特許第5671134号(P5671134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海文襄汽車傳感器有限公司の特許一覧 ▶ 王 文襄の特許一覧 ▶ 昆山双橋傳感器測控技術有限公司の特許一覧

<>
  • 特許5671134-自動車用の汎用圧力センサ 図000002
  • 特許5671134-自動車用の汎用圧力センサ 図000003
  • 特許5671134-自動車用の汎用圧力センサ 図000004
  • 特許5671134-自動車用の汎用圧力センサ 図000005
  • 特許5671134-自動車用の汎用圧力センサ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671134
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】自動車用の汎用圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20150129BHJP
   G01L 23/18 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   G01L9/00 303L
   G01L23/18
   G01L9/00 303M
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-512730(P2013-512730)
(86)(22)【出願日】2011年1月14日
(65)【公表番号】特表2013-531230(P2013-531230A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】CN2011070245
(87)【国際公開番号】WO2011150691
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年1月10日
(31)【優先権主張番号】201010187894.1
(32)【優先日】2010年5月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512310941
【氏名又は名称】上海文襄汽車傳感器有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】512310952
【氏名又は名称】王 文襄
(73)【特許権者】
【識別番号】512310963
【氏名又は名称】昆山双橋傳感器測控技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】王 文襄
(72)【発明者】
【氏名】王 氷
(72)【発明者】
【氏名】毛 超民
(72)【発明者】
【氏名】石 橋
(72)【発明者】
【氏名】李 威
(72)【発明者】
【氏名】汪 超
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2645475(JP,B2)
【文献】 特開2002−246854(JP,A)
【文献】 特開2000−283868(JP,A)
【文献】 特開平9−79928(JP,A)
【文献】 特表平10−511459(JP,A)
【文献】 特許第3498695(JP,B2)
【文献】 特許第3481326(JP,B2)
【文献】 特許第3216814(JP,B2)
【文献】 実開昭62−55141(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサハウジング、シリコンピエゾ抵抗感知コア、センサコアシート、信号調整回路、及び自動車電子装置インターフェースを備え、前記シリコンピエゾ抵抗感知コア、前記センサコアシート、及び前記信号調整回路が前記センサハウジングの内部キャビティに配置され、前記センサハウジングが前記自動車電子装置インターフェースに取り付けられた自動車用の汎用圧力センサであって、
前記シリコンピエゾ抵抗感知コアは、シリコンピエゾ抵抗感知要素、及びガラスリングシートを備え、前記シリコンピエゾ抵抗感知要素は、その前面に酸化シリコン層及び窒化シリコン層で覆われたシリコン膜シートを備え、前記シリコンピエゾ抵抗感知要素は前面の中央部分にホイートストンブリッジを備える一方、周辺部は前記シリコン膜シートが露出された後、前記シリコンピエゾ抵抗感知要素がシリコンと同様の熱膨張係数を有するガラスリングシートの一面に溶接されて固定され、前記ホイートストンブリッジの歪み抵抗は、内部リード線を用いて導出され、絶縁酸化層は、前記ガラスリングシート及び前記シリコンピエゾ抵抗感知要素の一面に形成され、
