(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1〜5を参照して、第1の実施の形態における電池ユニット1を説明する。
図1は、第1の実施の形態による電池ユニット1の回路構成を示す回路図である。
【0018】
電池ユニット1は、電池サブユニット11,12,13と、スイッチ20と、電圧検出部311,321,331と、電圧監視回路30とを備える。識別情報ID11,ID12,ID13は、それぞれ、電池サブユニット11,12,13に付与されている。識別情報ID11,ID12,ID13は、それぞれ、電池サブユニット11,12,13を識別するための情報である。
【0019】
電池サブユニット11,12,13は、プラス端子40と、マイナス端子50との間に直列に接続される。電池サブユニット11は、3個の電池モジュール110を含む。3個の電池モジュール110は、スイッチ20と、電池サブユニット12との間に並列に接続される。各電池モジュール110は、二次電池セル111と、ヒューズ112とを含む。二次電池セル111と、ヒューズ112とは、直列に接続される。
【0020】
電池サブユニット12は、3個の電池モジュール120を含む。3個の電池モジュール120は、電池サブユニット11と、電池サブユニット13との間に並列に接続される。各電池モジュール120は、二次電池セル121と、ヒューズ122とを含む。二次電池セル121と、ヒューズ122とは、直列に接続される。
【0021】
電池サブユニット13は、3個の電池モジュール130を含む。3個の電池モジュール130は、電池サブユニット12と、マイナス端子50との間に並列に接続される。各電池モジュール130は、二次電池セル131と、ヒューズ132とを含む。二次電池セル131と、ヒューズ132とは、直列に接続される。
【0022】
二次電池セル111,121,131の各々は、充放電可能なセルであり、例えば、リチウムイオン二次電池およびニッケル水素二次電池等からなる。ヒューズ112,122,132の各々は、定格以上の電流が流れると、溶断する。
【0023】
スイッチ20は、電池サブユニット11の正極側の端子と、負荷との間に接続される。具体的には、電池サブユニット11の正極側の端子と、プラス端子40との間に接続される。スイッチ20は、例えば、電界効果トランジスタからなる。
【0024】
電圧検出部311は、電池サブユニット11の両端に接続される。電圧検出部321は、電池サブユニット12の両端に接続される。電圧検出部331は、電池サブユニット13の両端に接続される。
【0025】
電圧検出部311は、電池サブユニット11の両端の電圧V11を検出し、その検出した電圧V11を電圧監視回路30へ出力する。
【0026】
電圧検出部321は、電池サブユニット12の両端の電圧V12を検出し、その検出した電圧V12を電圧監視回路30へ出力する。
【0027】
電圧検出部331は、電池サブユニット13の両端の電圧V13を検出し、その検出した電圧V13を電圧監視回路30へ出力する。
【0028】
電圧監視回路30は、各二次電池セル111,121,131の両端の電圧を監視するのではなく、電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13を監視する。そして、ヒューズ112,122,132の定格電流は、二次電池セル111,121,131の許容電流よりも大きく設定される。ヒューズ112,122,132は、二次電池セル111,121,131の許容電流以下の電流(つまり、定格電流の範囲内の電流)が流れたとき、電圧降下は、数mV程度である。また、ヒューズ112,122,132は、許容電流より大きく、定格電流以上の電流が流れたとき、抵抗が急激に大きくなり、溶断する。したがって、二次電池セルが正常である場合、ヒューズ112,122,132における電圧降下は、数mV程度であり、電圧監視回路30は、電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13を監視することによって二次電池セル111,121,131自体を監視することができる。
【0029】
電圧監視回路30は、各二次電池セル111,121,131内の内部抵抗(図示せず)の抵抗値rを保持している。また、電圧監視回路30は、各二次電池セル111,121,131の許容電流の電流値を保持している。
