(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671142
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】ばね接触セクション間に介装されているばね非接触セクションを有するノズル位置決め断熱体
(51)【国際特許分類】
B29C 45/20 20060101AFI20150129BHJP
B29C 45/27 20060101ALI20150129BHJP
B22D 17/20 20060101ALN20150129BHJP
【FI】
B29C45/20
B29C45/27
!B22D17/20 M
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-526287(P2013-526287)
(86)(22)【出願日】2011年7月12日
(65)【公表番号】特表2013-540611(P2013-540611A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】CA2011050423
(87)【国際公開番号】WO2012027839
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2013年4月3日
(31)【優先権主張番号】61/378,416
(32)【優先日】2010年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595155303
【氏名又は名称】ハスキー インジェクション モールディング システムズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HUSKY INJECTION MOLDING SYSTEMS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド,グレゴリー レイ
【審査官】
宮本 靖史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−078515(JP,A)
【文献】
国際公開第01/087570(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第00346900(EP,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0237854(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 − 33/76
B29C 39/26 − 39/36
B29C 41/38 − 41/44
B29C 43/36 − 43/42
B29C 43/50
B29C 45/00 − 45/84
B29C 49/48 − 49/56
B29C 49/70
B29C 51/30 − 51/40
B29C 51/44
B22D 15/00 − 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形システム(200)の成形ノズルアセンブリ(102)からの熱損失を減少させるためのノズル位置決め断熱体(300)であって、
本体アセンブリ(302)であって、
ばね向き面(304)であって、
1つ又は複数のばね非接触セクション(308)と、
金型システム(100)内のばねアセンブリ(112)と接触するように、前記ばね非接触セクション(308)から隆起している、1つ又は複数のばね接触セクション(306)であって、前記1つ又は複数のばね非接触セクション(308)は、前記ばね接触セクション(306)間に介装されている、1つ又は複数のばね接触セクション(306)と、
を含む、ばね向き面(304)を有する、本体アセンブリ(302)を備える、ノズル位置決め断熱体(300)。
【請求項2】
前記1つ又は複数のばね接触セクション(306)は、前記1つ又は複数のばね非接触セクション(308)によって離れている6つのばね接触セクション(306)を備える、請求項1に記載のノズル位置決め断熱体(300)。
【請求項3】
前記ノズル位置決め断熱体(300)は、前記成形ノズルアセンブリ(102)を収納するように構成されている中央通路(309)を画定しており、前記ばねアセンブリ(112)は、前記成形ノズルアセンブリ(102)と前記ノズル位置決め断熱体(300)の前記本体アセンブリ(302)との間で機能する、請求項1に記載のノズル位置決め断熱体(300)。
【請求項4】
前記本体アセンブリ(302)は、チタンから作られる、請求項1に記載のノズル位置決め断熱体(300)。
