特許第5670839号(P5670839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5670839
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】ラジオ
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/08 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   H04B1/08 N
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-145360(P2011-145360)
(22)【出願日】2011年6月30日
(65)【公開番号】特開2013-12984(P2013-12984A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2013年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柘植 和則
(72)【発明者】
【氏名】松浦 祐太
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−262529(JP,A)
【文献】 特開2000−200475(JP,A)
【文献】 株式会社マキタ,取扱説明書 充電式ラジオMR100,URL,<https://www.makita.co.jp/product/files/MR100_MJ_0211.pdf>
【文献】 株式会社マキタ,取扱説明書 充電式ラジオMR103,URL,<https://www.makita.co.jp/product/files/MR103-MJ-0812.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力装置を備え、電動工具に用いられる充電可能な電源バッテリーが着脱可能に装備され、屋外等の作業現場環境で載置して利用する持ち運び可能なラジオであって、当該ラジオを形成する箱体の上に、別機器の携帯音響再生装置を装着する装着手段と該装着手段の箇所を塞ぐことのできる保護蓋を備え、
前記携帯音響再生装置の音声を前記音声出力装置で再生可能とされるとともに、前記保護蓋は前記箱体の上面幅の範囲内で開閉可能に取り付けられていることを特徴とするラジオ。
【請求項2】
音声出力装置を備え、電動工具に用いられる充電可能な電源バッテリーが着脱可能に装備され、屋外等の作業現場環境で載置して利用する持ち運び可能なラジオであって、当該ラジオを形成する箱体の上部には、上方に起こした使用状態と後方へ倒した収納状態とに移動可能な持ち運びのための取っ手を備え、該取っ手は持ち運ぶ際に把持する握り部と、該握り部を前記箱体の上面部に対して支持する左右一対の支持腕を備えており、前記箱体の前面から見て前記使用状態における前記取っ手の左右両支持腕間に、別機器の携帯音響再生装置を装着する装着手段と該装着手段の箇所を塞ぐことのできる保護蓋を備え、
前記携帯音響再生装置の音声を前記音声出力装置で再生可能とされるとともに、前記保護蓋は前記箱体の上面幅の範囲内で開閉可能に取り付けられていることを特徴とするラジオ。
【請求項3】
音声出力装置を備え、電動工具に用いられる充電可能な電源バッテリーが着脱可能に装備され、屋外等の作業現場環境で載置して利用する持ち運び可能なラジオであって、当該ラジオを形成する箱体の上部には、上方に起こした使用状態と後方へ倒した収納状態とに移動可能な持ち運びのための取っ手を備え、該取っ手は持ち運ぶ際に把持する握り部と、該握り部を前記箱体の上面部に対して支持する支持腕を備えており、前記箱体の前面から見て前記使用状態における前記取っ手の握り部と前記箱体の上面部との間に、別機器の携帯音響再生装置を装着する装着手段と該装着手段の箇所を塞ぐことのできる保護蓋を備え、
前記携帯音響再生装置の音声を前記音声出力装置で再生可能とされるとともに、前記保護蓋は前記箱体の上面幅の範囲内で開閉可能に取り付けられていることを特徴とするラジオ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の持ち運び可能ラジオであって、前記携帯音響再生装置には該装置の備える各機能を操作することのできる操作部を備え、当該携帯音響再生装置の装着状態において該操作部は操作者が外部から視認できる位置に装着されていることを特徴とするラジオ。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれかの請求項に記載の持ち運び可能ラジオであって、前記装着手段に前記携帯音響再生装置を通信接続可能に接続するための接続端子を備えたラジオ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声出力装置を備え、電動工具に用いられる充電可能な電源バッテリが着脱可能に装備され、屋外等の作業現場環境で載置して利用する持ち運び可能なラジオに関する。
