特許第5671041号(P5671041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5671041高い耐熱性と低い作業温度を有するアルミノケイ酸塩ガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671041
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】高い耐熱性と低い作業温度を有するアルミノケイ酸塩ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/087 20060101AFI20150129BHJP
   C03C 3/093 20060101ALI20150129BHJP
   C03C 3/095 20060101ALI20150129BHJP
   C03C 3/112 20060101ALI20150129BHJP
   C03C 3/118 20060101ALI20150129BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   C03C3/087
   C03C3/093
   C03C3/095
   C03C3/112
   C03C3/118
   H01L31/04 132
【請求項の数】14
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-530162(P2012-530162)
(86)(22)【出願日】2010年9月22日
(65)【公表番号】特表2013-505889(P2013-505889A)
(43)【公表日】2013年2月21日
(86)【国際出願番号】EP2010005781
(87)【国際公開番号】WO2011035889
(87)【国際公開日】20110331
【審査請求日】2013年7月17日
(31)【優先権主張番号】102009042796.1
(32)【優先日】2009年9月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】フェヒナー イェルク ヒンリヒ
(72)【発明者】
【氏名】オット フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ディック エアハルト
(72)【発明者】
【氏名】カス クリストフ
【審査官】 大工原 大二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−040933(JP,A)
【文献】 特開平07−101748(JP,A)
【文献】 特開平10−152338(JP,A)
【文献】 特開平08−165138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00−14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のガラス組成(酸化物ベースでの重量%)から成るか又は含有し:
【表1】
その際、前記ガラスは、NaO/(MgO+CaO+ZrO)からの比率(重量%)が0.5〜0.9の範囲内であるように選択されることを特徴とするアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項2】
20〜300℃の温度範囲での8〜10×10−6/Kの範囲内の熱膨張係数、580℃〜640℃の範囲内の変態点Tgならびに1065℃〜1140℃の範囲内の作業温度VAを有することを特徴とする請求項1に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項3】
NaO/(MgO+CaO+ZrO)からの比率(重量%)が0.6〜0.9の範囲内であるように前記ガラスが選択されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項4】
MgO+CaO+ZrOの合計が10〜20重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項5】
回避不可能な不純物も含めてアルミノケイ酸塩ガラスがB及びLiOを含有しないことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項6】
アルミノケイ酸塩ガラスが次のガラス組成(酸化物ベースでの重量%)から成るか又は含有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラス:
【表2】
【請求項7】
アルミノケイ酸塩ガラスが次のガラス組成(酸化物ベースでの重量%)から成るか又は含有し:
【表3】
その際、前記ガラスにはB、LiO及びSrOが含有されないことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項8】
