特許第5671452号(P5671452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671452
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】電気焼灼方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   A61B17/39 310
   A61B17/39 320
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-509759(P2011-509759)
(86)(22)【出願日】2009年5月15日
(65)【公表番号】特表2011-520525(P2011-520525A)
(43)【公表日】2011年7月21日
(86)【国際出願番号】US2009044181
(87)【国際公開番号】WO2009140619
(87)【国際公開日】20091119
【審査請求日】2012年5月7日
(31)【優先権主張番号】12/121,734
(32)【優先日】2008年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514129877
【氏名又は名称】エースクラップ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092048
【弁理士】
【氏名又は名称】沢田 雅男
(72)【発明者】
【氏名】エダー、ジョセフ チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ノーデル セカンド、ベンジャミン セオドア
(72)【発明者】
【氏名】エーデルシュタイン、ピーター セス
(72)【発明者】
【氏名】ネジャット、カムラン
(72)【発明者】
【氏名】カーン、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ウォルバーグ、エリク
【審査官】 村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0129726(US,A1)
【文献】 特表平09−501328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一電極アレイを形成する、複数の隣接する第一電極と、
少なくとも一つの第二電極と、
少なくとも2本の出力チャネルを有する電源であって、各出力チャネルが当該第一電極アレイのそれぞれの電極に電気的に結合されていて、当該電源が当該少なくとも一つの第二電極にも電気的に結合されている、電源と、
当該第一電極のそれぞれ当該少なくとも一つの第二電極に、各電源チャネルから電圧を選択的に印加するように構成されている、手段と
電圧、電流、インピーダンス、印加された電圧と電流の間の位相角であるパラメータの何れかを検出する少なくとも一つのセンサと、
制御回路と、
計算モジュールと、
RF変換回路と
を備え、
前記制御回路が、セット・ポイント情報と、パワー、抵抗、位相、インピーダンス等の少なくとも一つのパラメータおよびこのような前記少なくとも一つのパラメータの変化率の計算結果の両方とを、前記計算モジュールから受信するように構成されていて、
制御信号が、前記RF変換回路に供給されて、前記RF変換回路が、前記電極に供給される出力信号を生成し、前記変化率の情報が、修正された信号を生成するためにも使用される、
電気焼灼装置。
【請求項2】
検出システムにより受信されるフィードバックが、前記計算モジュールに供給されて、前記制御信号を修正するために使用される変化率信号を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
電圧と電流の形態で前記検出システムを介して受信される前記フィードバックと、位相モジュールとサインのフィードバック回路を介して受信される位相大きさとサインのフィードバックとが、前記計算モジュールに供給されて、前記制御信号を修正するために使用される変化率信号が生成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
選択的に電圧を印加するための当該手段が、隣接する電極が順次に点弧されるように、当該電極を点弧する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
当該少なくとも一つの第二電極が、少なくとも一つのリターン電極を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
択的に電圧を印加するための当該手段が、種々の点弧時間に当該電極を点弧するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのセンサが、一つ以上の電源チャネルから電圧を選択的に印加するための当該手段を制御する、当該複数の隣接する第一電極の少なくとも一つに関連する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
当該少なくとも一つのセンサが、電圧、電流、インピーダンス、印加電圧と電流の間の位相角、温度、エネルギー、周波数およびこれらの組み合わせのパラメータの何れかを検出するデバイスを備え、当該センサが、いかなる瞬時の信号および/または一つ以上の当該パラメータの時間についての変化を表示する信号の何れかを提供する、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記電源から電圧を選択的に印加するための当該手段が、更に、様々な点弧パターンの何れかで、当該電極の種々のものを選択的に点弧するための手段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記電源から電圧を選択的に印加するための当該手段が、更に、高インピーダンスのローカル領域が、電極の点弧を選択する手段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記電源から電圧を選択的に印加するための当該手段が、更に、
電極または電極対のための固有のパワーおよびエネルギー配電プロフィールを採用するために、当該電極の種々の電極を選択的に点弧するための手段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記電源から電圧を選択的に印加するための当該手段が、更に、
当該電源によって配電されるRFエネルギーの前記周波数を変えることによってインピーダンスを調整するための手段を、備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記電源から電圧を選択的に印加するための当該手段が、更に、
インピーダンス、圧力またはこれらのパラメータのいかなる組合せの何れかを測定することによって、組織が焼灼サイクルの始めに各電極によって部分的に被覆されているか否かを検知する手段を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
組織がいかなる電極にも存在しない場合には、このような電極は、当該電極が点弧されずおよび/または警告が操作者に提供される、アイドル状態にある、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
