(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品を取り扱う各種の建物では高度の清浄度を維持しなければならず、当然に、清浄を維持するべき区画内への昆虫類の侵入を確実に防止する必要がある。一方、近年、地球環境保護への関心が高まり、殺虫剤一辺倒の防虫対策の反省から、施設の構造改善を含む総合的な防虫管理に、多くの工場が目を向け始めている。
【0003】
例えば特許文献1に開示の防虫用エアカーテン装置は、室内空間への出入口を構成する通路空間の側部に、室外側エアを吸引する室外気吸込口と、通路空間を横方向に横断するエアカーテン気流吹出ノズルとを有するエア吸引吹出装置を設ける。吹出ノズルは吹出した気流が、適宜の吹出角度を有して室外空間側に向けて流れる吹出角度を保って配置され、通路空間の他側部には、エアカーテン気流と鋭角をなして当接し、エアカーテン気流を通路空間の室外空間側に逃がすバッフルボードを設けている。
【0004】
この防虫用エアカーテン装置によれば、通路空間の一側にエア吸引吹出装置を、他側にバッフルボードを設けエア吸引吹出装置からのエアカーテン気流をバッフルボードに鋭角に当てることによりエアカーテン気流の下流部においてエアカーテン気流の密度が高くなり進入しようとする昆虫類を良好に排除することが可能となる。
【0005】
ところで、エアカーテンやエアシャワー等の昆虫類侵入防止装置は、出入口に向かって飛び込んでくる昆虫類の侵入はほぼ防止できるが、床面を伝ってくる昆虫類の侵入は必ずしも充分に防止できない。すなわち、この種の装置は、通常、床面付近では流速が大きく低下してしまうため、床面にしっかりとしがみつきつつ這い込んでくる昆虫類の侵入を必ずしも確実に防止できない。
【0006】
このような不具合を解消しようとするものの一つとして特許文献2に昆虫類侵入防止装置が開示されている。この昆虫類侵入防止装置は、捕獲対象の昆虫類を吸引可能なスリット部と、スリット部の下部に一体に接続されたチャンバ部とからなる捕獲機構を、昆虫類の侵入を防止するべき区画の出入口の外側または内側もしくはその双方の床面に全幅にわたって埋設する。スリット部の上部を吸込口として床面に開口させ、チャンバ部に吸込ブロワを接続して吸込口から床面近傍の空気を吸い込み、その吸引空気流によって床面を伝う昆虫類を吸い込んで捕獲する。
【0007】
さらに、特許文献3には、建物の室内等への出入口の間仕切り閉鎖時に、この間仕切り外面に止っていた昆虫が、間仕切り開放により建物等内部に侵入することを防止する室内等への昆虫侵入防止方法及び防虫用エア吹出し装置付きの間仕切り設備が開示されている。この室内等への昆虫侵入防止方法及び防虫用エア吹出し装置付きの間仕切り設備は、室内等への出入口の間仕切り上方ないし側方部分に、防虫用エア吹出し装置を設ける。間仕切り開放に先だち、間仕切りへ防虫用エアを吹き付けることで、間仕切り外面及び周辺の昆虫を排除させる。その後、間仕切り外方へエアカーテンを形成し、次いで間仕切りを開放する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の防虫用エアカーテン装置、特許文献3の室内等への昆虫侵入防止方法及び防虫用エア吹出し装置付きの間仕切り設備は、出入口部に設けるエアカーテンで、昆虫を落とすものであるが、上方からのエアでは、床面にエアが達しにくく、届きにくい。従って、飛翔昆虫には有効かもしれないが、地上を走行する或いは匍匐する昆虫には十分な効果が得にくく、駆除できないものもある。また、特許文献2の昆虫類侵入防止装置は、入口床面のスリット部から、床面近傍の空気を吸い込み、その吸引空気流によって床面を伝う昆虫類を吸い込んで捕獲するが、スリット部と、チャンバ部とからなる捕獲機構を、床面に全幅にわたって埋設しなければならず、構造が複雑となる。これに加え、飛び跳ねる昆虫類(直翅類)の場合、スリット部を跳躍し飛び越えてしまうことで、出入口部からの侵入を防止できないことがある。
【0010】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、エアカーテンによる駆除効果が得られず、吸引可能な床面のスリット部を跳躍し飛び越えてしまうような昆虫類であっても、出入口部からの侵入を抑止することができる昆虫類侵入防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の昆虫類侵入防止装置11は、壁部27を床部29の床面31まで除いて形成した出入口部21と、
