(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性部材は、前記押圧手段により前記電線孔の孔方向に押圧されることで当該電線孔の孔径が小さくなるように弾性変形することを特徴とする請求項1に記載の相対角度検出装置。
前記押圧手段は、前記被嵌合部材の前記被挿入部に挿入された前記弾性部材を押圧する押圧部材と、当該押圧部材を当該被嵌合部材に締結する締結部材と、を有することを特徴とする請求項3に記載の相対角度検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る検出装置10を適用した電動パワーステアリング装置100の断面図である。
図2は、実施の形態に係る検出装置10の斜視図である。なお、
図2においては、構成を分かり易くするために後述するベース50およびフラットケーブルカバー60の一部は省略して示している。
【0013】
電動パワーステアリング装置100は、同軸的に回転する第1の回転軸110と第2の回転軸120とを備えている。第1の回転軸110は、例えばステアリングホイールが連結される回転軸であり、第2の回転軸120は、トーションバー130を介して第1の回転軸110に同軸的に結合されている。そして、第2の回転軸120に形成されたピニオン121が、車輪に連結されるラック軸(不図示)のラック(不図示)と噛み合っており、第2の回転軸120の回転運動がピニオン121,ラックを介してラック軸の直線運動に変換され、車輪が操舵される。
【0014】
また、電動パワーステアリング装置100は、第1の回転軸110および第2の回転軸120を回転可能に支持するハウジング140を備えている。ハウジング140は、例えば自動車などの乗り物の本体フレーム(以下、「車体」と称する場合もある。)に固定される部材であり、第1ハウジング150、第2ハウジング160および第3ハウジング170から構成される。
第1ハウジング150は、第2の回転軸120を回転可能に支持する軸受け151を、第2の回転軸120の回転軸方向(以下、単に「軸方向」と称する場合もある。)の一方の端部側(
図1においては下側)に有し、軸方向の他方の端部側(
図1においては上側)が開口した部材である。
【0015】
第2ハウジング160は、軸方向の両端部が開口した部材であり、その軸方向の一方の端部側の開口部が第1ハウジング150における軸方向の他方の端部側の開口部と対向するように配置される。そして、第2ハウジング160は、例えばボルトなどにより第1ハウジング150に固定される。第2ハウジング160の側面には、内外を連通する連通孔161が形成されている。連通孔161は、後述するハーネスコンプ300のグロメット320が嵌合される略楕円柱状の内側連通孔161aと、ハーネスコンプ300のキャップ330が嵌合される略楕円柱状の外側連通孔161bと、を含んで構成されている。外側連通孔161bは、内側連通孔161aに対して、楕円の短辺方向は同じであるが長辺方向には大きく形成されている。また、第2ハウジング160には、連通孔161における楕円柱の柱方向(連通孔方向)の途中に、連通孔161の外側連通孔161bを形成する面から凹んだ凹部162(
図15参照)が楕円における長辺方向の両側に形成されている。凹部162は、半月柱状であり、柱方向に垂直な面である2つの垂直面162aを有する。
第3ハウジング170は、第1の回転軸110を回転可能に支持する軸受け171を、軸方向の他方の端部側(
図1においては上側)に有し、軸方向の一方の端部側(
図1においては下側)が開口した部材である。そして、軸方向の一方の端部側の開口部が第2ハウジング160における軸方向の他方の端部側の開口部と対向するように配置されるとともに、例えばボルトなどにより第2ハウジング160に固定される。
【0016】
また、電動パワーステアリング装置100は、例えば圧入などにより第2の回転軸120に固定されたウォームホイール180と、このウォームホイール180と噛み合うウォームギヤ191が出力軸に連結されるとともに第1ハウジング150に固定される電動モータ190とを備えている。
また、電動パワーステアリング装置100は、第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度に応じた電気信号を出力する検出装置10と、この検出装置10からの出力値に基づいて電動モータ190の駆動を制御する電子制御ユニット(ECU)200とを備えている。
