(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係るモータユニット10について説明する。なお、理解を容易にするため、X軸をモータユニット10の正面方向、Y軸を鉛直方向、Z軸を側面方向とするXYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0023】
モータユニット10は、
図1に示すように、例えば、X軸方向に往復移動するスライダ201を備えたアクチュエータ200の内部に取り付けられている。このアクチュエータ200の内部には、ボールねじと、スライダ201が固定されているボールナットと、が設置されている。ボールねじのリードは、例えば、10mmである。このボールねじは、モータユニット10の回転軸に連結されている。そして、モータユニット10の回転軸の回転力によって、ボールねじは回転軸とともに回転する。また、ボールナットは、ボールねじの回転に伴って、X軸方向に移動する。このボールナットの移動によって、スライダ201はX軸方向に移動する。アクチュエータ200には、ケーブル202が接続されている。ケーブル202の他端には、後述するコントローラが接続される。
【0024】
モータユニット10は、
図2に示すように、サーボモータ20と、このサーボモータ20によってX軸に平行な軸周りに回転するシャフト30と、このシャフト30の回転角度(絶対位置)、回転数を検出するためのエンコーダユニット40とを備えている。
【0025】
サーボモータ20は、中空の直方体形状に形成されたハウジング21を有している。このハウジング21のX軸に平行なコーナー部分には、X軸に沿った切り欠き部21aがそれぞれ形成されている。また、ハウジング21の+X側の端部には、貫通孔が形成された取り付け部21bが形成されている。この取り付け部21bの貫通孔に挿入されたボルトやネジによって、モータユニット10は、アクチュエータ200の内部で固定される。また、ハウジング21の−X側と+X側には、
図3に示すように、X軸方向に貫通する円形の開口21c,21dがそれぞれ形成されている。シャフト30は、この開口21c,21dに挿入される。
【0026】
また、サーボモータ20は、シャフト30の外周面に固定されたロータ22と、ロータ22の外周を包囲するように配置されたステータ23と、シャフト30を支持する一組の軸受け24a,24bとが収納されている。
【0027】
ロータ22は、円筒形状に形成されており、シャフト30が貫通する貫通孔を有する。このロータ22は、シャフト30を中心とする円周に沿って複数のN極とS極とが交互に現れるように着磁されている。
【0028】
ステータ23は、円筒形状に形成されている。このステータ23は、シャフト30を中心とする円周に沿って、ロータ22に対向する複数の極を有している。複数の極は、いくつかのグループに区分される。そして、各グループを構成する極のコイルは直列に接続されている。
【0029】
軸受け24a、24bは、シャフト30を回転可能に支持し、ハウジング21の開口21c,21dに対して同軸になるように、ハウジング21の内部に配置されている。シャフト30は、この軸受け24a,24bに挿入される。
【0030】
シャフト30は、X軸方向を長手方向とする円柱形状に形成されている。そして、シャフト30は、ハウジング21の開口21c,21d、軸受け24a,24bに挿入されることにより、X軸方向の両端がハウジング21から外部に突出した状態で回転可能に支持されている。
【0031】
図4及び
図5は、エンコーダユニット40を示す断面図であり、
図4は、
図5のIV−IV断面図である。エンコーダユニット40は、
図4及び
図5に示すように、シャフト30に固定された主動歯車50と、主動歯車50の回転が伝達される従動歯車60,70と、主動歯車50の−X側に配置されたエンコーダ基板41と、シャフト46,47を介して従動歯車60,70を回転可能に支持するエンコーダベース43と、これらを収容するケーシング42とを有している。また、シャフト46,47は、軸受け44を介することによって、エンコーダベース43に対して回動可能に取り付けられている。
【0032】
主動歯車50は、
図6(A)に示すように、外周に複数の歯部51が形成された平歯車として構成されている。歯部51の数は、任意であるが、本実施形態の主動歯車50の外周には、41本の歯部51が形成されている。この歯部51それぞれには、順にNo.1からNo.41までの歯数番号が付与されている。また、主動歯車50の中央部には、円形の開口52が形成されている。この開口52に、シャフト30の−X側の端部に形成された小径部31が嵌め込まれることによって、主動歯車50は、シャフト30に固定される。これにより、主動歯車50は、シャフト30とともに回転する。
