(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上部で支持可能となる既設橋梁を一方の端部を小ばらしした状態で、一方の端部から所定長さ位置ごとに分断して分断既設橋梁とし、この分断既設橋梁を一方端部側に移動させた位置で小ばらしすることで解体する橋梁の撤去工法であり、
既設橋梁の橋面に対して舗装版と床版を撤去して橋桁だけの状態にする先行工事と、
橋桁だけになった橋面の各横桁を交換及び撤去する横桁処理工程と、
橋脚上に工事桁用架台を設置する架台設置工程と、
前記架台設置工程後に既設橋梁の内側に一方端部から工事桁を継増ししながら送り込み、この工事桁を工事桁用架台で支持することにより、既設橋梁の全長にわたってこの全長に見合う長さの工事桁を挿通する工事桁設置工程と、
前記工事桁上にこの工事桁の長さ方向に走行可能となる台車を設置した状態で、既設橋梁の主構及び橋面を端部から所定距離の位置で分断して分断既設橋梁とし、この分断既設橋梁を台車で支持する分断工程と、
台車で支持した分断既設橋梁を台車の移動によって工事桁の一方端部に設定した仮置位置に移動させ、この仮置位置で分断既設橋梁を小ばらしして地上側に積み込み搬出する搬出工程とからなり、
前記分断工程と搬出工程を既設橋梁の長さ分だけ繰り返し行うことで既設橋梁の全長を撤去し、この後工事桁と工事桁用架台を撤去する既設橋梁の撤去工法。
上部で支持可能となる既設橋梁を両方の端部を小ばらしした状態で、両方の端部から所定長さ位置ごとに分断して分断既設橋梁とし、この分断既設橋梁を既設橋梁の両方の端部側に移動させた位置で小ばらしすることで解体する橋梁の撤去工法であり、
既設橋梁の橋面から舗装版と床版を撤去して橋桁だけの状態にする先行工事と、
橋桁だけになった橋面の各横桁を交換及び撤去する横桁処理工程と、
橋脚上に工事桁用架台を設置する架台設置工程と、
既設橋梁の両端部から内側に工事桁を継増ししながら送り込み、この工事桁を工事桁用架台で支持すると共に両側工事桁の先端を互いに結合することにより、既設橋梁の全長にわたってこの全長に見合う長さの工事桁を挿通する工事桁設置工程と、
工事桁上にこの工事桁の長さ方向に走行可能となる複数台の台車を設置した状態で、既設橋梁の主構及び橋面を両端部から所定距離の位置で分断して分断既設橋梁とし、この分断既設橋梁を台車で支持する分断工程と、
各台車で支持した分断既設橋梁を台車の移動によって工事桁の両端部に設定した仮置位置にそれぞれ移動させ、前記仮置位置で分断既設橋梁を小ばらしして地上側に積み込み搬出する搬出工程とからなり、
前記分断工程と搬出工程を既設橋梁の両端部から長さ分だけ繰り返し行うことで既設橋梁の全長を撤去し、この後工事桁と工事桁用架台を撤去する既設橋梁の撤去工法。
上記既設橋梁における橋桁の各横桁を交換した部分は、分断した既設橋梁を台車によって工事桁の仮置位置に移動させる場合の工事桁用架台との干渉を逃がすためのものであり、分断した横桁の残した部分を着脱可能となる連結材で結合した構造を有し、各横桁を交換した部分は工事桁用架台を通過する際に連結材の盛り替えを行う請求項1又は2に記載の既設橋梁の撤去工法。
上記工事桁上に設置した台車は、工事桁の上面に設けたレールに沿って走行する自走台車とこれに連結した追従台車からなり、分断既設橋梁の主構を自走台車と追従台車により複数箇所を支持した状態で、工事桁の端部に設定した仮置位置に移動させる請求項1乃至4の何れかに記載の既設橋梁の撤去工法。
【背景技術】
【0002】
既設橋梁を解体して撤去する従来の一般的な撤去工法としては、(1)既設橋梁をクレーンで小ばらしする工法、(2)大型クレーンで既設橋梁を一括撤去する工法、(3)ケーブルクレーンで撤去する工法が採用されている。
【0003】
(1)のクレーンで小ばらしする工法は、ベントと呼ばれる支保工で橋梁を支えるか、橋台や橋脚部に鉄塔を建て、その先端部からワイヤで橋梁を吊下げ、移動式クレーンで撤去する工法であるが、橋梁の側面に移動式クレーンが近接設置できることが条件となるため、クレーンヤードや河川内であれば桟橋の設置が必要になり、このため、設備の構築に手間とコストがかかるという問題がある。
【0004】
(2)の大型クレーンで既設橋梁を一括撤去する工法は、既設橋梁の近接位置に大型クレーンを設置し、このクレーンに吊下げた連続桁や単純桁で既設橋梁の約1径間分のブロックを吊上げて撤去する工法であるが、大型クレーンクレーンの組み立て・解体ヤードが必要となり、施工可能な条件に制約を受けると共に、大きな河川にかかる橋梁の場合、クレーンの作業能力によっては不可能となるという問題がある。
【0005】
(3)のケーブルクレーンで撤去する工法は、ベントが建てられない現場や大型クレーンの設置が不可能な現場に採用するものであり、ケーブルクレーンを組み立て、鉄塔先端部からケーブルによる斜め吊りや直吊り橋梁を吊下げて、ケーブルクレーンで小ばらしする工法であるが、ケーブルクレーンの組み立て・解体作業が必要になり、手間と時間がかかると共に、大きな河川にかかる橋梁には適さないという問題がある。
【0006】
このような、従来の一般的な撤去工法とは別に、複数のトラス橋が長手方向に接続されて構成された橋梁の撤去工法が提案されている。
【0007】