【0030】
電圧監視回路30は、複数の電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13を監視する。具体的には、電圧監視回路30は、電圧検出部311,321,331からそれぞれ電圧V11,V12,V13を受ける。
【0031】
そして、電圧監視回路30は、電池サブユニット11,12,13のいずれが異常であるか否かを判定する。具体的には、電池サブユニット11が異常であるか否かを判定するとき、電圧監視回路30は、電圧検出部321,331から受けた電圧V12,V13の平均電圧Vaveを算出する。そして、電圧監視回路30は、後述する方法により、電池サブユニット11が異常であるか否かを判定する。電圧監視回路30は、電池サブユニット11が異常であると判定した場合、電池サブユニット11の識別情報ID11を記憶する。
【0032】
電圧監視回路30は、同様にして、電池サブユニット12,13の各々が異常であるか否かを判定する。
【0033】
そして、電圧監視回路30は、電池サブユニット11,12,13のいずれかが異常であると判定したとき、さらに、スイッチ20をオフするか否かを判定する。具体的には、電池サブユニット11が異常であると判定されたとき、電圧監視回路30は、後述する方法により、電池サブユニット11に含まれる3個の電池モジュール110のうち、正常である電池モジュール110の個数Nを算出する。電圧監視回路30は、電池サブユニット11に流れる電流を、算出した個数(正常である電池モジュール110の個数)Nで割ることにより、正常である1個の二次電池セル111に流れる電流I1を算出する。電圧監視回路30は、電流I1が正常である電池モジュール110に含まれる二次電池セル111の許容電流を超えたとき、スイッチ20をオフする。これにより、電池ユニット1は、負荷に対する電力の供給を停止する。
【0034】
電圧監視回路30は、電池サブユニット12,13が異常であると判定されたときも、同様にして、スイッチ20をオフするか否かを判定する。
【0035】
次に、二次電池セル111,121,131に異常が生じたとき、二次電池セル111,121,131に直列に接続されているヒューズ112,122,132が溶断される様子を説明する。
図2は、
図1中の電池サブユニット11の拡大図である。
【0036】
二次電池セル111Aに異常が生じると、正常である二次電池セル111B,111Cから二次電池セル111Aに過電流が流れる。この過電流がヒューズ112A内を流れることにより、ヒューズ112Aの定格電流よりも大きい電流が流れるので、ヒューズ112Aが溶断する。
【0037】
また、二次電池セル111B,111Cに異常が生じた場合も、同様にして、異常が生じた二次電池セルに直列に接続されているヒューズが溶断する。さらに、電池サブユニット12,13内の二次電池セル121,131に異常が生じた場合も、同様にして、異常が生じた二次電池セルに直列に接続されているヒューズが溶断する。
【0038】
図3は、各二次電池セル111が供給する電流と電圧検出部311が検出する電圧V11との関係を示す図である。1個の二次電池セル111が供給する電流の増加に伴い、電池サブユニット11の両端の電圧V11が減少する。これは、電池サブユニット11において、異常である電池モジュール110の個数が増えれば、電池サブユニット11の両端の電圧V11が低下することを意味する。したがって、電圧監視回路30が、電池サブユニット11の両端の電圧V11を監視することによって、電池サブユニット11が異常であるか否かを判定することができる。
【0039】
そこで、第1の実施の形態では、以下に示すような方法によって、電池サブユニット11の異常判定を実行する。
【0040】
電圧監視回路30は、異常判定の対象でない電池サブユニット12,13の両端の電圧V12,V13の平均電圧Vaveと異常判定の対象である電池サブユニット11の両端の電圧V11との差が閾値以上であるとき、電池サブユニット11が異常であると判定する。そして、本例では、閾値がrI/6に設定される。以下に、閾値がrI/6に設定される理由を説明する。
【0041】
