(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第一によると、下記式(1):
【0023】
で示されるアゾ化合物が提供される。本発明のアゾ化合物は、ピリドンアゾ骨格を有する特定の構造中に、式:−C(=O)−X−R
1の基を2または3個有するピリドンアゾ化合物であることを特徴とする。このように特定の基が2または3個存在によって、アゾ化合物は、カラーフィルタの画素の形成に一般的に使用される溶剤、特にプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA)、N−メチルピロリドンまたはシクロヘキサノンなどの溶剤に対して優れた溶解性(本明細書中では、単に「溶剤溶解性」とも称する)を発揮する。また、本発明のアゾ化合物は、透過スペクトルの500nm付近の傾きが大きいため、色純度が高い。したがって、本発明のアゾ化合物は、カラーフィルタ用色素、特にカラーフィルタの黄色(Y)画素の黄色系色素または緑色(G)画素の調色用黄色系色素として特に好適に使用できる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明のアゾ化合物は、下記式(1):
【0027】
上記式(1)中、R
1は、炭素数3〜16の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基、炭素数3〜16のアルケニル基、炭素数7〜16のアラルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数3〜8のアルコキシアルキル基、炭素数3〜8のアルコキシカルボニルアルキル基、−(R
2O)
qR
3または−R
7−Si(OR
8)
3を表わす。この際、複数の式:−C(=O)−X−R
1の基は、それぞれ、同一であってもまたは異なるものであってもよい。このため、複数のR
1は、同一であってもまたは異なるものであってもよい。
【0028】
ここで、炭素数3〜16の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基は、特に制限されない。なお、アルキル基が炭素数1または2である場合には、得られるアゾ化合物は、溶剤溶解性に劣る。このようなアルキル基としては、具体的には、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、炭素数3〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数3〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基がより好ましく、イソペンチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基が特に好ましい。
【0029】
また、炭素数3〜16のアルケニル基は、特に制限されない。なお、アルケニル基が炭素数2である場合には、得られるアゾ化合物は、溶剤溶解性に劣る。このようなアルケニル基としては、具体的には、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、シス−3−ヘキセニル基などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、炭素数3〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基がより好ましく、アリル基、2−ブテニル基が特に好ましい。
【0030】
炭素数7〜16のアラルキル基は、特に制限されない。このようなアラルキル基としては、具体的には、ベンジル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基などが挙げられる。
【0031】
炭素数6〜16のアリール基は、特に制限されない。このようなアリール基としては、具体的には、フェニル基、o−ビフェニル基、m−ビフェニル基、p−ビフェニル基、ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、5−アントリル基、1−フェナントリル基、9−フェナントリル基、4−ブチルフェニル基、4−(ブトキシカルボニル)フェニル基などが挙げられる。
【0032】
炭素数3〜8のアルコキシアルキル基は、特に制限されない。なお、アルコキシアルキル基が炭素数2のメトキシメチル基である場合には、得られるアゾ化合物は、溶剤溶解性に劣る。具体的には、メトキシエチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、エトキシエチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、グラム吸光係数、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、炭素数3〜6のアルコキシアルキル基が好ましく、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基がより好ましい。
【0033】
炭素数3〜8のアルコキシカルボニルアルキル基は、特に制限されない。このようなアルコキシカルボニルアルキル基としては、具体的には、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、2−(イソプロポキシカルボニル)エチル基、1−(エトキシカルボニル)エチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基などが挙げられる。
【0034】
また、R
1が式:−(R
2O)
qR
3の基である場合の、R
2は、炭素数1〜3のアルキレン基を表わす。炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基がある。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、R
2は、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。また、R
3は、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表わす。ここで、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基は、特に制限されない。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、グラム吸光係数、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、炭素数1〜5の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキル基がより好ましい。また、上記式中、qは、オキシアルキレン基(R
2O)の繰り返し単位数を表わし、2〜4の整数である。溶剤溶解性、耐熱性、グラム吸光係数、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、好ましくは、qは、2〜3である。
【0035】
また、R
1が式:−R
7−Si(OR
8)
3の基である場合の、R
7は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基を表わす。ここで、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基は、特に制限されない。具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2−プロピレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、グラム吸光係数、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が好ましく、トリメチレン基がより好ましい。また、R
8は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表わす。ここで、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基は、特に制限されない。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、グラム吸光係数、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、メチル基、エチル基が好ましく、エチル基がより好ましい。
【0036】
上記式(1)中、Xは、−O−または−N(Y)−を表わす。この際、複数の式:−C(=O)−X−R
1の各基は、それぞれ、同一であってもまたは異なるものであってもよい。このため、複数のXは、同一であってもまたは異なるものであってもよい。Yは、水素原子、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を表わす。ここで、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基は、特に制限されない。具体的には、上記R
3と同様である。また、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基は、特に制限されない。具体的には、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、エトキシエチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基、3−メトキシプロピル基、3−エトキシプロピル基などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、グラム吸光係数、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、Yは、水素原子、炭素数3〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数3〜6のアルコキシアルキル基であることが好ましく、水素原子、炭素数3〜6のアルコキシアルキル基であることがより好ましい。
【0037】
ゆえに、式:−C(=O)−X−R
1の基は、式:−C(=O)−O−CH
2CH
2−OCH
3、式:−C(=O)−O−CH
2CH
2CH(CH
3)
2、式:−C(=O)−O−CH
2CH=CH
2、式:−C(=O)−O−CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3、式:−C(=O)−O−CH
2CH
2−OCH
2CH
3、式:−C(=O)−O−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
2CH
3)
3、式:−C(=O)−NH−CH
2CH=CH
2、式:−C(=O)−NH−CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3、式:−C(=O)−N−[CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3]
2、式:−C(=O)−NH−CH
2CH
2−OCH
3、式:−C(=O)−N−(CH
2CH
2−OCH
3)
2、式:−C(=O)−NH−CH
2CH
2−OCH
2CH
3、式:−C(=O)−N−(CH
2CH
2−OCH
2CH
3)
2、式:−C(=O)−NH−CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3、式:−C(=O)−N−[CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3]
2、式:−C(=O)−NH−CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
2CH
3)
3であることが好ましい。
【0038】
上記式(1)中、R
4は、水素原子またはハロゲン原子を表わす。ここで、複数のR
4は、それぞれ、同一であってもまたは異なるものであってもよい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、グラム吸光係数、樹脂との相溶性、色目(最大吸収波長)など、特に溶剤溶解性、色目(最大吸収波長)などを考慮すると、R
4は、水素原子、フッ素原子、塩素原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0039】
また、上記式(1)中、pは、式:−C(=O)−X−R
