特許第5671356号(P5671356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • 5671356-LED電球 図000002
  • 5671356-LED電球 図000003
  • 5671356-LED電球 図000004
  • 5671356-LED電球 図000005
  • 5671356-LED電球 図000006
  • 5671356-LED電球 図000007
  • 5671356-LED電球 図000008
  • 5671356-LED電球 図000009
  • 5671356-LED電球 図000010
  • 5671356-LED電球 図000011
  • 5671356-LED電球 図000012
  • 5671356-LED電球 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671356
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】LED電球
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150129BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20150129BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20150129BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20150129BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20150129BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20150129BHJP
   F21V 29/00 20150101ALI20150129BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150129BHJP
【FI】
   F21S2/00 215
   F21S2/00 216
   F21S2/00 218
   F21S2/00 219
   F21S2/00 224
   F21V3/00 320
   F21V3/02 200
   F21V5/04 600
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V19/00 450
   F21V23/00 111
   F21V29/00 110
   F21V29/00 510
   F21Y101:02
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-14608(P2011-14608)
(22)【出願日】2011年1月26日
(65)【公開番号】特開2012-156020(P2012-156020A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2014年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100115369
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 司
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】伊垣 勝
(72)【発明者】
【氏名】薮上 彰夫
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−135308(JP,A)
【文献】 実開平02−025111(JP,U)
【文献】 実開昭60−007105(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3150914(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 99/00
F21S 2/00
F21V 19/00
F21V 23/00
F21V 29/00
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDチップと、
上記複数のLEDチップを覆い、かつこれらのLEDチップからの光を透過するグローブと、
口金と、を備えたLED電球であって、
上記グローブは、少なくとも一部に凹凸状部分を有するとともに、
上記複数のLEDチップを支持する伝熱ブラケットと、
上記伝熱ブラケットと上記口金とが互いに反対側に取り付けられている放熱部材と、
上記LEDチップが搭載されているとともに、上記伝熱ブラケットに取り付けられたフレキシブル配線基板と、を備え、
上記伝熱ブラケットは、円形の天板と、この天板につながる第1円筒部とを有し、
上記第1円筒部は、上記天板に向かうほど直径が小となっており、
上記フレキシブル配線基板は、上記天板に取り付けられる円形部と、上記第1円筒部に取り付けられる第1帯状円弧部と、を有し、
上記伝熱ブラケットは、上記天板の表面と上記第1円筒部の表面との間に位置する第1溝を有しており、
