【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1に係る伝達トルク制限装置について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る伝達トルク制限装置の構成を模式的に示した平面図である。
図2は、本発明の実施例1に係る伝達トルク制限装置の構成を模式的に示した
図1のX−X´間の断面図である。
図3は、本発明の実施例1に係る伝達トルク制限装置におけるリミッタ部の摺動面を説明するための拡大部分断面図である。
【0017】
実施例1に係る伝達トルク制限装置1は、例えば、エンジン(動力源、モータでも可)のクランクシャフト(出力軸;図示せず)と変速機の入力軸(図示せず)との間の動力伝達経路に設けられており、回転軸間(クランクシャフトと入力軸との間)の捩れによる変動トルクを吸収(抑制)する装置である。伝達トルク制限装置1は、捩れ緩衝機能を有し、バネ力によって回転軸間の変動トルクを吸収するダンパ部3と、摩擦等によるヒステリシストルクによって回転軸間の変動トルクを吸収(抑制)するヒステリシス部4と、回転軸間の捩れがダンパ部3やヒステリシス部4で吸収できなくなったときに所定のトルク以上ですべりを生ずるリミッタ部2と、を有する。ダンパ部3は、動力伝達経路上において、ヒステリシス部4と並列に配設されている。リミッタ部2は、動力伝達経路上において、ダンパ部3及びヒステリシス部4と直列に配設されている。リミッタ部2は、エンジントルク(動力源の出力トルク)以下ではすべりを生ぜず、エンジントルクより大きく、かつ、変速機又は入力軸の強度(引張り強さ;材料が耐えうる最大の引張応力)以下ですべりを発生させる。なお、実施例1では、リミッタ部2がダンパ部3及びヒステリシス部4と一体の構成となっているが、リミッタ部2のみ別体としてもよい。
【0018】
伝達トルク制限装置1は、構成部材として、リベット9と、サポートプレート10と、カバープレート11と、皿ばね12と、プレッシャプレート13と、ライニングプレート14と、摩擦材15、16と、第1サイドプレート17と、第2サイドプレート18と、リベット19と、コイルスプリング20と、シート部材21と、第1スラスト部材22と、第2スラスト部材23と、皿ばね24と、ハブ部材25と、クッション部材26と、を有する。
【0019】
リベット9は、サポートプレート10とカバープレート11を一体固定するための部材である。
【0020】
サポートプレート10は、皿ばね12の外周端部をサポート(支持)する環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。サポートプレート10は、外周部分にてカバープレート11と合わさってリベット9によって一体固定されている。サポートプレート10は、カバープレート11ととともに、ボルト(図示せず)によってエンジン(図示せず)のクランクシャフト(図示せず)に連結されたフライホイール(図示せず)に取付固定されている。サポートプレート10は、カバープレート11と一体回転する。サポートプレート10は、内周部分にてカバープレート11と離間している。サポートプレート10は、皿ばね12の外周端部と圧接している。
【0021】
カバープレート11は、リミッタ部2をカバーする環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。カバープレート11は、外周部分にてサポートプレート10と合わさってリベット9によって一体固定されている。カバープレート11は、サポートプレート10とともに、ボルト(図示せず)によってエンジン(図示せず)のクランクシャフト(図示せず)に連結されたフライホイール(図示せず)に取付固定されている。カバープレート11は、内周部分にてサポートプレート10と離間している。カバープレート11は、プレッシャプレート13を回転不能かつ軸方向移動可能に支持するための穴部11aを有する。穴部11aには、プレッシャプレート13の凸部13aが回転不能かつ軸方向移動可能に挿入されている。カバープレート11は、内周部分にて摩擦材16とスライド可能に圧接する摺動面11bを有する。カバープレート11は、錆の発生により摩擦材16との固着を防止するため、鉄よりも錆の発生しにくい金属(ステンレスなど)からなることが好ましい。
