(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前壁、後壁および両側壁を有する周壁と、前記後壁の上端に設けられた蓋片と、前記蓋片の開放端に設けられた差込片と、前記両側壁の上端に設けられた両側フラップとを備え、前記両側フラップの前端縁における前記両側壁の近傍に係止受け部が設けられ、前記差込片の両端に、前記蓋片および前記差込片の境界部に沿って外側端縁から内側に向けて延びる切込部がそれぞれ形成されるとともに、前記差込片における前記切込部に対応する部分が両端係止部として構成され、前記両側フラップおよび前記差込片が内側に折り曲げられた状態で、前記蓋片が前方に折り曲げられて、前記差込片が前記前壁の内面に沿って差し込まれることにより、前記蓋片によって前記周囲壁の上端開口が閉塞される一方、前記差込片の前記両端係止部が前記両側フラップの前記係止受け部にその前方側から下側に回り込んで係止するようになっている包装用箱であって、
前記両側フラップにおける前記係止受け部の前端に、前方へ突出し、かつ前記前壁の上端縁に係止可能な突出部が設けられ、
前記差込片の両端に、前記切込部の奥端部の位置から内側に向けて延び、かつ前記切込部に連通する切込延長部が形成され、
前記切込部および前記切込延長部によって前記蓋片から切り離された前記差込片の両端が、両端切り離し部として構成されるとともに、その両端切り離し部の先端に、前記両端係止部が設けられ、
前記係止受け部の前端縁における前記突出部と前記側壁との間に、切欠凹部が形成されていることを特徴とする包装用箱。
前記差込片の両側の外側端縁が切欠縁部によって構成されて、前記差込片が前記前壁の内面に沿って差し込まれた状態において、前記差込片の外側端縁と前記側壁との間に隙間が形成されるようになっている請求項1に記載の包装用箱。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような包装用箱への商品の詰め込み作業や、商品詰め込み後の蓋閉じ作業は、一連の流れ作業で行われることが多く、近年においては、これらの作業の自動化も図られている。従って、例えば包装用箱の蓋閉じ作業においては、蓋片を押し込むだけで確実に閉塞状態にロックできる包装用箱の開発が切望されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示すような従来の包装用箱では、後述の実施形態においても詳述するが、蓋閉じ作業において、ただ単に蓋片を周囲壁の上端開口に押し込むだけでは、差込片の両端切り離し部をフラップの前端部下面側にスムーズに回り込ませることが困難であり、確実にロックできない場合があるという課題があった。そしてこのようにロック不良が発生してしまうと、生産ラインが滞ってしまい、生産効率の低下を来してしまう。
【0008】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、蓋片を周囲壁の上端開口に軽く挿し込むだけで、蓋片を閉塞状態に確実にロックすることができる包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0010】
[1]前壁、後壁および両側壁を有する周壁と、前記後壁の上端に設けられた蓋片と、前記蓋片の開放端に設けられた差込片と、前記両側壁の上端に設けられた両側フラップとを備え、前記両側フラップの前端縁における前記両側壁の近傍に係止受け部が設けられ、前記差込片の両端に、前記蓋片および前記差込片の境界部に沿って外側端縁から内側に向けて延びる切込部がそれぞれ形成されるとともに、前記差込片における前記切込部に対応する部分が両端係止部として構成され、前記両側フラップおよび前記差込片が内側に折り曲げられた状態で、前記蓋片が前方に折り曲げられて、前記差込片が前記前壁の内面に沿って差し込まれることにより、前記蓋片によって前記周囲壁の上端開口が閉塞される一方、前記差込片の前記両端係止部が前記両側フラップの前記係止受け部にその前方側から下側に回り込んで係止するようになっている包装用箱であって、
前記両側フラップにおける前記係止受け部の前端に、前方へ突出し、かつ前記前壁の上端縁に係止可能な突出部が設けられ、
