【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2013年10月24日〜25日、日本応用地質学会 平成25年度研究発表会 名古屋大学野依記念学術交流館にて、平川泰之及び吉村達朗が公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記微細断層線DLjを描かせるための面の上に、前記微細断層線DLjを線で繋ぐための面を表示し、この面における前記カーソルの移動に追従して前記微細断層線DLj、前記γ線測定点Pi、前記γ線現地測定結果直線LGjの色とは異なる色の線をハイブリッド断層線HBLjとして前記微細断層線DLjを線で繋ぐための面に描画する手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の断層図作成装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に示す実施の形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、発明の技術的思想は、構造、配置は下記のものに特定するものではない。
発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。図面は模式的なものであり、装置やシステムの構成等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0019】
一般に、活断層と思われる微細断層というのは、数キロにも渡る断層長であり、この断層長は断層幅に依存しているといわれている。また、断層長というのは、地盤の活動性が影響するといわれている。この活動性の検出にγ線測定装置を用いている。
【0020】
つまり、実施の形態1においては、航空レーザ計測データから得た赤色立体化画像RGiを画面に表示させて微細断層を判読させ、判読した微細断層を描画させて、現地で測定したγ線測定結果を用いた断層長、及び方向に基づいて微細断層同士を容易に精度よく繋げられるようにしている。
【0021】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1の断層図作成装置の概略構成図である。実施の形態1の断層図作成装置は、
図1に示すように、パソコン本体部100に以下のプログラム構成を備えて表示部200の画面にハイブリッド断層
図HHGiを表示する。
【0022】
パソコン本体部100は、赤色立体化画像作成部10と、断層用検索範囲設定部12と、画像化部14と、範囲定義部16と、既存・赤色判読描画部18と、γ線測定点・断層線描画部24と、線調整部26等のプログラム構成を備えている。
【0023】
さらに、パソコン本体部100は、記憶手段として、
図1に示すように、数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)を記憶したDEM用データベース30と、赤色立体化画像RGiが記憶されるメモリ32と、画像化部14のメモリ39と、赤色立体化画像RGiに基づいて判読した断層帯幅が10m以下の微細断層線(以下微細断層線DLjという)を描画するための微細断層線定義用メモリ34と、既存の断層線(以下既存断層線KLjという)が描画される既存断層線用メモリ36と、ハイブリッド断層線HBLjが描画されるメモリ38と、現地γ線測定情報Fγiが記憶された現地測定結果情報用メモリ40等を備えている。本実施の形態では、微細断層線DLjは、断層線の幅が約10m以下をいう。
【0024】
前述のDEM用データベース30に記憶された数値標高モデル(Digital Elevation Model)とは、計測地域全体に所望の格子間隔d(例えば、0.2m、0.5m、1m又は1,5m、2.5m等)の格子構造を設定し、レーザ反射パルスのうち主に最後に返ってきたパルス(ラストパルス)によって計測された標高データから、地表面以外の建物や樹木などを取り除くフィルタリングを行い、標高値内挿補間法によって得た地盤の格子状の標高データである。
【0025】
図2に具体例を示す。
図2に示すように、DEMデータDiは、格子番号i(i=1,2,・・・,n)を付与した各格子の中心点のX座標(経度Xi)、Y座標(緯度Yi)、Z座標(地盤標高値Zgi)によって構成される。
【0026】
標高値内挿補間法の例としては、同じ標高値を結んだ等高線図を作成し、この等高線図に対して不整三角形網(TIN)を作成して地盤を復元し、TINと各格子の交点の高さを求める方法がある。
【0027】
赤色立体化画像作成部10は、DEM用データベース30の数値標高モデルに標本格子点を順次設定し、この標本格子点毎に断層用検索範囲設定部12によって設定された断層を検出するため検索範囲を設定し、この断層検索範囲内において、DEM(Digital Elavation Model)データDiに基づいて斜度と、地上開度と、地下開度との3つのパラメータを求め、その平面分布をグレイスケール画像として保存する。
なお、断層用検索範囲設定部12は、前述の微細断層線DLjの断層帯幅FWを検出可能な検索範囲を設定するための入力ボックス(図示せず)を表示する。
【0028】
そして、地上開度と地下開度の差分画像にはグレイを、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することにより、尾根や山頂部分を白っぽく、また谷や窪地を黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現した赤色立体化地
図RGiを生成して、メモリ32に記憶する。この赤色立体化画像作成部10について図を用いて後述する。
【0029】
画像化部14は、出力された各種画像を合成(重ねて)して表示部200に表示する。このとき、画像に付加されている色情報で画面に表示する。
【0030】
範囲定義部16は、赤色立体化画像作成部10を介してメモリ32に記憶された赤色立体化画像RGiの平面範囲(X、Y)を読み、これらの範囲を微細断層線定義用メモリ34、既存断層線用メモリ36、メモリ38に定義する。この微細断層線定義用メモリ34に定義された平面を赤色判読結果用平面と称し、既存断層線用メモリ36に定義された平面を既存用平面と称し、メモリ38に定義された平面図をハイブリッド用平面と称する。
【0031】
すなわち、微細断層線定義用メモリ34の赤色判読結果用平面は、赤色立体化画像RGiの原点座標を有し、かつ赤色立体化画像RGiの解像度のメッシュサイズにされて定義されている。
【0032】
また、既存断層線用メモリ36の既存用平面は赤色立体化画像RGiの原点座標を有し、かつ赤色立体化画像RGiの解像度のメッシュサイズ又はこの解像度より細かいメッシュサイズにされて定義されている。
【0033】
また、メモリ38のハイブリッド用平面は、赤色立体化画像RGiの原点座標を有し、かつ赤色立体化画像RGiの解像度のメッシュサイズにされて定義されている。
【0034】
