(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明による消火栓用ホース試験装置により試験を行う消火栓装置を正面から示した説明図である。
図1において、消火栓装置10は架台11の上に設置されており、右側前面に、下側を軸に手前に開く消火栓扉12と、上側を軸に上向きに開く保守扉14を設け、更に左側に消火器扉16を設けている。消火器扉の右側には通報装置扉18が設けられ、ここに赤色表示灯20、発信機21及び応答ランプ22を設けている。赤色表示灯20は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。
【0022】
火災時には発信機21を押してスイッチ釦をオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて応答ランプ22を点灯するようにしている。
【0023】
図2は
図1について扉側を外して内部構造を示した正面図である。
図2において、消火栓装置10の中央部にはホース収納部24が形成され、その右側にバルブ類収納部26を形成している。
【0024】
ホース収納部24にはU字型に形成したバケットフレーム34が対向側に配置され、その両側にはホースバケット30が取り付けられ、内部にホース28を内巻きして収納している。ホース収納部24の右側に配置したバルブ類収納部26には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口35からホース継手46に至る給水配管系統に、給水弁36、消火栓弁38、自動調圧弁40、自動排水弁42、更に継手構造のメンテナンス用装置44を設けており、メンテナンス用装置44の2次側をホース継手46として、ここにホース28の1次側のホース端部を接続している。
【0025】
図3は
図1について内部構造を示した平面図である。
図3において、ホース収納部24の手前側にバケットフレーム34が配置され、バケットフレーム34の両側にはホースバケット30が取り付けられ、これによってホース収納部24を仕切り形成し、内部にホース28が内巻き状態で収納されている。
【0026】
ホース収納部24及びバルブ類収納部26の前面の開口側には消火栓扉12が設けられ、図示の開放状態で消火栓扉12の内側に、ホース28の先端に接続したノズル48をノズルホルダ47に嵌め込んで収納しており、ホース収納部24から引き出されたホース28は扉内面に配置した2本の逆U字型のホースガイド50を通って引き出されている。
【0027】
また消火栓扉12の内側の右端には消火栓弁開閉レバー52が設けられており、消火栓弁開閉レバー52はワイヤーにより
図2に示した消火栓弁38に接続され、レバー操作によるワイヤーの動きで消火栓弁38を開閉するようにしている。
【0028】
消火栓弁開閉レバー52を図示の閉鎖位置から手前の開放位置に操作すると、消火栓弁36が開放位置に作動される。同時に、消火栓弁開閉レバー52の背後に設置しているスイッチがオンし、これによってポンプ設備に信号が送られ、ポンプ設備が起動され、加圧消火用水が供給される。
【0029】
開放位置に消火栓弁56が作動されると、配管内の圧力が上昇し、自動排水弁42は閉鎖位置に作動される。これによって、給水接続口35から加圧された消火用水を自動調圧弁40を通して所定圧に調圧した後、メンテナンス用装置44を経由してホース28側に供給し、ノズル48から放水することができる。
【0030】
図4は消火栓装置に設けたメンテナンス用装置を取り出して示した断面図である。
図4において、メンテナンス用装置44は玉形弁の弁ボディなど利用した継手本体45の一方に1次ポート54を形成すると共に反対側に2次ポート55を形成し、その間に隔壁56を設けて1次ポート側隔室56aと2次ポート側隔室56bとに分け、隔壁56には弁穴57が開口している。
【0031】
隔壁56の弁穴57に相対した両側の継手本体45の位置には第1治具取付口58aと第2治具取付口58bが形成され、そこに蓋59を捩じ込み固定して閉鎖している。
【0032】
図5は本発明によるホース破損試験に使用する消火栓用ホース試験装置の実施形態を示した説明図であり、
図5(A)に第1試験治具60を示し、
図5(B)に第2試験治具70を示している。
図5(A)の第1試験治具60は、ホース先端のノズルを外して装着される治具であり、第1試験治具60を介して、コンプレッサにより加圧した所定圧の空気圧をホース内に注入するようにしている。
【0033】
