【課題を解決するための手段】
【0018】
上述された目的及び他の目的を達成するよう、本発明は:
・ 患者の骨盤における寛骨臼窩洞にアンカーされるよう適合された実質的に半球形である凸状外部アンカー面を備え、また、環状エッジを有する凹状受容面を備える、金属挿入シェル、及び、
・ 該挿入シェルの凹状受容面において係合される外部面を備え、また、大腿骨人工頭又は可動関節インサートの係合及びピボットを可能にするよう実質的に半球形である凹状関節表面を含む内部受容面を備える、セラミック固定最終関節インサート、
を有する人工寛骨臼を提案する。該セラミック固定最終関節インサートは、約4mmより薄いか、あるいはそれと同等である厚さを備える。挿入シェルは、環状受容構造を有する。該環状受容構造は、挿入シェルに挿入される固定最終関節インサートの受容面を越えて突出し、また、インパクターがセラミック固定最終関節インサートの存在下で該環状受容面に対して固定され得るよう適合され得る環状受容面を有する。挿入シェルは、環状エッジの近くにおいて、約4mmより薄いかあるいは同等であり且つ2mmより大きい厚さを備える。
【0019】
挿入シェル及び関節インサートの薄い厚さにより、最大寸法は、大腿骨頭及び凹状関節表面に対して与えられ、その後の使用中における関節の脱臼の危険性を効率的に低減する。同時に、かかる薄い厚さにも関わらず、環状受容構造は、インパクターによるインパクション中に人工寛骨臼の効率的な保持を与えるだけではなく、インパクションに先立って組み立てられるときに挿入シェルと関節インサートとの間に効率的な協働を与える。この協働は、セラミック関節インサートが挿入シェルと接触したままとなり且つなんらかの力を吸収するため、インパクション中の挿入シェルの変形の危険性を低減する。この協働はまた、インパクション中に関節インサートの破裂の危険性を低減する。インパクション力は、挿入シェルに対して加えられ、その後、セラミック関節インサートにわたって分配されるよう伝達される。インパクション後、この協働はまた、変形されていない挿入シェルと関節インサートとの間において機械力が通常の分配方途において伝達されるため、関節インサートのその後の破裂の危険性を低減する。
【0020】
留置中、挿入シェルは、固定最終関節インサートに対して取り付けられたままである。そのため、かかる2つの部分の間における接触面(interface)は、アクセス不可能であり且つ滅菌されたままであり、手術中に汚染される危険性がない。
【0021】
末梢受容構造(peripheral receiving structure)は、挿入シェルへと挿入される固定最終関節インサートの受容面を越えて突出するため、また、環状エッジ付近、即ち末梢受容構造を構成する範囲における挿入シェルの十分な厚さにより、挿入シェルの中心において与えられるねじ穴に対するアクセスを防ぐ固定最終関節インサートの存在にも関わらず、挿入シェルに対するインパクターの信頼性の高い固定は可能である。
【0022】
更に、人工器官の使用の極端位置(extreme positions)において、人工大腿骨頭を有する人工ネックは、突出する末梢受容構造に対して位置する(bear against)ようになる。故に、人工ネックは、固定最終セラミックインサートで終端せず、したがって局所的点荷重の印加によって損傷される危険性がない。
【0023】
環状受容面は望ましくは、挿入シェルの凹状受容面から延在し、またそこに連続し、故に挿入シェルの内部面の環状部分である。かかる末梢受容構造は、小型であり且つ通常の製造手段を使用して容易に製造される。この末梢受容構造はまた、挿入シェルと一個構成であり、故に、人工器官の優れた固定及び優れた配向に対して外科医が必要な力を加え得るよう信頼性が高い。
【0024】
人工寛骨臼は、留置及び配向インサートと有利に関連付けられ得、挿入シェルの末梢受容構造に対して取外し可能に固定され、インパクターが取外し可能に固定され得る組立体構造を有する。挿入シェルの末梢に対して固定されるこの種類のインサートは、人工器官を固定及び配向するよう外科医によって加えられる力のシェルにわたる優れた分布を達成する。
【0025】
本発明の他の有利な態様によれば、人工寛骨臼は、挿入シェルにおいて係合されるセラミック固定最終関節インサート、及び挿入シェルに対して固定される留置及び配向インサートを有して、滅菌状態において組み立てられてパッケージされる。
【0026】
かかる組合せ(コンビネーション)の1つの利点は、留置及び配向インサートが輸送及び操作中にセラミック関節インサートを挿入シェルにおいて保持する、ことである。故に、挿入シェルにおいて単純に係合され、また、人工寛骨臼の留置前の偶発的な除去の危険性を有することなく、外科医の所望に応じてそこから除去され得る、関節インサートを与えることが可能である。この組合せは、関節インサート及び挿入シェルの厚さ特徴とは無関係に使用され得る。
【0027】