電池サブユニット11内の全ての電池モジュール110が正常である場合、電池サブユニット11内の3個の二次電池セル111の内部抵抗の合成抵抗は、r/3となる。そして、電池サブユニット11に電流Iが流れる場合、内部抵抗によりrI/3の電圧が低下する。したがって、二次電池セル111の出力電圧がV0である場合、電圧検出部311は、電圧V11A(=V0−rI/3)を検出する。つまり、電池サブユニット11内の全ての電池モジュール110が正常である場合、電圧監視回路30は、電圧検出部311から電圧V11A(=V0−rI/3)を受ける。
【0042】
電池サブユニット11内の3個の電池モジュール110のうち2個の電池モジュール110が正常である場合(1個の電池モジュール110が異常である場合)、電池サブユニット11内の2個の二次電池セル111の内部抵抗の合成抵抗は、r/2となる。そして、電池サブユニット11に電流Iが流れる場合、内部抵抗によりrI/2の電圧が低下する。したがって、電圧検出部311は、電圧V11B(=V0−rI/2)を検出する。つまり、電池サブユニット11内の1個の電池モジュール110が異常である場合、電圧監視回路30は、電圧検出部311から電圧V11B(=V0−rI/2)を受ける。
【0043】
電池サブユニット11内の3個の電池モジュール110のうち1個の電池モジュール110が正常である場合(2個の電池モジュール110が異常である場合)、電池サブユニット11内の二次電池セル111の内部抵抗の合成抵抗は、rとなる。そして、電池サブユニット11に電流Iが流れる場合、内部抵抗によりrIの電圧が低下する。したがって、電圧検出部311は、電圧V11C(=V0−rI)を検出する。つまり、電池サブユニット11内の2個の電池モジュール110が異常である場合、電圧監視回路30は、電圧検出部311から電圧V11C(=V0−rI)を受ける。
【0044】
上記より、電池サブユニット11内の正常である電池モジュール110の個数によって、電圧監視回路30は、異なる値の電圧V11A〜V11Cを受ける。そして、全ての電池モジュール110が正常である電池サブユニット11の両端の電圧V11Aと1個の電池モジュール110が異常である電池サブユニット11の両端の電圧V11Bとの差は、rI/6(=(V0−rI/3)−(V0−rI/2))となる。また、電圧V11Aと2個の電池モジュール110が異常である電池サブユニット11の両端の電圧V11Cとの差は、2rI/3(=(V0−rI/3)−(V0−rI))となる。
【0045】
本実施の形態では、平均電圧Vaveと異常判定の対象である電池サブユニット11の両端の電圧V11との差がrI/6(=(V0−rI/3)−(V0−rI/2))である場合、電圧監視回路30は、1個の電池モジュール110が異常であると判定することができる。また、平均電圧Vaveと電池サブユニット11の両端の電圧V11との差Vave−V11が、2rI/3(=(V0−rI/3)−(V0−rI))である場合、電圧監視回路30は、2個の電池モジュール110が異常であると判定することができる。
【0046】
つまり、電圧監視回路30は、平均電圧Vaveと異常判定の対象である電池サブユニット11の両端の電圧V11との差がrI/6以上である場合、1個以上の電池モジュール110が異常であると判定することができる。したがって、電圧監視回路30は、電池サブユニット11の両端の電圧V11を監視することにより、電池サブユニット11が異常であるか否かを判定することができる。
【0047】
なお、電池サブユニット11内の全ての電池モジュール110が異常である場合、電圧監視回路30は、電圧検出部311から電圧V11(=―(V12+V13))を受ける。このとき、電圧監視回路30は、電池サブユニット11が異常であると判定する。
【0048】
次に、
図4及び
図5を参照して、第1の実施の形態における電池ユニット1の動作を説明する。第1の実施の形態における電池ユニット1の動作は、
図4に示す第1の異常判定処理と、
図5に示す第1のスイッチ制御処理とを含む。まず、
図4を参照して、第1の異常判定処理を説明する。第1の異常判定処理は、一定時間毎に実行される。
【0049】
第1の異常判定処理の動作が開始されると、電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13が検出される(ステップS11)。具体的には、電圧検出部311,321,331は、それぞれ電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13を検出し、その検出した電圧V11,V12,V13を電圧監視回路30へ出力する。