この撤去工法は、除去の対象となるトラス橋の全長及び隣接するトラス橋にわたって支持構造物を配置し、この支持構造物を橋脚で支持すると共に、除去の対象となるトラス橋の一端側に解体に必要な機材、重機を配置するための大型のトラックを設け、更に、橋梁の全長にわたってケーブルクレーンを設置することにより実施される(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
上記支持構造物は、長方形のパネル体を用い、厚み方向に接続したり長さ方向に接続することにより、長さ及び厚みを変化させたり上下にも所望の高さとすることができる構造になっており、また、上記ケーブルクレーンは、橋梁の全長における両端の橋脚上に門型鉄塔を立設し、この門型鉄塔間にケーブルを張り渡し、ケーブルに吊下げのためのフック等が設けられたキャリアを移動可能に取付けた構造になっている。
【0009】
撤去を行うには、上記ケーブルクレーンを用い、解体しようとするトラス橋と隣接するトラス橋とにわたって支持構造物を設置してこれを橋脚で支持し、この状態で、解体しようとするトラス橋の主構を解体してケーブルクレーンで橋梁の一端側に搬送し、この後、橋桁を支持構造物の下部に吊下げ支持させた状態で橋桁の両端を切断し、これによって除去の対象となるトラス橋の橋桁を橋梁から切り離し、この支持された橋桁をケーブルクレーンで吊下げた橋梁の一端側に搬送して除去すればよく、各トラス橋ごとに上記のような工程を繰り返すことにより、橋梁を撤去するものである。
【0010】
このような撤去工法は、河川にかかる橋梁や橋梁側面にクレーンの設置ヤードがない現場において有効であり、また、橋梁の下面のスペースを使用しないで、橋台、橋脚の天端から上面での作業で既設橋梁を撤去することができ、河川内で渇水期施工の期間制約を受ける現場においても、制約を受けないために出水期での施工が可能であるという利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記した撤去工法は、解体しようとするトラス橋と隣接するトラス橋とにわたって設置する支持構造物をケーブルクレーンで設置するようにしているが、トラス橋の主構は両側の上弦が横在によって結合された構造になっており、支持構造物をケーブルクレーンで橋梁の目的の位置にまで移動させることは至難の業であり、実際の作業に困難を伴うものである。
【0013】
また、解体しようとするトラス橋の主構をこのトラス橋の元の位置で解体し、これをケーブルクレーンで橋梁の一端側に搬送するため、解体した部材の搬送距離が長くなり、しかも、搬送回数が多くなることで作業能率が悪くなる。
【0014】
更に、解体した部材や切断した橋桁を吊下げて搬送するために大型のケーブルクレーンが必要になり、このような大型ケーブルクレーンの組み立て・解体作業には手間と時間がかかると共に、設備コストも高くなり、大きな河川にかかる橋梁には適さないという問題がある。
【0015】
そこで、この発明の課題は、主構の上部で支持可能な既設橋梁の撤去において、所定の長さに分断した橋梁を工事桁に沿って陸地側に移動させることにより、橋梁の構造に制約を受けることなく分断した橋梁を簡単確実に陸地側へ移動させることができ、かつ、この陸地側の位置で分解することにより、解体作業の能率向上が図れると共に、移動式クレーン、大型クレーン、ケーブルクレーン等を極力使用しないで施工することで、設備コスト及び作業コストの削減を実現できる橋梁の撤去工法と、この撤去工法の実施に使用する機材を用いた橋梁の新設工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような課題を解決するため、請求項1の撤去工法の発明は、上部で支持可能となる既設橋梁を一方の端部を小ばらしした状態で、一方の端部から所定長さ位置ごとに分断して分断既設橋梁とし、この分断既設橋梁を一方端部側に移動させた位置で小ばらしすることで解体する橋梁の撤去工法であり、既設橋梁の橋面に対して舗装版と床版を撤去して橋桁だけの状態にする先行工事と、橋桁だけになった橋面の各横桁を交換及び撤去する横桁処理工程と、橋脚上に工事桁用架台を設置する架台設置工程と、前記架台設置工程後に既設橋梁の内側に一方端部から工事桁を継増ししながら送り込み、この工事桁を工事桁用架台で支持することにより、既設橋梁の全長にわたってこの全長に見合う長さの工事桁を挿通する工事桁設置工程と、前記工事桁上にこの工事桁の長さ方向に走行可能となる台車を設置した状態で、既設橋梁の主構及び橋面を端部から所定距離の位置で分断して分断既設橋梁とし、この分断既設橋梁を台車で支持する分断工程と、台車で支持した分断既設橋梁を台車の移動によって工事桁の一方端部に設定した仮置位置に移動させ、この仮置位置で分断既設橋梁を小ばらしして地上側に積み込み搬出する搬出工程とからなり、前記分断工程と搬出工程を既設橋梁の長さ分だけ繰り返し行うことで既設橋梁の全長を撤去し、この後工事桁と工事桁用架台を撤去するようにしたものである。
【0017】
