【文献】
Texas Instruments,Codebook Design for E-UTRA MIMO Pre-coding,3GPP R1-062650,2006年10月13日
【文献】
Samsung,Codebook based Precoding for 8 Tx Transmission in LTE-A,3GPP R1-084172,2008年11月14日
【文献】
Samsung,Precoding for polarized 4Tx configurations,3GPP R1-071622,2007年 3月30日
【文献】
Marvell Semiconductor,Precoding options for 8Tx antennas in LTE-A DL,3GPP R1-090388,2009年 1月16日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
送信機及び受信機を含み、前記送信機のN個の送信アンテナポートに最大N個のデータストリームをマッピングするための複数の第1行列を含む第1コードブックを有する通信システムを設定する段階と、
前記複数の第1行列のうちの1つに基づいたスキームを使用して、前記N個の送信アンテナポートに前記データストリームをマッピングする段階と、
前記送信機から、前記N個の送信アンテナポートを介して、マッピングされた前記データストリームを前記受信機へと送信する段階と
を備え、
前記複数の第1行列のうちの少なくとも幾つかの行列のそれぞれは、第2コードブックから選択された対応する第2行列及び第3コードブックから選択された対応する第3行列に基づいて前記第1コードブックが含む前記複数の第1行列のうちの前記少なくとも幾つかを計算することにより生成され、前記第2行列及び前記第3行列は、Nより少ないそれぞれの数の送信アンテナポートにデータをマッピングするように構成されており、少なくとも前記第2行列の行の数と前記第3行列の行の数とが異なり、前記第1コードブックは、前記最大N個のデータストリームのうちの少なくとも一つのデータストリームを前記N個の送信アンテナポートにマッピングする行列を少なくとも一つ含む
通信方法。
前記データストリームをマッピングする段階は、前記セット内の前記複数の行列のうちの1つを使用して、前記r個のデータストリームを前記N個の送信アンテナポートにマッピングする段階を有する請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の通信方法。
前記マッピングされたデータストリームを送信する段階は、ロングタームエボリューションアドバンスト(LTE−A)規格に準拠した信号を送信する段階を有する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の通信方法。
前記データストリームをマッピングする段階は、前記受信機からのフィードバックに基づいて、前記スキームを選択する段階を有する請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の通信方法。
前記送信機は、前記第2コードブックから選択された1つの第2行列と、前記第3コードブックから選択された1つの第3行列との間のクロネッカー積を計算することにより、所定の1つの第1行列を生成する請求項15に記載の通信装置。
前記送信機は、行列の候補が、前記セット内の別の行列の列の重み付けされた置換として表現できないと確かめられた場合に、前記行列の候補を前記セットに含める請求項17に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
MIMOスキームでは、送信機は、変調されたシンボルのストリームを、空間層(spatial layers)、すなわち、異なるMIMO送信チャネルで送信される信号にマップする。空間層は、送信層又は空間ストリーム、又は単純に、データストリームとも呼ばれる。送信機は、プリコーディングオペレーションを適用して、各空間層を、それぞれのアンテナポートセットにマップする。プリコーディングオペレーションは、典型的には、各アンテナポートにマップされる空間層の線形的な結合を規定するプリコーディングマトリックスで表される。MIMOシステムは、コードブックと称されるプリコーディング行列の所定のセットを使用するが、コードブックは、送信機及び受信機に知らされている。E‐UTRAのeNodeBのダウンリンクにおいて実行されるこの種の送信プロセスについては、上記した3GPP TS36.211仕様書の6.3章に詳細に記載されている。以下に記載する説明は、この3GPP規格に使用されている規定に準じており、プリコーディングは、行数がアンテナポートの数と等しく、列数が空間ストリームの数と等しい行列によって規定されている。