第1試験治具60の右側にはホース差込継手62が設けられ、ノズルを外したホース先端に接続可能としている。ホース差込継手62に続いては、T字継手によってコック弁66を介して圧力計68が接続されている。
【0034】
続いて空気注入弁64が設けられ、更にレギュレータ65を接続している。レギュレータ65は左側にコンプレッサからのホースを接続する流入口を持ち、入力する空気圧の範囲内で任意に設定した空気圧を出力することができ、破損試験時に要求される規定の空気圧をホース内に容易に注入することができる。
【0035】
空気注入弁64は、図示の開位置と、レバーを90度回した閉位置とに切り替えるいわゆる2方弁であり、そのバルブ構造により閉鎖位置としたとき十分な機密が保たれて、ホース側に注入した空気圧が漏れ出すことは無に近い。
【0036】
図5(B)の第2試験治具70は、
図2に示した消火栓装置10におけるメンテナンス用装置44に装着され、試験時にメンテナンス用装置44の1次側と2次側を遮断すると同時に、ホース側となるメンテナンス用装置44の2次側を外部に連通する。
【0037】
即ち第2試験治具70は、アダプタ72の一端にメンテナンス用装置44に装着する先端に開口したスリーブ74を備えると共に他端に配管接続口73を備えており、スリーブ
74の先端側にはOリング74aが装着され、配管接続口73には空気抜き弁76が接続されている。
【0038】
アダプタ72は、スリーブ74の先端から配管接続口73に至る内部通路を備えており、図示の空気抜き弁76の開位置にあっては、スリーブ74の開口を空気抜き弁76を介して外部に連通している。また空気抜き弁76は図示の開位置とレバーを直角に回した閉位置とを切り替える2方弁であり、
図5(A)の空気注入弁64と同様、閉位置に切り替えたときのホース接続側の空気漏れに対する密閉度はきわめて高く、ほとんど空気漏れは起きない。
【0039】
図6は
図5の実施形態による消火栓装置のホースに対する試験治具の接続状態を模式的に示した説明図であり、併せてメンテナンス用装置44の内部構造を断面で示している。
【0040】
図6において、ホース破損試験の際には第1試験治具60を、ノズルを外したホース28の先端に接続する。即ち
図7に示すように、ノズル48が装着されたホース28を消火栓装置から取り出し、ホース28の先端からノズル48を外した後に、ホース28の先端に第1試験治具60のホース差込継手62を接続し、
図6の接続状態とする。
【0041】
また消火栓装置10に設けているメンテナンス用装置44に対し、第2試験治具70を装着する。即ち、
図4に示したように第1治具取付口58aを閉鎖している蓋59を外し、第2試験治具70のアダプタ72に設けているスリーブ74を第1治具取付口58aから嵌め入れる。第1治具取付口58aに対するアダプタ72の装着固定は、圧入による固定でも良いし、第1治具取付口58aのネジ穴に対しアダプタ側のネジ部を捩じ込み固定しても良い。
【0042】
アダプタ72が第1治具取付口58aに装着されると、スリーブ74のOリング74aを装着した先端側が弁穴57に挿入されて閉鎖し、これによってメンテナンス用装置44の1次ポート54と2次ポート55を密閉状態に仕切る。また第2試験治具70をメンテナンス用装置44に装着した状態で、スリーブ74の先端の開口を介して2次ポート側隔室56bが空気抜き弁76を介して外部に連通可能な状態となっている。
【0043】
このような
図6におけるホース28の先端側に対する第1試験治具60の装着、及びホース2次側に位置するメンテナンス用装置44に対する第2試験治具70の装着で試験の準備が完了したならば、第2試験治具70の空気抜き弁76を閉じ、第1試験治具60の空気注入弁64を開いた状態でレギュレータ65にコンプレッサからのホースを接続し、レギュレータ65で調圧された所定の空気圧を空気注入弁64及びホース差込継手62を介してホース28内に注入する。
【0044】
ホース28に対する空気圧の注入に伴って圧力計68の表示圧力が増加し、レギュレータ65で調圧された所定圧に達して圧力増加が安定したならば、このとき空気注入弁64を閉鎖してコンプレッサによる空気圧の供給を停止した状態で、所定時間、ホース28内に空気圧を保持させる。このホース28に空気圧を保持した状態で所定期間に圧力計68の指示値に低下がなければ、ホース28に傷がないことが確認できる。
【0045】
ホース28の破損試験が完了したならば、第2試験治具70に設けている空気抜き弁76を閉位置から開位置に切り替え、ホース28に保持していた空気圧を第2試験治具70の空気抜き弁76から外部に排出させる。
【0046】