【背景技術】
【0002】
電源の利用が困難又は不便な場所の多い建設現場等の作業現場においては、充電式バッテリにより駆動するコードレスの電動工具がしばしば利用される。一方、作業中に音楽やラジオ番組等を楽しむため、作業者は作業現場に携帯デジタル音楽プレーヤや携帯ラジオ等の携帯音響再生装置を持ち込むことがある。しかし、電動工具が使用される作業現場は作業者の往来や資材の運搬が多い環境であるため、一般の携帯音響再生装置は作業者の不意な接触や資材の落下等により損傷しやすく、このような環境下での使用に耐えないという問題があった。
このような問題に鑑みて、従来、電動工具に用いられるバッテリを電源として作動するラジオが知られている。例えば、下記特許文献1に開示されている装置がある。この特許文献1に図示された符号を括弧内に引用して該装置を説明すると、該装置は箱形のハウジング(10)内に電動工具用バッテリで駆動されるオーディオユニット(30)を備え、オーディオユニットはラジオとCDプレーヤとを有している。この装置は、ハウジングが円柱ロッド(122)を組み合わせたフレーム構造(120)により囲われて保護されており、上記のような環境において載置して利用することが想定されている。
この装置はまた、ハウジングの左側面(14)に上記のオーディオユニットとつながる外部入力端子(83)を備えており、この外部入力端子に別機器の携帯音響再生装置(160)を接続することで、この携帯音響再生装置内に記録された音楽等の音響データを転送して再生することも可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0225288号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の装置に携帯音響再生装置を接続する場合には、まず携帯音響再生装置を専用の密閉ケース(162)内に収容した上で、この密閉ケースを装置のハウジングの左側面に対して装着する必要があった。このため、この密閉ケースやハウジングへの着脱作業を含めて、携帯音響再生装置の取り扱いが面倒であるという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ラジオに接続する携帯音響再生装置の取り扱いを容易なものとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の発明は、音声出力装置を備え、充電可能な電源バッテリが着脱可能に装備され、屋外等の作業現場環境で載置して利用する持ち運び可能なラジオであって、当該ラジオを形成する箱体の上面部には、別機器の携帯音響再生装置を当該ラジオと通信可能状態として直接に装着することのできる装着手段が備えられており、該携帯音響再生装置の音声を前記音声出力装置で再生可能とされることを特徴とする。
この構成によれば、装着手段により携帯音響再生装置をラジオを形成する箱体の上面部に直接に装着することができる。これにより携帯音響再生装置が箱体の上に位置することとなるため、携帯音響再生装置の着脱動作を含めて、携帯音響再生装置の取り扱いが容易である。
【0006】
本発明の第2の発明は、第1の発明に係るラジオであって、前記携帯音響再生装置には該装置の備える各機能を操作することのできる操作部を備え、前記箱体の上面部への装着状態において該操作部は操作者が外部から視認できる位置に装着されていることを特徴とする。
この構成によれば、携帯音響再生装置を箱体の上面部へ装着すると、その操作部が操作者が外部から視認できる位置に装着されるため、携帯音響再生装置の備える各機能の操作を含めて、携帯音響再生装置の取り扱いがより一層容易となる。
【0007】
本発明の第3の発明は、第1又は第2のいずれかの発明に係るラジオであって、前記箱体の上部には持ち運びのための取っ手を備え、該取っ手は前記箱体の上面部に装着される携帯音響再生装置を覆うように配設されて取り付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、携帯音響再生装置を箱体の上面部に装着すると、取っ手が携帯音響再生装置を覆う。このため、作業現場環境における落下物等から携帯音響再生装置を保護し、携帯音響再生装置の損傷を抑えることができる。
【0008】
本発明の第4の発明は、第1から第3までのいずれかの発明に係るラジオであって、前記携帯音響再生装置を装着する装着手段の箇所を、該携帯音響再生装置を装着しない状態で外部に対して塞ぐことのできる保護蓋を備えることを特徴とする。