【0017】
ECU200は、各種演算処理を行うCPUと、CPUにて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROMと、CPUの作業用メモリ等として用いられるRAMと、を用いて、検出装置10からの出力値を基に第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度を演算する相対角度演算部210を備えている。
検出装置10については、後で詳述する。
【0018】
以上のように構成された電動パワーステアリング装置100においては、ステアリングホイールに加えられた操舵トルクが第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度として現れることに鑑み、第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度に基づいて操舵トルクを把握する。つまり、第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度を検出装置10にて検出し、検出装置10からの出力値に基づいてECU200が操舵トルクを把握し、把握した操舵トルクに基づいて電動モータ190の駆動を制御する。そして、電動モータ190の発生トルクをウォームギヤ191、ウォームホイール180を介して第2の回転軸120に伝達する。これにより、電動モータ190の発生トルクが、ステアリングホイールに加える運転者の操舵力をアシストする。
【0019】
以下に、検出装置10について詳述する。
検出装置10は、第1の回転軸110に取り付けられる磁石20と、この磁石20の磁場(磁石20から発生される磁界)に基づいて第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度に応じた電気信号を出力する相対角度センサ30と、この相対角度センサ30を実装するプリント基板40と、を備えている。また、検出装置10は、第2の回転軸120に取り付けられるとともにプリント基板40を支持するベース50と、後述するフラットケーブル70を収納する有底円筒状のフラットケーブルカバー60と、を備えている。また、検出装置10は、一方の端部がプリント基板40に設けられた端子に接続されるとともに、他方の端部がフラットケーブルカバー60に固定された端子に接続されるフラットケーブル70と、フラットケーブルカバー60に固定された端子とECU200とを接続するハーネスコンプ300と、を備えている。
【0020】
磁石20は、円筒(ドーナツ)状であり、その内側に第1の回転軸110が嵌合され、この第1の回転軸110と共に回転する。そして、第1の回転軸110の円周方向にN極とS極とが交互に配置されるとともに円周方向に着磁されている。
相対角度センサ30は、第1の回転軸110の回転半径方向には磁石20の外周面の外側であり、第1の回転軸110の軸方向には磁石20が設けられた領域内となるように配置されている。本実施の形態に係る相対角度センサ30は、磁界によって抵抗値が変化することを利用した磁気センサであるMRセンサ(磁気抵抗素子)である。そして、この相対角度センサ30が、磁石20の磁場(磁石20から発生される磁界)に基づいて第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度に応じた電気信号を出力することで、同軸的に配置された2つの回転軸の相対回転角度を検出する。この相対角度センサ30および相対回転角度の検出手法については後で詳述する。
【0021】
プリント基板40は、第1の回転軸110の回転半径方向には磁石20の外周面の外側に配置されるように、例えばボルトなどによりベース50に固定される。
ベース50は、円盤状の部材であり、第2の回転軸120に嵌合され、この第2の回転軸120と共に回転する。