上記フレキシブル配線基板は、上記円形部と上記第1帯状円弧部とを繋ぐ第1連結部を有しており、
上記第1溝に収容されており、かつ上記フレキシブル配線基板の上記第1連結部と上記伝熱ブラケットとの間に介在する第1絶縁リングを備える、ことを特徴とする、LED電球。
【請求項2】
上記グローブは、上記凹凸状部分を構成する複数の帯状隆起部を有する、請求項1に記載のLED電球。
【請求項3】
上記グローブは、上記口金側に位置する開口部と、上記口金とは反対側に位置する頂部とを有しており、
上記複数の帯状隆起部は、上記開口部から上記頂部へと延びている、請求項2に記載のLED電球。
【請求項4】
上記複数の帯状隆起部は、互いに隣接している、請求項3に記載のLED電球。
【請求項5】
上記各帯状隆起部は、断面部分円形状である、請求項2ないし4のいずれかに記載のLED電球。
【請求項6】
上記凹凸状部分は、上記グローブの内側に位置する、請求項1ないし5のいずれかに記載のLED電球。
【請求項7】
上記グローブには、上記天板および上記第1円筒部との境界に対面する位置にあり、かつ上記複数のLEDチップからの光を拡散させつつ透過する第1拡散透過部が形成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載のLED電球。
【請求項8】
上記伝熱ブラケットは、上記第1円筒部に対して上記天板とは反対側に繋がっており、かつ上記第1円筒部に向かうほど直径が小である第2円筒部を有しており、
上記フレキシブル配線基板は、上記第2円筒部に取り付けられた第2帯状円弧部を有する、請求項ないしのいずれかに記載のLED電球。
【請求項9】
上記伝熱ブラケットは、上記放熱部材に取り付けられた円形リング状の鍔板を有する、請求項ないしのいずれかに記載のLED電球。
【請求項10】
上記伝熱ブラケットは、上記鍔板と上記第1円筒部の間に位置しており、上記フレキシブル配線基板が取り付けられていない非搭載円筒部を有する、請求項に記載のLED電球。
【請求項11】
上記伝熱ブラケットは、上記鍔板と上記非搭載円筒部との間に位置しており、上記鍔板から上記非搭載円筒部へと向かうほど直径が小である土台円筒部を有する、請求項10に記載のLEDランプ。
【請求項12】
各々が上記LEDチップを具備しており、上記フレキシブル配線基板に実装された複数のLEDモジュールを備える、請求項ないし11のいずれかに記載のLED電球。
【請求項13】
上記複数のLEDモジュールのうち上記第1帯状円弧部に実装されたものは、複数列に配置されている、請求項12に記載のLED電球。
【請求項14】
上記複数のLEDモジュールのうち上記第1帯状円弧部に実装されたものは、千鳥状に配置されている、請求項13に記載のLED電球。
【請求項15】
上記グローブは、上記伝熱ブラケットの少なくとも一部を囲む円筒部と、上記円筒部に繋がるドーム部とを有する、請求項ないし14のいずれかに記載のLED電球。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてLEDチップを備えるLED電球に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる白熱電球の代替製品として、LEDチップが実装されたLED電球が普及し始めている。LED電球は、白熱電球に対して、省電力および長寿命といった長所がある。
【0003】
図12は、従来のLED電球の一例を示している(たとえば、特許文献1,2参照)。同図に示されたLED電球900は、複数のLEDモジュール901、グローブ902、放熱部材903、および口金904を備えている。LEDモジュール901は、LED電球900の発光手段であり、LEDチップ(図示略)が内蔵されている。グローブ902は、LEDモジュール901からの光を拡散させつつ透過するものである。放熱部材903は、LEDモジュール901からの熱を放散させるためのものであり、たとえばアルミからなる。口金904は、LED電球900を、白熱電球用の照明器具に取り付けるための部位である。LED電球900は、点灯時にグローブ902を均一に光らせることにより、白熱電球に似た外観を呈することが意図されている。
【0004】
たとえば、室内用照明には、シャンデリアがある。シャンデリアは、室内を照らすだけでなく、それ自身の形状や光り方によって華やかで美しい印象を与えることが意図されている。LED電球900によって同様の印象を与えるには、LED電球900を取り付ける照明器具(図示略)をシャンデリアに類似した華やかな印象を与えうる構造とする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−135308号公報