前記出入口部21の手前側に構成される玄関ポーチとなる前記床部29に、前記出入口部21の開口間口方向両端35に渡り、且つ前記出入口部21から外側へ離反する方向に所定距離を有し奥行きを備えて、所定の開口面積の範囲の前記床面31を凹ませて形成される凹部13と、
前記出入口部21の開口間口方向と直交する方向を傾斜方向として傾斜し、前記凹部13の内側で凹部開口領域とほぼ同等の範囲で水勾配を有して形成される傾斜面15と、
前記出入口部21の開口間口方向両端に渡って前記凹部13内に前記出入口部21の開口間口方向を長手方向とされて配置されるとともに、該長手方向に沿って前記傾斜面15の傾斜上縁41が接続されて前記傾斜面15を覆うように水17を供給する供給水路23と、
前記凹部13内に配置されるとともに、前記傾斜面15の傾斜下縁51に接続されて前記傾斜面15を流下した水17を排水する排水路25と、
を具備することを特徴とする。
【0012】
この昆虫類侵入防止装置11では、建物に設けられた出入口部21の前方、すなわち手前側となる出入口部21よりも外側の玄関ポーチに、床部29が設けられる。この床部29には、出入口部21の開口間口方向両端35に渡り、床面31を凹ませて、出入口部21から外側へ離反する方向に所定距離を有し奥行きを備えた所定の開口面積の範囲の凹部13が形成される。凹部13の内側には、傾斜面15が設けられる。傾斜面15は、凹部開口領域とほぼ同等の範囲で水勾配を有する。傾斜面15の傾斜上縁41には、水17を供給する供給水路23が、供給水路23の長手方向に沿って接続される。傾斜面15の傾斜上縁41に供給された水17は、傾斜面15を覆って流下する。傾斜面15を流下した水17は、傾斜下縁51に接続された排水路25によって凹部13から排水される。これにより、傾斜面15は、常に流水面によって覆われることになる。凹部13に着地する昆虫類は、この傾斜面15を流れる流水面に着水することになる。流水面に着水した昆虫類は、水17の流れに乗って下流へ運ばれて、出入口部21に到達できなくなる。
【0013】
本発明の請求項2記載の昆虫類侵入防止装置11は、請求項1記載の昆虫類侵入防止装置11であって、
前記凹部13には、前記床面31と同一平面となる人用歩行面37が設けられることを特徴とする。
【0014】
この昆虫類侵入防止装置11では、凹部13に、床面31と同一平面の人用歩行面37が設けられる。人用歩行面37は、開口を有して凹部13を覆うものであってもよく、凹部13に散在するもの、例えば飛び石77等であってもよい。これにより、歩行者は、流水面に接することなく、人用歩行面37を渡って、出入口部21に到達できるようになる。
【0015】
本発明の請求項3記載の昆虫類侵入防止装置11は、請求項2記載の昆虫類侵入防止装置11であって、
前記人用歩行面37が、グレーチング39の表面であることを特徴とする。
【0016】
この昆虫類侵入防止装置11では、凹部開口領域の全てが、グレーチング39によって覆われる。グレーチング39は、開口比(凹部開口領域の面積/開口面積)が人の歩行性と、直翅類等の昆虫類の落下性とに合わせて適宜に設定される。グレーチング39は、同一の開口比の場合であっても、人の歩行性が良好となり、且つ直翅類が落下しやすい構造で形成される。人の歩行性が良好となり、且つ直翅類が落下しやすいグレーチング39の構造例としては、例えば、鉛直面に板面が沿う複数の平行な板材を、直翅類の落下間隙を隔てて配置したスノコ状のものとすることができる。
【0017】
本発明の請求項4記載の昆虫類侵入防止装置11は、請求項1,2,3のいずれか1つに記載の昆虫類侵入防止装置11であって、
前記排水路25が、前記床部29に凹設された貯留槽19に接続され、
前記排水路25と前記貯留槽19の境に水17を通過させて昆虫類を捕捉する捕虫部65が設けられることを特徴とする。
【0018】
この昆虫類侵入防止装置11では、排水路25と貯留槽19の境に捕虫部65を設けることで、貯留槽19の直前まで流水によって運ばれてきた昆虫類を、水17と共に例えば網状のかご等からなる捕虫部65に投入し、昆虫類のみを容易に捕捉することができる。また、排水路25の水17を給水ポンプ47にて循環させる場合には、目詰まり等による給水ポンプ47への悪影響を低減できる。
【0019】
本発明の請求項5記載の昆虫類侵入防止装置83は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の昆虫類侵入防止装置11であって、
前記壁部27を前記床部29の前記床面31まで除いて形成した前記出入口部21の開口間口方向両端35に渡る前記床部29に延在して設けられ溝開口79が前記床面31と同一平面となる水路81と、