【0050】
ステップS11の処理の後、異常判定の対象となる電池サブユニットが決定される(ステップS12)。具体的には、電圧監視回路30は、電池サブユニット11,12,13のうち、任意の1つの電池サブユニットを異常判定の対象となる電池サブユニットとして決定する。例えば、電圧監視回路30は、電池サブユニット11を異常判定の対象となる電池サブユニットとして決定する。
【0051】
ステップS12の処理の後、異常判定の対象でない電池サブユニットの平均電圧Vaveが算出される(ステップS13)。具体的には、電圧監視回路30は、ステップS12の処理において異常判定の対象となっていない電池サブユニット12,13の両端の電圧V12,V13の平均を算出することにより、平均電圧Vaveを算出する。
【0052】
ステップS13の処理の後、電圧監視回路30は、平均電圧Vaveと異常判定の対象である電池サブユニット11の両端の電圧V11との差がrI/6以上であるか否かを判定する(ステップS14)。このことより、電圧監視回路30は、電池サブユニット11が異常であるか否かを判定することができる。
【0053】
平均電圧Vaveと電圧V11との差がrI/6以上である場合(ステップS14でYES)、電圧監視回路30は、電池サブユニット11が異常であると判定し、異常判定の対象である電池サブユニット11の識別情報ID11を記憶する(ステップS15)。その後、ステップS16の処理に進む。
【0054】
平均電圧Vaveと電圧V11との差がrI/6以上でない場合(ステップS14でNO)、電池サブユニット11が正常であると判定し、ステップS16の処理に進む。
【0055】
ステップS15の処理の後あるいはステップS14の処理でNOと判定された場合、全ての電池サブユニット11,12,13が、第1の異常判定の対象となったか否かを判定する(ステップS16)。
【0056】
全ての電池サブユニット11,12,13が、第1の異常判定の対象となっていないと判定された場合(ステップS16でNO)、電圧監視回路30は、次の判定対象を決定する(ステップS17)。具体的には、電圧監視回路30は、既に異常であるか否かが判定された電池サブユニット以外の電池サブユニットから任意の1つの電池サブユニットを選択することによって次の判定対象を決定する。
【0057】
その後、一連の動作は、ステップS13の処理へ移行し、ステップS16において、全ての電池サブユニット11,12,13が、第1の異常判定の対象となったと判定されるまで、上述したステップS13〜ステップS17の処理が繰返し実行される。
【0058】
そして、ステップS16において、全ての電池サブユニット11,12,13が、第1の異常判定の対象となったと判定された場合(ステップS16でYES)、第1の異常判定処理は、終了する。
【0059】
上述した第1の異常判定処理を実行することにより、電圧監視回路30は、各電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13に基づいて、電池サブユニット11,12,13が異常であるか否かを判定することができる。
【0060】
次に、
図5を参照して、第1のスイッチ制御処理を説明する。第1のスイッチ制御処理は、電圧監視回路30が識別情報を記憶しているときに定期的に実行される。
【0061】
まず、異常と判定された電池サブユニットが選択される(ステップS21)。具体的には、電圧監視回路30は、ステップS15において記憶した識別情報に対応する電池サブユニットを選択する。本例では、電池サブユニット11が選択されたものとする。
【0062】
ステップS21の処理の後、選択された電池サブユニット11内において異常である電池モジュール110の個数Mが算出される(ステップS22)。具体的には、電圧監視回路30は、平均電圧VaveとステップS21において選択された電池サブユニット11の両端の電圧V11との差Vave−V11を算出する。そして、電圧監視回路30は、平均電圧Vaveと電池サブユニット11の両端の電圧V11との差Vave−V11に基づいて、異常である電池モジュール110の個数Mを算出する。
【0063】