【特許文献2】特開2010−135309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、華やかで美しい印象を与えることが可能なLED電球を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるLED電球は、複数のLEDチップと、上記複数のLEDチップを覆い、かつこれらのLEDチップからの光を透過するグローブと、口金と、を備えたLED電球であって、上記グローブは、少なくとも一部に凹凸状部分を有することを特徴としている。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記グローブは、上記凹凸状部分を構成する複数の帯状隆起部を有する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記グローブは、上記口金側に位置する開口部と、上記口金とは反対側に位置する頂部とを有しており、上記複数の帯状隆起部は、上記開口部から上記頂部へと延びている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の帯状隆起部は、互いに隣接している。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各帯状隆起部は、断面部分円形状である。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記凹凸状部分は、上記グローブの内側に位置する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDチップを支持する伝熱ブラケットと、上記伝熱ブラケットと上記口金とが互いに反対側に取り付けられている放熱部材と、を備える。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記伝熱ブラケットは、円形の天板と、この天板につながる第1円筒部とを有する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1円筒部は、上記天板に向かうほど直径が小となっている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記LEDチップが搭載されているとともに、上記伝熱ブラケットに取り付けられたフレキシブル配線基板を備える。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フレキシブル配線基板は、上記天板に取り付けられる円形部を有する。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フレキシブル配線基板は、上記第1円筒部に取り付けられる第1帯状円弧部を有する。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記伝熱ブラケットは、上記天板の表面と上記第1円筒部の表面との間に位置する第1溝を有しており、上記フレキシブル配線基板は、上記円形部と上記第1帯状円弧部とを繋ぐ第1連結部を有しており、上記第1溝に収容されており、かつ上記フレキシブル配線基板の上記第1連結部と上記伝熱ブラケットとの間に介在する第1絶縁リングを備える。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記グローブには、上記天板および上記第1円筒部との境界に対面する位置にあり、かつ上記複数のLEDチップからの光を拡散させつつ透過する第1拡散透過部が形成されている。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記伝熱ブラケットは、上記第1円筒部に対して上記天板とは反対側に繋がっており、かつ上記第1円筒部に向かうほど直径が小である第2円筒部を有しており、上記フレキシブル配線基板は、上記第2円筒部に取り付けられた第2帯状円弧部を有する。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記伝熱ブラケットは、上記放熱部材に取り付けられた円形リング状の鍔板を有する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記伝熱ブラケットは、上記鍔板と上記第1円筒部との間に位置しており、上記フレキシブル配線基板が取り付けられていない非搭載円筒部を有する。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記伝熱ブラケットは、上記鍔板と上記非搭載円筒部との間に位置しており、上記鍔板から上記非搭載円筒部へと向かうほど直径が小である土台円筒部を有する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、各々が上記LEDチップを具備しており、上記フレキシブル配線基板に実装された複数のLEDモジュールを備える。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDモジュールのうち上記第1帯状円弧部に実装されたものは、複数列に配置されている。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数のLEDモジュールのうち上記第1帯状円弧部に実装されたものは、千鳥状に配置されている。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記グローブは、上記伝熱ブラケットの少なくとも一部を囲む円筒部と、上記円筒部に繋がるドーム部とを有する。
【0029】
このような構成によれば、上記グローブの上記凹凸状とされた部分を上記複数のLEDチップからの光が透過すると、上記グローブの外方からは、上記グローブが全体的に均一に光っては見えず、明るい部分と暗い部分とが入り混じったものとして視認される。これにより、上記LED電球にいわゆるきらめき感を付与することが可能であり、華やかで美しい印象を与えることができる。