前記ガラスリングシートの他面は、前記センサコアシートに設けられた環状の窪み面に密封固定され、前記センサコアシートは、前記センサハウジングの圧力入口に密封して回転可能に固定され、前記シリコンピエゾ抵抗感知コアの前記内部リード線は、前記センサコアシートの環状の窪み面の中央孔の一端を通って前記中央孔の他端に設けられた中継基板に繋がり、それから、前記内部リード線は、前記信号調整回路を介して前記自動車電子装置インターフェースの近傍に導出され、
前記センサハウジングは、センサベース、及び該センサベースに回転可能に固定され前記内部キャビティを形成するセンサシールドを備え、該センサシールドは前記自動車電子装置インターフェースに取り付けられ、前記センサベースの中央部分は前記圧力入口としての段付き孔を有し、前記センサコアシートはねじシーラントを用いて前記センサベースの前記段付き孔に回転可能に固定されていることを特徴とする自動車用の汎用圧力センサ。
【請求項2】
前記段付き孔の円周面が環状の窪みを有し、前記環状の窪みはO型シーリングリングを備える一方、前記センサコアシートは前記センサベースの段付き孔に回転可能に固定され、前記センサコアシートは前記O型シーリングリングに強く押圧していることを特徴とする請求項1に記載の自動車用の汎用圧力センサ。
【請求項3】
前記信号調整回路が設けられた信号調整回路基板は、前記センサハウジングの内部キャビティに固定され、前記信号調整回路は、単一の増幅回路、ゼロ位置及びフルスケール出力調整回路、ゼロ位置及び感知温度係数補償回路、及び非線形トリム回路を有することを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用の汎用圧力センサ。
【請求項4】
前記センサの前記圧力測定範囲は0〜0.5MPaから0〜100MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用の汎用圧力センサ。
【請求項5】
前記センサの直径及び厚さは、それぞれ、2mm〜4mm、0.22mm〜0.91mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用の汎用圧力センサ。
【請求項6】
前記ガラスリングシートの内壁、及び前記センサコアシートの前記中央孔の内壁は絶縁面として接着性のシリコンゴムを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用の汎用圧力センサ。
【請求項7】
前記センサシールドは、シーラントを用いて、前記自動車電子装置インターフェースに回転可能に固定され、前記センサコアシートと前記センサベースとの間の環状の接続シーム、及び前記センサシールドと前記センサベースとの間の環状の接続シームは、レーザーまたは電子ビームによって密封溶接されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用の汎用圧力センサ。
【請求項8】
前記センサコアシート、前記センサベース、及び前記センサシールドは、ステンレス鋼材からなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用の汎用圧力センサ。
【請求項9】
前記ガラスリングシートはPyrex(登録商標)7740またはGG−17のガラスリングシートを採用することを特徴とする請求項1または2に記載の自動車用の汎用圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の汎用圧力センサ、特に、シリコンをベースにしたMEMS技術に基づいた自動車用の汎用圧力センサに関するものであり、該センサは、様々な自動車や各車両システムの油圧、ガス圧、燃料、冷媒の液圧、及び同類のもののような媒体の圧力を測定するために使用できる。
【背景技術】
【0002】
自動車の電子制御システムの情報源の1つとして、自動車用の汎用目的の圧力センサは自動車の電子制御システムの欠かせない部品であり、自動車エレクトロニクスの技術分野についての研究の中心的な内容の1つでもある。自動車用の汎用圧力センサは、自動車のブレーキシステム、オートマチックトランスミッション、エアコンシステム、サスペンションシステム、エンジンオイル圧力、パワー切り替えトランスミッションシステム、エンジン直接噴射圧力、LPG及びCNGシステム、及び同類のもののような部品の圧力測定の制御のために主に使用される。