【0022】
カバープレート11は、摺動面11bにて、摩擦係数μを高くするために粗面化処理が施されている。粗面化処理として、例えば、圧延ダル仕上げ(表面に凹凸を有するローラで圧延仕上げ)、ブラシ研磨(研磨剤入りブラシ研磨)等が挙げられる。これにより、摺動面13bに凹凸性状を付与することができる。
【0023】
皿ばね12は、サポートプレート10とプレッシャプレート13との間に配された皿状のばねであり、リミッタ部2の構成部材である。皿ばね12は、外周端部にてサポートプレート10に支持されており、内周端部にてプレッシャプレート13をカバープレート11に向かって付勢する。
【0024】
プレッシャプレート13は、皿ばね12と摩擦材15との間に配された環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。プレッシャプレート13は、カバープレート11に対して回転不能かつ軸方向移動可能に支持されるようにするための凸部13aを有する。凸部13aは、カバープレート11の穴部11aに回転不能かつ軸方向移動可能に挿入されている。プレッシャプレート13は、皿ばね12によって摩擦材15側に付勢されている。プレッシャプレート13は、摩擦材15とスライド可能に圧接する摺動面13bを有する。プレッシャプレート13は、錆の発生により摩擦材15との固着を防止するため、鉄よりも錆の発生しにくい金属(ステンレスなど)からなることが好ましい。
【0025】
プレッシャプレート13は、摺動面13bにて、摩擦係数μを高くするために、粗面化処理が施されている。粗面化処理として、例えば、圧延ダル仕上げ(表面に凹凸を有するローラで圧延仕上げ)、ブラシ研磨(研磨剤入りブラシ研磨)等が挙げられる。これにより、摺動面13bに凹凸性状を付与することができる。
【0026】
ライニングプレート14は、カバープレート11とプレッシャプレート13との間における摩擦材15、16間に配された環状の部材であり、リミッタ部2の構成部材である。ライニングプレート14は、内周部分にて径方向内側に突出した複数のストッパ部14aを有する。ストッパ部14aは、ダンパ部3の捩れを所定の角度で規制する部分であり、ダンパ部3で捩れが生じてハブ部材25のストッパ部25dと当たることでダンパ部3の捩れを規制する。ストッパ部14aは、第1サイドプレート17と第2サイドプレート18との間に挟み込まれており、第1サイドプレート17及び第2サイドプレート18とともにリベット19によって一体固定されている。ライニングプレート14は、外周部分にて摩擦材15、16間に配されており、摩擦材15、16が保持(固定、接着、リベット等による保持)されている。
【0027】
摩擦材15は、リミッタ部2の構成部材であり、ライニングプレート14とプレッシャプレート13との間に配されている。摩擦材15は、環状に構成されている。摩擦材15は、ライニングプレート14に固定されている。摩擦材15は、プレッシャプレート13の摺動面13bとスライド可能に圧接している。摩擦材15には、ゴム、樹脂、繊維(短繊維、長繊維)、摩擦係数μ調整用の粒子などを含むものを用いることができる。
【0028】
摩擦材16は、リミッタ部2の構成部材であり、ライニングプレート14とカバープレート11との間に配されている。摩擦材16は、環状に構成されている。摩擦材16は、ライニングプレート14に固定されている。摩擦材16は、カバープレート11の摺動面11bとスライド可能に圧接している。摩擦材16には、ゴム、樹脂、繊維(短繊維、長繊維)、摩擦係数μ調整用の粒子などを含むものを用いることができる。
【0029】
第1サイドプレート17は、ハブ部材25のフランジ部25bのエンジン側(
図1の左側)に配設された環状の部材であり、ダンパ部3及びヒステリシス部4の構成部材である。第1サイドプレート17は、外周端部近傍の部分にて、リベット19によってライニングプレート14及び第2サイドプレート18と一体固定されている。第1サイドプレート17は、中間部分のダンパ部3にて、コイルスプリング20及びシート部材21を収容するための窓部17aを有し、当該窓部17aの周方向にある端面がシート部材21と接離可能に接している。第1サイドプレート17は、ダンパ部3より内周側のヒステリシス部4にて、第1スラスト部材22に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合している。第1サイドプレート17は、内周端部にて、第1スラスト部材22を介してハブ部材25(ハブ部25a)に回転可能に支持されている。