前記差込片の両端に、前記切込部の奥端部の位置から内側に向けて延び、かつ前記切込部に連通する切込延長部が形成され、
前記切込部および前記切込延長部によって前記蓋片から切り離された前記差込片の両端が、両端切り離し部として構成されるとともに、その両端切り離し部の先端に、前記両端係止部が設けられていることを特徴とする包装用箱。
【0011】
[2]前記差込片の両側の外側端縁が切欠縁部によって構成されて、前記差込片が前記前壁の内面に沿って差し込まれた状態において、前記差込片の外側端縁と前記側壁との間に隙間が形成されるようになっている前項1に記載の包装用箱。
【0012】
[3]前記係止受け部の前端縁における前記突出部と前記側壁との間に、切欠凹部が形成されている前項1または2に記載の包装用箱。
【0013】
[4]前記切込部は、前記境界部から前記差込片側に離間し、かつ前記境界部と平行に設けられ、
前記切込部の奥端部から前記蓋片側に向けて延び、かつ前記切込部に対し直交する中間切込部が形成され、
前記切込延長部は、前記中間切込部を介して前記切込部に連通されている前項1〜3のいずれか1項に記載の包装用箱。
【0014】
[5]前記切込延長部は、前記境界部上に設けられている前項4に記載の包装用箱。
【発明の効果】
【0015】
発明[1]の包装用箱によれば、フラップの係止受け部の前端に、前壁の上端縁に係止可能な突出部を設けるとともに、差込片における切込部の奥端部から内側に向けて延びる切込延長部を形成しているため、蓋片を閉じて差込片を前壁の内面に沿って差し込んだ際に、差込片の両端係止部をフラップの係止受け部にその前方側から下側にスムーズに回り込ませて係止することができ、蓋片を確実に閉塞状態でロックすることができる。
【0016】
発明[2]の包装用箱によれば、差込片が両側壁に干渉するのを防止できるため、差込片の抜き差し操作をスムーズに行うことができる。
【0017】
発明[3]の包装用箱によれば、両側フラップを抵抗なく正確に内側に折り曲げることができる。
【0018】
発明[4][5]の包装用箱によれば、上記の効果を、より一層確実に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1はこの発明の実施形態である包装用箱における蓋開き状態を示す斜視図である。同図に示すように、この包装用箱は、紙製のものであり、角筒状の周囲壁1と、周囲壁1の上端開口15を閉塞可能な蓋片2と、周囲壁1の下端に設けられた底壁4とを基本的な構成要素として備えている。
【0021】
本実施形態においては、包装用箱の素材は、コートボール、チップボール、クラフトボール等の厚紙が用いられている。もっとも本発明において、包装用箱の素材は特に限定されるものではなく、厚紙以外に、ダンボール、プラスチック(合成樹脂)等も用いることができる。
【0022】
周囲壁1は、前後に離間して互いに平行に配置される前壁11および後壁12と、前後両壁11,12の両端部間に配置され、かつ互いに平行に配置される両側壁13a,13bとを備え、平面視において、前後壁11,12の長さが、両側壁13a,13bの長さよりも長い横長の四角形に形成されている。
【0023】
また両側壁13a,13bの上端には両側フラップ3a,3bが設けられるとともに、蓋片2の先端(開放端)には差込片5が設けられている。
【0024】
そして両側フラップ3a,3bおよび差込片5を内側に折り曲げておいて、蓋片2を前方へ倒伏させるように折り曲げて、差込片5を前壁11の内面に沿って周囲壁1内に差し込むことにより、蓋片2によって周囲壁1の上端開口15を閉塞できるようになっている。
【0025】
以下、
図2の展開図を併用して、本実施形態の包装用箱の構成を詳細に説明する。なお 同図の展開図で表示されている側の面は、組立状態においてはそれぞれ外面となる。
【0026】
図2に示すように、前壁11の両側縁には、縦方向に延びる縦折目16a,16bを介して各側壁13a,13bの片側の側縁が折り曲げ可能に連接されている。なお
図2において、各折目は破線によって示している(以下の
図3および
図4においても同じ)。