請求項2の撤去工法の発明は、上部で支持可能となる既設橋梁を両方の端部を小ばらしした状態で、両方の端部から所定長さ位置ごとに分断して分断既設橋梁とし、この分断既設橋梁を既設橋梁の両方の端部側に移動させた位置で小ばらしすることで解体する橋梁の撤去工法であり、既設橋梁の橋面から舗装版と床版を撤去して橋桁だけの状態にする先行工事と、橋桁だけになった橋面の各横桁を交換及び撤去する横桁処理工程と、橋脚上に工事桁用架台を設置する架台設置工程と、既設橋梁の両端部から内側に工事桁を継増ししながら送り込み、この工事桁を工事桁用架台で支持すると共に両側工事桁の先端を互いに結合することにより、既設橋梁の全長にわたってこの全長に見合う長さの工事桁を挿通する工事桁設置工程と、工事桁上にこの工事桁の長さ方向に走行可能となる複数台の台車を設置した状態で、既設橋梁の主構及び橋面を両端部から所定距離の位置で分断して分断既設橋梁とし、この分断既設橋梁を台車で支持する分断工程と、各台車で支持した分断既設橋梁を台車の移動によって工事桁の両端部に設定した仮置位置にそれぞれ移動させ、前記仮置位置で分断既設橋梁を小ばらしして地上側に積み込み搬出する搬出工程とからなり、前記分断工程と搬出工程を既設橋梁の両端部から長さ分だけ繰り返し行うことで既設橋梁の全長を撤去し、この後工事桁と工事桁用架台を撤去するようにしたものである。
【0018】
請求項3の撤去工法の発明は、上記既設橋梁における橋桁の各横桁を交換した部分は、分断した既設橋梁を台車によって工事桁の仮置位置に移動させる場合の工事桁用架台との干渉を逃がすためのものであり、分断した横桁の残した部分を着脱可能となる連結材で結合した構造を有し、各横桁を交換した部分は工事桁用架台を通過する際に連結材の盛り替えを行うようにしたものである。
【0019】
請求項4の撤去工法の発明は、上記橋脚の上に脚周り足場を設置し、この足場上で各横桁の盛り替え作業を行うようにしたものである。
【0020】
請求項5の撤去工法の発明は、上記工事桁上に設置した台車は、工事桁の上面に設けたレールに沿って走行する自走台車とこれに連結した追従台車からなり、分断既設橋梁の主構を自走台車と追従台車により複数箇所を支持した状態で、工事桁の端部に設定した仮置位置に移動させるようにしたものである。
【0021】
ここで、撤去対象となる既設橋梁は、橋台と橋脚で支持された橋面と、この橋面の両側から上面にわたって設けた主構とで構成され、前記橋面は、幅方向に一定間隔の配置で長さ方向の全長に沿う多数本の主桁と、長さ方向に一定間隔の配置で前記主桁が並列する幅方向に長い多数本の横桁とで形成された橋桁に、舗装や床版コンクリートを設けた構造を有し、前記主構は各種鋼材を用いてトラス状に組立てられている。
【0022】
橋脚上に設ける工事桁用架台は、上記既設橋梁の幅方向に沿って複数のベント柱を橋面の主桁間に納まる配置で立設し、既設橋梁の幅方向に長い支持台を各ベント柱の上端で支持した構造になっていると共に、この橋脚の上部周囲に、足場板や手摺りからなる脚周り足場が設置される。
【0023】
上記工事桁は、所要長さを有する断面角形で順次継ぎ足すことにより必要な長さが得られるようになっており、上面には自走台車と追従台車が長さ方向に沿って移動するためのレールが設けられた構造を有し、既設橋梁の端部陸地上に工事桁を初期長さで設置し、この工事桁を既設橋梁内に向けて送り出すと共に継増しを行うことで、既設橋梁内の全長を貫通するように工事桁を配置するものであり、このため、既設橋梁の端部地上には、工事桁を既設橋梁内に向けて送り出すための送り出し設備を予め設置しておく。
【0024】
上記既設橋梁における床構造は、舗装版と床版を撤去した後、各横桁の撤去と盛り替え構造との交換を交互に行い、分断既設橋梁の仮置位置への移動時において工事桁用架台に対する横桁の干渉を逃がすようにし、前記盛り替え構造は分断既設橋脚の仮置位置への移動時における強度を維持し、仮置位置への移動時における作業の安全性を確保するものである。
【0025】
この横桁の盛り替え構造は、横桁に対して工事桁用架台との干渉が生じる位置に上下部分を残して角孔を加工し、この角孔の部分に横方向の連結材を掛渡してその両端を角孔の両側位置で横梁にボルト結合し、この後、横桁の角孔上下に残した部分を撤去することで、横桁の分断した部分を連結材で結合するようにしたものであり、横桁が工事桁用架台を通過するときにボルトによって連結材の着脱作業を行なうようにする。
【0026】
上記自走台車はモータによって駆動され、この自走台車と追従台車は、所定の間隔を保つように連結軸を介して接続され、工事桁の上面に設けたレールに沿って工事桁の長さ方向に移動可能となり、分断既設橋梁における主構の上部複数箇所を支持し、この分断既設橋梁を工事桁の端部に設定された仮置位置に移送することになり、仮置位置に移動した分断既設橋梁は、主構を小ばらししてこれを地上側に待機する運搬車両に積み込んで搬出する。
【0027】
更に、請求項6の新設後方の発明は、上部で支持可能となる橋梁を一方の端部から所定長さごとに分断した状態の短尺橋梁を組立て、これを他方の端部に向けて順送りして連結することで橋梁を組み立てる橋梁の新設工法であり、両側の橋台間に位置する橋脚の上に工事桁用架台を設置する架台設置工程と、前記架台設置工程後に一方の橋台側から工事桁を継増ししながら送り込み、この工事桁を工事桁用架台で支持することにより、両側の橋台間の全長にわたってこの全長に見合う長さの工事桁を挿通する工事桁設置工程と、前記工事桁上にこの工事桁の長さ方向に走行可能となる台車を設置した状態で、工事桁の一端側で所定長さごとに分断した状態の部分橋梁を組立て、この部分橋梁を台車で支持する組立て工程と、前記台車で支持した部分橋梁を台車の移動によって工事桁の他方端部側に向けて移動させ、橋台と橋脚の間及び橋脚間に設置する搬入工程とからなり、前記部分橋梁の組立て工程と搬入工程を必要長さの橋梁になるまで繰り返し行い、各部分橋梁を接続することで橋梁の全長を組立て、この後工事桁と工事桁用架台を撤去するようにしたものである。