この構成によれば、保護蓋により装着手段を外部に対して閉塞することで、作業現場環境における装着手段への水や塵埃の侵入を防止ないし低減し、装着手段の機能を保護できる。
【0009】
本発明の第5の発明は、第4の発明に係るラジオであって、前記保護蓋は箱体にヒンジ結合されて該箱体の上面幅の範囲内で開閉可能に取り付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、保護蓋を開閉してもラジオ本体の側方まではみ出すことがない。また、ラジオが側部を下にして転倒しても、保護蓋が床に接しない。したがって、保護蓋のラジオ本体からの脱離を抑制できる。
【0010】
本発明の第6の発明は、第1から第5までのいずれかの発明に係るラジオであって、前記箱体の上面部は携帯音響再生装置を載置可能な構成とされていると共に、該箱体の上面部以外の適宜箇所には前記上面部に載置した携帯音響再生装置とコードを介して通信接続できる接続端子を備え、該接続端子から上面部に載置される携帯音響再生装置までの間に配索されるコードを箱体に沿わせて配索させるために箱体外面にコードを保持する保持部が備えられていることを特徴とする。
この構成によれば、接続端子から上面部に載置される携帯音響再生装置との間に配索されるコードを箱体外面に保持させて、コードを箱体に沿わせて配索することが可能なため、付近を通行する作業者や運搬される資材とコードとの不用意な接触を抑制することができる。したがって、ラジオの転倒を抑制することができ、ラジオ及び携帯音響再生装置の損傷を抑えることができる。
【0011】
本発明の第7の発明は、第1から第6までのいずれかの発明に係るラジオであって、前記電源バッテリを着脱可能に取り付けるための少なくとも一つの取付部を備え、該取付部に異なる形状を有する複数の前記電源バッテリが着脱可能であって、該複数の電源バッテリのうちいずれの形状を有する電源バッテリが前記取付部に取り付けられても、該電源バッテリを取付方向に押さえて該取付部からの脱離を防止することが可能な脱離防止手段を備えることを特徴とする。
この構成によれば、脱離防止手段により、取付部にいずれの形状を有する電源バッテリが取り付けられても、作業現場環境における振動等による電源バッテリの取付部からの脱離を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の発明によれば、携帯音響再生装置装置の取り扱いが容易である。
本発明の第2の発明によれば、携帯音響再生装置装置の取り扱いがより一層容易となる。
本発明の第3の発明によれば、作業現場環境における落下物等から携帯音響再生装置を保護し、携帯音響再生装置の損傷を抑えることができる。
本発明の第4の発明によれば、作業現場環境における装着手段への水や塵埃の侵入を防止ないし低減し、装着手段の機能を保護できる。
本発明の第5の発明によれば、保護蓋のラジオ本体からの脱離を抑制できる。
本発明の第6の発明によれば、作業現場環境における作業者や資材とコードとの不意な接触を抑制し、ラジオの転倒を抑制し、ラジオ及び携帯音響再生装置の損傷を抑えることができる。
本発明の第7の発明によれば、電源バッテリの取付部からの脱離を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のラジオを示す斜視図である。
図2】iPod(登録商標)を本実施形態のハウジング上面に装着した状態を示す斜視図である。
図3】本実施形態のコネクタの保護蓋の開閉範囲を示す正面図である。
図4】本実施形態の保持部にコードを保持させた状態を示す斜視図である。
図5】本実施形態のコネクタの保護蓋を開閉するためのヒンジ構造を示す斜視図である。
図6】iPod(登録商標)を本実施形態のコネクタに接続した状態を示す断面図である。
図7】本実施形態の取っ手及び裏蓋の開閉を示す右側面図である。
図8】本実施形態のバッテリ収容室の内部を後側から示す背面図である。
図9】本実施形態におけるバッテリの脱離防止手段を拡大して示す斜視図である。
図10】差込式バッテリを本実施形態の第2の取付部に取り付けた状態を示す断面図である。
図11】差込式バッテリを本実施形態の第3の取付部に取り付けた状態を示す断面図である。
図12】差込形状が図11におけるものと異なる差込式バッテリを本実施形態の第3の取付部に取り付けた状態を示す断面図である。