封止サイクルがこのような電極に対してアクティブであるか、終了しているかを示す各電極に対する状況表示器を、更に備える、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織の焼灼に関する。より詳しくは、本発明は、各種の電極と、自動化されたまたはユーザが選択する動作のためのまたは電極の補整のための機構とを備える電気焼灼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の生理学的状態は、組織および器官の除去を必要とする。どの組織を除去する手順においても主要な関心は、止血(すなわち、出血の停止)である。除去しようとする臓器または組織の部分に血液を供給する血管は全て、組織を除去する際の出血を阻止するために、縫合または焼灼のいずれかにより、封止されなければならない。例えば、子宮摘出において子宮を除去する際には、子宮に血液を供給する特定の血管に沿って切除しなければならない頸部における出血を阻止しなければならない。同様に、腫瘍の除去または他の目的のために肝臓の一部を切除する際には、肝臓内の血管は個々に封止しなければならない。止血を達成することは、オープン外科手術の手順においても、最小限浸潤性外科手術の手順においても必要である。最小限浸潤性外科手術の手順において、カニューレおよび他の小さい通路を介して行うアクセスには、制限があるので、血管の封止は、特に時間がかかる、問題のある手順である。
【0003】
特に、臓器または他の組織は、除去の前に切開しなければならないアクセスが制限された手順において、止血を行うことは、重要である。大部分の臓器は、大きすぎるので、カニューレ等のアクセスが制限された導管を介して完全に除去することは出来ない。そのため、組織は、除去の前に、例えば、カットする、すりつぶす又はより小さい部分に切断することにより、細分化されなければならない。
【0004】
これらの例に加えて、動脈、静脈、リンパ管、神経、脂質、靭帯および他の軟部組織構造のような、生きている組織シートを封止しかつ分割する様々な電気外科器具が、他に存在する。多くの公知のシステムでは、体の組織を壊死させるために、無線周波数(RF)のエネルギーが印加される。実際、これらのいくつかは、目覚ましい発展をなし、今日、広範囲に使用されている。それにもかかわらず、これらの公知の方法が適切であるとしても、本発明者等は、従来の方法の欠点を識別しかつ修正し、そして可能性がある改善策を追及して来た。
【0005】
この点で、発明者等が認識する1つの課題は、今日の電極構造の小型化に関する。特に、多くの電気外科器具メーカーは、電極を組織で完全に覆う可能性を向上させるために、電極の全長および表面積を制限する。この電極の小型化戦略は、外科医が、長い組織シートを適切に封止しかつ分割するために、封止と分割を何度も繰り返さなければならないと言う結果をもたらす。エネルギーの供給および組織の分割が何度も繰り返されるので、この種の時間がかかる方法は、麻酔時間を増加させかつ周囲の組織構造を損傷する潜在的危険性を増大させるので、患者にも致命的である。
【0006】
部分的に電極を覆うことは重大な結果をもたらすことになる。この状態は、電気アーク放電、組織の炭化および組織の不十分な封止の原因になり得る。組織を機械的に(例えば、ブレードにより)または電気外科的に分割することは、組織を封止した直後に実行され、そして、十分に封止されていない組織を分割することは、封止されていない血管が出血する可能性があるので、患者を危険に曝すことになる。アーク放電も、それ自身、いくつかの問題を起こす。電気焼灼器の電極が、RFエネルギーを目標とする組織に通過させずに、それらの電極間にアークを発生させると、電気焼灼器は、意図した組織を処理することが出来なくなる。さらに、アークの経路によっては、アーク放電が、目標とする組織以外に損傷を与えてしまうかもしれない。他の問題は、マルチ電極システム内の隣接する電極により、順次点弧する2つの隣接する電極間の遷移域に、電気的クロス・トークが生じ、または過剰な熱影響が発生する可能性があることである。従来の設計では、電極が固定されるジョーに対し、機械的スタンドオフを与えることによりこれを防止していた。しかしながら、このスタンドオフにより、非常に薄い組織が対向電極に接触することができず、このため、これらの領域での適切な電気的封止が出来なくなる。これらのスタンドオフは、浅過ぎる場合、電極間にアーク放電を発生させることにもなる。
【0007】
300kHz〜10MHz範囲の典型的高周波エネルギー(RF)周波数では、組織のインピーダンスは、ほとんど抵抗性である。組織の乾燥前では、初期インピーダンスは、組織のタイプおよび位置、血管分布などに大きく依存して、変化する。従って、局所インピーダンスのみに基づいて組織の電極被覆範囲の妥当性を確定することは、不正確でありかつ実用的ではない。組織により覆われる電極の被覆範囲を決定するための実行可能でかつ信頼できる方法は、外科手術の手順の間の組織シートの安全かつ迅速な封止および分割に使用出来、かつより大きな長さとより大きな表面積の電極を、開発することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、一つ以上の電極が覆う組織の領域を決定するための方法を提供することは、有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例えば、組織の被覆範囲を決定するためおよび/または電気焼灼の間下側電極間にアーク放電が生じることを防止するために、自動的なまたはユーザが選択する動作のためのまたは電極の補整のための電極構造および機構が、開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電気焼灼システムのコンポーネントおよび相互接続のブロック図である。
図2】本発明のマルチ・チャンネル電源を有する電気焼灼装置のブロック略図である。
図3】本発明により電極を選択的に起動させる回路を有する電気焼灼デバイスを示す組合せブロックおよび概略図である。
図4】本発明の第一実施例の補償回路を有する電気焼灼デバイスを示す組合せブロックおよび概略図である。
図5】本発明の第二実施例の補償回路を有する電気焼灼デバイスを示す組合せブロックおよび概略図である。
図6】本発明の第3実施例の補償回路を有する電気焼灼デバイスを示す組合せブロックおよび概略図である。
図7】本発明の誘電体コーティングを有する電極を示すブロック図である。
図8図2のようなモジュール208、特に、その制御回路をより詳細に示すブロック略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者等が(上述したように)認識していた従来技術の課題の観点から、本発明者等は、前述の電極が体に挿入された後にユーザが電気焼灼器の電極を制御する能力を改良することを探求して来た。彼らが探究して来た更なる領域は、電極構造からパワーを転送する効率を改善することと、元の位置にある電極構造から取り出される測定値の精度を改善することを含む。これらの改良を実行する1つの利点は、大きい電極表面を使用して上述した有利な結果をもたらすことが可能なことである。
【0012】
図1は、電気焼灼システム100の一実施例を示す。このシステム100は、電源、電極セレクタおよび補償器モジュール108によって電気的に駆動される電極構造102を含む。モジュール108は、一つ以上のユーザ・インタフェース110を介して伝達されるユーザー入力に従って動作する。
【0013】
後に詳述するように、システム100の特定のコンポーネントは、ディジタル・データ処理機能によって実行させることができる。これらは、様々な形態で実行させることができる。
【0014】
いくつかの例は、汎用プロセッサ、ディジタル信号処理プロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)または他のプログラム可能なロジック回路、個別のゲートまたはトランジスタ・ロジック、個別のハードウェア・コンポーネント、または本願明細書に記載されている機能を実行するように設計されたこれらのもののいかなる組み合わせも含む。汎用プロセッサは、マイクロ・プロセッサでもよいが、これに代えて、プロセッサを、従来の如何なるプロセッサ、コントローラ、マイクロ・コントローラまたはステート・マシンとしても良い。プロセッサは、計算デバイス(例えば、DSPおよびマイクロ・プロセッサの組合せ、複数のマイクロ・プロセッサ、DSPコアと連動する一つ以上のマイクロ・プロセッサ、またはこの種の他のいかなる構成)の組合せとして実行させることもできる。