フラットケーブルカバー60は、有底円筒状の部材であり、ハウジング140に固定される。フラットケーブルカバー60をハウジング140に固定する態様としては、以下の態様を例示することができる。すなわち、フラットケーブルカバー60の外周面に、円周方向に等間隔に複数個(本実施の形態においては90度間隔に4個)の凸部61を、外側に延出するように形成する。一方、ハウジング140の第1ハウジング150に、凸部61が嵌合される凹部151を、凸部61と同数個形成する。そして、フラットケーブルカバー60の凸部61を第1ハウジング150に形成した凹部151に嵌合することで、第2の回転軸120の回転方向の位置決めを行う。そして、第2ハウジング160でフラットケーブルカバー60の上面を押さえることで軸方向の位置決めを行う。あるいは、フラットケーブルカバー60を、例えばボルトなどにより第1ハウジング150または第2ハウジング160に固定してもよい。
【0022】
フラットケーブル70は、一方の端部がプリント基板40の端子41に接続されるとともに他方の端部がフラットケーブルカバー60の内側に設けられた接続端子62に接続されて、ベース50における軸方向の一方の端面とフラットケーブルカバー60の内側とで形成される空間内に、渦状に巻かれた状態で収納される。そして、フラットケーブル70は、軸方向の他方の端部側から見た場合に、
図2に示すように、右方向に巻かれており、ステアリングホイール、言い換えれば第1の回転軸110および第2の回転軸120が右方向に回転された場合には、一方の端部が第2の回転軸120の回転に従って右方向に回転するので、ステアリングホイールが回転されていない中立状態よりも巻き数が増加する。他方、ステアリングホイールが左方向に回転された場合には、ステアリングホイールが回転されていない中立状態よりも巻き数が減少する。
ハーネスコンプ300は、相対角度センサ30からの出力信号をECU200に伝送する機能を有する。このハーネスコンプ300については後で詳述する。
【0023】
以下に、本実施の形態に係る相対角度センサ30について説明する。
本実施の形態に係る相対角度センサ30は、磁場(磁界)によって抵抗値が変化することを利用したMRセンサ(磁気抵抗素子)である。
【0024】
先ず、MRセンサの動作原理について説明する。
MRセンサは、Si若しくはガラス基板と、その上に形成されたNi−Feなどの強磁性金属を主成分とする合金の薄膜で構成されており、その薄膜強磁性金属の抵抗値は、特定方向の磁界の強度に応じて抵抗値が変化する。
【0025】
図3は、薄膜強磁性金属に流す電流の方向と印加する磁界の方向とを示す図である。
図4は、
図3の状態で、磁界強度を変化させた場合の、磁界強度と薄膜強磁性金属の抵抗値との関係を示す図である。
図3に示すように、基板の上に矩形状に形成した薄膜強磁性金属に、矩形の長手方向、つまり図中Y方向に電流を流す。一方、磁界Hを、電流方向(Y方向)に対して垂直方向(図中X方向)に印加し、その状態で、磁界の強さを変更する。このときに、薄膜強磁性金属の抵抗値がどのように変化するかを示したのが
図4である。
【0026】
図4に示すように、磁界の強さを変化させたとしても、無磁界(磁界強度ゼロ)時からの抵抗値変化は最大で約3%となる。
以下では、抵抗値変化量(ΔR)が、近似的に「ΔR∝H
2」の式で表すことができる領域外を「飽和感度領域」と称す。そして、飽和感度領域においては、ある磁界強度(以下、「規定磁界強度」と称す。)以上になると3%の抵抗値変化は変わらない。
【0027】
図5は、薄膜強磁性金属に流す電流の方向と印加する磁界の方向とを示す図である。
図6は、磁界の向きと薄膜強磁性金属の抵抗値との関係を示す図である。
図5のように、矩形状に形成した薄膜強磁性金属の矩形の長手方向、つまり図中Y方向に電流を流し、磁界の方向として電流方向に対して角度変化θを与える。このとき、磁界の向きに起因する薄膜強磁性金属の抵抗値の変化を知るために、印加する磁界強度は、磁界強度に起因しては抵抗値が変化しない上述した規定磁界強度以上とする。
【0028】
図6(a)に示すように、抵抗変化量は、電流方向と磁界の方向が垂直(θ=90度、270度)の時に最大となり、電流方向と磁界の方向が平行(θ=0度、180度)の時に最小となる。かかる場合の抵抗値の最大の変化量をΔRとすると、薄膜強磁性金属の抵抗値Rは、電流方向と磁界方向の角度成分として変化し、式(1)のように示され、
図6(b)に示すようになる。
R=R0−ΔRsin
2θ・・・(1)
ここで、R0は、規定磁界強度以上の磁界を電流方向と平行(θ=0度あるいは180度)に印加した場合の抵抗値である。