前記水路81の水路一端部85に給水して水17を水路他端部方向へ流す給水ポンプ47と、
を具備することを特徴とする。
【0020】
この昆虫類侵入防止装置83では、水17の流れの始端となる水路一端部85に給水ポンプ47から水17が供給されると、水17が流れの終端となる水路他端部87に向かって流れ、出入口部21と連続する床面31が水路81の流水面によって分断される。これにより、流水面を挟む一方側から他方側、すなわち、出入口部21から侵入しようと歩行によって渡ろうとする、例えば、上記グレーチング39を歩行或いは匍匐する昆虫類の侵入が困難となる。流水面に落下した昆虫類は、流れに乗って下流へ運ばれて、出入口部21に到達できなくなる。また、水路81の水17は常に流れているので、よどまず、劣化しにくく、ボウフラ等が発生しにくい。
【0021】
本発明の請求項6記載の昆虫類侵入防止装置83は、請求項5記載の昆虫類侵入防止装置83であって、
前記水路81の終端に水17を通過させて昆虫類を捕捉する捕虫部65が設けられることを特徴とする。
【0022】
この昆虫類侵入防止装置83では、例えば水路81の下流側となる終端に捕虫部65を設けることで、この終端まで運ばれてきた昆虫類を、水17と共に例えば網状のかご等からなる捕虫部65に投入し、昆虫類のみを容易に捕捉することができる。また、水路81を往路水路89と復路水路91とで構成する循環構造の場合に、貯留槽19への還流水から昆虫類とともに異物も取り除くことができ、還流水の浄化にも寄与可能となる。
【0023】
本発明の請求項7記載の昆虫類侵入防止装置11は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の昆虫類侵入防止装置11であって、
前記出入口部21の上縁には、少なくとも開口間口方向両端35に渡る長さで前記凹部13に向かって所定の厚みの空気流を下向きに吹き出すエアカーテン生成装置67が設けられていることを特徴とする。
【0024】
この昆虫類侵入防止装置11では、出入口部21の上縁には、エアカーテン生成装置67のスリット状の吹出口が、出入口部21の開口間口方向両端35に渡って開口されている。エアカーテン生成装置67の吹出口から所定速度の空気が整流されて吹き出されると、出入口部21の開口面は、カーテン状となった所定厚の空気流によって覆われる。これにより、出入口部21を飛翔して通過しようとする昆虫類は、下降する空気流によって急降下し、凹部13に落下する。凹部13に直接落下、または歩行の後落下した昆虫類は傾斜面15の水流によって捕虫部65へ運ばれる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る請求項1記載の昆虫類侵入防止装置によれば、エアカーテンによる駆除効果が得られず、吸引可能な床面のスリット部を跳躍し飛び越えてしまうような昆虫類であっても、出入口部からの侵入を抑止することができる。また、水が傾斜面を常に流れているので水の劣化や淀みが生じにくく、清潔感を保つことができる。
【0026】
本発明に係る請求項2記載の昆虫類侵入防止装置によれば、人用歩行面を流水面から浮かせて配置でき、履物が濡れない。また、人用歩行面が床面と同じ面で確保でき、人の歩行が容易となる。
【0027】
本発明に係る請求項3記載の昆虫類侵入防止装置によれば、凹部開口領域の全てがグレーチングに覆われ、グレーチングの表面が床面と面一となって、人が安全に歩行できる。
【0028】
本発明に係る請求項4記載の昆虫類侵入防止装置によれば、排水路の終端まで運ばれてきた昆虫類を、水とともに捕虫部に投入し、昆虫類のみを容易に捕捉できる。
【0029】
本発明に係る請求項5記載の昆虫類侵入防止装置によれば、常に流れる水で出入口部と床面との連続を分断して、昆虫類の歩行を阻止できるとともに、水路に落下若しくは水中歩行を試みる昆虫類を水流によって流すことで、簡素な構造で、出入口部から建物内への昆虫類の侵入を抑止できる。また、水が常に流れているので水の劣化や淀み、汚濁が生じにくく、清潔感を保つことができる。
【0030】
本発明に係る請求項6記載の昆虫類侵入防止装置によれば、水路他端部の終端まで運ばれてきた昆虫類を、水とともに捕虫部に投入し、昆虫類のみを容易に捕捉することができる。
【0031】
本発明に係る請求項7記載の昆虫類侵入防止装置によれば、飛翔により出入口部を通過しようとする昆虫類をエアカーテンによって凹部に向かって落下させ、落下した昆虫類を水路によって流すことで、出入口部からの昆虫類の侵入をさらに効果的に抑止できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る昆虫類侵入防止装置11の設けられた出入口部近傍の平面図、