【0015】
より具体的な例としては、ディジタル・データ処理は、マイクロ・プロセッサ、個人用コンピュータ、ワークステーション、コントローラ、マイクロ・コントローラ、ステート・マシン、またはディジタル・データ・ストレージに連結されている他の処理マシンのようなプロセッサを含む。本具体例では、ストレージは、高速アクセス・ストレージと不揮発性ストレージを含む。高速アクセス・ストレージは、例えば、プロセッサによって実行されるプログラム命令を格納するために用いることができる。ストレージは、各種のデバイスによって実行させることができる。多くの変形例が、可能である。例えば、コンポーネントのうちの1つを、省略することができる。さらに、ストレージは、プロセッサにオンボードで設けることが出来、また、装置に外付させることも出来る。
【0016】
本装置は、コネクタ、ライン、バス、ケーブル、バッファ、電磁リンク、アンテナ、IRポート、変換器、ネットワーク、モデム、またはプロセッサが装置外の他のハードウェアとデータを交換するための他の手段のような入出力も含む。
【0017】
上記したように、ディジタル・データ・ストレージの様々な例が、例えば、システム100(図1)に用いられるストレージに、記憶を提供するために用いることができる。その応用によっては、このディジタル・データ・ストレージを、データを格納する、または機械読み取り可能な命令を格納するような各種機能のために使用することができる。これらの命令は、各種の処理機能を実行させ、または、コンピュータにソフトウェア・プログラムをインストールさせることができる。ここで、この種のソフトウェア・プログラムは、本発明の開示に関連した他の機能を実行させることも可能である。
【0018】
プロセッサが記憶媒体から情報を読み出すことができ、かつ情報を書き込むことができるように、典型的な記憶媒体は、プロセッサに連結される。これに代えて、記憶媒体は、プロセッサに一体化させてもよい。他の例では、プロセッサおよび記憶媒体を、ASICまたは他の集積回路に置くこともできる。
【0019】
(上述した)マシン実行可能な命令を含む記憶媒体に対し、別の実施例では、システムの処理データ処理特徴を実行するために、ロジック回路が使用される。
【0020】
速度、支出、工具費等における応用の特定の要件に応じて、このロジックは、何千もの小さい集積化されたトランジスタを有する特定用途向け集積回路(ASIC)を構成することにより実行することが出来る。この種のASICは、CMOS、TTL、VLSIまたは他の適切な構成によって実行させることができる。他の変形例は、デジタル信号処理チップ(DSP)、個別回路(例えば、抵抗器、キャパシタ、ダイオード、インダクタおよびトランジスタ)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)、プログラム可能なロジック回路(PLD)などを含む。
【0021】
電極構造102
図1を参照すると、電極構造102は、第一および第二電極表面103〜104を含む。電極表面104は、個々の電極104a、104b等からなる一群の電極によって形成される。一例においては、電極は、実質的に隣接させても良い。図示されるように、電極表面103は、一例においては、単一の電極を含む。他の例では、表面103は、電極104と同数またはそれとは異なる数のマルチ電極を含む。
【0022】
一実施例の場合、電極表面103〜104は、対向する双極電極を使用して、目標とする組織領域に電力パワーが提供されるように構成されている。対向する双極電極の使用は、それが、電極間にエネルギー束を集中させ、かつ対向電極内に制限されない隣接組織への影響を制限するので、有利である。
【0023】
一例では、電極構造103〜104は、組織と対称に接触するように、一般に相似形を有することができる。これに代えて、電極構造103〜104は、種々の幾何学的形状を有することができる。例えば、一方の電極構造が、自然の体の開口へ挿入するためのプローブを備え、他方の電極構造が、体の開口部から離れた外側の組織面に係合するように構築させることができる。幾つかの例では、3個以上の電極構造を、使用することができるが、少なくとも2個の電極構造または単一構造の別々の領域には、目標とする組織にRFエネルギーを印加するために、反対極性の電圧が印加される。幾つかの例の場合、電極構造は、単一の支持構造物(例えば、臓器または他の組織塊の上に置くことが出来、かつその上に形成される2個以上の電極表面を有する単一の弾性チューブまたはシェル)の一部として形成される異なる領域とすることが出来る。
【0024】
種々の電極表面は、同極性または反対極性の高周波エネルギーがそれらに印加されると、互いに分離される。さらに他の例の場合、単一の電極構造は、複数の導電領域または能動領域を有することができ、この場合、導電領域には、同極または反対極性の電圧を印加させることができる。
【0025】
いくつかの例では、電極構造と組織の間の有効な電気接触面を強化または増加させるために、電極構造上に付加構造またはコンポーネントを設けることが、望ましい。特に、電極構造は、電気的接触を強化するため、すなわち、電極と組織の間の電気インピーダンスを減らして電極と組織の間の接触領域の総表面を増加させるために、組織貫通性の素子を含むことができる。典型的な組織貫通性の素子には、針、ピン、突起、チャネル等が含まれる。特定の具体例は、先端チップを鋭くしたピンを含み、それらのピンが組織面を介して下にある組織塊にまで貫通することを可能にしている。これらのピンは、1 mmから5 cmまで、または、3 mm〜1 cmの範囲の深さを有することができる。これらのピンの直径は、0.1 mm〜5 mm、または、0.5 mm〜3 mmにわたる。一例を挙げると、これらのピンは、0.1ピン/cm2〜10ピン/cm2、または、0.5ピン/cm2 〜5ピン/cm2の範囲のピン密度で、電極構造の組織−接触面に渡って均一に分布している。組織貫通性の素子が用いられる際には、それらは、電極構造の電気的能動的領域に渡って均一状態で分布させることができる。導電性の整合する表面または剛性の電極表面に加えて、これらのピンまたは組織貫通性の素子を、設けても良いが、いくつかの例で、これらのピンは、電極構造全体に導電性領域または能動領域を提供することができる。
【0026】
一具体例の場合、これらの電極は、互いに電気的に絶縁させる、または各々を電気的に結合させることができる複数の異なる導電領域を備える。単一の電極構造は、その上に3,4,5および10以上の個別の導電領域を含むことができる。このような導電領域は、それらの間の電気絶縁領域または構造によって規定することができる。
【0027】
マルチ電極表面104の一例は、エアギャップ、プラスチック部材または他の絶縁物とすることができる間隙によって分離されるマルチ導電ストリップである。間隙は、0.5 mm未満であることが好ましい。加えて、組織貫通性のマルチピンを、各導電ストリップの長さに沿って配置させることができる。導電ストリップには、交番極性で電圧を印加させることができる。最も単純には、対向するストリップは、単一電源の逆のポールに接続させる。しかしながら、電気接続は、実質的にいかなるパターンのストリップにもパワーを供給するように、再構成させることができる。さらに、各ストリップの種々の領域を分離して、異なる極性でそれらの領域にパワーを供給すること、または、あらゆる電極を点弧させるか、特定の電極を点弧させるか、またはマルチ電極を同時に点弧させることを含むことができる点弧パターンの各種シーケンスによってこれらの電極を同じ極性に設定することも、可能である。