【発明の効果】
【0028】
この発明の撤去工法によると、工事桁を橋脚上に設けた工事桁用架台で支持することにより既設橋梁の全長にわたって挿通し、端部から所定距離の位置で分断して分断既設橋梁を工事桁上の台車で支持し、この分断既設橋梁を台車で支持して工事桁の地上側端部に設定した仮置位置に移動させ、前記仮置位置で分断既設橋梁の小ばらしして地上側に積み込み搬出し、これを既設橋梁の長さ分だけ繰り返し行うことで既設橋梁の全長を撤去し、この後工事桁と工事桁用架台を撤去するようにしたので、移動式クレーン、大型クレーン、ケーブルクレーン等を極力使用することなく、主構の上部で支持可能な構造の既設橋梁を効率よく撤去することができる。
【0029】
また、既設橋梁の全長にわたって工事桁を挿通し、この工事桁上に配置した台車で分断既設橋梁を支持して仮置位置に移送し、前記仮置位置で分断既設橋梁の小ばらしを行うので、既設橋梁の撤去に要する作業の全てが既設橋梁の端部側から行えることになり、河川にかかる橋梁や橋梁側面にクレーンの設置ヤードがない現場において有効である。
【0030】
更に、既設橋梁の撤去が既設橋梁の端部側から行えることにより、橋梁の下面のスペースを使用しないで、橋台、橋脚の天端から上面での作業で既設橋梁を撤去することができ、河川内で渇水期施工の期間制約を受ける現場においても、制約を受けないために出水期での施工が可能となる。
【0031】
また、この発明の新設工法によると、工事桁の一端側で順次組立てた部分橋梁を他端側に移動させ、部分橋梁を橋台と橋脚間又は橋脚間に架設すると共に部分橋梁を連結することで橋梁を組立てるようにしたので、移動式クレーン、大型クレーン、ケーブルクレーン等を極力使用することなく、橋梁を効率よく新設することができ、橋梁の下面のスペースを使用しないで、橋台、橋脚の天端から上面での作業で橋梁を組立てることができるので、河川内で渇水期施工の期間制約を受ける現場においても、制約を受けないために出水期での施工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】(a)はこの発明の第1の撤去工法によって撤去する既設橋梁の一例を示す縦断正面図、(b)は作業台車上で工事桁の継増作業を行っている状態を示す拡大した縦断正面図
【
図2】(a)は上記既設橋梁の一部を拡大した撤去途中の状態を示す正面図、(b)は既設橋梁の拡大した縦断側面図
【
図3】上記既設橋梁の一部を更に拡大した撤去途中の状態を示す正面図
【
図4】上記既設橋梁の一部を更に拡大した撤去途中の状態を示す自走台車部分での縦断側面図
【
図6】上記既設橋梁の一部を更に拡大した撤去途中の状態を示す追従台車部分での縦断側面図
【
図7】上記既設橋梁の橋桁における横桁に施す盛り替え構造の加工工程を示し、(a)は横桁に四角孔を設けた状態の拡大した縦断面図、(b)は四角孔を設けた部分に連結材を架設した状態の拡大した縦断面図、(c)は横桁における四角孔の上下を切り取り、分断した横桁を連結材で結合した状態の拡大した縦断面図
【
図8】この発明の撤去工法の施工工程を示し、(a)は撤去する既設橋梁の縦断正面図、(b)は既設橋梁の舗装版や床版を搬出している状態の縦断正面図
【
図9】(a)は撤去する既設橋梁の一方端部側に吊上げ設備を設置した縦断正面図、(b)は橋脚に脚周り足場及び工事桁用架台を設置し、既設橋梁の一方端部側に短尺工事桁を配置した状態の縦断正面図、(c)は短尺工事桁を結合して初期長さの工事桁にした状態の縦断正面図
【
図10】(a)は既設橋梁に向けて工事桁を送り込む初期の状態を示す縦断正面図、(b)と(c)は既設橋梁に向けて工事桁を送り込む途中の状態を示す縦断正面図
【
図11】(a)は既設橋梁に向けて工事桁を送り込む終盤の状態を示す縦断正面図、(b)は既設橋梁に向けて工事桁を貫通させた状態を示す縦断正面図、(c)は工事桁の一方端部上に台車を設置した状態を示す縦断正面図
【
図12】(a)は既設橋梁の一方端部を小ばらしする状態の縦断正面図、(b)は既設橋梁を第1の橋脚の部分で分断し、分断機瀬橋梁を工事桁の一方端部に設定した仮置き位置に移動させ、これを小ばらしする状態の縦断正面図、(c)は既設橋梁を第2の橋脚の部分で分断し、分断機瀬橋梁を工事桁の一方端部に設定した仮置き位置に移動させ、これを小ばらしする状態の縦断正面図
【
図13】(a)は既設橋梁を第3の橋脚の部分で分断し、分断機瀬橋梁を工事桁の一方端部に設定した仮置き位置に移動させ、これを小ばらしする状態の縦断正面図、(b)は既設橋梁を最後の分断機瀬橋梁を工事桁の一方端部に設定した仮置き位置に移動させ、これを小ばらしする状態の縦断正面図、(c)は既設橋梁がなくなった撤去状態の縦断正面図
【
図14】(a)は工事桁を引き戻して撤去する途中の状態を示す縦断正面図、(b)は工事桁を撤去した状態を示す縦断正面図、(c)は既設橋梁の撤去工事完了状態を示す縦断正面図
【
図15】この発明の第2の撤去工法を示し、既設橋梁を両端から小ばらしして分断し、分断機瀬橋梁を工事桁の両側端部に設定した仮置き位置に移動させ、これを小ばらしする状態の縦断正面図、(b)は同上の一方端部を拡大した縦断正面図
【