既存・赤色判読描画部18は、画面の赤色立体化画像RGi上に微細断層線DLjを描く指示がある場合は、画面上のカーソルの移動に伴って、このカーソルの移動に伴う座標を微細断層線定義用メモリ34の赤色判読結果用平面の座標に変換して定義し、この平面に定義された線を微細断層線DLjとして画像化部14によって表示させる。
【0035】
また、既存・赤色判読描画部18は、画面の赤色立体化画像RGi上に既存断層線KLjを描く指示がある場合は、画面上のカーソルの移動に伴って、この座標を既存断層線用メモリ36の既存用平面面の座標に変換して定義し、この平面に定義された線を既存断層線KLjとして画像化部14によって表示させる。
【0036】
また、現地測定結果情報用メモリ40には、画面の赤色立体化画像RGiに基づいて決定した現地におけるγ線測定点Piにおける複数測定ポイントのγ線強度と測定間隔に基づいて求められたγ線現地測定結果直線LGjの断層長L及び地域のγ線測定点Piでのγ線現地測定結果直線LGjの方向Lθiが記憶されている。これらを総称して現地γ線測定情報Fγiと称する。この現地γ線測定情報Fγiには、γ線現地測定結果直線LGjの線番号LGBiを生成してγ線測定点Piに関連付けている。
【0037】
γ線測定点・断層線描画部24は、表示部200の画面上に表示された赤色立体化画像RGiにカーソルで指示された点をγ線測定点Piとして読み込み、このγ線測定点Piをメモリ38のハイブリッド用平面の座標に変換して定義する。そして、現地測定結果情報用メモリ40に記憶されている現地γ線測定情報Fγiに含まれている方向Lθiで断層長Lの長さを有する線をγ線現地測定結果直線LGjとして表示させる。そして、このγ線現地測定結果直線LGjがカーソルで指定され、このカーソルの移動に伴ってこのカーソルの座標を微細断層線定義用メモリ34の赤色判読結果用平面の座標に変換して表示させる。この移動は方向Lθiに対して逆方向に移動させている。
【0038】
線調整部26は、画面上においてγ線現地測定結果直線LGjと既存断層線KLjとが比較されて、ハイブリッド断層線HBLjの作成指示の入力がある場合は、カーソルの座標を赤色判読結果用平面の座標に定義する。
そして、このカーソルの移動に伴って、この移動座標を微細断層線定義用メモリ34の赤色判読結果用平面の座標に変換してハイブリッド断層線HBLj(ピンク)として表示させる。
【0039】
つまり、画面に表示している微細断層線DLj同士がなぞられながら線で繋げられた場合は、これらの線及び該繋げられた微細断層線DLjをハイブリッド断層線HBLjとして異なる色(ピンク)で表示させる。
【0040】
(詳細説明)
図3はハイブリッド断層線を得るまでの作業手順を説明するフローチャートである。
【0041】
図3に示すように、航空機によって対象地域にレーザを発射して2.5m以下(例えば1m)の メッシュのDEMをDEM用データベース30に得る(S100)。
【0042】
そして、赤色立体化画像RGiを赤色立体化画像作成部10によって生成する(S200)。
図4に赤色立体化画像作成部10によって生成した赤色立体化画像RGiを示す。この赤色立体化画像作成部10によって生成を第1工程(1)とも称する。
【0043】
この赤色立体化画像RGiの生成において検索範囲を小さくとる(50〜100m程度)。これは、赤色立体化画像RGiは単画像で地形が立体的に見えるように加工した画像であり、画像解像度は航空レーザデータのメッシュサイズと同じ1m(例えば)となるため、例えば活断層判読のキーとなる微地形も十分に判読できる。
【0044】
ここで、赤色立体化画像RGiによって微細幅の断層線(微細断層線DLj(太い黒点線))を検出できる理由を説明する。
図5の(a)〜(d)に示すように、断層は線状に延びた段差地形や、尾根・谷等の地形がある線を境にして一斉にずれている場合には、断層であることが疑われる。
【0045】
ただし、段差地形が線状に延びていても、その方向が斜面の最大傾斜方向や河川流下方向に平行である場合には、断層ではなく侵食地形である可能性が高い。また、地盤を形成する岩石が、ある線を境にして異なっており、両者の耐侵食性が異なる場合にも、段差地形が形成されることがある。断層と疑われる地形があった場合、周辺を含めた地形形成過程を何パターンか想像して比較し、その地形要因が断層であると考えた方がより容易に説明できる場合に、断層と推定する。
【0046】
断層と疑われる地形を赤色立体化画像RGiで見た場合には、赤色立体化画像RGiは、例えば1mメッシュのDEMを用いて検索範囲50〜100m程度で演算するので、
図6に示すように周辺と特徴的に異なる色調が、線形に並ぶ事になる。これは傾斜などの地形量が、断層地形の部分だけ周辺と異なるためである。つまり、
図7に示すように、
図6のA−B間の断面は地盤がずれている部分を検出できる。
【0047】
ここで、等高線図と比較して説明する。
【0048】
等高線図では、等高線どうしの間に何の情報もない(
図8(b)、
図9(b)参照)。
このため、段差などの地形の連続性を追うことが難しいので結果として地形スケール(段差の高さや幅)が微小であればあるほど難しくなる。
【0049】
また、断層による鉛直変位(小さい場合には1m以下)が等高線間隔(一般に縮尺1/25000 で10m、1/2500 で2m程度)よりも小さい場合(
図8(b)、
図9(b)参照)には、等高線では表現不可能である。
【0050】
これに対して、1mメッシュ程度(0.2m、0.5mでもかまわない)のDEMを用いて50〜100m範囲の検索範囲で赤色立体化画像RGiを作成しているので
図8(a)、
図9(a)に示すように、断層線(微細断層線DLj)が明らかに判読できる。
【0051】
また、既存資料(地図、地質図等)を読み込み(S300)、かつ赤色立体化画像RGiにおいて断層を判読する(S400)。
【0052】
そして、既存資料から断層(既存断層線KLj)と分かっているところは、赤色立体化画像RGi上に移写(
図10(a)参照)する一方、赤色立体化画像RGiにおいて断層(微細断層線DLj)と判読できる箇所は線(
図10(b)参照)で描く(S500)。これを第2工程(2)とも称する。
【0053】
つまり、赤色立体化画像RGiにより、従来手法(空中写真判読)では判読できなかった微細な断層を判読して、その判読結果を描いている。
【0054】
しかし、断層「と考えられる地形」を判読することはできるが、断層でないリニアメント(例えば地質境界に沿って発達した地形ギャップ)を含む可能性がある。
【0055】
例えば、 堆積土砂で覆われている場合や、逆に渓流の侵食や人工改変によって断層が後から分断されている場合、断層の連続性が判定できない。
【0056】
このため、現地でγ線測定によってこれらを調査する(S600)。これを第3工程(3)とも称する。
【0057】
現地でγ線測定によってこれらを調査する前に
図11に示すように、工程(2)で判読された断層に対して、例えば、厚い堆積土砂に覆われていない尾根部や鞍部、岩が地表近くに存在する地点で、かつ車道から近い等アプローチの良い箇所を選定する。但し、
図11において等高線を重ねて示している。
【0058】