図13】本実施形態のラジオの回路構成を概念的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態に係るラジオ1を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係るラジオ1は、電動工具が使用される屋外等の作業現場環境において専ら載置して利用されるものであり、この電動工具に用いられる充電可能なバッテリが着脱可能に装備され、電源として使用可能となっている。一方でこのラジオ1は、図2に示されるように取っ手3を備えており、持ち運びも可能となっている。
図13に示されているように、このラジオ1はまた、別機器の携帯音響再生装置100,200を接続可能となっている。これにより本ラジオ1は、AM及びFM放送を受信して音声出力装置53により再生する通常のラジオとしての用途に加え、別機器の携帯音響再生装置100,200を接続することで、該装置100,200の内部に記録されている音楽等の音響データを上記の音声出力装置53を通して再生することも可能である。
同図に示されているように、携帯音響再生装置100,200を本ラジオ1に接続する形態は2つある。第1の接続形態は、コードCを介さず携帯音響再生装置100をハウジング10上面のコネクタ22に対し接続する形態である。この第1の接続形態による場合、該装置100はコネクタ22に接続されることで同時にハウジング10に対して直接に装着され、この装着状態のまま使用するものとされる。第2の接続形態は、携帯音響再生装置200をコードCを介してハウジング10前面下部の外部入力端子15に接続する形態である。この第2の接続形態による場合、該装置200は通常ハウジング10上面に載置した状態で使用するものとされる。なお、2つの異なる携帯音響再生装置100,200をそれぞれこの両接続形態にて同時に接続することは可能であるが、同時の再生は不可能である。
以下、本実施形態に係るラジオ1の構成の詳細を説明する。
【0015】
まず、図1図3を参照しながら説明する。本ラジオ1は、概して直方体の箱形の形状に形成されたハウジング10を備えている。ハウジング10は、内部の回路やバッテリ等の電気系統を外来の水や塵埃から保護するものである。ハウジング10の8箇所の隅を含む周囲には、外部からの衝撃を吸収しハウジング10を保護する、エラストマ製のバンパ11が取り付けられている。
ハウジング10前面(図1で見て左側位置)には、操作パネル12が設けられている。操作パネル12には、受信周波数等の各種情報を表示するディスプレイが備えられ、その周囲には電源オン・オフ等の操作を行うボタン類が集中して配置されている。ボタン類には、電源ボタンの他、ラジオ1の選局又は音量の調節を行うつまみや、ラジオ1と外部入力とを切り替えるボタンが含まれる。
ハウジング10前面の左右両側には、操作パネル12を保護するため、ハウジング10前面と平行な状態で張り出す一対の金属棒13が設けられている。
ハウジング10前面の下部には、ACアダプタを接続する電源端子14と、ステレオミニプラグを接続する外部入力端子15(AUX−IN端子)とを備える。電源端子14は、前記電動工具用の充電式バッテリの他、ACアダプタを介して交流電源を利用することを可能とるすものである。外部入力端子15は、前述した第2の接続形態により携帯音響再生装置200(図13参照)をコードCを介して本ラジオ1と通信可能に接続するための接続端子である。
ハウジング10の前面左側の上下2箇所には、保持部16が設けられている。この保持部16は、ハウジング10前面の下部に設けられた上記外部入力端子15から、ハウジング10上面に載置した携帯音響再生装置200までの間に配索されるコードCを、図4に示すように、ハウジング10前面に保持するためのものである。保持部16はエラストマ製であり、ハウジング10前面を覆う前記バンパ11と一体的に成形されている。
ハウジング10の左右両側面の下部には、入力された音響信号からステレオ音声を再生する左右一対のスピーカ17が備えられている。
ハウジング10上部には、ラジオ放送の電波を受信するためのアンテナ18が設けられている。
【0016】
ハウジング10上面にはまた、携帯音響再生装置100を直接に装着する手段(装着手段2)が設けられている。なお、ここでいう「直接」の装着とは、コードCやケーブルを介さず装着する場合に限る。
装着手段2は、図5及び図6に示されるように、ハウジング10上面から内側に窪んだ形状21を有している。この窪み形状21の底部には、携帯音響再生装置100を前述した第1の接続形態により本ラジオ1と通信可能に接続し、同時にハウジング10に対して直接に装着するためのコネクタ22を備えている。本ラジオ1のコネクタ22は、iPod(登録商標)及びiPhone(登録商標)の各種モデルが共通に備えるいわゆるドックコネクタ103の接続に特化したものであり、その接続例として図2図3図6図8に示されている携帯音響再生装置100は、iPod touch(登録商標)である。
【0017】