【請求項5】
前記1つ又は複数のばね非接触セクション(308)は平坦であり、且つ前記ばね接触セクション(306)の各々は平坦である、請求項1に記載のノズル位置決め断熱体(300)。
【請求項6】
前記ばね非接触セクション(308)は、前記ばねアセンブリ(112)が前記ばね接触セクション(306)と接触した際に、前記ばねアセンブリ(112)との間に断熱空隙を画定する、請求項1に記載のノズル位置決め断熱体(300)。
【請求項7】
成形ノズルアセンブリ(102)であって、該成形ノズルアセンブリ(102)は、ノズルハウジング(106)を備える、成形ノズルアセンブリ(102)と、
ばねアセンブリ(112)と、
本体アセンブリ(302)であって、該本体アセンブリ(302)は中央通路(309)を画定しており、該中央通路(309)は、該中央通路(309)を通って前記成形ノズルアセンブリ(102)を収納するように構成されている、本体アセンブリ(302)と、
前記ばねアセンブリ(112)と接触するように、ばね向き面(304)から隆起している、1つ又は複数のばね接触セクション(306)であって、前記ばねアセンブリ(112)は、前記ノズルハウジング(106)の一部と前記本体アセンブリ(302)との間で機能する、1つ又は複数のばね接触セクション(306)と、
を備える、成形システム(200)の成形ノズルアセンブリ(102)からの熱損失を減少させるためのノズル位置決め断熱体(300)を有する金型システム(100)。
【請求項8】
ばね非接触セクション(308)と前記ばねアセンブリ(112)は、それらの間に断熱空隙を画定する、請求項7に記載の金型システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様が包括的には、ノズル位置決め断熱体、このノズル位置決め断熱体を有する金型システム、及び/又は、このノズル位置決め断熱体を含むこの金型システムを有する成形システムに関する(がこれに限定されない)。
【背景技術】
【0002】
最初の人工プラスチックは、アレクサンダー・パークス(Alexander PARKES)によって1851年に英国で発明された。パークスは、1862年ロンドン万国博覧会においてその物質をパークシン(Parkesine)と呼んで公表した。パークシンはセルロースに由来しており、加熱され、成形され、かつ冷却時にその形状を保つことができた。しかしながら、パークシンは、生産コストが高く、クラッキングしがちであり、また引火性が高いものであった。1868年、アメリカ人発明者のジョン・ウェズリー・ハイアット(John Wesley HYATT)が、パークスの発明を改良して、彼がセルロイドと名付けたプラスチック材料を開発し、その結果、このプラスチック材料を加工処理して完成形にすることができた。ハイアットは、1872年、最初の射出成形機の特許を取得した。この射出成形機は、プランジャーを用いてプラスチックを加熱されたシリンダーを通じて金型内へ射出する、大きい皮下注射針のように機能するものであった。第2次世界大戦が廉価な大量生産品への大きな需要を生み出したため、この産業は1940年代に急速に拡大した。1946年、アメリカ人発明者のジェームス・ワトソン・ヘンドリー(James Watson HENDRY)が、最初のスクリュー式射出成形機を作り上げた。この成形機によって、射出前に材料を混合することも可能になったため、射出前に色つきプラスチック又は再生プラスチックを未使用材料に加えて完全に混合することができるようになった。1970年代、ヘンドリーは続いて、最初のガスアシスト射出成形プロセスを開発した。射出成形機は、材料ホッパーと、射出ラム又はねじ型プランジャーと、加熱ユニットとからなる。それらの射出成形機はプレス機としても知られており、構成要素が成形される金型を保持する。プレス機は、自身が加えることができるクランプ力の大きさを表すトン数によって定格される。この力によって、射出プロセス中に金型は閉じたままとなる。トン数は、5トン未満乃至6000トンで変動することができ、より高い桁数のトンが比較的少数の製造工程において用いられる。総クランプ力は、成形される部分の投影面積によって求められる。この投影面積は、投影面積平方インチごとに2トン乃至8トンのクランプ力によって乗算される。大まかには、大抵の製品に対して、平方インチ当たり4トン又は5トンを使用することができる。プラスチック材料は、非常に硬い場合、金型に充填するためにより多くの射出圧力、したがって、金型を閉じたままに保持するためにより大きいクランプトン数を必要とする場合がある。必要とされる力はまた、用いられる材料とその部分のサイズとによっても決まる可能性があり、より大きな部分はより高いクランプ力を必要とする。