このホース28の空気圧を空気抜き弁76から排出させる際に、ホース28内にもし水が残っていた場合には、空気抜き弁76からの空気圧の排出に伴ってホース28内の水を排出させることができる。
【0047】
また空気抜き弁76を開いて空気を抜いたときに水が排出されるようであれば、ホース28内に消火用水が残って水抜きが十分にできていないことがわかることから、そのような場合には改めて第2試験治具70の空気抜き弁76を閉じ、第1試験治具60の空気注入弁64を開いて、ホース28内に空気圧を注入し、注入後に空気注入弁64を閉じ、続いて空気抜き弁76を開いて空気圧を排出させることで、ホース28内の水抜きを行い、これを何回か繰り返すことで、ホース28に残っている水を完全に抜くことができる。この水抜きの作業はホース破損試験の前に行っても良く、ホースをホース収納部に収納したままで水抜きを容易に行うことができる。なお、メンテナンス用装置44において、ホース内の水を抜きやすいように、第2試験治具を挿入する第1治具取付口58aを消火栓装置の横方向(装置の手前方向)もしくはやや斜め下方向に開口したほうが水が抜けやすい。
【0048】
図8は圧力計を第2試験治具に設けた本発明による試験装置の他の実施形態を示した説明図である。
図8において、ホース28のノズルを装着していた先端側に取り付ける第1試験治具60は、ホース差込継手62、空気注入弁64及びレギュレータ
65を備えており、一方、メンテナンス用装置44に装着して使用される第2試験治具70には、配管接続口73とスリーブ74を備えたアダプタ72及び空気抜き弁76に加え、空気抜き弁76の1次側にT継手を介してコック弁66を備えた圧力計68を接続している。
【0049】
この
図8の実施形態にあっても、
図6の実施形態と同様に、第1試験治具60をノズルを外したホースの先端に装着し、第2試験治具70をメンテナンス用装置44に装着し、コンプレッサからレギュレータ65により所定の空気圧をホース28に注入して一定時間保持し、この保持状態における圧力を圧力計68の指示で確認し、圧力低下がなければ、ホース28に破損がないことが確認できる。
【0050】
この場合、圧力計68をホース2次側のメンテナンス用装置44に装着する第2試験治具70に設けていることで、消火栓装置側で圧力計68の指示を見ることができる点で便利である。また、ホースの途中で詰まり部分がある場合は、第1試験治具
60から空気圧を注入しても第2試験治具70まで空気がいかないため、第2試験治具70の圧力計68が作動しないことになるため、ホースの詰まりや折れを容易に発見できる。
【0051】
図9は圧力計を第1試験治具と第2試験治具の両方に設けた本発明による試験装置の他の実施形態を示した説明図である。
図9において、ノズルを外したホース28の先端に装着される第1試験治具60は
図6の実施形態と同じであり、圧力計が2台設けられることから、その符号を68−1としている。またメンテナンス用装置44に設けられる第2試験治具70は
図8の実施形態に示したものと同じであり、その符号を68−2としている。
【0052】
このように圧力計68−1,68−2をホース28の先端側の第1試験治具60とホース根元側のメンテナンス用装置44に装着する第2試験治具70のそれぞれに設けたことで、ホース28に所定の圧力を注入して保持した状態での圧力低下有無の観察が1次側と2次側の両方ででき、2つの圧力計68−1,68−2で圧力低下の有無をチェックすることで、より確実なホース28の破損の有無を判断することができる。また、両方の圧力計の指示変動の差を見ることにより、より詳細なホースの破損状況を確認することができる。
【0053】
図10は
図6の実施形態とは逆にメンテナンス用装置44側から空気圧を注入する本発明による試験装置の他の実施形態を示した説明図である。
図10において、第1試験治具60はメンテナンス用装置44に装着される。第1試験治具60は一端にスリーブ74を備えると共に他端に配管接続口73を備えたアダプタ72を有し、アダプタ
72の配管接続口73に空気注入弁64を配管接続し、その1次側にレギュレータ65を接続している。
【0054】
一方、ホース28のノズルを外した先端側に装着される第2試験治具70は、ホース差込継手62に続いて、T字継手を介してコック弁66を備えた圧力計68を接続し、更にホース差込継手62の右側に空気抜き弁76を接続している。
【0055】
この
図10の実施形態にあっては、第1試験治具60のアダプタ72に設けたスリーブ74をメンテナンス用装置44の第1治具取付口
58aに挿入することで、スリーブ74の先端のOリング74aを装着した部位が弁穴