式(1)により、規定磁界強度以上の磁界の方向は、薄膜強磁性金属の抵抗値を把握することで検出することができる。
【0029】
次に、MRセンサの検出原理について説明する。
図7(a)は、規定磁界強度以上の磁界強度で磁界の方向を検出する原理を利用するMRセンサの一例を示す図である。
図7(b)は、
図7(a)に示すMRセンサの構成を等価回路で示した図である。
図7(a)に示すMRセンサの薄膜強磁性金属は、縦方向が長くなるように形成された第1のエレメントE1と横方向が長くなるように形成された第2のエレメントE2とが直列に配置されている。
【0030】
かかる形状の薄膜強磁性金属においては、第1のエレメントE1に対して最も大きな抵抗値変化を促す垂直方向の磁界は、第2のエレメントE2に対し最小の抵抗値変化の磁界方向となる。そして、第1のエレメントE1の抵抗値R1は式(2)、第2のエレメントE2の抵抗値R2は式(3)で与えられる。
R1=R0−ΔRsin
2θ・・・(2)
R2=R0−ΔRcos
2θ・・・(3)
【0031】
図7(a)に示すようなエレメント構成のMRセンサの等価回路は
図7(b)に示すようになる。
図7に示すように、第1のエレメントE1の、第2のエレメントE2と接続されていない方の端部をグランド(Gnd)とし、第2のエレメントE2の、第1のエレメントE1と接続されていない方の端部の出力電圧をVccとした場合に、第1のエレメントE1と第2のエレメントE2との接続部の出力電圧Voutは式(4)で与えられる。
Vout=(R1/(R1+R2))×Vcc…(4)
【0032】
式(4)に、式(2)、(3)を代入し整理すると、式(5)の通りとなる。
Vout=Vcc/2+α×cos2θ…(5)
ここで、αは、α=(ΔR/(2(2×R0−ΔR)))×Vccである。
式(5)により、磁界の方向は、Voutを検出することで把握することができる。
【0033】
図8は、磁石が直線運動するときの磁界方向の変化とMRセンサの出力との関係を示す図である。
図8(a)に示すように、N極とS極が交互に配列された磁石に対して、
図7に示したMRセンサを、規定磁界強度以上の磁界強度が印加されるギャップ(磁石とMRセンサとの距離)Lで、かつ磁界の方向変化がMRセンサのセンサ面に寄与するように配置する。
【0034】
そして、磁石を、
図8(c)に示した、N極中心からS極中心までの距離(以下、「着磁ピッチ」と称する場合もある。)λ分、
図8(a)に示すように左方向に移動させる。かかる場合、MRセンサには、磁石の位置に応じて
図8(c)に示した矢印の向きの磁界が印加されることとなり、磁石が着磁ピッチλを移動したとき、センサ面では磁界の方向が1/2回転する。ゆえに、第1のエレメントE1と第2のエレメントE2との接続部の出力電圧Voutの波形は、式(5)に示した「Vout=Vcc/2+α×cos2θ」より、
図8(d)に示すように1周期の波形となる。
【0035】
図9は、MRセンサの他の例を示す図である。
図7に示したエレメント構成の代わりに
図9(a)に示すようなエレメント構成にすれば、
図9(b)に示すように、一般的に知られているホイートストン・ブリッジ(フルブリッジ)の構成にすることができる。ゆえに、
図9(a)に示すエレメント構成のMRセンサを用いることにより検出精度を高めることが可能となる。
【0036】
磁石の運動の方向を検出する手法について説明する。
図6に示した磁界の向きと薄膜強磁性金属の抵抗値との関係および式(1)「R=R0−ΔRsin
2θ」からすると、
図5で見た場合に、磁界の向きを電流の方向に対して時計回転方向に回転させても反時計回転方向に回転させても薄膜強磁性金属の抵抗値は同じである。ゆえに、薄膜強磁性金属の抵抗値を把握できても磁石の運動の方向は把握できない。
【0037】
図10は、磁石の運動方向を検知するのに用いる出力の組み合わせの一例を示す図である。
図10のように1/4周期の位相差を持った2つの出力を組み合わせることで磁石の運動方向の検知が可能となる。これらの出力を得る為には、
図8で示す(i)と(ii)又は(i)と(iv)の位相関係となるように、二つのMRセンサを配置すればよい。
図11は、MRセンサの配置の例を示す図である。