【0030】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態に基づくLED電球を示す正面図である。
図2図1のII−II線に沿う断面図である。
図3図1のLED電球に用いられるグローブを示す平面図である。
図4図1のLED電球に用いられるグローブを示す正面図である。
図5図1のLED電球に用いられるグローブを示す底面図である。
図6図4のVI−VI線に沿う断面図である。
図7図1のLED電球の伝熱ブラケットを示す斜視図である。
図8図1のLED電球のLEDモジュールを示す断面図である。
図9】本発明の第2実施形態に基づくLED電球の伝熱ブラケットを示す斜視図である。
図10】本発明の第3実施形態に基づくLED電球を示す断面図である。
図11】本発明の第4実施形態に基づくLED電球を示す正面図である。
図12】従来のLED電球の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0033】
図1および図2は、本発明の第1実施形態に基づくLED電球を示している。本実施形態のLED電球101は、複数のLEDモジュール200、フレキシブル配線基板300、伝熱ブラケット400、放熱部材500、電源部600、グローブ700、および口金800を備えている。LED電球101は、白熱電球の代替製品として白熱電球用の照明器具に取り付けられて用いられる。LED電球101は、たとえば60W型の電球相当の大きさとされており、直径径が55mm程度、高さが108mm程度である。
【0034】
フレキシブル配線基板300は、複数のLEDモジュール200を支持し、かつこれらへの電源供給経路を提供するためのものである。本実施形態においては、フレキシブル配線基板300は、樹脂層と配線パターン(図示略)を構成する金属層とからなり、図7に示すように、円形部301、第1帯状円弧部302、および第1連結部311を有している。円形部301は、ほぼ真円形状とされている。第1帯状円弧部302は、長手方向が円弧状に湾曲しており、ほぼ一定の幅寸法を有する。第1連結部311は、円形部301と第1帯状円弧部302とを連結している。
【0035】
図2および図7に示すように、複数のLEDモジュール200は、フレキシブル配線基板300の円形部301および第1帯状円弧部302に実装されている。複数のLEDモジュール200のうち円形部301に実装されたものは、円形部301の外縁に沿って円形に配置されているものと、それらに囲まれて円形部301の中央寄りに配置されているものとを含む。複数のLEDモジュール200のうち第1帯状円弧部302に実装されたものは、第1帯状円弧部302の長手方向に2列に配置されている。
【0036】
図8に示すように、LEDモジュール200は、LEDチップ201、1対のリード202、ケース204、封止樹脂205、およびワイヤ206を備えている。1対のリード202は、たとえばCu合金からなり、その一方にLEDチップ201が搭載されている。リード202のうちLEDチップ201が搭載された面と反対側の面は、LEDモジュール200を面実装するために用いられる実装端子203とされている。LEDチップ201は、LEDモジュール200の光源であり、たとえば青色光を発光可能とされている。封止樹脂205は、LEDチップ201を保護するためのものである。封止樹脂205は、LEDチップ201からの光によって励起されることにより黄色光を発する蛍光物質を含む透光樹脂を用いて形成されている。上記蛍光物質としては、黄色光を発するものに代えて、赤色光を発するものと緑色光を発するものとを混合して用いてもよい。ケース204はたとえば白色樹脂からなり、LEDチップ201から側方に発された光を上方に反射するためのものである。
【0037】
なお、本実施形態とは異なり、LEDチップ201をフレキシブル配線基板300に直接実装する構成としてもよい。
【0038】
図2および図7に示すように、伝熱ブラケット400は、フレキシブル配線基板300を支持するとともに、フレキシブル配線基板300からの熱を放熱部材500へと伝えるためのものである。伝熱ブラケット400は、天板401、第1円筒部402、非搭載円筒部405、土台円筒部406、および鍔板430を有している。伝熱ブラケット400の材質としては、熱伝導率が高いものが好ましく、たとえばアルミなどの金属が用いられる。
【0039】
天板401は、円形状とされており、フレキシブル配線基板300の円形部301がたとえば接着剤または両面粘着テープによって取り付けられている。第1円筒部402は、天板401に繋がっており、天板401に近づくほど直径が小となるテーパ状の円筒形状とされている。第1円筒部402には、フレキシブル配線基板300の第1帯状円弧部302が取り付けられている。天板401の表面と第1円筒部402の表面との間には、第1溝451が形成されている。第1溝451には、第1絶縁リング351が嵌めこまれている。第1絶縁リング351は、たとえば樹脂からなり、フレキシブル配線基板300の第1連結部311と伝熱ブラケット400との間に介在している。
【0040】