上述したように、平均電圧Vaveと電圧V11との差Vave−V11が、rI/6(=(V0−rI/3)−(V0−rI/2))である場合、電圧監視回路30は、異常である電池モジュール110の個数Mを、1とする。また、平均電圧Vaveと異常である電池サブユニット11の両端の電圧V11との差Vave−V11が、2rI/3(=(V0−rI/3)−(V0−rI))である場合、電圧監視回路30は、異常である電池モジュール110の個数Mを、2とする。
【0064】
ステップS22の処理の後、電池サブユニット11に含まれる電池モジュール110のうち、正常である電池モジュール110の個数Nが決定される(ステップS23)。具体的には、電圧監視回路30は、電池サブユニット11に含まれる電池モジュール110の総個数とステップS22において算出された個数Mとの差を算出することにより、電池サブユニット11に含まれる電池モジュール110のうち正常である電池モジュール110の個数Nを算出する。
【0065】
ステップS23の処理の後、電流I1が算出される(ステップS24)。具体的には、電圧監視回路30は、電池サブユニット11に流れる電流を、正常である電池モジュール110の個数Nで割ることにより、正常である1個の電池モジュール110に流れる電流I1を算出する。
【0066】
ステップS24の処理の後、電圧監視回路30は、電流I1が二次電池セル111の許容電流を超えているか否かを判定する(ステップS25)。
【0067】
電流I1が二次電池セル111の許容電流を超えていない場合(ステップS25でNO)、識別情報が記憶されている全ての電池サブユニットが選択されたか否かを判定する(ステップS26)。
【0068】
識別情報が記憶されている全ての電池サブユニットが選択されていない場合(ステップS26でNO)、ステップS21の処理に戻り、異常であると判定された電池サブユニットを選択する。具体的には、電圧監視回路30は、識別情報が記憶されている全ての電池サブユニットのうち、まだ選択されていない電池サブユニットを選択する。
【0069】
識別情報が記憶されている全ての電池サブユニットが選択されている場合(ステップS26でYES)、スイッチ20をオンしたまま、第1のスイッチ制御処理は、終了する。
【0070】
電流I1が二次電池セル111の許容電流を超えている場合(ステップS25でYES)、電圧監視回路30は、スイッチ20をオフする(ステップS26)。このことより、電池ユニット1は、負荷に対する電力供給を停止する。ステップS26の処理が実行されると、第1のスイッチ制御処理は、終了する。
【0071】
なお、上記の説明では、省略しているが、電池サブユニット11内の全ての電池モジュール110が異常であると判定した場合(つまり、電圧監視回路30が電圧検出部311から電圧V11(=―(V12+V13))を受けた場合)、電圧監視回路30は、スイッチ20をオフする。
【0072】
上述した第1のスイッチ制御処理を実行することにより、電池サブユニット11が異常であったとしても、二次電池セル111に流れる電流が許容電流の範囲内であれば、電圧監視回路30は、スイッチ20をオフしない。つまり、電池ユニット1は、負荷に対して電力を供給し続けることができる。
【0073】
[第1の実施の形態の効果]
第1の実施の形態による電池ユニット1は、電池サブユニット11,12,13が二次電池セル111,121,131とヒューズ112,122,132とを直列に接続した電池モジュール110,120,130を含み、電圧監視回路30が電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13を監視する。ヒューズ112,122,132内に定格電流の範囲内の電流が流れている場合、ヒューズ112,122,132における電圧降下は、数mV程度である。したがって、電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13を監視することにより、二次電池セル111,121,131自体が異常であるか否かを判定することができる。また、第1の実施の形態における電池ユニット1は、二次電池セル111,121,131の両端の電圧を監視するのと同等の精度で二次電池セル111,121,131の異常を検出することができる。
【0074】