1の基のフェニル基への結合数を表わし、2または3であり、好ましくは2である。ここで、pが1である場合には、アゾ化合物は、溶剤(特にPGMEA及びシクロヘキサノン)溶解性に劣る。pが2である場合の、式:−C(=O)−X−R
1の基のフェニル基への結合位置は、特に制限されず、アゾ基の結合位置を1とする際、2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位、3,5位のいずれもよい。これらのうち、優れた溶媒溶解性及び樹脂相溶性等の点から、2,3位、2,4位、3,4位または3,5位が好ましい。また、高い溶媒溶解性や樹脂相溶性を持ち、黄色としての色純度に優れるという点からは、2,3位、2,4位、3,4位がより好ましい。特に、4位に結合を持つと2位や3位に結合をもつ場合と比較して最大吸収波長が長波長側にシフトし、色濃度が向上することから3,4位が特に好ましい。なお、式:−C(=O)−X−R
1の基のフェニル基への結合位置が2,5位(および場合によっては3,5位)である場合には、若干緑色を帯びてしまう場合がありうる。pが3である場合の、式:−C(=O)−X−R
1の基のフェニル基への結合位置は、特に制限されない。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、樹脂相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、2,4,6位が好ましい。また、rは、R
4のフェニル基への結合数を表わし、pおよびrの合計(p+r)は、5である。このため、pが2である場合には、rは3であり、pが3である場合には、rは2である。
【0040】
また、式:−C(=O)−X−R
1の基(アルコキシカルボニル基)の置換位置、置換数、その他の置換原子の種類を適切に設定することによって、様々な用途に合わせた最大吸収波長(色目)をもつ色素を提供することが出来る。
【0041】
上記式(1)中、R
5は、炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基を表わす。ここで、炭素数1〜8の直鎖、分岐鎖若しくは環状のアルキル基は、特に制限されない。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0042】
また、R
6は、炭素数1〜16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基または炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を表わす。好ましくは、R
6は、炭素数1〜16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表わす。R
6がアルキル基であると、溶剤溶解性、黄色としての色純度に優れる。一方、R
6がアルコキシアルキル基である場合には、溶剤溶解性が不十分で、また、緑味を帯びてしまう場合がある。ここで、炭素数1〜16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基は、特に制限されない。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基などが挙げられる。これらのうち、溶剤溶解性、耐熱性、樹脂との相溶性など、特に溶剤溶解性などを考慮すると、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基が特に好ましい。また、炭素数2〜8のアルコキシアルキル基は、特に制限されず、上記R
1で例示したものに加えて、メトキシメチル基がある。
【0043】
したがって、本発明の好ましいアゾ化合物としては、下記の構造を有するものがある。
【0047】
本発明のアゾ化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜利用することができる。以下、本発明のアゾ化合物の製造方法の好ましい実施形態を記載する。しかしながら、本発明は、下記好ましい実施形態に制限されるものではない。
【0050】
のアミン化合物(本明細書中では、単に「アミン化合物」とも称する)をジアゾ化して、ジアゾ化合物を得て、得られたジアゾ化合物を下記式(3):
【0052】
の3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物(本明細書中では、単に「3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物」とも称する)とカップリングすることによって、本発明のアゾ化合物を製造できる。
【0053】
なお、上記式(2)および(3)中、R
1、X、R
4、pおよびr、ならびにR
5およびR
6は、所望のアゾ化合物の構造によって規定される。具体的には、上記式(2)中、R
1、X、R
4、pおよびrは、上記式(1)と同様の定義であるため、ここでは説明を省略する。同様にして、上記式(3)中、R
5およびR
6は、上記式(1)と同様の定義であるため、ここでは説明を省略する。
【0054】
上記方法において、ジアゾ化反応は、特に制限されず、無溶媒下であるいは溶媒中で行われてもよいが、好ましくは溶媒中で行なわれる。この際使用できる溶媒としては、酸性溶媒が好ましく使用され、より具体的には、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸、濃硫酸などが挙げられる。上記溶媒は、単独で使用されてももしくは2種以上の混合物の形態で使用されてもよく、または水、メタノールなどの他の溶媒との混合物の形態で使用されてもよい。溶媒を使用する際の溶媒の使用量は、特に制限されないが、アミン化合物の濃度が、好ましくは1〜40質量%となるような量である。また、式(2)のアミン化合物(好ましくは溶液形態)は、−10〜10℃程度にまで冷却されることが好ましい。これにより、後の反応で生成するジアゾニウムが安定でありうる。なお、本明細書において、「質量」と「重量」、「質量部」と「重量部」、及び「質量%」と「重量%」は同義語として取り扱う。
【0055】
上記ジアゾ化反応は、好ましくはニトロソ化剤の存在下で行われる。ここで、ニトロソ化剤としては、特に制限されず、公知のニトロソ化剤が使用できる。具体的には、ニトロシル硫酸、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸メチルなどが挙げられる。なお、上記溶媒は、単独で使用されてももしくは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。ニトロソ化剤を使用する際のニトロソ化剤の使用量は、特に制限されないが、アミン化合物1モルに対して、0.9〜1.8モルであることが好ましい。また、上記ニトロソ化剤は、そのままの形態で添加されてもよいが、水メタノール等で希釈して使用されてもよい。後者の場合、ニトロソ化剤は、3〜40質量%程度に希釈されることが好ましい。
【0056】
上記ジアゾ化反応条件は、上記式(2)のアミン化合物のジアゾ化反応が進行して所望のジアゾ化合物を得られる条件であれば特に制限されない。具体的には、反応温度は、好ましくは−15〜15℃、より好ましくは−10〜10℃である。また、反応時間は、好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.15〜3時間である。なお、ここでスルファミン酸を添加することにより余剰ニトロソ化剤を分解してもよい。
【0057】
次に、このようにして得られたジアゾニウム化合物を、上記式(3)の3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物とカップリング反応させる。ここで、上記カップリング反応は、特に制限されず、無溶媒下であるいは溶媒中で行われてもよいが、好ましくは溶媒中で行なわれる。例えば、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物は、いずれの形態でジアゾ化合物に添加されてもよいが、好ましくは溶液の形態で添加される。ここで、使用される溶媒は、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物を溶解または分散できるものであれば特に制限されない。例えば、水、メタノールなどが使用される。上記溶媒は、単独で使用されてもまたは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。溶媒を使用する際の溶媒の使用量は、特に制限されないが、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物の濃度が、好ましくは3〜30質量%となるような量である。また、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物の溶解性、カップリング反応の反応性などを考慮すると、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物溶液は、さらに塩基を含むことが好ましい。この際塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。塩基の添加量は、特に制限されないが、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物1モルに対して、0.9〜3モルである。
【0058】
上記カップリング反応において、ジアゾ化合物および3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物の添加順序は、特に制限されず、ジアゾ化合物および3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物を同時に添加する方法;ジアゾ化合物を3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物に添加する方法;3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物をジアゾ化合物に添加する方法のいずれであってもよい。好ましくは、ジアゾ化合物を3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物に添加する。これにより、発熱が抑えられ反応がきれいに進行しやすい。また、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物(好ましくは溶液形態)は、−10〜10℃程度にまで冷却することが好ましい。これにより、ジアゾニウムが安定でありうる。
【0059】
上記カップリング反応条件は、ジアゾ化合物と3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物との反応が進行して所望のアゾ化合物を得られる条件であれば特に制限されない。具体的には、反応温度は、好ましくは−15〜15℃、より好ましくは−10〜10℃である。また、反応時間は、好ましくは0.1〜30分間、より好ましくは0.5〜20分である。なお、上記反応時間中、ジアゾ化合物を3−シアノ−6−ヒドロキシピリジン−2(1H)−オン化合物に添加(特に、滴下)することが特に好ましい。
【0060】
また、上記カップリング反応終了後は、反応液のpHを5〜8、より好ましくは6〜7に調節することにより、所望のアゾ化合物を完結させ沈殿させることができる。このため、必要に応じて、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどを添加して、pHを調節してもよい。当該沈殿物は、従来公知の方法に従って、晶析、ろ過、洗浄、乾燥を行なってもよい。このような操作により、アゾ化合物を効率よく、しかも高純度で得ることができる。
【0061】