【0018】
本明細書に記載される実施形態は、MIMOシステムにおけるプリコーディングのための改良された方法及びシステムを提供する。開示する技術は、N個までのデータストリームをN個の送信アンテナポート通信システムにマッピングするためのプリコーディング行列のセットを有する送信機及び受信機を含む通信システムを構成する。このプリコーディング行列のセットは、Nより小さい送信アンテナポートの数について規定されたプリコーディング行列の複数のセットから導き出される。例えば、8つの送信アンテナに対するコードブックを、2つのアンテナポートに対して規定されたコードブック及び4つのアンテナポートに対して規定されたコードブックから生成するのに、開示する方法を使用可能である。
【0019】
幾つかの実施形態では、所与のプリコーディング行列は、少ない数のアンテナポートに対して規定されたコードブックから選択された行列間のクロネッカー積(直積又はテンソル積とも称される)を計算することにより生成される。この方法では、所望の特性を複数有するプリコーディング行列を有するコードブックを生成する。これについて、以下に詳述する。異なる数のデータストリームを、N個のアンテナポートにマッピングするためのサブコードブック(SCB)を生成する幾つかの方法についても開示される。
【0020】
開示される方法では、相対的に計算の複雑性が低い高性能プリコーディング行列を生成する。加えて、これらの方法及びシステムは、前方後方互換性を、少ない数のアンテナポートに対して提供する。幾つかの実施形態では、コードブックは前もって計算され、送信機に提供される。別の実施形態では、送信機は、少ない数のアンテナポートに対して規定されたプリコーディング行列のみを格納し、N個のアンテナポートに対するプリコーディング行列は必要に応じて計算する。その結果、送信機におけるメモリの必要量を大幅に減らすことができる。本明細書に記載される実施形態は、主にLTE‐Aシステムについて説明しているが、開示される方法は、その他の好適なMIMOシステムに適用できる。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態に係る、複数のアンテナを有する送信機20を概略的に示したブロック図である。以下に記載の説明では、LTE‐A eNodeBの送信機について記載されているが、その他の送信機についても考えられている。別の実施形態では、本明細書に記載される方法及びシステムは、例えば、IEEE802.16(WiMAXとも称される)のようなその他の好適な通信規格又はプロトコルに準拠して動作する送信機でも採用可能である。以下の説明では、主に、eNodeBからユーザー機器へのダウンリンク送信について記載されているが、開示される方法及びシステムは、アップリンク送信についても適用可能である場合がある。
【0022】
送信機20は、1以上の変調チェーンを備え、変調チェーンにはそれぞれ、エラー訂正コード(ECC)エンコーダ24、スクランブラ28及び変調マップ部32が含まれる。送信すべきデータは、ECCエンコーダ24によってエンコードされて、ECC符号語がそれぞれ生成される。(
図1の例では、明瞭化のため、2つの別々のECCエンコーダが示されているが、実際には、送信機は、異なる変調チェーンに対する符号語を生成する1つのECCエンコーダを備えてもよい。)
【0023】
各符号語のビットは、対応するスクランブラ28によって暗号化された後、対応する変調マップ部32によって変調される。変調マップ部はそれぞれ、複素数変調されたシンボルのストリームを生成する。四位相偏移変調(QPSK)又は直角位相振幅変調(QAM)のような、あらゆる好適な変調スキームを使用することができる。所与の変調マップ部32は、典型的には、所与の符号語の暗号化されたビットを操作して、複素数変調されたシンボルのブロックを生成する。
【0024】
層マップ部36は、変調マップ部32によって生成された変調されたシンボルストリームを、1以上の空間層にマップする。(特定の通信チャネルに割り当てられた時間及び周波数リソースの所与のセットに対して、複数の送信及び受信アンテナが、別の"空間的"次元をこれらのリソースに対して付加する。付加される空間的次元を有効に利用する1つの可能性としては、1つの時間−周波数リソースに対して送信される、独立して変調されたシンボルの数の数を増加させることがある。1つの送信アンテナ及び1つの受信アンテナの場合では、増加係数は、空間層の数として規定される。)空間層は、本明細書では、データストリームとも称される。