【0030】
第2サイドプレート18は、ハブ部材25のフランジ部25bの変速機側(
図1の右側)に配設された環状の部材であり、ダンパ部3及びヒステリシス部4の構成部材である。第2サイドプレート18は、外周端部近傍の部分にて、リベット19によってライニングプレート14及び第1サイドプレート17と一体固定されている。第2サイドプレート18は、中間部分のダンパ部3にて、コイルスプリング20及びシート部材21を収容するための窓部18aを有し、当該窓部18aの周方向にある端面がシート部材21と接離可能に接している。第2サイドプレート18は、ダンパ部3より内周側のヒステリシス部4にて、第2スラスト部材23に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合しており、皿ばね24を支持する。第2サイドプレート18は、内周端部にて、第2スラスト部材23を介してハブ部材25(ハブ部25a)に対して回転可能に支持されている。
【0031】
リベット19は、ライニングプレート14、第1サイドプレート17、及び第2サイドプレート18を一体固定するための部材である。
【0032】
コイルスプリング20は、ダンパ部3の構成部品であり、サイドプレート17、18及びハブ部材25(フランジ部25b)に形成された窓部17a、18a、25cに収容され、両端に配設されたシート部材21と接している。コイルスプリング20は、サイドプレート17、18とハブ部材25とが相対回転したときに収縮し、サイドプレート17、18とハブ部材25との回転差によるショックを吸収する。コイルスプリング20には、ストレート形状、又はストレート形状のスプリングを曲げて組み付けしたものを用いることができるが、広い捩りを実現するために、周方向に沿って曲ったアークスプリングを用いることができる。
【0033】
シート部材21は、ダンパ部3の構成部品であり、サイドプレート17、18及びハブ部材25(フランジ部25b)に形成された窓部17a、18a、25cに収容され、当該窓部17a、18a、25cの周方向にある端面とコイルスプリング20の端部との間に配されている。シート部材21には、コイルスプリング20の摩耗を低減するために、樹脂を用いることができる。
【0034】
第1スラスト部材22は、ヒステリシス部4の構成部品であり、第1サイドプレート17とハブ部材25との間に配された環状の部材である。第1スラスト部材22は、軸方向において、第1サイドプレート17とフランジ部25bとの間に配されている。第1スラスト部材22は、第1サイドプレート17に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合しており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。第1スラスト部材22は、径方向において、第1サイドプレート17とハブ部25aとの間にも介在しており、第1サイドプレート17をハブ部25aに回転可能に支持するためのすべり軸受(ブッシュ)となる。
【0035】
第2スラスト部材23は、ヒステリシス部4の構成部品であり、第2サイドプレート18とハブ部材25との間に配された環状の部材である。第2スラスト部材23は、軸方向において、皿ばね24とフランジ部25bとの間に配されている。第2スラスト部材23は、第2サイドプレート18に対して回転不能かつ軸方向移動可能に係合しており、皿ばね24によってフランジ部25b側に付勢されており、フランジ部25bとスライド可能に圧接している。第2スラスト部材23は、径方向において、第2サイドプレート18とハブ部25aとの間にも介在しており、第2サイドプレート18をハブ部25aに回転可能に支持するためのすべり軸受(ブッシュ)となる。
【0036】
皿ばね24は、ヒステリシス部4の構成部品であり、第2スラスト部材23と第2サイドプレート18との間に配され、第2スラスト部材23をフランジ部25b側に付勢する皿状のばねである。
【0037】