これによって、例えば 工程(2)の赤色立体地図の判読によって断層の存在・位置・方向などを推定できるだけでなく、地形・地質等の条件面からもγ線測定(現地調査)の適地を選定することができる。また、現地調査の効率化に繋がる。さらに、より多くのポイントで現地調査を行うことができる。
【0059】
また、 地表に土砂が厚く堆積していない場所など適切な測定場所を選定することにより、10cm オーダーの精度で断層破砕帯の境界位置を決めることができる。
【0060】
このようにして決めた測定場所における測定状況を以下に説明する。
図12(a)は現地の測定場所で用いるγ線測定装置の写真図である。
図12(b)は測定状況の写真図である。なお、γ線探査箇所数は計6 カ所である。γ線測定装置は、シンチレーションサーベイメータ(全計数法)を用いている。
【0061】
測点間隔は例えば3m である。そして、γ線強度異常値が出現した地点では10cm 間隔で測定し、γ線強度異常値範囲(破砕帯)を詳細に求める。
【0062】
図12(b)に示すようにγ線測定装置は破砕帯の方向に平行で、測線方向に直角に地面に設置される。
【0063】
つまり、推定される断層破砕帯の方向と直交方向に測線を設ける。次に、表層土砂をはぎ取る。次に、測線上を移動しながら地上のγ線強度を計測し、
図13に示すように記録していく。
【0064】
図13において、測線上のある区間で、その両側に比較して明らかにγ線強度が急に変化していれば、その区間が断層破砕帯であると推定できる。
【0065】
そして、並行する測線を設定し、同様の計測を行って、断層破砕帯の位置を特定する。2つの測線のγ線計測から破砕帯の幅・方向が特定できる。
【0066】
図14及び
図15を用いて計測の方法を具体的に説明する。
図14に示すように、STEP「0」において、第3工程(3)で決定した地盤の調査地点に測線A(ロープ)を設定する。
【0067】
STEP「1−1」において、粗い間隔(例えば5m)でγ線測定装置を配置してそれが、異常値を示すか正常値を示すかをプロットする。
【0068】
STEP「1−2」において、間隔を狭める(例えば0.5〜2m)。STEP「1−3」において、異常値の左右境界を例えば0.1mまで狭める。つまり、
図14における(a1)と(a2)とが異常区間の境界である。
【0069】
そして、
図15の「STEP2−1」において、測線A(ロープ)と平行に測線B(ロープ)を地面に設置する。
【0070】
そして、「STEP2−2」において、測線Bでのγ線強度を測定する(
図14と同様な方法)。そして、「STEP2−3」において、測線Bにおけるγ線異常境界位置b1、b2を決定する。次に、「STEP2−4」において、測線Aの異常境界位置a1、a2及び測線Bの異常境界位置b1、b2を結ぶ。そして、「STEP2−4」において測線Aと測線Bとを直角に結ぶ線の長さを断層帯幅FWと決定する。
【0071】
そして、このようにして現地で決定した断層帯幅FWを用いてγ線測定結果の整理・解析を行う(S700)。これを本実施の形態では第4工程(4)と称する。
【0072】
第4工程(4)について
図16を用いて説明する。第4工程(4)は第3工程(3)において現地で取得した断層帯幅FWをパソコンに入力して断層長Lを求めさせる。
【0073】
例えば、現地での測線A、Bでのγ線強度測定結果を
図16(a)に示すようにグラフに描いた場合に、断層帯幅FWが8.8mの場合は、
図16(b)に示すように断層長Lは、L=0.36FW+0.62として求められる。
【0074】
本実施の形態では断層帯幅FWが8.8mであるので断層長Lは3.8Kmと求められる。なお、断層長Lを求めるための係数「0.36」、「0.62」は一例である。
【0075】
そして、これらの計測データを
図1に示すLrG法を用いた断層図作成装置に入力して
図3に示すように、断層線(γ線現地測定結果直線LGj)を自動作成する(S800)。これを本実施の形態においては第6工程(6)と称する。
【0076】
この断層線(γ線現地測定結果直線LGj)の自動作成処理については図を用いて後述する。
【0077】
また、断層線(γ線現地測定結果直線LGj)の自動作成に当たっては
図3に示すよう赤色立体化画像RGiにおいて断層と考えられる箇所には断層線(微細断層線DLj)を描いておく。
【0078】
そして、γ線現地測定結果直線LGjに基づいて第6工程で得られた微細断層線DLjを修正して(S900)、最終的にハイブリッド断層線HBLjを得る(S1000)。
【0079】
以下に第5工程で行うLrG法を用いた断層図作成装置における断層線の自動作成処理(γ線測定点・断層線描画部24)について
図17のフローチャートを用いて説明する。
【0080】
図17に示すように初めに初期設定を行う(S801)。
【0081】
この初期設定は、断層用検索範囲設定部12によって検索範囲(例えば50m)が赤色立体化画像作成部10に設定されて、赤色立体化画像作成部10が
図4に示す赤色立体化画像RGiを表示部200に表示する。
【0082】
前述の検索範囲を50m程度にする理由は、通常の赤色立体地図では、微地形と大地形を同時に把握可能なように表現するため、探索範囲を数百メートルとする場合が多い。
【0083】
しかし目的を断層地形判読に特化する場合には、探索範囲を50m程度とすることによって、より微地形のみを認識しやすい画像とすることができ、かつ計算時間を短縮することができるためである。
【0084】
また、範囲定義部16によって赤色判読結果用平面が定義され、既存断層線用メモリ36に既存用平面が定義され、メモリ38にハイブリッド用平面が定義されているとする。
【0085】
さらに、現地調査によって断層長Lが得られ、かつ断層長Lの方向Lθiが得られているとする。
【0086】
また、第2工程によって
図10(a)に示すように既存資料による既存断層線KLj(黒)が赤色立体化画像RGiに描かれて、かつ
図10(b)に示すように赤色立体地
図RGiに微細断層線DLj(黒点線)が描かれているとする。
【0087】
このような状態において、
図17に示すように、γ線測定点・断層線描画部24が表示部200に表示している赤色立体地
図RGi上にγ線測定点Piが設定されたかどうかを判定する(S803)。
【0088】
ステップS803において、赤色立体地
図RGi上にγ線測定点Piが設定された判定した場合は、γ線測定点・断層線描画部24は、このγ線測定点Piをメモリ38のハイブリッド用平面に定義すると共に、
図19に示すようにγ線測定点Piを色表示(例えばイエロー)する(S805)。
【0089】
そして、
図20に示すようにγ線測定点・断層線描画部24は距離と角度を要求するダイアログボックスBPiを表示する(S807)。ダイアログボックスBPiには、例えば計算式から求められた断層長L=3800mを入力する。また、例えば、断層の方向(走行N64°W)を、東を0°として反時計回りに図った角度に換算した「154°」を入力する。
【0090】
次に、γ線測定点・断層線描画部24はこのダイアログボックスBPiに入力された距離(3800m)と角度(154°)を読み込んでラインツールに渡す(S809)。つまり、メモリ38のハイブリッド用平面にγ線測定点Piが定義されると、