図16】この発明にかかる新設工法の施工工程を示し、(a)は橋台と橋脚が設けられた河川の状態を示す縦断正面図、(b)は河川の一方側陸地に吊上げ設備を設置した縦断正面図、(c)は橋脚上に工事桁を送り込む途中の状態を示す縦断正面図
【
図17】(a)は河川に掛け渡した工事桁上に台車を設置した状態を示す縦断正面図、(b)は工事桁の一方端部で第1の部分橋梁の組み立てを行う状態を示す縦断正面図、(c)は工事桁の他方端部に第1の部分橋梁を送り込み、一方の端部で第2の部分橋梁の組み立てを行う状態を示す縦断正面図
【
図18】(a)は工事桁の他方端部に第2の部分橋梁を送り込み、一方の端部で第3の部分橋梁の組み立てを行う状態を示す縦断正面図、(b)は工事桁の他方端部に第3の部分橋梁を送り込み、一方の端部で第4の部分橋梁の組み立てを行う状態を示す縦断正面図、(c)は新設橋梁の接続状態を示す縦断正面図
【
図19】(a)は工事桁を引き戻して撤去する途中の状態を示す縦断正面図、(b)は工事桁を引き戻して撤去する最終段階の状態を示す縦断正面図(c)は完成した新設橋梁に対して脚周り足場及び工事桁用架台を取り除く前の状態を示す縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0034】
先ず、
図1(a)は、撤去せんとする既設橋梁1の一例として河川に掛かる橋梁を示し、川幅の両端に設けた橋台A1、A2とその途中に設けた複数の橋脚で支持された橋面2と、この橋面2の両側から上部に設けた主構3とで構成され、例えば、主構3の上部で吊下げ状に支持することができる構造のトラス橋やアーチ橋等である。
【0035】
図1(a)において、上記橋脚は、既設橋梁1の長さ方向に沿って、
図1(a)の左側である一方の端部側から順に第1の橋脚P1、第2の橋脚P2、第3の橋脚P3とし、既設橋梁1は橋台A1、A2間の全長を撤去するものとする。
【0036】
上記既設橋梁1における橋面2は、幅方向に一定間隔の配置で長さ方向の全長に沿う多数本の主桁4と、長さ方向に一定間隔の配置で前記主桁4が並列する幅方向に長い多数本の横桁5とで形成された橋桁6に、
図2(b)のように舗装や床版コンクリート6aを設けた構造になっている。
【0037】
また、上記主構3は各種鋼材を用いて構成されており、図示の場合、橋面2の上部で長さ方向に沿う上弦材7と橋面2の側面を縦材8と斜材9で結合したトラス状の両側面部10と、両側の上弦材7を横材と斜材で結合したトラス状の上面部11で組立てられた例を示している。
【0038】
次に、上記既設橋梁1の撤去工法の実施に用いる機材としては、既設橋梁1内に対して長さ方向の全長にわたるよう挿通させる工事桁12と、この工事桁12の接続解体や既設橋梁1を支持して送り出し及び引戻しを行うための作業台車30と、各橋脚P1〜P3の上部に設けられ、前記工事桁12を支持する工事桁用架台13と、前記橋脚P1〜P3の上に設ける脚周り足場14と、前記工事桁13の上面に設置され、この工事桁13の長さ方向に走行する台車15と、前記既設橋梁1の一方端部の陸上に配置され、工事桁12の送り出しや撤去を行う送り出し設備16及び、前記台車15の工事桁12上への積み込みや既設橋梁1の小ばらし時に、台車15や既設橋梁1を吊上げるための吊上げ設備17が用意される。
【0039】
上記工事桁12は、
図2乃至
図4のように、所要長さを有する角形筒を二台並列させた断面形状の短尺工事桁12aを用い、この短尺工事桁12aをボルト等で締結して順次継増しを行うことにより、既設橋梁1の全長を貫通するのに必要な長さが得られるようになっており、その上面には台車15が長さ方向に沿って移動するための複数条のレール18が設けられている。
【0040】
上記作業台車30は、
図1(b)のように、既設橋梁1の一方端部側の陸上でこの既設橋梁1の長さ方向に沿うよう敷設したレール31上に複数台が設置され、短尺工事桁12aの接続時に短尺工事桁12aを支持して継増し作業を行い、工事桁12を既設橋梁1内に向けて送り出すときの移動を誘導し、工事桁12の引き戻し時にこれを支持して短尺工事桁12aに解体する作業を行うためのものであり、前記工事桁12を作業台車30で既設橋梁1内に向けて送り出すとき、重量のバランスを取るため、例えば、工事桁12の陸上にある後端側の部分を長くしたり、工事桁12の後端側にウエイト32を載置する方法が採られる。
【0041】
上記工事桁用架台13は、
図3と
図4に示すように、既設橋梁1の幅方向に沿って複数のベント柱19を橋面2の主桁4間に納まる配置で橋脚P1〜P3の上面に立設し、既設橋梁1の幅方向に長い支持台20を各ベント柱19の上端で水平に支持し、この支持台20の上に工事桁12を支持するジャッキのような複数の支持部材21を設けた構造になっている。
【0042】
上記脚周り足場14は、
図4と
図5のように、足場板22や手摺り23からなり、足場板22は橋脚P1〜P3の上面から既設橋梁1の長さ方向に沿って両側に張り出すように設置され、手摺り23はこれら足場板22の上部周囲を囲むように設けられている。
【0043】
上記台車15は、モータによって駆動される自走台車15aと複数台の追従台車15bからなり、自走台車15aと追従台車15bの上面には、既設橋梁1を主構3の上部の部分で吊下げ状に支持するためのジャッキ24が複数設けられ、この自走台車15aと追従台車15b及び追従台車15b同士は、所定の間隔を保つように連結軸15cを介して接続され、工事桁12の上面に設けたレール18に沿って工事桁12の長さ方向に移動可能となる。
