(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の上述のおよび他の態様はここで、本明細書に与える説明および方法に関連してさらに詳細に説明される。本発明は各種の形態で具体化することができ、本明細書で示す実施形態に限定されるものとして解釈すべきでないことが認識されるべきである。むしろ、これらの実施形態は、本開示が綿密かつ完全となり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0013】
本明細書で言及するすべての特許、特許出願および刊行物は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。用語に矛盾がある場合には、本明細書が優先する。
【0014】
本明細書で本発明の説明に使用する用語は、特定の実施形態だけを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。本発明の実施形態の説明および添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は文脈が別途明確に指摘しない限り、複数形も含むことを意図する。また本明細書で使用するように、「および/または」は、関連して挙げた項目の1つ以上のあらゆる可能な組合せを指し、それを含む。さらに「約」という用語は、本明細書で使用するように、化合物の量、用量、時間、温度などの測定可能な量を指すとき、指定した量の20%、10%、5%、1%、0.5%、または0.1%の変動さえ含むものである。別途定義しない限り、説明で使用する技術用語および科学用語を含むすべての用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0015】
本明細書で使用するように、「アルコール」は、水素(H)原子の代わりに1個以上のヒドロキシル(OH)基が炭素(C)原子に結合した有機化合物を意味する。いくつかの実施形態において、アルコールは炭素原子を1〜6個含有する。また、他の実施形態において、アルコールは炭素原子を1〜4個含有する。例示的なアルコールは、これに限定されるわけではないが、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールを含む。
【0016】
本明細書で使用するように、「ゲル化」は興味のある化合物、たとえばGnRH関連化合物が凝集を受けて、フィブリル、ダイマー、より長いポリマー凝集体、またはコロイド状構造、すなわちゲルの形成を生じ得る構造物を形成することを意味する。本出願で使用する混合物の粘度は、水溶液中の化合物または固体塊に適用され得る。
【0017】
「ゲル化」は様々な程度で発生して、通常の手段では検出できないような方式で発生し得る。たとえば、溶液の流動特徴で粘度上昇または変化がないことがある。しかし、ゲル化から形成された材料(以下「ゲル」)は、濾過などの物理的手段によって除去されて、そのため当業者に公知の分析技法によって検出され得る。ゲルの存在によって、各種の投与形態の開発に著しい問題が引き起こされることがある。たとえば、医薬物質製造技法の一部としてゲル化系を処理して薬物の粉末を得るとき、プロセスの間にキセロゲルが形成され得る。本明細書で使用するように、「キセロゲル」は、ゲル化系から液体を除去した後にゲルから形成された固体である。キセロゲルを含有するゲル化系から得た粉末は、ゲル化材料を含有しない溶液から得た粉末とは実質的に異なる特徴を有することができる。いくつかの状況において、得られた粉末は生物活性を失う。したがって、ゲルの形成は、薬物物質処理段階、または投薬形態調製段階もしくは貯蔵段階のどちらかで潜在的に悪影響を引き起こし得る。
【0018】
ゲルの形成を生じる凝集または癒着の程度は、当業者に周知の各種の方法、たとえばマイクロ濾過もしくはマクロ濾過とこれに続く濾液のアッセイ、遠心分離とこれに続く上清のアッセイ、または可視光もしくはUV光、またはレーザに基づく方法を利用するものを含む各種の光吸収もしくは回折方法によって測定され得る。表面張力、凝固点降下、粘度、または他の束一性特性の測定などの液体の物理的特徴を測定する方法も使用され得る。キセロゲル形成の程度は、材料を水中に分散させて、本明細書に記載する技法を使用することによって、またはX線粉末解析、IR分光法、もしくは粉末化材料に実施され得る他の方法を含む当分野で公知の方法による粉末の直接測定によって測定され得る。
【0019】
本明細書で使用するように、「ゲル化を低減する」という用語は、化合物のゲル形成を妨害、遅延または排除することを意味する。ゲル化が可逆性である状況では、「ゲル化を低減する」という用語は、その生物活性を維持している化合物のモノマー形にゲルを逆戻りさせることも意味する。本明細書で使用するように、「抗ゲル化剤」という用語は、十分な量の抗ゲル剤が使用されるときに、GnRH拮抗薬の少なくとも50%のゲル化を抑制し得る、薬剤、化合物、組成物またはその組合せを指す。いくつかの実施形態において、抗ゲル化剤は、十分な量の抗ゲル剤が使用されるときに、GnRH拮抗薬の少なくとも80%のゲル化を抑制し得る。いくつかの実施形態において、抗ゲル化剤は、十分な量の抗ゲル剤が使用されるときに、GnRH拮抗薬の少なくとも90%のゲル化を抑制し得る。いくつかの実施形態において、抗ゲル化剤は、十分な量の抗ゲル剤が使用されるときに、GnRH拮抗薬の少なくとも95%のゲル化を抑制し得る。
【0020】
本明細書で使用するように、「治療的に有効な」または「治療的に許容される」量は、対象で治療的に有用な応答を誘発する量を指す。治療的に有用な応答は、対象の少なくとも1つの臨床症状の軽減、緩和または低減を与え得る。当業者は、多少の利益が対象に与えられる限り、治療的に有用な応答が完全または治癒的である必要がないことを認識する。いくつかの実施形態において、対象は動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0021】
本明細書で使用するように、「水混和性溶媒」という用語は、水と混合して溶液を形成する溶媒を意味する。水混和性溶媒は、親水性相を生成するために使用され得る。
【0022】
本発明は、1つ以上のGnRH関連化合物の治療的有効量、およびGnRH関連化合物のゲル化を低減させる少なくとも1つの抗ゲル化剤の十分量を含む、それから本質的に成る、またはそれから成る組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物ではGnRH関連化合物の少なくとも50%のゲル化が抑制される。一実施形態において、組成物ではGnRH関連化合物の少なくとも80%のゲル化が抑制される。いくつかの実施形態において、組成物ではGnRH関連化合物の少なくとも90%のゲル化が抑制される。
【0023】
本明細書に記載する組成物は、貯蔵、処理または投与に直接使用され得る。あるいは、組成物は、貯蔵、処理または投与用に適正な媒体(たとえば溶媒、マイクロエマルジョン、または固体塊)と混合するために使用され得る。媒体が使用される状況では、媒体中のGnRH関連化合物のゲル化は、本明細書に記載するように低減される。
【0024】
いくつかの実施形態において、GnRH関連化合物は、共溶媒系の存在下で、GnRH関連化合物のゲル化が低減されるような方式で調製される。
【0025】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテルもしくは誘導体であり、炭素原子約4〜約20個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は界面活性剤である。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は室温にて固体である。いくつかの実施形態において、組成物は経口投薬形態の製薬学的組成物である。このような組成物によって、GnRH関連化合物を錠剤またはカプセル剤から溶液中に実質的にまたは完全に分散させることができる。
【0027】
一実施形態において安定剤およびGnRH関連化合物の組成物への溶解速度は実質的に同じである。
【0028】
I.GnRH関連化合物
本発明は、溶液系でゲル化の傾向を有する多様なGnRH関連化合物に適用され得る。本明細書で使用するように、「ゲル化の傾向」は、ある温度(たとえば37℃)の系において、系をある期間(たとえば少なくとも約2時間)静置した後に、化合物の少なくとも50%が凝集を受けて、フィブリル、ダイマー、ポリマー凝集体、またはコロイド状構造もしくはゲルの形成を生じ得る構造を形成することを指す。本明細書で使用するように、GnRH関連化合物は、GnRH拮抗薬およびGnRH作用薬を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、GnRH拮抗薬に適用され得る。いくつかの実施形態において、本発明は、これに限定されるわけではないが、以下のGnRH拮抗薬、アシリン(Ac−D2Nal−D4Cpa−D3Pal−Ser4Aph(Ac)−D4Aph(Ac)−Leu−ILys−Pro−DAla−NH2)、アセチル−β−[2−ナフチル]−D−Ala−D−p−クロロ−Phe−β−[3−ピリジル]−D−Ala−Ser−Nε−[ニコチノイル]−Lys−Nε−[ニコチノイル]−D−Lys−Leu−Nε−[イソプロピル]−Lys−Pro−D−Ala−NH