アルミノケイ酸塩ガラスが通常の清澄剤、例えば硫酸塩、塩化物、Sb、As、SnO、を含有することを特徴とする請求項1から7までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項9】
次のガラス組成(酸化物ベースでの重量%)から成るか又は含有し:
【表4】
8〜10×10−6/Kの範囲内の熱膨張係数、580℃〜640℃の範囲内の変態点Tgならびに1065℃〜1140℃の範囲内の作業温度VAを有するアルミノケイ酸塩ガラスを選択するための方法において、NaO/(MgO+CaO+ZrO)からの比率(重量%)が0.5〜0.9の範囲内であるようにガラスの組成が選択されることを特徴とするアルミノケイ酸塩ガラスの選択方法。
【請求項10】
ガラスの高い熱負荷容量が要求される電子的適用への、請求項1から8までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラスの使用。
【請求項11】
金属又は合金が8〜10×10−6/Kの範囲内の熱膨張係数を有する金属及び合金とともに溶融するための、好ましくはTFTディスプレイのバックライト及び照明(「全般照明」)の分野におけるガス放電ランプのための、請求項1から8までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラスの使用。
【請求項12】
金属及び/又は酸化物の形のカドミウム及び/もしくはテルルを含有するかあるいは金属及び/又は酸化物の形の銅、インジウム、ガリウム、硫黄及び/もしくはセレンを含有する層が存在する基板ガラス、スーパーストレートガラス及び/又はカバーガラスの形での、半導体技術の分野での、請求項1から8までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラスの使用。
【請求項13】
基板ガラス、スーパーストレートガラス及び/又はカバーガラスの形での、ソーラー技術のための、請求項1から8までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラスの使用。
【請求項14】
基板ガラス、スーパーストレートガラス及び/又はカバーガラスの形での、Cd−Te太陽光発電もしくはCIS太陽光発電ないしはCIGS太陽光発電への適用のための、請求項1から8までのいずれか一項に記載のアルミノケイ酸塩ガラスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い耐熱性と低い作業温度を有するアルミノケイ酸塩ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ−アルカリ土類ケイ酸塩ガラスとも呼ばれるソーダ石灰ガラスはたいへん古くから知られた種類のガラスに属し、そして最も広く普及したガラス(「標準ガラス」)である。ソーダ石灰ガラスは主として板ガラス、例えば鏡用ガラスもしくは窓ガラス、として、さらに、例えばびん、食品包装、コップなどのための、容器ガラスとして使用される。公知のソーダ石灰ガラスの欠点は、これが、例えば約490〜530℃の範囲内の変態点(「Tg」)をもつ、比較的わずかな耐熱性しか有しないことである。このことによって、これまで知られているソーダ石灰ガラスの適用は顕著に限定される。
【0003】
性質を変えかつ改善するため、そして所望の適用に一層よく適合させるために、ガラス組成に多様性をもたせ、さらにこれを修正することが常に求められている。しかしながら、これに関連しては、成分の割合の減少もしくは増大によって、ガラスの性質に種々に作用を及ぼす既に多くの作用が生じうることが常に問題である。ガラス組成中の複数の成分の交換もしくは改質における経過及び効果は一層複雑であり、そして予測することはしばしば困難であるかあるいはもはやまったく予測不可能である。したがって、特殊な適用のためにカスタム設計されたガラス組成を提供することは比較的困難である。
【0004】
上位概念によるガラスを取り扱う従来技術における多数の刊行物が存在する。
【0005】
特許文献1には、ガラス組成がLiO 0.3〜2.5重量%、NaO 7.0〜12重量%、KO 1.5〜4.5重量%、MgO 0〜5.0重量%、CaO 6.0〜9.0重量%、SrO 0〜5重量%、BaO 3.5〜15.0重量%、Al 2.0〜4.5重量%SiO 57.0〜68.0重量%、ZrO 0〜5.0重量%及びCeO 0〜0.5重量%で構成されており、この場合、LiO+NaO+KOの合計が9.0〜16.0重量%である、プラズマディスプレイパネルのためのアルミニウムの乏しい、アルカリ含有のガラスが記載されている。
【0006】