【0003】
1980年代には、伝統的な自動車用高圧センサは、長年発達し、セラミック厚膜技術を使用し、最近、セラミックコアの製造コストはかなり下がってきており、価格は、自動車への適用条件に見合っている。しかしながら、その高い脆性のため、セラミック材料は、(通常、静圧のたった1.5〜2倍の過負荷能力を有する)液体の衝撃圧力の過負荷に対する抵抗に乏しく、耐振性に乏しく、信頼性が低く、出力感度が低い(2mV/V)。そのため、自動車での圧力測定の発展の要求を満たすことができなくなったとき、排除されることが迫られる。
【0004】
1990年代には、歪み技術を用いた自動車用高圧センサも現れた。それは、今もなお、コアの製造コストは低いが、セラミック厚膜の耐振性が乏しいという問題を解決すると同時に、過負荷の衝撃圧力に抵抗する能力を向上させた。しかしながら、センサの構造原理が、接着性の金属歪み技術を用いているので、有機接着剤の疲労によって、センサ全体の寿命が短くなっている。測定の精度が接着剤のクリープに起因して使用時間とともに低下する一方で、出力感度もまだ極めて低かった。
【0005】
近年、アメリカの精密測定会社及びアメリカのセンサタ(Sensata)は、コアの製造コストが僅かに増加したにもかかわらず、接着性の歪みゲージ技術を高温のガラス粉末を焼結したシリコンの歪みゲージ技術と置換することによって、上述した歪み技術を改善した。それは、センサの寿命や時間とともに変化する測定精度の問題を解決し、同時に、シリコンの歪みゲージの利用によって、出力感度を著しく増大させる。しかしながら、ガラス粉末の焼結プロセスにおいて、その領域は、比較的壊れ易いガラス材料に対して、ガラス粉末層の薄さに起因して比較的大きい。比較的壊れ易いガラス材料が急激な過負荷の衝撃圧力及び温度インパクトを受けると、焼結したガラス層において破裂が生じる。そして、その過負荷の衝撃圧力の抵抗は、通常、たった2倍である。そして、動作温度範囲は−20〜80℃のみであり、多くの態様において、自動車レベルの動作要求を満たすことができない。後の段階では、上述した歪みモードの不利な点が、歪みモードから派生したスパッタ薄膜モードの汎用圧力センサによって解決され、動作温度領域は、自動車レベルの要求を満たすこともでき、出力感度は5mV/Vに到達でき、過負荷の衝撃圧力への抵抗力は2倍である。しかしながら、スパッタ薄膜モードの汎用圧力センサは、その製造コストが比較的高いため、自動車への適用において広い範囲で普及させることはできない。
【0006】
ヨーロッパのケラー(KELLER)やアメリカのハネウェル(Honeywell)のような会社は、MEMSの単結晶シリコン感知要素を使用し、出力感度を20mV/Vまで、過負荷の衝撃圧力への抵抗を3倍まで上げることができて、自動車レベルでの適用を満足することを前提としつつ、半導体のMEMSプロセスを利用して低コストの感知要素のバッチ製造を実現した。しかし、国際的に一般的なデザインの単結晶シリコンの汎用圧力センサチップは、後面がチップを支持し、前面が圧力を支える構造であるので、測定媒体の互換性に対する要求を満たすために、それの間に満たされた油を隔離する複雑な溶接技術が必要で、製品の製造コストは著しく増加し、広い範囲で自動車への適用に普及させることはできない。
【発明の概要】
【0007】
上述の問題を解決するために、本発明の1つの態様は、高い測定精度及び低コストの特性を有する自動車用の汎用圧力センサを提供する。該センサは、油圧、ガス圧、燃料、冷媒、液圧等の圧力の測定要求を満たすことができ、設置は便利で信頼性がある。
【0008】
本発明の態様の技術解決策は、以下のように達成される。自動車用の汎用圧力センサは、センサハウジング、シリコンピエゾ抵抗感知コア、センサコアシート、信号調整回路、及び自動車電子装置インターフェースを備え、前記シリコンピエゾ抵抗感知コア、前記センサコアシート、及び前記信号調整回路は前記センサハウジングの内部キャビティに配置され、前記センサハウジングは前記自動車電子装置インターフェースに取り付けられている。
【0009】