2(本明細書ではアンチドとも呼ばれる)、アセチル−D2Nal1、D4C1Phe2、D3Pal3、ARg5、Dglu6(AA)(本明細書ではNaIGluとも呼ばれる)、アセチル−D2Nal−D4C1Phe−D3Pal−Ser−Aph(Ac)−D−Aph(Ac)−Leu−LyS(lpr)−Pro−D−Ala−NH
2、アバレリクス(Speciality European Pharma,Dusseldorf,Germany)、Nal−Lys、ガニレリクス(オルガルトラン/アンタゴン)(Organan,West Orange,N.J.)、セトロレリクスI(Aeterna Zentaris Inc,Frankfurt,Germany)、セトロタイド、アザリンB、5および6位にp−ウレイド−フェニルアラニンを包含する新世代長時間作用型GnRH類似体(デガレリクスなど)、FE200486、Ac−D2Nal−D4Cpa−D3Pal−Ser−4Aph(L−ヒドロオロチル)−D4Aph(カルバモイル(carbarnoyl))−Leu−ILys−Pro−DAla−NH
2(その酢酸塩はFE200486である)、Ac−D2Nal−D4Cpa−D3Pal−Ser−4Aph(Atz)−D4Aph(Atz)−Leu−ILys−Pro−DAla−NH
2(式中、Atzは3’−アミノ−1H−1’,2’,4’−トリアゾール−5’−イル,5である)ならびにU.S.Patent.Nos.5506,207、5,821,230、5,998,432、6,156,772、6,156,767、6,150,522、6,150,352、6,147,088、6,077,858、6,077,847、6,025,366、6,017,944、6,004,984、6214,798、および6,875,843に記載された拮抗薬に適用され得る。いくつかの実施形態において、本発明のGnRH拮抗薬は、イオンの存在下でゲル化する傾向を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのGnRH拮抗薬は、アシリン、アバレリクス、アザリンB、セトロレリクス、ガニレリクス、テベレリクス、デガレリクス、アンチド、オルンチドおよびU.S.Patent No.7,098,305に記載されているGnRH拮抗薬からなる群より選択される。
【0029】
一実施形態において、少なくとも1つのGnRH拮抗薬は、アバレリクス、セトロレリクス、デガレリクス、ガニレリクス、およびその製薬学的に許容される塩からなる群より選択される。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲を通じて使用されるように、「アバレリクス」という用語は、式Iの構造を有する化合物を指す。
【化1】
式IのIUPAC名は、アセチル−D−β−ナフチルアラニル−D−4−クロロフェニルアラニル−D−3−ピリジルアラニル−L−セリル−L−N−メチル−チロシル−D−アスパラギル−L−ロイシル−L−N(e)−イソプロピル−リシル−L−プロリル−D−アラニル−アミドである。「アバレリクス」という用語は、式Iの化合物、その製薬学的に許容される塩、およびこれらの平衡混合物を含む。「アバレリクス」という用語は、式Iの化合物の結晶形態、水和または溶媒和結晶形態、およびアモルファス形態ならびにその製薬学的に許容される塩も含む。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲を通じて使用されるように、「セトロレリクス」という用語は、式IIの構造を有する化合物を指す。
【化2】
式IIのIUPAC名は、アセチル−D−3−(2’−ナフチル)−アラニン−D−4−クロロフェニルアラニン−D−3−(3’−ピリジル)−アラニン−L−セリン−L−チロシン−D−シトルリン−L−ロイシン−L−アルギニン−L−プロリン−D−アラニン−アミドである。「セトロレリクス」という用語は、式IIの化合物、その製薬学的に許容される塩、およびこれらの平衡混合物を含む。「セトロレリクス」という用語は、式IIの化合物の結晶形態、水和または溶媒和結晶形態、およびアモルファス形態ならびにその製薬学的に許容される塩も含む。
【0032】
本明細書および特許請求の範囲を通じて使用されるように、「デガレリクス」という用語は、式IIIの構造を有する化合物を指す。
【化3】
式IIIのIUPAC名は、N−アセチル−3−(ナフタレン−2−イル)−D−アラニル−4−クロロ−D−フェニルアラニル−3−(ピリジン−3−イル)−D−アラニル−L−セリル−4−((((4S)−2,6−ジオキソヘキサヒドロピリミジン−4−イル)カルボニル)アミノ)−L−フェニルアラニル−4−(カルバモイルアミノ)−D−フェニルアラニル−L−ロイシル−N6−(1−メチルエチル)−L−リシル−L−プロリル−D−アラニンアミドである。これはFE−200486としても公知である。「デガレリクス」という用語は、式IIIの化合物、その製薬学的に許容される塩、およびこれらの平衡混合物を含む。「デガレリクス」という用語は、式IIIの化合物の結晶形態、水和または溶媒和結晶形態、およびアモルファス形態ならびにその製薬学的に許容される塩も含む。
【0033】
本明細書および特許請求の範囲を通じて使用されるように、「ガニレリクス」という用語は、式IVの構造を有する化合物を指す。
【化4】
式IVのIUPAC名は、(2S)−1−[(2S)−2−[[(2S)−2−[[(2S)−2−[[(2R)−2−[[(2S)−2−[[(2S)−2−[[(2R)−2−[[(2R)−2−アセトアミド−3−ナフタレン−2−イルプロパノイル]アミノ]−3−(4−クロロフェニル)プロパノイル]アミノ]−3−ピリジン−3−イルプロパノイル]アミノ]−3−ヒドロキシプロパノイル]アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノイル]アミノ]−6−[ビス(エチルアミノ)メチリデンアミノ]ヘキサノイル]アミノ]−4−メシルペンタノイル]アミノ]−6−[ビス(エチルアミノ)メチリデンアミノ]ヘキサノイル]−N−[(2R)−1−アミノ−1−オキソプロパン−2−イル]ピロリジン−2−カルボキサミドである。「ガニレリクス」という用語は、式IVの化合物、その製薬学的に許容される塩、およびこれらの平衡混合物を含む。「ガニレリクス」という用語は、式IVの化合物の結晶形態、水和または溶媒和結晶形態、およびアモルファス形態ならびにその製薬学的に許容される塩も含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明は、ゲル化の傾向を示すGnRH拮抗薬に適用され得る。例示的なGnRH作用薬は、これに限定されるわけではないが、ヒストレリン(histerelin)、ロイプロリドおよびゴセレリンを含む。
【0035】
「GnRH関連化合物」、「GnRH拮抗薬」および「GnRH作用薬」という用語は、その立体異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物、および誘導体、たとえば塩、酸、エステルなどを含む、そのすべての形態を含む。化合物は、固体、液体、、溶液、懸濁物などを含む任意の好適な相状態で提供され得る。固体微粒子形態で提供されるとき、粒子は、いずれの好適なサイズまたは形態でもよく、1つ以上の結晶形態、半結晶形態および/またはアモルファス形態をとり得る。
【0036】
本発明で使用するGnRH関連化合物は、治療効果を誘発する任意の量で存在してもよく、適切な場合には実質的に、1つの光学的に純粋なエナンチオマーの形態もしくはラセミ混合物として、またはそうでなければエナンチオマーの形態のどちらかで存在し得る。当業者に認識されるように、組成物で使用するGnRH関連化合物の実際の量は、問題の選択したGnRH化合物の効力に依存する。
【0037】
本発明で利用するGnRH拮抗薬は、当業者に公知の方法または本発明に記載するプロセスを使用して調製できる。たとえば、アシリンは、U.S.Patent No.5,506,207に記載した方法によって調製できる。あるいは、アシリンは、下の第II節に記載する共溶媒系を使用するプロセスによって調製できる。
【0038】
II.GnRH関連化合物の調製での共溶媒系の利用