特許文献2には、とりわけ平面ディスプレイ、特にプラズマディスプレイ(PDP、plasma display panel)、のための、基板に適当であるガラス組成が記載されている。このガラス組成はほぼ次のとおり構成されている;SiO 59〜72重量%、Al 1〜15重量%、MgO 0.5〜9重量%、CaO 0.5〜11重量%、SrO 0〜6重量%、BaO 0〜5重量%、MgO+CaO+SrO+BaO 4〜19重量%、NaO 0〜9重量%、KO 4〜21重量%、NaO+KO 10〜22重量%、ZrO 0.5〜10.5重量%、この場合、SiO含量とAl含量の差は50〜71重量%であり、相対密度は2.6未満である。
【0007】
さらに特許文献3は、ガラス組成がSiO 52〜62重量%、Al 5〜12重量%、MgO 0〜4重量%、CaO 3〜5.5重量%、SrO 6〜9重量%、BaO 0〜13重量%、MgO+CaO+SrO+BaO 17〜27重量%、LiO+NaO+KO 7〜14重量%、ZrO 0.2〜6重量%及びSO 0〜0.6重量%を有するとりわけプラズマディスプレイ用の、基板のためのガラス組成を開示している。しかしながら、ガラス組成におけるこのような高いSrO含量には大きな欠点がある。SrOは比較的高価な材料であり、したがってガラスの製造が顕著に高価になる。変態点が顕著に高くなり、熱膨張係数が上昇するとの特許文献3にて主張された利点は、本発明によれば追体験することができなかった。むしろ、高められたSrO含量は本発明による適用分野にとっては性質及び作用への有利な影響を及ぼさないことを示し;したがってSrOは本発明によればここに記載された高い量では存在しない。
【0008】
さらに特許文献4には、とりわけプラズマディスプレイパネルのための、ディスプレイ技術における使用に適当であり、次の組成を有する耐ソラリゼーション性のアルミノケイ酸塩ガラスが記載されている:
【表1】
【0009】
最後になるが特許文献5は、優れた耐熱性を有し、ならびに著しく良好なイオン交換能力を示すガラス組成を開示している。ガラスの高められた機械的強度がイオン交換下での付加的な化学的処理によって達成される。このガラス組成にはSiO 59〜68重量%、Al 9.5〜15重量%、LiO 0〜1重量%、NaO 3〜18重量%、KO 0〜3.5重量%、MgO 0〜15重量%、CaO 1〜15重量%、SrO 0〜4.5重量%、BaO 0〜1重量%、TiO 0〜2重量%及びZrO 1〜10重量%が含まれる。このガラス組成は好ましくは磁気記録媒体用のガラス基板として使用されるとのことである。しかしながら、このガラス組成の欠点は不十分な耐結晶化性であり、即ち、例えば管引抜きによる、成形過程の際のガラスの冷却中に、ガラス表面においてガラスの成形を損なう失透結晶が生じる。そのうえ、結晶化によって本来のガラス特性が失われる。
【0010】
したがって、公知のガラスをその性質に関して改善することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平07−101748号公報
【特許文献2】米国特許第5,858,897号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 769 481号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0 879 800号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0003136号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第43 33 407号明細書
【特許文献7】国際公開第94/07269号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の課題は、従来技術の欠点を回避すること及び、ソーダ石灰ガラスと比較して約8〜10×10−6/Kの同様の熱膨張及びより高い熱安定性(T)を同様ないしはきわめてわずかに高められた作業温度(VA)と同時に有する、ソーダ石灰ガラスに対する代替物を提供することである。さらにホウ素の含量は毒物学的ならびに経済的な考慮に基づいて可能な限り低い方がよい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば本発明の課題は、次のガラス組成(酸化物ベースでの重量%)を含有するか又はこれから成るアルミノケイ酸塩ガラスによって解決される:
【表2】
上記ガラス/ガラス溶融物に通常の清澄剤、例えば硫酸塩、塩化物、Sb、As、SnO、が添加されてよい。
【0014】
本発明によるアルミノケイ酸塩ガラスの組成は好ましくは次の範囲内にある:
【表3】
上記ガラス/ガラス溶融物に通常の清澄剤、例えば硫酸塩、塩化物、Sb、As、SnO、が添加されてよい。
【0015】
本発明によるアルミノケイ酸塩ガラスの組成はさらに好ましくは次の範囲内にある:
【表4】
この場合、上記ガラスにはB、LiO及びSrOは含有されていない。
【0016】
上記ガラス/ガラス溶融物に通常の清澄剤、例えば硫酸塩、塩化物、Sb、As、SnO、が添加されてよい。