【0028】
平板として図示されているが、電極構造102は、本発明の範囲内において、様々な種々の形状で実行させることができる。例えば、電極構造103〜104は、通常、管状の体構造または組織塊に渡る配置を容易にするためにカーブさせることができる。ある場合には、電極配置は、特定の臓器または組織幾何学的形状を係合するような幾何学的形状を持つように、特に、構成される。他の場合には、電極配置は、それらが大きく異なる組織面に係合しかつ合致することができるように、整合させる。この点に関して、電極ストリップは、電極構造を平らにすることまたは多種多様な他の構成を可能とするように、例えば、整合するメッシュのような材料から造ることができる。加えて、この絶縁構造は、電極構造の更なる再構成を可能とするように、可撓性材料または整合する材料から形成することもできる。構造102は、当業者には周知の形状構成の何れかまたはそれらの組合せに従って、実施させることができる。いくつかの典型的な形状は、対向するジョー、シリンダ、プローブ、フラット・パッド等を含む。この点に関して、これらの電極は、組織面と係合させるのに適している如何なる態様で構成させることができる。
【0029】
このように、これらの電極は、剛性、フレキシブル、可撓性、非可撓性(非膨張)、平面、非平面等とすることが出来、かつ、オプションとして、電極構造と組織の間の電気的接触を強化するために、また、電極域を増加させるために、組織貫通性の素子を使用することができる。電極配置は、それらが、大きく異なる組織表面に係合しかつ合致することが出来るように、整合させても良く、または、それらは、特に、特定の臓器または組織の幾何学的形状に係合する幾何学的形状を有するように構成させても良い。何れの例においても、電極構造には、更に、組織貫通性の素子を設けることができる。
【0030】
電極構造は、オプションとして、導電表面および非導電表面の両方を含むことができる。いくつかの実施例の場合、これは、一表面を除去して露出した金属表面とし、他方、電極の他の表面を、例えば、誘電体によって覆うまたは絶縁することによって達成される。剛体の電極の場合、絶縁を、積層、被覆、または、対向表面に直接適用させることができる。フレキシブルで弾性電極の場合、絶縁層がフレキシブルであるので、それを損失または除去無に、電極と共に拡大かつ縮小させることができる。幾つかの場合には、別々の拡張可能な材料のシートが、絶縁が望まれる表面をカバーする。いくつかの実施例では、電極表面全てを、誘電体で覆うことができる。
【0031】
一実施例の場合、電極構造の電気的能動領域は、1〜50 cm2以上の領域を有する。電極構造に関する更なる詳細および具体例は、引用により本願明細書に組み込まれたものとする上述した米国特許出願において説明されている。
【0032】
電源106
電源106は、1以上の電源を含む。基本的に、電源106は、電極構造102の一つ以上の電気的能動領域を介して目標とする組織に印加される、RFのような高周波のパワーを発生させる。後述するように、パワーの持続時間および大きさにより、電極表面103〜104の間の組織が、焼灼されまたは壊死される。
【0033】
典型的な周波数帯域には、100 kH〜10 MHzまたは200 kHz〜750 kHzが含まれる。パワーレベルは、10 W〜500 Wまたは25 W〜250 Wまたは50 W〜200 Wの範囲を含む幾つかの具体例で、処理されている組織の表面積およびボリュームによって決まる。例えば、パワーは、1 W/cm2〜500 W/cm2または10 W/cm2〜100 W/cm2のレベルで印加させることができる。
【0034】
電源106は、従来の各種多目的電気外科電源を使用して実行させることができる。電源106は、正弦波または非正弦波形を使用することができ、かつ固定されているまたは制御されたパワーレベルで動作させることができる。適切な電源は、商用電源から入手可能である。
【0035】
一実施例の場合、パワー出力が負荷に応じて変化する場合でも、電源は、可変電圧および電流によって、一定の出力パワーを提供する。従って、システムが非常に高いインピーダンス負荷に遭遇する場合、電圧は、アーク放電を回避するために適切なレベルに維持される。組織の電気焼灼により、例えば、インピーダンスは、2オーム〜1,000オームに変化する。一定パワーを印加することによって、電源106は、低インピーダンスで有意な電流を提供し、これにより、組織が最初に焼灼されている際に、最初の乾燥化を達成し、かつ組織封止プロセスを完了するために焼灼が進むにつれてより高い電圧を印加することができる。このように、電源106は、焼灼プロセスの初めに、より大きい電流とより小さい電圧を、かつプロセスの封止段階で、より高い電圧とより低い電流を提供することができる。この種のパワー生成機の制御は、少なくとも部分的には、パワーをモニタするシステム100に依存する。
【0036】
一実施例の場合、電源106は、所望の電源を設定する機構を含む。この設定は、リアルタイム制御、ユーザによる予め設定された選択、初期設定、予め定められたプロフィールの選択等によって行うことが出来る。一実施例の場合、パルス幅変調は、フライバック変成器に関連して使用される。このシステムは、フライバック変成器の一次巻線を荷電し、かつ整流された出力を生じる。二次巻き線は、所望のパワー出力を発生するために、所望の電流値で、例えば、15ボルトに整流させることができる。出力曲線は、一次巻線を荷電するパルスの幅によって定まる周期に基づいて、決定される。このように、本発明は、フライバック変成器の一次巻線に一定レベルのパワーを確立し、かつ、二次巻き線が、負荷、つまり、組織のインピーダンスに関係なく、同じレベルのパワーを提供する。
【0037】
電源106は、上述したようなデジタル・データ処理機器を含むことができる。このオプションの機器は、実行されると、電源106の特性と動作を確立しかつ制御するために使用される。
【0038】
図示されるように、電源106は、構造102のマルチ電極のためのパワー源である。したがって、電源106またはモジュール108は、各々が、調節可能であるマルチ出力チャネルを提供する。本実施例において、システム100は、電極へパワーを供給するマルチ導体108cの導電供給経路と、電流の流れ方向に応じて、電源にグラウンド経路および/またはフィードバック、またはその逆を、提供するリターン経路108bとを含む。
【0039】
より特定される実施例の場合、モジュール108は、モジュール108のデジタル・データ・プロセッサによって個々の電極に割り当てられるマルチ出力108cを有する。これらのマルチ出力は、プロセッサによって独立に動作され、かつ直ちに変調され、かつ割り当て可能である。従って、プロセッサは、焼灼サイクルの動作中の特定時に一つ以上の電極エレメントの何れかに出力に割り当てることができ、かつそれらを動的に他の時点に再設定することができる。例えば、電源が4チャネル電源でありかつ電気外科デバイスが16の電極を備えている場合、各チャネルは、電子−外科手術デバイスの4つの電極をサポートすることができる。しかしながら、いくつかのチャネルが、他のチャンネルより多くの電極をサポートするように、この構成を変更させることができる。
【0040】
図2を参照すると、電極構造202は、第一および第二電極表面203〜204を含む。電極表面204は、個々の電極1〜6を備える一群の電極によって形成される。電極1〜6および電極204の特定構成は、上述したように、設けることができる。本発明のこの実施例に対する有意性は、電極の各々が個々にアドレス可能であるということである。更に、リターン電極203は1本しか図示されていないが、当業者は、電極表面204および電極表面203の両方に対してマルチ電極を設けることができることを理解するであろう。電極表面203が、導体208Bによってモジュール208に連結されている点が、図示されている。同様に、電極1〜6と電極表面204のアレイも、導体208Cによってモジュール206に連結されている。本発明の本実施例の有意性は、モジュール208が多重チャネルを有する電源206を含むということである。本発明の本実施例チャネルでは、AおよびBが、図示されている。当業者は、電源206にはいかなる数のチャネルを設けても良いことと、本願明細書の具体例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を制限するためのものでは無いことを理解するであろう。
