に示してある。比率はブレンド全体の重量%である。各ブレンドはライストリッツマクロ(Leisthtz Micro)27 GL36D押出機でコンパウンドし、機械特性、その他の
テストを実行するのに必要なテストサンプルはエンゲル(Engel) ES 500/125 HL射出成形機で射出成形した。
【0040】
【表1】
【0041】
試験方法
メルトフローインデックスはISO 1133規格(2.16kgの荷重、230℃の温度、条件L)に従って測定した。線膨張率(CLTE)はASTM D696に従って決定した。曲げモジュラスはISO 178に従って測定した。引張モジュラスはISO 527に従って測定した。降伏点応力、降伏点歪および破断伸び率の値は同じ測定方法で測定した。
カットノッチ(Cut-notched)アイゾット衝撃強度はISO 180-1 Aに従って23℃で測定した。カットノッチ(Cut-notched)シャルピー衝撃強度はISO 179-1eAに従って23℃と-20℃で測定した。
全脱着物、揮発性有機化合物(VOC)および曇り(FOG)の量を測定するためにドイツ自動車規格VDA-278に従ってさらに2つのテストを実行した。後者のテストではVOCの量を測定するために材料を90℃まで加熱し、30分間この温度で維持した。次いで、蒸気を-150℃で凝縮し、凝縮物中の組成をガスクロマトグラフィで決定した。VOC測定後、FOGを測定するためにサンプルをさらに120℃まで加熱し、60分間この温度に維持した後、蒸気を凝縮し、凝縮物の含有量をVOCと同様な方法で決定した。
【0042】
結果
実施例の各ブレンドと比較例の各ブレンドの機械的性質の分析結果は[表2]に示してある。VD1-278に従ったテストの結果は[表3]に示してある。
[表2]の結果は、チーグラー−ナッタ触媒を用いて製造したポリプロピレンの一部または全部をメタロセン触媒を用いて製造したポリプロピレンに代えた時に類似の機械的性質が得られるということを示している。
上記結果は、自動車用途のブレンド中にメタロセンポリプロピレンを使用することで、揮発性有機化合物の放出を劇的に減少できることを示している。驚くことに、自動車用ブレンドでメタロセンポリプロピレンを使用してもチーグラー−ナッタポリプロピレンとの各ブレンドに比べて機械的性質が失なわれない。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】