【0017】
上記ガラス/ガラス溶融物に通常の清澄剤、例えば硫酸塩、塩化物、Sb、As、SnO、が添加されてよい。
【0018】
したがって本発明の対象は、ソーダ石灰ガラスの有利な性質を高い程度に有するばかりではなく、さらになお別の有利な性質をも提供するために、ソーダ石灰ガラスに対する代替物として使用することができる、アルミノケイ酸塩ガラスである。本発明によるガラスは、従来のソーダ石灰ガラスに比して顕著に高い580℃〜640℃の範囲内の変態点Tを示す。同時に、1030℃〜1140℃の範囲内の通常の作業温度を有するソーダ石灰ガラスと比較して1065℃〜1140℃の範囲内の類似もしくはほんのわずかにのみ高められた作業温度(「VA」)が得られる。付加的に、本発明によるガラスによりソーダ石灰ガラスにとって特性的な熱膨張約8〜10×10−6/K(熱膨張係数)が20〜300℃の温度範囲内で達成される。
【0019】
これらの性質、殊に高い熱膨張、高い変態点T及び低い作業温度、を変えることができるようにするために、当該ガラスはNaOの高い含量>10重量%、特に>12重量%、を有する。基板ガラス、例えば、銅−インジウム−ガリウムスルフィド及び/又はセレニド基板ガラスである、CIGS基板ガラス、としての、本発明によるガラスの特殊な適用にとっても>10重量%のNaO含量は本質的な特徴である。ナトリウムはこの場合にはNaイオンがCIGS層中に拡散しうることによって効率の上昇に著しく寄与する。したがって、本発明によれば所望されて高い膨張及び高いナトリウム含量は、高いT値が同時に低い作業温度とともに達成されることに決定的に寄与する。
【0020】
本発明の枠内でさらに重要であるのは、本発明によるガラス中でCaOの含量が5〜<12重量%の範囲内であり、そしてZrOが0.5〜9重量%の範囲内であることである。NaO/(MgO+CaO+ZrO)からの比率(重量%)が0.5〜0.9の範囲内、特に0.6〜0.9の範囲内、殊に0.6〜0.8の範囲内、で調整される場合に、ガラスの所望の性質は特に高い程度に実現されることができる。上記範囲でのNaO/(MgO+CaO+ZrO)からの比率(重量%)の調整によって、とりわけ>10重量%、ないしは>12重量%、の高いNaO含量という理由から、とりわけ良好に、ソーダ石灰ガラスの範囲内の熱膨張ないしは熱膨張係数(Coefficient of thermal expansion、CTE)を保持することができ、さらにソーダ石灰ガラスの範囲内の作業温度を下げることができる。
【0021】
したがって本発明は、20〜300℃の温度範囲での8〜10×10−6/Kの範囲内の熱膨張係数、580℃〜640℃の範囲内の変態点Tgならびに1065℃〜1140℃の範囲内の作業温度VAを有するアルミノケイ酸塩ガラスを選択するための方法であって、NaO/(MgO+CaO+ZrO)からの比率(重量%)が0.5〜0.9の範囲内、特に0.6〜0.9の範囲内、殊に0.6〜0.8の範囲内、であるようにガラスの組成を選択する方法に関する。
【0022】
本発明によれば、MgO+CaO+ZrOの合計の監視によって、作業温度と変態点Tgの差が可能な限り小さくなるが、同時に比較的高い変態点Tgが達成される、いわゆる「短いガラス」を得ることが可能であることがさらに確認された。したがって特に好ましくはMgO+CaO+ZrOの合計は本発明によれば10〜20重量%の範囲内、特に14〜<19重量%の範囲内、である。
【0023】
したがって本発明によればアルミノケイ酸塩ガラスが使用される。上記アルミノケイ酸塩ガラスは主成分としてSiO及びAlならびにアルカリ酸化物及びアルカリ土類酸化物及び場合によってはさらなる成分を含有する。
【0024】
母相ガラスは通常好ましくは少なくとも49重量%、特に少なくとも50重量%、殊に少なくとも52重量%のSiOを含有する。SiOの最大量はSiO 69重量%である。SiO含量の特に好ましい範囲は49〜<59重量%、特に49〜58.5重量%である。含量が少なすぎると、即ち49重量%未満のSiO含量では、ガラスの化学的安定性が悪化する。より高い含量、特に59含量%以上のSiO含量の場合には、ガラスの結晶化傾向が顕著に増大する。特に好ましい範囲内ではガラスの耐結晶化性及び化学的安定性が特に促進され、その結果、より高いSiO含量を有するガラスに比して結晶化傾向が低い。
【0025】
Alの量は少なくとも4.7重量%、特に好ましくは>4.7重量%、殊に好ましくは>5重量%である。十分な溶融性を可能にするために、特に好ましくはAl含量は≦15重量%、特に≦14%、特に有利な実施形態の場合には≦10重量%である。殊に好ましくは>5〜14重量%の範囲、殊に8〜12重量%の範囲、である。この含量は使用目的に応じて変動させることができる。15重量%のAl含量を超えることには、悪化した溶融性という欠点がある。4重量%のAl含量を下回ることには、ガラスの化学的安定性が悪化しかつ結晶化傾向が増大するという欠点がある。