【0041】
図1の実施例と同様に、ユーザ・インタフェース210は、コネクタ208Aによってモジュール208に連結されている。このように、図2は、電気焼灼装置200全体を示す。また、制御機構213/214によりパワー供給チャンネルAおよびBの各々の出力を制御するために用いられるセンサ・アレイ212も、図2に示されている。センサは、後に、詳述される。電源206の実際の周波数帯域とパワーレベル等は、電源106(図1)について上述した考察に従って選択することができる。
【0042】
この実施例の発明のキーは、電源により、隣接する電極に同時にパワーを供給することが出来るという事実である。従って、デバイスの動作に応じて、パワー供給チャネルAおよびBは、接続208Cによりパワーを各電極エレメント1〜6のうちの1つ以上に供給することができる。例えば、デバイス動作の開始に応じて、パワーが、電源206のチャネルAから電極2に提供され、他方、パワーが、電源206のチャネルBから電極1に提供される。このように、隣接する電極1および2には、同時にパワーが供給される。
【0043】
本実施例では、電源から電気焼灼デバイスにはチャネルごとに1本の線しか図示されていないが、当業者は、アレイ内の各素子が、本発明の幾つかの実施例の電源によって個々にアドレス可能であることを理解するであろう。従って、チャネルAおよびBの電源を入れて、電極1および2を点弧し、そして、その後、電極3および4を点弧し、そして、その後、電極5および6を点弧することができる。本発明の他の実施例の場合、電極を一斉に点弧させる必要はなく、かつ各チャネルを個々に点弧させることができる。しかしながら、この実施例の1つのキーとなる点は、対の電極を順次点弧させる能力である。
【0044】
電極1および2がデバイスの近位端にあり、かつ電極5および6がその遠心端にあるように、電極アレイ204が電気焼灼デバイスのクランプ面の範囲に沿って設けられている電気焼灼デバイスの場合、このような構成は、電極を、順次、近位から遠位にまたは逆に点弧することを可能にする。例えば、電極対5および6が組織を覆うが、電極対3および4は組織を覆わないようにすることができる。この具体例では、センサは、順次の焼成シーケンスの間、電源に電極3および4を点弧させないことを通知する。例えば、シーケンスの間、電極1〜6は順次点弧されるが、電極3〜4にはパワーは供給されない。基本的に、これらのセンサは、組織の処理が、電気焼灼デバイスのクランプ表面の部分に沿ってより急速に進行したと決定する。このように、より多くのパワーが、処理範囲に沿って組織の処理の進捗に適切である様に、提供されるよう、電源を変調することができる。例えば、電極3〜4には、より少ないパワーが供給されるかまたは全くパワーが提供されず、他方、例えば、これらの位置では、組織がまだ完全に処理されていないという理由で、電極5〜6にはより多くのパワーが供給される。このように、本発明は、組織の被覆範囲に沿って組織の処理を可能にする。ここで、処理のために印加される実際のパワーは、組織の状態によって変調される。このようにして、組織は、均一に処理され、過度に処理されることは無い。
【0045】
本実施例における本発明の他の態様は、デバイスのサイクル時間が最適化されることである。例えば、電源に対し2本のチャネルがある場合、2つの電極が同時に充電されるので、デバイスは、2つの位置で同時にエネルギーを組織に供給することが出来る。このように、図2の具体例では、電極1および2は、同時に充電されかつ点弧される。このように、このシステムは、個々の電極を充電する必要はなく、さらに、各チャネルが交互の各電極に対応するので、電極を充電するために必要な時間が、効果的に半減する。図2には6つの電極表面が示されているので、当業者は、いかなる数の電極を設けることもできることを理解するであろう。本願明細書には、近位から遠位へのシーケンスで電極焼成が隣接対で起こることが記載されているが、電極焼成のいかなる組合せも、可能である。例えば、チャネルAは、電極を近位から遠位に点弧させ、他方、チャネルBは、同時に、遠位から近位等に電極を点弧させることができる。
【0046】
ユーザ・インタフェース110
ユーザ・インタフェース110は、人間がモジュール108と情報を交換するための電源106を含む一つ以上のデバイスを備えている。各コンポーネント106、108には、共通ユーザ・インタフェースまたは別々のユーザ・インタフェースを設けることができる。ユーザ・インタフェースは、以下のいくつかの具体例のような各種の態様で実施させることができる。人間‐マシン・フローについて、インタフェース110の幾つかの具体例は、ボタン、ダイヤル、スイッチ、キーボード、リモート・コントロール・コンソールまたは他の機械的デバイスを含む。他の具体例は、マウス、トラックボールの様なポインティング・デバイスを含む。さらに他の具体例は、デジタル化パッド、タッチ・スクリーン、音声入力または本願明細書に記載されている目的に適している他のいかなる具体例も含む。マシン−人間の交換に関して、インタフェース110は、ビデオ・モニタ、表示画面、LED、機械的インジケータ、オーディオ・システムまたは本願明細書において記載されている目的に適している他の具体例を使用することができる。
【0047】
ユーザー入力は、リンク108aへインタフェースからモジュール108に搬送される。
【0048】
センサ
システム100は、システム100の各種のコンポーネントに取り付けられる各種センサを含むこともできる。電極103〜104、モジュール108のサブパーツ、電源106の機器等器材等のコンポーネントには、センサ(線図を煩雑にすることを回避するために図1には示されない)を取り付けることができる。これらのセンサの具体例は、電圧、電流、インピーダンス、印加電圧と電流間の位相角、温度、エネルギー、周波数等を検出するためのデバイスを含む。より具体的には、これらのデバイスのいくつかは、電圧計、アナログ・デジタル変換器、サーミスタ、変換器、電流計等を含む。このように、単独でまたは組み合わせて、上記パラメータのいずれも測定することが出来る。更に、この種の測定は、リアルタイム(瞬間的な)値、または時間に対する一つ以上のパラメータの変化を表す値の何れかまたは両方を与えることができる。この様にして、電源のためのパワー出力プロファイルを確立しかつ制御するために、閾値、傾向等のようなファクタを検出しかつ用いることができる。上述したように、この種のパワープロフィールは、チャネルごとにまたはそれらのいかなる組み合わせに基づいて、個々の電極、電極のグループに適用させることができる。
【0049】
モジュール108
上述したように、モジュール108は、一つ以上の電源106を含む。この機能を除いて、モジュール108は、自動またはユーザにより選択された電極の動作または補整のいくつか又は全部を、以下に示される態様で、実行するように実施させることができる。一態様によれば、その印加の選択が予め決められているか、マシンにより選択されているか、またはユーザにより選択されている電極へのパワーの印加を選択的に制限することによって、組織のどの領域を目標とするかまたは電極の点弧順序をどのように制御するか決めるために、モジュール108を用いることができる。他の態様によれば、モジュール108ハイ・インピーダンスを電極回路に導入して、予め定められた、機械選択された、またはユーザにより選択されたインピーダンス整合または補整を提供することができる。