携帯音響再生装置100は、一般的に、各種情報を表示する表示部101と、各種機能を操作可能な操作部102とを備える。特に、接続例として上記図2等に示されたiPod touchは表示部101に直接触れることにより操作可能とされているものであり、ゆえに上記表示部101と操作部102はケース表面の同一箇所に設けられている。装着手段2に装着された携帯音響再生装置100は、図2及び図3に示すように、その操作部102(表示部101)が外部から視認可能な状態となっており、装着されたままで各種機能を操作可能である。なお、この装着により本ラジオ1と通信可能に接続された携帯音響再生装置100は、本ラジオ1の操作パネル12が備えるボタンによってもその各種機能を操作可能となっている。
【0018】
装着手段2の上側には、コネクタ22を外部からの水や埃から保護する保護蓋23を備えている。
保護蓋23は、ハウジング10上面の前記窪み形状21をヒンジ構造24により開閉可能に結合されている。ヒンジ構造24は、この窪み形状21の右縁において前後方向を軸として設けられている。ヒンジ構造24は、図5に示すように、保護蓋23側において上記回動軸方向に互いに外向きに設けられた一対の凸部と、ハウジング10側において同方向に互いに内向きに設けられた一対の凹部とを備え、これらが相互に嵌合されている。
保護蓋23は、この軸周り右上方に向かって回動することにより窪み形状21を開放し、逆方向の回動によりハウジング10上面とほぼ同一面となるように窪み形状21を閉塞する。保護蓋23の開閉は、図3に示すように、ハウジング10の上面幅の範囲内にてなされる。すなわち保護蓋23は、図3において二点鎖線で示された開放限度が、破線で示されたハウジング10の右側面の上方延長より左側にある。
またヒンジ構造24の上記嵌合は、保護蓋23にその開放限度から更に開放方向への荷重が加わると脱離するように構成されている。保護蓋23にその開閉方向と異なる方向への荷重が加わった場合も同様に脱離する。
【0019】
ハウジング10上部にはまた、本ラジオ1の持ち運びのための取っ手3が設けられている。
取っ手3は、持ち運ぶ際に把持する握り部31と、この握り部31をハウジング10に対して支持する支持腕32とを備える。支持腕32は、ハウジング10上面の左右にそれぞれ設けられ、その一端がハウジング10に対して回動可能とされている。握り部31は、左右の両支持腕32の他端を相互に水平に連結している。取っ手3は、図7に示されるように、後方から上方までの約90度の範囲で回動可能とされている。取っ手3は、後方位置へ水平に倒すことで収納状態(図1参照)とされ、また上方位置へ垂直に起こすことで使用状態(図2参照)とされる。取っ手3は、水平位置に倒すとハウジング10上面とほぼ同じ高さとなる。
【0020】
取っ手3は、図2に示すように、上方位置へ起こすと装着手段2に装着された携帯音響再生装置100を覆うよう構成される。ここで、取っ手3が携帯音響再生装置100を「覆う」とは、取っ手3の最高部が少なくとも装着された携帯音響再生装置100よりも高い位置にあることである。本実施形態においては、図3に良く示されているように、取っ手3の握り部31が携帯音響再生装置100よりも高い位置にある。更に、取っ手3が装着された携帯音響再生装置100の少なくとも一部を跨いだ状態となっていることが好ましい。本実施形態においては、図6に良く示されているように、装着手段2がハウジング10上面において上方位置に起こされた取っ手3よりもやや前方位置に設けられている一方で、装着手段2が備えるコネクタ22が携帯音響再生装置100を後方に傾いた状態で支持している。これにより、装着された携帯音響再生装置100の上端部が、取っ手3(左右の支持腕32及び握り部31)が囲む空間内に位置し、すなわち取っ手3が携帯音響再生装置100の上端部を跨いだ状態となっている。
取っ手3と支軸との間には、取っ手3を上記の上方位置でロックするための手段が設けられている。このロック手段は図示されないが、取っ手3が荷重を受けても自然に回動することなく、かつ手動で回動させることが可能となるよう、左右各支持腕32の一端とハウジング10との間に適当な回動抵抗を付与するものである。
【0021】
次に、図6から図12までを参照しながら、バッテリ収容室4及びバッテリの取り付け形態について説明する。
前述のように、本ラジオ1は電源として電動工具用の電源バッテリを使用可能である。このバッテリは内部に二次電池を備えた各種形状を有する二次電池パックとして構成されている。ハウジング10内の後部は、このバッテリの収容室とされている。ハウジング10は、その後面部の大部分と上面部の後部とを主に含む裏蓋10aと、その他の本体部分10bとに分割構成されている。