【0033】
主動歯車50の−X側の面には、主動歯車50の回転軸を中心に、リング状の光学トラック53が形成されている。光学トラック53は、
図6(B)に示すように、扇形の高反射率領域53aと低反射率領域53bとが、交互に複数配置されることにより、インクリメンタルスケールとして構成されている。なお、光学トラック53は、ピッチが略80μm(高反射率領域53a=略40μm、低反射率領域53b=略40μm)になるように形成されている。
【0034】
また、主動歯車50の−X側の面には、光学トラック53の直径よりも小さいリング状の光学トラック54が形成されている。光学トラック54は、扇形の高反射率領域54aと低反射率領域54bとが、PN(Pseudo Noise、Pseudo Random Noise)符号系列に基づいて配置されることにより、アブソリュートスケールとして構成されている。なお、この光学トラック54は、ビット幅が光学トラック53の角度ピッチと一致し、対応するように形成されている。
【0035】
従動歯車60は、
図7(A)に示すように、主動歯車50の歯部51の数よりも少ない複数本の歯部61が形成され、主動歯車50よりも直径の小さい平歯車として構成されている。歯部61の数は、例えば、24本であり、この歯部61それぞれには、順にNo.1からNo.24までの歯数番号が付与されている。なお、これらの歯数番号は、主動歯車50の歯部51の歯数番号の付与の方向とは、逆回りの方向に付与されている。また、従動歯車60の中央部には、円形の開口62が形成されている。この開口62に、シャフト46の−X側の端部に形成された小径部46aが嵌め込まれることによって、従動歯車60は、シャフト46に固定される。これにより、従動歯車60は、シャフト46とともに回転する。また、従動歯車60の−X側の面には、主動歯車50と同様に、インクリメンタルスケールとして構成された光学トラック63と、アブソリュートスケールとして構成された光学トラック64とが形成されている。
【0036】
従動歯車70は、
図7(B)に示すように、主動歯車50の歯部51の数よりも少ない複数本の歯部71が形成され、主動歯車50よりも直径の小さい平歯車として構成されている。歯部71の数は、例えば、23本であり、この歯部71それぞれには、順にNo.1からNo.23までの歯数番号が付与されている。なお、これらの歯数番号は、主動歯車50の歯部51の歯数番号の付与の方向とは、逆回りの方向に付与されている。また、従動歯車70の中央部には、円形の開口72が形成されている。この開口72に、シャフト47の−X側の端部に形成された小径部47aが嵌め込まれることによって、従動歯車70は、シャフト47に固定される。これにより、従動歯車70は、シャフト47とともに回転する。また、従動歯車70の−X側の面には、主動歯車50及び従動歯車60と同様に、インクリメンタルスケールとして構成された光学トラック73と、アブソリュートスケールとして構成された光学トラック74とが形成されている。
【0037】
なお、主動歯車50の歯部51の歯数(41本)、従動歯車60の歯部61の歯数(24本)、従動歯車70の歯部71の歯数(23本)は、互いに素の関係となるように形成されている。
【0038】
エンコーダ基板41は、
図5に示すように、例えば、長方形の部材であり、ケーシング42に固定されている。また、エンコーダ基板41の+X側の面には、シャフト30の絶対位置(回転角度)及び回転数を検出するための検出ユニット80,90,100が実装されている。3つの検出ユニット80,90,100は、それぞれ主動歯車50、従動歯車60,70に対向するように実装されている。
【0039】
検出ユニット80は、
図8(A)に示すように、主動歯車50に光を照射するLED発光部82と、主動歯車50の光学トラック53,54で反射した光を検出する光学検出器83,84と、これらの支持する検出ユニット本体81とを有する。
【0040】
LED発光部82は、
図8(B)に示すように、検出ユニット本体81の中央部近傍に配置され、主動歯車50の光学トラック53,54それぞれに光を照射する。LED発光部82から照射された光は、高反射率領域53a,54aに入射したときには高反射率で反射され、低反射率領域53b,54bに入射したときには低反射率で反射されたり、散乱或いは吸収されたりする。
【0041】