57に挿入され、1次ポート54と2次ポート55を切り離し、同時に2次側ポート隔室56bをスリーブ74の先端の開口からスリーブ74の内部通路を介して空気注入弁64を接続した配管接続口73に連通する。
【0056】
ホース28の破損試験の際には、ノズルを外したホース28の先端に装着した第2試験治具70の空気抜き弁76を閉じ、一方、メンテナンス用装置44に装着した第1試験治具60の空気注入弁64を開き、レギュレータ
65に対しコンプレッサから空気圧を供給し、レギュレータ
65で所定圧に調圧した空気圧を、空気注入弁64及びアダプタ72を介して、弁穴
57を閉鎖しているスリーブ74の先端から第2ポート55を介してホース28に注入する。
【0057】
空気圧の注入により第2試験治具70に設けている圧力計68の指示が所定圧に達することを確認したならば、第1試験治具60の空気注入弁64を閉じ、レギュレータ
65に対するコンプレッサからの空気圧の供給を停止する。空気圧注入弁64を閉じたならば、一定時間のあいだ圧力計
68の指示を確認し、圧力計68の指示が低下しなければ、ホース28に破損がないことが確認できる。
【0058】
ホース28の破損試験が終了したならば、第2試験治具70の空気抜き弁76を開いてホース28に保持していた空気圧を外部に排出させる。このときホース28内に水が残っていれば、空気抜き弁76の開放による空気圧の抜きに伴い、ホース28に残っていた水が空気抜き弁76から排出される。またホース28の水抜きを十分にするためには、空気注入弁64を開いてコンプレッサからの空気圧をホース28に注入し、注入した後に空気抜き弁76を開いて空気圧を抜く操作を何回か繰り返せばよい。この実施形態においては、第2試験治具70の空気抜き弁76が横方向もしくは下方向に開口することができるため、水抜き作業を行いやすい。
【0059】
また
図10の実施形態にあっては、第2試験治具70側に圧力計68を設けているが、圧力計68を第1試験治具60側に設けてもよいし、第1試験治具60と第2試験治具70の両方に設けるようにしてもよい。
【0060】
図11は本発明による消火栓用ホース試験装置の他の実施形態を示した説明図であり、
図11(A)に第1試験治具60を示し、
図11(B)に第2試験治具70を示している。
図11(A)の第1試験治具60は、
図6の実施形態と同じであり、ホース差込継手62、コック弁66、圧力計68、空気注入弁64及びレギュレータ65を備えている。
【0061】
図11(B)の第2試験治具70は、アダプタ72の一端に先端を閉鎖した盲スリーブ77を備えると共に他端に配管接続口73を備え、配管接続口73に空気抜き弁76を接続している。盲スリーブ77の先端にはOリング74aが装着され、その背後の周面に連通穴78を複数形成し、内部通路を介して配管接続口73に連通させている。
【0062】
図12は
図11の実施形態による消火栓装置のホースに対する試験治具の接続状態を模式的に示した説明図であり、併せてメンテナンス用装置44の内部構造を断面で示している。
【0063】
図12において、ホース破損試験の際には第1試験治具60を、ノズルを外したホース28の先端に接続する。
【0064】
また消火栓装置10に設けているメンテナンス用装置44に対し、第2試験治具70を装着する。即ち、
図5に示したように第2治具取付口58bを閉鎖している蓋59を外し、第2試験治具70のアダプタ72に設けている盲スリーブ77を第2治具取付口58bから嵌め入れる。第2治具取付口58bに対するアダプタ72の装着固定は、圧入による固定でも良いし、第2治具取付口58bのネジ穴に対しアダプタ側のネジ部を捩じ込み固定しても良い。
【0065】
アダプタ72が第2治具取付口58bに装着されると、盲スリーブ77のOリング74aを装着した先端側が弁穴57に挿入されて閉鎖し、これによってメンテナンス用装置44の1次ポート54と2次ポート55を密閉状態に仕切る。また第2試験治具70をメンテナンス用装置44に装着した状態で、盲スリーブ77の先端周面の連通穴78を介して2次ポート側隔室56bが空気抜き弁76を介して外部に連通可能な状態となっている。
【0066】
このような
図12におけるホース28の先端側に対する第1試験治具60の装着、及びホース2次側に位置するメンテナンス用装置44に対する第2試験治具70の装着で試験の準備が完了したならば、第2試験治具70の空気抜き弁76を閉じ、第1試験治具60の空気注入弁64を開いた状態でレギュレータ65にコンプレッサからのホースを接続し、レギュレータ65で調圧された所定の空気圧を空気注入弁64及びホース差込継手62を介してホース28内に注入する。