図2は
図1に示した凹部13の縦断面図、
図3は傾斜面15の水17の流れを表す斜視図、
図4は
図1に示した貯留槽19の縦断面図である。
本実施形態に係る昆虫類侵入防止装置11は、出入口部21と、凹部13と、傾斜面15と、供給水路23と、排水路25と、を主要な構成として備える。
【0034】
出入口部21は、壁部27を床部29の床面31まで除いて形成される。本実施形態において、出入口部21は、例えば玄関として、工場等の建物と外部との境に設けられる風除室33に形成されるが、建物内の仕切り壁に設けられる開口、例えば区画された部屋間に設置される出入口や、廊下と部屋との境に設置される出入口であってもよい。出入口部21が玄関である場合、床部29は、例えば玄関ポーチとなる。
【0035】
凹部13は、出入口部21の開口間口方向両端35に渡る床部29に床面31を凹ませて形成される。また、凹部13は、出入口部21から外側へ離反する方向に所定距離を有して形成される。凹部13は、少なくとも開口間口方向両端35の距離を有する一対の平行な間口辺部と、この一対の間口辺部に挟まれる一対の平行な奥行辺部とによって四角形に形成することができる。ここで「少なくとも開口間口方向両端35の距離を有する」とは、
図1に示すように、開口間口方向両端35の左右の袖壁28の前も含んでもよいことを意味する。なお、凹部13は、上記の四角形の他、開口間口方向両端35に沿う間口辺部が弦となる半円形状等であってもよい。
【0036】
凹部13には、床面31と同一平面となる人用歩行面37が設けられる。
【0037】
人用歩行面37は、例えばグレーチング39の表面とすることができる。
【0038】
傾斜面15は、凹部13の内側で凹部開口領域とほぼ同等の範囲で形成される。この傾斜面15は、
図2に示すように、水勾配θ、例えば1/50〜1/100の勾配、好ましくは水が停滞せずに流れる角度を有している。傾斜面15は、出入口部21から外側へ向かって離反するに従って、低くなる傾斜で形成される。換言すれば、出入口部21側に向かって上り勾配となる。傾斜面15は、傾斜上縁41が、床部29の床面31よりも低い位置、すなわち沈んだ位置となって配置されている。
本実施形態では、傾斜面15は、例えば第1傾斜板43によって形成される。第1傾斜板43の下方には、第1傾斜板43と逆勾配となった第2傾斜板45が接続され配置されている。第2傾斜板45は、第1傾斜板43からの水を排水路25へ送るための接続路を構成し、第1傾斜板43の傾斜面15を流下した水17は、第2傾斜板45の傾斜面15を流下して、出入口部21に接近する。出入口部21の近傍に到達した水17は、排水路25に流入するようになっている。
【0039】
供給水路23は、第1傾斜板43における傾斜面15の傾斜上縁41に接続される。供給水路23は、傾斜面15に水17を供給する。供給水路23には、後述の貯留槽19に設けられた給水ポンプ47からの吐出管49によって水17が供給される。
【0040】
排水路25は、第2傾斜板45における傾斜面15の傾斜下縁51に接続される。排水路25は、傾斜面15を流下した水17を排水する。なお、排水路25は、第1傾斜板43における傾斜面15の傾斜下縁51に、直接接続、すなわち第2傾斜板45を省いて構成されてもよい。なお、上記した凹部13の内面や傾斜面15、供給水路23や排水路25は、ステンレス鋼板などSUS材を使用することで、その表面を昆虫類が這うことを防ぎ、防虫、防塵及び耐腐食性が高められている。また、SUS材以外には、合成樹脂製素材や、樹脂コーティングされた素材なども使用可能である。
【0041】
供給水路23は、床部29に凹設された
図4に示す貯留槽19に接続される。貯留槽19は、例えば、鉄筋コンクリート構造とすることができる。貯留槽19には、所定量の水17である貯留水53が貯水され、その水面は排水路25の水面よりも下方に位置するよう設定される。排水路25の還流水は、貯留槽19に落下する。貯留槽19に落下した還流水は、貯留槽19に配設される給水ポンプ47によって汲み上げられ再び供給水路23に給水される。この貯留槽19は、床面31と同一平面の蓋55によって覆われる。すなわち、貯留水53の水面や給水ポンプ47は表出しない。蓋55は、保守点検時を除いて循環水の汚染及び安全性を配慮して、縞鋼板等を用いて扉構造とすることが好ましい。
【0042】