上記したような本発明のアゾ化合物は、400〜440nmの最大吸収波長を有し、黄色系色素(黄色系色素化合物)として使用できる。なお、アゾ化合物の吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)は、酢酸エチルで測定された値を意味する。本明細書中では、アゾ化合物の吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)は、下記実施例に記載される方法に従って測定される値を意味する。また、本発明のアゾ化合物は、溶剤、特にプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA)、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン(NMP)、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル、乳酸エチル、クロロホルム、メチルイソブチルケトン、アセトンまたは酢酸エチルとの相溶性(溶解性)に優れ、より好ましくはPGMEA、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンとの相溶性(溶解性)に優れる。また、本発明のアゾ化合物は、特にPGMEAまたはシクロヘキサノンとの相溶性(溶解性)に優れる。本発明のアゾ化合物の溶剤溶解性は、特に限定されず、高いほど好ましい。例えば、PGMEAにおける溶解性(溶解度)は、PGMEAにおけるアゾ化合物の濃度が、0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1〜40質量%程度であることがより好ましい。同様にして、シクロヘキサノンにおける溶解性(溶解度)は、シクロヘキサノンにおけるアゾ化合物の濃度が、5〜70質量%程度であることが好ましく、10〜60質量%程度であることがより好ましい。同様にして、N−メチルピロリドンにおける溶解性(溶解度)は、N−メチルピロリドンにおけるアゾ化合物の濃度が、5質量%を超えて60質量%以下であることが好ましく、8〜50質量%程度であることがより好ましい。このため、本発明のアゾ化合物は、種々の用途、特にカラーフィルタの画素の形成に使用される好適に用いることができる。
【0062】
したがって、本発明の第二によると、本発明のアゾ化合物を含むカラーフィルタ用色素(カラーフィルタ用色素組成物の形態を含む)、特に黄色フィルター用色素(黄色フィルター用色素組成物の形態を含む)が提供される。本発明のアゾ化合物は、黄色系色素化合物として使用される。ここで、黄色系色素化合物は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。混合物、特に2〜3種類の色素の混合物の形態で用いる場合には、互いの色素の溶解性が向上し、結果としてカラーフィルタとしての色純度が向上し、輝度が向上する場合がある。
【0063】
本発明の形態のカラーフィルタ用色素は、黄色系色素化合物としての本発明のアゾ化合物を必須に含むが、本発明のアゾ化合物に加えて他の黄色系色素や公知の色素を含んでもよい。ここで、他の色素の混合比は、本発明のアゾ化合物による効果を阻害しない程度であれば特に制限されない。具体的には、他の色素の使用量は、本発明のアゾ化合物に対して、0.1質量%を超えかつ50質量%以下、好ましくは1〜20質量%程度である。
【0064】
従来、カラーフィルタ用色素(着色剤組成物)に熱を加えると、カラーフィルタ用色素の吸収スペクトルが500〜550nmの橙色の着色が相対的に大きくなり、このカラーフィルタ用色素から作製された光硬化性組成物を黄色画素部または緑色画素部に使用すると、得られるカラーフィルタの色目(色純度)や輝度が劣ってしまうという課題があった。一方、本発明のカラーフィルタ色素を用いると、460〜480nmの波長の吸光度が高く、かつ500nm〜550nmの吸光度が低い、耐変色性に優れるカラーフィルタを得ることができる。
【0065】
本発明の形態のカラーフィルタ用色素において、黄色系色素化合物の配合量は、特に制限はない。例えば、以下に説明するように、黄色系色素化合物に加えて、緑系色素化合物、溶媒、分散剤などから選択される少なくとも一の他の成分を含むカラーフィルタ用色素組成物の場合において、黄色系色素化合物の配合量は、当該カラーフィルタ用色素組成物を固形分換算で100質量部として、好ましくは0.01〜50質量部、より好ましくは0.5〜45質量部、さらに好ましくは1〜40質量部である。なお、以下では、カラーフィルタ用色素およびカラーフィルタ用色素組成物の形態を、一括して「カラーフィルタ用色素」と称する。
【0066】
本発明のカラーフィルタ用色素は、さらに溶媒を含むことができる。ここで、溶媒としては、黄色系色素化合物を分散・溶解できるものであれば特に制限されない。例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、n−プロパノール、n−ブタノール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、ブトキシエタノール、ジアセトンアルコール、ベンズアルデヒド、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−i−アミルケトン、アセトフェノン、メチラール、フラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、ジメチルスルオキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート(PGMEA)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。中でも、沸点と粘性の観点で好ましくはジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドンなどが好ましい溶媒として挙げられる。また、上述したように、本発明のアゾ化合物はプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA)、シクロヘキサノンやシクロヘキサン、特にPGMEAやシクロヘキサノンへの溶解性に特に優れる。このため、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA)やシクロヘキサノンが特に好ましく使用される。なお、上記溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0067】
着色剤組成物における溶剤の配合量は、特に制限はないが、組成物100質量部に対して、20〜95質量部が好ましく、30〜85質量部がより好ましい。
【0068】
本発明のカラーフィルタ用色素は、必要に応じて、公知の樹脂(感光性樹脂組成物)の化合物を添加してもよい。本発明に用いることのできる樹脂(感光性樹脂組成物)は、光の作用によって化学反応を起こし、その結果、溶媒に対する溶解度または親和性に変化を生じたり、液状より固体状に変化するものであればよい。例えば、アクリル系またはマレイミド系樹脂をバインダー樹脂(ベースポリマー)とし、これに各種のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルからなる感光性モノマー(光重合性モノマー)、光重合開始剤を加えてなる光重合型の感光性樹脂組成物、あるいは光二量化するアクリル系樹脂液を用いてなる光二量化型の感光性樹脂組成物などが挙げられるが、中でも光重合型の感光性樹脂組成物が好ましい。
【0069】
前記アクリル系またはマレイミド系樹脂としては、それを構成するモノマー、オリゴマーのうち10質量%以上がアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルおよびマレイミド基を有する化合物から選ばれた1種以上であり、アクリル酸、メタクリル酸またはマレイミド基を有する化合物を好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜35質量%、アクリル酸、メタクリル酸またはマレイミド基を有する化合物を好ましくは10〜90質量部、さらに好ましく30〜80質量部含むものである。
【0070】
アクリル系を構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2一ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、マレイン酸、フマル酸、N−フェニルマレイミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートプレポリマー等が例示できる。
【0071】
マレイミド系樹脂を構成するモノマーとしては、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N―メチルフェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−ナフチルマレイミド等の芳香族置換マレイミドのほか、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のアルキル置換マレイミドが例示できる。
【0072】
また、本発明の感光性樹脂組成物の成分となり得る感光性モノマーとしては、前記のアクリル系樹脂を構成するモノマーが挙げられるが、好ましくはトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0073】
光重合型の感光性樹脂組成物の組成成分となり得る光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインアルキルエーテル系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、フェニルケトン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物およびアントラキノン系化合物などが挙げられる。より具体的には、イルガキュア369、イルガキュア907(両者とも日本チバガイギー(株)製)などのアセトフェノン系化合物などが挙げられる。
【0074】
光重合開始剤の添加量は、特に限定されるものではないが、カラーフィルタ用色素100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部、より好ましくは0.3〜10質量部の割合で添加される。
【0075】
また、本発明のカラーフィルタ用色素には、必要に応じて、熱重合防止剤等の任意成分を添加することができる。上記熱重合防止剤は、保存安定性改良の目的で添加されるものであり、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−(メルカプトベンゾイミダゾール)など用いることができる。また、必要に応じて、光劣化防止剤を添加してもよい。
【0076】
カラーフィルタ用色素における樹脂(感光性樹脂組成物)の配合量は、特に制限はないが、カラーフィルタ用色素100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。
【0077】
また、本発明のカラーフィルタ用色素は、必要であれば分散剤を含むことができる。ここで、分散剤は、特に制限されないが、有効固形分換算で5〜150mgKOH/gのアミン価を有することが好ましい。通常、染料はポリマー樹脂に溶解するので分散剤は必須ではないが、カラーフィルタ中では一般に高濃度(10〜30wt%)であり、その凝集、析出によりコントラストや輝度が低下してしまう場合がある。これを防止するために特定の分散剤を用いると効果がある。また、顔料を用いる場合、分散剤を含むことで、分散安定性が増加し、カラーフィルタ中での析出を防ぎ、コントラストや輝度の低下を抑制する。
【0078】
アミン価を有する分散剤としては、1〜3級アミノ基を有することを意味する。「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお、測定方法については後述する。
【0079】
<アミン価の測定方法>
分散剤のアミン価(有効固形分換算)は、分散剤試料中の溶媒を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表し、次の方法により測定する。100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO
4酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
【0081】
ただし、Wは、分散剤試料秤取量[g]を表し、Vは、滴定終点での滴定量[mL]を表し、Sは、分散剤試料の固形分濃度[wt%]を表す。
【0082】
分散剤は、窒素原子を含む官能基を有する重合体であり、そのアミン価が有効固形分換算で5〜150mgKOH/gであることが好ましい。分散剤のアミン価は、より好ましくは5〜100mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜80mgKOH/gである。この際、アミン価は、実効的な顔料や染料への吸着基量を示し、アミン価が低すぎると、顔料や染料の表面への吸着力が不十分となり、十分な分散安定性を得ることができない。一方、アミン価が高すぎると、顔料や染料の凝集防止機能を充分発現する事が出来ず分散安定性が劣る。すなわち、上記範囲のアミン価を有することにより、カラーフィルタ用色素が最適な分散性を発現できる。
【0083】
