【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]光源(20)が取り付けられ、該光源(20)から照射された光を受けて間接的に外部を照らす反射面(12)を備えたケーシング
(11A)と、前記光源(20)を外側から覆う状態で前記ケーシング
(11A)に装着される保護カバー(30)とから成る照明装置(10)において、
前記ケーシング(11A)は、長尺に延びており、その長手方向に平行に延びる両側端部(13,13)のうち少なくとも一側端部(13)が、内側に下方から上方に向い湾曲した形状に成形され、
前記光源(20)は、細幅状に延びる基板(21)上に沿って設けられ、
前記光源(20)を含む前記基板(21)は、前記ケーシング(11A)の湾曲した側端部(13)の内側に沿って、該内側の空間を閉じる状態に取り付けられ、
前記保護カバー(30)は、前記基板(21)と同じく細幅状に延びるように形成され、前記ケーシング(11A)の湾曲した側端部(13)の内側に沿って、前記基板(21)を外側から覆う状態に装着され、
前記ケーシング(11A)の湾曲した側端部(13)の最外縁(13a)は、前記保護カバー(30)の最下部に対して下方から上方に回り込むように延出しており、該側端部(13)の最外縁(13a)に、前記保護カバー(30)が溶融滴下した際の溶融物を導き受け入れる凹溝(41)を形成したことを特徴とする照明装置(10)。
【0012】
[2]前記ケーシング(11
A)の
湾曲した側端部(13)の最外縁(13a)と前記基板(21)との間の空間に、前記保護カバー(30)が溶融滴下した際の溶融物を導き受け入れることを特徴とする[1]に記載の照明装置(10)。
【0015】
[3]客室内(2)の天井部(3)に、前記ケーシング
(11A)をその開口部を下方に向けて埋め込む状態に設置することを特徴とする[1]
または[2]に記載の照明装置(10)。
【0016】
[4]前記客室内(2)の天井部(3)の中心線を対称軸として、左右対称の位置関係で一対の前記ケーシング
(11A)が設置されることを特徴とする
[3]に記載の照明装置(10)。
【0017】
[5]前記ケーシング(11B,11C)は、客室内(2)の天井部(3)に沿って長手方向に延びると共に、前記反射面(12)により反射された光が、前記天井部(3)と壁面部(4)の境目まで照射可能な状態に設置されることを特徴とする
[3]または[4]に記載の照明装置(10)。
【0018】
[6]前記ケーシング(11B,11C)は、前記反射面(12)により反射された光が、前記天井部(3)の隅に沿って展開された広告(6)の全面に到達する広告照射状態に設置されることを特徴とする
[5]に記載の照明装置(10)。
【0019】
[7]前記ケーシング(11B,11C)は、前記天井部(3)に沿って形成された長手方向に延びる凹
部(3a)内に埋設され、該凹
部(3a)内にて前記ケーシング(11B,11C)の両側端部(13,13)のうち、前記広告(6)に対向する方の一側端部(13)が少なくとも前記湾曲した形状に成形され、
前記ケーシング(11B,11C)は前記凹
部(3a)内にて、前記一側端部(13)の最外縁(13a)が前記天井部(3)の基準面と同一ないし低い位置に配される一方、反対側の他側端部(13)の最下部(13b)が前記基準面と同一ないし高い位置に配されて前記広告照射状態となることを特徴とする
[6]に記載の照明装置(10)。
【0020】
[8]前記ケーシング(11B)の上面側に、前記凹
部(3a)内の設置面に対して当接させると前記広告照射状態をなす取付部(17)を予め設けたことを特徴とする
[7]に記載の照明装置(10)。
【0021】
[9]前記ケーシング(11C)は、前記凹
部(3a)内に対して前記広告照射状態をなす姿勢を調整可能な取付手段(50)を介して設置されることを特徴とする
[7]に記載の照明装置(10)。
【0022】
[10]前記ケーシング(11C)は、一側端部(13)から他側端部(13)にかけて弧状に湾曲した断面形状に形成され、
前記凹