図21に示すように、γ線測定点・断層線描画部24がγ線測定点PiにラインツールとダイアログボックスBPiに入力された距離(3800m)と角度(154°)とを関連付ける。
【0091】
前述のラインツールは、距離(3800m)と角度(154°)とを読み込み、γ線測定点Piを原点(基準)にして角度(154°)で距離(3800m)のγ線現地測定結果直線LGjをメモリ38のハイブリッド用平面に描くと共に(S811)、画像化部14によって
図22に示すように、γ線現地測定結果直線LGj(黒点線)を赤色立体化画像RGi上に重ね表示する(S813)。
【0092】
図22に示すように、γ線測定点Piを原点としているので、西方向のみにγ線現地測定結果直線LGj(イエロー)が引かれている。
【0093】
そして、
図18に示すように、γ線測定点・断層線描画部24はγ線現地測定結果直線LGj(黒点線)の調整かどうかを判断する(S815)。
【0094】
具体的にはγ線現地測定結果直線LGjがカーソルで指定(クリック)された時点でγ線現地測定結果直線LGjの調整と判断している。
【0095】
そして、ステップS815において、γ線現地測定結果直線LGjの調整と判断した場合は、γ線現地測定結果直線LGjの調整を受け付けて、
図23に示すように、新たに指定された点までγ線現地測定結果直線LGjを移動させる(S817)。
【0096】
具体的にはγ線測定点Piを通って、角度(154°)を維持したままクリックがはなされるまでγ線現地測定結果直線LGjを移動させる。つまり、メモリ38のハイブリッド用平面のγ線測定点Piを通って、角度(154°)を維持したままクリックがはなされるまでγ線現地測定結果直線LGjを移動させ、これを画像化部14によって表示させる。
つまり、断層面が傾斜している場合、断層面と地表面の交わる線=断層線は完全な直線形状とはならない。このため、線分の近傍を通り連続性が良い「既存資料による断層」や「判読による断層と考えられる地形」を、一連の断層であると判断し、それらをトレースした線を描いている。
【0097】
これによって、
図23に示すように
図22におけるγ線現地測定結果直線LGjがγ線測定点Piを通って角度(154°)で平行に移動させられているから、
図22においては赤色立体化画像RGiにおいて3800mのγ線現地測定結果直線LGjの全体が見えていなかったのが、
図23に示すように、γ線測定点Piを通るであろうと推定される全ての微細断層線DLjに対応付けることになるので、各々の微細断層線DLjがどのように繋がっているのかを容易に把握できることになる。
【0098】
そして、
図24に示すようにγ線現地測定結果直線LGjと微細断層線DLj(点線で示している:青)との関係を目視で確認しながら各々の微細断層線DLjが繋がる断層線であるかどうかを判断し、繋がると判断した場合は、オペレータはハイブリッド断層線HBLj(ピンク)の作成指示を行って
図24に示すように微細断層線DLjを接続(太線:色はピンク)する(S819)。つまり、メモリ38のハイブリッド用平面には太線が定義される。
【0099】
そして、
図25に示すように、γ線現地測定結果直線LGjを消去して(S821)、終了かどうかを判断する(S823)。終了と判断した場合は、画像化部14によって画面の画像をハイブリッド断層
図HHGiとしてメモリ39に記憶させる(S825)。
【0100】
従って、断層の連続性は活動度評価に大きな影響を及ぼすので、赤色立体地図からの判読だけでは不明であった断層の連続性を、γ線測定からのγ線現地測定結果直線LGjによって補うことができている。
【0101】
さらに、これまで見えなかった断層破砕帯の分布と、それらの特性(幅、長さ等)を広域に把握することができる。こうして得られた情報をもとに、活断層の活動度評価(断層断層帯幅・長さや地質年代から評価)することも可能である。
【0102】
従って、鉄道・道路等インフラストラクチャに対する地震や土砂災害のリスク評価、深層崩壊等の土砂災害に関する発生・影響予測などに活用することができる。
【0103】
<実施の形態2>
図26は実施の形態2の断層図作成装置の概略構成図である。
図26においては
図1と同一符号のものについては説明を省略する。
【0104】
図26に示すように実施の形態2の断層図作成装置は、赤色立体化画像RGiと同じ範囲のオルソフォト画像が記憶されたデータベース41と、赤色立体化画像RGiと同じ範囲の等高線図が記憶されたデータベースと、切換部44とを備えている。
【0105】
切換部44は、オペレータによってオルソフォト又は等高線図が指定されると、データベース41のオルソフォト画像又はデータベース42の等高線図を読み出して画像化部14を介して表示させる。
【0106】
例えば、
図27(a)に示すように実施の形態1によってハイブリッド断層図を表示している場合に、オペレータがオルソフォトを入力した場合は、切換部44はデータベース41のオルソフォト画像を画像化部14に出力する。画像化部14は切換部44からオルソフォト画像が出力された場合は、メモリ32からの赤色立体化画像RGiの読み込みを停止して、赤色立体化画像RGiに代えて切換部44からオルソフォト画像を
図27(b)に示すように表示する。
【0107】
また、
図27(a)に示すように実施の形態1によってハイブリッド断層図を表示している場合に、オペレータが等高線図を入力した場合は、切換部44はデータベース42の等高線図を画像化部14に出力する。画像化部14は切換部44から等高線図が出力された場合は、メモリ32からの赤色立体化画像RGiの読み込みを停止して、赤色立体化画像RGiに代えて切換部44から等高線図を
図27(c)に示すように表示する。
【0108】
従って、オルソフォト画像又は等高線図からハイブリッド断層線を確認できることになる。
【0109】
<赤色立体化画像>
以下に赤色立体化画像RGiの生成方法を説明する。
【0110】
赤色立体化画像RGiの生成においては、開度という概念を用いている。開度は当該地点が周囲に比べて地上に突き出ている程度及び地下に食い込んでいる程度を数量化したものである。つまり、地上開度は、
図28(a)に示すように、着目する標本地点から距離LRの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は
図28(b)に示すように、逆立ちをして地中を見渡す時、距離LRの範囲における地下の広さを表している。
【0111】
開度は距離LRと周辺地形に依存している。
図29は9種の基本地形についての地上開度及び地下開度を、方位毎の地上角及び地下角の8角形グラフで示したものである。
【0112】
一般に地上開度は周囲から高く突き出ている地点ほど大きくなり、山頂や尾根では大きな値をとり窪地や谷底では小さい。逆に地下開度は地下に低く食い込んでいる地点ほど大きくなり、窪地や谷底では大きな値をとり山頂や尾根では小さい。実際には、距離LRの範囲内でも種々の基本地形が混在しているために、地上角及び地下角の8角形グラフは変形され開度も種々の値をとることが多い。