光学検出器83は、LED発光部82の−Y側に配置され、主動歯車50の光学トラック53(インクリメンタルスケール)に反射した2系統の光を検出する。これらの2系統の光の位相差は、光学トラック53のピッチを360°とした場合の90°(1/4ピッチ)となっている。そして、光学検出器83は、検出した2系統の反射光の強度に応じた2系統の電圧信号を出力する。光学検出器83は、例えば、2つ又は2組のフォトダイオードから構成される。以下、説明の便宜上、光学検出器83から出力される2系統の電圧信号をそれぞれA相信号、B相信号とする。
【0042】
光学検出器84は、LED発光部82の+Y側に配置され、主動歯車50の光学トラック54(アブソリュートスケール)で反射した光を検出する。そして、検出した反射光の強度に応じた電圧信号を出力する。光学検出器84は、512個のCMOSイメージセンサ素子から構成される。
【0043】
検出ユニット80は、
図9に示すように、位相演算器85と、絶対位置演算器86と、補正演算器87と、これらの演算器が演算に使用するテーブル等の情報を記憶する記憶部とをさらに有する。これらの演算器は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)の一部として構成される。
【0044】
光学トラック54(アブソリュートスケール)と1:1に位相が対応するように形成された光学トラック53(インクリメンタルスケール)を用いることで、位相演算器85は、光学検出器83から出力されたA相信号、B相信号から、下記の式(1)に基づいて、光学トラック54の1ビット内の位相θを演算する。
θ=arc tan
−1(V
A/V
B) ……(1)
ここで、V
Aは、A相信号における正弦波信号の出力値であり、V
BはB相信号における正弦波信号の出力値である。そして、位相演算器85は、この位相θに対応した信号を出力する。例えば、光学検出器83から出力されたA相信号、B相信号に基づいて、1ビット内の位相θが45°と演算された場合、1ビット=80μmであれば、位相θは、10μm(=80μm×45/360)に相当する。
【0045】
絶対位置演算器86は、光学検出器84から出力された信号から、光学トラック54のビット単位の絶対位置Z
0(ビット単位(略80μm)における主動歯車50の回転角度)を演算するために用いられる。以下、絶対位置演算器86の絶対位置Z
0の演算について説明する。
【0046】
先ず、絶対位置演算器86は、光学検出器84の512個のCMOSイメージセンサ素子の中から、安定した反射光を検出したセンサ素子の出力のみを選択する。具体的には、絶対位置演算器86は、位相演算器85からの位相θに対応した信号に基づいて、高反射率領域54aと低反射率領域54bとの間の境界近傍での不安定な反射光を検出したセンサ素子の出力以外のセンサ素子の出力を選択する。
【0047】
図10は、絶対位置演算器86が行うセンサ素子84−1〜84−3の選択方法を説明するための図である。例えば、
図10(A)においては、センサ素子84−1は、1ビット内の位相0°近傍を検出するように配置され、センサ素子84−2、84−3は、センサ素子84−1に対して120°、240°の間隔で配置されている。この場合、絶対位置演算器86は、位相演算器85からの位相θに対応した信号に基づいて、高反射率領域54aと低反射率領域54bとの間の境界近傍での反射光を検出するセンサ素子84−1の出力以外の、1ビット内の中央(180°)近傍のセンサ素子84−2、84−3の出力を選択する。また、
図10(B)においては、センサ素子84−1、84−2は、1ビット内の中央(180°)近傍を検出するように配置され、センサ素子84−3は、1ビット内の位相360°近傍を検出するように配置されている。この場合、絶対位置演算器86は、高反射率領域54aと低反射率領域54bとの間の境界近傍での反射光を検出するセンサ素子84−3の出力以外の、1ビット内の中央(180°)近傍のセンサ素子84−1、84−2の出力を選択する。以上により、絶対位置演算器86は、高反射率領域54aと低反射率領域54bとの間の境界近傍での反射光を検出するセンサ素子の出力以外の、安定した検出を行うセンサ素子の出力を選択することができる。
【0048】
次に、絶対位置演算器86は、例えば、記憶部に記憶されているセンサ素子の出力信号の組み合わせと絶対位置Z
0との対応関係を示すテーブルを参照して、光学検出器84の選択されたセンサ素子の出力信号から絶対位置Z
0を演算する。そして、絶対位置演算器86は、この絶対位置Z
0に対応した信号を出力する。
【0049】
図9に戻り、補正演算器87は、絶対位置演算器86から出力された絶対位置Z