ハブ部材25は、ダンパ部3及びヒステリシス部4からの回転動力を変速機に向けて出力する部材であり、ダンパ部3及びヒステリシス部4の構成部材である。ハブ部材25は、ハブ部25aの外周の所定の部位から延在したフランジ部25bを有する。ハブ部25aは、内周面にて変速機の入力軸(図示せず)とスプライン係合する。ハブ部25aは、外周にて、第1スラスト部材22を介して第1サイドプレート17を回転可能に支持しており、第2スラスト部材23を介して第2サイドプレート18を回転可能に支持している。フランジ部25bは、ダンパ部3にて、コイルスプリング20、及びシート部材21を収容するための窓部25cを有し、当該窓部25cの周方向端面がシート部材21と接離可能に接している。フランジ部25bは、ダンパ部3より内周側のヒステリシス部4の軸方向の面にて、スラスト部材22、23によってスライド可能に挟持されている。フランジ部25bは、外周端部にて径方向外側に突出した複数のストッパ部25dを有する。ストッパ部25dは、ダンパ部3の捩れを所定の角度で規制する部分であり、ダンパ部3で捩れが生じてライニングプレート14のストッパ部14aと当たることでダンパ部3の捩れを規制する。
【0038】
クッション部材26は、ダンパ部2に捩れが生じたときにハブ部材25のストッパ部25dとライニングプレート14のストッパ部14aとが当たるときのショックを吸収する部材である。クッション部材26は、コイルスプリング20の内側に配されている。クッション部材26は、ダンパ部2に捩れが生じたときに、一対のシート部材21間に挟み込まれるまでは自由状態にあり、ハブ部材25のストッパ部25dとライニングプレート14のストッパ部14aとが当たる前に一対のシート部材21間に挟み込まれる。
【0039】
次に、本発明の実施例1に係る伝達トルク制限装置におけるリミッタ部の摺動面の性状について図面を用いて説明する。
図4は、本発明の実施例1に係る伝達トルク制限装置におけるリミッタ部の摺動面の表面粗さ適正範囲の下限を説明するための図である。
図5は、本発明の実施例1に係る伝達トルク制限装置におけるリミッタ部の摺動面の表面凸数適正範囲の上限及び下限を説明するための図である。
図6は、本発明の実施例1に係る伝達トルク制限装置におけるリミッタ部の摺動面の表面粗さ適正範囲の上限を説明するための図である。
【0040】
摺動面11b、13bの表面粗さRaは、0.5以上かつ8.5以下を適正範囲とする。この数値範囲で伝達トルク(摩擦係数)が安定するからである。なお、表面粗さRaは、「JIS B 0601」で規格された算術平均粗さ(Ra)を表している。表面粗さRaが0.5未満では伝達トルクが急激に低下する(
図4参照)。表面粗さRaが8.5超では相手攻撃性(摩擦材15、16の摩耗量)が急激に上昇する(
図6参照)。
【0041】
摺動面11b、13bの表面凸数Pcは、10以上かつ120以下を適正範囲とする。この数値範囲で伝達トルク(摩擦係数)が安定するからである。なお、ピークカウントPcは、「ASME B 46.1(米国、1995年)」で規定された4mm長さあたりの凸数(山数)を表している。表面凸数Pcが10未満では伝達トルクが急激に低下する(
図5参照)。表面凸数Pcが120超では伝達トルクが急激に上昇する(
図5参照)。
【0042】
なお、摺動面11b、13bは、表面粗さRaが0.5以上かつ8.5以下であるという条件と、表面凸数Pcが10以上かつ120以下であるという条件との両方の条件を満たすことが望ましい。
【0043】
実施例1によれば、リミッタ部2における摺動面11b、13bの表面粗さRaや表面凸数Pcを適正な範囲とすることにより、リミッタ部2の伝達トルク(摩擦係数)の安定性の確保が可能となり、その結果、出荷時から経時後まで安定したトルク制限機能が得られる。また、摺動面11b、13bの相手攻撃性(摩擦材15、16の摩耗量)を低減することができるので、構成部品の長寿命化を図ることができ、長期間使用可能なトルク制限機能が得られる。
【実施例2】
【0044】
本発明の実施例2に係る伝達トルク制限装置について図面を用いて説明する。
図7は、本発明の実施例2に係る伝達トルク制限装置におけるリミッタ部の摺動面を説明するための拡大部分断面図である。
【0045】