また、分散剤は、さらに酸価を有することが好ましい。分散剤の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、30〜200mgKOH/gであるのがより好ましく、50〜150mgKOH/gであるのがさらに好ましい。ここで、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定することで算出する。
【0084】
分散剤は、アミン価と酸価を有して、さらに塩構造であるのが好ましい。なお、塩構造とは、アンモニウム塩、カルボン酸塩、リン酸エステル塩、ポリアミノアミドと酸ポリマーの塩などの塩の形態を有する構造を意味する。本発明では、塩構造になっている親水性の部分が、顔料や染料への吸着基となり、分散性および安定性を増加させることができる。
【0085】
このような分散剤を用いることで、カラーフィルタ用色素は、耐変色性に優れる。このような効果を奏するメカニズムは不明だが、以下のように推測される。なお、本発明は、下記によって限定されるものではない。分散剤に含まれる窒素原子が顔料や染料の表面に対して親和性をもち、窒素原子以外の部分が媒質に対する親和性を高めることにより、全体として分散性が向上し、着色剤組成物は均一性が増すことが推測される。よって、着色剤組成物を加熱した場合、局所的な加熱を避けることができ、熱安定性が向上しているのではないかと考えられる。本発明において、分散性という観点から、アミン価と酸価を有して、さらに塩構造である分散剤がもっとも好ましい。
【0086】
また、本発明に用いることができる分散剤としては、高分子分散剤が好ましい。なお、本発明における「高分子分散剤」とは、重量平均分子量が1,000以上の分散剤を意味する。また、その分子量は、1000〜100,000の範囲であるのが好ましい。分散剤の分子量が小さすぎると分散安定性が低下し、大きすぎると現像性、解像性が低下する傾向にある。また、本発明において、特に断りのない限り、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。
【0087】
本発明で用いられうる分散剤としては、BYKケミー社製のANTI−TERRA(登録商標)シリーズのANTI−TERRA(登録商標)−U、U100、204、205、DISPERBYK(登録商標)シリーズのDISPERBYK(登録商標)−106、108、109、112、116、140、142、145、161、162、163、166、167、168、180、182、183、185、184、2001、2020、2025、2050、2070、2150、BYK(登録商標)シリーズのBYK(登録商標)−9076、9077などが挙げられる。
【0088】
また、これらのうち、アミン価と酸価を有するという点から、ANTI−TERRA(登録商標)−U、U100、204、205、DISPERBYK(登録商標)−101、106、140、142、145、180、2001、2020、2025、2070、BYK(登録商標)−9076が好ましい。
【0089】
また、これらのうち、アミン価と酸価を有して、さらに塩構造であるという点から、ANTI−TERRA(登録商標)−U、U100、204、205、DISPERBYK(登録商標)−101、106、140、142、145、180、BYK(登録商標)−9076がさらに好ましい。これらの中でも、DISPERBYK(登録商標)−106が特に好ましい。
【0090】
本発明のカラーフィルタ用色素において、分散剤を使用する際の、分散剤の含量は、本発明のカラーフィルタ用色素 100質量部に対して、好ましくは0.2〜20質量部である。
【0091】
また、本発明のカラーフィルタ用色素は、必要に応じて、公知の分散助剤等の化合物を添加してもよい。これらの化合物は、顔料と分散剤との仲介をする化合物で、顔料表面と分散剤とに電気的、化学的に吸着し、分散安定性を向上させる機能を持つと考えられている。
【0092】
このような分散助剤は、特に制限されず、公知の分散助剤が使用できる。具体的には、ポリカルボン酸型高分子活性剤、ポリスルホン酸型高分子活性剤等のアニオン性活性剤、ポリオキシエチレン、ポリオキシレンブロックポリマー等のノニオン系の活性剤があるが、好ましいものとして、アントラキノン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダンスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系等の有機顔料を母体とし、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボンアミド基、スルホンアミド基等の置換基を導入した顔料誘導体が挙げられる。
【0093】
または、本発明のアゾ化合物は、上記したように単独で使用されてもよいが、他の色素と組み合わせて調色して、カラーフィルタ用色素として使用されてもよい。これにより、バックライトの光線透過特性に合うような適当な組み合わせを選択でき、明るく色再現範囲の広い表示品位の高い画像を得ることができる。例えば、カラーフィルタの緑(G)の画素には、緑色系色素と黄色系色素の2種類以上を選び、調色した着色剤組成物が用いられている。このため、本発明のアゾ化合物は、緑色の画素の形成にも好適に使用される。以下では、カラーフィルタの緑(G)の画素に使用されるカラーフィルタ用色素組成物について説明するが、本発明は下記用途に限定されるものではない。
【0094】
本発明の形態のカラーフィルタ用色素組成物は、黄色系色素化合物としての本発明のアゾ化合物および緑系色素化合物を含む。なお、本発明の形態の組成物は、緑系色素化合物をさらに含む以外は、上記黄色系色素化合物のみを色素化合物として含むカラーフィルタ用色素の場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0095】
本発明の形態の緑系色素化合物としては、特に制限されないが、フタロシアニン化合物が好ましく使用される。したがって、本発明の第二によると、本発明のアゾ化合物とフタロシアニン化合物とを含むカラーフィルタ用色素(カラーフィルタ用色素組成物の形態を含む)、特に緑色フィルター用色素(緑色フィルター用色素組成物の形態を含む)が提供される。波長600〜700nmに最大吸収波長(λmax)を有するフタロシアニン化合物が緑系色素化合物としてより好ましく使用される。より具体的には、上記フタロシアニン化合物としては、下記化学式(V1)で表されるフタロシアニン顔料、下記に説明される化学式(V2)〜(V4)で表されるフタロシアニン染料を用いることができる。フタロシアニン顔料を用いると色濃度が高いという点ではフタロシアニン染料よりも好ましいが、フタロシアニン染料を用いると高コントラストであるという点ではフタロシアニン顔料を用いる場合よりも好ましい。なお、フタロシアニン化合物の吸収スペクトルの最大吸収波長λmaxは、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(以下、「PGMEA」と略する場合もある。)で測定された値を意味する。
【0096】
(1−1)フタロシアニン顔料
(1−1−1)化学式(V1)で表されるフタロシアニン化合物
本発明で用いられうるフタロシアニン化合物としては、下記化学式(V1):
【0098】
化学式(V1)中、
Z
1〜Z
16は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、この際、Z
1〜Z
16のうち、8〜16個はフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、
Mは、中心金属であり、中心金属Mに結合するY
1は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのハロゲン原子、酸素原子、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる一価原子団であり、
mは中心金属Mに結合するY
1の数を表し、0〜2の整数である;この際、中心金属Mが、Al、Sc、Ga、Y、Inなどの原子価が3価の金属の場合には、m=1であり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の一つが中心金属に結合し、中心金属Mが、Si、Ti、V、Ge、Zr、Snなどの原子価が4価の金属の場合には、m=2であり、酸素の一つが中心金属に結合するか、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の二つが中心金属に結合し、または中心金属Mが、Cu、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Sn、Pbなどの原子価が2価の金属の場合は、Y
1は存在しない、
で表される、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料などが挙げられる。
【0099】
本発明において、最大吸収波長を600〜700nmに有するフタロシアニン化合物は、耐久性、耐候性を考慮すると、フタロシアニン骨格の中心金属は銅、亜鉛であることが特に好ましい。
【0100】
本発明で用いられうるフタロシアニン顔料は、市販されていてもよい。市販のフタロシアニン顔料は、600〜700nmに最大吸収波長λmaxを有するものであれば特に限定されないが、例えば、C.I.Pigment Green 7、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58などが挙げられる。これらのうち、高輝度という観点から、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Green 58が好ましい。
【0101】
(1−2)フタロシアニン染料
本発明で用いられうるフタロシアニン化合物としては、下記化学式(V2)〜(V4)で表されるフタロシアニン染料が挙げられる。
【0102】
(1−2−1)化学式(V2)で表されるフタロシアニン染料
本発明において、フタロシアニン化合物として、特願2010−043405号明細書に記載されている化学式(V2)で表されるフタロシアニン染料を用いることができる。
【0104】
化学式(V2)中、
Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わし;Z
201〜Z
204は、それぞれ独立して、下記式(v2−2)〜(v2−5):
【0106】
であり、
上記式(v2−2)〜(v2−5)中、pは、0〜4の整数であり;qは、0〜3の整数であり;rは、0〜2の整数であり;sは、0〜6の整数であり;R
201〜R
204は、それぞれ独立して、ニトロ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基(a)、置換基(b)、−S−(R
209O)
xR
210、−S−L−A、および置換基(c)からなる群から選択される置換基(ア)またはハロゲン原子であり、この際、R
209は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R
210は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基であり、xは、1〜4の整数であり、Lは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基であり、Aは、それぞれ独立して、COOJ
201、OJ
201、CON(J
201)
2またはN(J
201)
2であり、この際、J
201は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアシル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または、−(R
211O)
yR
212であり、R
211は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R
212は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアシル基、または置換基を有していてもよいアルキルカルバモイル基であり、yは、1〜4の整数であり、
前記置換基(a)は、下記式(v2−6)、(v2−6’)または(v2−6’’):
【0108】
上記式(v2−6)、(v2−6’)および(v2−6’’)中、R
205は、炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、R
206は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R
207は、炭素数1〜8のアルキル基であり、tは、0または1であり、uは、0〜4の整数である、で表わされ、
前記置換基(b)は、下記式(v2−7):
【0110】
上記式(v2−7)中、X