【0025】
マップ部36によって使用される空間層の実際の数(送信階数とも称される)は、一般的には、選択可能なパラメータである。この値の選択は、例えば、送信機20と送信先である所与の受信機(図示せず)との間のチャネル状態に応じて行ってもよい。空間層はそれぞれ、MIMO通信チャネル上で送信される複素数値のストリームを含む。
【0026】
マップされた複数の空間層は、プリコーダ40に提供される。プリコーダ40は、複数の空間層を、送信機のN個のTxアンテナポート52に対応するN個のTx送信チャネルにマップする。本例では、送信機20は、8個のTxアンテナポートを有する、すなわちN=8であるLTE‐A送信機を含む。(所与のアンテナポートが、必ずしも1つの物理的アンテナに対応している必要は無く、受信機が必ずしも感知する必要のない態様で送信信号を生成する"仮想アンテナ"に、複数の物理的アンテナから生じる信号の重ね合わせ(加重和)として対応してもよい。また、アンテナポートの数は、層の数よりも多くてもよい。)リソースマップ部44は、リソース要素(時間−周波数割り当て)を、対応する送信チャネルに割り当てる。マップ部44の出力は、本例では、アンテナポート52を介して受信機に向かって送信される直交周波数分割多重(OFDM)信号を生成する対応する直交周波数分割多重(OFDM)生成器48によって処理される。
【0027】
送信機20は、様々な送信機要素を設定し制御する制御装置56を備える。特に、制御装置56は、プリコーダ40によって使用されるプリコーディング行列を生成するプリコーディング制御モジュール60を含む。典型的な実装例では、モジュール60は、送信機と受信機との間の現在のチャネル状態に適合するプリコーディング行列を選択し、選択されたプリコーディング行列を使用してプリコーダ40を構成する。具体的には、プリコーディング行列の列の数は、送信階数(すなわち、空間層の実際の数)を決定する。この階数は、rと表記され、r≦Nである。(一般的には、階数は、受信機における受信アンテナの数以下に制限される。)
【0028】
上述したように、本例では、送信機20は、8個のTx(受信)アンテナポート52を含む。したがって、所与の1階数に対して、モジュール60により使用されるプリコーディング行列は、8×r行列となる。これらの行列は、簡潔に、8Txプリコーディング行列と称することにする。幾つかの実施形態では、プリコーディング行列は、1つのコードブックから選択される、すなわち、送信機と受信機との間で取り決められた行列の所定のセットから選択される。一実施形態では、送信機は、受信機から、コードブックにおける望ましいプリコーディング行列を示すフィードバックを受信する。モジュール60は、このフィードバックに基づいてコードブックから適切な行列を選択してもよい。モジュール60は、受信機から要求された行列を使用してプリコーダ40を構成してもよい、又は、送信機によって使用されるべきプリコーディングスキームに、更なる考慮を適用してもよい。
【0029】
幾つかの実施形態では、モジュール60が使用する8Txプリコーディング行列は、低い次元のプリコーディング行列から導き出され、本例では、2Txプリコーディング行列及び4Txプリコーディング行列(すなわち、2つのTxアンテナポートに対するプリコーディング行列及び4つのTxアンテナポートに対するプリコーディング行列)から導き出される。2Txプリコーディング行列及び4Txプリコーディング行列から、8Txプリコーディング行列を導く方法は幾つか存在し、これらについて以下に説明する。
【0030】
幾つかの実施形態では、8Txプリコーディング行列のコードブックは、予め計算され、送信機に格納される。別の実施形態では、2Txプリコーディング行列及び4Txプリコーディング行列のみが送信機に格納され、モジュール60が、これらの行列から必要に応じて8Txプリコーディング行列を計算する。これらの実施形態において、送信機20は、低い次元のコードブックを保持するメモリ64を備える。本例では、メモリ64は、2つのTxアンテナポートに対して規定された2Txコードブック68、及び4つのTxアンテナポートに対して規定された4Txコードブック72を保持する。モジュール60は、コードブック68及び72から選択される低次元の行列に基づいて、8つのアンテナポートに対するプリコーディング行列を計算する。モジュール60の機能については、以下に説明する。
【0031】