【0026】
上記アルカリ酸化物リチウム、ナトリウム及びカリウムのうち、既述のとおり、殊にナトリウムが大いに重要である。NaOは本発明によれば>10〜18重量%の量、殊に>11〜18重量%の量で、なお好ましくは>12〜18重量%の量で含有されている。KOの含量は>0〜8重量%、特に>0〜<5重量%、殊に>0〜<4重量%である。LiO含量は本発明によれば0〜4重量%、特に0〜1.5重量%、殊に0〜<0.3重量%、である。LiOの添加は熱膨張(CTE)の調整及び作業温度の低下に役立てることができる。
【0027】
しかしながら、とりわけ好ましくはLiO含量は<0.3重量%であるか又はガラスは完全にLiO不含である。これまでLiOがNaOと同様に作用するという指摘はなかった、というのもその拡散がおそらく高すぎるからである。そのうえLiOは原料としては高価であり、したがってより少ない量が使用されるのが有利である。
【0028】
それぞれ記載したアルカリ酸化物含量を上回ることには、既存のガラス接点材料の腐食が悪化するという欠点がある。それぞれのアルカリ酸化物含量を下回ることには、溶融が悪化するという欠点がある。
【0029】
LiO+NaO+KOの合計は>10〜19重量%の範囲内、特に>12〜19重量%の範囲内である。
【0030】
アルカリ土類酸化物としてとりわけカルシウム、マグネシウム、バリウムが、そしてわずかな程度にストロンチウムも使用される。
【0031】
CaOは5〜<12重量%、好ましくは6〜<12重量%、より好ましくは7〜<12重量%、とりわけ好ましくは8〜<12重量%の範囲内で使用される。MgOは0〜6重量%、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%、とりわけ好ましくは0.5〜2重量%の範囲内で使用される。MgOは結晶化安定性の改善及び変態点Tの上昇のために使用することができる。MgOは、本発明によるガラス組成物の場合には完全に省略されることもできる(MgO=0重量%)。
【0032】
BaOは0〜12重量%、好ましくは>1〜12重量%、より好ましくは>1〜10重量%、なおより好ましくは1.5〜9重量%、とりわけ好ましくは1.5〜<3.5重量%、の範囲内で使用される。BaOの添加はガラス組成物の変態点Tを高めるために用いられることができる。BaO含量が少ないことの利点は本質的には密度が低くなることであり、ひいてはガラスの軽量化ならびに高価な成分そのもののコスト節約である。低い密度は特にさらなる加工業者にガラスが輸送される場合に、とりわけこのガラスから製造された製品、例えばランプ、が可搬の機器に組み込まれる場合に、有利である。ガラスの軽量化は好ましくは>2%(BaO含量3〜<4重量%の範囲内の場合)、好ましくは>5%(BaO含量2〜3重量%の範囲内の場合)である。BaOの乏しいガラスのもう一つの利点は、例えば可溶性バリウム化合物の形で、有毒に分類されるバリウムイオンが削減あるいは完全に省略されることができることでもある。BaOは比較的高価であり、そのことはガラスの大量生産時に積み重ねられるのであるから、BaO成分の削減によって顕著なコスト上の利点がさらに得られる。
【0033】
しかし、上記利点が本発明によるガラスにとって大して重要でないものでしかないということが今回意外にも見いだされた、というのも既に酸化バリウムの比較的小さな量、例えば>1重量%、の添加がガラス組成物の耐結晶化性の予期しない増大に寄与し、そのことが大量生産を容易にするからである。改善された耐結晶化性を保証するために、BaOの含量全体はその場合には好ましくは>1〜12重量%、より好ましくは>1.5〜12重量%、である。BaOの省略によって結晶化挙動における欠点が発生し、その結果、通常は十分な耐失透性を得ることができない。
【0034】
その上、まったく意外にも、BaOの添加が決してナトリウムイオンの拡散に不利に作用することはないことが確認された。このことは、酸化バリウムがナトリウム拡散に不利に作用するとする特許文献5の実施形態と矛盾する。むしろ、例えばCIGS電池、の効果の損失は、BaO含量>1重量%を有する基板ガラスの形の本発明によるガラスの使用の場合には決して観察されなかった。
【0035】
特に有利であることは、49〜58.5重量%の範囲内のSiO含量に対して付加的にBaO含量が1.5〜12重量%の範囲内で調整された場合であることが確かめられている。このことによって結晶化に対するガラスの傾向が顕著に減じられ、その結果、失透の危険は下がり、したがって結晶化作用は十分に回避される。
【0036】
SrOは本発明によるガラス中に0〜5重量%、特に0〜<2.5重量%、の範囲内、殊に0〜<0.5重量%の範囲内で存在する。SrOはガラスの変態点Tを高めるために一般に用いられる。SrOは、本発明によるガラス組成物の場合には省略されることもできる(SrO=0重量%)。従来技術で主張されたような特別な不利な作用はこのことによって確認することができなかった。しかしながら、SrOが耐結晶化性の改善のために存在する、詳しくいえば好ましくは少なくとも0.1重量%で存在することは有利ともいえる。