0に、位相演算器85から出力された位相θを加算することによって、絶対位置Z
0よりも高い分解能の絶対位置Zを演算する。そして、補正演算器87は、この絶対位置Zに対応した信号を出力する。例えば、1ビット内の位相θが45°であれば、1ビット幅が80μmの時、位相θ=10μmと算出されるので、絶対位置Z
0にこの位相θ=10μmを加算することにより、1ビットよりも分解能が高い絶対位置Zを演算できる。
【0050】
検出ユニット90は、検出ユニット80と同様に、従動歯車60の光学トラック63,64に光を照射するLED発光部と、光学トラック63,64で反射した光を検出する光学検出器93,94と、位相演算器95と、絶対位置演算器96と、補正演算器97と、テーブル等の情報を記憶する記憶部とを有する。これらの位相演算器95、絶対位置演算器96、補正演算器97は、例えば、FPGAの一部として構成される。
【0051】
LED発光部は、従動歯車60の光学トラック63,64それぞれに光を照射する。LED発光部から照射された光は、高反射率領域63a,64aに入射したときには高反射率で反射され、低反射率領域63b,64bに入射したときには低反射率で反射されたり、散乱或いは吸収されたりする。
【0052】
光学検出器93は、従動歯車60の光学トラック63(インクリメンタルスケール)に反射した2系統の光を検出する。これらの2系統の光の位相差は、光学トラック63のピッチを360°とした場合の90°(1/4ピッチ)となっている。そして、光学検出器93は、検出した2系統の反射光の強度に応じた2系統のA相信号、B相信号を出力する。光学検出器93は、例えば、2つのフォトダイオードから構成される。
【0053】
光学検出器94は、従動歯車60の光学トラック64(アブソリュートスケール)で反射した光を検出する。そして、検出した反射光の強度に応じた電圧信号を出力する。光学検出器94は、例えば、512画素のCMOSイメージセンサから構成される。
【0054】
位相演算器95は、光学検出器93から出力されたA相信号、B相信号から、式(1)に基づいて、光学トラック64の1ビット内の位相を演算する。そして、位相演算器95は、この位相に対応した信号を出力する。
【0055】
絶対位置演算器96は、光学検出器94から出力された信号から、光学トラック64のビット単位の絶対位置α
0(ビット単位における従動歯車60の回転角度)を演算する。絶対位置演算器96は、例えば、記憶部に記憶されている光学検出器94からの電圧信号と絶対位置α
0との対応関係を示すテーブルを参照して、絶対位置α
0を演算する。そして、絶対位置演算器96は、この絶対位置α
0に対応した信号を出力する。
【0056】
補正演算器97は、絶対位置演算器96から出力された絶対位置α
0に、位相演算器95から出力された位相を加算することによって、絶対位置α
0よりも高い分解能の絶対位置αを演算する。そして、補正演算器97は、この絶対位置αに対応した信号を出力する。
【0057】
検出ユニット100は、検出ユニット80,90と同様に、従動歯車70の光学トラック73,74に光を照射するLED発光部と、光学トラック73,74で反射した光を検出する光学検出器103,104と、位相演算器105と、絶対位置演算器106と、補正演算器107とを有する。そして、補正演算器107は、絶対位置演算器106から出力された絶対位置β
0に、位相演算器105から出力された位相を加算することによって、絶対位置β
0よりも高い分解能の絶対位置βを演算する。そして、補正演算器107は、この絶対位置βに対応した信号を出力する。
【0058】
エンコーダユニット40は、
図9に示すように、検出ユニット80,90,100に加えて、回転数演算ユニット110、出力ユニット120を有する。
【0059】
回転数演算ユニット110は、回転数演算器111と、歯数番号と回転数Rとの対応関係を示すテーブルT等の情報を記憶する記憶部と、を有している。回転数演算器111は、先ず、補正演算器87,97,107からの絶対位置Z、α、βに対応した信号に基づいて、主動歯車50、従動歯車60,70それぞれの−Y側にある歯部51,61,71の歯数番号を判別する。このとき、回転数演算器111は、主動歯車50の歯数よりも細かい分解能の絶対位置Zに基づいて、主動歯車50の歯数番号が、次の歯数番号に切り替わるタイミングを判別し、このタイミングに合わせて、従動歯車60,70それぞれの歯数番号を切り替える。
【0060】
次に、回転数演算器111は、テーブルTを参照して、これらの歯数番号の組み合わせから、シャフト30の回転数Rを演算する。そして、回転数演算器111は、この回転数Rに対応した信号を出力する。