【0027】
また
図2の紙面に向かって左側(一方)の側壁13aの左側縁には、縦方向に延びる縦折目17を介して後壁12の右側縁が折り曲げ可能に連接されている。
【0028】
さらに後壁12の左側縁には、縦方向に延びる縦折目18を介して連結片19が折り曲げ可能に連接されている。
【0029】
また後壁12の上側縁には、横方向に延びる蓋片用折目62を介して上記蓋片2の基端縁が折り曲げ可能(揺動可能)に連接されている。さらに蓋片2の先端縁には、横方向に延びる差込片用折目65を介して上記差込片5の基端縁が折り曲げ可能に連接されている。
【0030】
また両側壁13a,13bの各上端縁には、フラップ用折目63a,63bを介して上記両側フラップ3a,3bの下端縁が折り曲げ可能に連接されている。
【0031】
図3に示すように差込片5の両側部において、差込片用折目65の延長線から差込片3側に離間した部分に、差込片用折目65とほぼ平行な切込部51が外側端縁57から内側に向けて延びるように形成されている。
【0032】
さらに差込片5における切込部51の切込奥端部から蓋片2側に向けて蓋片2の先端部まで延び、かつ切込部51に対しほぼ直交する中間切込部53が形成されている。
【0033】
さらに中間切込部53における差込片用折目65の延長線に対応する位置から、差込片用折目65の延長線上に沿って差込片用折目65の端部まで直線状に延びる切込延長部52が形成されている。切込延長部52は、中間切込部53を介して切込部51に連通している。
【0034】
なお本実施形態において、蓋片2および差込片5の境界部は、差込片用折目65上を通過する直線であり、差込片用折目65の延長線上も含まれる。
【0035】
本実施形態において、差込片5における切込部51,53および切込延長部52(以下「切込部51〜53」と称す)に対応する部分は、蓋片2から切り離された切り離し部55,55として構成されている。さらに差込片5における切込部51に対応する部分、つまり両端切り離し部55,55の先端部(両端部)が、両端係止部56,56として構成されている。
【0036】
また差込片5の両端切り離し部55,55は、基端部(切込延長部52の奥端部に相当する位置)を支点として、厚み方向(
図2の紙面に対し垂直方向)に曲げ変形(撓み変形)可能になっている。
【0037】
特に本実施形態においては、両端切り離し部55,55における曲げ変形時の支点が、切込延長部52の奥端位置に対応する位置であるため、その支点から両端係止部56,56までの距離が長くなっている。このため、曲げ変形時における両端係止部56,56の変位量を大きく確保することができる。
【0038】
参考までに、上記特許文献1に示す従来の包装用箱においては、差込片5に、切込部51および切込部53に相当する切込部が形成されているものの、切込延長部52に相当する切込部は形成されていない。この場合、両端係止部56,56の曲げ変形時の支点が、中間切込部53の位置に相当する位置であるため、その支点と両端係止部56,56との間の距離が短くなっている。このため、曲げ変形時における両端係止部56,56の変位量が、本実施形態のものと比較して小さくなってしまう。
【0039】
図2および
図3に示すように本実施形態において、差込片5における両端の外側端縁57,57は、差込片用折目65に対し直交する切欠縁部によって構成されており、外側端縁57,57の位置が、蓋片2の両側端縁の位置よりも内側に配置されている。つまり、差込片5の幅が、蓋片2の幅(両側壁13,13間の寸法)よりも少し狭くなっている。このため、後述するように差込片5を周囲壁1の前壁11の内面に沿って差し込む際に、差込片5の外側端縁57,57と両側壁13a,13bとの間の隙間寸法(遊び)が大きくなり、差込片5の差込作業を容易に行うことができる。
【0040】
また差込片5の先端縁における両側部58,58は、円弧状に形成されている。
【0041】
図2および
図4に示すように、両側フラップ3a,3bの一側端部(組立状態では「前端部」)におけるフラップ用折目63側(基端側)には、上記差込片5の両端係止部56に対応して、前端係止受け部31,31が設けられている。この前端係止受け部31,31の一側端縁(