【0037】
MgO+CaO+SrO+BaOの合計は、本発明によれば5〜19重量%の範囲内、特に7〜19重量%の範囲内、殊に8.2〜19重量%の範囲内である。
【0038】
は、本発明によれば0〜2重量%、特に0〜1重量%、殊に0〜0.5重量%、の量で存在する。特に有利な実施形態によればガラスはB不含である。このことは、Bが毒物学的に有害である(奇形形成ないしは果実損傷性(fruchtschaedigend))一方で、混合物価格(Gemengepreis)を著しく高める高価な成分であるため有利である。その上、Bのより高い含量には、Bがガラス溶融中に蒸発し、排ガス領域(Abgasbereich)に妨げになりながら堆積しかつガラス組成物そのものを変化させるという欠点がある。さらにBの添加は特殊な適用の場合には不利である。例えば基板ガラス中の1重量%を超えるB含量は薄膜太陽電池の効率に不利に作用することが判明した、というのもホウ素原子が基板ガラスから蒸発又は拡散によって半導体層中に到達し、そこでホウ素原子がおそらく電気的に活性でありかつ高められた再結合によって電池の性能を低下させうる欠陥を生じるからである。
【0039】
さらにZrOが>0.5〜9重量%、特に>1〜9重量%、殊に>4〜9重量%、の量で含有されている。
【0040】
さらには他の成分、例えばWO、MoO、Bi、CeO、TiO、Fe、ZnO、F及び/又はCsOあるいはまたさらなる成分も、互いに関係なく存在していてもよい。
【0041】
WO、MoO、Biは本発明による有利なアルミノケイ酸塩ガラス中に互いに関係なくそれぞれ0〜3重量%の量で存在する。これら成分は好ましくはガラスの紫外線端(UV−Kante)の調整に用いられ、かつ酸化還元緩衝剤としても清澄化に使用することができる。
【0042】
TiO及びまたCeOは通常、ガラスの紫外線ブロッキングのために添加することができる。使用分野に応じて本発明によるガラスは、例えばカバーガラス/ジャケット管(Huellrohr)の形で存在していてもよく、かつ、有害な紫外線からガラスの下側にあるコンポーネントを遮断するために、例えばTiO及び/又はCeOを用いたドーピングを有してもよい。TiO含量は、本発明によれば0〜10重量%の範囲内、特に0.1〜10重量%の範囲内、殊に0.1〜5重量%の範囲内である。しかしながら、0.1〜2重量%、特に>0.1〜2重量%、の含量が特に有利である、というのもその場合には有毒の清澄剤、例えばAs及びSb、を完全に不要にすることができるからである。CeOは本発明によれば0〜3重量%の範囲内である。
【0043】
Feは0〜0.5重量%の量で使用されて通常、紫外線ブロッキングの調整に用いられるが、酸化還元緩衝剤としても清澄化のためにも使用することができる。
【0044】
さらに、本発明のガラスに溶融性の改善のためにフッ化物塩の形のフッ素、例えばNaF、が添加されてもよい。当該ガラス組成物に使用されるその量は0〜3重量%である。
【0045】
本発明によるアルミノケイ酸塩ガラスは、酸化ニオブ不含の回避不可能な不純物も含めてであるべきである。
【0046】
意外にも、従来技術の大部分で本質的であると記載された、本発明によるガラス組成物の個々の成分を顕著に減少させることもできるし、それどころか完全に省略することもでることが見いだされた。これは成分B、LiO及びSrOである。B、LiO及びSrOがないにもかかわらず、予期せずして、本発明によるアルミノケイ酸塩ガラスの所望の性質をソーダ石灰ガラスに対する改善された代替として提供することができる。
【0047】
通常の清澄剤は、それが本発明によるガラス組成物の化学的及び物理的な性質に不利に影響を及ぼさないかぎり、使用することができる。例えば硫酸塩、塩化物、Sb、As及び/又はSnOによる清澄化が可能である。清澄剤は好ましくはそれぞれそれ自体、ガラス中に>0〜1重量%の量で含有されており、その際、最少含量は特に0.1、殊に0.2重量%である。
【0048】
SiO含有のガラスの製造方法は公知である。ガラス製造の際の適当な原材料及びプロセス条件、例えば溶解炉内の雰囲気、溶融時間及び溶融温度、は従来技術における当業者により容易に選択しかつ調整されることができる。
【0049】
当該ガラスはいかなる任意の形でも、例えば板ガラス、管ガラス、ブロックガラス、繊維ガラス、棒ガラスとして、例えば円形、楕円形、パターニングされているかもしくはされずに製造することができる。
【0050】