【0113】
また、開度図は計算距離の指定によって、地形規模に適合した情報抽出が可能であり、方向性及び局所ノイズに依存しない表示が可能である。
【0114】
つまり、尾根線及び谷線の抽出に優れており、豊富な地形・地質情報が判読できるものであり、
図30に示すように、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体:
図30の(a))において、設定した当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点Bを結ぶ直線L1と、水平線とがなす角度ベクトルθiを求める。
【0115】
この角度ベクトルの求め方を8方向に渡って実施し、これらを平均化したものを地上開度と称し、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体)に空気層を押し当てた立体(
図30の(b))を裏返した反転DEMデータ(
図30の(c))の当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点C(一番深い所に相当する)を結ぶ直線L2と、水平線とがなす角度を求める。この角度を8方向に渡って求めて平均化したのを地下開度ψiと称している。
【0116】
すなわち、地上開度は、着目点から一定距離までの範囲に含まれるDEMデータ上において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線(
図30の(a)のL1)の傾斜の最大値(鉛直方向から見たとき)を求める。このような処理を8方向に対して行う。
【0117】
傾斜の角度は天頂からの角度(平坦なら90度、尾根や山頂では90度以上、谷底や窪地では90度以下)である。
【0118】
また、反転DEMデータの着目点から一定距離までの範囲において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線の傾斜の最大値(
図30の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときには最小値)を求める。このような処理を8方向に対して行う。
【0119】
図30の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときの角度(地下開度ψi)は平坦なら90度、尾根や山頂では90度以下、谷底や窪地では90度以上である。
【0120】
つまり、地上開度と地下開度は、
図31に示すように、2つの標本地点A(iA,jA,HA)とB(iB,jB,HB)を考える。標本間隔が1mであることからAとBの距離は、
P = {(iA − iB)2 + (jA − jB)2}1/2 …(1)
となる。
【0121】
図31の(a)は標高0mを基準として、標本地点のAとBの関係を示したものである
。標本地点Aの標本地点Bに対する仰角θは
θ=tan-1{(HB −HA )/P
で与えられる。θの符号は(1)HA<HB の場合には正となり、(2)HA>HB の場合には負となる。
【0122】
着目する標本地点から方位Dの距離LRの範囲内にある標本地点の集合を DSL と記述して、これを「着目する標本地点のD−L集合」を呼ぶことにする。ここで、
DβL :着目する標本地点の DSL の各要素に対する仰角のうちの最大値
DδL :着目する標本地点の DSL の各要素に対する仰角のうちの最小値
として(
図31の(b)参照)、次の定義をおこなう。
【0123】
定義1:着目する標本地点のD−L集合の地上角及び地下角とは、各々
DφL =90− DβL
及び
DψL =90+ DδL
を意味するものとする。
【0124】
DφL は着目する標本地点から距離LR以内で方位Dの空を見ることができる天頂角の最大値を意味している。一般に言われる地平線角とはLを無限大にした場合の地上角に相当している。また、DψL は着目する標本地点から距離LR以内で方位Dの地中を見ることができる天底角の最大値を意味している。Lを増大させると、 DSL に属する標本地点の数は増加することから、 DβL に対して非減少特性を持ち、逆に DδL は非増加特性を持つ。したがって DφL 及び Dψ1 は共にLに対して非増加特性を持つことになる。
【0125】
測量学における高角度とは、着目する標本地点を通過する水平面を基準にして定義される概念であり、θとは厳密には一致しない。また地上角及び地下角を厳密に議論しようとすれば、地球の曲率も考慮しなければならず、定義1は必ずしも正確な記述ではない。定義1はあくまでもDEMを用いて地形解析をおこなうことを前提として定義された概念である。
【0126】
地上角及び地下角は指定された方位Dについての概念であったが、これを拡張したものとして、次の定義を導入する。
【0127】
定義II:着目する標本地点の距離LRの地上開度及び地下開度とは、各々
ΦL=(0φL +45φL +90φL +135φL +180φL +225φL +270φL +315φL )/8
及び
ΨL=(0ψL +45ψL +90ψL +135ψL +180ψL +225ψL +270ψL +315ψL )/8
を意味するものとする。
【0128】
地上開度は着目する標本地点から距離LRの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離LRの範囲における地下の広さを表している(
図30参照)。
【0129】
そして、DEMデータを正方形にメッシュ化し、このメッシュ上の着目点と隣接する正方形の面の平均傾斜を求める。隣接する正方形は4通り存在しており、いずれか一つを着目正方形とする。そして、この着目正方形の4隅の高度と平均傾斜とを求める。平均傾斜は最小二乗法を用いて4点から近似した面の傾きである。
【0130】
そして、凸部強調により、尾根、谷底を明るさで表現するための第1のグレイスケールを備え、地上開度(着目点からLの範囲を8方向見たときの、平均角度:高いところにいるかを判定するための指標)を求める毎に、この地上開度θiの値に対応する明るさ(明度)を算出する。
【0131】
例えば、地上開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第1のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。
【0132】
つまり、尾根の部分(凸部)の部分ほど地上開度の値が大きいので、色が白くなる。
【0133】
そして、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第1のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを保存する。次に、諧調補正によってこの保存された地上開度画像データの色諧調を反転させた地上開度レイヤーを保存する。つまり、尾根が白くなるように調整した地上開度レイヤーを得ている。
【0134】