図1の組立状態では前端縁)には、縦折目16よりも前壁11側に突出する突出部32,32が形成されている。なお後述するように、この突出部32,32は、組立状態では、前壁11よりも前方に突出するように配置され、前壁11の上端縁に係止できるようになっている。
【0042】
さらに前端係止受け部31,31の一側端縁(前端縁)における突出部32,32と両側壁13a,13bとの間には、フラップ用折目63a,63bに隣接する切欠凹段部33,33が形成されている。この切欠凹段部33,33は、縦折目16a、16bの延長線上に沿って配置されている。本実施形態においては、この切欠凹段部33によって切欠凹部が構成されている。
【0043】
また前端係止受け部31,31におけるフラップ用折目63a,63bとは反対側の端縁は、切欠縁部34,34によって構成されている。この切欠縁部34,34は、
図1等の組立状態では、前方に向かうに従って次第に両側壁13a,13bに位置するように斜め直線状に形成されている。なお後述するようにこの切欠縁部34,34は、蓋片2を閉じる際に、差込片5の両端切り離し部55,55を所定方向(前方)に曲げ変形させるようにガイドするガイド部として機能する。
【0044】
図2に示すように、前壁11および後壁12の下端縁には、折目71,72を介して第1底壁構成片41a,41bが折り曲げ可能に連接されている。さらに両側壁13a,13bの下端縁には、折目73a,73bを介して第2底壁構成片42a,42bが折り曲げ可能に連接されている。なお、本実施形態においては、第1底壁構成片41a,41bと、第2底壁構成片42a,42bとによって底壁4が構成されるものである。
【0045】
第1底壁構成片41a,41bは、
図2の展開状態において、右側下部に斜めに延びる折目43a,43bを介して連結片45a,45bが折り曲げ可能に連接されている。なお、
図1の組立状態や
図2の折り畳み状態においては、一方の連結片45aは、隣り合う一方の第2底壁構成片42aに貼着されて固定されるとともに、他方の連結片45bは、隣り合う他方の第2底壁構成片42bに貼着されて固定されるものである。
【0046】
次に
図2の展開状態の包装用箱を初期の形態に組み立てる際の組立手順について説明する。
【0047】
まず、後壁12に対し一方の側壁13aを縦折目17の位置で裏面側(内面側)にほぼ180°折り返すとともに、前側壁11に対し他方の側壁13bを縦折目16bの位置でほぼ180°折り返し、その他方の側壁13bの内側面を、連結片19の外面に貼着して固定する。
【0048】
一方、側壁13a,13bの折り返し操作と並行して、第1,第2底壁構成片41a,41b,42a,42bを内側に折り返す。さらに一方の連結片45aを一方の底壁構成片41aの表側に折り返しておいて、その連結片45aを一方の第2底部構成片42aの外面側に貼着して固定するとともに、他方の連結片45bを他方の第1底壁構成片41bの表側に折り返しておいて、その連結片45bを他方の第2底部構成片42bの外面側に貼着して固定しておく。
【0049】
これにより
図5に示すように、後壁12および他方の側壁13bの前面側に一方の側壁13aおよび前壁11が重なり合うように扁平に折り畳まれた状態(折り畳み状態)に配置される。
【0050】
さらにこの扁平折り畳み状態においては、各壁11〜13a,13bの内部において、一方の第1底部構成片41aと、一方の第2底部構成片42aおよび一方の連結片45aとがその外面同士が向かい合う態様で折り込まれるとともに、他方の第1底部構成片41bと、他方の第2底部構成片42bおよび他方の連結片45bとがその外面同士が向かい合う態様で折り込まれている。
【0051】
そしてこの扁平折り畳み状態から、両側壁13a,13bを後壁12に対して起立させる。これにより、隣り合う各壁11〜13a,13bが互いに直角に配置されて、周囲壁1が角筒状に組み立てられる。
【0052】
こうして周囲壁1を角筒状に組み立てた際には、扁平状態では外面同士が向かい合うように折り畳まれていた第1底壁構成片41a,41bと、第2底壁構成片42a,42bとが平板状にそれぞれ展開されて、互いのロック用切欠部46a,46bが噛み合って、