裏蓋10aは、図7に示されているように、その下端における水平軸周りに回動可能とされており、この回動により上記バッテリ収容室4を開閉する。ハウジング10上部には、図6に示されるように、裏蓋10aをバッテリ収容室4の閉塞状態にロックするためのロック部19が設けられている。
バッテリ収容室4の前壁4aには、図8に示されているように、二次電池パックの形状や、二次電池の種類、電圧、容量等の異なる各種のバッテリを、電気的に接続した状態で取り付けるための取付部が設けられている。この取付部としては、第1、第2、第3の3種類の取り付け部41,42,43が上から順に配設されている。
最上部に位置する第1の取付部41は、スライド式バッテリ(図示しない)が着脱可能となっており、スライド動作をガイドする左右一対の平行なガイド41aと、その間に設けられた電極41bとを有する。スライド式バッテリは、このガイド41aに沿って上から下へスライドされて、電極41bと接続される位置でロックされることにより取り付けられる。
この下に順次位置する第2及び第3の取付部42,43は、差込式バッテリが着脱可能となっており、差込動作をガイドする水平方向の差込穴42a,43aと、その奥部に設けられた電極42b,43bとをそれぞれに有する。差込式バッテリは、この差込穴42a,43aに沿って後方から前方へ、電極42b,43bと接続される位置まで差し込まれて取り付けられる。
図10には、第2の取付部42に差込式バッテリB1が取り付けられた状態が示されている。なお第3の取付部43の差込穴43aは、差込式バッテリの2種類の差込形状に対応可能な形状とされている。図11図12とには、第3の取付部43に上記差込形状の異なる差込式バッテリB2,B3がそれぞれ取り付けられた状態が示されている。なお、これらの差込式バッテリB1,B2,B3は、差込形状が同一であっても他の部分の形状(例えば背面形状)が異なるものが存在する。
バッテリ収容室4の内壁にはまた、取付部に取り付けられた差込式バッテリB1,B2,B3が取付部から脱離するのを防止する手段が設けられている。この脱離防止手段44は、取付部に取り付けられた差込式バッテリB1,B2,B3をその差込方向に押さえるものである。脱離防止手段44は、バッテリ収容室4の側壁4bに対して回動可能に支持された押さえ具45と、この押さえ具45を差込式バッテリの差込方向に回動するように付勢するトーションばね46とを有する。押さえ具45は、金属棒を折り曲げて形成されており、その両端部が上述のように左右両側壁4bに対して支持され、その中間部が取付部に取り付けられた差込式バッテリB1,B2,B3の背面に当接して差込方向に押さえる。押さえ具45は、第2又は第3の取付部42,43に着脱可能な差込式バッテリB1,B2,B3のうち、いずれの形状を有する差込式バッテリが取り付けられても、その背面に対して当接可能な位置及び形状にて構成されている。
【0022】
次に、本ラジオ1の回路構成について概念的に説明する。
本ラジオ1は、図13に示されるように、受信装置を含む入力装置51と、処理装置52と、増幅器を含む音声出力装置53とを備える。受信装置は、ラジオ放送の電波を前記アンテナ18により受信し、同調回路、検波回路等を経て音響信号を生成する。処理装置52は、前記操作パネル12及び第1接続形態により接続された携帯音響再生装置100に関する入出力制御、必要な音響信号の処理、電源管理等を司る。増幅器は、受信装置又は携帯音響再生装置100,200から入力された音響信号を増幅する。増幅器により増幅された音響信号は、ハウジング10の左右両側面に設けられた前記スピーカ17に入力されて、音声として再生される。
【0023】
以上のように構成されるラジオ1は、以下のような作用効果を奏する。
この構成によれば、装着手段2のコネクタ22に接続することにより、携帯音響再生装置100がラジオ1のハウジング10の上面に直接に装着することができる。これにより携帯音響再生装置100がハウジング10の上に位置するため、携帯音響再生装置100の着脱作業を含めて、携帯音響再生装置100の取り扱いが容易である。また、携帯音響再生装置100をハウジング10の上面へ装着すると、その操作部102が操作者が外部から視認できる位置に装着されるため、携帯音響再生装置100の備える各機能の操作を含めて、携帯音響再生装置100の取り扱いがより一層容易となる。
さらにこの構成によれば、保護蓋23により装着手段2の窪み形状21を外部に対して閉塞することで、作業現場環境における装着手段2への水や埃の侵入を防止ないし低減し、特にコネクタ22の通信機能及び装着機能を保護できる。
さらにこの構成によれば、保護蓋23の開閉はハウジング10の上面幅の範囲内にてなされるため、保護蓋23を限界まで開放してもハウジング10の右側面の上方延長よりも外側にはみ出すことがない。また、ラジオ1が右側面を下にして転倒しても、保護蓋23が床に接しない。したがって、保護蓋23のハウジング10からの脱離を抑制できる。