非搭載円筒部405は、第1円筒部402につながっており、直径がほぼ一定な円筒形状である。非搭載円筒部405には、フレキシブル配線基板300は取り付けられていない。非搭載円筒部405には、配線用貫通孔411が形成されている。土台円筒部406は、非搭載円筒部405に繋がっており、非搭載円筒部405に近づくほど直径が顕著に小であるテーパ状の円筒形状である。鍔板430は、土台円筒部406から外方に向かって延びており、円環状とされている。
【0041】
図7に示すように、土台円筒部406には、4つの放熱用貫通孔421が形成されている。放熱用貫通孔421を通じて、伝熱ブラケット400の外側空間と内側空間とがつながっている。鍔板430には、4つのボルト用貫通孔431および4つのザグリ穴432が形成されている。ボルト用貫通孔431は、伝熱ブラケット400を放熱部材500に対して固定するボルト441を通すためのものである。本実施形態においては、4つのボルト用貫通孔431は、90°ピッチで配置されている。ザグリ穴432は、ボルト441の頭部を鍔板430内に沈降させるためのものであり、直径がボルト用貫通孔431の直径よりも大である円形の凹部である。本実施形態においては、ザグリ穴432を形成するためのドリル加工を施す際に、鍔板430だけでなく、土台円筒部406の一部を切削している。これにより、伝熱ブラケット400には、4つの切欠き422が形成されている。切欠き422が土台円筒部406の厚さ方向に貫通した部分が、上述した放熱用貫通孔421となっている。このような形成手法の結果、切欠き422の一部によって、ザグリ穴432が構成される格好となっている。ザグリ穴432には、固定樹脂442が充てんされている。固定樹脂442は、ボルト441の緩みを防止するためのものであり、本実施形態においては、ザグリ穴432のうち土台円筒部406とは反対側のおよそ半分の領域に充てんされている。
【0042】
図1および図2に示すように放熱部材500は、伝熱ブラケット400が取り付けられており、本実施形態においては、本体510およびスペーサ520からなる。放熱部材500の材質としては、熱伝導率が高いものが好ましく、たとえばアルミなどの金属が用いられる。なお、本実施形態とは異なり、放熱部材500を一体成型品として形成してもよい。
【0043】
本体510は、全体としてラッパに類似した形状とされており、複数のフィン511を有している。複数のフィン511は、外方に向かって放射状に形成されている。本体510には、電源収容凹部512が形成されている。電源収容凹部512は、電源部600の少なくとも一部を収容する部位であり、本実施形態においては、電源部600のほとんどを収容している。スペーサ520は、円板状であり、本体510の図中上端に取り付けられている。スペーサ520には、開口521が形成されている。開口521は、電源部600との干渉を回避するために設けられている。
【0044】
電源部600は、たとえば商用の交流100V電源からLEDモジュール200(LEDチップ201)を点灯させるのに適した直流電力を発生させ、この直流電力をLEDモジュール200(LEDチップ201)に供給するものであり、電源基板610、複数の電子部品620、および配線630を備えている。
【0045】
電源基板610は、たとえばガラスコンポジッド銅張積層板からなり、全体として円形状とされている。図2に示すように、電源基板610の図中下面には、複数の電子部品620が実装されている。電源基板610は、放熱部材500のスペーサ520の開口521を塞ぐように配置されている。
【0046】
電源基板610には、4つの放熱用貫通孔611が形成されている。各放熱用貫通孔611は、電源基板610の周縁寄り領域に形成されている。4つの放熱用貫通孔611は、90°ピッチで配置されており、電源基板610の周方向(フレキシブル配線基板300の円形部301の周方向と一致する)において、伝熱ブラケット400の放熱用貫通孔421と電源基板610の放熱用貫通孔611とは、同じ位置に設けられている。
【0047】
複数の電子部品620は、たとえば商用の交流100V電源をLEDモジュール200(LEDチップ201)を点灯させるのに適した直流電力に変換する機能を果たす。複数の電子部品620は、たとえば、コンデンサ、抵抗、コイル、ダイオード、ICなどを含む。たとえば、図2において、電源収容凹部512のほぼ中央において、図中下方にもっとも突出した電子部品620は、コンデンサである。
【0048】
配線630は、複数の電子部品620からの直流電力をフレキシブル配線基板300へと導くためのものである。配線630は、電源基板610から伝熱ブラケット400の配線用貫通孔411を通じてフレキシブル配線基板300に到達している。
【0049】
口金800は、たとえばJIS規格に準拠した一般的な電球用の照明器具に取り付けるための部分である。口金800は、JIS規格に定められたE17、E26などの仕様を満たす構成とされている。口金800は、電源部600に対して配線によって接続されている。
【0050】