図1に示された送信機の構成は、単純化された構成であり、概念を明確にする目的で例示されている。別の実施形態では、その他の好適な送信機構成を使用することもできる。例えば、上述の実施形態では、主に、N=8の送信アンテナポートを有する送信機について記載したが、その他の好適な数のアンテナポートに対して本明細書に記載する方法及びシステムを適用することができる。一般的には、アンテナポートの数は、素数ではない。NTxプリコーディング行列を導くのに使用される低次元のコードブックは、その他の好適なNより小さい次元を有していてもよい。幾つかの実施形態では、送信機20は、基地局の(例えば、LTE‐A eNodeB)の一部であり、記載されたプリコーディングスキームが、ダウンリンクチャネルに適用される。別の実施形態では、送信機20は、携帯端末(例えば、LTE‐A UE)の一部であり、記載されたプリコーディングスキームが、アップリンクチャネルに適用される。
【0032】
送信機20の異なる構成要素を、専用ハードウェアを使用して実装してもよく、例えば、1以上の特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用して実装してもよい。あるいは、送信機の構成要素の幾つかを、汎用ハードウェアで実行するソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェア要素との組み合わせを使用して実装してもよい。典型的な制御装置56は、上述された機能を実行するべくソフトウェアにプログラムされた汎用プロセッサを備えるが、機能は、専用ハードウェアに実装されてもよい。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態でプロセッサにダウンロードされ、替わりに又は追加的に、磁気、光又は電子メモリのような有形媒体に提供及び/又は格納されてもよい。幾つかの実施形態では、送信機20の要素の一部又は全てが、チップセットに作りこまれる。本開示の方法を説明するのに必須でない送信機の要素、例えば、様々な無線周波数(RF)要素等は、簡略化のため、
図1では省略されている。
【0033】
本開示の実施形態は、プリコーディングコードブックを設計及び適用するのに好適な方法及びシステムを提供する。開示された方法は、少ない数のTxアンテナポートに対して規定されたコードブックから、NTxのプリコーディング行列のコードブックを生成する。以下に説明する実施形態では、2Txコードブック及び4Txコードブックから、8Txコードブックを生成しているが、方法を、そのまま、別の次元にも適用することが可能である。上述したように、NTxプリコーディング行列は、開示した方法を使用して推測的に生成され、モジュール60に供給される、又は、必要に応じてモジュール60で計算してもよい。
【0034】
以下の説明では、次のような表記を使用する。N
T個のTxアンテナポートは、
と表記される。コードブック
は、複数のサブコードブック(SCB)を含み、各SCBは、所定の階数r(すなわち、K個のTxアンテナポートにプリコードされる空間層の所定の数)に対して規定され、r≦Kである。所定の階数rに対するSCBは、
と表記される。8つのTxアンテナポートの場合は、コードブック
となり、
で求められる。
【0035】
プリコーディング行列のコードブックを指定する際には、コードブック中の行列が、特定の設計指針に沿っていることが望ましい。設計指針の例については、"LTE‐Aにおける8個のTx送信機についてのコードブックベースプリコーディング"3GPP TSG RAN WG1議事録、R1‐084172、プラハ、チェコ共和国、2008年11月10‐14日に記載されており、出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの指針は、コードブックの複数の望ましい特性を規定しており、すなわち、ユニタリ性、ネスト度、定モジュラス及び制限アルファベットを規定している。
【0036】
ユニタリ性特性とは、最大階数SCBにおけるプリコーディング行列が、スカラー倍率まで、ユニタリであることを意味する。ネスト度特性とは、r<N
Tである場合について、
のプリコーディング行列それぞれにおける列は、最大階数SCB
の特定のプリコーディング行列のr列に(列依存のスケーリングまで)比例することを意味する。ネスト度が強いという条件は、r<N
Tである場合について、
の全てのプリコーディング行列の列が、次に高い階数であるSCB
の特定のプリコーディング行列のr列に(列依存のスケーリングまで)比例することを意味する。
【0037】