2は、酸素原子または硫黄原子であり、R
208は、それぞれ独立して、シアノ基、ニトロ基、COOY
201、OY
201、ハロゲン原子、アリール基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Y
201は、炭素数1〜8のアルキル基であり、vは、1〜5の整数である、で表わされ、
前記置換基(c)は、下記式(v2−8):
【0112】
上記式(v2−8)中、R
213は、それぞれ独立して、COOJ
202、OJ
202、CON(J
202)
2、N(J
202)
2またはハロゲン原子であり、この際、J
202は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルコシキカルバモイル基、置換基を有していてもよいアルコシキカルボニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基または−(R
214O)
zR
215であり、wは、1〜5の整数であり、R
214は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R
215は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、zは、1〜4の整数である、で表わされ、
この際、R
201〜R
204として導入されるすべての基のうち、0.05個以上3個未満は、水素原子であり、3〜6個は、置換基(ア)であり、かつ、残部はハロゲン原子である。
【0113】
(1−2−2)化学式(V3)で表されるフタロシアニン染料
本発明において、フタロシアニン化合物として、WO2010/024203号パンフレットに記載されるフタロシアニン化合物、特願2009−192787号に記載されている化学式(V3)で表されるフタロシアニン染料を用いることができる。
【0115】
上記式(V3)中、Z
301〜Z
316は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、下記化学式(v3−2):
【0117】
上記式(v3−2)中、X
3は酸素原子または硫黄原子であり、A
3は、フェニル基、1〜5の置換基R
301を有するフェニル基または1〜7の置換基R
301を有するナフチル基であり、前記置換基R
301は、それぞれ独立して、ニトロ基、COOR
302、OR
303(R
303は炭素数1〜8のアルキル基)、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、R
302は、炭素数1〜8のアルキル基(この際、アルキル基は、炭素数1〜8のアルキルオキシ基、ハロゲン原子もしくはアリール基で置換されていてもよい)、または下記化学式(v3−3)で示される基;
【0119】
上記式(v3−3)中、R
304は炭素数1〜3のアルキレン基であり、R
305は炭素数1〜8のアルキル基であり、nは1〜4の整数である;である:
で示される基、または下記化学式(v3−2’):
【0121】
上記式(v3−2’)中、R
306は炭素数1〜3のアルキレン基であり、R
307は炭素数1〜8のアルキル基であり、lは0〜4の整数である;で示される基であり、
この際、Z
301〜Z
316のうち、4〜10個は化学式(v3−2)または化学式(v3−2’)で示される基であり、このうち、少なくとも1個は化学式(v3−2)で示される基であり、3〜11個は水素原子であり、少なくとも1個はハロゲン原子であり、
Mは無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。
【0122】
(1−2−3)化学式(V4)で表されるフタロシアニン染料
本発明において、フタロシアニン化合物として、PCT/JP2010/062461に記載されている化学式(V4)で表されるフタロシアニン染料を用いることができる。
【0124】
上記式(V4)中、Z
401〜Z
416は、それぞれ独立して、塩素原子、下記式(v4−2)もしくは(v4−2’):
【0126】
上記式(v4−2)及び(v4−2’)中、R
401は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R
402は、炭素数1〜8のアルキル基であり、R
404は、炭素数1〜8のアルコキシ基またはハロゲン原子であり、mは、1〜4の整数であり、pは、0または1である、
で表される置換基(a)、または
下記式(v4−3−1):
【0128】
上記式(v4−3−1)中、X
4は、酸素原子または硫黄原子であり、Ar
4は、R
403で置換されてもよいフェニル基またはナフチル基であり、この際、R
403は、それぞれ独立して、シアノ基、ニトロ基、COOY
401、OY
401、ハロゲン原子、アリール基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基であり、この際、Y
401は、炭素数1〜8のアルキル基である、
で表される置換基(b−1)、
下記式(v4−3−2):
【0130】
上記式(v4−3−2)中、X
4は、酸素原子または硫黄原子であり、R
407は、炭素数1〜5のアルキレン基であり、R
405は、ハロゲン原子または炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基である、
で表される置換基(b−2)、
下記式(v4−3−3):
【0132】
上記式(v4−3−3)中、X
4は、酸素原子または硫黄原子であり、R
407は、炭素数1〜5のアルキレン基であり、R
406は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数1〜8のアルキル基である、
で表される置換基(b−3)、
7−ヒドロキシクマリン由来の基(b−4)、および
2,3−ジヒドロキシキノキサン由来の基(b−5)、
からなる群より選択される置換基(b)を表わし、
この際、Z
401〜Z
416のうち、2〜8個は置換基(a)または置換基(b)でありかつ残部は塩素原子であり、2〜8個の置換基(a)または置換基(b)のうち、少なくとも2個は、置換基(a)であり、
Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。
【0133】
本発明において、フタロシアニン化合物は、化学式(V1)〜(V4)で表される化合物を好ましく用いることができる。また、本発明において、フタロシアニン化合物は、単独で使用されても、2種以上の混合物の形態であってもよい。
【0134】
本発明のカラーフィルタ用色素において、耐候性が高いという観点から、化学式(V1)で表されるフタロシアニン顔料を含むことが好ましい。フタロシアニン顔料を含むとは、少なくとも1種のフタロシアニン顔料を用いることを意味する。フタロシアニン顔料を含んでいれば、輝度が高いという観点から、化学式(V2)〜(V4)で表されるフタロシアニン染料をさらに含む形態がより好ましい。
【0135】
本発明のカラーフィルタ用色素において、フタロシアニン化合物は、配合量にも特に制限はないが、本発明のカラーフィルタ用色素を100質量部として、フタロシアニン化合物を好ましくは0.01〜65質量部、より好ましくは1〜50質量部、さらに好ましくは2〜20質量部である。なお、フタロシアニン化合物が2種以上の混合物の場合、その合計量をフタロシアニン化合物の質量とする。
【0136】
次に、本発明のカラーフィルタ用色素を用いたカラーフィルタの製造方法を説明する。
【0137】
まず、カラーフィルタ用色素組成物を作製する。ここで、カラーフィルタ用色素組成物は、黄色系色素化合物として本発明のアゾ化合物を必須成分とし、さらに必要であれば、上述した溶剤、分散剤、分散補助剤、樹脂など他の成分、さらには緑色系色素化合物としてのフタロシアニン化合物などが配合されていてもよい。この際、各成分は、上記定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。本発明のカラーフィルタ用色素の製造方法は、特に制限されないが、上記成分を混合し、分散・溶解させることで得られる。
【0138】
背景技術の欄でも説明したが、液晶ディスプレイや撮像装置等に用いるカラーフィルタは、一般に、ガラスなどの透明基板に、赤、緑、青の三原色画素と、これらの画素間に設けられた遮光層であるブラックマトリックスとを形成することにより製造されている。
【0139】
カラーフィルタの作製方法は、従来公知の知見を適宜参照し、あるいは組み合わせて適用することができる。例えば、特開平10−160921号公報で開示されている方法が、カラーフィルタを作製する上で好ましいが、無論これらに限定されるわけではない。
【0140】
まず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成する。次に、本発明のカラーフィルタ用色素と、溶媒と樹脂(感光性樹脂組成物)と、必要に応じて、他の緑色系色素、緑色系色素、または分散剤を含有してなるカラーフィルタ用色素組成物をガラス基板上にスピンコート等により塗布し、乾燥する。次に、その後、必要に応じフォトマスクを介し露光する。その後、必要に応じ、アルカリ現像を行い、着色パターン(着色層)を得る。その後、必要に応じ、透明なオーバーコート層(保護膜)を形成して着色層の保護と表面の平坦化を行う。さらに、必要に応じ、透明導電膜を形成する。このようにして、カラーフィルタとすることができる。
【0141】
この際、上記したように、本発明のアゾ化合物は、カラーフィルタの画素を形成するのに一般的に使用されるプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA)やシクロヘキサノン等の溶剤に対して優れた溶解性を発揮できる。このため、上記溶剤への溶解性が高い樹脂と本発明のアゾ化合物(黄色系色素化合物)とを組み合わせて用いることができ、また、上記溶剤以外の溶媒には溶けてしまうプラスチックを用いる場合であっても、該プラスチック上に当該黄色系色素化合物を塗布することができる。また、本発明のアゾ化合物を黄色系色素化合物として使用したカラーフィルタは、高輝度、高耐熱性でありうる。
【実施例】
【0142】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0143】
合成例1:4−ニトロフタル酸ジ(2−メトキシエチル)の合成
4−ニトロフタル酸25.0gをトルエン258gと2−メトキシエタノール90.1gの混合溶液に溶解し、さらに硫酸14.5gを加えて、Dean−Starkトラップを用いて水を除きながら加熱還流させた。3時間後、反応液を水に空けて2層分離し、水層をトルエンで抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、濃縮し、減圧乾燥して4−ニトロフタル酸ジ(2−メトキシエチル)を薄褐色油状物質として39.6g(102モル%相当)得た。
【0144】
合成例2:4−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)の合成
還元鉄28.5gを酢酸26gと水43gの混合溶媒に懸濁させ、80℃で1時間撹拌した。この懸濁液に、上記合成例1で得られた4−ニトロフタル酸ジ(2−メトキシエチル)39.6gのエタノール(107g)溶液を滴下した後、5分間撹拌させた後室温まで冷却した。反応液を0℃に冷却し、炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり滴下しpHが7〜8となるよう調節した。縣濁液を濃縮後、アセトンを加えて撹拌し、ろ過して得られた溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、濃縮、減圧乾燥して4−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)を薄褐色個体として31.0g(4−ニトロフタル酸からの通算収率73モル%)得た。
【0145】
合成例3:3−ニトロフタル酸ジ(2−メトキシエチル)の合成
3−ニトロフタル酸15.0gをジメチルスルホキシド78gに溶解し、さらに炭酸水素ナトリウム17.9g、2−ブロモメチルエーテル21.7gを加えて120℃で1.5時間撹拌した。室温まで撹拌しながら冷却すると生成物が析出したので、次に0℃まで冷却することによって生成物を完全に析出させた後、水200gに空けて室温で30分間激しく撹拌した。析出物を濾取し、飽和炭酸水素ナトリウム、水で順次洗浄し、減圧乾燥することによって3−ニトロフタル酸ジ(2−メトキシエチル)を白色粉末として13.8g(59モル%相当)得た。
【0146】
合成例4:3−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)の合成