さらに、電圧監視回路30は、監視している電圧V11,V12,V13に基づいて、電池サブユニット11,12,13の異常を判定することができる。
【0075】
さらに、第1の実施の形態による電池ユニット1は、電圧監視回路30が二次電池セル111,121,131とヒューズ112,122,132とを直列に接続した電池サブユニット11,12,13の両端の電圧V11,V12,V13を監視する。したがって、第1の実施の形態による電池ユニット1は、各二次電池セル111,121,131の両端を監視するときに比べて電圧検出部の個数を減らすことができるので、回路構成を簡単にすることができる。
【0076】
[第1の実施の形態の変形例]
第1の実施の形態では、電池モジュール110,120,130は、1個の二次電池セル111,121,131を含んでいるが、これに限定されない。例えば、電池モジュール110,120,130は、直列に接続された複数の二次電池セル111,121,131を含んでいてもよい。
【0077】
また、第1の実施の形態では、電池サブユニット11,12,13が、それぞれ同じ個数の電池モジュール110、120,130を含んでいるが、これに限定されない。例えば、電池サブユニット毎に、電池モジュールの個数を変えてもよい。
【0078】
また、第1の実施の形態では、ステップS14において、平均電圧Vaveと異常判定の対象である電池サブユニットの電圧との差がrI/6以上であるか否かを判定しているが、これに限定されない。例えば、電圧監視回路30が、経験則により、電池サブユニット11,12,13が正常であるときの電池サブユニット11,12,13の両端の電圧を保持しており、ステップS14における平均電圧Vaveの代わりに電池サブユニット11,12,13が正常であるときの電池サブユニット11,12,13の両端の電圧を用いてもよい。
【0079】
また、上記においては、スイッチ20が電池サブユニット11の正極側の端子と負荷との間に接続されていると説明したが、これに限定されない。スイッチ20が電池サブユニット13の負極側の端子と負荷との間に接続されていてもよい。
【0080】
[第2の実施の形態]
次に、
図6〜8を参照して、第2の実施の形態における電池ユニット1Xを説明する。
図6は、第2の実施の形態による電池ユニット1Xの回路構成を示す回路図である。
【0081】
第2の実施の形態による電池ユニット1Xは、
図1に示す電池ユニット1の電圧監視回路30を電圧監視回路30Xに変え、電池サブユニット12,13と電圧検出部321,331とを省略したものであり、その他は、電池ユニット1と同じである。つまり、第1の実施の形態における電池ユニット1が電池サブユニット11,12,13を含んでいるのに対し、第2の実施の形態における電池ユニット1Xは、電池サブユニット11を含んでいる。
【0082】
電圧監視回路30Xは、経験則により、電池サブユニット11が正常であるときの電池サブユニット11の両端の電圧VXを保持している。電圧監視回路30Xのその他の構成は、第1の実施の形態における電圧監視回路30と同じである。
【0083】
電圧検出回路30Xは、電池サブユニット11の両端の電圧V11を監視する。具体的には、電圧監視回路30Xは、電圧検出部311から電圧V11を受ける。
【0084】
そして、電圧監視回路30Xは、後述する方法により、電池サブユニット11が異常であるか否かを判定する。電圧監視回路30Xは、電池サブユニット11が異常であると判定した場合、さらに、スイッチ20をオフするか否かを判定する。具体的には、
図5のステップS22〜S23の処理と同様の処理を実行することにより、電池サブユニット11に含まれる3個の電池モジュール110のうち、正常である電池モジュール110の個数Nを算出する。電圧監視回路30Xは、個数Nと1個の二次電池セル111の許容電流との積を算出することにより、電池ユニット1Xが負荷に対して供給することができる供給電流I2を算出する。電圧監視回路30Xは、供給電流I2が負荷に対して供給すべき電流よりも小さくなったとき、スイッチ20をオフする。これにより、電池ユニット1Xは、負荷に対する電力の供給を停止する。
【0085】
次に、
図7及び
図8を参照して、第2の実施の形態における電池ユニット1Xの動作を説明する。
図7を参照して、第2の異常判定処理を説明する。第2の異常判定処理は、一定時間毎に実行される。