【0044】
図4と
図6及び
図7は、既設橋梁1の撤去に際して、この既設橋梁1における橋面2の横桁5に施す除去構造と盛り替え構造を示している。
【0045】
上記除去構造は、
図4のように、横桁5に対して工事桁用架台13のベント柱19との干渉が生じる位置を、両側主桁4の幅で切断除去したものである。
【0046】
また、盛り替え構造は、
図7(a)〜(c)のように、横桁5に対して工事桁用架台13のベント柱19との干渉が生じる位置に、
図7(a)のごとく、両側主桁4の幅で上下部分を残して四角孔25をガス切断によって加工すると共に、この四角孔25を挟む両側の位置にボルト孔26を穿設し、次に、
図7(b)のごとく、前記四角孔25の一面側にチャンネル材を用いた連結材27を横方向に掛渡し、前記ボルト孔26を利用して連結材27の両端を四角孔25の両側位置で横梁5にボルト、ナット28で着脱可能に結合し、この後、
図7(c)のごとく、横桁5における四角孔25の上下に残した部分5aを撤去することにより形成され、分断した横桁5を交換した連結材27で連結しておくことで、撤去作業中における既設橋梁1の強度を一定に保ち、横桁5が工事桁用架台13を通過するときにボルト、ナット28によって連結材27の着脱作業を行なうようにする。
【0047】
なお、横桁5に対する除去構造と盛り替え構造は、各横桁5の配置に対して除去構造と盛り替え構造を交互に施すものに限るものではなく、撤去作業中における既設橋梁1の強度を保てる場合は、盛り替え構造を横桁5の複数本おきに設定し、盛り替え作業の減少により撤去作業の能率化を図るようにしてもよい。
【0048】
次に、既設橋梁1の解体撤去をこの既設橋梁1の一方端部から行う第1の撤去工法を
図8乃至
図14の工程図を主体に用いて説明する。
【0049】
図8(a)は撤去せんとする既設橋梁1を示し、
図8(b)のように、先ず、先行工事として、既設橋梁1における高欄、舗装版、床版を搬出用に他方端部側から順次切断し、これらをトラックのような搬送手段を用いて既設橋梁1の一方端部における陸地側に撤去搬出することにより、橋面2を橋桁6だけの状態にする先行工事を行なう。
【0050】
上記先行工事の実施時において、舗装版、床版の撤去作業と同時に、残っている舗装版、床版上を利用して橋脚P1〜P3上に脚周り足場14及び工事桁用架台13を設置すると共に、橋桁6における各横桁5に対して撤去構造と盛り替え構造の何れかを実施する。
上記工事桁用架台13は、
図3と
図4で示したように、各ベント柱19が橋桁6の主桁4間に納まるように各橋脚P1〜P3上に配置され、また、横桁5の除去構造は、
図4のように、この各ベント柱19と対応する部分が主桁4間において切断除去し、かつ、横桁5の盛り替え構造は、
図6と
図7のように、各ベント柱19と対応する部分を切断除去して連結材27に交換するものである。
【0051】
次に、既設橋梁1の一方端部における陸地上に、
図1(b)で示したごとくレール31を既設橋梁1の長さ方向に沿うように敷設し、その上に必要な台数の作業台車30を載置し、更に、
図9(a)のように、前記レールの近傍に送り出し設備16と吊上げ設備17を設置する。
【0052】
図9(b)のように、既設橋梁1の一方端部における作業台車30上に短尺工事桁12aを搬入し、
図9(c)のように、この短尺工事桁12aを吊上げ設備17で作業台車30上に載せ、作業台車30で支持した状態で順次結合することにより長さLの初期工事桁12bを組み立て、その長さ方向を既設橋梁1の長さ方向に沿った配置とし、この初期工事桁12bを送り出し設備16で既設橋梁1内に向けて作業台車30と共に所定長さを送り出し、レール31の先端で作業台車30を取り除いて後ろに廻し、停止した初期工事桁12bの後端に短尺工事桁12aを継ぎ増し設置し、このようにして、短尺工事桁12aの送り出しと継ぎ増しを交互に繰り返すことにより、
図10と
図11のように、既設橋梁1の全長にわたって工事桁12を貫通するように挿入する。
【0053】
既設橋梁1に対して送り出される工事桁12は、陸地上にある部分が作業台車30で支持され、送り出しの進行と共にその先端が第1の橋脚P1、第2の橋脚P2、第3の橋脚P3と通過していくごとに、これら第1の橋脚P1、第2の橋脚P2、第3の橋脚P3に設けた工事桁用架台13によって順次支持され、長尺の工事桁12を撓まないようにして既設橋梁1の全長に効率よく貫通させることができる。
上記工事桁12を陸地上から第1の橋脚P1に向けて送り込む時、宙に浮く工事桁12の先端側の重量バランスをとるため、工事桁12の陸地上に位置する部分を長くするか、陸地側端部にウエイト32を載置するようにし、このようにして既設橋梁1の全長に対して工事桁12を貫通させ、貫通した工事桁12の両端部は橋台A1とA2によって支持するようにし、既設橋梁1を貫通したこの工事桁12においては、送り込み側に位置する一方の陸上側端部を小ばらし作業用の仮置位置Bに設定する。
【0054】
上記のように、工事桁12の設置が完了すると、
図11(c)のように、この工事桁12の上記仮置位置Bにおける上面に吊上げ設備17を用いて台車15を設置し、