前記シリコンピエゾ抵抗感知コアは、シリコンピエゾ抵抗感知要素及びガラスリングシートを備えている。前記シリコンピエゾ抵抗感知要素は、酸化シリコン層及び窒化シリコン層で覆われたシリコン膜シートを備えている。前記シリコンピエゾ抵抗感知要素は前面の中央部分にホイートストンブリッジを備える一方、前面の周辺部は前記シリコン膜シートが露出された後、前記シリコンピエゾ抵抗感知要素は、熱膨張係数がシリコンと同様であるガラスリングシートの一面に強固に溶接されている。前記ホイートストンブリッジの歪み抵抗は、溶接された内部リード線を用いて引き出されている。絶縁酸化層は、前記シリコンピエゾ抵抗感知要素及び前記ガラスリングシートの前面に形成されている。
【0010】
前記ガラスリングシートの他面は、前記センサコアシートに設けられた環状の窪み面に密封固定されている。前記センサコアシートは、前記センサハウジングの圧力入口に密封して回転可能に固定されている。前記シリコンピエゾ抵抗感知コアの前記内部リード線は、前記センサコアシートの環状の窪み面の中央孔の一端を通して前記中央孔の他端に設けられた中継基板に繋がっており、それから、前記シリコンピエゾ抵抗感知コアの内部リード線は、前記信号調整回路を通して自動車電子装置インターフェースの近傍に導出されている。
【0011】
前記センサハウジングは、センサベース、及び該センサベースに回転可能に固定され前記内部キャビティを形成するセンサシールドを備えている。該センサシールドは前記自動車電子装置インターフェースに取り付けられ、前記センサベースの中央部分は前記圧力入口としての役割を果たす段付き孔を有し、前記センサコアシートはねじシーラントを用いて前記センサベースの前記段付き孔に回転可能に固定されている。
【0012】
本発明の別の改良として、前記段付き孔の円周面は環状の窪みを有し、該環状の窪みはO型シーリングリングを備える一方、前記センサコアシートは前記センサベースの段付き孔に回転可能に固定され、前記センサコアシートは前記O型シーリングリングに強く押圧している。したがって、前記センサコアシートと前記センサベースとの間の密封固定が達成される。
【0013】
本発明の別の改良として、前記信号調整回路が設けられた信号調整回路基板は、前記センサハウジングの内部キャビティに固定され、前記信号調整回路は単一の信号増幅回路、ゼロ位置及びフルスケール出力調整回路、ゼロ位置及び感知温度係数補償回路、及び非線形トリム回路を有する。
【0014】
本発明の別の改良として、前記センサの前記圧力測定範囲は0〜0.5MPaから0〜100MPaであり、円形の平たいシリコン膜シートの直径及び厚さは、それぞれ、2mm〜4mm、0.22mm〜0.91mmである。
【0015】
本発明の別の改良として、前記ガラスリングシートの内壁、及び前記センサコアシートの前記中央孔の内壁は絶縁面として接着性のシリコンゴムを備える。
【0016】
本発明の別の改良として、前記センサシールドは、シーラントを用いて前記自動車電子装置インターフェースに回転可能に固定され、前記センサコアシートと前記センサベースとの間の環状の接続シーム、及び前記センサシールドと前記センサベースとの間の環状の接続シームは、レーザーまたは電子ビームによって密封溶接されている。
【0017】
本発明の別の改良として、前記センサコアシート、前記センサベース、及び前記センサハウジングは、ステンレス鋼材からなっている。
【0018】
本発明の別の改良として、Pyrex(登録商標)7740またはGG−17のガラスリングシートがガラスリングシートとして採用される。
【0019】
本発明の有益な技術効果は、ホイートストンブリッジがシリコンピエゾ抵抗感知要素の前面に設けられる一方で、後面が圧力を支える面としての役割を果たす点にある。そうすることによって、外側の媒体の圧力は圧力入口を通して導入され、シリコンピエゾ抵抗感知要素の後面は圧力を支える。したがって、外側の媒体からの影響は軽減される。
【0020】
シリコンピエゾ抵抗感知要素は、ガラスリングシートを介してセンサコアシートに密封固定されている。その一方で、センサコアシートは、センサハウジングの圧力入口の内面に密封固定されている。一方、センサハウジングは、センサベース、及びセンサベースに回転可能に固定され、内部キャビティを形成するセンサシールドからなっており、センサシールドは、自動車電子制御インターフェースに取り付けられ、センサベースの中央部分に圧力入口として段付き孔があり、センサコアシートはねじシーラントを用いてセンサベースに設けられた段付き孔に回転可能に固定されている。そうすることによって、ガラスリングシート、センサコアシート、センサベース、及びセンサシールドの間のシーリング特性が、複数の測定によってセンサを製造する間保証され、測定の信頼性が保証される。