【0061】
図11にテーブルTの具体例を示す。このテーブルTは、主動歯車50、従動歯車60,70の歯数それぞれを5本、4本、3本に設定した場合の例である。
図11に示すテーブルTにおいて、最も左側の第1列は、主動歯車50、従動歯車60,70それぞれの−Y側にある歯部51,61,71の歯数番号の組み合わせ番号を示している。第1列の右側の第2列は、主動歯車50の−Y側にある歯部51の歯数番号を示している。同様に、第3列、第4列は、従動歯車60の−Y側にある歯部61の歯数番号、従動歯車70の−Y側にある歯部71の歯数番号を示している。そして、テーブルTの最も右側の第5列は、シャフト30(主動歯車50)の回転数Rを示している。
【0062】
図11を参照するとわかるように、主動歯車50、従動歯車60,70それぞれの歯数番号の組み合わせの総数は、60通り(60=5×4×3)である。例えば、それぞれの歯数番号の組み合わせが(No.1、No.2、No.3)であった場合、組み合わせ番号はNo.006となる。そのため、回転数演算器111は、テーブルTを参照することにより、シャフト30の回転数R=1と演算することができる。また、それぞれの歯数番号の組み合わせが(No.1、No.2、No.2)であった場合、組み合わせ番号はNo.026となる。そのため、回転数演算器111は、このテーブルTを参照することにより、シャフト30の回転数R=5と演算できる。
【0063】
しかしながら、上記例は、従動歯車70の歯数番号が1つ違う場合でも、回転数演算器111は、大きく異なる回転数Rを出力してしまうことを示している。そこで、本実施形態の回転数演算器111は、主動歯車50、従動歯車60,70それぞれの歯数番号が、切り替わる直前であるか、切り替わった直後であるか、又は切り替わってから次の切り替わりまでの間であるか、を検出し、判定する。そして、これらの噛み合い状態が相互に異なる場合、回転数演算器111は、従動歯車60,70それぞれの噛み合い状態(歯数番号の切り替わるタイミング)を、主動歯車50の噛み合い状態(歯数番号の歯数番号に切り替わるタイミング)に合わせる。例えば、主動歯車50の歯数番号の切り替わるタイミングが切り替わった直後であり、従動歯車60,70の歯数番号の切り替わるタイミングが切り替わる直前であった場合、回転数演算器111は、従動歯車60,70の歯数番号の切り替わるタイミングを、主動歯車50の歯数番号の切り替わるタイミングに合わせて、切り替わった直後にする。すなわち、回転数演算器111は、主動歯車50の歯数番号の切り替わるタイミングに合わせて、従動歯車60,70の歯数番号を切り替える。これにより、回転数演算器111は、主動歯車50、従動歯車60,70それぞれの正しい歯数番号を判別し、その結果、正確な回転数Rを出力することができる。
【0064】
このような歯車の歯数番号の調整は、歯車のバックラッシュによって、歯車の噛み合い状態が異なってしまう状態を防止するために行われる。具体的には、本実施形態においては、いずれの従動歯車60,70も主動歯車50に噛み合っているため、本来は、全ての歯車の噛み合い状態(歯数番号の切り替えのタイミング等)が、同じであることが望ましい。しかしながら、歯車のバックラッシュの大きさによっては、歯車の噛み合い状態がそれぞれ異なってしまうおそれがある。これに対して、本実施形態においては、回転数演算器111が、主動歯車50に合わせて、従動歯車60,70の歯数番号を切り替えていることによって、正確な回転数Rを出力している。
【0065】
また、上述したように、検出ユニット80,90,100から出力される絶対位置Z、α、βの分解能は、主動歯車50、従動歯車60,70の歯部51,61,71よりも十分細かい。そのため、例えば、回転数演算器111は、1本の歯部51,61,71それぞれに対して、3つのタイミング(切り替わる直前、切り替わった直後、切り替え直後から次の切り替えまでの間)に分割して検出するようにしている。この3つのタイミングに合わせて、回転数演算器111は、従動歯車60,70の歯数番号を切り替えることにより、回転数演算器111は、主動歯車50、従動歯車60,70それぞれの歯数番号を誤って判別することを防いでいる。
【0066】
なお、回転数演算器111は、テーブルTを参照して、これらの歯数番号の組み合わせから、シャフト30の回転数Rを演算している。しかしながら、演算方法は任意である。例えば、本実施形態においては、歯数番号の組み合わせの番号は一定の整数値であるとともに、各歯車(主動歯車50、従動歯車60,70)の歯数番号が既知の値であり、また、各歯車の回転数が未知の値(変数)である。そのため、3つの変数によって構成される一次方程式が3つできる。これらの方程式に基づいて、回転数演算器111は、回転数Rを演算することもできる。