さらにこの構成によれば、保護蓋23にその開放限度から更に開放方向への荷重や、その開閉方向と異なる方向への荷重が加わると、ヒンジ構造24の嵌合が脱離する。したがって、万が一、落下物やラジオ1の転倒等により保護蓋23に無理な力が加わった場合、ヒンジ構造24の嵌合が外れることにより保護蓋23がハウジング10から脱離して、保護蓋23が破損することが防止される。
さらにこの構成によれば、携帯音響再生装置100をハウジング10の上面部に装着し、取っ手3を上方位置に起こすと、この取っ手3が携帯音響再生装置100を覆う。このため、作業現場環境における落下物等から携帯音響再生装置100を保護し、携帯音響再生装置100の損傷を抑えることができる。さらに、上方位置に起こされた取っ手3はロック手段によりこの上方位置にロックされる。このため、取っ手3が荷重を受けても自然に回動せず、落下物等から携帯音響再生装置100をより一層保護することができる。
さらにこの構成によれば、外部入力端子15から上面部に載置される携帯音響再生装置200までを繋ぐコードCの2箇所をハウジング10外面に保持させて、コードCをハウジング10に沿わせて配索することが可能なため、作業現場環境において付近を通行する作業者や運搬される資材とコードCとの不用意な接触を抑制することができる。これにより、ラジオ1の転倒を抑制し、ラジオ1及び携帯音響再生装置200の損傷を抑えることができる。
【0024】
なお、本発明に係るラジオは、上記の第1及び第2の実施形態に限定されるものではなく、その他各種の形態で実施できるものである。
まず、装着手段2は携帯音響再生装置100のハウジング10上面への装着のみを行い、ラジオ1との通信可能な接続はコードCを介して該装着手段2とは異なる接続端子(例えば外部入力端子15)において行っても良い。言い換えれば、前記の第2の接続形態において、携帯音響再生装置200をハウジング10上面に載置して使用する代わりに、ハウジング10上面に設けられた(接続機能を有しない)装着手段により携帯音響再生装置200をハウジング10上面に装着して使用しても良い。
また、装着状態において外部から視認可能であるのは携帯音響再生装置100の操作部102及び表示部101であったが、このうちいずれか片方のみが視認可能であっても良く、またこのうちいずれか片方のみを有する携帯音響再生装置100を使用しても良い。操作部102が視認可能であれば携帯音響再生装置100の各種機能の操作としての取り扱いが容易となり、表示部101が視認可能であれば各種情報の確認としての取り扱いが容易となる。
また、本発明における「携帯音響再生装置」とは、携帯可能でかつ内部のメモリに記録されている音響データを音響信号として出力可能な装置のことであり、iPod(登録商標)及びiPhone(登録商標)に限定されない。本実施形態におけるコネクタ22は、iPod(登録商標)及びiPhone(登録商標)の各種モデルの装着に特化したものであったが、これらとは異なる携帯音響再生装置100の接続に特化したものであっても良い。また、独自の再生機能を持たない汎用のUSBフラッシュメモリとし、装着手段2のコネクタ22はこれを相互通信可能に接続するUSB端子としても良い。
また、本実施形態のラジオ1はAM、FM放送を受信するアナログラジオであったが、これに限らず、デジタル放送を聴取可能なデジタルラジオや、Wi−Fi等の無線LANを経由してインターネットに接続しラジオコンテンツを聴取可能なインターネットラジオとしても良く、またこれらの複数を併用するものでも良い。インターネットラジオとする場合、前記処理装置52はアンテナ18を介して無線LANによる双方向のデータ通信を行う。AM、FM放送波の受信障害となる高層建造物の多い都市部では、逆にアクセスポイントの多いインターネットラジオが有利である。
【符号の説明】
【0025】
1 ラジオ
10 ハウジング
11 バンパ
12 操作パネル
13 金属棒
14 電源端子
15 外部入力端子
16 保持部
17 スピーカ
18 アンテナ
19 ロック部
2 装着手段
21 窪み形状
22 コネクタ
23 保護蓋
24 ヒンジ構造
3 取っ手
31 握り部
32 支持腕
4 バッテリ収容室
41,42,43 取付部
44 脱離防止手段
45 押さえ具
46 トーションばね
51 入力装置
52 処理装置
53 音声出力装置
100 携帯音響再生装置
101 表示部
102 操作部
103 ドックコネクタ
200 携帯音響再生装置
B1,B2,B3 差込式バッテリ
C コード
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