【0086】
第2の異常判定処理の動作が開始されると、電池サブユニット11の両端の電圧V11が検出される(ステップS31)。具体的には、電圧検出部311は、電圧V11を検出し、その検出した電圧V11を電圧監視回路30Xへ出力する。
【0087】
ステップS31の処理の後、電圧監視回路30Xは、電池サブユニット11が正常であるときの電池サブユニット11の両端の電圧VXと電圧検出部311から受けた電圧V11との差がrI/6以上であるか否かを判定する(ステップS32)。本例では、第1の異常判定処理(
図3)のステップS14の処理と同様の理由で、閾値がrI/6に設定される。
【0088】
電圧VXと電圧検出部311から受けた電圧V11との差がrI/6以上である場合(ステップS32でYES)、電圧監視回路30Xは、電池サブユニット11が異常であると判定する(ステップS33)。これにより、第2の異常判定処理は、終了する。
【0089】
電圧VXと電圧検出部311から受けた電圧V11との差がrI/6以上でない場合(ステップS32でNO)、第2の異常判定処理は、終了する。
【0090】
上述した第2の異常判定処理を実行することにより、電圧監視回路30Xは、電池サブユニット11の両端の電圧V11に基づいて、電池サブユニット11が異常であるか否かを判定することができる。
【0091】
次に、
図8を参照して、第2のスイッチ制御処理を説明する。第2のスイッチ制御処理は、電圧監視回路30Xにおいて、電池サブユニット11が異常であると判定されたときに実行される。
【0092】
まず、異常である電池モジュール110の個数Mが算出される(ステップS41)。具体的には、電圧監視回路30Xは、第1のスイッチ制御処理(
図4)のステップS22の処理と同様にして、電圧VXと電池サブユニット11の両端の電圧V11との差VX−V11に基づいて、異常である電池モジュール110の個数Mを算出する。
【0093】
ステップS41の処理の後、電池サブユニット11に含まれる電池モジュール110のうち、正常である電池モジュール110の個数Nが決定される(ステップS42)。具体的には、電圧監視回路30Xは、第1のスイッチ制御処理(
図4)のステップS23の処置と同様にして、電池サブユニット11に含まれる電池モジュール110のうち正常である電池モジュール110の個数Nを算出する。
【0094】
ステップS42の処理の後、供給電流I2が算出される(ステップS43)。具体的には、電圧監視回路30Xは、正常である電池モジュール110の個数Nと1個の二次電池セル111の許容電流の電流値との積を算出することにより、供給電流I2を算出する。つまり、供給電流I2は、電池ユニット1が負荷に対して供給することができる電流である。
【0095】
ステップS43の処理の後、供給電流I2が負荷に対して供給すべき電流よりも小さいか否かを判定する(ステップS44)。
【0096】
供給電流I2が負荷に対して供給すべき電流よりも小さい場合(ステップS44でYES)、スイッチをオフする(ステップS45)。このことより、電池ユニット1Xは、負荷に対する電力供給を停止する。ステップS45の処理が実行されると、第2のスイッチ制御処理は、終了する。
【0097】
供給電流I2が負荷に対して供給すべき電流よりも小さくない場合(ステップS44でNO)、スイッチ20をオンしたまま、第2のスイッチ制御処理は、終了する。
【0098】
上述した第2のスイッチ制御処理を実行することにより、電池サブユニット11が異常であったとしても電池サブユニット11が負荷に対して供給すべき電流を供給することができるのであれば、電圧監視回路30Xは、スイッチ20をオフしない。つまり、電池ユニット1Xは、負荷に対して電力を供給し続けることができる。
【0099】
第2の実施の形態のその他の説明は、第1の実施の形態の説明と同じである。
【0100】
[第2の実施の形態の変形例]
第2の実施の形態では、電池モジュール110は、1個の二次電池セル111を含んでいるが、これに限定されない。例えば、電池モジュール110が、複数の二次電池セル111を直列に接続してもよい。
【0101】
また、上記においては、スイッチ20が電池サブユニット11の正極側の端子と負荷との間に接続されていると説明したが、これに限定されない。スイッチ20が電池サブユニット11の負極側の端子と負荷との間に接続されていてもよい。