【0050】
モジュール108の1つのオプションの態様によれば、モジュール108は、選択が予め定められているか、マシンによりされているかまたは、ユーザにより選択されている電極へのパワーの印加を選択的に制限することによって、組織の特定領域を目標とすることができる。この点に関して、モジュール108は、各電極103〜104に各々連結される様々な出力108b〜108cを有する。一具体として、出力108b〜108cは、ワイヤ、ケーブル、バスまたは他の導体を備えることができる。図示された具体例には、マルチ電極104a、104b等に繋がるマルチ導体108cが存在する。
【0051】
モジュール108は、電圧が選択された電極のみに印加されるように、電源106から第一および第二電極表面103〜104に電圧を印加する。これらの電極は、インタフェース110からのユーザー入力に従って選択され、マシンによって実行された分析により選択され、および/または初期設定によって選択させることが出来る。この点に関して、モジュール108は、電気および/またはマシン・スイッチの交換網、リレー、または電極の選択されたものにパワーを提供する他の機構を含むことができる。図示されるように、電源106はモジュール108に集積化され、かつ計算機制御は選択された出力導体を選択的に起動する。
【0052】
独立スイッチング・ネットワークまたは出力導体のコンピュータが制御する起動によって、モジュール108は、ユーザ・インタフェース110からの入力または上述したデジタル・データ・プロセッサのようなマシンからの入力に従って、電極を起動する。印加の性質によって、電極へのこの種の制御されたパワー供給は、マシンにより選択された基準または分析、初期設定またはユーザー入力に従って実行させることができる。
【0053】
図3は、2つの電源、電極構造および目標とする組織領域からなる構成で示されるプロセッサにより制御されるスイッチング回路網の一具体例の代表的応用を示す。この具体例では、電極表面は、以下のように構成される。電気焼灼の実行中、電極表面は実質的に平行であり、一表面の各電極は、他面の電極表面のその対応部に整合されている。この具体例では、上面が下面の各電極に対応する、2つの電極が、存在する。
【0054】
モジュール108が、組織の特定の領域を目標とするために、特定の電極に対するパワー印加を選択的に制限することは、重要である。電極は、異なる端に対しても選択することができる。すなわち、モジュール108は、同じ電極表面上の隣接する電極が同時にまたは順次に点弧することを防止するために、電極の選択をモニタまたは制御することができる。電極の点弧がこの間隔を置いた形態で起こることを確実にすることは、電極間の意図しないアーク放電を防止し、かつ電気焼灼器の効果を高める。一実施例の場合、制御された点弧の順序は、計算機制御によって、そして、特に、モジュール108のディジタル・データ処理部によって実施される。計算機制御に代えて、電気機械式ディストリビュータ等の機械的手段も、用いることができる。
【0055】
他の実施形態では、モジュール108ハイ・インピーダンスを電極回路に導入し、予め定められたか、マシンにより選択されたか、固定である、またはユーザにより選択されたインピーダンス整合または補整を提供することができる。換言すれば、モジュール108は、電源、出力108b〜108cおよび電極103〜104を含む回路にインピーダンスを電気的に導入する機構を含む。
【0056】
より詳しくは、モジュール108は、キャパシタ、インダクタおよび/または電源と電極103〜104を含む回路のインピーダンスの量を制御するために調整または選択的に導入することができる他のインピーダンス素子を含む。これらのインピーダンス素子は、個別素子、集積回路機能または本願明細書において記載されている目的に適している他の構成素子を備えることができる。モジュール108は、ユーザ、マシンにより実行される分析および/または初期設定に従って、このインピーダンス整合または補整を確立する。
【0057】
調整可能なインピーダンスの一具体例は、調整可能な強磁性コアまたは個別のインダクタに巻かれた導電材料のコイルのようないかなる公知のインダクタンスも備えることができる調整可能なインダクタである。この具体例では、全体のインダクタンスは、手動で、機械的に、電気的に、または、この開示の目的に適している(例えば、ユーザ・インタフェース110)いかなる手段によっても起動させることができるスイッチを閉じることによって、選択的に増加する。
【0058】
図4は、(図示される)上側電極表面の各電極と直列のインダクタンスを有する電極配置を示す。図5は、(図示される)下側の電極表面の各電極と直列のインダクタンスを含む種々の例を示す。更に別の具体例の場合、図6は、キャパシタが上側電極表面の各電極と直列に配置されている「T」型ネットワークを含む。加えて、種々のインダクタが、一緒に起動されるように設計されている電極の各対と並列に配置されている。図4〜6の具体例は、固定されている、調節可能である、または固定されていてかつ調節可能であるものの組合せであるインピーダンス素子を使用することができる。さらに、それらの表面上の誘電体コーティングを有する電極に関連して、インピーダンス整合および/または補整のためのほとんど無制限の数の付加的な回路構成は、本発明の開示を知った当業者にとっては明らかであろう。
【0059】
インピーダンスを電極回路に導入する構成に加えて、他に考慮すべき点は、この種のインピーダンス素子の値である。一実施例の場合、インピーダンスは、最大のパワー転送を達成し、かつ正確なパワー測定をするように選択される。この点に関して、インピーダンスは、RF発振器(すなわち、電源106)と組織の間のインピーダンス整合を維持するように選ばれる。印加電圧と電流の間の位相角がゼロとなる時に、インピーダンス整合が実現される。すなわち、増加した容量性リアクタンスを補償するために、付加的なインダクタンスを、増加させる。一実施例の場合、これは、有限範囲でかつほとんど無限の解像度で、連続的に可変のインダクタにより実行される。この種のインダクタは、ゼロ位相近くに調整することができる。別の具体例の場合、インピーダンス整合は、可能な最小位相角を見出すために(これを正確に零にすることはできないが)、図4〜6に示されるような適切な構成内で個別誘導素子を使用することにより、実行される。
【0060】
ここまで本発明の構造的特徴を述べてきたが、以下では、本発明の動作態様を、述べる。本願で開示される実施例との関連で記述されるいかなる方法、プロセスまたはアルゴリズムのステップも、直接ハードウェアにより、またはハードウェアにより実行されるソフトウェア・モジュールにより、人間が実行するステップにより、またはこれらの組合せによって、実施させることができる。
【0061】
電気焼灼処置を実行するためのシーケンスは、自動的なまたはユーザが選択する電極の動作または電極の補整のための電極構造および機構を含む電気焼灼システムを使用する。説明の容易さのために、しかし、いかなる限定の意図も無く、この具体例は、図1のシステム100の特定文脈のもとで記載されている。
【0062】
第一ステップにおいて、システム100を動作させるための種々のパラメータが、選択される。一具体例の場合、一人以上の人間のユーザが、これらのパラメータを選択し、かつユーザ・インタフェース110を介してそれらをシステム100に伝達する。別の具体例の場合、システム100を動作させるためのパラメータは、モジュール108上のデジタル・データ・プロセッサによって選択される。この場合、パラメータは、ユーザ入力、初期設定値、システム102においてインストールされる種々のセンサによって収集される測定値、モジュール108のプログラミング等に従って設定される。
【0063】
