【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の請求項1記載のピンチ具を示す説明図である。
図1(a)は、射出成形機によって成形加工された状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
本発明のピンチ具10は、
形状を同じくして一体成形される一対の合成樹脂製の挟持片20と、該一対の挟持片20同士を外側方向から押圧して挟持する金属製のバネ体33の2つの部品で構成されるピンチ具10であって、挟持片20は、前方に位置する挟持部21と、中央に位置する回動支点部23と、後方に位置する把持部30と、
該挟持部21と回動支点部23の間に位置するあご部25と、で構成されると共に、該あご部25から把持部30にかけてバネ体33が挿通するスリット溝31を形成して成り、挟持部21は、物品を平面的に挟持する挟持面22を形成して成り、回動支点部23は、厚み方向の
中心位置に設けられるスリット溝31の両側に凹凸状に双設されると共に、該スリット溝31を挟んだ両側後方に一対の挟持片20同士を連結する連結部24を一対の挟持片20と共に一体成形して成る。
【0030】
挟持片20は、前方に位置する挟持部21と、中央に位置する回動支点部23と、後方に位置する把持部30と、
該挟持部21と回動支点部23の間に位置するあご部25と、で構成されると共に、該あご部25から把持部30にかけてバネ体33が挿通するスリット溝31とで形成される。また射出成形によって形成される連結部24が回動支点部23の後方に設けられることにより
一対の挟持片20同士を組み合わせる必要がなくなることから、組立工程における手作業の簡素化ならびに自動化ラインの組立工程の工数削減が図られる。
【0031】
挟持部21は、その先端部には物品を平面的に挟持する挟持面22を形成して成るもので、その具体的な形状は、平面状であれば特に限定はなく、山形状のギザギザ溝、筋溝、ローレット状の滑り止めなどが施される仕様とすることができる。
【0032】
回動支点部23は、挟持片20の略中央に位置し、厚み方向の
中心位置に設けられるスリット溝31の両側に凹凸状に双設されると共に、該スリット溝31を挟んだ両側後方に一対の挟持片20同士を連結する連結部24を一対の挟持片20と共に一体成形して形成される。形状的には図示される凹凸
状の突起溝の外に、半円形の凹凸嵌め合い突起溝などで形成することもできる。
【0033】
連結部24は、挟持片20の略中央に位置し、厚み方向の
中心位置に設けられるスリット溝31を挟んだ両側後方に一対の挟持片20同士を帯状に一体成形して連結している。射出成形工程を終了してから組立工程までの間、上方の挟持片20と下方の挟持片20の互いの位置関係を保つことを主目的として設けられることで
一対の挟持片20同士を組み合わせる必要がなくなることから、組立工程における手作業の簡素化ならびに自動化ラインの組立工程の工数削減が図られる。また折り畳み機能や切り離し機能を持たせるために折り目や破断スリットを設けても良い。さらにバネ体33によって
一対の挟持片20同士が組み合わされた後は、その役割が終了することから材質的な強度ならびに耐久性は特に必要とされない。
【0034】
あご部25は、内側方向には挟持部21の逃げ空間26を形成し、外側方向にはスリット溝31の底面を成すガイド摺動部27を形成し、該ガイド摺動部27は先端部に向かって外側へ山形状に膨出して傾斜するスロープ部28と、その最奥部に落とし込み穴29を設けて形成される。
【0035】
スロープ部28は、あご部25の底面に先端部に向かって山形状に膨出して傾斜する形状で形成されるもので、先端部に向かって外側へ傾斜していることによって、バネ体33の開口部34がやや拡開した状態で組み込まれるため、常時挟持片20を内側方向に付勢している状態で組み合わされる。また、スロープ部28が山形状に膨出して傾斜していることによって、バネ体33の開口部34の先端部が落とし込み穴29から外れ落ちることを防止する形状に形成される。
【0036】
把持部30は、後端部に吊フックが挿通される吊持穴を穿設すると共に、該後端部が外側方向に向かって拡開する形状に形成される。吊フックが挿通される吊持穴が設けられることによって、ピンチ具10自体を物干し竿やハンガーに自在に吊るすことができるため、洗濯物の形状や種類に合わせて使い分けることができる。
【0037】
スリット溝31は、あご部25から把持部30にかけてバネ体33が挿通されるスリット状の溝であって、挟持片20の厚み方向の中心位置に設けられる。さらに該バネ体33が外形輪郭内に組み込まれることによって、
一対の挟持片20同士が内側方向に付勢した状態で組み合わされる形状に形成される。
また、
図1(a),(b),(c)では外側方向が閉塞する形状において作図しているが、内側から外側に挿通可能な挿通スリット穴32とすることもできる。
【0038】
バネ体33は、金属製の棒状または板状のバネ部材を一部が開口する開口部34を形成して内側方向に付勢する形状に成形すると共に、該開口部34の両端を内側方向に折り返した状態に形成して成る。またバネ体33を挟持片20の後方から嵌め込むことができる構造を採用していることで自動化による大量生産を可能にしている。
なお、バネ体33の形状は、円形や楕円形の外に角形などバネ部材を内側方向に付勢すると共に、外形輪郭内に位置して組み込まれる形状であれば、特にその形状を限定するものではない。