【0067】
ホース28に対する空気圧の注入に伴って圧力計68の表示圧力が増加し、レギュレータ65で調圧された所定圧に達して圧力増加が安定したならば、このとき空気注入弁64を閉鎖してコンプレッサによる空気圧の供給を停止した状態で、所定時間、ホース28内に空気圧を保持させる。ホース28に所定の空気圧を保持させる時間は例えば10秒程度の時間でよい。このホース28に空気圧を保持した状態で圧力計68の指示値に低下がなければ、ホース28に傷がないことが確認できる。
【0068】
ホース28の破損試験が完了したならば、第2試験治具70に設けている空気抜き弁76を閉位置から開位置に切り替え、ホース28に保持していた空気圧を第2試験治具70の空気抜き弁76から外部に排出させる。
【0069】
また、このホース28内にもし水が残っていた場合には、空気抜き弁76からの空気圧の排出に伴ってホース28内の水を排出させることができる。
【0070】
図13はホース破損試験の際にメンテナンス用装置に装着する本実施形態の第2試験治具と、同じくメンテナンス用装置に装着して実放水による水圧試験を行う水圧試験治具を示した説明図である。
【0071】
図13(A)はメンテナンス用装置44に対する第2試験治具70の装着を示しており、これは
図6と同じである。
図13(B)はメンテナンス用装置44に対する水圧試験治具80の装着を示している。
【0072】
水圧試験治具80は、アダプタ82の一端に先端を閉鎖した盲スリーブ84を備えると共に他端に配管接続口83を備え、配管接続口83に試験用ノズル90と圧力計92を装着した試験用ホース88を装着している。盲スリーブ84の先端にはOリング84aが装着され、その背後の周面に連通穴86を複数形成し、内部通路を介して配管接続口83に連通させている。
【0073】
水圧試験治具80をメンテナンス用装置44に装着して行う水圧試験は、
図3に示したように、開放した消火栓扉12の内側に配置している消火栓弁開閉レバー52を開位置に操作し、これにより消火栓弁38を開くと共に消火ポンプを起動し、加圧された消火用水を
図2の消火栓弁38、自動調圧弁40からメンテナンス用装置44に装着した水圧試験治具80の試験用ホース88に供給し、試験用ノズル90から放水される。この試験放水時の水圧を圧力計92で読取ることで、自動調圧弁40による調圧を確認できる。
【0074】
このように第2試験治具70と水圧試験治具80を消火栓装置に設けた同じメンテナンス用装置44に装着することで、ホース破損試験と水圧試験を同じ保守点検作業の中で行うことができ、保守作業の効率を高めることができる。
【0075】
図14はホース破損試験に使用する第2試験治具と水圧試験に使用する試験用ホースをメンテナンス用装置に装着可能とするアダプタの実施形態を示した説明図であり、
図14(A)に本実施形態のアダプタを示し、
図14(B)にホース破損試験の第2試験治具としての装着を示し、
図14(C)に水圧試験治具としての装着を示している。
【0076】
図14(A)において、アダプタ72は一端にスリーブ74を備え、スリーブ74の先端側にはOリング74aが装着され、スリーブ先端には内部への連通穴75が開口されている。アダプタ72の反対側にはワンタッチ継手94が装着され、ここにホース破損試験に使用する空気抜き弁または水圧試験に使用する試験用ノズルと圧力計を備えた試験用ホースを着脱自在としている。
【0077】
図14(B)はホース破損試験のためにアダプタ72を用いて第2試験治具70をメンテナンス用装置44に装着している。即ち、メンテナンス用装置44の第1治具取付口58aの蓋
59を外し、そこにアダプタ72のスリーブ74を挿入してスリーブ先端のOリング74aの部位を弁穴57に挿入して1次ポート54と2次ポート55を切り離すと共に、2次ポート側隔室56bをスリーブ74内の連通路を介してワンタッチ継手94側に連通し、そこに空気抜き弁76を接続している。
【0078】
勿論、ホース先端については、
図7に示したように、装着しているノズル48を外し、第1試験治具60を装着し、ホースに加圧空気を注入できるようにしている。
【0079】
図14(C)は水圧試験のためにアダプタ72を用いて水圧試験治具80をメンテナンス用装置44に装着している。即ち、
図14(B)のホース破損試験の場合とは逆に、メンテナンス用装置44の第2治具取付口58bの蓋
59を外し、そこにアダプタ72のスリーブ74を挿入してスリーブ先端のOリング74aの部位を弁穴57に挿入して1次ポート54と2次ポート55を切り離すと共に、1次ポート側隔室56aをスリーブ74内の連通路を介してワンタッチ継手94側に連通し、そこに試験用ノズル90と圧力計92を備えた試験用ホース88を接続している。