図12(a)のように、自走台車15aと追従台車15bを既設橋梁1の一方端部内に位置させ、この状態で、
図12(b)のように、既設橋梁1の一方端部から所定長さの位置、具体的には、1の橋脚P1上に位置する部分において、主構3と橋桁6の主桁4を分断し、既設橋梁1の一方端部から分断位置までの間を短い長さになった分断既設橋梁1aとする。
【0055】
上記のような既設橋梁1の最初の分断位置は、第1の橋脚P1の上で行うことにより、既設橋梁1の残った部分の端部を第1の橋脚P1上に残すことができ、残った既設橋梁1の撓みによる崩壊の発生を防ぐことができ、また、分断作業時には自走台車15aと追従台車15bの上面に設けたジャッキ24を上方に伸ばし、分断既設橋梁1aを上面部11の複数箇所で支持するようにする。
【0056】
このようにして分断された分断既設橋梁1aは、台車15によって支持された状態で、一方端部から適当な長さ範囲の部分の主構3と主桁4を切断することで小ばらしを行ない、分断既設橋梁1aの長さ方向の短尺化を図って仮置位置Bのスペースを確保する。
【0057】
主構3と主桁4の一方端部を小ばらして短くなった分断既設橋梁1aは、
図12(b)のように、台車15の移動によって仮置位置Bに引き出し、この仮置位置Bで分断既設橋梁1aの主構3と橋桁6を小ばらしし、これを陸地上に待機する運搬手段に積み込んで搬出する。
【0058】
上記のように、最初の分断既設橋梁1aを撤去すると、
図12(c)のように、自走台車15aと追従台車15bを残った既設橋梁1内に向けて移動させ、残った既設橋梁1を第2の橋脚P2の部分で分断し、次の分断既設橋梁1bを台車15で仮置位置Bに移動させ、上記と同様主構3と橋桁6を小ばらしし、これを地上に待機する運搬手段に積み込んで搬出する。
【0059】
なお、工事桁12の上に設ける台車15は二組を使用し、一方の台車15で支持した分断既設橋梁を仮置位置Bで小ばらししている間、他方の台車15を残った既設橋梁1の内部に進入させ、残った既設橋梁1の小ばらしを併行して行うようにすれば、撤去作業の能率が向上することになる。
【0060】
このようにして、
図13(a)、(b)のように、既設橋梁1を分断既設橋梁1a乃至1dに順次分断すると共に仮置位置Bへの移送、仮置位置Bでの分断既設橋梁1a乃至1dの主構3と橋桁6を小ばらし、これを地上に待機する運搬手段への積み込み搬出を順次繰り返すことにより、
図13(c)のように、既設橋梁1の全長を撤去する。
【0061】
上記分断既設橋梁1a乃至1dを仮置位置Bに移動させるとき、橋桁6における撤去構造の部分は、横桁5が予め切断除去されているので、工事桁用架台13のベント柱19に対して干渉することなく通過させることができる。
【0062】
これに対して横桁5の盛り替え構造の部分は、横桁5の切り離し部分が連結材27に変換されているので、連結材27がベント柱19に接近した位置で分断既設橋梁1a乃至1dを停止させ、上記連結材27を取外した状態で分断既設橋梁1a乃至1dを移動させ、この横桁5がベント柱19を通過すると再び分断既設橋梁1a乃至1dを停止させ、分断された横桁5を連結材27で接続する盛り替えを行う。
【0063】
上記した盛り替え作業は、盛り替え構造となっている横桁5がベント柱19を通過するごとに行い、このような盛り替えは、ベント柱19に対する横桁5の干渉を逃がすと共に、仮置位置Bへ移送するまでの分断既設橋梁1a乃至1dの強度を一定に保ち、作業の安全を確保するものであり、また、前記盛り替え作業は脚周り足場14の上で行うことができる。
【0064】
上記のようにして、既設橋梁1の全長を撤去すると、
図14(a)と(b)のように、工事桁12の上から自走台車15aと追従台車14bを撤去し、この工事桁12を送り出し設備16で陸地上に向けて所定長さ引き出し、工事桁12の引き戻した部分を作業台車30で支持した状態で順次短尺工事桁12aに分解し、引き出しと分解を工事桁12の長さ分だけ繰り返すことにより、工事桁12の全長を撤去する。
【0065】
上記工事桁12の引き戻し時において、工事桁12の先端が第3の橋脚P3に臨むと引き戻しを止め、この工事桁12を足場として第3の橋脚P3に設置してある脚周り足場14及び工事桁用架台13を分解して撤去し、分解した構成部材は適宜の大きさにまとめて工事桁12に取付けたり載置し、工事桁12と共に引き戻し側に運び、このようにして工事桁12の先端が第2の橋脚P2、第1の橋脚P1に臨むごとに、前記と同様第2の橋脚P2、第1の橋脚P1の脚周り足場14及び工事桁用架台13を分解して撤去し、工事桁12と共に陸地に回収する。
【0066】
このようにして工事桁12と脚周り足場14及び工事桁用架台13を撤去し、更に、陸地上の作業台車30とレール31、送り出し設備16及び吊上げ設備17を撤去すれば、
図14(c)に示すように、河川に橋台A1、A2と既設橋脚P1乃至P3が残った作業完了状態になる。
【0067】
次に、
図15(a)と(b)は、既設橋梁1の解体撤去をこの既設橋梁1の両端から同時に行い、撤去作業の能率向上を図ると共に、長尺の既設橋梁の撤去に適した第2の撤去工法を示している。
【0068】
この第2の撤去工法は、既設橋梁1の両端から撤去作業を同時に行う以外は上述した第1の撤去工法と基本的に同一であるので、第1の撤去工法と同一部分に同一符号を付して説明する。
【0069】