図11に示すように2つのMRセンサを重ね、一方のセンサを他方のセンサに対して45度傾けて配置することも好適である。
【0038】
図12は、MRセンサの他の例を示す図である。
図12(a)に示すように、2組のフルブリッジ構成のエレメントを互いに45度傾けて一つの基板上に形成し、
図12(b)に示すような等価回路となるエレメント構成にすることも好適である。これにより、一つのMRセンサで、
図12(c)に示すように、正確な正弦波、余弦波の出力が可能となる。それゆえ、
図12に示すエレメント構成のMRセンサの出力値により、MRセンサに対する磁石の運動方向及び運動量を把握することができる。
【0039】
上述したMRセンサの特性に鑑み、本実施の形態に係る検出装置10においては、相対角度センサ30として、
図12に示すエレメント構成のMRセンサを用いる。相対角度センサ30は、上述したように、磁石20の外周面に対して垂直に配置され、第2の回転軸120の軸方向の位置は、磁石20の領域内である。それゆえ、かかる場合には、第1の回転軸110と共に回転する磁石20の磁場により、相対角度センサ30では、磁石20の位置に応じて、
図8(c)に示すような磁場方向の変化となる。
【0040】
その結果、磁石20が着磁ピッチλを移動(回転)したとき、相対角度センサ30の感磁面では磁場の方向が1/2回転すると共に、相対角度センサ30からの出力値VoutA,VoutBは、それぞれ
図12(c)に示すような1/4周期の位相差となる余弦曲線(余弦波)および正弦曲線(正弦波)となる。
すなわち、運転者がステアリングホイールを回転すると、これに伴って第1の回転軸110が回転し、トーションバー130が捩れる。そして、第2の回転軸120が第1の回転軸110より少し遅れて回転する。この遅れは、トーションバー130に連結された第1の回転軸110と第2の回転軸120との回転角度の差となって現れる。検出装置10は、この回転角度の差に応じた、1/4周期の位相差の、余弦曲線および正弦曲線となるVoutA,VoutBを出力する。
なお、相対角度センサ30の感磁面とは、相対角度センサ30において磁場を検出することができる面のことである。
【0041】
ECU200の相対角度演算部210は、相対角度センサ30の出力値VoutAおよびVoutBを基に、第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度θtを以下の式(6)を用いて演算する。
θt=arctan(VoutB/VoutA)…(6)
このようにして、相対角度演算部210は、相対角度センサ30からの出力値に基づいて第1の回転軸110と第2の回転軸120との相対回転角度及び捩れ方向、つまりはステアリングホイールに加わるトルクの大きさ及び向きを把握することが可能となる。
【0042】
また、上述のように構成された検出装置10を組み付ける際には、フラットケーブルカバー60と、プリント基板40を取り付けたベース50と、フラットケーブルカバー60とベース50との間に収容するフラットケーブル70と、を予めユニット化しておく。そして、そのユニットを、第2の回転軸120が組み付けられた第1ハウジング150に、フラットケーブルカバー60の凸部61が第1ハウジング150の凹部151に嵌るように取り付ける。その際、ベース50を、第2の回転軸120に取り付ける。
このように、検出装置10を予めユニット化が可能な構造とすることで組み付け性を向上させることができる。
【0043】
次に、ハーネスコンプ300について説明する。
図13は、本実施の形態に係るハーネスコンプ300の外観図である。
ハーネスコンプ300は、複数の電線310と、これら複数の電線310を保持するグロメット320(
図14参照)と、グロメット320を保持するとともに第2ハウジング160の連通孔161(
図1参照)の開口部を塞ぐキャップ330と、を備えている。また、ハーネスコンプ300は、グロメット320を弾性変形させるために押圧する押圧部材340と、押圧部材340をキャップ330に締結するボルト345(
図14参照)と、ハウジング140内を密封するOリング346と、を備えている。また、ハーネスコンプ300は、複数の電線310の一方の端部に連結される第1のコネクタ350と、複数の電線310の他方の端部に連結される第2のコネクタ360と、を備えている。また、ハーネスコンプ300は、グロメット320と第1のコネクタ350との間において複数の電線310を束ねる第1のカバー370と、グロメット320と第2のコネクタ360との間において複数の電線310を束ねる第2のカバー380と、を備えている。