吐出管49には第1流量調整バルブ57が設けられる。給水ポンプ47と第1流量調整バルブ57との間には分岐配管59が接続される。分岐配管59の先端は、貯留槽19に開口し、常時閉の第2流量調整バルブ61によって閉じられる。第2流量調整バルブ61が開かれることで分岐配管59は貯留槽19へ開放可能となっている。つまり、第1流量調整バルブ57と第2流量調整バルブ61との弁開度を調整することで、吐出管49の流量が調整可能となっている。
【0043】
なお、貯留槽19には給水のための図示しない給水管が上水道本管等、或いは雨水貯水槽等から導入されている。また、貯留槽19には
図4に示す水位警報フロートスイッチ63が設けられ、水位警報フロートスイッチ63は満水警報及び減水警報を発報制御する不図示の発報装置と接続される。なお、この貯留槽19の貯水量は例えば約80Lを保つよう設定される。
【0044】
本実施形態では、排水路25と貯留槽19の境に水17を通過させて昆虫類を捕捉する捕虫部65が設けられる。捕虫部65は、貯留槽19に吊り下げ状態となっており、排水路25からの落下する水17を通過させるとともに昆虫類を捕捉する。捕虫部65は、例えばステンレス鋼(SUS)製のカゴや、樹脂製のカゴ、フレーム枠にネットを設けた捕虫網構造のもの等とすることができる。この捕虫部65は、着脱自在な構成が好ましく、捕獲された昆虫類の廃棄を可能とし、または、捕虫ネット構造の場合では、ネットごと廃棄することも可能となる。また、この捕虫部65に殺虫手段などを設けるなどとしてもよい。
【0045】
昆虫類侵入防止装置11は、出入口部21の上縁には、少なくとも開口間口方向両端35に渡る長さで凹部13に向かって所定の厚みの空気流を下向き、或いは下向き且つやや出入口方向の斜めに吹き出す
図1に示すエアカーテン生成装置67が設けられていることが好ましい。
【0046】
エアカーテン生成装置67は、出入口部21の内側、本実施形態では風除室33に設けられる。エアカーテンを出入口部21に形成することで、扉69の開閉時に飛翔侵入するユスリカ、タマバエ、クロバネキノコバエなどの侵入をより効果的に防止することが可能となる。ここで、エアカーテンの平均風量は、捕獲対象として想定する昆虫類の種類や大きさ等を考慮し最適に設定する。ユスリカ、タマバエ、クロバネキノコバエなどを想定した場合、好適な一例を挙げれば、エアカーテンの平均風速は9.5m/sec程度である。これによって、出入口部21の扉69の開閉時に飛翔侵入する昆虫類をエアカーテン生成装置67から吹出す気流により下降させるとともに、気流によって落ちた昆虫類を傾斜面15の流水へ落下させ、この流水によって捕虫部65へ移送することが可能となる。なお、このエアカーテン生成装置67は、出入口部21の上縁以外に、出入口部21の左右側縁部に配置してもよく、例えば出入口部21を引戸構成とした場合に有効となり、さらには、出入口部21の側方からの空気流を、上下位置で風量を変えたりすることで、飛翔侵入する昆虫類を落下へと促すことが可能となる。
【0047】
次に、上記した構成の変形例を説明する。
図5は隅部に排水を集中させる変形例に係る傾斜面71の斜視図である。なお、
図1〜
図4に示した部材・部位と同等の部材・部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
傾斜面71は、隅部に排水を集中させる一箇所集中排水としてもよい。すなわち、図例のように、傾斜下縁51において、幅W方向の右端で、奥行きD方向の前端で排水路25に接続してもよい。
【0048】
図6はグレーチング39を支える支柱73が設けられた凹部13の縦断面図である。
グレーチング39は、傾斜面15に立設した支柱73の上端によって支持されてもよい。グレーチング39は、支柱73によって支持することで、強度を低くできる。これにより、凹部13の開口率を大きくでき、大面積のグレーチング39を支えることが可能となる。
【0049】
図7は階段状の面を有する変形例に係る傾斜面75の縦断面図である。
傾斜面75は、傾斜方向に、複数の急傾斜面を、階段状に連続させて設けてもよい。これにより、それぞれの急傾斜面の傾斜角度を大きくすることができ、傾斜面75毎に昆虫類を排水路25へ送ることができ、昆虫類の移送効果を高めることができる。
【0050】
図8は飛び石77を設けた凹部13の斜視図である。