【0067】
また、本実施形態においては、主動歯車50、従動歯車60,70それぞれの歯数番号の組み合わせの総数は、22,632通り(22,632=41×24×23)であり、エンコーダユニット40は、552回転(552=22,632/41)まで判別することができる。したがって、アクチュエータ200のボールねじのリードは、上述したように10mmであることから、5,520mm(5,520=552×10)のストロークの範囲内におけるスライダ201の位置を判別することができる。
【0068】
出力ユニット120は、
図9に示すように、2組の信号({A、B}と{Z、R})を切り替えるマルチプレクサ121と、ラインドライバ122とを有している。
【0069】
マルチプレクサ121は、電源投入後またはリセット時に、まず検出ユニット80の補正演算器87から出力された絶対位置Zに対応する電圧信号と、回転数演算ユニット110の回転数演算器111から出力された回転数Rに対応する電圧信号とを出力する。これらの信号に基づいて、後述するコントローラの制御部が、現在位置を確定する。次に、マルチプレクサ121は、検出ユニット80の光学検出器83から出力されたA相信号とB相信号とに切り替え、A相信号とB相信号とを出力する。これらの信号に基づいて、制御部が、アップダウンカウントし、現在位置を更新する(インクリメンタルエンコーダ機能)。
【0070】
ラインドライバ122は、マルチプレクサ121から出力された信号と、この信号の位相を反転した信号との差に基づいた差動信号を出力する。
【0071】
上述したエンコーダユニット40を備えたモータユニット10には、
図9に示すように、コントローラ300が接続される。コントローラ300は、ラインレシーバ302と、制御部301とを有する。
【0072】
ラインレシーバ302は、ラインドライバ122から出力された差動信号を元の信号に変換する。そして、この信号を制御部301に入力する。
【0073】
制御部301は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶部、補助記憶部等から構成され、ラインレシーバ302からの信号に基づいて現在位置を確定、認識し、サーボモータ20を制御する。
【0074】
上述のように構成されたモータユニット10の動作について、
図9を参照して説明する。
【0075】
モータユニット10、コントローラ300等を含むアクチュエータシステムの電源をオンにすると、エンコーダユニット40の検出ユニット80は、主動歯車50の光学トラック54(アブソリュートスケール)からの反射光に基づいて、主動歯車50の絶対位置Z
0を演算する。また、光学トラック53(インクリメンタルスケール)からの反射光に基づいて、光学トラック54の1ビット内の位相θを演算する。これらの絶対位置Z
0及び位相θに基づいて、検出ユニット80は、絶対位置Z
0よりも高分解能の絶対位置Zを演算する。そして、検出ユニット80は、絶対位置Zに対応した信号を回転数演算ユニット110及び出力ユニット120に出力する。
【0076】
検出ユニット90,100も、検出ユニット80と同様に、従動歯車60,70の光学トラック64,74(アブソリュートスケール)からの反射光に基づいて、従動歯車60,70の絶対位置α
0、β
0を出力する。また、光学トラック63,73(インクリメンタルスケール)からの反射光に基づいて、従動歯車60,70の光学トラック64,74の1ビット内の位相を演算する。これらの絶対位置α
0、β
0及び位相に基づいて、検出ユニット90,100は、絶対位置α
0、β
0よりも高分解能の絶対位置α、βを演算する。そして、検出ユニット90,100は、絶対位置α、βに対応した信号を回転数演算ユニット110に出力する。
【0077】
回転数演算ユニット110は、検出ユニット80,90,100からの絶対位置Z、α、β対応した信号に基づいて、主動歯車50、従動歯車60,70それぞれの歯数番号を演算し、それらの組み合わせから、シャフト30の回転数Rを演算する。そして、回転数演算ユニット110は、回転数Rに対応した信号を出力ユニット120に出力する。
【0078】
出力ユニット120は、電源投入後またはリセット時には、絶対位置Zに対応した信号、回転数Rに対応した信号をコントローラ300に出力し、その後は、マルチプレクサ121の切替により、主動歯車50のA相信号、B相信号をコントローラ300に出力し続ける。