上記第2の撤去工法は、既設橋梁1の両端における陸地上に、レール31と作業台車30、送り出し設備16及び吊上げ設備17を設置し、既設橋梁1に対する先行工事の施工と同時に各橋脚P1乃至P3上に脚周り足場14及び工事桁用架台13を設置し、作業台車30上で継ぎ増ししながら長くした工事桁12を既設橋梁1内に長さ方向の両端から送り込み、これを工事桁用架台13で支持し、送り込みの進行により両側工事桁12の先端を既設橋梁1の長さ方向略中央位置で結合し、一本になったこの工事桁12の両端部上に台車15をそれぞれ設置するとともに工事桁12の両端に仮置位置Bを設定し、上記第1の撤去工法で述べた既設橋梁1の端部における主構3、橋桁6の小ばらし、両端から既設橋梁1を各橋脚P1乃至P3の部分で切断して両端から分断既設橋梁1a、1bにする工程、分断既設橋梁1a、1bの仮置位置Bへの移送、仮置位置Bでの主構3、橋桁6の小ばらし、その後の工事桁12の撤去等の一連の作業を既設橋梁1の両端において同時に行うものである。
【0070】
この第2の撤去工法のように、既設橋梁1の両端から同時進行によって既設橋梁1の撤去作業を行うようにすると、工期の大幅な短縮が可能になる。
【0071】
上記したように、この発明の第1及び第2の撤去工法は、既設橋梁1の全長にわたって工事桁12を貫通させ、橋台A1、A2及び橋脚P1乃至P3で工事桁12を支持し、端部から所定長さ位置で分断した分断既設橋梁1a乃至1d又は1aと1bを自走台車15aと追従台車15bで支持して仮置位置Bへ移送し、この仮置位置Bで各分断既設橋梁を小ばらしすることで既設橋梁1の全長を解体撤去するものであるが、この撤去工法の実施に用いた各機材を使用して橋梁の新設工法の施工が可能である。
【0072】
図16乃至
図19は、橋梁の新設工法の施行工程を示し、上記した第1の撤去工法と同一部分については同一符号を使用して説明する。
【0073】
図16(a)のように、河川の幅方向両端に橋台A1、A2とその間に複数の橋脚P1、P2、P3が配置された状態で、
図16(b)のように、橋台A1、A2と橋脚P1、P2、P3の並び方向における一方端部の陸地上に、敷設したレール上に作業台車とその近傍に吊上げ設備17を設置し、前記一方端部における陸地上に送り出し設備16と短尺の工事桁12aを搬入し、この工事桁12aを順次結合することにより工事桁12を組み立て、その長さ方向を送り出し設備16で橋脚P1、P2、P3上に向けて送り出し、前記工事桁12の先端が最初の橋脚P1に臨むと、送り込みを止めた工事桁12を利用して構成部材を搬入することで橋脚P1に脚周り足場14及び工事桁用架台13を設置し、
図16(c)のように、工事桁12の先端が橋脚P2、P3に臨むごとに橋脚P2、P3上に脚周り足場14及び工事桁用架台13を設置し、各工事桁用架台13で途中を支持することにより、両端が橋台A1、A2上に達する長さの工事桁12を架設する。
【0074】
図17(a)のように、橋台A1、A2と各橋脚P1、P2、P3の工事桁用架台13で支持した工事桁12の一方端部を仮置き位置Bに設定し、この工事桁12の仮置き位置Bの上に台車15を設置し、作業台車30上において、陸地上に搬入した資材を吊上げ設備で吊上げることで橋桁と主構からなる短い第1の部分橋梁1eの組み立て作業を行い、この第1の部分橋梁1eを前記仮置き位置Bに送り込んで吊上げ移動させることで台車15に移しかえ、
図17(c)のように、台車15の移動により、支持した第1の部分橋梁1eを他方端部の橋台A2と橋脚P3の間に移送し、この位置で台車15での支持を解くことで第1の部分橋梁1eを橋台A2と橋脚P3の上に載置し、陸地上の作業台車30上において次の第2の部分橋梁1fを組立て、仮置き位置Bに戻した台車15に第2の部分橋梁1fを載せかえる。
【0075】
図18(a)乃至(c)のように、工事桁12の一方端部における作業台車30上で第3と第4の部分橋梁1g、1hを順次組立て、この第3と第4の部分橋梁1g、1hを工事桁12の他方端部に向けて送り込み、各短尺橋梁を橋桁と主構の部分で結合することで、全ての第1乃至第4の部分橋梁1e〜1hを結合し、新設の橋梁1Xを組立てると同時に両側橋台A1、A2間に架設する。
【0076】
上記各部分橋梁1e〜1hを組立てて移送するとき、これら部分橋梁の橋桁における横桁は、
図4や
図6で示したと同様に、橋脚P1〜P3の上に設けた工事桁用架台13と干渉する位置を予め分断しておき、工事桁用架台13を通過した後に分断部分を結合すると共に、必要な分断部分は予め連結部材で結合しておき、工事桁用架台13を通過するとき連結部材を取外し、工事桁用架台を通過した後に再度連結材等で結合する。
【0077】
図19(a)乃至(c)のように、新設の橋梁1Xを両側橋台A1、A2間に架設すると、台車15を撤去した工事桁12を地上に引き戻してその全長を作業台車30上で順次解体し、工事桁12の引き戻しに並行して橋脚P1〜P3上の脚周り足場14及び工事桁用架台13の撤去、送り出し設備16と吊上げ設備17、レール31と作業台車30をそれぞれ撤収し、橋梁1Xの橋面2に対して舗装版、床版等を施工すれば作業の完了となる。
【0078】
上記した橋梁の新設工法は、図示の場合、川幅の一方側から工事桁12及び部分橋梁を送り込んで橋梁1Xを組立てる例を示したが、川幅の両側から工事桁12及び部分橋梁を送り込んで橋梁1Xを組立てるようにすることも当然可能である。