GnRH関連化合物の調製方法、たとえば調製の最終ステップの精製条件を最適化することは、GnRH関連化合物のゲル化傾向に影響し得ることが見出されている。
【0039】
本発明の一態様は、GnRH関連化合物の治療的有効量を含む組成物を提供し、GnRH関連化合物は、GnRH化合物のゲル化が低減されるような方式で、共溶媒系の存在下で調製される。
【0040】
本発明の別の態様は、GnRH関連化合物を調製するプロセスを提供する。プロセスは、GnRH関連化合物のゲル化を低減するために、共溶媒系の存在下でGnRH関連化合物を調製するステップを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、GnRH関連化合物の調製の最終ステップは、共溶媒系の存在下で実施される。いくつかの実施形態において、最終ステップは、公知の技法、たとえば凍結乾燥、トレー乾燥、スプレー乾燥、流動床乾燥、または当業者に公知の他の同様の技法を使用する乾燥である。
【0042】
いくつかの実施形態において、共溶媒系は、水および少なくとも1つの水混和性溶媒を含む。水混和性溶媒は、これに限定されるわけではないが、直鎖または分枝C
1−6アルコール、テトラヒドロフラン、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ジエチルケトン、ペンタン−3−オン、シクロヘキサン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキサン、アルコール、エチレングリコール、ジグリム、モノグリム、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよびその混合物から選択できる。ある実施形態において、少なくとも1つの水混和性溶媒は、直鎖または分枝C
1−6アルコールである。例示的な好適なアルコールは、これに限定されるわけではないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、およびヘキサノールを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水混和性溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールおよびtert−ブタノールからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの水混和性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、アセトニトリル、および塩化メチレンからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、本発明は、2つ以上の水混和性溶媒を用いて実施され得る。いくつかの実施形態において、水混和性溶媒の水に対する重量比は、1/1000〜99/1の範囲である。いくつかの実施形態において、重量比は、3/97〜59/41である。
【0043】
いくつかの実施形態において、プロセスは、GnRH関連化合物の調製中に酸を添加するステップをさらに含む。本発明で使用する酸は、これに限定されるわけではないが、酢酸、硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸塩、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、およびホウ酸などを含む。一般に、酸の濃度は、GnRH関連化合物の塩を調製するのに十分である。いくつかの実施形態において、酸の濃度は、GnRH関連化合物の分子量および本明細書で使用する酸に依存する。いくつかの実施形態において、濃度は、溶液の約0.5%〜約20%の範囲の濃度である。
【0044】
III.GnRH関連化合物の組成物での抗ゲル化剤の利用
本発明の一態様は、1つ以上のGnRH関連化合物の治療的有効量、およびGnRH拮抗薬のゲル化を低減させる少なくとも1つの抗ゲル化剤の十分量を含む組成物を提供する。
【0045】
本発明で使用する抗ゲル化剤の量は、かなり変わることがある。たとえば量は、個々の抗ゲル化剤、溶媒系および組成物中の他の構成要素に依存する可能性がある。一般に、抗ゲル化剤の量は、GnRH関連化合物の少なくとも50%のゲル化を低減するのに十分であるべきである。いくつかの実施形態において、抗ゲル化剤の量はGnRH関連化合物の少なくとも80%のゲル化を低減させるのに十分であるべきである。他の実施形態において、抗ゲル化剤の量は、GnRH関連化合物の少なくとも90%のゲル化を低減させるのに十分であるべきである。いくつかの実施形態において、組成物中の抗ゲル化剤の濃度は、抗ゲル化剤のCMC(臨界ミセル濃度)と少なくとも等しいか、またはそれ以上である。
【0046】
A.中鎖脂肪酸およびその誘導体
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテル、もしくは誘導体であり、炭素原子約4〜約20個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテル、もしくは誘導体であり、炭素原子6〜20個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態において、炭素鎖長は8〜14である。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、中鎖脂肪酸の塩であり、炭素原子8〜14個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテル、もしくは誘導体であり、炭素原子6〜20個の炭素鎖長を有する。ただし(i)抗ゲル化剤が中鎖脂肪酸のエステルである場合、炭素原子6〜20個の該鎖長がカルボキシラート部分の鎖長に関連する、および(ii)抗ゲル化剤が中鎖脂肪酸のエーテルである場合、少なくとも1個のアルコキシ基が炭素原子6〜20個の炭素鎖長を有する。別の実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、室温にて固体であり、炭素原子8〜14この炭素長を有する、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテル、もしくは誘導体である。ただし(i)抗ゲル化剤が中鎖脂肪酸のエステルである場合、炭素原子8〜14個の該鎖長がカルボキシラート部分の鎖長に関連する、および(ii)抗ゲル化剤が中鎖脂肪酸のエーテルである場合、少なくとも1個のアルコキシ基が炭素原子8〜14個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、炭素原子8〜14個の炭素鎖長を有する中鎖脂肪酸のナトリウム塩である。いくつかの実施形態において、抗ゲル化剤は室温にて固体である。別の実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、およびその化合物からなる群より選択される。一実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤はカプリン酸ナトリウムである。
【0047】
B.界面活性剤
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は界面活性剤である。本明細書で使用するように、「界面活性剤」という用語は、それが溶解される媒体の表面張力および/または他の相との界面張力を低下させて、したがって液体/蒸気界面および/または他の界面にて確実に吸収される薬剤を指す。本発明で使用する界面活性剤は、両方のイオン性薬剤、すなわちカチオン性、アニオン性、もしくは両性、および非イオン性薬剤、またはその混合物を含む。
【0048】
カチオン性界面活性剤の例は、これに限定されるわけではないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ジセチルアンモニウム、臭化セチルジメチルエチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムおよび上記の界面活性剤の塩を含む。
【0049】
アニオン性界面活性剤の例は、これに限定されるわけではないが、ステアロイル乳酸ナトリウム、水素化レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、C
8−32脂肪酸およびその塩;コール酸およびその誘導体、たとえばデオキシコール酸(deoxycholate)、およびその塩、ウルソデオキシコール酸、およびタウロコール酸;酒石酸のC
8−56ジエステル;リン脂質、たとえばホスファチジン酸およびホスファチジルセリン;乳酸のC
5−29モノエステル;アルキル−、オレフィン−、およびアルキルアリール誘導体を含むC
8−20スルホン酸塩;トリデシル−およびドデシルベンゼンスルホン酸;ならびにC