昆虫類侵入防止装置11は、グレーチング39に代えて、飛び石77を設けることで人用歩行面37を確保してもよい。飛び石77によれば、人用歩行面37が島状に配置されることになり、出入口部21までの昆虫類の歩行可能となる連続経路を断絶し無くすことができる。なお、これら飛び石77や、上記した支柱73は、その表面を、ステンレス鋼板などSUS材を使用することで、昆虫類が這うことを防ぎ、防虫、防塵及び耐腐食性が高められる。また、SUS材以外には、合成樹脂製素材や、樹脂コーティングされた素材なども使用可能である。なお、これら飛び石77の表面には、凹凸面を形成、例えばステンレス鋼板を成形して縞目を形成したり多数の突起を形成したり、或いは塗布や接着などで凸面を付加させる、例えばステンレス鋼板表面に樹脂製の突起を多数接着したり、表面の粗いテープ状の素材を接着固定したり、樹脂系塗料にて模様を塗布形成するなどしてもよく、これにより飛び石77に人のための歩行時における滑り止め面を得ることができ、例えば雨天時に歩行者が滑る危険性を回避することができる。
【0051】
次に、上記の構成を有する昆虫類侵入防止装置11の作用を説明する。
本実施形態に係る昆虫類侵入防止装置11では、建物に設けられた出入口部21の前方である外側に、床部29が設けられる。この床部29には、出入口部21の開口間口方向両端35に渡り、例えばおよそ間口幅長方向で2000mmとされ、床面31を凹ませて、例えばおよそ深さ50〜100mmとされ、出入口部21から外側へ離反する方向に所定距離を有した凹部13が形成される。
【0052】
所定距離は、直翅類の一回の跳躍距離にほぼ等しく設定される。跳躍とは、羽を用いた飛翔の距離は含まないものとする。例えばヒロアシタマトビハムシやナトビハムシなどの後脚が発達しジャンプする昆虫や、直翅類としては、例えば、バッタ、キリギリス、コオロギ、ケラ、カマドウマなどを挙げることができる。
【0053】
出入口部21の外側には、少なくとも開口間口方向両端35の距離を有する一対の平行な間口辺部と、この一対の間口辺部に挟まれる一対の平行な奥行辺部とによって形成される四角形の凹部13が凹設される。これにより、凹部13を挟んで出入口部21の反対側から出入口部21に向かって跳躍する直翅類は、凹部13に着地することとなる。
【0054】
凹部13の内側には、傾斜面15が設けられる。傾斜面15は、凹部開口領域とほぼ同等の範囲で水勾配θを有する。傾斜面15の傾斜上縁41には、水17を供給する供給水路23が接続される。傾斜面15の傾斜上縁41に供給された水17は、傾斜面15を覆って流下する。傾斜面15を流下した水17は、傾斜下縁51に接続された排水路25によって凹部13から排水される。これにより、傾斜面15は、常に流水面によって覆われることになる。なお、給水ポンプ47から傾斜面15への吐出量は、例えば150L/min程度とされるが、この傾斜面15への流水量と流水速度については、凹部13の深さ、傾斜面15の幅長や奥行き長、給水ポンプ47の吐出量などの仕様から設定されることになり、捕獲対象として想定する昆虫類の種類や大きさなどを考慮して最適に設定される。
【0055】
凹部13に着地する昆虫類は、この傾斜面15を流れる流水面に着水することとなる。流水面に着水した昆虫類は、水17の流れに乗って下流へ運ばれて、出入口部21に到達できなくなる。
【0056】
また、この昆虫類侵入防止装置11では、凹部13に、床面31と同一平面の人用歩行面37が設けられる。人用歩行面37は、開口を有して凹部13を覆うものであってもよく、凹部13に散在するもの、例えば飛び石77等であってもよい。これにより、歩行者は、流水面に接することなく、人用歩行面37を渡って、出入口部21に到達できるようになる。その結果、人用歩行面37を流水面から浮かせて配置でき、履物が濡れない。また、人用歩行面37が床面31と同じ面で確保でき、人の歩行が容易となる。
【0057】
また、この昆虫類侵入防止装置11では、凹部開口領域の全てが、グレーチング39によって覆われる。グレーチング39は、格子材による格子状、または平行な複数の桟材によるスノコ状に形成される。格子材や桟材の表面は、床面31と同一平面となる。グレーチング39は、開口比(凹部開口領域の面積/開口面積)が人の歩行性と、直翅類などの昆虫類の落下性とに合わせて適宜に設定される。グレーチング39は、同一の開口比の場合であっても、人の歩行性が良好となり、且つ直翅類などの昆虫類が落下しやすい構造で形成される。人の歩行性が良好となり、且つ直翅類などの昆虫類が落下しやすいグレーチング39の構造例としては、例えば、鉛直面に板面が沿う複数の平行な板材を、昆虫類の落下間隙を隔てて配置したスノコ状のものとすることができる。その結果、凹部開口領域の全てがグレーチング39に覆われ、グレーチング39の表面が床面31と面一となって、人が安全に歩行できる。
【0058】