還元鉄11.2gを酢酸18gと水46gの混合溶媒に懸濁させ、80℃で1時間撹拌した。この懸濁液に、上記合成例3で得られた3−ニトロフタル酸ジ(2−メトキシエチル)15.5gのエタノール(45g)溶液を滴下した後、5分間撹拌させた後室温まで冷却した。反応液を0℃に冷却し、炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり滴下しpHが7〜8となるよう調節した。縣濁液をセライトろ過後、ろ液を濃縮してアセトンを加えて撹拌し、更にろ過して得られた溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、濃縮、減圧乾燥して3−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)を白色固体として15.1g(88モル%相当)得た。
【0147】
合成例5:5−ニトロイソフタル酸ジ(2−メトキシエチル)の合成
5−ニトロイソフタル酸80.0gをトルエン275gと2−メトキシエタノール86.5gの混合溶液に溶解し、さらに硫酸9.29gを加えて、Dean−Starkトラップを用いて水を除きながら加熱還流させた。5時間後、反応液を水に空けて2層分離し、水層をトルエンで抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、濃縮し、減圧乾燥して5−ニトロイソフタル酸ジ(2−メトキシエチル)を白色固体として124g(100モル%相当)得た。
【0148】
合成例6:5−アミノイソフタル酸ジ(2−メトキシエチル)の合成
上記合成例5で得られた5−ニトロイソフタル酸ジ(2−メトキシエチル)121gをエタノール97.3g中懸濁させ、さらに水73.9g、酢酸44.4g、還元鉄5.47gを酢酸8.83gと水23gの混合溶媒に懸濁させ、80℃で1時間撹拌した。この懸濁液に4−ニトロフタル酸ジエチル6.55gのエタノール(28g)溶液を滴下した後、5分間撹拌させた後室温まで冷却した。反応液を0℃に冷却し、炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり滴下しpHが7〜8となるよう調節した。縣濁液をセライトろ過後、ろ液を濃縮してアセトンを加えて撹拌し、更にろ過して得られた溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、濃縮、減圧乾燥して3−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)を白色粉末として5.17g(89モル%相当)得た。
【0149】
合成例7:4−ニトロフタル酸ジ(3−メチルブチル)の合成
4−ニトロフタル酸50gをトルエン294gと3−メチル−1−ブタノール125gの混合溶液に溶解し、さらにp−トルエンスルホン酸一水和物19.3gを加えて、Dean−Starkトラップを用いて水を除きながら加熱還流させた。4時間後、反応液を水に空けて2層分離し、水層をトルエンで抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、濃縮し、減圧乾燥して4−ニトロフタル酸ジ(3−メチルブチル)を薄褐色油状物質として85.1g(102モル%相当)得た。
【0150】
合成例8:4−アミノフタル酸ジ(3−メチルブチル)の合成
還元鉄66.1gを酢酸56.9gと水94.7gの混合溶媒に懸濁させ、80℃で1時間撹拌した。この懸濁液に、上記合成例7で得られた4−ニトロフタル酸ジ(3−メチルブチル)166gのエタノール(125g)溶液を滴下した後、1時間撹拌させた後室温まで冷却した。反応液を0℃に冷却し、炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり滴下しpHが7〜8となるよう調節した。縣濁液をセライトろ過後、ろ液を濃縮してアセトンを加えて撹拌し、更にろ過して得られた溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、濃縮、減圧乾燥して3−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)を黒色油状物質として147g(97モル%相当)得た。
【0151】
合成例9:5−アミノ−N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−イソフタルアミドの合成
5−ニトロイソフタル酸をクロロホルム119gとDMF3.63gの混合溶液に溶解し、塩化チオニル5.92gを滴下して60℃で撹拌させた。3時間後、塩化チオニル2.82gを追加し、さらに60℃で2時間撹拌させた後、0℃で2−エチルヘキシルアミン12.2gとクロロホルム37.0gの混合溶液を滴下した。2.5時間後2−エチルヘキシルアミン6.12gを追加し、10分間撹拌させた後、反応溶液を18wt%塩酸へ注ぎ込んだ。分離後、水層から酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過、濃縮、減圧乾燥させて、5−アミノ−N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−イソフタルアミドを白色粉末として8.62g(84%相当)得た。
【0152】
合成例10:4−アミノ安息香酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル
4−ニトロフタル酸10.0gをトルエン127gと2−(2−メトキシエトキシ)エタノール43.8gの混合溶液に溶解し、さらに硫酸43.8gを加えて、Dean−Starkトラップを用いて水を除きながら加熱還流させた。4時間後、反応液を炭酸ナトリウム水溶液に空けて2層分離し、水層をトルエンで抽出した。合わせた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、濃縮し、減圧乾燥して4−アミノ安息酸2−(2−メトキシエトキシ)エチルを褐色油状物質として21.3g(122モル%相当、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール含む)得た。
【0153】
合成例11:4−ニトロフタル酸ジエチルの合成
4−ニトロフタル酸25.0gをトルエン103gとエタノール62gの混合溶液に溶解し、さらに硫酸5.81gを加えて加熱還流下撹拌した。3時間後、反応液を水に空けて2層分離し、水層から酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウムで2回、飽和食塩水で1回順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、濃縮し、減圧乾燥して4−ニトロフタル酸ジエチルを無色油状物質として6.55g(52モル%相当)得た。
【0154】
合成例12:4−アミノフタル酸ジエチルの合成
還元鉄5.47gを酢酸8.83gと水23gの混合溶媒に懸濁させ、80℃で1時間撹拌した。この懸濁液に4−ニトロフタル酸ジエチル6.55gのエタノール(28g)溶液を滴下した後、5分間撹拌させた後室温まで冷却した。反応液を0℃に冷却し、炭酸ナトリウム水溶液をゆっくり滴下しpHが7〜8となるよう調節した。縣濁液をセライトろ過後、ろ液を濃縮してアセトンを加えて撹拌し、更にろ過して得られた溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、濃縮、減圧乾燥して3−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)を白色粉末として5.17g(89モル%相当)得た。
【0155】
合成例13:2−アミノテレフタル酸ジ(シアノメチル)の合成
2−アミノテレフタル酸5.00gをジメチルホルムアミド26gに溶解し、さらに炭酸水素ナトリウム4.68g、クロロアセトニトリル5.00gを加えて100℃で1.5時間撹拌した。室温まで冷却した後、水200gに空けて室温で激しく撹拌した。その際生じた析出物を濾取し、水で洗浄し、減圧乾燥することによって2−アミノフタル酸ジ(シアノメチル)を白色粉末として7.04g(98モル%相当)得た。
【0156】
実施例1:アゾ化合物(1)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](1)を得た。
【0157】
【化24】
【0158】
合成例2で得られた4−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)15.0gを、6.5wt%塩酸295gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム3.69gの水(43g)溶液をゆっくり滴下し、1時間0℃で撹拌して、溶液(溶液1−A)を調製した。
【0159】
別途、水酸化ナトリウム2.62gを水131gに溶解して得られた溶液を、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル9.54gに加えて、溶液(溶液1−B)を調製した。
【0160】
0℃に冷却した溶液1−Bに対し、溶液1−Aを滴下した。10分後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下して、上記混合物のpH6〜7となるように調節した。沈殿物を濾取し、水で洗浄後、アセトン/水で再沈殿を行った後、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(1)を20.8g(4−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)に対する収率:85モル%)得た。
【0161】
このようにして得られたアゾ化合物(1)について、以下の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0162】
<溶解度の測定>
得られたアゾ化合物50mgをバイヤル瓶にとり、室温(30℃)下、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA)またはN−メチルピロリドン(NMP)を加え、上記アゾ化合物を溶解させるための必要最小限量のPGMEAまたはNMPの量を記録した。なお、下記表2において、PGMEAまたはNMPにおけるアゾ化合物の濃度(質量%)を、溶解度(溶解性)として表わす。
【0163】
<融点の測定>
ビュッヒ社製融点測定装置ビュッヒ535を用い、1℃/minの昇温速度でアゾ化合物が溶解する温度を測定した。
【0164】
<最大吸収波長およびグラム吸光係数の測定>
得られたアゾ化合物を、日立分光光度計U−2910を用いて0.012g/L酢酸エチル溶液中で最大吸収波長[λmax(nm)]、および、グラム吸光係数を測定した。
測定方法は以下の通り行った。
【0165】
得られたアゾ化合物30mgの酢酸エチル溶液をメスフラスコ内で50mLまで希釈し、0.6g/L溶液を調製した。次いで、調製した溶液からホールピペットを用いて1mL取り出し、メスフラスコ内で酢酸エチルを用い50mLまで希釈することにより0.012g/L溶液を調製した。このように調製した溶液を1cm角の硬質ガラス製セルに入れ、分光光度計を用いて吸収スペクトルを測定した。最大吸光度をAとしたとき、グラム吸光係数ε(g)を以下の式で計算した。
【0166】
【数2】
【0167】
<黄色系フィルターの作製と評価>
以下の方法に従って、黄色系フィルターを作製し、得られたフィルターの透過率を測定した。
【0168】
(a)染料レジスト溶液(カラーフィルタ用色素組成物)の調製
下記表1に示される組成で混合して溶解し、染料レジスト溶液(色素組成物)を調製した。
【0169】
【表1】
【0170】
(b)塗膜板の作製
ガラス基板を、予めアセトンで表面を拭った。このガラス基板に対して、前記(a)で得られた染料レジスト溶液を、1600rpm、1.5秒の条件でスピンコートし、80℃で30分間プリベークした。その後、UV照射して樹脂を硬化させた後、220℃で20分間ポストベークした。
【0171】
(c)黄色系フィルターの評価
上記で得られたポストベーク後のコーティングガラス板の吸収スペクトルについて、日立分光光度計U−2910を用いて吸収波形を測定し、波長480nmにおける透過率%T(480nm)と波長520nmにおける透過率%T(520nm)を求めた。
【0172】
実施例2:アゾ化合物(2)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](2)を得た。
【0173】
【化25】
【0174】