いかなる限定の意図も無く、以下のものは、第一ステップにおいて選択することができるパラメータのいくつかの非限定的具体例である:
(1)例えば、図3で、電極103〜104のエネルギーを組織の特定の領域上に集中させるために、起動させる個々の電極のアイデンティティ。
(2)電極の点弧順序。
(3)例えば、図4〜6で、電源106と電極103〜104間の補整および/またハイ・インピーダンス整合において使用される、インピーダンスの大きさのアセスメントまたは測定。
(4)大きさ、周波数、位相、または電圧、電流、パワー等のような電気焼灼器に適用される電力のパラメーター。
(5)システム100の動作を変化させることができる如何なる他のパラメータ。
【0064】
次のステップにおいて、適切に訓練された作業者は、電気焼灼させる目標とする組織領域に電極103〜104を印加する。電極103〜104を印加する態様は、電極103〜104の構成、目標とする体部分の性質、実行される処置および同種の他のファクタに従って変化する。両方の電極構造103〜104が体の範囲内で使用される状況と、一方の電極が体に挿入され、かつ他方の電極が外部で使用される、つまり、公知の、バイポ―ラまたはモノポーラの応用である、他の実施例とがある。
【0065】
この次のステップの特定の具体例の場合、103のような他方の表面の1つの電極に対応する、104のような一方の表面のマルチ電極が存在する。オプションとして、作業者は、電極表面が実質的に平行となり、かつ第二電極の其々が、その対応する第一電極と位置合わせされるように、第一および第二電極表面103〜104を配置する。ちなみに、位置合せは、デバイスの製造の間に、行うことが好ましい。図3〜6は、最終的な構成の具体例を示す。
【0066】
更なるステップにおいて、電気焼灼器を開始する指示がなされる。これは、インタフェース110を介して提示されるユーザ入力によって行われる。例えば、ユーザは、開始ボタンを押す、開始コマンドを実行させる、フット・ペダルを押す、レバーを引く、または、他のアクションを実行することができる。別の具体例の場合、このことは、ユーザが設定したタイマーの時刻の到来に応じて電子的に発生する。
【0067】
まださらなるステップにおいて、システム100が開始コマンドに応答し、かつ電気焼灼器が導通する。ここで、システム100は、バイポーラのRFパワーを、電極構造103〜104の間隔を置いた配置によって定義される目的とする組織の領域に向ける。対向する双極の電極の使用は、エネルギーを電極の間に集中させ、対向電極内に制限されていない隣接組織に対する効果を制限する。実際には、パワーは、処理されている組織塊の組織温度を、60〜80 ℃またはそれ以上の温度のような、焼灼または壊死に必要な閾値レベルまで上げるのに十分な時間、印加させることができる。
【0068】
より具体的には、電気焼灼は、機器構成に従って導通する。例えば、電源106は、パワー設定に従って動作する。さらに、モジュール108は、選択された電極の組合せに従って、これらの電極の内の個々のものを呼び出すように機能する。言い換えれば、電圧が選択された電極のみに印加されるように、モジュール108は、電源106から第一および第二電極表面103〜104に電圧を印加する。コンピュータ制御の場合、これは、選択された電極に選択的にパワーを印加するモジュール108によって達成される。
【0069】
選択された電極の使用に対する更なる向上として、電極は、選択された点弧順序を使用して起動させることができる。この具体例の場合、電圧が、何時の時点でも、常に第一電極102の一つ以上にかつ第二電極103の一つ以上に印加され、かつモジュール108が、同時に、または、同じ電極表面の隣接する電極が同時にまたは順次に点弧するのを阻止するように、モジュール108は、電源106から第一および第二電極表面103〜104に電圧を印加する。モジュール108は、さらに、所定のまたはユーザが選択した点弧順序を実行することができる。
【0070】
例えば、多数の電極を有するRFデバイスの二個以上のマルチ電極間の、熱的または電気的の何れかの相互作用を阻止する一つの方法は、隣接する電極が決して順次に充電されないように、電極の点弧シーケンスを変えることである。4つの電極システムを順次に点弧する代わりに、例えば、電極に1,2,3,4と番号が順番につけられている場合、本発明は、隣接する電極が順次に点弧されないように、3,1,4,2,4,2,4,1,3,1,3等のような順番で電極を点弧する。いくつかの電極が、他の電極よりより頻繁に点弧するようなシーケンスで供給されるエネルギーをバランスさせるために、各電極に対する点弧時間を異ならせることができる。これは、一方の電極から他方の電極への転送の間のクロストークと2つの電極間の転送領域での順次の発熱の蓄積効果を阻止する。さらに、丸みがつけられた電極は、電極間のかついかなる遷移表面でも発生するエッジ効果を最小にすることができる。
【0071】
さらに、1つの電極表面または導電性(典型的には金属)電極の両方の対向する表面が、誘電体の、非導電材料でおおわれている場合、RFエネルギーは、容量結合により電極間の組織を介して送信させることもできる。図6は、本発明によって誘電体コーティングを有している電極を示すブロック図である。しかしながら、表面コーティングの非導電性性質のために、電極表面は、ごく近接していてもまたは接触しても、短絡状態を発生させることはない。従って、電極対の一部が、部分的にしか組織を捕獲していない場合、つまり、電極の一部の間に小さい5 mmの空隙がある場合、RFエネルギーは、組織を行き渡ってかつ近接する電極間に直接流れること無く、組織を通過する。これは、組織のインピーダンスが上昇するので、特に封止サイクルにおいて重要である。組織のインピーダンスが高い場合、エネルギーは、露出された電極部の間のような、抵抗がより低い別の経路を探す。これらの誘電層は、テフロン(登録商標)のようなポリマー、チタン、タングステン、またはタンタルのような金属酸化物、またはセラミックの薄いコーティングとすることができる。十分な容量を得るために、これらの層は、ミクロン範囲の層厚とすることができる。
【0072】
代替実施例の場合、様々な組織の種々の焼灼パターンを、電極表面または領域の種々のものに選択的に電圧を加えることによって、システム100により達成させることができる。2つの隣接する電極に選択的に電圧を加え、他方で、他の全ての電極に電圧を加えないことにより、制限された組織領域を焼灼する。これに対し、他の多数の電極表面に電圧を加えることによって、より大きい領域を、焼灼する。わずかに異なるパターンは、電極表面極性の正確なパターン次第で達成される。他の実施例の場合、電極表面には、組織の焼灼術パターンを生成するために、極性が交互に変化するパターンで、電圧を加えることができる。焼灼する組織のいくらか異なるパターンを生成するために、種々のパターンを、使用することもできる。
【0073】
ハイ・インピーダンスのローカル領域が電極全体に沿ってシステム・インピーダンス全体に影響を与え、その結果、電圧がその最大能力に到達するに連れて、システム全体のパワー出力が減少することを阻止するために、選択される点弧に対する種々のアプローチが、採用される。ここで、これらの電極は、すでに十分封止されていてその結果高インピーダンス値に達している一領域が、組織がまだ封止されていなくそのためそのインピーダンスが低い他の領域に影響を及ぼさないように、起動される。オプションとして、モジュール108は、特定の電極の位置/場所にある組織の属性に基づいて、各電極または電極対に対する固有のパワーおよびエネルギー送出プロフィールを使用することができる。
【0074】
電気焼灼の実行には、選択されたインピーダンスの補償および/または選択された整合が採用される。その結果、電源106から供給されるパワーは、より少ない電気的損失で目標とする組織の領域に供給される。
【0075】