図6に示すように第1,第2底壁構成片41a,41b,42a,42bが平板状に展開した状態でロックされる。
【0053】
こうして角筒状に組み立てた直後の状態では、
図1に示すように、周囲壁1における上端開口15が開放されている。
【0054】
この開放状態の包装用箱に対し、その上端開口15を介して、所定の商品等の被包装物を収納する。
【0055】
その後
図1および
図7Aに示すように、両側フラップ3a,3bを折目63a,63bの位置を支点として内側に折り曲げるとともに、差込片5を折目65の位置を支点として蓋片2に対し内側に折り曲げる。この状態においては、既述したように両側フラップ3a,3bにおける前端係止受け部31,31の前端に形成された突出部32,32が、前壁11の上端よりも前方に突出した状態に配置されている。従って、両側フラップ3a,3bの突出部32,32は、前壁11の上端縁に係止可能となっている。
【0056】
なお本実施形態においては、両側フラップ3a,3bにおける突出部32,32よりも基端側に切欠凹段部33,33を形成しているため、両側フラップ3a,3bをフラップ用折目63a、63bに沿って無理なく正確に折り曲げることができる。
【0057】
次に蓋片2を折目62の位置を支点として前方に倒伏させるように折り曲げていき、
図7Bに示すように、差込片5を前壁11の内面に沿って周囲壁1内に差し込んでいく。このとき、差込片5の先端縁両側部58,58が、両側フラップ3a,3bの切欠縁部34,34に当接して、その切欠縁部34,34によって前方へガイドされていく。これにより
図7Cに示すように、差込片5の両端切り離し部55,55が前方へ少し折れ曲がり、差込片5の両端係止部56,56が、両側フラップ3a,3bにおける前端係止受け部31,31の前方における前壁11との間を通過して、前端係止受け部31,31の下側まで挿入される。その後、両端切り離し部55,55は自身の復元力によって曲げ変形が解除されて自然状態に復帰することにより、差込片5の両端係止部56,56がフラップ3a,3bの前端係止受け部31,31の下側に移動して、前端係止受け部31,31に係止する。こうして
図8に示すように、差込片5の両端係止部56,56がフラップ3a,3bの前端係止受け部31,31にロックされて、蓋片3が周囲壁1の上端開口15を閉塞した状態に保持される。
【0058】
ここで、本実施形態においては、フラップ3a,3bにおける前端係止受け部31,31の前端に突出部32,32を形成しているため、蓋片2を周囲壁1における上端開口15の位置まで軽く挿し込むだけで確実にロックすることができる。すなわち
図7Bおよび
図7Cに示すように、蓋片2が閉塞されて差込片5の先端縁両側部58,58が、フラップ3a,3bの切欠縁部34,34に当接した際に、フラップ3a,3bの突出部32,32が前壁2の上端に係止して支持されるため、差込片5の先端縁両側部58,58によって、フラップ3a,3bの前端係止受け部31,31が下方に押し込まれることがなく、前端係止受け部31,31はその高さ位置が一定で側壁3a,3bに対し直角に配置された状態に保持される。このため、差込片5の先端縁両側部58,58がフラップ3a,3bの切欠縁部34,34によって確実に前方へガイドされて、差込片5の両端切り離し部55,55が前方にスムーズに折り曲げられ、差込片5の両端係止部56,56がフラップ3a,3bの前端係止受け部31,31の前方まで確実に導かれる。これにより、差込片5の両端係止部56,56がフラップ3a,3bの前端係止受け部31,31の前方を通って下方まで正確に移動し、両端係止部56,56が前端係止受け部31,31の下面側に確実に係止する。
【0059】