【0044】
そして、本実施の形態に係るハーネスコンプ300においては、4本の電線310を有しており、これら4本の電線310の一方の端部が、第1のコネクタ350、接続端子62などを介してプリント基板40(
図2参照)に、4本の電線310の他方の端部が、第2のコネクタ360などを介してECU200に接続されている。そして、4本の電線310が、ECU200から相対角度センサ30への電源供給や、相対角度センサ30からECU200への出力値の伝送に用いられる。
【0045】
電線310は、線状に引き伸ばされた金属などの導体が絶縁体で覆われたものであり、電気を伝導する。本実施の形態に係るハーネスコンプ300においては、4本の電線310を有しており、これら4本の電線310の一方の端部が第1のコネクタ350に接続され、他方の端部が第2のコネクタ360に接続されるとともに、絶縁体の第1のカバー370および第2のカバー380にて束ねられている。
【0046】
図14は、グロメット320、キャップ330などの概略構成図である。(a)は、第2のコネクタ360側から見た斜視図であり、(b)は、第1のコネクタ350側から見た斜視図である。(c)は、(a)におけるA−A断面図である。
図15(a)は、第2ハウジング160の概略構成図である。
図15(b)は、(a)におけるB−B断面図である。
図15(c)は、ハーネスコンプ300が第2ハウジング160に装着された状態を示す図である。
【0047】
グロメット320は、内側に電線310を通すための電線孔323が形成されるとともに、その電線孔323の孔方向における第1のコネクタ350側の端部の肉厚が厚く、第2のコネクタ360側の端部に至るにしたがって肉厚が薄くなるように形成された楔状の部材である。このグロメット320は、ゴムなどの弾性材料を加硫成形することで上記所定形状に成形されており、弾性変形可能な弾性部材の一例として機能する。本実施の形態に係るハーネスコンプ300においては、グロメット320を、電線310と同じ数の4個有している。
【0048】
キャップ330は、楕円柱状の第1の楕円柱部331と、この第1の楕円柱部331の大きさよりも小さい大きさの楕円柱状の第2の楕円柱部332と、この第2の楕円柱部332の大きさよりも小さい大きさの楕円柱状の第3の楕円柱部333とを有している。これら第1の楕円柱部331、第2の楕円柱部332および第3の楕円柱部333は、第2のコネクタ360側から順に楕円の中心が同じになるように柱方向(連通孔161の孔方向(以下、「連通孔方向」と称する場合もある。)に並んでいる。第1の楕円柱部331の楕円形は、第2ハウジング160の連通孔161の大きさよりも大きく、第1の楕円柱部331で連通孔161の開口部を覆う。第2の楕円柱部332は、第2ハウジング160の連通孔161の外側連通孔161bの大きさよりも小さく、連通孔161の中に挿入される。第3の楕円柱部333には、Oリング346が嵌め込まれるリング溝333aが形成されている。第2の楕円柱部332の外周面は、第3の楕円柱部333のリング溝333aに嵌め込まれたOリング346の最外形よりも小さい。キャップ330は、被嵌合部材の一例として機能する。
【0049】
キャップ330は、また、グロメット320が挿入される被挿入部334と、電線310を通すための電線孔335と、ボルト345が締結されるネジ孔336と、このキャップ330の第2ハウジング160に対する移動を規制するフック390と、を有している。
被挿入部334は、第3の楕円柱部333における第1のコネクタ350側の端面から円柱状に凹んだ部位と、この円柱状に凹んだ部位の終端からグロメット320の外形形状に沿うように凹んだ部位と、から構成される。つまり、被挿入部334は、円柱状に凹んだ部位の終端よりも奥側が楔状に形成されており、第1のコネクタ350側の開口部の径が大きく、第2のコネクタ360側に至るにしたがって孔径が小さくなるように形成されている。
電線孔335は、被挿入部334の第2のコネクタ360側の端面から連続して形成された孔であり、第2の楕円柱部332および第3の楕円柱部333を柱方向(連通孔方向)に貫通する孔である。その孔径は、電線310の径よりも大きい。