関節インサートを更に強化するよう、挿入シェルの環状受容面に対して固定される留置及び配向インサートは、セラミック固定最終関節インサートの内部受容面上に位置し(bear on)得るか、あるいはそこから小さな距離を置き得る。
【0028】
代替的に、あるいはこれに加えて、環状受容面に対して固定される留置及び配向インサートは、挿入シェルにおいてそれを保持するようセラミック固定最終関節インサート上に位置するようになるよう適合される1つ又はそれより多くの突出する弾性リブを有し得る。
【0029】
留置及び配向インサートは、容易に滅菌され得且つ外科的環境において使用され得る低コスト材料である、ポリエチレンを有し得る。
【0030】
組立体構造は望ましくは、留置及び配向インサートにおいて形成される固定ねじ山(threaded fixing hole)を有し得、インパクターの対応するねじ部(threaded portion)のねじ込みを可能にする。これは、既知の入手可能であるインパクターの使用が可能である、単純で信頼性が高く安価な組立体構造を作る。
【0031】
本発明の第1の有利な実施例によれば:
・ 末梢受容構造は、連続的あるいは非連続的環状溝を有し得、
・ 留置及び配向インサートは、該環状溝において弾性的に係合される連続的あるいは非連続的環状リブを有し得る。
【0032】
本発明の第2の有利な実施例によれば:
・ 末梢受容構造は、雌ねじ又は雄ねじを有し得、
・ 留置及び配向インサートは、留置及び配向インサートを末梢受容構造に対してそれをねじ込むことによって取外し可能に固定するよう、末梢受容構造のねじ山に対応する雄ねじ又は雌ねじを有し得る。
【0033】
したがって、多種の末梢受容構造並びに留置及び配向インサートは、製造が容易且つ安価であり、また、人工器官の優れた固定及び配向に対して外科医が必要な力を加えることができるよう十分な強度を与える。
【0034】
本発明の第1の実施例において、固定ねじ穴は、有利には開放穴であり得、留置及び配向インサートの固定穴へのねじロッドのねじ込み中、固定最終関節インサートの凹状関節表面に対して位置するよう適合される遠位端部を備え、固定穴へとねじ込まれるよう適合される、ねじロッド(threaded rod)を有する分離ツールと協働するよう適合される。
【0035】
あるいは、本発明の第1の実施例において、以下のことが有利に与えられ得る:
・ 留置及び配向インサートは、留置及び配向インサートが挿入シェルの末梢受容構造に対して固定されると、留置及び配向インサートと固定最終関節インサートの凹状関節表面の下部との間において自由空間が残されるよう適合される。
・ 留置及び配向インサートは、挿入シェルの短い環状伸張部(short annular extension)におけるその末梢において密封接触され得る。
・ 固定穴は、開放穴であり得、外部と、留置及び配向インサートと固定最終関節インサートとの間における自由空間との間において連通を与え、また、そこにシリンジの端部を密封して係合する寸法にされる。
【0036】
本発明の他の態様は、人工股関節寛骨臼を製造する方法を提案する。当該方法は:
a) 凹状受容面及び突出する環状受容面を備える金属挿入シェルを与える段階、
b) 外部面及び凹状関節表面を備えるセラミック関節インサートを与える段階、
c) 挿入シェルの凹状受容面において関節インサートの外部面を係合させる段階、及び、
d) 細菌防御(プロテクション)エンベロープにおいて形成される組合せを滅菌する段階、
を有する。
【0037】
利点は、特に関節インサートと挿入シェルとの間の接触面において人工器官をより滅菌させること、及び、同時に挿入シェルにおいて取外し可能に単純に係合される関節インサートの使用を可能にすること、である。
【0038】
滅菌は、ガンマ線の照射によって、関節インサート及び挿入シェルの組立て後にもたらされ得る。この種類の滅菌工程は、使用される材料、即ち挿入シェルの金属及び関節インサートのセラミックに対応するものである。
【0039】
当該方法は更に、滅菌前に、留置及び配向インサートを挿入シェルに対して固定する段階、という追加的な段階c1)を有利に有し得る。
【0040】
この方法は、留置及び配向インサートを固定する段階を有する方法を有しても有さなくても、関節インサート及び挿入シェルの特定の厚さ特徴の存在又は欠如とは無関係に使用され得る。
【0041】
本発明の他の態様は更に、その後に続く段階:
e) 手術室において密封されたエンベロープを開放する段階、
f) インパクターを人工寛骨臼に対して固定する段階、及び、
g) 骨における寛骨臼窩洞において人工寛骨臼を係合し、骨に対して固定するよう人工寛骨臼にインパクト(衝撃)を与える(impacting)段階、
を有するかかる方法を提案する。
【0042】
本発明の他の目的、特性、及び利点は、添付の図面を参照して与えられる、以下における特定の実施例の説明から明らかとなる。