ネスト度特性は、複数階数に対する好ましいプリコーディング(プリコーディングのオプションは、コードブック
に属するという制限が付く)を計算する場合に、受信機における計算の複雑性を低減させることができる、また、ランク適応制御(rank adaptation)を使用することにより、階数を下げることができるフォールバックを可能とする。
【0038】
定モジュラス特性とは、所定のプリコーディング行列における全ての行列要素が、等しい絶対値を有することを意味する。制限アルファベット特性とは、様々なプリコーディング行列における行列要素が、単純な有限アルファベットに制限されるということを意味する。アルファベットの候補の1つとしては、8‐PSKアルファベットがあり、以下の式1で表される。
【数1】
【0039】
すなわち、8‐PSKアルファベットは、以下の式2で表される。
【数2】
【0040】
別の制限アルファベットには、QPSKアルファベットがあり、プリコーディング行列要素それぞれは、{±1、±j}の組に(全体の規格化定数まで)制限される。制限アルファベットの使用は、計算を簡単にし、送信機においてプリコーディングに関連して必要とされるメモリの量を低減させることができ、また、受信機におけるフィードバック計算及びデコーディングについても同様である。
【0041】
幾つかの実施形態では、最大階数SCB
は、
のプリコーディング行列と、
のプリコーディング行列とのクロネッカー積で規定される。したがって、
【数3】
となり、ここで、
及び
はそれぞれ、
及び
から選択されたプリコーディング行列を表しており、
は、クロネッカー積(直積又はテンソル積とも称される)を表す。
【0042】
m×n行列Aおよびp×q行列Bのクロネッカー積は、
と表記され、
各要素がc
αβ=a
ijb
klで規定されるm・p×n・q行列となり、ここでα≡p(i−1)+k、β=q(j−1)+lである。行列Aが、例えば、2×2行列を含む場合には、
は、以下の形式のブロック行列となる。
【数4】
【0043】
図2には、本発明の一実施形態に係る、低い次元の2つのプリコーディング行列のクロネッカー積として規定されるプリコーディング行列が示されている。
図2の例では、Aは、最大階数
SCBから選択されるn×nプリコーディング行列であり、Bは、最大階数
SCBから選択されるp×pプリコーディング行列である。クロネッカー積
は、n・p×n・pプリコーディング行列を生成し、この行列は、最大階数
SCBの一部として使用することができる。
【0044】
上述の式1及びクロネッカー積の定義から、
【数5】
【数6】
となり、ここで、t=4(t
1−1)+t
2,s=4(s
1−1)+s
2、又は、t=2(t
2−1)+t
1,s=2(s
2−1)+s
1である。
【0045】
したがって、上記の式3は、最大階数SCB
におけるプリコーディング行列をそれぞれ、
から選択されたプリコーディング行列と
から選択されたプリコーディング行列とのクロネッカー積として定義している。送信機20は、この最大階数SCBを使用して、8個の空間層(データストリーム)を、8個のTxアンテナポートにプリコードすることができる。また、上記から理解できるように、
及び
の両方が、上記のユニタリ、定モジュラス及び制限アルファベット指針を満足する場合には、この説明では、自動的に、最大階数SCB
も、これらの指針を満足することを保証する。
【0046】
幾つかの実施形態では、低い次元のSCB
は、最大階数SCB
から選択され、
r<8の層が、送信機20の8個のTxアンテナポートにプリコードされる。プロセスの一例では、
の所定の行列の8列のうち、8−rが消去されて、8×r行列が生成される。そして、この行列に、
を乗じる。乗じた後に得られた行列は、
に包含されるものの候補として使用することができる。このプロセスは、上記で規定した制限度の低いネスト度特性を満足する。(
のプリコーディング行列それぞれの列は、最大階数SCB
の特定のプリコーディング行列のr列に(列依存のスケーリングまで)比例する。)
【0047】
別の実施形態の例では、
の所定の行列における列のうちの1つが消去されて、8×r行列が生成される。そして、この行列に、
を乗じる。得られた行列は、
に包含されるべき行列の候補として使用することができる。このプロセスは、上記で規定した制限度の高いネスト度特性を満足する。(
のプリコーディング行列それぞれの列は、最大階数SCB
の特定のプリコーディング行列のr列に(列依存のスケーリングまで)比例する。)
【0048】