【0039】
開口部34は、バネ体33の一部を開口して形成されるものであって、その両端はU字状に折り返されている。両端を折り返すことによって該先端部が丸みを帯びた状態となり、挿入時において山形状に膨出して傾斜するスロープ部28に引っ掛かることなくスムーズに押し込むことができると共に、スロープ部28の最奥部にある落とし込み穴29に落とし込んだ状態から外れ落ちることを防止する形状となっている。
【0040】
図1(b)は、挟持片20にバネ体33を装着した状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
形状を同じくして一体成形される一対の合成樹脂製の挟持片20の厚み方向の中央に設けられるスリット溝31の両側に
一対の挟持片20同士を連結する連結部24を形成していることで、バネ体33は回動支点部23と連結部24を跨ぐことなくそのままスルーして嵌め込むことができる。
【0041】
図1(c)は、挟持片20にバネ体33を装着して開放した状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
形状を同じくして一体成形される一対の合成樹脂製の挟持片20の回動支点部23と連結部24を跨ぐことなくそのままスルーして金属製のバネ体33を嵌め込むことによって、バネ体33がピンチ具10の外形輪郭外に突出しない構造で組み込むことができる。
【0042】
本発明のピンチ具10の製造過程を簡単に説明すると、
(1)
一対の挟持片20同士が連結部24で連結した状態で射出成形される。
上下の挟持片20が射出成形機で同時加工されるため、挟持片20が単体で射出成形加工される場合と比べて加工工数の差は殆どない。
(2)
一対の挟持片20同士の回動支点部23を組み合わせた状態にしてバネ体33を挟持片20の後方から嵌め込む。
この時点で
一対の挟持片20同士を連結する連結部24の役割は終了する。
【0043】
以上で構成される本発明における請求項1のピンチ具10は、
形状を同じくして一体成形される一対の合成樹脂製の挟持片20に形状の異なる金属製のバネ体33を嵌め込むことによって、組立工程における手作業の簡素化とコストダウンが図られ、さらにバネ体33を挟持片20の後方から嵌め込むことができる構造を採用していることよって、自動化における大量生産を可能にすると共に、回動支点部23の後方の両側に連結部24が設けられることにより
一対の挟持片20同士を組み合わせる必要がなくなることから、組立工程における手作業の簡素化ならびに自動化ラインの組立工程の工数削減が図られる。また、バネ体33が回動支点部23と連結部24を跨ぐことなくそのままスルーして嵌め込まれることによって、ピンチ具10全体のコンパクト化が図れる。さらに、バネ体33をピンチ具10の外形輪郭内に設けることによって、金属製バネの表面腐食による錆汚れの洗濯物への付着を防ぐと共に、使用者の皮膚に直接触れることを完全に回避できる上、金属アネルギーなどのアネルギー症状を防止することができるといった優れた効果が得られる。
【0044】
図2は、本発明の請求項1記載のピンチ具の別の実施形態を示す説明図である。
図2(a)は、射出成形機によって成形加工された状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
図2(b)は、挟持片20に角形のバネ体33を装着した状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
図2(c)は、挟持片20に角形のバネ体33を装着して開放した状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
【0045】
角形のバネ体33の一部が挟持片20の把持部30の可動範囲内に突出した状態で使用されるもので、図示では角形のバネ体33を表示しているが、上記把持部30の可動範囲内に突出した状態で使用されるものであれば特にその形状を特定するものではない。
【0046】
組立方法としては、角形のバネ体33が、挟持片20の厚み方向の中央に設けられるスリット溝31の両側に双設される回動支点部23と連結部24を跨いだ状態で挿入される。
【0047】
以上で構成される本発明における請求項1のピンチ具10の別の実施形態は、角形のバネ体33の突出した状態が把持部30の可動範囲内に収まっていることによって、ピンチ具10自体のコンパクト化が図れると同時に、洗濯物ならびに使用者の皮膚に直接接触することを回避することができる。また射出成形加工によって形成される連結部24が設けられることにより
一対の挟持片20同士を組み合わせる必要がなくなることから、組立工程における手作業の簡素化ならびに自動化ラインの工数削減が図られるといった優れた効果が得られる。
【実施例2】
【0048】
図3は、本発明の請求項2記載のピンチ具を示す説明図である。
図3(a)は、射出成形機によって成形加工された状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
本発明のピンチ具10は、