【0079】
コントローラ300は、エンコーダユニット40からの絶対位置Zに対応した信号、回転数Rに対応した信号に基づいて、主動歯車50の絶対位置Z、回転数Rを、シャフト30の絶対位置Z、回転数Rの初期値として記憶し、主動歯車50のA相信号、B相信号に基づいて、前記初期値にアップダウンカウントし、現在位置を更新していく。
【0080】
絶対位置Z、回転数Rを記憶すると、コントローラ300は、サーボモータ20のステータ23のコイルに電流を流す。そして、電流を流すコイルを切り替えていく。これにより、コイルは励磁され、ステータ23とロータ22との間に反発力や引力が生じ、この結果、ステータ23とともにシャフト30は回転する。
【0081】
シャフト30が回転すると、シャフト30とともに主動歯車50も回転する。また、主動歯車50との噛み合いにより、従動歯車60及び従動歯車70も、主動歯車50の回転方向とは反対の回転方向に回転する。
【0082】
シャフト30の回転速度が等速の場合、検出ユニット80のLED発光部82から照射された光は、光学トラック53(インクリメンタルスケール)によってその反射強度を増減しながら反射する。検出ユニット80は、光学トラック53によって反射された光の強度に応じたA相信号とB相信号とを、コントローラ300に出力する。A相信号の値は、周期Tが経過する毎にハイレベルからローレベルに変化する。また、B相信号は、A相信号に対して、T/4の周期進んで、周期Tが経過するごとにハイレベルからローレベルに変化する。
【0083】
コントローラ300は、シャフト30の絶対位置Z、回転数Rの初期値に対して、A相信号又はB相信号のパルスをカウントしていく。このカウントにより、回転するシャフト30の絶対位置Z、回転数Rの現在値が求められる。コントローラ300は、これらの絶対位置Z、回転数Rの現在値に基づいて、サーボモータ20を制御する。
【0084】
また、別途、設けられた初期値リセット手段を実行した場合でも、コントローラ300は、シャフト30の絶対位置Z、回転数Rの初期値を記憶する。そして、A相信号及びB相信号のパルスをアップダウンカウントし、このカウントにより、回転するシャフト30の絶対位置Z、回転数Rの現在値を求める。そして、これらの絶対位置Z、回転数Rの現在値に基づいて、コントローラ300は、サーボモータ20を制御する。
【0085】
以上、説明したように、本実施形態に係るエンコーダユニット40は、主動歯車50と、この主動歯車50に噛み合っている第1従動歯車60及び第2従動歯車70とに形成された光学トラック53,54,63,64,73,74それぞれからの光を検出しており、これにより、シャフト30の回転数Rの絶対位置Z(回転角度)を判別する。したがって、いずれの従動歯車60,70も主動歯車50に直接噛み合っていることから、歯車のバックラッシュの累積等による誤検出を防ぐことができるとともに、エンコーダユニット40等を小型にできる。
【0086】
また、従動歯車が直列的に接続されている従来のようなエンコーダユニットと比べて、歯車のバックラッシュの累積がないため、同程度の回転数検出範囲を有する従来のエンコーダユニットの歯車よりも、エンコーダユニット40の歯車は、それほど精密に形成する必要がなく、この結果、製造コストを低減させることができる。
【0087】
また、主動歯車50と2つの従動歯車60,70のみで、回転数Rを検出することができるため、バッテリー及びメモリが不要とすることができる。
【0088】
また、本実施形態においては、回転数演算器111は、主動歯車50の歯数よりも細かい分解能の絶対位置Zに基づいて、主動歯車50の歯数番号が、次の歯数番号に切り替わるタイミングを判別し、このタイミングに合わせて、従動歯車60,70それぞれの歯数番号を切り替えている。これにより、バックラッシュが大きい歯車を用いても歯数番号読み取りエラーが無く、高い信頼性を得ることができる。
【0089】
また、本実施形態においては、従動歯車60及び従動歯車70は、直接主動歯車50に噛み合っているので、歯車の個数を大変少なくできるとともに、エンコーダユニット40の厚み(X軸方向における寸法)を薄くすることができ、ひいては、モータユニット10の小型化に寄与することができる。
【0090】
また、本実施形態のエンコーダユニット40は、LED発光部82と、検出ユニット90,100のLED発光部と、光学検出器83,84,93,94,103,104とが同一のエンコーダ基板41上に実装されている反射光学式のエンコーダである。そのため、エンコーダユニット40の厚みを薄くすることができ、ひいては、モータユニット10の小型化及び低コスト化に寄与することができる。