5−33サルコシンおよびベタイン誘導体を含む。
【0050】
両性イオン界面活性剤の例は、これに限定されるわけではないが、リン脂質、たとえばレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルオキシド、およびコカミドプロピルベタイン、およびココアンホグリシネートを含む。
【0051】
非イオン性界面活性剤の例は、これに限定されるわけではないが、ステアレス;ポリエチレングリコール(PEG);ポリソルベート(たとえばツイーン80);セテアリルグルコシド;各種の市販のソルビタンおよびその誘導体、たとえばソルビタンヘキサステアリン酸エトキシレートEO 6モル、ソルビタンイソステアリン酸、ソルビタンラウリン酸、ソルビタンモノイソステアリン酸エトキシレートEO 20モル、ソルビタンモノラウリン酸エトキシレートEO 20モル、ソルビタンモノオレイン酸エトキシレートEO 20モル、ソルビタンモノパルミチン酸エトキシレートEO 20モル、ソルビタンモノステアリン酸エトキシレートEO 20モル、ソルビタンモノステアリン酸(monstearate)エトキシレートEO 6モル、ソルビタンオレイン酸、ソルビタンパルミチン酸、ソルビタンセスキオレイン酸、ソルビタンステアリン酸、ソルビタンテトラオレイン酸エトキシレートEO 30モル、ソルビタンテトラオレイン酸エトキシレートEO 40モル、ソルビタンテトラオレイン酸エトキシレートEO 6モル、ソルビタンテトラステアリン酸エトキシレートEO 60モル、ソルビタントリオレイン酸エトキシレートEO 20モル、ソルビタントリオレイン酸ソルビタントリステアリン酸エトキシレートEO 20モル、およびソルビタントリステアリン酸;エトキシ化ヒマシ油、C
5−29モノグリセリドおよびそのエトキシ化誘導体;C
15−60ジグリセリドおよび1〜90個のPOE基を有するそのポリオキシエチレン誘導体;長鎖脂肪酸(炭素原子16個以上を有する脂肪酸)のC
10−40エステル(アルコール中、炭素原子10〜40個);ステロール、たとえばコレステロール、エルゴステロール、およびそのC
2−24エステル;C
8−96エトキシ化脂肪エステル;C
14−130スクロース脂肪エステル;および0〜90個のPOE基を有するそのポリオキシエチレン(POE)誘導体、たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸、ソルビトールヘキサオレイン酸POE(50)を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート界面活性剤(たとえばポリソルベート20(ツイーン20)、ポリソルベート80(ツイーン80))、ソルビタン界面活性剤、ソルビタンモノラウリン酸およびポリエトキシ化ヒマシ油およびその組合せからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの界面活性剤はポリソルベートを含む。
【0053】
IV.さらなる賦形剤
本発明のいくつかの態様により、本発明の組成物は、1つ以上の賦形剤をさらに含む。当業者に認識されるように、賦形剤およびその相対量の的確な選択は、最終投薬形態にある程度依存する。いくつかの実施形態において、賦形剤は、速度制御ポリマー材料、希釈剤、潤滑剤、崩壊剤、可塑剤、粘着防止剤、乳白剤、顔料、および着香料からなる群より選択される。
【0054】
本明細書で使用するように、「速度制御ポリマー材料」という用語は、本発明の固体経口投薬形態からの薬物化合物、たとえばGnRH関連化合物の放出を制御または遅延できる、親水性ポリマー、疎水性ポリマーならびに親水性および/または疎水性ポリマーの混合物を含む。好適な速度制御ポリマー材料は、ヒドロキシアルキルセルロース、たとえばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリ(エチレン)オキシド;アルキルセルロース、たとえばエチルセルロースおよびメチルセルロース;カルボキシメチルセルロース、親水性セルロース誘導体;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドン;酢酸セルロース;酢酸酪酸セルロース;酢酸フタル酸セルロース;酢酸トリメリット酸セルロース;酢酸フタル酸ポリビニル;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルアセタールジエチルアミノ酢酸;ポリ(アルキルメタクリレート)およびポリ(酢酸ビニル)からなる群より選択されるものを含む。他の好適な疎水性ポリマーは、アクリル酸もしくはメタクリル酸およびその各エステルに由来するポリマーおよび/またはコポリマー、ゼイン、ワックス、シェラックおよび水素化植物油を含む。一実施形態において、速度制御ポリマーは、アクリル酸もしくはメタクリル酸およびその各エステルに由来するポリマーまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸およびその各エステルに由来するコポリマーを含む。別の実施形態において、速度制御ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの速度制御ポリマー材料が、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸およびポリメタクリル酸塩ポリマー、たとえばオイドラギット(登録商標)という商標名で販売されているもの(Rohm GmbH,Darmstadt,Germany)、たとえばオイドラギット(登録商標)L、オイドラギット(登録商標)S、オイドラギット(登録商標)RL、オイドラギット(登録商標)RSコーティング材料およびその混合物からなる群より選択される。これらのポリマーのいくつかは、薬物が放出される部位を制御する遅延放出ポリマーとして使用できる。いくつかの実施形態において、速度制御ポリマーは、ポリメタクリル酸塩ポリマー、たとえばオイドラギット(登録商標)という商標名で販売されているもの(Rohm GmbH,Darmstadt,Germany)、たとえばオイドラギット(登録商標)L、オイドラギット(登録商標)S、オイドラギット(登録商標)RL、オイドラギット(登録商標)RSコーティング材料およびその混合物を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明は希釈剤をさらに含み得る。いずれの好適な希釈剤も本発明で使用され得る。例示的な希釈剤は、製薬学的に許容される不活性充填剤、たとえば微結晶性セルロース、ラクトース、リン酸水素ナトリウム、サッカライドおよび/またはその混合物を含む。希釈剤の例は、微結晶性セルロース、たとえばアビセルという商標名で販売されているもの(FMC Corp.,Philadelphia,Pa.)、たとえばアビセル(商標)pH101、アビセル(商標)pH102およびアビセル(商標)pH112;ラクトース、たとえばラクトース1水和物、無水ラクトースおよびファルマトースDCL21;リン酸水素ナトリウム、たとえばエンコンプレス(登録商標)(JRS Pharma,Patterson,N.Y.);マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;およびグルコースを含むが、これらには限定されない。いくつかの実施形態において、不活性充填剤は微結晶性セルロースを含む。一実施形態において、不活性充填剤は、ラクトース1水和物および無水ラクトースからなる群より選択されるラクトースを含む。別の実施形態において、不活性充填剤は、マンニトール、デンプン、ソルビトール、スクロース、およびグルコースからなる群より選択されるサッカライドを含む。一実施形態において、サッカライドはソルビトールである。
【0057】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は潤滑剤をさらに含み得る。いずれの好適な潤滑剤も本発明で使用され得る。いくつかの実施形態において、潤滑剤は、圧縮される粉末の流動性に作用する薬剤を含む。例示的な潤滑剤は、コロイド状二酸化ケイ素、たとえばアエロジル(商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸カルシウムを含むが、これらには限定されない。いくつかの実施形態において、潤滑剤はステアリン酸である。
【0058】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は崩壊剤をさらに含み得る。いずれの好適な崩壊剤も本発明で使用され得る。例示的な崩壊剤は、これに限定されるわけではないが、軽度に架橋されたポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンおよび修飾デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリコール酸デンプンナトリウムおよびその混合物を含む。いくつかの実施形態において、崩壊剤はクロスポビドンおよびポリビニルピロリドンより選択される。