実施例2は、実施例1の変形例であり、摩擦材15、16に対する摺動面14b、14cを、サポートプレート10及びカバープレート11に設けるのではなく、ライニングプレート14に設けたものである。実施例2では、プレッシャプレート13及びカバープレート11に複数の凸部13c、11cを設け、摩擦材15、16に複数の穴部15a、16a(有底の凹部でも可)を設け、凸部13c、11cを、対応する穴部15a、16aと係合させることで、摩擦材15がプレッシャプレート13に保持(相対回転不能に保持)され、摩擦材16がカバープレート11に保持(相対回転不能に保持)された構成となっている。また、摺動面14b、14cには、摩擦係数μを高くするために、粗面化処理が施されている。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0046】
摩擦材15は、プレッシャプレート13の凸部13cと係合するための複数の穴部15aを有する。摩擦材15は、凸部13cが穴部15aに係合することにより、プレッシャプレート13に対して回転不能にプレッシャプレート13に保持される。摩擦材15は、ライニングプレート14の摺動面14bとスライド可能に圧接している。摩擦材15には、ゴム、樹脂、繊維(短繊維、長繊維)、摩擦係数μ調整用の粒子などを含むものを用いることができる。
【0047】
摩擦材16は、カバープレート11の凸部11cと係合するための複数の穴部16aを有する。摩擦材16は、凸部11cが穴部16aに係合することにより、カバープレート11に対して回転不能にカバープレート11に保持される。摩擦材16は、ライニングプレート14の摺動面14cとスライド可能に圧接している。摩擦材16には、ゴム、樹脂、繊維(短繊維、長繊維)、摩擦係数μ調整用の粒子などを含むものを用いることができる。
【0048】
カバープレート11は、摩擦材16側の面に摩擦材16の穴部16aと係合する複数の凸部11cを有する。カバープレート11は、凸部11cが摩擦材16の穴部16aと係合することで、摩擦材16を回転不能に保持する。凸部11cは、コスト低減の観点から、プレス成形で形成されることが好ましい。その他の構成は、実施例1のカバープレート(
図3の11)と同様である。
【0049】
プレッシャプレート13は、摩擦材15側の面に摩擦材15の穴部15aと係合する凸部13cを有する。プレッシャプレート13は、凸部13cが摩擦材15の穴部15aと係合することで、摩擦材15を回転不能に保持する。凸部13cは、コスト低減の観点から、プレス成形で形成されることが好ましい。その他の構成は、実施例1のプレッシャプレート(
図2の13)と同様である。
【0050】
ライニングプレート14は、摩擦材15、16とスライド可能に圧接する摺動面14b、14cを有する。ライニングプレート14は、錆の発生により摩擦材15、16との固着を防止するため、鉄よりも錆の発生しにくい金属(ステンレスなど)からなることが好ましい。ライニングプレート14は、摺動面14b、14cにて、摩擦係数μを高くするために、粗面化処理が施されている。粗面化処理として、例えば、圧延ダル仕上げ(表面に凹凸を有するローラで圧延仕上げ)、ブラシ研磨(研磨剤入りブラシ研磨)等が挙げられる。これにより、摺動面14b、14cに凹凸性状を付与することができる。また、摺動面14b、14cの表面粗さRaは、0.5以上かつ8.5以下を適正範囲とする。また、摺動面14b、14cの表面凸数Pcは、10以上かつ120以下を適正範囲とする。その他の構成は、実施例1のライニングプレート(
図3の14)と同様である。また、摺動面14b、14cの表面粗さRa及び表面凸数Pcについては、摺動面(
図3の11b、13b)の表面粗さRa及び表面凸数Pcと同様である。
【0051】
実施例2によれば、実施例1と同様に、リミッタ部2における摺動面14b、14cの表面粗さRaや表面凸数Pcを適正な範囲とすることにより、リミッタ部2の伝達トルク(摩擦係数)の安定性の確保が可能となり、その結果、出荷時から経時後まで安定したトルク制限機能が得られる。また、摺動面14b、14cの相手攻撃性(摩擦材15、16の摩耗量)を低減することができるので、構成部品の長寿命化を図ることができ、長期間使用可能なトルク制限機能が得られる。
【0052】
なお、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。