次に、谷底、尾根を明るさで表現するための第2のグレイスケールを備え、地下開度ψi(着目点から8方向の平均)を求める毎に、この地上開度の値に対応する明るさを算出する。
【0135】
例えば、地下開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第2のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。つまり、谷底の部分(凹部)の部分ほど地下開度の値が大きいので、色が黒くなることになる。
【0136】
そして、地下開度画像データを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第2のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを保存する。次に、諧調補正処理によって地下開度画像データの色諧調を補正する。
【0137】
色が黒くなり過ぎた場合は、トーンカーブを補正した度合いの色にする。これを地下開度レイヤーと称して保存する。
【0138】
次に、傾斜の度合いを明るさで表現するに応じたで表現するための第3のグレイスケールを備え、傾斜度(着目点から4方向の平均)を求める毎に、この傾斜度の値に対応する第3のグレイスケールの明るさ(明度)を算出する。
【0139】
例えば、斜度αiの値が0度から70度程度の範囲に収まる場合は、0度から50度を第3のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。つまり、0度が白、50度以上が黒。傾斜α(斜度αiともいう)の大きい地点ほど色が黒くなる。
【0140】
そして、地下開度画像データと地上開度画像データとの差画像を斜度画像として保存する。
【0141】
このとき、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第3のグレイスケールに基づく色データを割り付ける。次に、赤色処理がRGBカラーモード機能でRを強調する。つまり、傾斜が大きいほど赤が強調された傾斜強調画像を得る。
【0142】
そして、地上開度レイヤーと地下開度レイヤーとを乗算して合成した合成画像を得る。このとき、谷の部分が潰れないように両方のバランスを調整する。
【0143】
前述の「乗算」というのは、フォトショップ(photoshop)上のレイヤーモードの用語で、数値処理上はOR演算となる。
【表1】
【0144】
このバランス調整は、地上開度と地下開度の値の配分は、ある地点を中心として一定の半径(L/2)の地表面を切り取る。
【0145】
空全体が一様な明るさの場合に地表面から見上げる空の広さが地面の明るさを与える。
【0146】
つまり、地上開度が明るさとなる。しかし、光が回り込むことまで考えると、地下開度の値も考慮するべきである。
【0147】
この両者の比をどのようにするべきかで、地形の尾根の部分を強調したり、任意に変化させることができる。谷の中の地形を強調したいときはbの値を大きくする。
【0148】
明るさの指標=a×地上開度−b×地下開度
但し、a+b=1
すなわち、地上開度レイヤー(尾根を白強調)と地下開度レイヤー(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像を得る。
【0149】
一方、傾斜強調画像と合成画像と合成した尾根が赤色で強調された赤色立体地
図RGiを得て、表示部200に表示する。
【0150】
すなわち、尾根や山頂部分が白っぽく、谷や窪地が黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現した立体感のある画像が生成できる。このため、一目で凹凸の高低の度合い及び傾斜の度合いを把握させることができる。
【0151】
つまり、DEMデータを連結する地表面の着目点のDEMデ-タから複数方向毎に、一定範囲内までの最大頂点となるDEMデータと水平線とがなす角度ベクトルをそれぞれ求めて平均化した地上開度を求め、この地上開度の値の大きさほどに明るい色を割りあてた地上開度画像を得る。
【0152】
そして、一定範囲のDEMデータ上に空気層を押し当てた立体を裏返した反転DEMデータの着目点のDEMデータから複数方向毎に、一定範囲内までの最大頂点となるDEMデータと水平線とがなす角度ベクトルをそれぞれ求めて平均化して地下開度を求め、この地下開度の値の大きさほどに暗い色を割りあてた地下開度画像を得る。
【0153】
そして、地上開度画像と地下開度画像とを重み付け合成し、この値に応じて階調表現した合成画像を赤色立体化画像RGiとして得ている。
【0154】
<実施の形態3>
図32は実施の形態3の断層図作成装置の概略構成図である。
図32においては
図1と同一符号のものは説明を省略する。
図32に示すように、実施の形態3の断層図作成装置は、モード判定部50と、メモリ定義部52と、既存・赤色判読断層線描画部54と、レイヤ順位設定部56と、γ線測定点定義部58と、推定断層線描画部60と、ハイブリッド断層線描画部62と、画像合成出力部64等からなるプログラム構成を備えている。
【0155】
なお、画像化部14は、画像メモリ(図示せず)を備え、一定時間毎にこの画像メモリに保存された各種画像を合成(重ねて)して表示部200に表示する。このとき、画像に付加されている色情報、線情報等で画面に表示する。
【0156】
モード判定部50は、画面に表示する画面を入力させるためのダイアログボックス(図示せず)を表示させて、このダイアログボックスに入力された情報に基づいて該当する各部を起動させる。
このダイアログボックスは、例えば、メモリ32の赤色立体地
図RGiを表示させるボタン、既存断層線用メモリ36の既存断層線KLjを表示させるためのボタン、微細断層線定義用メモリ34の微細断層線DLjを表示させるためのボタン、ハイブリッド断層線HBLjを表示させるためのボタンを備えている。
【0157】
また、γ線測定点Piを定義させるモードを起動させるボタン、γ線現地測定結果直線LGjを作成するモードを起動させるためのボタン、γ線現地測定結果直線LGjを移動させるモードを起動させるためのボタン、ハイブリッド断層線HBLjを作成するためのモードを起動させるためのボタン等を備えている。
さらに、後述する既存断層線ワーキング用メモリ71の既存断層線KLjを削除するめのボタン、後述する微細断層線ワーキング用メモリ73の微細断層線DLjを削除するためのボタン等を備えている。
【0158】
メモリ定義部52は、起動に伴って赤色立体化画像RGiの原点を読み込み、この原点を有する微細断層線ワーキング用メモリ73、既存断層線ワーキング用メモリ71、γ線現地測定地点定義用ワーキングメモリ75、γ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76、ハイブリッド断層線ワーキング用メモリ78をワーキング用メモリ部70に生成して、各々が前述の原点を有するX―Y平面を定義する。
つまり、メモリ定義部52は、範囲定義部16における赤色立体化画像RGiの原点座標を各平面に定義している。
【0159】