合成例4で得られた3−アミノフタル酸ジ(2−メトキシエチル)11.7gを、6.5wt%塩酸229gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム2.87gの水(34g)溶液をゆっくり滴下し、1時間0℃で撹拌して、溶液(溶液2−A)を調製した。
【0175】
別途、水酸化ナトリウム2.05gを水102gに溶解して得られた溶液を、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル7.41gに加えて、溶液(溶液2−B)を調製した。
【0176】
0℃に冷却した溶液2−Bに対し、溶液2−Aを滴下した。10分後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下して、上記混合物のpH6〜7となるように調節した。沈殿物を濾取し、水で洗浄後、アセトニトリル/水を用いた再沈殿により精製した後、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(2)を13.4g(収率:70モル%)得た。
【0177】
このようにして得られたアゾ化合物(2)について、実施例1と同様の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0178】
実施例3:アゾ化合物(3)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](3)を得た。
【0179】
【化26】
【0180】
合成例6で得られた5−アミノイソフタル酸ジ(2−メトキシエチル)15.0gを、9.3wt%塩酸135gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム3.83gの水(30g)溶液をゆっくり滴下し、2時間0℃で撹拌した後、スルファミン酸0.98gを加え、溶液(溶液3−A)を調製した。
【0181】
別途、水酸化ナトリウム2.48gを水113gに溶解して得られた溶液に、1−ブチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル10.4gを溶かし、溶液(溶液3−B)を調製した。
【0182】
0℃に冷却した溶液3−Aに対し、溶液3−Bを滴下した。生じた沈殿物を濾取し、アセトン/水を用いた再沈殿により精製した後、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(3)を18.2g(収率:70モル%)得た。
【0183】
このようにして得られたアゾ化合物(3)について、実施例1と同様の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0184】
実施例4:アゾ化合物(4)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](4)を得た。
【0185】
【化27】
【0186】
合成例8で得られた4−アミノフタル酸ジ(3−メチルブチル)20.0gを、9.3wt%塩酸119gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム4.72gの水(9.45g)溶液をゆっくり滴下し、45分間0℃で撹拌した後、スルファミン酸1.21gを加え、溶液(溶液4−A)を調製した。
【0187】
別途、水酸化ナトリウム2.48gを水113gに溶解して得られた溶液に、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル11.1gを溶かし、溶液(溶液4−B)を調製した。
【0188】
0℃に冷却した溶液4−Aに対し、溶液4−Bを滴下した。生じた沈殿物を濾取し、アセトニトリル/水を用いた再沈殿により精製した後、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(3)を18.5g(収率:58モル%)得た。
【0189】
このようにして得られたアゾ化合物(4)について、実施例1と同様の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0190】
実施例5:アゾ化合物(5)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](5)を得た。
【0191】
【化28】
【0192】
4−アミノフタル酸25.0gを、9.3wt%塩酸368gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム10.5gの水(30.0g)溶液をゆっくり滴下し、2時間0℃で撹拌した後、スルファミン酸2.68gを加え、溶液(溶液4−A)を調製した。
【0193】
別途、水酸化ナトリウム8.28gを水375gに溶解して得られた溶液に、1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−1−プロピル−3−ピリジンカルボニトリル34.5gを溶かし、溶液(溶液4−B)を調製した。
【0194】
0℃に冷却した溶液4−Aに対し、溶液4−Bを滴下した。生じた沈殿物を濾取し、メタノールで撹拌洗浄することにより精製した後、60℃で一晩真空乾燥させて、下記式のアゾ化合物(5a)を39.0g(収率:74モル%)得た。
【0195】
【化29】
【0196】
アゾ化合物(5a)3.00gを、ジメチルホルムアミド74gに溶解し、炭酸カリウム5.39gを投入し懸濁させた後、アリルブロミド9.44gを加え50℃で5.5時間撹拌した。ジエチルアミン6.28gを加えて1時間撹拌した後、反応溶液を3.6wt%塩酸に空け、酢酸エチルで抽出した後、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ別、濃縮した後、酢酸エチル/ヘキサンで再沈殿を行い、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(5)を2.43g(収率:67モル%)得た。
【0197】
このようにして得られたアゾ化合物(5)について、実施例1と同様の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0198】
実施例6:アゾ化合物(6)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](6)を得た。
【0199】
【化30】
【0200】
合成例9で得られた5−アミノ−N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−イソフタルアミド1.50gを、9wt%塩酸7.08gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム0.28gの水(0.56g)溶液を滴下し、1時間0℃で撹拌した後、スルファミン酸0.07gを加え、溶液(溶液5−A)を調製した。
【0201】
別途、水酸化ナトリウム0.18gを水5.52gに溶解して得られた溶液に、1−ブチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル0.77gを溶かし、溶液(溶液5−B)を調製した。
【0202】
0℃に冷却した溶液5−Aに対し、溶液5−Bを滴下した。生じた沈殿物を濾取し、アセトニトリル/水を用いた再沈殿により精製した後、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(6)を2.04g(収率:88モル%)得た。
【0203】
このようにして得られたアゾ化合物(6)について、実施例1と同様の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0204】
実施例7:アゾ化合物(7)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](7)を得た。
【0205】
【化31】
【0206】
5−アミノイソフタル酸10.0gを、9.3wt%塩酸147gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム4.19gの水(8.38g)溶液をゆっくり滴下し、0℃で1.5時間撹拌した後、スルファミン酸1.07gを加え、溶液(溶液4−A)を調製した。
【0207】
別途、水酸化ナトリウム3.31gを水116gに溶解して得られた溶液に、1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−1−プロピル−3−ピリジンカルボニトリル10.6gを溶かし、溶液(溶液4−B)を調製した。
【0208】
0℃に冷却した溶液4−Aに対し、溶液4−Bを滴下した。生じた沈殿物を濾取し、アセトン/水で撹拌洗浄することにより精製した後、60℃で一晩真空乾燥させて、下記式で表されるアゾ化合物(7a)を17.2g(収率:81モル%)得た。
【0209】
【化32】
【0210】
アゾ化合物(7a)7.00gを、ジオキサン53.8gに懸濁させ、塩化チオニルを19.5g加え、80℃で30時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、60℃で一晩真空乾燥させて、下記式で表されるアゾ化合物(7b)を6.34g(収率:83モル%)得た。
【0211】
【化33】
【0212】
アゾ化合物(7b)2.00gをアセトニトリル10.6gに懸濁させ、0℃で(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン2.21g、トリエチルアミン2.88gを滴下した。10分間撹拌した後、反応液を20質量%酢酸溶液に空けた。析出物を濾取し、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(7)を3.18g(収率:85モル%)得た。
【0213】
比較例1:アゾ化合物(8)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](8)を得た。
【0214】
【化34】
【0215】
合成例10で得られた4−アミノ安息香酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル(2−(2−メトキシエトキシ)エタノール含む)21.3gを、6.5wt%塩酸425gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム5.35gの水(63g)溶液をゆっくり滴下し、0℃で1時間撹拌して、溶液(溶液8−A)を調製した。
【0216】
別途、水酸化ナトリウム5.35gを水189gに溶解して得られた溶液を、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル13.8gに加えて、溶液(溶液8−B)を調製した。
【0217】
0℃に冷却した溶液8−Bに対し、溶液8−Aを滴下した。10分後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下して、上記混合物のpH6〜7となるように調節した。沈殿物を濾取し、水で洗浄後、アセトニトリル/水で再沈殿した後、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(8)を19.8g(4−アミノ安息香酸に対する収率:63モル%)得た。
【0218】
このようにして得られたアゾ化合物(8)について、実施例1と同様の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0219】
比較例2:アゾ化合物(9)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](9)を得た。
【0220】
【化35】
【0221】
合成例12で得られた4−アミノフタル酸ジエチル5.17を、6.5wt%塩酸127gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム1.59gの水(19g)溶液をゆっくり滴下し、0℃で1時間撹拌して、溶液(溶液9−A)を調製した。
【0222】
別途、水酸化ナトリウム1.14gを水56gに溶解して得られた溶液を、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル4.12gに加えて、溶液(溶液9−B)を調製した。
【0223】
0℃に冷却した溶液9−Bに対し、溶液9−Aを滴下した。10分後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下して、上記混合物のpH6〜7となるように調節した。沈殿物を濾取し、水で洗浄後、アセトン/水で撹拌洗浄した後、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(9)を8.64g(4−アミノフタル酸ジエチルに対する収率:93モル%)得た。