また、この昆虫類侵入防止装置11では、排水路25と貯留槽19の境に捕虫部65を設けることで、貯留槽19の直前まで流水によって運ばれてきた昆虫類を、水17と共に例えば網状のかご等からなる捕虫部65に投入し、昆虫類のみを容易に捕捉することができる。また、排水路25の水17を給水ポンプ47にて循環させる場合には、目詰まり等による給水ポンプ47への悪影響を低減できる。その結果、排水路25の終端まで運ばれてきた昆虫類を、水17とともに捕虫部65に投入し、昆虫類のみを容易に捕捉できる。
【0059】
この昆虫類侵入防止装置11では、出入口部21の上縁には、エアカーテン生成装置67のスリット状の吹出口が、出入口部21の開口間口方向両端35に渡って開口されている。エアカーテン生成装置67の吹出口から所定速度の空気が整流されて吹き出されると、出入口部21の開口面は、カーテン状となった所定厚の空気流によって覆われる。これにより、出入口部21を飛翔して通過しようとする昆虫類は、下降する空気流によって急降下し、凹部13へと落下することとなる。凹部13に直接落下、または歩行の後落下した昆虫類は傾斜面15の水流によって捕虫部65へ運ばれる。その結果、飛翔により出入口部21を通過しようとする昆虫類をエアカーテンによって凹部13に向かって落下させ、落下した昆虫類を傾斜面15の流水によって流すことで、出入口部21からの昆虫類の侵入をさらに効果的に抑止できる。
【0060】
次に、昆虫類侵入防止装置11の他の実施形態を説明する。
図9は溝開口79を有する水路81を備えた他の実施形態に係る昆虫類侵入防止装置83の平面図、
図10は
図9に示した凹部13と水路81の縦断面図、
図11は
図10に示した凹部13と水路81における水17の流れを表す斜視図である。
昆虫類侵入防止装置83は、壁部27を床部29の床面31まで除いて形成した出入口部21の開口間口方向両端35に渡る床部29に延在して設けられ溝開口79が床面31と同一平面となる水路81と、水路81の水路一端部85に給水して水17を水路他端部方向へ流す給水ポンプ47と、を備える。給水ポンプ47は、上記構成と共用することができる。
【0061】
水路81は、溝開口79(
図10参照)が床面31と同一平面となる。給水ポンプ47は、水路81の水路一端部85に給水して水17を水路他端部87へ流す。水路81は一本のもので、水路一端部85から供給した水17を水路他端部87において、排水するものであってもよいが、本実施形態の水路81は、往路水路89と復路水路91とからなる。
【0062】
往路水路89と復路水路91とは、水路他端部87で接続され連通した水路81を構成する。水路接続部分である折り返し部分は、流れ抵抗を小さくするために円弧状の還流溝93として形成されることが好ましい。還流溝93は、例えば分割された複数の曲蓋によって覆われる。
【0063】
往路水路89及び復路水路91は、出入口部21の中央部、例えば扉69や引戸等が配置される幅長部分では同一の溝幅で形成されるが、復路水路91と建物とに挟まれる往路水路89は、出入口部21から外れた両側で
図9に示す拡幅部95を有している。拡幅部95は、復路水路91と建物壁部との間に渡って形成されることで、水路81と建物壁部との間に昆虫類の這うことが可能となる平坦面ができるだけ形成されないように、且つ建物壁部の壁面に水路81(往路水路89)の溝開口79が近接するように形成している。
【0064】
往路水路89及び復路水路91は、例えばステンレス鋼(SUS)製の溝部材からなる。水路81は、SUS材を使用することで、水路内壁面を昆虫類が這うことを防ぎ、防虫、防塵及び耐腐食性が高められている。また、SUS材以外には、合成樹脂製のレール状部材や、樹脂コーティングされた略U字溝構造の部材なども使用可能である。
【0065】
水路上部の溝開口79には、捕獲した昆虫類が溝内壁面を這い上がることを防止したり、水路81の流水が床面31等に飛散することを防止したり、建物に出入する人の障害にならないようにしたりするための10〜20mm程度の張出長を有する返し縁部が設けられる。往路水路89の水路一端部85は閉塞板によって塞がれ、この閉塞板には給水ポンプ47からの吐出管49が貫通される。吐出管49は、往路水路89と、供給水路23とに、分岐して接続される。復路水路91の水路一端部85は、開放され、貯留槽19に接続されて、還流水が貯留槽19に落下するように構成されている。
【0066】
なお、これら往路水路89と復路水路91とは、溝底が下流方向に下り勾配の傾斜面で形成されていることが好ましい。また、これら往路水路89と復路水路91は、建物建造時に出入口部21の構築とともに設置される施工手順と、既存の出入口部21の床部29をはつり、施工する手順と、いずれも配設可能である。
【0067】