【0050】
フック390は、第3の楕円柱部333における第1のコネクタ350側の端面から第1のコネクタ350側に柱方向(連通孔方向)に伸びるように、楕円の長辺方向の両端部それぞれに設けられている。そして、フック390は、第3の楕円柱部333のリング溝333aに嵌め込まれたOリング346の外周面から外側に突出するように柱方向(連通孔方向)に対して傾斜した傾斜面391と、傾斜面391の終端から長辺方向の内側に長辺方向と平行に向かう面、言い換えれば柱方向(連通孔方向)に垂直な面である垂直面392とを、備えている。そして、傾斜面391の終端と第3の楕円柱部333との間は、傾斜面391および垂直面392が長辺方向に弾性変形し易くなるように直方体状に形成されている。
なお、このキャップ330は、樹脂をインジェクション成形することで上記所定形状に成形されている。
【0051】
押圧部材340は、電線310を通すための電線孔341が電線310と同数(本実施の形態においては4つ)形成された四角柱状の部材である。また、押圧部材340は、電線孔341の周囲に、第2のコネクタ360側の端面から突出した円筒状の突出部342と、ボルト345を通すためのボルト孔343とを有している。突出部342の外径は、キャップ330の被挿入部334内に入り込むことが可能な大きさに設定されている。また、突出部342の電線孔341の孔方向の長さは、この突出部342の長さとグロメット320の長さとの合計がキャップ330の被挿入部334の長さよりも長くなるように設定されている。それゆえ、押圧部材340がボルト345によりキャップ330に締結された状態では、突出部342が、キャップ330の被挿入部334に挿入されたグロメット320を電線孔341の孔方向に押圧する。これら押圧部材340およびボルト345がグロメット320を押圧する押圧手段の一例として機能する。
なお、この押圧部材340は、樹脂をインジェクション成形することで上記所定形状に成形されている。
【0052】
以上のように構成されたハーネスコンプ300は、以下のようにして組み立てられる。
すなわち、先ず、キャップ330の全ての被挿入部334それぞれにグロメット320を挿入し、ボルト345にて押圧部材340をキャップ330に仮止めする。つまり、グロメット320が弾性変形しない程度に押圧部材340をキャップ330に取り付ける。その後、押圧部材340の電線孔341、グロメット320の電線孔323およびキャップ330の電線孔335それぞれに電線310を1本ずつ通す。その後、ボルト345の締め付け力を高めて、押圧部材340によるグロメット320に対する押圧力を高め、キャップ330に対して複数の電線310が動かないように位置決めを行う。グロメット320は押圧部材340により押圧された場合、キャップ330の被挿入部334にて電線孔323の孔方向への移動が規制されることから、押圧部材340および被挿入部334から力を受けて、孔方向に縮む一方で孔方向とは直交する方向には膨らむように変形する。その結果、グロメット320の電線孔323の孔径が小さくなり、グロメット320は電線310をより強く保持する。これにより、全ての電線310は移動し難くなり、キャップ330に対して動かないように位置決めされる。加えて、ハウジング140内の気密性が高められる。
その後、複数の電線310を、第1のカバー370および第2のカバー380で束ねる。また、第1のカバー370で束ねられた複数の電線310の先端を第1のコネクタ350に接続し、第2のカバー380にて束ねられた複数の電線310の先端を第2のコネクタ360に接続する。
【0053】
また、このハーネスコンプ300は、以下のようにして電動パワーステアリング装置100に組み付けられる。