【0059】
いくつかの実施形態において、上述の組成物はエンハンサをさらに含み得る。エンハンサは、当業者に公知であるいずれの好適なエンハンサも含むことができる。例示的なエンハンサは、炭素原子4〜20個の炭素鎖長を有する、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテル、もしくは誘導体を含むが、これらには限定されない。いくつかの実施形態において、エンハンサは室温にて固体である。いくつかの実施形態において、エンハンサは、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテル、もしくは誘導体であり、炭素原子6〜20個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態において、炭素鎖長は8〜14である。いくつかの実施形態において、エンハンサはS−シクロデキストリン、ビタミンE TPGS、没食子酸エステル、クロスポビドン、ソルビタンエステル、ポロキサマー、またはクレマホールを含む。いくつかの実施形態において、エンハンサは、中鎖グリセリドまたは中鎖グリセリドの混合物である。例示的なエンハンサは、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、U.S.Patent Publication No.2003/0091623、およびU.S.Patent No.6,372,728にさらに記載されている。
【0060】
V.GnRH関連化合物の組成物の調製方法
本発明のいくつかの態様により、1つ以上のGnRH関連化合物の組成物の調製方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、GnRH関連化合物を1つ以上の抗ゲル化剤と混合するステップを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテル、もしくは誘導体であり、炭素原子約4〜約20個の炭素鎖長を有し、または界面活性剤である。本明細書で使用するように、「混合すること」という用語は、GnRH拮抗薬を1つ以上の抗ゲル化剤と接触させること、組み合せること、反応させることおよび/またはゲル化剤によってコーティングすることを意味する。一実施形態において、「混合すること」は、GnRH関連化合物を組成物中の抗ゲル化剤と組み合せることを意味する。一実施形態において、組成物中の抗ゲル化剤の濃度は、組成物中の抗ゲル化剤の臨界ミセル濃度と少なくとも等しいか、またはそれ以上である。一実施形態において、GnRH関連化合物は、本明細書に記載する共溶媒系の存在下で調製される。
【0061】
VI.製薬学的組成物および投与
一実施形態において、本発明は、1つ以上のGnRH拮抗薬の治療的有効量、および少なくとも1つの抗ゲル化剤の、GnRH拮抗薬のゲル化を低減するために十分な量を含む製薬学的組成物を提供し、少なくとも1つの抗ゲル化剤は、中鎖脂肪酸塩、または中鎖脂肪酸のエステル、エーテル、もしくは誘導体であり、炭素原子約4〜約20個の炭素鎖長を有するか、または界面活性剤である。別の実施形態において、製薬学的組成物は、製薬学的に許容される担体をさらに含む。「製薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書で使用するように、それ自体は治療剤でなく、対象への治療剤を送達するためのビヒクルとして使用される任意の物質を指す。
【0062】
本発明の組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、経直腸、鼻内、舌下、頬側、経膣またはインプラントリザーバ投与用の処方に好適であり得る。一実施形態において、組成物は、経口的に、局所的に、腹腔内にまたは静脈内に投与される。本発明の組成物の滅菌注射形態は、水性または油性懸濁剤であり得る。これらの懸濁剤は、好適な分散化剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当分野で公知の技法に従って処方され得る。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用液剤または懸濁剤でもあり得る。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌固定油は慣習的に、溶媒または懸濁媒体として使用される。
【0063】
いくつかの実施形態において、本発明で使用する組成物は、経口投薬形態である。いくつかの実施形態において、経口投薬形態は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、顆粒剤または粉剤を充填したカプセル剤、液体または半固体を充填したカプセル剤、顆粒剤または粉剤を充填したサシェ剤、液体、エマルジョン、マイクロエマルジョン、およびエマルジョンを形成できる任意の組成物から選択される。一実施形態において、経口投薬形態は、錠剤、多重粒子、またはカプセル剤であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、経口投薬形態は、GnRH関連化合物および抗ゲル化剤またはエンハンサの胃内での放出、そのためそこでの局所的な抗ゲル化剤またはエンハンサの希釈を最小限に抑えて、GnRH関連化合物および抗ゲル化剤またはエンハンサを腸内で放出する、遅延放出投薬形態である。いくつかの実施形態において、経口投薬形態は遅延放出即効性投薬形態である。このような投薬形態は、GnRH関連化合物および抗ゲル化剤またはエンハンサの胃内での放出、そのためそこでの局所的な抗ゲル化剤またはエンハンサの希釈を最小限に抑えるが、腸内の適切な部位に達するとGnRH関連化合物および抗ゲル化剤またはエンハンサを迅速に放出して、GnRH関連化合物および抗ゲル化剤の吸収部位での局所濃度を最大化することによって、透過性または溶解性の不十分なGnRH関連化合物の送達を最大化する。
【0065】
本明細書に記載する実施形態のいずれの場合でも、制御放出コーティングを最終投薬形態(カプセル剤、錠剤、多層錠剤など)に適用することができる。一実施形態において、制御放出コーティングは、本明細書に記載する速度制御ポリマー材料を含み得る。このようなコーティング材料の溶解特徴は、pH依存性またはpH非依存性であり得る。
【0066】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、その表面に腸溶コーティングを有し得る。一実施形態において、腸溶コーティングは、ポリ(アクリル酸)、ポリアクリル酸塩、ポリ(メタクリル酸)、ポリメタクリル酸塩、およびその混合物からなる群より選択されるポリマーを含む。いくつかの実施形態において、腸溶コート組成物は、錠剤またはカプセル剤の形態であり得る。
【0067】
「錠剤」という用語は、本明細書で使用するように、これに限定されるわけではないが、即時放出(IR)錠剤、持続放出(SR)錠剤、マトリクス錠剤、多層錠剤、多層マトリクス錠剤、長期錠剤、遅延放出錠剤およびパルス放出錠剤を含み、そのいずれも任意選択的に、ポリマーコーティング材料、たとえば腸溶コーティング、速度制御コーティング、半透性コーティングなどを含む、1つ以上のポリマーコーティング材料によってコーティングされ得る。「錠剤」という用語は、薬物化合物がオスマジェント(および任意選択的に他の賦形剤)と組合されて、半透膜でコーティングされる浸透性送達系も含み、半透膜は、薬物化合物が透過され得るオリフィスを画成する。本発明の実施で有用であり得る錠剤固体経口投薬形態は、IR錠剤、SR錠剤、コートIR錠剤、マトリクス錠剤、コートマトリクス錠剤、多層錠剤、コート多層錠剤、多層マトリクス錠剤およびコート多層マトリクス錠剤からなる群より選択されるものを含む。いくつかの実施形態において、錠剤投薬形態は腸溶コート錠剤投薬形態である。いくつかの実施形態において、錠剤投薬形態は腸溶コート即効性錠剤投薬形態である。
【0068】
本発明の実施で有用であり得るカプセル剤固体経口投薬形態は、即時放出カプセル剤、持続放出カプセル剤、コート即時放出カプセル剤、および遅延放出カプセル剤を含むコート持続放出カプセル剤からなる群より選択されるものを含む。カプセル剤は、粉剤、顆粒剤、多重粒子、錠剤、半固体、または液体で充填され得る。いくつかの実施形態において、カプセル剤投薬形態は腸溶コートカプセル剤投薬形態である。いくつかの実施形態において、カプセル剤投薬形態は腸溶コート即効性カプセル剤投薬形態である。カプセル剤は、硬ゼラチン、軟ゼラチン、デンプン、セルロースポリマー、または当分野で公知であるような他の材料から成り得る。