【0091】
また、本実施形態においては、A相信号及びB相信号を出力するために用いられる主動歯車50は、その直径が従動歯車60,70よりも大きくなるように形成され、また、単に歯数番号の演算のために用いられる従動歯車60,70は、その直径が主動歯車50よりも小さくなるように形成されている。これにより、高分解能が必要とされる光学トラック53,54を大きな径で形成しつつ、エンコーダユニット40のサイズ(Y軸方向及びZ軸方向における寸法)を小さくすることができる。ひいては、モータユニット10の小型化に寄与することができる。
【0092】
また、本実施形態においては、絶対位置演算器86は、光学検出器84の512個のCMOSイメージセンサ素子の中から、安定した反射光を検出したセンサ素子の出力のみを選択している。これにより、高信頼性の絶対位置Zを演算することができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態等によって限定されるものではない。
【0094】
上記実施形態においては、エンコーダユニット40は、2つの従動歯車60,70を備えているが、3つの従動歯車を備えていてもよい。例えば、歯数が25本の第3の従動歯車を加えた場合、それぞれの歯数番号の組み合わせの総数は、565,800通り(565,800=41×24×23×25)となり、エンコーダユニット40は、13,800回転(13,800=565,800/41)まで判別することができるようになる。したがって、138m(138,000=13,800×10)のストロークの範囲内におけるスライダ201の位置を判別することができる。また、4つ以上の従動歯車を備えることも可能である。
【0095】
また、上記実施形態においては、主動歯車50の歯部51の歯数(41本)、従動歯車60の歯部61の歯数(24本)、従動歯車70の歯部61の歯数(23本)は、互いに素の関係となるように形成されている。しかしながら、これに限られず、歯数それぞれは、互いに素の関係ではなくともよい。ただし、素の関係でない場合は、同一回転数における歯数番号の同じ組み合わせが増え、対応する変換テーブルが大きくなるため、互いに素の関係となる方が好ましい。
【0096】
また、本実施形態においては、アクチュエータシステムの電源をオンにした場合と、初期値リセット手段を実行した場合に、コントローラ300は、シャフト30の絶対位置Z、回転数Rの初期値を記憶している。そして、A相信号又はB相信号のパルスをカウントし、このカウントにより、回転するシャフト30の絶対位置Z、回転数Rの現在値が求めている。しかしながら、これに限らず、一定時間毎に、シャフト30の絶対位置Z、回転数Rの初期値を記憶していってもよい。また、常に、シャフト30の絶対位置Z、回転数Rの初期値を記憶していくことも可能である。
【0097】
また、本実施形態においては、ラインドライバ122から、絶対位置Zに対応する信号及び回転数Rに対応する信号を一つにした信号と、A相信号及びB相信号を一つにした信号とを、パラレル信号として出力している。しかしながら、これに限らず、シリアル信号として出力してもよい。
【0098】
また、上記実施形態の検出ユニット80は、
図9に示すように、光学検出器83からのA相信号、B相信号を出力ユニット120に直接出力している。しかしながら、これに限らず、
図12に示すように、分割器88(インターポレータ)を配置し、A相信号、B相信号を、この分割器88を介して出力ユニット120に出力してもよい。この場合、A相信号、B相信号の分解能を向上させることができる。
【0099】
また、本実施形態においては、絶対位置演算器86,96,106は、記憶部に記憶されているセンサ素子の出力信号の組み合わせと絶対位置Z
0、α
0、β
0との対応関係を示すテーブルを参照して、光学検出器84,94,104の選択されたセンサ素子の出力信号から絶対位置Z
0、α
0、β
0を演算する。しかしながら、これに限らず、シフトレジスタ(LFSR)を用いて、絶対位置Z
0、α
0、β
0を演算してもよい。
【0100】
また、本実施形態においては、サーボモータ20を用いているが、これの代わりに、パルスモータを用いてもよいことは言うまでもない。
【0101】
また、本実施形態では、光学式の検出方法を用いたが、静電容量式や磁気式などでも同様の機能を構成できることは言うまでもない。
【0102】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。