【0102】
[第3の実施の形態]
次に、
図9及び
図10を参照して、第3の実施の形態における電池ユニット1Yを説明する。
図9は、第3の実施の形態による電池ユニット1Yの回路構成を示す回路図である。
【0103】
第3の実施の形態による電池ユニット1Yは、
図1に示す電池ユニット1の電池サブユニット11を電池サブユニット11Yに変え、電圧監視回路30を電圧監視回路30Yに変え、電圧検出部311を電圧検出部321Yに変え、電池サブユニット12,13と電圧検出部321,331とを省略したものであり、その他は、電池ユニット1と同じである。
【0104】
第3の実施の形態による電池サブユニット11Yは、
図1中の電池モジュール110を1個含む。電池サブユニット11Yは、プラス端子40と、マイナス端子50との間に接続される。
【0105】
電圧検出部311Yは電池サブユニット11Yの両端に接続される。電圧検出部311Yは、電池サブユニット11Yの両端の電圧V11Yを検出し、その検出した電圧V11Yを電圧監視回路30Yへ出力する。
【0106】
電圧監視回路30Yは、電池サブユニット11Yの両端の電圧V11Yを監視する。具体的には、電圧監視回路30Yは、電圧検出部311Yから電圧V11Yを受ける。
【0107】
そして、電圧検出部311Yから受けた電圧V11Yが0である場合、電圧監視回路30は、電池サブユニット11Yが異常であると判定する。電圧監視回路30Yは、電池サブユニット11Yが異常であると判定した場合、スイッチ20をオフする。このことより、電池ユニット1Yは、負荷に対する電力の供給を停止する。
【0108】
次に、
図10を参照して、第3の実施の形態における電池ユニット1Yの動作を説明する。第3のスイッチ制御処理は、一定時間毎に実行される。
【0109】
第3のスイッチ制御処理の動作が開始されると、電池サブユニット11Yの両端の電圧V11Yが検出される(ステップS51)。具体的には、電圧検出部311Yは、電圧V11Yを検出し、その検出した電圧V11Yを電圧監視回路30Yへ出力する。
【0110】
ステップS51の処理の後、電圧監視回路30Yは、電圧検出部311Yから受けた電圧V11Yが0となっているか否かを判定する(ステップS52)。
【0111】
電圧検出部311Yから受けた電圧V11Yが0となっている場合(ステップS52でYES)、電圧監視回路30Yは、ヒューズ112が溶断されていると判定し、スイッチ20をオフする(ステップS53)。このことより、電池ユニット1Yは、負荷に対する電力の供給を停止する。ステップS53の処理が実行されると、第3のスイッチ制御判定処理は、終了する。
【0112】
電圧検出部311Yから受けた電圧V11Yが0となっていない場合(ステップS52でNO)、電圧監視回路30Yは、ヒューズ112が溶断されていないと判定し、第3のスイッチ制御処理は、終了する。
【0113】
上述した第3のスイッチ制御処理を実行することにより、電圧監視回路30Yは、電池サブユニット11Yの両端の電圧V11Yに基づいて、電池サブユニット11Yが異常であるか否かを判定することができる。
【0114】
第3の実施の形態のその他の説明は、第1の実施の形態の説明と同じである。
【0115】
[第3の実施の形態の変形例]
第3の実施の形態では、電池モジュール110は、1個の二次電池セル111を含んでいるが、これに限定されない。例えば、電池モジュール110が、複数の二次電池セル111を直列に接続してもよい。
【0116】
また、上記においては、スイッチ20が電池サブユニット11Yの正極側の端子と負荷との間に接続されていると説明したが、これに限定されない。スイッチ20が電池サブユニット11Yの負極側の端子と負荷との間に接続されていてもよい。
【0117】
また、上記においては、電圧検出部311Yから受けた電圧V11Yが0となっている場合、電圧監視回路30Yは、スイッチ20をオフすると説明したが(ステップS53)、これに限定されない。第3のスイッチ制御処理(
図10)のステップS53の処理が省略されてもよい。これは、ヒューズ112が溶断された時点で、電池ユニット1Yは、負荷に対して電力供給することができなくなるためである。
【0118】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。