【0021】
さらに、絶縁酸化層はガラスリングシート及びシリコンピエゾ抵抗感知要素の前面に形成されている。したがって、測定精度は改善され、信号増幅、ゼロ位置及びフルスケール出力調整、及びゼロ位置及び感知温度係数補償、及び非線形トリミングは、信号調整回路を導入することによって実現される。このようにして、それは自動車の高圧測定の要求を十分に満たす。
【0022】
本発明の前述の目的、特徴、及び利点をより明らかに、かつ容易に理解させるために、本発明の実施形態の詳細な説明は添付図面とともに与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態のシリコンピエゾ抵抗感知要素の構造を示す概略図。
図2】本発明の実施形態のシリコンピエゾ抵抗感知コアの構造を示す概略図。
図3】本発明の実施形態のシリコンピエゾ抵抗感知コア及びセンサコアシートのアセンブリを示す概略図。
図4】本発明の実施形態の組み立てられたときのセンサコア及びセンサベースの構造を示す概略図。
図5】本発明の実施形態にかかる自動車用の汎用圧力センサの構造を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態のさらなる説明は、以下に図1〜5とともに与えられる。
【0025】
自動車用の汎用圧力センサは、センサハウジング、シリコンピエゾ抵抗感知コア、センサコアシート、信号調整回路、及び自動車電子装置インターフェースを備えている。シリコンピエゾ抵抗感知コア、センサコアシート、及び信号調整回路は、センサハウジングの内部キャビティに配置されている。センサハウジングは、自動車電子装置インターフェースに取り付けられ、信号調整回路が設けられた信号調整回路基板101は、センサの内部キャビティに固定されている。
【0026】
図1及び図2に示すように、シリコンピエゾ抵抗コアは、ピエゾ抵抗感知要素1、及びガラスリングシート2からなっている。ピエゾ抵抗感知要素1は、前面が酸化シリコン層(SiO)12、窒化シリコン(Si)層13で覆われた円形の平たいシリコン膜シート11を有している。シリコンピエゾ抵抗感知要素1は前面(すなわち窒化シリコン層13表面)の中央部分にホイートストンブリッジを備える一方、前面の周辺部はシリコン膜シートが露出された後、シリコンピエゾ抵抗感知要素1は、熱膨張係数がシリコンと同様であるガラスリングシート2に強固に溶接されている。ホイートストンブリッジの歪み抵抗14は、溶接された金糸の内部リード線15を用いて引き出され、後面は圧力を受け、外側の媒体の影響は軽減されている。絶縁酸化層を形成するため、半導体の低温アノード酸化絶縁プロセスがガラスリングシート2、及びピエゾ抵抗感知要素1の前面に実行されている。
【0027】
図3に示すように、ガラスリングシート2のもう1つの面(研磨されていない粗い面、図3の角度で見るときの上面)は、エポキシ樹脂によって、センサコアシート3に設けられた環状の窪み面に密封固定されている。センサコアシート3は、センサハウジングの圧力入口に密封して回転可能に固定されている。ピエゾ抵抗感知コア本体の金糸の内部リード線15は、センサコアシート3の環状の窪み面の中央孔の一端を通って、センサコアシートに設けられた中央孔の他端の中継基板4の中に導かれ、信号調整回路を介して自動車電子装置インターフェース7の近傍に導出されている。図5に示すように、中継基板4は、センサコアシート3の中央孔の一端の環状の窪み面に接着結合され、導出ケーブルコアワイヤ8を用いて、信号調整回路基板101に接続することによってエクスポートされている。
【0028】
図4及び図5に示すように、センサハウジングは、センサベース5、及びセンサシールド6からなっている。センサシールド6は、センサベース5に回転可能に固定され、内部キャビティが形成されている。ある実施形態では、センサコア3、センサベース5、及びセンサシールドは、ステンレス鋼材からなっている。センサシールド6は、自動車電子装置インターフェース7に取り付けられている。圧力入口として段付き孔がセンサベース5の中央部分に設けられ、センサコア3の外側のねじ山が、ねじシーラント10を用いてセンサベース5の段付き孔の内側のねじ溝に回転可能に固定されている。段付き孔の円周面は、O型シーリングリング51が設けられた環状の窪みを有している。センサコア3はセンサベース5の段付き孔に回転可能に固定され、センサコアシート3は、O型シーリングリング51を強く押圧し(しっかりとねじ込まれシールされるまでねじ込むために、固定トルクのスパナを使用できる。)、それによって、センサコア3とセンサベース5との間のシールされた固定が達成される。