所定のSCBを構築するには、一般的には、実質的に等価である、候補となるプリコーディング行列を含んでしまうことを避ける方が望ましい。2つの候補のプリコーディング行列が、その行及び/又は列の置換、及び/又は全体、又は列依存のスケーリングまでにおいて、同一である場合には、これら2つの行列は等価であると考えられる。例えば、行列、
及び
は等価である。これは、M1の列を交換して、第2の列に−jを乗じることにより、M2を生成できるからである。等価なプリコーディング行列は、空間ストリームの順序を単に変更する、及び、アンテナポートにマップされる前に、ストリームにおける変調されたシンボルを回転させる可能性がある。幾つかの実施形態では、低い階数のSCB
は、候補のプリコーディング行列を生成し、等価な行列を取り除くことによって、最大階数SCB
から生成することができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、所定のSCB
が生成されると、SCBの複数のプリコーディング行列のうちの1以上が消去されて、SCBのサイズを小さくすることができる。このオペレーションは、SCBの希薄(又はトリミング)とも称される。このSCBの希薄に対して、あらゆる好適な基準を使用することができる。例えば、受信機から送信機へのフィードバック量(例えば、好ましいプリコーディング行列を送信機に示すのに使用されるビットの数)が、最も低減されるような態様で、SCBを希薄してもよい。一実施形態によれば、必ずしもそうである必要はないが、各SCBにおける行列の数は、2の整数べき乗に設定され、フィードバックメッセージにおけるビットの利用が最適となるようにされる。別の実施形態例では、システム性能(例えば、平均リンクスループット)を改善するように、所定のSCBを減らしてもよい。所望の性能に最も貢献する(又はまったく貢献しない)プリコーディング行列のIDは、例えば、関係する次元の全ての(ユニタリ)行列の空間を最も良好にカバーすることを試みることによって、特定することができる。一実施形態において、SCBにおける行列の全ての組のうちの最小距離(特定の測定量に関して、例えば、弦距離)を最大化するように、SCBを希薄することができる。例えば、希薄基準は、SCBのプリコーディング行列間の距離が、所定の閾値を超えるように規定してもよい。別の実施形態では、希薄基準は、リンクレベル又はシステムレベルのシミュレーションで推定されるような、通信システム性能に依存してもよい。この評価は、送信機及び受信機アンテナ構成、及び関係するチャネルの種類のような様々な因子に依存していてもよい。例えば、送信アンテナの等間隔リニアアレイ(ULA)からのビーム形成を効率的にすることを可能にするため、要素
を有する8×8DFT行列の列に比例する8つの列ベクトルSCB
に保つべく、希薄プロセスを実行することが有益である場合がある。さらに、別の例として、計算の複雑性を大幅に増すプリコーディング行列を取り除くことによって、SCBを希薄することもできる。例えば、{±1±j}に比例する8−PSK要素を含む行列を取り除いて、より単純なQPSKアルファベットのみを残してもよい。また、追加して又はこれに変えて、SCBをその他の好適な態様で希薄することができる。
【0050】
上記の式3に従って、最大階数SCB
を構築する場合は、最大階数SCBは、2・2・16=64個のプリコーディング行列を含む。幾つかの実施形態では、
を生成する前に、
及び/又は
を拡張することによって、より大きなサイズの最大階数SCBを生成することができる。拡張は、典型的には、上述した定モジュラス特性及び制限アルファベット特性を満たすが、クロネッカー積を使用して、更なる行列を生成する必要はない。例えば、
SCBは、以下の式に示される組の行列のうちの1つ又は両方(又は、これらの行列の重み付けされていてもよい置換)を追加することによって、拡張することが可能である。
【数7】
SCBが、これら2つの行列によって拡張されて、得られた
SCBは、128個のプリコーディング行列を有する。
【0051】
さらに又はこれに替えて、
SCBは、追加のユニタリ8−PSK 4×4行列を使用して拡張することもでき、例えば、更なる8−PSK単位ベクトルを使用したハウスホルダー変換を加算することによって生成された行列を使用してもよい。ハウスホルダーベースのコードブックに関しては、例えば、"E−UTRA MIMO プリコーディングのためのコードブック設計"3GPP RAN WG1議事録R1−062650、ソウル、韓国、2006年10月9−13日に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。別の例として、