参考までに、上記特許文献1に示す従来の包装用箱においては、蓋片2を上端開口15の位置まで押し込んだだけでは、蓋片2を確実にロックできない場合がある。すなわち、従来の包装用箱は、フラップ3a,3bに前壁11と干渉する部分がなく、フラップ3a,3bが前壁11の上端よりも下側まで抵抗なく折れ曲がってしまう。このため、蓋片2の閉じ操作を行った際に、差込片5の先端縁両側部58,58によってフラップ3a,3bの前端係止受け部31,31が下方に押し込まれてしまう。つまり、差込片5の両端係止部56,56およびフラップ3a,3bの前端係止受け部31,31の双方が下方に押し込まれていき、差込片5の両端係止部56,56がフラップ3a,3bの前端係止受け部31,31の下方側に回り込むことができず、前端係止受け部31,31に係止しないことがあった。このように従来の包装用箱では、蓋片を押し込んだだけでは、ロックできない場合があるのに対し、本実施形態の包装用箱では、既述したように蓋片2を軽く挿し込むだけで、確実にロックすることができる。
【0060】
また本実施形態においては、差込片5に、切込部51に加えて切込延長部52も形成することにより、両端切り離し部55,55の長さを長くしているため、より一層簡単に蓋片2をロックすることができる。すなわち両端切り離し部55,55は、長さが長いため、小さい操作力で大きく曲げ変形させることができる。このため、差込片5を差し込んだ際に、両端係止部56,56が前方に無理なくスムーズに移動していき、両端係止部56,56がフラップ3a,3bにおける前端係止受け部31,31の下方にスムーズに回り込んで確実に係止することができる。
【0061】
しかも本実施形態においては、閉塞した状態でロックされた蓋片2が不用意に開放するのを確実に防止することができる。すなわち、フラップ3a,3bの前端係止受け部31,31における前端に突出部32,32を形成しているため、ロック状態において、蓋片2を上方へ持ち上げるような応力が作用したとしても、前端係止受け部31,31の裏面側に配置された差込片5の両端係止部56,56が、突出部32,32に係止することにより、両端係止部56,56がフラップ3a,3bの前端係止受け部31,31から不用意に外れるのを防止することができる。従って、閉塞状態の蓋片2が不用意に開放するのを確実に防止することができる。
【0062】
その上さらに本実施形態においては、差込片5の外側端縁57,57を切欠縁部によって構成し、差込片5の幅を狭く形成しているため、差込片5を前壁2の内面に沿って抜き差しする際に、差込片5の外側端縁57,57と両側壁3a,3bとの間の隙間を大きく確保することができる。このため、差込片5を抜き差しする際に、差込片5が両側壁3a,3bに干渉するのを確実に防止でき、差込片5の抜き差し操作をスムーズに行えて、蓋片2の開閉操作をより一層簡単かつスムーズに行うことができる。
【0063】
一方、閉塞状態にロックされた蓋片2を開く場合には、蓋片2をゆっくりと持ち上げれば良い。これにより、差込片5の両端切り離し部55,55が前方に少し折れ曲がって、フラップ3a,3bの前端係止受け部31,31との係止が解除されて、前端係止受け部31,31における突出部32,32の前側を通って上方にすり抜ける。こうして差込片5を上端開口15から抜き取った後、さらに蓋片2を持ち上げることにより、上端開口15を開放することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態の包装用箱によれば、蓋片2を周囲壁1の上端開口位置まで軽く挿し込めば、差込片5の両端係止部56,56が、フラップ3a,3bの前端係止受け部31,31に確実に係止でき、蓋片2を閉塞状態に確実にロックすることができる。
【0065】
また本実施形態においては、蓋片2がロックされた状態では、両端係止部56,56と前端係止受け部31,31との係止が簡単に解除されることがないので、蓋片2が不用意に開放するのを確実に防止することができる。
【0066】
なお上記実施形態においては、底壁4として、周囲壁1を角筒状に組み立てた際に自動的に底壁4が平板状に組み合わされるワンタッチ底を採用しているが、本発明の包装用箱において、底壁はどのような構成のものを採用しても良い。例えば、底壁として、蓋片と同様な差込式の底や、他のロック式の底を採用するようにしても良い。
【0067】
また言うまでもなく、本発明において、包装用箱の形状は上記実施形態のものだけに限定されるものではない。さらに本発明においては、包装用箱の大きさも限定されるものではない。