グローブ700は、LEDモジュール200を保護するためのものであり、たとえば透明の樹脂からなる。図1図6に示すように、グローブ700は、円筒部701、ドーム部702、鍔部703、挿入部704、開口721、および頂部722を有している。開口721は、伝熱ブラケット400をグローブ700内に導くためのものである。頂部722は、開口721と反対側に位置する端部である。円筒部701は、開口721側に位置している。本実施形態においては、図2において円筒部701の上端が伝熱ブラケット400の天板401よりも10mm程度上方に位置している。ドーム部702は、円筒部701に繋がっており、その一部が頂部722となっている。鍔部703は、円環状の突起である。挿入部704は、放熱部材500に形成された溝に挿入されることにより、グローブ700を放熱部材500に対して固定するために用いられる。
【0051】
グローブ700の内側部分には、複数の帯状隆起部711が形成されている。帯状隆起部711は、開口721から頂部722に延びており、断面形状が部分円形状とされている。本実施形態においては、複数の帯状隆起部711どうしは互いに隣接している。これにより、グローブ700の内側部分には、断面V字形状の複数の溝712が形成されているともいえる。グローブ700の外側部分は、円滑な面とされている。
【0052】
次に、LED電球101の作用について説明する。
【0053】
本実施形態によれば、グローブ700は、凹凸状とされた部分を有している。この部分を複数のLEDモジュール200からの光が透過すると、グローブ700の外方からは、グローブ700が全体的に均一に光っては見えず、明るい部分と暗い部分とが入り混じったもとのして視認される。これにより、LED電球101にいわゆるきらめき感を付与することが可能であり、華やかで美しい印象を与えることができる。
【0054】
複数の帯状隆起部711によって上述した凹凸状とされた部分を構成することにより、グローブ700が明部と暗部とが入り乱れた外観となることを抑制し、明部と暗部とが適度に繰り返し配置された外観とすることが可能である。帯状隆起部711を断面部分円形状とすることにより、帯状隆起部711はいわゆるレンズ効果を発揮する。これは、グローブ700に顕著に明るい部分を作り出すのに適しており、きらめき感をより高揚させることができる。複数の帯状隆起部711どうしを隣接させることにより、グローブ700には、V字状の複数の溝712が形成されている。これらの溝712は、グローブ700に明瞭な暗部を形成する。これにより、きらめき感を際立たせることができる。グローブ700の外面を平滑な面とすることにより、グローブ700にほこりなどがたまってしまうことを抑制することができる。
【0055】
伝熱ブラケット400を天板401および第1円筒部402を有する構成とし、これらをグローブ700の円筒部701によって囲む構造とすることにより、円筒部701のほぼ全体をきらめき感を想起させる外観とすることができる。円筒部701の上端を天板401よりも上方に位置させることは、このきらめき感を高めるのに好ましい。
【0056】
第1絶縁リング351を設けることにより、フレキシブル配線基板300の第1連結部311と伝熱ブラケット400とがショートしてしまうことを防止することができる。
【0057】
非搭載円筒部405を設けることにより、複数のLEDモジュール200をグローブ700の中央寄りに配置することができる。本実施形態においては、LEDモジュール200の配光角は、120度程度である。非搭載円筒部405と土台円筒部406とを設けることにより、もっとも下側に配置されたLEDモジュール200の配光角外縁よりも伝熱ブラケット400の鍔板430を外方に配置されている。これによりLEDモジュール200からの光が鍔板430などに不当にさえぎられてしまうことを回避可能であり、LED電球101の輝度を高めることができる。
【0058】
放熱用貫通孔421おおび放熱用貫通孔611を設けることにより、これらを通じて複数のLEDモジュール200からの熱を逃がすことができる。本実施形態においては、ボルト441を沈降させるためのザグリ穴432を形成するためのドリル加工によって、ザグリ穴432と放熱用貫通孔421とを一括して形成することが可能である。
【0059】
図9図11は、本発明の他の実施形態に基づくLED電球を示している。これらの実施形態において、上述した構成と同一の要素については、同一の符号を付しており説明を省略する。
【0060】
図9は、本発明の第2実施形態に基づくLED電球を示している。本実施形態のLED電球102は、第1帯状円弧部302に実装された複数のLEDモジュール200の配置が、上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、第1帯状円弧部302に実装された複数のLEDモジュール200は、千鳥状の配置とされている。
【0061】
このような実施形態によっても、LED電球102を華やかで美しい外観とすることができる。千鳥状に配置された複数のLEDモジュール200は、きらめき感を高めるのに適している。
【0062】
図10は、本発明の第3実施形態に基づくLED電球を示している。本実施形態のLED電球103は、フレキシブル配線基板300および伝熱ブラケット400の構成が上述した実施形態との主な相違点である。
【0063】