【0069】
「多重粒子」という用語は、本明細書で使用するように、複数の別個の粒子、ペレット、ミニ錠剤およびその混合物または組合せを意味する。経口形態が多重粒子カプセル剤である場合、このような硬ゼラチンまたは軟ゼラチンカプセル剤は、多重粒子を含有するために好適に使用することができる。いくつかの実施形態において、サシェ剤は、多重粒子を含有するために好適に使用され得る。いくつかの実施形態において、多重粒子は、速度制御ポリマー材料を含有する層によってコーティングされ得る。いくつかの実施形態において、本発明による多重粒子経口投薬形態は、異なるインビトロおよび/またはインビボ放出特徴を有する粒子、ペレット、またはミニ錠剤の2つ以上の集合のブレンドを含み得る。たとえば多重粒子経口投薬形態は、好適なカプセル剤中に含有された即時放出構成要素および遅延放出構成要素のブレンドを含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、多重粒子および1つ以上の補助賦形剤材料は、多層錠剤などの錠剤に圧縮することができる。いくつかの実施形態において、多層錠剤は、同じまたは異なる放出特徴を有する、同じ活性成分の同じまたは異なるレベルを含有する2つの層を含み得る。いくつかの実施形態において、多層錠剤は、各層に異なる活性成分を含有し得る。このような錠剤は、単層でも多層でも、さらなる制御放出特性を備えるために制御放出ポリマーによって、任意選択的にコーティングすることができる。いくつかの実施形態において、多重粒子投薬形態は、遅延放出即効性ミニ錠剤を含有するカプセル剤を含む。いくつかの実施形態において、多重粒子投薬形態は、即時放出ミニ錠剤を含む遅延放出カプセル剤を含む。いくつかの実施形態において、多重粒子投薬形態は、遅延放出顆粒剤を含むカプセル剤を含む。いくつかの実施形態において、多重粒子投薬形態は、即時放出顆粒剤を含む遅延放出カプセル剤を含む。
【0071】
「エマルジョン」という用語は、本明細書で使用するように、1つの液体の第2の不混和性液体による懸濁物または分散物を意味する。いくつかの実施形態において、エマルジョンは、水中油型または水中油中水型エマルジョンである。
【0072】
「マイクロエマルジョン」という用語は、本明細書で使用するように、疎水性(油様)相および親水性(水様)相ならびに界面活性剤がミセル構造を形成する溶液を意味する。このような分散物は、長期にわたって透明および安定である。
【0073】
さらに「エマルジョン」または「マイクロエマルジョン」は、本明細書で使用するように、疎水性または親水性液体による希釈時に、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンをそれぞれ形成する、親水性または疎水性液体を含む。いくつかの実施形態において、「エマルジョン」、または「マイクロエマルジョン」は、本明細書で使用するように、より高い温度にて液体であり得る固体または半固体材料を含み得る。たとえば、材料は室温にて固体であり得る。ほぼ体温(約37℃)では、材料は液体であり得る。
【0074】
あるいは、本発明の製薬学的に許容される組成物は、経直腸投与用の坐剤の形態であり得る。坐剤は、室温にて固体であるが、直腸温度にて液体であり、したがって直腸内で溶融して薬物を放出する好適な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することによって調製できる。このような材料は、ココアバター、ミツロウおよびポリエチレングリコールを含む。
【0075】
本発明の製薬学的に許容される組成物は、活性構成要素が1つ以上の担体中に懸濁または溶解されている局所用溶液、軟膏、またはクリームの形態であり得る。本発明の化合物の局所投与のための担体は、これに限定されるわけではないが、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水を含む。局所処方が軟膏またはクリームの形態である場合、好適な担体は、これに限定されるわけではないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含む。
【0076】
製薬学的に許容される組成物が眼科用処方である場合、組成物は、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存料を含むか、または含まないかのどちらかの、等張性のpH調整滅菌水溶液による微粉化懸濁物、または等張性のpH調整滅菌生理食塩水による溶液であり得る。あるいは、眼科用途では、製薬学的に許容される組成物は、軟膏の形態で処方され得る。
【0077】
本発明の製薬学的に許容される組成物は、鼻内、エアゾールによって、または吸入投与経路によっても投与され得る。このような組成物は、製薬学的処方の分野で周知の技法に従って調製され、生理食塩水による溶液として、ベンジルアルコールまたは他の好適な保存料、生物学的利用能を向上させるための吸収エンハンサ、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散化剤を使用して調製され得る。
【0078】
いずれかの特定の患者のための具体的な投薬量および治療レジメンは、使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与時間、排出速度、薬物の組合せ、ならびに治療する医師の判断および治療される特定の疾患の重症度を含む多様な因子に依存することも理解されるべきである。組成物中の本発明の化合物の量も、組成物中の特定の化合物に依存する。
【0079】
VII.エマルジョン組成物
本発明のいくつかの態様により、本明細書に記載する組成物は、エマルジョン組成物の形態である。GnRH関連化合物は、エマルジョン組成物の内部相に含有され得る。エマルジョン組成物の非水性内相は、極性の製薬学的に許容される酸素含有液体、たとえばC
2−C
30多価アルコール、繰り返し単位4〜200個を持つポリ(エチレンまたはプロピレン)グリコール、および上述のいずれかのC
1−C
5エーテルまたはC
2−C
30エステル誘導体である。このような材料の例は、これに限定されるわけではないが、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、400、600、1500、4000および6000(数は繰り返し単位の数とほぼ相関し、4〜200に及ぶ)、エチレングリコール、ジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリアセチン、中鎖(C
6−C
10)トリグリセリド、たとえばトリカプリリン(グリセロールのカプリル酸エステル、およびポリプロピレングリコールC
8ジエステル(カプテックス200)を含む。いくつかの実施形態において、エマルジョン組成物は、C
8−C
22脂肪酸外部相の低級アルキルエステルに分散されている内部相としての、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、400、600、1500、4000および6000、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリアセチン、中鎖(C
8−C
10)トリグリセリドおよびプロピレングリコールC
8ジエステルから選択される極性、非水性、酸素含有の製薬学的に許容される液体中に含有されたGnRH関連化合物と、乳化剤としてのレシチンとを含み、構成要素の量は、極性液体が1〜20%;脂肪エステルが33〜70%;レシチンが20〜60%である。エマルジョン組成物は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、U.S.Patent No.5,110,606にさらに記載されている。
【0080】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する組成物は、高安定性油中水型マイクロエマルジョンの形態である。GnRH関連化合物の治療的有効量を含むマイクロエマルジョンは、その内部水相にある。GnRH関連化合物は、水を添加して連続水相を形成してマイクロエマルジョンを水中油型エマルジョンにただちに変換することによって、必要な場合には投与直前に制御放出され得る。いくつかの実施形態において、油中水型マイクロエマルジョン組成物は、(a)約20体積パーセントまでの、GnRH関連化合物の有効量を含む内部分散水相と、(b)約30〜99体積パーセントの、炭素原子約15〜40個を有するプロピレングリコールのジエステルを含む連続油相と、(c)約1〜70体積パーセントの界面活性剤または界面活性剤の混合物とを含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤または界面活性剤混合物は、7〜14の親水性−親油性バランス値を有する。界面活性剤または界面活性剤混合物は、臭化セチルジメチルエチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム;C