形状を同じくして一体成形される一対の合成樹脂製の挟持片20と、該一対の挟持片20同士を外側方向から押圧して挟持する金属製のバネ体33の2つの部品で構成されるピンチ具10であって、挟持片20は、前方に位置する挟持部21と、中央に位置する回動支点部23と、後方に位置する把持部30と、該挟持部21と回動支点部23の間に位置するあご部25と、で構成されると共に、該あご部25から把持部30にかけてバネ体33が挿通する挿通スリット穴32を形成して成り、挟持部21は、物品を平面的に挟持する挟持面を形成して成り、回動支点部23は、厚み方向の中心位置に設けられる挿通スリット穴32の両側に凹凸状に双設されると共に、該挿通スリット穴32を挟んだ両側後方に一対の挟持片20同士を連結する連結部24を一対の挟持片20と共に一体成形して成る。
【0049】
連結部24は、挟持片20の略中央に位置し、厚み方向の
中心位置に設けられる挿通スリット穴32を挟んだ両側後方に一対の挟持片20同士を帯状に一体成形して連結している。射出成形工程を終了してから組立工程までの間、上方の挟持片20と下方の挟持片20の互いの位置関係を保つことを主目的として設けられることで
一対の挟持片20同士を組み合わせる必要がなくなることから、組立工程における手作業の簡素化ならびに自動化ラインの組立工程の工数削減が図られる。また折り畳み機能や切り離し機能を持たせるために折り目や破断スリットを設けても良い。さらにバネ体33によって
一対の挟持片20同士が組み合わされた後は、その役割が終了することから材質的な強度ならびに耐久性は特に必要とされない。
【0050】
挿通スリット穴32は、あご部25から把持部30にかけてバネ体33が挿通されるスリット状の貫通穴であって、挟持片20の厚み方向の中心位置に設けられる。
【0051】
図3(b)は、挟持片20にバネ体33を装着した状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
組立方法としては、バネ体33が挿通スリット穴32の両側に双設される回動支点部23と連結部24を跨いだ状態で挿入される。なお、バネ体33の形状は、バネ部材を内側方向に付勢する形状であれば、特にその形状を限定するものではない。
【0052】
図3(c)は、挟持片20にバネ体33を装着して開放した状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
挟持片20が外側方向から略C字状のバネ体33によって挟み込まれることによって、挟持面22の開口距離を大きくとった強力な挟持力で挟持物を挟持することができる。
【0053】
以上で構成される本発明における請求項2のピンチ具10は、
形状を同じくして一体成形される一対の合成樹脂製の挟持片20と、リング状のバネ体33を挟持片20の後方から嵌め込むことができる構造を採用していることで自動化による大量生産を可能にすると共に、従来のリング状のバネ体を使用することで射出成形加工によって形成される連結部24が設けられることにより
一対の挟持片20同士を組み合わせる必要がなくなることから、低コストのピンチ具の製造ができるといった優れた効果が得られる。
【実施例3】
【0054】
図4は、本発明の請求項3記載のピンチ具を示す説明図である。
図4(a)は、射出成形機によって成形加工された状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
本発明のピンチ具10は、
形状を同じくして一体成形される一対の合成樹脂製の挟持片20と、該一対の挟持片20同士を外側方向から押圧して挟持する金属製のバネ体33の2つの部品で構成されるピンチ具であって、挟持片20は、前方に位置する挟持部21と、中央に位置する回動支点部23と、後方に位置する把持部30と、該挟持部21と回動支点部23の間に位置するあご部25と、で構成され、挟持片20の挟持部21と回動支点部23の間を無垢状に形成すると共に、該回動支点部23から把持部30にかけてバネ体33が挿通される挿通長穴36を形成し、該バネ体33の先端部が落とし込まれる落とし込み溝35を挟持片20の挟持部21の外側に形成して成る。
【0055】
挿通長穴36は、回動支点部23から把持部30にかけてバネ体33が挿通される貫通長穴であって、挟持片20の厚み方向の中心位置に設けられる。
【0056】
図4(b)は、挟持片20にバネ体33を装着した状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
本発明のピンチ具10は、実用新案登録第3069716号公報(特許文献2)の
図2で示されるような組立手順で組み立てられる。また組み立て時においては、
一対の挟持片20同士が一体成形されているためバネ体33を挟持片20の挿通長穴36に容易に通すことができる。
【0057】
図4(c)は、挟持片20にバネ体33を装着して開放した状態を示す説明図である。
左示図はピンチ具10の正面断面図であり、右示図はピンチ具10の把持部30方向から見た側面図である。
本発明のピンチ具10は、挟持片20が外側方向から略C字状のバネ体33によって挟み込まれることによって、挟持面22の開口距離を最大限大きくとった強力な挟持力で挟持物を挟持することができる。
【0058】
以上で構成される本発明における請求項3のピンチ具10は、従来のリング状のバネ体と、
形状を同じくして一体成形される一対の挟持片20の連結部24を利用することで、
一対の挟持片20同士を組み合わせる必要がなくなることから、従来の組立工程を大きく変更することなく最小限の設備投資で低コストのピンチ具の製造ができるといった優れた効果が得られる。