部(3a)内の設置面に前記取付手段(50)として、前記ケーシング(11C)の断面形状と同じ曲率で湾曲した取付面(52)を備えたブラケット(51)を配設し、該取付面(52)の長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数のネジ孔(53)を設け、
前記ケーシング(11C)の長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数の小孔(18)を前記ネジ孔(53)に対応させて設け、
前記ケーシング(11C)を前記ブラケット(51)の取付面(52)に対して所望の前記広告照射状態をなす位置に配置した状態で、当該位置にて互いに合致した前記小孔(18)と前記ネジ孔(53)とをネジ止めすることを特徴とする
[9]に記載の照明装置(10)。
【0023】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の照明装置(10)によれば、光源(20)から照射された光は外部に直接漏れることなく、ケーシング
(11A)の反射面(12)によって一旦反射されてから外部に間接的に照射される。これにより、光源(20)からのグレアを低減することができ、また、間接照明としての演出効果を高めることができる。
【0024】
ケーシング
(11A)には、光源(20)を外側から覆う状態で保護カバー(30)が装着されており、光源(20)から照射された光は保護カバー(30)を透過する。これにより、光源(20)の輝度が低減されて過度の強い光の照射を防止することができる。また、光源(20)の故障の原因となり得る他の物体の接触を防ぎ、光源(20)を保護することができる。
【0025】
ケーシング
(11A)の
湾曲した側端部(13)の最外縁(13a)は、保護カバー(30)の
最下部に対して下方から上方に回り込むように延出する。これにより、万一火災等が発生した際には保護カバー(30)の溶融滴下ないし破片は、そのまま下方に直接落下することはなく、必ずケーシング
(11A)の一部によって一旦は受け止められる。
【0026】
しかも、ケーシング
(11A)の
湾曲した側端部(13)の最外縁(13a)には、保護カバー(30)が溶融滴下した際に該溶
融物を下方に漏らさず受け入れる
凹溝(41)を設ける。これにより、保護カバー(30)は溶融滴下し得る材質として、加工しやすく丈夫で廉価な合成樹脂を採用することができ、また、実際に溶融したとしても
凹溝(41)に受け入れられることで滴下する虞もなく、例えば、鉄道車両用材料等に使用することも可能となる。
【0027】
前記[2]に記載の照明装置(10)によれば、前記ケーシング(11
A)の
湾曲した側端部(13)の最外縁(13a)と前記基板(21)との間の空間に、前記保護カバー(30)が溶融滴下した際の溶融物を導き受け入れる。これにより、いっそう確実に保護カバー(30)の溶融物を受け入れることができ、受け入れた溶融物が外部に漏れる事態も防止することができる。
【0032】
以上のような照明装置(10)の用途としては、例えば前記
[3]に記載したように、鉄道車両や航空機、自動車等の客室内(2)の天井部(3)に、前記ケーシング
(11A)をその開口部を下方に向けて埋め込む状態に設置すると良い。これにより、客室内(2)における照明による演出効果を高めることができる。
【0033】
ここで、前記
[4]に記載したように、前記客室内(2)の天井部(3)の中心線を対称軸として、左右対称の位置関係で一対のケーシング
(11A)を設置すると良い。これにより、客室内(2)の天井部(3)を左右両側からバランスよく広範囲に照明することが可能となる。
【0034】
さらに、前記
[5]に記載の照明装置(10)によれば、前記ケーシング(11B,11C)は、客室内(2)の天井部(3)に沿って長手方向に延びると共に、反射面(12)により反射された光が、前記天井部(3)と壁面部(4)の境目まで照射可能な状態に設置される。これにより、従来のように客室内(2)の座席(5)の領域を照射するだけでなく、天井部(3)と壁面部(4)の境目にも光を照射することができる。
【0035】
また、前記