8−32脂肪酸およびその塩;コール酸;酒石酸のC
8−56ジエステル;リン脂質;乳酸のC
5−29モノエステル;C
8−20スルホン酸塩;トリデシル−およびドデシルベンゼンスルホン酸;C
5−33サルコシンおよびベタイン;ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、エトキシ化ヒマシ油;C
5−29モノグリセリドおよびそのエトキシ化誘導体;C
15−60ジグリセリドおよびそのPOE基1〜90個を有するポリオキシエチレン誘導体;長鎖脂肪酸のC
10−40エステル;C
10−40アルコール;C
8−96エトキシ化脂肪エステル;C
14−130スクロース脂肪エステル;ならびにC
20−130ソルビトールおよびソルビタンモノエステル、ジエステル、およびトリエステル(trimesters)、ならびにPOE基1〜90個を有するポリオキシエチレン(POE)誘導体より選択される。エマルジョン組成物は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、U.S.Patent No.5,444,041にさらに記載されている。
【0081】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する組成物は、(a)60体積パーセントまでの、GnRH関連化合物の治療的有効量を含む内部分散水相と;(b)約5〜99体積パーセントの、C
9−83トリグリセリド、プロピレングリコールのC
7−55ジエステル、またはその混合物を含む少なくとも1つの製薬学的に許容される油を含む連続油相と;(c)約1〜約70体積パーセントの界面活性剤と;をさらに含む油中水型マイクロエマルジョン組成物の形態である。いくつかの実施形態において、界面活性剤混合物は、C
8脂肪酸塩を含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤または界面活性剤混合物は、少なくとも約7のHLB値を有する。マイクロエマルジョン組成物は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、U.S.Patent No.5,633,226にさらに記載されている。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載する組成物は、1)マイクロエマルジョンの総体積に基づいて、約60体積パーセントまでのGnRH関連化合物の治療的有効量を含む内部分散水相と;(2)5〜90体積パーセントの、少なくとも1つの製薬学的に許容される油を含む連続油相と;(3)1〜70体積パーセントの、界面活性剤または界面活性剤混合物と;を含む、油中水型マイクロエマルジョン組成物の形態である。いくつかの実施形態において、界面活性剤または界面活性剤混合物は、7〜14の親水性−親油性バランス値を有する。エマルジョン組成物は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、U.S.Patent No.5,646,109にさらに記載されている。
【0083】
別の実施形態において、本明細書に記載する組成物は、(a)約5〜約99体積パーセントの、少なくとも1つの製薬学的に許容される油を含む油相と;(b)約60体積パーセントまでの、水を含む水相と;(c)GnRH関連化合物の治療的有効量と;(d)約1〜約70体積パーセントの界面活性剤混合物と;を含む油中水型マイクロエマルジョン組成物の形態であり得る。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、約7〜約14の複合HLB値を有する。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、(i)8以下のHLBを有する低HLB界面活性剤であって、少なくとも80重量パーセントのC
9モノグリセリド、C
10モノグリセリド、C
11モノグリセリド、C
12モノグリセリド、またはC
13モノグリセリドである低HLB界面活性剤と、(ii)約8を超えるHLB値を有する少なくとも1つの界面活性剤とを含む。いくつかの実施形態において、マイクロエマルジョン組成物は、(a)約5〜約99体積パーセントの、少なくとも1つの製薬学的に許容される油を含む油相と;(b)約60体積パーセントまでの、水を含む水相と;(c)10:1を超える水:油分配係数を有する、GnRH関連化合物の治療的有効量;(d)約1〜約70体積パーセントの界面活性剤混合物と;(e)水性流体の添加時に油中水型マイクロエマルジョンを水中油型マイクロエマルジョンに変換させるのに十分な量で存在する、修飾剤と;を含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、約7を超える複合HLB値を有する。他の実施形態において、界面活性剤は、(i)8以下のHLBを有する低HLB界面活性剤であって、少なくとも80重量パーセントのC
9モノグリセリド、C
10モノグリセリド、C
11モノグリセリド、C
12モノグリセリド、またはC
13モノグリセリドである低HLB界面活性剤と、(ii)約8を超えるHLB値を有する少なくとも1つの界面活性剤とを含む。マイクロエマルジョン組成物は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、U.S.Patent No.5,688,761にさらに記載されている。
【0084】
別の実施形態において、本明細書に記載する組成物は、安定な透明の薬物送達組成物であり得る。組成物は、(a)(1)約1〜約80重量パーセントの製薬学的に許容される油相;(2)約3〜約98重量パーセントの界面活性剤;(3)約2〜約60重量パーセントのポリエチレングリコール;(4)約0.5〜約15重量パーセントの水;を含む送達組成物と;(b)GnRH関連化合物の治療的有効量と;を含む。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールの水に対する比は、少なくとも2:1である。いくつかの実施形態において、組成物は、(a)約5〜約70重量パーセントの製薬学的に許容される油相と;(b)約10〜約80重量パーセントの界面活性剤と;(c)約60〜約95重量パーセントのポリエチレングリコールと、約2〜約30重量パーセントの水、および約1〜約15重量パーセントの、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、スクロース、フルクトース、グルコース、またはラクトースを含む可塑剤を含む、約5〜約60重量パーセントの水相と;(d)GnRH関連化合物の治療的有効量とを含む。マイクロエマルジョン組成物は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする、U.S.Patent No.5,707,648にさらに記載されている。
【0085】
VIII 治療および使用の方法
本発明の別の態様は、GnRH関連化合物によって治療可能な疾患の治療方法であって、該疾患に苦しむ患者に本明細書に記載する製薬学的組成物を投与するステップを含む方法を提供する。本明細書で使用するように、疾患は、これに限定されるわけではないが、性ホルモン依存性疾患、たとえば良性前立腺肥大、前立腺癌、エストロゲン依存性乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮内膜症および性的早熟症、ならびにヒトまたは動物対象における避妊を含む。または本発明の別の態様により、該GnRH関連化合物によって治療可能な疾患の治療のための医薬品の製造における、本明細書に記載するような製薬学的組成物が提供される。
【0086】
本明細書に記載するすべての実施形態の組合せも、本発明で想定されることが理解される。
【0087】
本発明はここで、以下の実施例を参照してさらに詳細に説明される。しかし、これらの実施例は、例証の目的で与えられ、本発明の範囲を制限するとして解釈すべきではない。
【0088】
[実施例]
1.アシリン調製中の共溶媒の利用
(1)アシリンバッチの調製
6つの異なるアシリンバッチを、アシリン調製の最終ステップである凍結乾燥手順の変形をまとめた
図1に示す。ロットXF 173/315−125、XF 185/165−133およびXF 173/315−151Aでは、凍結乾燥ステップで共溶媒系を使用する。他のバッチでは、溶媒として水を使用する。バッチおよび関連する凍結乾燥溶媒も