すなわち、第1ハウジング150および第2ハウジング160に、第1の回転軸110、第2の回転軸120、フラットケーブルカバー60などを組み付け、第3ハウジング170を組み付ける前の状態で、第1のコネクタ350側から第2ハウジング160に形成された連通孔161に通す。そして、キャップ330を、キャップ330に取り付けられたOリング346が連通孔161を形成する周囲の壁163の内周面に接触するように挿入し、フック390が第2ハウジング160に形成された凹部162に嵌るまで押し込んでいく。キャップ330を連通孔161に差し込むと、フック390の傾斜面391が第2ハウジング160における連通孔161の周りの壁に接触して弾性変形し、その後さらに深く差し込まれて傾斜面391が第2ハウジング160の凹部162に嵌り込むことで変形状態から復帰する。このようにして、キャップ330を第2ハウジング160に装着する。そして、第1のコネクタ350をフラットケーブルカバー60の接続端子62に差し込む。また、第2のコネクタ360をECU200の端子に差し込む。
【0054】
以上のように構成され、第2ハウジング160に装着されるハーネスコンプ300においては、キャップ330が第2ハウジング160に嵌合されると、Oリング346にてハウジング140内を密封する。また、グロメット320が押圧部材340に押圧されることで電線孔323の径が小さくなるように弾性変形し、電線310をより強く保持する。これにより、組み付けられた後、ハウジング140の外側から第2のカバー380にて束ねられた複数の電線310に力が作用したとしても電線310がグロメット320に対して移動することが抑制される。また、キャップ330のフック390の垂直面392が第2ハウジング160の凹部162の垂直面162aと接触することでキャップ330が第2ハウジング160から脱落することが抑制される。したがって、ハウジング140の外側から第2のカバー380にて束ねられた複数の電線310に力が作用したとしても、第1のコネクタ350から電線310が脱落したり、第1のコネクタ350が差し込まれた接続端子62が折れたりすることが抑制される。また、グロメット320は、キャップ330の被挿入部334に挿入され、グロメット320の外側には第1の楕円柱部331が存在する。したがって、外力によるグロメット320の電線孔323の変形が抑制されるので、ハウジング140内の気密性が保たれる。
【0055】
また、例えば板金で形成されたプレートをハウジング140の外側に配置することで、ハウジング140に形成された連通孔161に挿入されたグロメット320の抜け止めと、電線310の支持とを行う構成と比較すると、ハウジング140がアルミニウム製であるとしても、ハウジング140との間で電気化学的腐蝕が生じる部品がないことから耐食性を向上させることができる。また、組立性も向上させることができる。
【0056】
また、ハーネスコンプ300単体で持ち運びされるとしても、電線310がグロメット320に対して移動し難いように構成されているので、このハーネスコンプ300を電動パワーステアリング装置100に組み付ける作業者は、グロメット320から第1のコネクタ350までの電線310の長さに注意を払うことなく容易に組み付けることができる。
【0057】
図16は、ハウジング140の他の形態を示す図である。
図2および
図15を用いて説明した外側連通孔161bの一部あるいは全部を、
図16に示すように、第2ハウジング160と第3ハウジング170とで形成してもよい。言い換えれば、第3ハウジング170がボルト(不図示)などにより第2ハウジング160に固定されることで、第2ハウジング160と第3ハウジング170とが協働して外側連通孔161bを形成するようにしてもよい。つまり、
図16(a)に示すように、第2ハウジング160における外側連通孔161b(
図15参照)の、軸方向の他方の端部側(
図16においては上側)の壁面をなくして、外側連通孔161bを開放する。一方で、第3ハウジング170に、第2ハウジング160との締結面から外側に電線孔方向に延出する延出部172を設ける。
【0058】
ハーネスコンプ300を電動パワーステアリング装置100に組み付ける際には、上述した実施の形態と同様にキャップ330を第2ハウジング160に装着し、第1のコネクタ350をフラットケーブルカバー60の接続端子62に差し込んだ後に、第3ハウジング170を第2ハウジング160に取り付ける。これにより、
図16(b)に示すように、キャップ330の上面が第3ハウジング170の延出部172により覆われることとなる。
ハーネスコンプ300を取り外す際には、第3ハウジング170を第2ハウジング160から外せば、キャップ330の上面が開放される。したがって、キャップ330を容易に第2ハウジング160から取り外すことが可能となる。