【0029】
センサの信頼性を向上させるために、ガラスリングシート2の内壁及びセンサコアシート3の中央孔の内壁は、絶縁面としての接着性のシリコンゴムを備えている。同時に、センサコアシート3とセンサベース5との間の環状の接続シーム91、及びセンサベース5とセンサシールド6との間の環状の接続シーム92がレーザーや電子を利用することによって溶接されシールされている。このようにして、高い信頼性を有する3重層のシール構造が形成されている。
【0030】
信号調整回路が設けられた信号調整回路基板101は、センサの内部キャビティに固定されている。信号調整回路は、信号増幅回路、ゼロ位置及びフルスケールの出力調整回路、ゼロ位置及び感知温度係数補償回路、及び非線形トリム回路を有している。センサの測定範囲は、0〜0.5MPaから0〜100MPaまでであり、シリコン膜シートの直径及び厚さは、それぞれ、2〜4mm、0.22mm〜0.91mmである。
【0031】
センサの測定精度を向上させるために、構造物のシール特性が特に重要であり、センサシールド6はシーラントを用いて自動車電子装置インターフェース7に回転可能に固定されている。センサコアシート3とセンサベース5との間の環状の接続シーム91、及びセンサシールド6とセンサベース5との間の環状の接続シーム92は、レーザーや電子によって密封溶接されている。このようにして、高い信頼性を有する多重層のシール構造が形成されている。
【0032】
ある実施形態では、ガラスリングシート2は、Pyrex(登録商標)7740またはGG−17のガラスリングシートを採用し、パイレックス(Pyrex)(登録商標)ガラスリングは、コーニング(Corning)社の製品である。それは、特に半導体のパッケージングのために設計されており、シリコンに近い物理的特性を有している。中国製の代替品は、ホウケイ酸塩ガラスのGG−17である。シリコンピエゾ抵抗感知要素のホイートストンブリッジ部分は、「小型のダイナミックなピエゾ抵抗の汎用圧力センサ及びそれの製造方法」(特許No.ZL200310106329.8(中国特許出願公開第1544901号明細書))というタイトルが付された中国特許に開示された技術的解決策を採用することによって形成されている。
【0033】
低コスト、高精度、高信頼性、及び長寿命の自動車用の汎用圧力センサは、上述した実施形態における半導体の平面集積回路技術、MEMS技術、及びデジタルスマート回路技術を組み合わせることによって作り出される。
【0034】
本発明の技術に基づいた自動車用圧力センサの主な性能のインデックスは以下の通りである。
1)圧力測定範囲:0〜0.5から0〜100MPa
2)電力供給及び信号:電力供給5V DC±0.5, 信号は0〜5Vの間のいかなる値も含む出力である。
3)動作温度領域:−40〜125℃(長期間),−55〜135℃(4時間)
4)精度レベル:Aレベルのフルの動作温度領域の統合エラーが1%FS以上であり、Bレベルのフルの動作温度領域の統合エラーが0.5%FS以上である。
5)衝撃負荷抵抗能力:600%FSより高い。
6)寿命:10回の圧力サイクル
7)年安定性:0.25%FS.
【0035】
本発明は上述したような望ましい実施形態とともに既に説明したが、それらは本発明を限定することを意図するものではなく、いかなる当業者も本発明の精神及び範囲から逸脱することなく修正や改良を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって規定されるべきである。
【符号の説明】
【0036】
1 シリコンピエゾ抵抗感知要素
11 円形の平たいシリコン膜シート
12 酸化シリコン(SiO)層
13 窒化シリコン(Si)層
14 歪み抵抗
15 金糸の内部リード線
2 ガラスリングシート
3 センサコアシート
4 中継基板
5 センサベース
51 O型シーリングリング
6 センサシールド
7 自動車電子装置インターフェース
8 導出ケーブルコードワイヤ
91 環状の接続シーム
92 環状の接続シーム
10 ねじシーラント
101 信号調整回路基板
図1
図2
図3
図4
図5