[6]に記載の照明装置(10)によれば、前記ケーシング(11B,11C)は、前記反射面(12)により反射された光が、前記天井部(3)の隅に沿って展開された広告(6)の全面に到達する広告照射状態に設置される。ここで広告照射状態とは、ケーシング(11B,11C)内の反射面(12)により反射された光が天井部(3)の隅に沿った広告(6)の全面に照射されるためのケーシング(11B,11C)の取り付け向き、角度ないし傾斜等の姿勢を意味する。
【0036】
これにより、従来のように客室内(2)の座席(5)の領域を照射するだけでなく、天井部(3)の隅に沿って、例えば、天井面(天井部(3)の基準面)から壁面部(4)に亘り展開された広告(6)の全面、特に天井面に沿った部分にも光を照射することができる。また、1つの照明装置(10)によって広告(6)の全面を照射する配光とすることが可能となり、広告(6)には班、影、線等が生じることなく全面に亘り照射され、乗客からは広告(6)がより見やすくなる。
【0037】
具体的には例えば、前記
[7]に記載の照明装置(10)のように、前記ケーシング(11B,1C)は、天井部(3)に沿って形成された長手方向に延びる凹
部(3a)内に埋設され、該凹
部(3a)内にて前記ケーシング(11B,11C)の両側端部(13,13)のうち、前記広告(6)に対向する方の一側端部(13)が少なくとも湾曲した形状に成形される。
【0038】
そして、前記ケーシング(11B,11C)は前記凹
部(3a)内にて、前記一側端部(13)の最外縁(13a)が天井部(3)の基準面と同一ないし低い位置に配される一方、反対側の他側端部(13)の最下部(13b)が前記基準面と同一ないし高い位置に配されて前記広告照射状態となる。
【0039】
すなわち、ケーシング(11B,11C)の一側端部(13)からの間接光の照射範囲は一側端部(13)の最外縁(13a)により規制されるが、この最外縁(13a)は天井面と同一ないし低い位置にあるため、前記広告(6)の全面を照射範囲に収めることができる。しかも、ケーシング(11B,11C)の他側端部(13)の最外縁(13a)ではなく最下部(13b)は、凹
部(3a)内にて天井面と同一ないし高い位置となるため、この他側端部(13)によって前記一側端部(13)からの間接光の照射範囲が遮られることがない。
【0040】
また、前記
[8]に記載の照明装置(10)のように、前記ケーシング(11B)の上面側に、前記凹
部(3a)内の設置面に対して当接させると前記広告照射状態をなす取付部(17)を予め設けておけば、ケーシング(11B)の取り付け時に、その向き、角度ないし傾斜等の姿勢を調整する手間がなく、迅速に取り付けることができる。
【0041】
あるいは、前記
[9]に記載の照明装置(10)のように、前記ケーシング(11C)を、前記凹
部(3a)内に対して前記広告照射状態をなす姿勢に調整可能な取付手段(50)を介して設置すれば、広告(6)の実際の展開位置に応じてケーシング(11C)を広告照射状態となる姿勢に後から容易に適宜調整することができる。
【0042】
前記取付手段(50)としては、具体的には例えば前記
[10]に記載のように、前記凹
部(3a)内の設置面に、前記ケーシング(11C)の断面形状と同じ曲率で湾曲した取付面(52)を備えたブラケット(51)を配設しておき、このブラケット(51)に対してケーシング(11C)を所望の左右の傾きを持たせた状態で取り付ければ良い。
【0043】
ここで前記ブラケット(51)の取付面(52)には、その長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数のネジ孔(53)を設け、一方の前記ケーシング(11C)には、同じく長手方向における所定間隔おきに両側方向に等間隔で並ぶ複数の小孔(18)を前記ネジ孔(53)に対応させて設けておく。
【0044】
このような簡易な構成により、前記ケーシング(11C)を前記ブラケット(51)の取付面(52)に対して所望の広告照射状態をなす位置に配置した状態で、当該位置にて互いに合致した前記小孔(18)と前記ネジ孔(53)とをネジ止めすることにより、容易に所望の広告照射状態に取り付けることが可能となる。