上記のガラスは、例えば、特にフロート法による、板ガラスの製造に適当である。そのうえ上記ガラスは、ダンナー法が特に有利である管ガラスの製造に適当である。しかしながら、ベロー法ないしはダウンドロー法にもよる管ガラスの製造が可能である。例えば少なくとも0.5mm、特に少なくとも1mm、そして上限最大3cm、特に最大1cm、の直径を有するガラス管も製造することができる。特に好ましい管径は2mm〜5mmである。このような管は少なくとも0.05mm、特に少なくとも0.1mmの壁厚を有し、この場合、少なくとも0.2mmが特に好ましいことが判明した。最大壁厚は最大1mmであり、この場合、最大<0.8mmないしは<0.7mmの壁厚が有利である。
【0051】
本発明によるアルミノケイ酸塩ガラスの使用もまた、本発明の対象である。有利な使用分野は、例えばガラス・金属溶融により電気機械産業の分野にあり、例えばディスプレイへの適用のための基板ガラスとして半導体分野にあり、あるいは全ての種類のソーラーへの適用のための基板ガラスとしてソーラー技術にある。
【0052】
本発明によるガラスの重要な使用分野は、例えば8〜10×10−6/Kの範囲内の比較的高い熱膨張を有し、従来のソーダ石灰ガラスを用いて実現されうるより高い熱安定性がその適用時に要求される金属及び合金におけるガラスの溶融の分野である。これは例えば、熱負荷可能な電極ブッシングが必要とされるランプ工業への適用である。したがって、とりわけ本発明によるガラスは、8〜10×10−6/Kの範囲内の高い熱膨張を有するいわゆるデュメット合金の適用に使用可能である。
【0053】
特に考慮の対象となる使用は例えば、TFTディスプレイ用のバックライトのような分野あるいは約3〜5×10−6/Kの低い膨張を示す高価な電極ブッシング、例えばタングステンブッシング、と比較して低コストの電極ブッシング、例えばデュメット合金、が使用されるべきである実に様々な照明要求(「全般照明(General Lighting)」)におけるガス放電ランプ、とりわけ蛍光ランプ、例えばCCFL、HCFL等、の分野である。
【0054】
本発明によるガラスにとってのさらなる有利な使用分野は、例えばPDP用の、ディスプレイの分野で、とりわけ基板ガラスとしてである。材料技術的な観点でPDP用の基板ガラスへの要求は、必要な透明度のほかに、最も使用される蛍光色素の膨張挙動への適合が重要である程度である。したがってガラスの熱膨張α20/300は従来の窓ガラスの範囲内である、つまり8〜9×10−6/Kであることが好ましい。この前提条件は、本発明によるガラスによって満たされる。
【0055】
さらに本発明によるガラスは特に、ガラスの高い熱負荷容量が重要であるこのような電子的適用に適当である。このことによってガラスの適用可能性が顕著に増大する。
【0056】
さらに本発明によるガラスはとりわけソーラーへの適用、特に、高い熱膨張及び比較的高い熱安定性(プロセス安定性)を有するガラスが要求されるが、しかしながら、ガラスの熱間成形が可能な限り低い温度で行なわれるべき適用(いわゆる「短いガラス」)に適当である。このガラスの低コストの製造を可能にするために、ガラスの作業温度(VA)はその場合には可能な限り低くなければならない。作業温度(VA)は本願の場合には、上記ガラスがη=10dPasの粘度ηを有する温度である。ガラス組成に応じて、粘度η=10dPasが達成される作業温度VAは異なってよい。本発明によるガラスはこの要件を高い程度に満たし、したがってこのような適用に特に好適である。
【0057】
本発明によるガラスは半導体技術の分野でのとりわけ基板ガラス/上層ガラスとして、あるいはまたカバーガラスとして、殊に、金属及び/又は酸化物の形のカドミウム及び/又はテルルを含有するかあるいは金属及び/又は酸化物の形の銅、インジウム、ガリウム、硫黄及び/又はセレンを含有する層を有する薄膜太陽光発電に、適当である。スーパーストレートとは基板ガラスであり、この場合、薄膜太陽光発電の場合には被覆されたガラスが「裏返され」、この層が下側になり、そして光が基板ガラスを通って太陽光発電層に当たるために、基板ガラスはいわばカバーガラスとしても機能する。
【0058】
したがって本発明のガラスは、Cd−Teを基礎とする技術、種々の薄膜シリコン技術、例えばa−Si、アモルファス−結晶質及びまた純粋に結晶質のシリコン、ならびに銅−インジウム−ガリウム−スルフィド−セレニド、いわゆるCISもしくはCIGS、を基礎とする技術に特に適当である。CIGSはCu(In1−X,Ga)(S1−y,Seを表し、太陽電池のための公知の薄膜技術であり、かつ使用された元素の銅、インジウム、ガリウム、硫黄及びセレン(英語 copper, indium, gallium, sulfur, and selenium)の略語である。重要な例はCu(In,Ga)Se(銅−インジウム−ガリウム−ジセレニド)又はCuInS(銅−インジウム−ジスルフィド)である。これら材料はとりわけ、直接遷移形半導体であるこれら材料が数μmの既に比較的薄い層でも太陽光を効果的に吸収することに優れている。このように薄い光活性層の析出は、高い効率を達成するためには高いプロセス温度を必要とする。典型的な温度は温度450〜600℃の範囲内であり、その際、この最大温度は当該基板によって制限される。