射出成形を用いて、粒状のプラスチックを重力によってホッパーから加熱されたバレル内に給送する。この粒状のプラスチックがねじ型プランジャーによって前方にゆっくりと移動されると、このプラスチックは、加熱されたチャンバー内に押し込められて、このチャンバーにおいて融解される。プランジャーが前進するにつれて、融解されたプラスチックは、金型に当接するノズルに押し通されて、ゲートランナーシステムを通じて金型キャビティに入ることが可能となる。金型は冷たいままであるため、プラスチックは、金型が充填されるとほぼ同時に固化する。金型アセンブリ又は金型ダイは、成形においてプラスチック部品を作製するのに用いられる工具を説明するために使用される用語である。金型アセンブリは、何千もの部品が生産される大量生産において使用される。金型は通常、硬化鋼等から構成される。ホットランナーシステムは、金型アセンブリとともに、プラスチック品の製造のために成形システムにおいて用いられる。通例、ホットランナーシステム及び金型アセンブリは、成形システムとは別個に販売及び供給することができる工具として扱われている。
【0003】
特許文献1は、第1の端部から内方に延びる第1のフランジを有する概ね円筒形の本体を含む、射出成形装置のホットランナーノズル用のカラーを開示している。第一のフランジは、ノズルのノズルヘッドとノズル本体の少なくとも一部とに当接するように設けられている。位置合わせフランジが、概ね円筒形の本体の内壁から突出し、第1のフランジから離間している。位置合わせフランジは、射出成形装置の組み付け中にノズルに対するカラーの傾斜を制限するようにノズル本体に接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,890,473号
【発明の概要】
【0005】
一態様によれば、ノズル位置決め断熱体300であって、
本体アセンブリ302であって、
ばね向き面304であって、
ばね接触セクション306と、
前記ばね接触セクション306間に介装されているばね非接触セクション308と、
を含む、ばね向き面を有する、本体アセンブリを備える、ノズル位置決め断熱体が提供される。
【0006】
別の態様によれば、ノズル位置決め断熱体300を有する金型システム100が提供される。
【0007】
更に別の態様によれば、ノズル位置決め断熱体300を含む金型システム100を有する成形システム200が提供されている。
【0008】
ここで、非限定的な実施形態の他の態様及び特徴が、添付の図面とともに非限定的な実施形態の以下の詳細な説明を検討すれば当業者には明らかになるであろう。
【0009】
非限定的な実施形態は、非限定的な実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによってより完全に理解されるであろう。
【0010】
図面は、必ずしも一定の縮尺ではなく、想像線、図表示及び部分図によって示すことができる。或る特定の例では、実施形態の理解のために必ずしも必要ではない細部(及び/又は他の細部を認識困難にする細部)が省略されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ノズル位置決め断熱体300、金型システム100、及び成形システム200の概略図である。
【
図2A】ノズル位置決め断熱体300の他の概略図である。
【
図2B】ノズル位置決め断熱体300の他の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、ノズル位置決め断熱体300、金型システム100、及び成形システム200の概略図(具体的には断面図)を示す。金型システム100は、ノズル位置決め断熱体300を有することができる。成形システム200は、金型システム100を有することができる。ノズル位置決め断熱体300、金型システム100、及び成形システム200は、別個に販売されている場合もあるし、単一の販売業者によって提供されている場合もあることが理解されるであろう。成形システム200は例えば、固定プラテンと可動プラテンとを有するプラテンアセンブリ(図示されていないが既知である)を含む。金型システムは、成形システムのプラテンアセンブリによって支持されている。ノズル位置決め断熱体300、金型システム100及び成形システム200はそれぞれ、当業者に既知である構成要素を含むことができ、これらの既知の構成要素は本明細書においては説明されない。