図1に示す。アシリンは、当業者に公知の方法、たとえばU.S.Patent No.6,747,125、または本出願に記載したプロセスに従って調製され得る。
【実施例1】
【0089】
プロピレングリコール中での異なるアシリンバッチのゲル化の試験を実施し、結果を表2にまとめる。9%および16.7%のアシリン試料は、
図1に示すアシリンバッチを使用して調製する。XF 173/315−125、XF 185/165−133およびXF 173/315−151Aの9%アシリン試料は、凍結乾燥ステップ中の共溶媒の使用によって調製したアシリンを使用することによって調製する。XF 173/315−125、XF 185/165−133およびXF 173/315−151Aのアシリンバッチは、2時間後に清澄で非粘性に見える。溶媒として水を使用して凍結乾燥する他のバッチは、ゲル化したアシリンの存在のために、清澄で非粘性溶液には見えなかった。
【実施例2】
【0090】
水中での異なるアシリン薬物バッチのゲル化について調べ、結果を
図3にまとめる。0.5%および1%アシリン試料は、
図1に示すアシリンバッチを使用して調製する。凍結乾燥ステップ中に共溶媒を使用して調製するXF 173/315−125、XF 185/165−133およびXF 173/315−151Aの0.5%および1%アシリン試料は、水に溶解させたときに清澄および非粘性に見える。
【実施例3】
【0091】
標準化マイクロエマルジョン(SM)中での異なるアシリンバッチのゲル化の傾向を調べる。結果を
図4(a)にまとめる。標準マイクロエマルジョンの処方を
図4(b)に示す。マイクロエマルジョンでのアシリン5mgおよび10mg処方は、
図1で合成したアシリンロットを使用して調製する。凍結乾燥ステップ中に共溶媒を使用して調製するXF 173/315−151Aのアシリンバッチの5mgおよび10mg用量は、2時間後に清澄および透明であった。
【0092】
2.アシリン組成物の処方での抗ゲル化剤の利用
比較実験の一般手順
アシリンを室温または37℃のどちらかのpH6.8緩衝溶液に添加することによって、異なる濃度のアシリン組成物を調製する。すべてのアシリン溶液は、0.6mg/mLカプリン酸ナトリウムを含有する(図では、カプリン酸ナトリウムをC
10で示す)。分析前に、すべての試料を遠心分離にかけて濾過する。試料をUV検出と共に逆相HPLCで分析する。
【実施例4】
【0093】
アシリン10mgを200mLのメスフラスコに移す。pH6.8緩衝溶液を37℃まで予熱する。次に、予熱した緩衝溶液100mLおよび0.6mg/mLカプリン酸ナトリウムをフラスコに添加して、0.1mg/mLアシリン試料を調製する。同様の方式で、ツイーン80を添加して、0.1mg/mLアシリン溶液を1%ツイーン80によって調製する。試料を37℃に温度調節された水浴中で振とうする。アシリンと緩衝溶液を混合した、1、5、10、15、20、30および120分後に、試料5mLを採取する。試料を0.45μmフィルタでただちに濾過して、最初の3mLは廃棄する。濾過した試料を希釈せずに、UV検出と共に逆相HPLCで分析する。すべての試料を2つずつ調製して、2つの試料の平均から分析のための濃度を得た。0.1mg/mLアシリン試料での1%および0%ツイーン80の比較の結果を、
図5にグラフとして記録する。結果は、CMC以下の濃度のカプリン酸ナトリウムが単独では、アシリンのゲル化を低減するのに不十分であることを示している。1%ツイーン80の添加によって、ゲル化がうまく低減される。
【実施例5】
【0094】
実施例4と同様の実験手順を使用して、実施例5のアシリン試料を調製する。0.6mg/mLカプリン酸ナトリウムおよび0.1mg/mLアシリンを含有するリン酸緩衝液での、5mg/mL、1mg/mL、0.1mg/mLおよび1%ツイーンの比較の結果を、
図6にグラフとして記録する。結果は、1%ツイーン80溶液のみが、アシリンのゲル化を完全に抑制し得ることを示している。
【実施例6】
【0095】
実施例4と同様の実験手順を使用して、実施例6のアシリン試料を調製する。0.1および0.01mg/mLアシリン試料での、1%および1mg/mLツイーン80の比較の結果を、
図7にグラフとして記録する。結果は、1%ツイーン80が、0.1mg/mLおよび0.01mg/mLアシリン試料の両方のゲル化を低減することを示している。
【実施例7】
【0096】
実施例4と同様の実験手順を使用して、実施例7のアシリン試料を調製する。0.1%、0.5%および1%ツイーン80を有する0.01mg/mLアシリン試料の比較の結果を、
図8にグラフとして記録する。結果は、1%ツイーン80を含むアシリン試料がゲル化を著しく低減することを示している。
【実施例8】
【0097】
3.水中でのアシリンのゲル化の傾向に対するカプリン酸ナトリウム(C10)の影響
図9は、水中でのアシリンのゲル化の傾向に対する異なる濃度のカプリン酸ナトリウム(C10)の影響をグラフで示す。カプリン酸ナトリウムの濃度が10mg/mL以下であるとき、アシリンの回収率が著しく低下し、このことはアシリンのゲル化の増加を示唆している。本発明の研究者は、ゲル化の増加は、カプリン酸ナトリウムの添加によって引き起こされたイオンの濃度上昇によるものと考えている。カプリン酸ナトリウムの濃度に達して、カプリン酸ナトリウムのCMCを超えるときに(〜20mg/mL)、アシリンの回収率が突然かつ著しく上昇することが観察され、このことはゲル化の効率的な低減を示す。カプリン酸ナトリウムのCMCは、100mM(〜20mg/mL)として公知である(「kinetic studies of the interaction of fatty acids with phosphatidylcholine vesicles(liposomes),Rogersonら、Colloids and Surfaces B:Biointerfaces,48,24−34(2006)を参照)。カプリン酸ナトリウムの濃度が約50mg/mLに達したとき、アシリンの回収率はほぼ100%であり、このことはゲル化が完全に抑制されることを示す。
【実施例9】
【0098】
4.アシリン試料の異なるマイクロエマルジョン処方での抗ゲル化剤の利用
図11は、イヌにおけるアシリンの各種処方の相対的生物学的利用能をグラフで示す。相対的生物学的利用能は、アシリンの各種処方の絶対的生物学的利用能を、いずれの抗ゲル化剤も含まない処方であるアシリンの標準処方の絶対的生物学的利用能と比較することによって測定される。マイクロエマルジョン1(M1/55%カプムルMCM)、マイクロエマルジョン2(M2/45%カプムルPG−8)、およびマイクロエマルジョン3(M3/55%カプムルMCM C10)の処方を
図10(a)〜(c)に示す。標準溶液の処方は、アシリン5mg、カプリン酸ナトリウム550mgおよび精製水5mLである。
図10および11の「C
10」は、カプリン酸ナトリウムを表す。
図10および11の「SLS」は、ラウリル硫酸ナトリウムを表す。
図11の比較結果は、カプリン酸ナトリウムおよびラウリル硫酸ナトリウムなどの抗ゲル化剤を用いたすべての処方によって、アシリンの生物学的利用能が7.8倍から32.5倍に上昇することを示している。
【実施例10】
【0099】
図12は、(1)アシリン10mgの腸溶錠剤対非増強アシリン5mg溶液試料および(2)アシリン10mgの腸溶錠剤対アシリン5mg標準試料の相対的生物学的利用能をグラフで示す。アシリン標準試料の処方は、アシリン5mg、カプリン酸ナトリウム550mgおよび精製水5mLである。錠剤およびアシリン5mg試料中のアシリンは、水を溶媒とする凍結乾燥ステップを使用することによって調製する。錠剤は、アシリン5mg試料と同じ量のカプリン酸ナトリウムを含有していた。カプリン酸ナトリウムの濃度110mg/mLは、溶液のゲル化を低減または抑制さえして、アシリン溶液の生物学的利用能を向上させることが観察される。
図12は、増強錠剤の生物学的利用能が、非増強錠剤と比較して著しく改善されることを示す。
【0100】
上記は、本発明の例証であり、その制限として解釈されるべきではない。本発明のいくつかの例示的な実施形態について記載されているが、当業者は、本発明の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態で多くの修正が可能であることをただちに認識する。したがって、このようなすべての修正が、特許請求の範囲で定義したような本発明の範囲内に含まれることが意図される。したがって、上記は本発明の例証であり、開示した特定の実施形態に制限されるとして解釈されるべきでないことと、開示した実施形態に対する修正は、他の実施形態と同様に、添付特許請求の範囲内に含まれることとを意図することが理解されるべきである。本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の均等物はその中に含まれる。