大面積の適用には基板として周知のようにしばしばガラスが使用される。熱膨張係数(CTE)が半導体層に適合しているために、例えば特許文献6及び特許文献7に開示されているように、これまで例えばソーダ石灰フロートガラスが基板として使用されている。ソーダ石灰ガラスは、既述のとおり、約525℃の変態点を有するため、全ての処理工程が約500℃に制限される。さもなければいわゆる歪みが生じ、ガラスが曲がり始める。このことは、被覆すべき基板が大きければ大きいほど、かつ工程温度がガラスの変態点Tに近似すればするほど、ますますあてはまる。基板の歪み又は曲がりによって、とりわけインライン処理もしくはインライン設備の場合に処理能力及び歩留りが劇的に低下する問題がもたらされる。
【0059】
したがって、とりわけ本発明によるガラスはCd−Te太陽光発電もしくはCIS太陽光発電ないしはCIGS太陽光発電への適用にも、とりわけ基板ガラス及び/又は上層ガラス及び/又はカバーガラスとして適当である。ここではCISは銅−インジウムスルフィド及び/又はセレニドを示し、CIGSは銅−インジウム−ガリウムスルフィド及び/又はセレニドを示す。
【0060】
したがって本発明によるガラスはとりわけこの使用分野でソーダ石灰ガラスに対する代替物となり、かつ有利にこれの代わりとなることができる、というのも半導体層の析出の際に、基板が不利に変形することなく、従来のソーダ石灰ガラスの場合より高い作業温度を使用することができるからである。そのうえ被覆処理の際の所望のより高い温度によって高い析出速度及び得られた層の著しく良好な結晶品質がもたらされる。
【0061】
半導体層の施与後の冷却の際に層の剥離が生じないために、基板ガラスがさらに、太陽電池のバック接点材料、例えばモリブデンの熱膨張(約5×10−6/K)に、そして、その上に載せられた半導体の熱膨張(CIGSに対して例えば約8.5×10−6/K)に適合されている。このことは本発明によるガラスにもあてはまる。
【0062】
したがって、本発明によるガラスはソーラー技術に、特にシリコンを基礎とするか又は化合物半導体材料、例えばCdTe、CIS又はCIGS、を基礎とする太陽電池、殊に薄膜太陽電池に特に適当である。したがって、とりわけ本発明のガラスは薄膜太陽電池の基板、スーパーストレートもしくはカバーガラスとして使用される。この場合には従来のシリコンを基礎とする結晶系太陽電池の場合よりはるかに少量の光活性材料が電力のための太陽光からの効率的な変換に必要とされる。わずかな半導体材料使用量及び製造の高度の自動化によってこの技術における顕著なコスト低下がもたらされる。
【0063】
ソーラー技術に本発明によるガラスが使用される際のさらなる利点はその高いナトリウム含量である。ナトリウムを半導体に挿入することができ、かつこれをもって太陽電池の効率が半導体の結晶構造内への改善されたカルコゲン挿入によって高められることは公知である。したがって当該基板ガラスは、支持体としての性質のほかに、半導体中へのナトリウムイオン/原子の適切な放出を促進することにも役立てることができる。
【0064】
本発明によるガラスは上記技術に殊に適当である、というのもより高い温度でのより高い熱安定性に基づいた、従来使用されたソーダ石灰ガラスと異なる処理可能性(Prozessierbarkeit)/析出が行なわれることができ、これには大きな利点が伴うからである。これについての基準はいわゆる変態点Tgである。その一方で特に高い温度はガラスの溶融工程及び熱間成形工程に必要なく、このことによって低コストの製造が可能となる。
【0065】
次に本発明を実施例につき説明するが、この実施例は本発明による教示を具体的に説明するものであって、本発明による教示を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0066】
本発明によるガラス組成を選択しかつこれからガラスを製造した。溶融に4リットルの白金るつぼを使用し、この白金るつぼの中に原料を8時間にわたって溶融温度1580℃で入れ、そしてその中でこの温度で14時間維持した。次に撹拌下にガラス溶融物を8時間以内で1400℃に冷却しかつ引き続き、500℃に予熱された黒鉛型に注入した。この鋳型を鋳造後に650℃に予熱された焼なまし炉に入れ、この焼なまし炉を5℃/時間で室温に冷却した。
【0067】
次の表1及び表2に本発明によるガラスの組成及び性質がまとめられている。
【表5】
【表6】
alpha 20〜300℃での熱膨張係数[×10−6−1
Tg 変態点[℃]
VA 粘度が10 dPasである作業温度[℃]
密度 [g/cm
耐結晶化性:
+ 良
○ 平均
− 不良
【0068】
したがって本発明によって初めて、ソーダ石灰ガラスと比較して約8〜10×10−6/Kの同様の熱膨張、だがより高い熱安定性(T)を同様ないしはきわめてわずかに高められた作業温度(VA)と同時に有する、ソーダ石灰ガラスに対する代替物を提供するためのガラス組成物が記載される。