水路81に流す流水量及び流水速度、水路81の幅及び深さ、還流溝93の曲率半径、給水ポンプ47の吐出量等に関する各仕様は、捕獲対象として想定する昆虫類の種類や大きさ等を考慮して最適に設定する。例えば、カメムシ、テントウムシ、アリ、ハサミムシ等の昆虫類を想定した場合、好適な一例を挙げれば、水路81の幅は60mm程度、深さは100mm程度、還流溝93の曲率半径は400mm程度、水路一端部85及び水路一端部85の付近での幅は105mm程度、水路内における流水の水深は40〜50mm程度、給水ポンプ47の吐出量は150L/min程度である。なお、水路81に使用する水17には、必要に応じて防腐剤等を添加、さらには殺虫成分を添加することとしてもよい。防腐剤は、夏期などの水温の高い時期に用いるとよい。
【0068】
この昆虫類侵入防止装置83では、水17の流れの始端となる水路一端部85に給水ポンプ47から水17が供給されると、水17が流れの終端となる水路他端部87に向かって流れ、出入口部21と連続する床面31が水路81の流水面によって分断される。これにより、流水面を挟む一方側から他方側、すなわち、出入口部21から侵入しようと歩行によって渡ろうとする、例えば、グレーチング39を歩行する昆虫類の侵入が困難となる。流水面に落下した昆虫類は、流れに乗って下流へ運ばれて、出入口部21に到達できなくなる。出入口部21の床部29には水路81のみを設ける簡素な構造とすることができる。
【0069】
また、昆虫類侵入防止装置83では、水路81の水17は常に流れているので、よどまず、劣化しにくく、ボウフラ等が発生しにくい。その結果、常に流れる水17で出入口部21と床面31との連続を分断して、昆虫類の歩行や匍匐を阻止できるとともに、水路81に落下若しくは水中歩行を試みる昆虫類を水流によって流すことで、簡素な構造で、出入口部21から建物内への昆虫類の侵入を抑止できる。また、水17が常に流れているので水17の劣化や淀み、汚濁が生じにくく、清潔感を保つことができる。
【0070】
昆虫類侵入防止装置83は、水路他端部87の終端に水17を通過させて昆虫類を捕捉する捕虫部65が設けられてもよい。
この昆虫類侵入防止装置83では、例えば水路81の下流側となる終端に捕虫部65を設けることができる。この捕虫部65は、凹部13の排水路25に設けられるものと共用することができる。水路他端部87の終端に捕虫部65を設けることで、終端まで運ばれてきた昆虫類を、水17と共に捕虫部65に投入し、昆虫類のみを容易に捕捉できる。また、水路81を往路水路89と復路水路91とで構成する循環構造の場合に、貯留槽19への還流水から昆虫類とともに異物も取り除くことができ、還流水の浄化にも寄与可能となる。その結果、水路他端部87の終端まで運ばれてきた昆虫類を、水17とともに捕虫部65に投入し、昆虫類のみを容易に捕捉することができる。
【0071】
図12は出入口部側に向かって下り勾配となる変形例に係る傾斜面97の斜視図である。
昆虫類侵入防止装置83は、
図3に示した傾斜面15と逆傾斜の傾斜面97を設けてもよい。傾斜面97は、出入口部21に向かって下り勾配となる斜面となる。出入口部21に向かって下り勾配とすることで、貯留槽19に排水路25を近づけることができ、第2傾斜板45を不要にして、凹部13の深さを浅く構成することが可能となる。
【0072】
傾斜面97を設けた昆虫類侵入防止装置83は、往路水路89を傾斜面97の排水路25と接続することができる。すなわち、往路水路89の還流水と、傾斜面97の排水とを合流させて、排水路25に流すことができる。これにより、還流溝93や復路水路91を省略して、構造を簡素にすることができる。
【0073】
従って、本実施形態に係る昆虫類侵入防止装置11、昆虫類侵入防止装置83によれば、エアカーテンによる駆除効果が得られず、吸引可能な床面のスリット部を跳躍し飛び越えてしまうような昆虫類であっても、傾斜面15を流れる水によって出入口部21からの侵入を抑止することができる。
【課題】エアカーテンによる駆除効果が得られず、吸引可能なスリット部を飛び越えてしまうような昆虫類であっても、出入口部からの侵入を抑止することができる昆虫類侵入防止装置を提供する。
【解決手段】昆虫類侵入防止装置11において、壁部27を床部29の床面31まで除いて形成した出入口部21と、出入口部21の開口間口方向両端35に渡る床部29に床面31を凹ませて出入口部21から外側へ離反する方向に所定距離を有して形成される凹部13と、凹部13の内側で凹部開口領域とほぼ同等の範囲で水勾配を有して形成される傾斜面と、傾斜面の傾斜上縁に接続されて傾斜面に水を供給する供給水路と、傾斜面の傾斜下縁に接続されて傾斜面を流下した水を排水する排水路と、を設けた。