微細断層線ワーキング用メモリ73に定義された平面を赤色判読結果微細断層線ワーキング用平面Haと称し、既存断層線ワーキング用メモリ71に定義された平面を既存断層線ワーキング用平面Hbと称し、γ線現地測定地点定義用ワーキングメモリ75に定義された平面をγ線現地測定地点定義ワーキング用平面Hcと称し、γ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76に定義された平面をγ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hdと称し、ハイブリッド断層線ワーキング用メモリ78に定義された平面をハイブリッド断層線描画ワーキング用平面Heと称する。
【0160】
既存・赤色判読断層線描画部54は、γ線微細断層線ワーキング用メモリ73の生成に伴って、微細断層線定義用メモリ34に記憶されている赤色立体化画像RGiを画面に表示して断層と判断された微細断層線DLj(DL1、DL2・・・)を微細断層線ワーキング用メモリ73に複写(コピー)する。
また、既存・赤色判読断層線描画部54は、既存断層線ワーキング用メモリ71の生成に伴って、既存断層線用メモリ36に記憶されている既存用平面に描かれている既存断層線KLj(KL1、KL2)を既存断層線ワーキング用メモリ71に複写する。
【0161】
レイヤ順位設定部56は、入力された順位に基づいて画面に表示させる画像の階層(レイヤー)の順番を図示しないメモリに設定して画像化部14によってその階層の順番で画像を重ね表示させる。
【0162】
この階層は、
図33に示すように、例えば第1層(最上位)がγ線現地測定地点定義用ワーキングメモリ75(γ線現地測定地点定義ワーキング用平面Hc)にされ(具体的にはメモリアドレスを関連付けるのが好ましい)、第2層がγ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76(γ線現地測定結果直性描画ワーキング用平面Hd)にされ(具体的にはメモリアドレスを関連付けるが好ましい)、第3層がハイブリッド断層線ワーキング用メモリ78(ハイブリッド断層線描画ワーキング用平面He)にされ((具体的にはメモリアドレスを関連付けるのが好ましい)、第4層がγ線微細断層線ワーキング用メモリ73(赤色判読結果微細断層線ワーキング用平面Ha)にされ(具体的にはメモリアドレスを関連付けるのが好ましい)、第5層が既存断層線ワーキング用メモリ71(既存断層線ワーキング用平面Hb)にされ(具体的にはメモリアドレスが好ましい)ている。
【0163】
そして、第6層は赤色立体化画像RGi(32)にされている(具体的にはメモリアドレスが好ましい)。
γ線測定点定義部58は、起動に伴って、γ線測定点Piの色、記号種類(例えば〇)を入力させる画面(図示せず)を表示し、γ線測定点Piの識別番号(以下γ線測定点番号PBiという)を生成し、これらを関連付けてメモリ80に記憶する(
図34参照)。
【0164】
そして、γ線測定点定義部58はレイヤ順位設定部56にγ線現地測定地点定義用ワーキングメモリ75のメモリアドレスを読み込み、このメモリアドレスのメモリをワーキング用メモリ部70から引き当てる。このγ線現地測定地点定義用ワーキングメモリ75に定義されているγ線現地測定地点定義ワーキング用平面Hcを画像化部14に出力して画面(γ線測定点Piが定義されていない場合は透明)に表示させる。
【0165】
そして、画面上において、カーソルが位置され、これが例えばクリックされると、γ線測定点Piの決定と判断して、この画面上のカーソルの位置をγ線現地測定地点定義ワーキング用平面Hcの座標に変換して現地測定点座標PZiとして定義(計算)する。
つまり、γ線測定点定義部58は、γ線測定点・断層線描画部24における
赤色立体化画像RGiにカーソルで指示された点をγ線測定点Piとして読み込み、このγ線測定点Piをγ線現地測定地点定義ワーキング用平面Hcに定義する機能を行っている。
このとき、現地測定点座標PZiに入力されたγ線測定点Piの色、記号種類(例えば〇)、γ線測定点番号PBi等を割り付ける(
図35参照)。
【0166】
そして、γ線測定点定義部58は画像化部14に、γ線現地測定地点定義ワーキング用平面Hcに定義されたγ線測定点Piの現地測定点座標PZiと色(例えばイエロー)、大きさ、記号種類(例えば〇)等を組みにして出力する。
従って、
図19に示すように画面にγ線測定点Piが赤色立体化画像RGi上に表示される。
図19は既に既存断層線KLj、微細断層線DLjが表示されている例である。また、γ線現地測定地点定義用ワーキングメモリ75が最上位にされている例である。
【0167】
このとき、メモリ80に現地測定点座標PZiをγ線測定点番号PBiに関連付けて記憶する(
図34参照)。
推定断層線描画部60は、起動に伴って、γ線現地測定結果直線LGjを描かせるための色、線種(太さ)等を入力させる画面(図示せず)を表示してγ線現地測定結果直線LGjの線番号LGBi(ユニークコード:年月日、時刻、座標を含む)を生成してγ線測定点番号PBiに関連付けてメモリ80に記憶する(
図34参照)。
【0168】
そして、推定断層線描画部60はγ線測定点番号PBiに関連付けられている現地測定点座標PZiをγ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76(γ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hd)に定義する(
図35参照)。
そして、メモリ80に記憶されたγ線測定点Piのγ線測定点番号PBi又は線番号LGBiを有する現地γ線測定情報Fγiを現地測定結果情報用メモリ40から読み込み、この現地γ線測定情報Fγiに含まれている方向Lθi、断層長L、幅等を読み込む。
【0169】
そして、推定断層線描画部60は、レイヤ順位設定部56に設定されているγ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76(γ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hd)のメモリアドレスを読み込み、このメモリアドレスのメモリをワーキング用メモリ部70から引き当てる。
そして、このγ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76のγ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hd上のγ線測定点Piの現地測定点座標PZiを起点として方向Lθi、断層長L(例えば3800m)、幅Wのγ線現地測定結果直線LGjを描画(計算)する(
図35参照)。このとき、γ線現地測定結果直線LGjには線番号LGBiと方向Lθiと断層長L(例えば3800m)と幅W、線種、色、現地測定点座標PZi等を関連付ける。
【0170】