【0080】
このように共通のアダプタ72を使用したメンテナンス用装置44に対する試験治具の装着で、同じ保守作業の際に、ホース破損試験と実放水による水圧試験を効率良く行うことができる。
【0081】
図15はメンテナンス用装置に対する挿入位置の変更により、ホース破損試験に使用する第2試験治具と水圧試験に使用する試験用ホースの装着可能とするアダプタの実施形態を示した説明図であり、
図15(A)に本実施形態のアダプタを示し、
図15(B)にホース破損試験の第2試験治具としての装着を示し、
図15(C)に水圧試験治具としての装着を示している。
【0082】
図15(A)において、アダプタ72は一端に盲スリーブ74を備え、盲スリーブ74の長さは、
図15(B)に示すように、第1治具取付口
58aから挿入した場合に、弁穴57を通ってスリーブ先端が反対側の第2治具取付口58bの内側に挿入される長さとしている。
【0083】
盲スリーブ74の略中央にはネジ部96が形成される。また盲スリーブ74の先端側及びネジ部96の下側にはOリング74a、74bが装着され、その間のスリーブ周面に内部に連通する複数の連通穴78を開口している。
【0084】
アダプタ72の反対側には、
図14の実施形態と同様、ストッパ98に続いてワンタッチ継手94が装着され、ここにホース破損試験に使用する空気抜き弁または水圧試験に使用する試験用ノズルと圧力計を備えた試験用ホースを着脱自在としている。
【0085】
図15(B)はホース破損試験のためにアダプタ72を用いて第2試験治具70をメンテナンス用装置44に装着した状態を示している。即ち、メンテナンス用装置44の第1治具取付口58aの蓋
59を外し、そこにアダプタ72のスリーブ74を挿入し、スリーブ74の中央のネジ部96を弁穴57の1次ポート側隔室56側に形成したネジ穴にストッパ98が当接するまで捩じ込み、Oリング74bで弁穴57を閉鎖して1次ポート54と2次ポート55を切り離し、2次ポート側隔室56bをスリーブ74内の連通路を介してワンタッチ継手94側に連通し、そこに空気抜き弁76を接続している。
【0086】
図15(C)は水圧試験のためにアダプタ72を用いて水圧試験治具80をメンテナンス用装置44に装着している。即ち、
図15(B)のホース破損試験の場合と同様に、メンテナンス用装置44の第1治具取付口58aの蓋
59を外し、そのネジ穴にスリーブ74の中央のネジ部96を捩じ込み、スリーブ先端のOリング74aの部位を弁穴57の中に位置させて1次ポート54と2次ポート55を切り離すと共に、1次ポート側隔室56aをスリーブ周面の連通穴78からスリーブ74内の連通路を介してワンタッチ継手94側に連通し、そこに試験用ノズル90と圧力計92を備えた試験用ホース88を接続している。
【0087】
なお、第1治具取付口58aから外部に飛び出しているスリーブ74については、そのままでは捩じ込み固定している第1治具取付口58aから加圧水が漏れ出すことから、その外側に上端にOリングを配置した円筒形のスペーサアダプタ102を配置して密閉する。またスペーサアダプタ102はその高さにより、スリーブ74のメンテナンス用装置44内の挿入位置を決める位置決め部材としても機能する。
図15の実施形態において、水抜きをする場合に、アダプタ72を抜いた状態で下側となる蓋59を抜いて、ノズル側から圧縮空気を注入して蓋59の開口部側からホース内の水を排水するようにしても良い。メンテナンス用装置44側にコンプレッサを接続して、メンテナンス用装置44からノズル側へ加圧空気を注入して排水を行うようにしても良い。
【0088】
このように共通のアダプタ72を使用したメンテナンス用装置44に対する装着位置を変更することで2次ポート側隔室56b又は1次ポート側隔室56aとの連通を選択して必要な試験治具を接続することで、同じ保守作業の際に、ホース破損試験と実放水による水圧試験を効率良く行うことができる。
【0089】
なお、メンテナンス用装置44に対する試験治具の装着構造については、上記の実施形態に限定されず、適宜の構造を取ることができる。
【0090】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0091】
メンテナンス用装置44と第2試験治具70はワンタッチ継手で着脱自在に接続されるようにしても良い。同じくメンテナンス用装置44の蓋59は継手本体に共通の構造のワンタッチ継手で着脱される構造であっても良い。