【0224】
このようにして得られたアゾ化合物(9)について、実施例1と同様の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0225】
比較例3:アゾ化合物(10)の合成
下記方法に従って、下記式のアゾ化合物[ピリドンアゾ色素](10)を得た。
【0226】
【化36】
【0227】
合成例13で得られた2−アミノテレフタル酸ジ(シアノメチル)6.78gを、6.5wt%塩酸152gに溶解し、0℃で撹拌させた。この溶液に亜硝酸ナトリウム1.91gの水(23g)溶液をゆっくり滴下し、0℃で1時間撹拌して、溶液(溶液10−A)を調製した。
【0228】
別途、水酸化ナトリウム1.23gを水68gに溶解して得られた溶液を、1−エチル−1,2−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソ−3−ピリジンカルボニトリル4.94gに加えて、溶液(溶液10−B)を調製した。
【0229】
0℃に冷却した溶液10−Bに対し、溶液10−Aを滴下した。10分後、炭酸ナトリウム水溶液を滴下して、上記混合物のpH6〜7となるように調節した。沈殿物を濾取し、水で洗浄後、アセトン/水で撹拌洗浄した後、60℃で一晩真空乾燥させて、アゾ化合物(10)を1.70g(2−アミノテレフタル酸ジ(シアノメチル)に対する収率:15モル%)得た。
【0230】
このようにして得られたアゾ化合物(10)について、実施例1と同様の方法により、溶解度、融点、最大吸収波長、グラム吸光係数、および、黄色系フィルターの透過率を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0231】
【表2】
【0232】
以下では、フタロシアニン化合物を合成する。なお、下記化合物の名称において、Pcはフタロシアニン核を、PNはフタロニトリルを表す。また、下記化合物の名称において、「α−(置換基A)
a,β−(置換基A)
x−aPN(0<a<x)」あるいは「α−(置換基A)
a,β−(置換基A)
x−aPc(0<a<x)」と、記載されるのは、得られるフタロニトリル化合物あるいはフタロシアニン誘導体は、α位に平均a個およびβ位に平均x−a個の置換基Aが導入されていることを意味し、即ち、α位及びβ位に合計x個の置換基Aが導入されていることを意味する。
【0233】
合成例14:フタロニトリル化合物[α−{(4−COOC
2H
4OCH
3)C
6H
4O}
a,α−{4−CNC
6H
4O}
b,β−{(4−COOC
2H
4OCH
3)C
6H
4O}
0.9−a,β−{4−CNC
6H
4O}
0.1−bCl
3PN](0≦a<0.9,0≦b<0.1)(Pc合成中間体1)の合成
150mlフラスコに、テトラクロロフタロニトリル(TCPN)16.0gとp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ10.6g、アセトニトリル64.9gを40℃で30分間攪拌した後、炭酸カリウム9.12gを投入し、2時間反応させた。反応後、フラスコに4−シアノフェノール0.73gを投入して、さらに6.5時間反応をさせた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液の溶媒を溜去した後、110℃で一晩真空乾燥し、25.2g(TCPNに対する収率:100.6モル%)を得た。
【0234】
合成例15:フタロニトリル化合物[α−{(4−COOC
2H
4OCH
3)C
6H
4O}
a,β−{(4−COOC
2H
4OCH
3)C
6H
4O}
0.65−aCl
3.35PN](0≦a<0.65)(Pc合成中間体2)の合成
150mlフラスコに、TCPN22.60g(0.085モル)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルセルソルブ10.95g(0.015モル)、炭酸カリウム8.40g(0.061モル)、ベンゾニトリル70.07gを投入し、内温80℃、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら約2時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液の溶媒を溜去した後、110℃で一晩真空乾燥し、約31.7g(TCPNに対する収率:100.7モル%)が得られた。
【0235】
合成例16:フタロシアニン誘導体(1)[ZnPc−{α−(4−COOC
2H
4OCH
3)C
6H
4O}
x,{α−(4−CN)C
6H
4O}
y,{β−(4−COOC
2H
4OCH
3)C
6H
4O}
3.06−x,{β−(4−CN)C
6H
4O}
0.34−y,H
2.4Cl
10.2](0≦x<3.06,0≦y<0.34)(Pc色素(1))の合成
合成例9で得られたPc合成中間体1 10.47g、フタロニトリル 0.57g、ベンゾニトリル4.04gを混合し、窒素流通下(10ml/min)、マグネチックスターラーを用いて内温160℃に安定するまで1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛2.58gを投入して10時間反応させた。冷却後、反応溶液を140℃×1hrの条件にて溶媒を溜去した後、得られた固形物に、メチルセルソルブ(7.3g)を加え、攪拌・溶解することで晶析溶液を調製した。次に、調製した晶析溶液をメタノール(109.1g)中に滴下し、30分攪拌した。その後、蒸留水(76.4g)を30分かけて滴下し、滴下終了後、さらに30分攪拌して結晶を析出させた。得られた結晶を吸引ろ過した後、再びメタノール(54.6g)を加えて30分攪拌した後、蒸留水(38.2g)を30分かけて滴下し、滴下終了後、さらに30分攪拌することで洗浄および精製を行った。吸引ろ過後、取り出した結晶を60℃で一晩真空乾燥し、11.6g(Pc合成中間体1に対する収率:100.6モル%)が得られた。
【0236】
合成例17:フタロシアニン誘導体(2)[ZnPc−{α−(4−COOC
2H
4OCH
3)C
6H
4O}
x,{β−(4−COOC
2H
4OCH
3)C
6H
4O}
2.6−xCl
13.4](0≦x<2.6)(Pc色素(2))の合成
150mlフラスコに、合成例10で得られたPc合成中間体1 9.98g(0.027モル)、ヨウ化亜鉛2.37g(0.007モル)、ベンゾニトリル3.33gを投入し、窒素流通下(10ml/min)、内温160℃、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら約12時間反応させた。冷却後、状記合成例11に記載されるのと同様の操作を行い、約10.41g(Pc合成中間体1に対する収率:99.9モル%)が得られた。
【0237】
実施例8:緑色系フィルターの作製と評価
以下の方法に従って、緑色系フィルターを作製し、得られたフィルターの透過率を測定した。
【0238】
(a)染料レジスト溶液(カラーフィルタ用色素組成物)の調製
下記表3に示される組成で混合して溶解し、染料レジスト溶液(色素組成物)を調製した。
【0239】
【表3】
【0240】
(b)塗膜板の作製
ガラス基板を、予めアセトンで表面を拭った。このガラス基板に対して、前記(a)で得られた染料レジスト溶液を、1500rpm、1.4秒の条件(フィルターにしたとき色度がx=0.300,y=0.590)でスピンコートし、80℃で30分間プリベークした。その後、UV照射して樹脂を硬化させた後、220℃で20分間ポストベークした。
【0241】
(c)緑色系フィルターの評価
上記で得られたポストベーク後のコーティングガラス板の吸収スペクトルについて、日立分光光度計U−2910を用いて吸収波形を測定し、色度座標値(x,y,Y)を求めた。照明にはC光源を用いたとして計算した。その結果を下記表9に示す。
【0242】
実施例9:緑色系フィルターの作製と評価
以下の方法に従って、緑色系フィルターを作製し、得られたフィルターの透過率を測定した。
【0243】
(a)染料レジスト溶液(カラーフィルタ用色素組成物)の調製
下記表4に示される組成で混合して溶解し、染料レジスト溶液(色素組成物)を調製した。
【0244】
【表4】
【0245】
(b)塗膜板の作製
実施例8(b)において、前記(a)で得られた染料レジスト溶液を、1400rpm、1.3秒の条件(フィルターにしたとき色度がx=0.300,y=0.590)でスピンコートした以外は、実施例8と同様にして、塗膜板を作製した。
【0246】
(c)緑色系フィルターの評価
上記(b)で得られた塗膜板について、実施例8(c)と同様にして、色度座標値(x,y,Y)を求めた。照明にはC光源を用いたとして計算した。その結果を下記表9に示す。
【0247】
実施例10:緑色系フィルターの作製と評価
以下の方法に従って、緑色系フィルターを作製し、得られたフィルターの透過率を測定
した。
【0248】
(a)染料レジスト溶液(カラーフィルタ用色素組成物)の調製
下記表5に示される組成で混合してビーズミルを使用して2時間撹拌混合し、緑色レジスト分散液(色素組成物)を調製した。
【0249】
【表5】
【0250】
(b)塗膜板の作製
実施例8(b)において、前記(a)で得られた緑色レジスト分散液を、1600rpm、1.5秒の条件(フィルターにしたとき色度がx=0.299,y=0.590)でスピンコートした以外は、実施例8と同様にして、塗膜板を作製した。
【0251】
(c)緑色系フィルターの評価
上記(b)で得られた塗膜板について、実施例8(c)と同様にして、色度座標値(x,y,Y)を求めた。照明にはC光源を用いたとして計算した。その結果を下記表9に示す。
【0252】
実施例11:緑色系フィルターの作製と評価
以下の方法に従って、緑色系フィルターを作製し、得られたフィルターの透過率を測定した。
【0253】
(a)染料レジスト溶液(カラーフィルタ用色素組成物)の調製
下記表6に示される組成で混合して溶解し、染料レジスト溶液(色素組成物)を調製した。
【0254】
【表6】
【0255】
(b)塗膜板の作製
実施例8(b)において、前記(a)で得られた染料レジスト溶液を、1500rpm、1.5秒の条件(フィルターにしたとき色度がx=0.300,y=0.590)でスピンコートした以外は、実施例8と同様にして、塗膜板を作製した。
【0256】
(c)緑色系フィルターの評価
上記(b)で得られた塗膜板について、実施例8(c)と同様にして、色度座標値(x,y,Y)を求めた。照明にはC光源を用いたとして計算した。その結果を下記表9に示す。
【0257】
実施例12:緑色系フィルターの作製と評価
以下の方法に従って、緑色系フィルターを作製し、得られたフィルターの透過率を測定した。
【0258】
(a)染料レジスト溶液(カラーフィルタ用色素組成物)の調製
下記表7に示される組成で混合して溶解し、染料レジスト溶液(色素組成物)を調製した。
【0259】
【表7】
【0260】
(b)塗膜板の作製
実施例8(b)において、前記(a)で得られた染料レジスト溶液を、1100rpm、1.0秒の条件(フィルターにしたとき色度がx=0.300,y=0.590)でスピンコートした以外は、実施例8と同様にして、塗膜板を作製した。
【0261】
(c)緑色系フィルターの評価
上記(b)で得られた塗膜板について、実施例8(c)と同様にして、色度座標値(x,y,Y)を求めた。照明にはC光源を用いたとして計算した。その結果を下記表9に示す。
【0262】
実施例13:緑色系フィルターの作製と評価
以下の方法に従って、緑色系フィルターを作製し、得られたフィルターの透過率を測定した。
【0263】
(a)染料レジスト溶液(カラーフィルタ用色素組成物)の調製
下記表8に示される組成で混合して溶解し、染料レジスト溶液(色素組成物)を調製した。
【0264】
【表8】
【0265】
(b)塗膜板の作製
実施例8(b)において、前記(a)で得られた染料レジスト溶液を、1200rpm、1.0秒の条件(フィルターにしたとき色度がx=0.300,y=0.590)でスピンコートした以外は、実施例8と同様にして、塗膜板を作製した。
【0266】
(c)緑色系フィルターの評価
上記(b)で得られた塗膜板について、実施例8(c)と同様にして、色度座標値(x,y,Y)を求めた。照明にはC光源を用いたとして計算した。その結果を下記表9に示す。
【0267】
【表9】
【0268】
さらに、本出願は、2010年9月24日に出願された日本特許出願番号2010−214288号および2011年1月5日に出願された日本特許出願番号2011−710号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。