SCBを、要素
及び/又はこの回転バージョン
を有する4×4DFT行列に比例するプリコーディング行列を加算することによって拡張することもできる。
【0052】
SCBの考えられる拡張の中には、定モジュラス及び/又は制限アルファベット特性を満たさないものも存在するが、それでもなお有用である(例えば、相関チャネルの一部のシナリオにおいて)。例えば、2×2の恒等行列I
2を、
SCBに加算してもよい。この拡張は、
SCBにおける定モジュラス特性を破ることとなる。その一方で、得られた
SCBは、相対的に0を多く含む行列となることから、計算の複雑性を低減することができる。定モジュラス及び/又は制限アルファベット特性を満足しない別の例として、0拡張された8−PSKアルファベット
から生成されたユニタリ行列を使用して(スケーリング因子まで)、
SCBを拡張することができる。また、さらに又はこれに替えて、
及び
SCBを、
SCBを生成する前に、その他の好適な態様で拡張することができる。
【0053】
図3は、本開示の一実施形態に係る、プリコーディングコードブックを生成する方法を概略的に示したフローチャートである。例に示されるように、8つの送信アンテナポートに対するプリコーディングコードブックは、2つの送信アンテナポート及び4つの送信アンテナポートに対して規定されたプリコーディング行列を使用して生成される。本開示の一実施形態に係る、プリコーディング行列の様々な組み合わせを使用して、様々な数のアンテナポートに対するプリコーディングコードブックの生成について考えた。幾つかの実施形態では、方法は、送信機20におけるモジュール60によって実行される。別の実施形態では、方法は、好適なコンピュータを使用して予め実行され、得られたコードブックが、送信機20に提供される。
【0054】
図3に示す方法は、入力オペレーション80で始まり、最大階数の
及び
SCBを受け付ける。図に示した例では、最大階数生成オペレーション84において、最大階数
SCBが、上記の式3のプロセスを使用して
及び
SCBから生成される。
SCBの各プリコーディング行列は、
SCBから選択された1行列と、
SCBから選択された1行列との間のクロネッカー積を計算することにより生成される。
【0055】
低階数生成オペレーション88では、より小さい階数のSCB
r<8が、最大階数SCB
から導かれる。幾つかの実施形態では、導かれたSCBは、希薄オペレーション92において希薄される。上述したように、クロネッカー積を使用して必ずしも生成されたものでない更なる行列を使用して、SCBを拡張することができる。
【0056】
この例では、
図3の方法の出力は、8Txコードブックであり、このコードブックは、様々な階数r=1、・・・、8に対するSCBを含む、すなわち、
である。
【0057】
図4は、本開示の一実施形態に係る、2つ及び4つの送信アンテナポートに対して規定されたプリコーディング行列を使用して、8つのアンテナポートを有する送信機におけるプリコーディングの方法例を概略的に示したフローチャートである。方法は、フィードバックオペレーション100で始まり、送信機20が、受信機からフィードバックを受信する。フードバックは、受信機に好適な
のコードブックにおける特定の8Txプリコーディング行列を示す。
【0058】
選択オペレーション104では、送信機内のモジュール60が、フィードバックに基づいて適切なプリコーディング行列を選択する。そしてモジュール60は、メモリ64(
図1)に格納されている2Txコードブック68及び4Txコードブック72に基づいて、この行列を計算する。検索オペレーション108では、モジュール60は、クロネッカー積が所望の8Txプリコーディング行列を生成するような適切な2Txプリコーディング行列及び4Txプリコーディング行列を検索する。計算オペレーション112では、モジュール60が、検索された2Txプリコーディング行列及び4Txプリコーディング行列から、所望の8Txプリコーディング行列を計算する。計算は、例えば、上記の式3に基づいて行われる。そして、モジュール60は、得られた8Txプリコーディング行列を使用してプリコーダ40を設定する。
【0059】
プリコーディングオペレーション116において、プリコード40は、選択された8Txプリコーディング行列を使用して、送信に対するr個の空間層をプリコードする。送信オペレーション120では、送信機20が、Txアンテナポート52上で、プリコードされた空間層を受信機に対して送信する。
【0060】
図4の方法を使用する場合、送信機20は、8Txコードブック