伝熱ブラケット400は、第1円筒部402の下方につながる第2円筒部403および第3円筒部404を有している。第1ないし第3円筒部402〜404は、いずれも図中下方から上方に向かうほど直径が小であるテーパ状の円筒形状とされている。もっとも上方にある第1円筒部402の傾斜がもっともきつく、もっとも下方にある第3円筒部404の傾斜がもっとも緩やかである。第1円筒部402の表面と第2円筒部403の表面との間には、第2溝452が形成されている。第2溝452には、第2絶縁リング352が嵌めこまれている。第2円筒部403の表面と第3円筒部404の表面との間には、第3溝453が形成されている。第3溝453には、第3絶縁リング353が嵌めこまれている。
【0064】
フレキシブル配線基板300は、第1帯状円弧部302と類似の形状とされた第2帯状円弧部303および第3帯状円弧部304を有している。第2帯状円弧部303は、第2円筒部403に取り付けられており、第3帯状円弧部304は、第3円筒部404に取り付けられている。第1帯状円弧部302と第2帯状円弧部303とは第2連結部312によって連結されている。第2帯状円弧部303と第3帯状円弧部304とは、第3連結部313によって連結されている。第2連結部312と伝熱ブラケット400との間には、第2絶縁リング352が介在しており、第3連結部313と伝熱ブラケット400との間には、第3絶縁リング3535が介在している。
【0065】
グローブ700には、第1拡散透過部731、第2拡散透過部732、および第3拡散透過部733が形成されている。第1拡散透過部731、第2拡散透過部732、および第3拡散透過部733は、グローブ700の環状をなす一部が部分的にLEDモジュール200からの光を拡散させる性状とされたものである。たとえば、グローブ700の表面の一部に対してショットブラスト処理を施す、あるいはグローブ700を形成するための金型(図示略)の該当部分の表面を粗い面としておく、などの手法によって形成することができる。第1拡散透過部731は、円形部301と第1帯状円弧部302との境界に対面する位置にある。第2拡散透過部732は、第1帯状円弧部302と第2帯状円弧部303との境界に対面する位置にある。第3拡散透過部733は、第2帯状円弧部303と第3帯状円弧部304との境界に対面する位置にある。なお、第1拡散透過部731、第2拡散透過部732、および第3拡散透過部733は、グローブ700の内側部分に形成してもよいし、グローブ700の一部をたとえば乳白色の半透明樹脂を用いて形成することによって設けてもよい。
【0066】
このような実施形態によれば、伝熱ブラケット400をいわゆる多段形状とすることにより、伝熱ブラケット400の外形をグローブ700の形状により一層沿わせることができる。これにより、グローブ700の明部をより明るくすることが可能であり、きらめき感を高めるのに好適である。第1〜第3拡散透過部731,732,733を設けることにより、伝熱ブラケット400の形状不連続部が意図しない暗部となってグローブ700の外観に現出することを回避することができる。
【0067】
図11は、本発明の第4実施形態に基づくLED電球を示している。本実施形態のLED電球104は、グローブ700の形状が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、グローブ700は、図中下端より部分がもっとも直径が大であり、頂部722が比較的とがった形状とされている。このようなグローブ700は、ろうそくの炎、あるいは水滴などを連想させる形状であるといえる。
【0068】
このような実施形態によっても、LED電球104の外観を華やかで美しいものとすることができる。
【0069】
本発明に係るLED電球は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLED電球の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0070】
101,102,103,104 LED電球
200 LEDモジュール
201 LEDチップ
202 リード
203 実装端子
204 ケース
205 封止樹脂
206 ワイヤ
300 フレキシブル配線基板
301 円形部
302 第1帯状円弧部
303 第2帯状円弧部
304 第3帯状円弧部
311 第1連結部
312 第2連結部
313 第3連結部
351 第1絶縁リング
352 第2絶縁リング
353 第3絶縁リング
400 伝熱ブラケット
401 天板
402 第1円筒部
403 第2円筒部
404 第3円筒部
405 非搭載円筒部
406 土台円筒部
411 配線用貫通孔
421 放熱用貫通孔
422 切欠き
430 鍔板
431 ボルト用貫通孔
432 ザグリ穴
441 ボルト
442 固定樹脂
451 第1溝
452 第2溝
453 第3溝
500 放熱部材
510 本体
511 フィン
512 電源収容凹部
520 スペーサ
521 開口
522 ボルト用貫通孔
523 凹部
600 電源部
610 電源基板
611 放熱用貫通孔
612 延出部
613 ハンダ層
620 電子部品
630 配線
631 芯線
632 被覆
700 グローブ
701 円筒部
702 ドーム部
703 鍔部
704 挿入部
711 帯状隆起部
712 溝
721 開口
722 頂部
731 第1拡散透過部
732 第2拡散透過部
733 第3拡散透過部
800 口金
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12