これらの既知の構成要素は少なくとも部分的に、(例として)以下の参考文献において記載されている:(i)OSSWALD/TURNG/GRAMANN著「Injection Molding Handbook(射出成形ハンドブック)」(ISBN:3−446−21669―2)、(ii)ROSATO及びROSATO著「Injection Molding Handbook(射出成形ハンドブック)」(ISBN:0−412−99381―3)、(iii)JOHANNABER著「Injection Molding Systems(射出成形システム)」第3版(ISBN:3−446−17733―7)、及び/又は(iv)BEAUMONT著「Runner and Gating Design Handbook(ランナーとゲートの設計ハンドブック)(ISBN:1−446−22672―9)。本明細書の目的に関して、「含む(が、〜に限定されない)(includes (but is not limited to))」という句は、「備える、含む(comprising)」という語と等しいことが理解されるであろう。「備える、含む」という語は、特許請求項のプリアンブルと、発明自体が実際に何であるかを規定する特許請求項に記載される特定の要素とを関連付ける移行句又は移行語である。移行句は、特許請求項を限定するものとして働き、被疑侵害装置(等)が当該特許におけるその請求項よりも多いか又は少ない要素を含んでいる場合は、類似の装置、方法又は構成部分がその特許を侵害するか否かを示す。「備える、含む」という語は、請求項において特定されている要素がどんなものであってもそれにプリアンブルを限定しないため、最も広範な移行形式である開放的な移行句(open transition)として扱われるものである。
【0013】
図2A及び
図2Bは、ノズル位置決め断熱体300の他の概略図を示す。ノズル位置決め断熱体300は、ばね向き面304を含む(がこれに限定されない)本体アセンブリ302を含む(がこれに限定されない)。ばね向き面304は、(i)ばね接触セクション306と、(ii)ばね接触セクション306間に介装されているばね非接触セクション308とを含む(がこれに限定されない)。金型システム100がノズル位置決め断熱体300を有する場合、金型システム100は、(i)成形ノズルアセンブリ102と、(ii)ばねアセンブリ112とを含むことができる(がこれに限定されない)。ノズル位置決め断熱体300の本体アセンブリ302は、成形ノズルアセンブリ102を収納するように構成されている中央通路309を画定することができる。ばね向き面304のばね接触セクション306は、ばねアセンブリ112に接触する。ばね向き面304のばね非接触セクション308は、ばねアセンブリ112とばね非接触セクション308との間に接触がないか又は接触が減るように、ばねアセンブリ112から離間させることができる。ばね非接触セクション308は、ばねアセンブリ112との表面接触を減少し(及び/又は少なくとも部分的になくし)、そのため成形ノズルアセンブリ102からノズル位置決め断熱体300及びばねアセンブリ112を通じた熱損失が減少される。成形ノズルアセンブリ102は、ノズルハウジング106と、ノズルハウジング106に取り付けられているヒーター104とを含むことができる。ノズル位置決め断熱体300はチタンから作ることができ、外側平坦面上にばねアセンブリ112が接触することができる複数の突起(隆起)面を有する。ばね接触セクション306を、ノズル位置決め断熱体300の外側平坦面上に位置する突起面と称することができる。ばね非接触セクション308は、ばね接触セクション306間に介装されており、そのためばね接触セクション306とばねアセンブリ112との表面接触面積が減少し、したがって、成形ノズルアセンブリ102からノズル位置決め断熱体300及びばねアセンブリ112を通じたマニフォルドプレート110までの熱損失が減少する。金型システム100は、限定はされないが金型ゲート116とステム114等の既知の構成要素も含むことができる。ノズル位置決め断熱体300の利点は、使用時に成形ノズルアセンブリ102からノズル位置決め断熱体300及びばねアセンブリ112を通じたマニフォルドプレート110までの熱伝達の減少である。
【0014】
本発明の範囲は独立請求項によって与えられる範囲に限定されることが理解され、また、本発明の範囲が(i)従属請求項、(ii)非限定的な実施形態の詳細な説明、(iii)概要、(iv)要約書、及び/又は(v)本特許出願以外(すなわち、出願時、審査時及び/又は付与時の本出願以外)において与えられる説明に限定されないことが理解される。本特許出願の目的に関して、「含む(が、〜に限定されない)」という句は「備える、含む」という語に等しいことが理解される。上記記載は、非限定的な実施形態(実施例)を概説したものであることが留意される。この説明は特定の非限定的な実施形態(実施例)についてなされたものである。非限定的な実施形態は、例としての例示に過ぎないことが理解される。