をメモリに格納する必要はなく、低次元の2Txコードブック及び4Txコードブックのみを格納すればよい。したがって、送信機におけるメモリの必要量を大幅に低減させることができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、送信機は、受信機によって要求された通りのプリコーディング行列を適用しない。その替わりに、送信機は、要求された行列と共に追加の条件を使用して、ダウンリンク送信をプリコーディングするためのプリコーディングスキーム(例えば、プリコーディング行列)を選択する。これらの追加の条件は、必ずしも受信機に知らせておかなくてもよい。例えば、プリコーディングスキームは、プリコーディングの結果、その他の受信機に生じた影響又は干渉を考慮してもよく、及び/又は、同じ時間−周波数リソースで別の受信機に送信を行った結果、受信機に生じた干渉を考慮してもよい。別の例としては、同じ受信機への協働送信のセットからの合同送信の場合が挙げられ、この場合、それぞれで採用されるプリコーディングは、協調的な方法で選択される。これらの実施形態において、最終的に送信機によって適用されるプリコーディング行列は、必ずしもコードブックから選択されなくてもよい。本明細書に開示する方法は、コードブックに基づかないプリコーディングスキームにおいても、好適に使用することができる。
【0062】
本明細書に記載される実施形態では、送信機によって使用される空間層の最大数は、送信機アンテナポートの数N
Tに等しい。別の実施形態では、送信機は、N
Tよりも小さい数の、層の最大数(R1と表記)を使用してもよい。例えば、送信機は、8個のTxアンテナポートを有してもよく、6つの空間層までプリコード可能であってもよい。これらの実施形態においては、送信機は、コードブックの関係する部分のみを生成してもよく、本例の場合は、
のみを生成してもよい。
【0063】
クロネッカー積を使用して生成されたプリコーディング行列は、例えば、直交偏波アンテナ配列を有する送信機において好適に使用されてもよい。例えば、4つの直交偏波の組の直線配列に並べられた8つの送信アンテナを使用する場合、クロネッカー積における2×2プリコーディング行列は、2次元偏光空間における"回転"と関連付けられていてもよく、これに対して、4×4プリコーディング行列は、所定の固定された偏光における好適なプリコーディングと関連付けられてもよい。この場合、このアンテナ配列からの効率的なビーム形成を可能とするためには、低階数のSCB行列に保持するように希薄プロセスを実行するのが有益である場合があり、低階数のSCB行列の列は、
の形式のベクトルvに比例し、すなわち、(回転された)4×4DFTマトリクスの列による
のベクトルのクロネッカー積に比例する。(上記の式のインデックスは、直線配列のアレイのうち第1のアレイのアンテナ要素は、0,・・・,3、と番号が付され、第2のアレイのアンテナ要素には、4,・・・,7の番号が付されている。これに替えて、その他の好適な番号付けのスキーム又は決まりを使用してもよい。例えば、プリコーディング行列要素の並び替え、又は、一般的には、プリコーディング行列の行の並び替えを伴う番号付けの決まりを適用してもよい。)本明細書に開示された方法は、特定のアンテナは位置に限定されず、あらゆる適切なアンテナ配置に使用することができる。別の実施形態では、SCBのプリコーディング行列は、送信アンテナの所望の幾何学的配置に適合するように選択することができる。
【0064】
本明細書に記載された実施形態は、主に、2つの正方行列のクロネッカー積を使用してプリコーディング行列を生成することについて説明したが、本発明の原理は、その他の好適な態様で、アンテナポートの少ない数に対して規定されたプリコーディング行列からN
T個のアンテナポートに対するプリコーディング行列を生成するのに、適用することができる。例えば、
が成り立つ複数の行列
を連結する(すなわち、複数行列の列を組み合わせる)ことによって、
のプリコーディング行列Wを生成することを考えてもよい。別の例として、
のプリコーディング行列Wを、
で表されるクロネッカー三重積として生成することを考えてもよい。
【0065】
上述した実施形態は、例として示されたに過ぎず、本発明は、ここに記載し示したものに限定されない。本発明の範囲は、本明細書に記載した様々な特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションの両方を含み、また、本明細書を読むことにより当業者であれば想到するような従来技術に開示されていない改良及び変形例についても本発明の範囲に含まれる。