システム100は、更に、共役の整合インピーダンスを検出しかつこれを自動的に調整することができる。これに応答して、モジュール108は、電極表面103〜104および電源106を含む導電経路に印加されるインピーダンスを調整する。これに代えて、センサが、インピーダンスを調整するか否かおよびそれをどのように調整するかを分析するモジュール108に、生データを提供することもできる。別の場合、モジュール108は、方向またはセンサからのデータに応答してインピーダンスを調整することができる。これは、電源106によって供給されるRFエネルギーの周波数を変えることによって、実行することができる。例えば、一実施例の場合、モジュール108は、インピーダンス、圧力またはこれらおよび/または他のパラメータのいかなる組合せをも計測することによって、焼灼サイクルの開始時に組織が各電極に存在している否かを感知する。組織がいかなる電極にも存在しない場合、このような電極対はアイドル状態にある。そのため、モジュール108は、この電極の点弧を停止させて、および/またはユーザ・インタフェース110を介して操作者に警告を送る。モジュール108は、封止サイクルが、各電極対に対して動作中であるかまたは完了しているか否かを示す電極対ごとの状況標示を提供することもできる。この実施例の場合、各電極対は、焼灼サイクルが開始されると、アイドル状態であるか、作動中であるか、終了状態であるかの何れかを示すLEDのような、モード状況標示器を含むことができる。本発明は、誘電体でコーティングされた電極表面を用いることにより、一つ以上の電極による組織の被覆範囲の領域を決定する問題にも対処する(図7参照)。適切なRF発振器と誘電体コーティングでコーティングされている電極表面とにより、組織の被覆範囲は、RF電圧と電流の位相角を測定することにより決定することができる。誘電体コーティングが、基本的に、所定の誘電物質層厚に対する組織への容量結合を形成するので、容量は、被覆範囲の領域の関数である。
【0076】
キャパシタの基本式は、
C =εεA/d
である。これは、ファラッドで表され、ここで、εは、自由空間(8.854E-12)の誘電率であり、εは、誘電体の比誘電率で、A/dは、領域と誘電層厚の比である。
【0077】
リアクタンスは、所定の周波数で、
Xc = 1/ωC
と表され、ここでωは、2*Pi*周波数である。
【0078】
共役インピーダンス・インダクタンスを挿入するためには、(この場合、完全に被覆された電極で容量性リアクタンスを無効にし、かつRF電圧と電流の位相角を測定する)適切なRF発振器が、必要である。電極が部分的にしか被覆されていない場合、実効面積がより小さくなるので、容量は、変化する、つまり、より小さくなる。この結果、リアクタンス、および最終的に、RF電圧と電流の位相角が変化する。変化の大きさは、部分的に組織の抵抗によって影響を受けるが、この技術が、組織による電極被覆範囲の決定を最大限可能にすると考えられる。
【0079】
このような方法論のさらなる利点は、RF発振器の制御アルゴリズムに信号を送って、より小さい表面積で周波数を変化させ(例えば、増大させ)、この結果、電気的アークが発生して組織が炭化される可能性を最小にしつつ、最大限のパワー伝達を維持することができる点である。組織によって部分的にしか被覆されていない電極を、RF発振器制御アルゴリズムに信号を送って処理パラメータを短くしまたは変化させるために使用することができることを認識することと、位相および/またはインピーダンスの急速な変化によって、潜在的な電気的アークおよび組織の炭化の発生は、瞬時に検出することができる。
【0080】
最大限のパワー伝達を達成しかつ正確なパワー測定を行うために、RF発振器と組織間にインピーダンス整合を維持することは、望ましい。インピーダンス整合は、位相角が、零となるときに達成される。零近傍の位相を達成するためには、いくつかの方法を使用することができる。このような方法の一つは、増大した容量性リアクタンスを補償するために、誘導性素子(例えば、より大きなインダクタンス)を付加することである。このアプローチは、2つの異なる方法で達成させることができる:
(1)有限範囲およびほとんど無限の解像度で連続的に可変のインダクタの挿入(このようなインダクタは、零に近い位相に調整させることができる)による方法、または、
(2)最小の位相(これを零に近い位相にすることはできないが)となるインダクタのような個別素子の挿入による方法。
【0081】
いずれの場合においても、RF発振器内に電気機械デバイスは、必要である。
【0082】
最大のパワー伝達(例えば、零位相)を達成する別の方法は、RF周波数を変えることである。リアクタンスが周波数依存とすると、この方法は、RF発振器が、周波数を電子的に変えることによって位相の相違を補償することを可能にする。これは、リレー、サーボ等のようないかなる機械的デバイスも必要としない。更に、このRF発振器では、素子を変えるために先ずRFパワーを遮断する必要はなく、動作中に周波数を変えることができる。この為、これを、最も望ましい方法とすることができる。
【0083】
図8は、制御回路をより詳細に示す、図2に示されるモジュール208の方式構成図である。ユーザが決めるデバイスのセット・ポイントが、制御回路310に供給される。制御回路310は、セット・ポイント情報と、パワー、抵抗、位相、インピーダンス等のパラメータおよびこのようなパラメータの変化率の計算とを、計算モジュール314から受信する。制御信号がRF変換回路312に供給され、RF変換回路312は、機器の電極に供給される出力信号を生成する。変化率情報は、修正された制御信号を生成するためにも使用される。このようにして、電圧と電流の形で検出システム316を介して受信される機器からのフィードバック、並びに位相大きさおよびサインフィードバック回路318を介して受信される位相大きさおよびサインフィードバックが、計算モジュール314に供給され、制御信号を修正するために使用される変化率信号が生成される。
【0084】
図8に関連する前述の記載によれば、当業者は、図8の回路が、単一チャネルのものであることを理解するであろう。前述したように、本発明は、マルチ・チャネルを設けた電源を備える。種々の機器構成および電極は、上述した。本発明は、例えば、デバイスのジョーの同じ側に隣接する電極の、または、デバイスのジョーの対向側の電極の制御を可能にする。更に、これらの電極は、相互に平行におよび/または相互に対向させ、および別々のチャネルによって同時に起動させ、または別々の電源チャネルの被制御動作により、順次動作させることができる。前述の事項の組合せも可能である。本発明の例示的な実施例は、各電極または電極群に対する固有のパワー発生器を備えている。これは、一つ以上の電極を使用する機器に関し、電極を独立に制御することを可能にする。
【0085】
本発明のキーは、機器のそれぞれの電極を独立に駆動するマルチ・チャネルの提供である。さらに重要な点は、電圧、電流、インピーダンス、印加電圧と電流間の位相角、温度、エネルギー、周波数、およびこれらの組合せのようなファクタを、瞬時の信号および/または一つ以上のこれらのパラメータの時間についての変化を表す信号を、チャネルごとの電源出力の制御に使用する機器と、関連するセンサまたはこのような機器内に設けられているセンサで、モニタする能力である。このようにして、組織の大きい横断面全体についての焼灼が、組織断面の組織の層厚の不均一性を考慮して、実行される。
【0086】
本願では、本発明が、好ましい実施例について記載されているが、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本願に記載されたものを他の応用により置換させることができることを容易に理解するであろう。したがって、本発明は、以下に含まれる請求項によってのみ制限される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8