そして、推定断層線描画部60は、このγ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hdに描かれたγ線現地測定結果直線LGjに関連付けられている方向Lθiと断層長L(例えば3800m)と幅W、線種、色、現地測定点座標PZi等を線属性情報ZLiとして画像化部14に出力する。従って、
図22に示すように表示される。
【0171】
さらに、推定断層線描画部60は、γ線現地測定結果直線LGjを移動させるモードの場合は、レイヤ順位設定部56からγ線現地測定結果直線LGjが定義されているメモリアドレスを読み込む。つまり、γ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76(γ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hd)のメモリアドレスを読み込む。 そして、このγ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hdのγ線現地測定結果直線LGjに関連図蹴られている線属性情報ZLiを読み込む。
【0172】
そして、推定断層線描画部60は、カーソルの移動に伴って読み込んだ線属性情報ZLiの方向Lθiと逆方向にγ線現地測定結果直線LGjを移動させる(
図36参照)。このとき、一定時間毎にγ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hdのγ線現地測定結果直線LGjを画像化部14に出力している。
つまり、推定断層線描画部60は、γ線測定点・断層線描画部24におけるγ線現地測定結果直線LGjを表示させ、カーソルの移動に伴ってγ線現地測定結果直線LGjの移動を方向Lθiに対して逆方向に移動させる機能を行っている。
【0173】
従って、
図23に示すように、γ線現地測定結果直線LGjが表示されることになる。
【0174】
ハイブリッド断層線描画部62は、起動に伴って、ハイブリッド断層線HBLjを描くための色(例えばピンク)、線の太さ等を入力させる画面(図示せず)を表示させる。そして、ハイブリッド断層線HBLjの識別番号(以下ハイブリッド断層線番号HBbiという)を生成し、これらを関連付けてメモリ90に記憶する(
図37参照)。そして、レイヤ順位設定部56のハイブリッド断層線HBLjが定義されているメモリアドレスを読み込む。つまり、ハイブリッド断層線ワーキング用メモリ78(ハイブリッド断層線描画ワーキング用平面He)を引き当てる。
【0175】
そして、このハイブリッド断層線描画ワーキング用平面Heを画像化部14によって表示させる(透明)。
そして、画面のカーソルの移動(微細断層線DLj上)に伴って、このカーソルの座標をハイブリッド断層線描画ワーキング用平面Heの座標に変換してハイブリッド断層線描画ワーキング用平面Heに定義(計算)していき(
図38参照)、この座標と色(ピンク)と太さ等を画像化部14に出力する。
つまり、ハイブリッド断層線描画部62は、線調整部26におけるハイブリッド断層線HBLj(ピンク)として表示させる機能を行っている。
【0176】
従って、
図24に示すように、微細断層線DLj同士がなぞられながら線で繋げられていくことになる。
【0177】
画像合成出力部64は、メモリ32の赤色立体地
図RGiに、γ線微細断層線ワーキング用メモリ73の赤色判読結果微細断層線ワーキング用平面Ha、既存断層線ワーキング用メモリ71の既存断層線ワーキング用平面Hb、γ線現地測定地点定義用ワーキングメモリ75のγ線現地測定地点定義ワーキング用平面Hc、γ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76のγ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hd、ハイブリッド断層線ワーキング用メモリ78のハイブリッド断層線描画ワーキング用平面Heのいずれか又は全ての画像を重ね合わせてこれをプリンタ(図示せず)に出力して印刷させる。
【0178】
(ハイブリッド断層
図HHGi)
ハイブリッ断層
図HHGiは、既存断層線KLjを削除するめのボタン、微細断層線DLjを削除するためのボタン、γ線測定点Piを削除するボタン、γ線現地測定結果直線LGjを削除するボタンの選択によって得る。
【0179】
すなわち、γ線測定点定義部58は、γ線測定点Piの削除モードの場合は、γ線現地測定地点定義用ワーキングメモリ75を引き当て、画面のγ線測定点Piが指定されるとγ線現地測定地点定義ワーキング用平面Hcに定義されているγ線測定点Piを削除する。
【0180】
既存・赤色判読断層線描画部54は、既存断層線KLjの削除モードの場合は、既存断層線ワーキング用メモリ71を引き当てる。そして、カーソルで画面の既存断層線KLjがなぞられるに伴って、この座標に該当する既存断層線ワーキング用メモリ71の既存断層線ワーキング用平面Hb上の既存断層線KLjを削除する。
【0181】
また、既存・赤色判読断層線描画部54は、微細断層線DLjの削除モードの場合は、γ線微細断層線ワーキング用メモリ73を引き当てる。そして、カーソルで画面の微細断層線DLjがなぞられるに伴って、この座標に該当するγ線微細断層線ワーキング用メモリ73の赤色判読結果微細断層線ワーキング用平面Ha上の微細断層線DLjを削除する。
【0182】
また、推定断層線描画部60は、γ線現地測定結果直線LGjの削除モードの場合は、γ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76を引き当てる。そして、カーソルで画面のγ線現地測定結果直線LGjがなぞられるに伴って、この座標に該当するγ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76のγ線現地測定結果直線LGjを削除する。
このような処理によって、
図25に示すハイブリッド断層
図HHGiを得ている。
【0183】
また、レイヤ順位設定部56において
図39に示すように、第1層をγ線現地測定結果直線ワーキング用メモリ76(γ線現地測定結果直線描画ワーキング用平面Hd)とした場合は、
図40に示すようにγ線測定点Pi上をγ線現地測定結果直線LGjが通ることになる。
【0184】
なお、上記実施の形態ではオルソフォト画像、等高線図にハイブリッド断層線を重ね表示するとしたが、高度断彩図、陰影図であってもかまわない。
【0185】
また、上記の各実施の形態においては微細断層として説明したが、幅が15m、20m、・・・の断層であってもかまわない。
また、各線の色は任意であるが、各々が異なる色又は太さ若しくは線種であることが好ましい。
【解決手段】断層図作成装置は、赤色立体化画像作成部10と、断層用検索範囲設定部12と、画像化部14と、範囲定義部16と、既存・赤色判読描画部18と、γ線測定点・断層線描画部24と、線調整部26等を備えて、現地での測定結果に基づくγ線現地測定結果直線LGj(黄色)が赤色立体化画像RGi上から判読してこの赤色立体化画像RGiに描いた複数の微細断層線DLjが並ぶ線にほぼ平行で、かつこれらの微細断層線DLjに渡る区間に容易に対応させることができるγ線現地測定結果直線LGjを表示する。