(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のねじ止め用冶具にあっては、ねじ止め用冶具6がレール5に支持されておらず、ねじ止め用冶具6から手を離せば、ねじ止め用冶具6が落下してしまう。したがって、作業性が悪いという問題がある。
【0008】
特許文献2に記載のねじ止め用冶具にあっては、ねじ止め用冶具9から手を離してもねじ止め用冶具9がレール5から落下することはないが、ねじ止め用冶具9は挟着部7の弾性力によってレール5に固定されているだけなので、支持力が弱く、ねじ止め作業中にねじ止め用冶具9が傾いたり、移動したりするという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、ねじ止め用冶具から手を離してもねじ止め用冶具が取付け部材から落下することがなく、また取付け部材がねじ止め用冶具を支持する力も強くすることができるねじ止め用冶具及びねじ止め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、開口を有する取付け部材の内部に部品をねじ止めする際に使用されるねじ止め用冶具であって、前記ねじ止め用冶具は、前記部品を保持可能な部品保持部と、手で把持可能な把持部と、
前記部品保持部と前記把持部との間に設けられ、前記開口に挿入可能なように外法が前記開口の幅以下の縮小部を有すると共に、前記開口を定める縁部に引っ掛かることができるように外法が前記開口の幅よりも大きい拡大部を前記縮小部から円周方向に離間して有する係合部と、を備え、前記把持部を手で掴み、前記部品保持部及び前記係合部を前記開口を通して前記取付け部材の内部に挿入し、前記ねじ止め用冶具を前記円周方向に回すことによって、前記係合部の前記拡大部が前記縁部に引っ掛かり、前記ねじ止め用冶具が前記取付け部材から抜けなくなるねじ止め用冶具である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のねじ止め用冶具において、前記取付け部材は、前記縁部と実質的に平行な取付け面を有し、前記係合部の前記拡大部の、前記取付け部材の前記縁部に対向する対向面には、前記部品保持部の先端から前記対向面までの長さが前記部品保持部の円周方向において変化するように傾斜面が形成され、前記ねじ止め用冶具を前記円周方向に回したとき、前記取付け部材の前記縁部と前記取付け面との間で、前記部品保持部及び前記係合部が圧縮されることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のねじ止め用冶具において、前記ねじ止め用冶具はさらに、前記縁部に当接して前記ねじ止め用冶具の所定角度以上の回転を制限するストッパ部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、開口を有する取付け部材の内部に部品をねじ止めするねじ止め方法であって、前記部品を保持可能な部品保持部と、手で把持可能な把持部と、
前記部品保持部と前記把持部との間に設けられ、前記開口に挿入可能なように外法が前記開口の幅以下の縮小部を有すると共に、前記開口を定める縁部に引っ掛かることができるように外法が前記開口の幅よりも大きい拡大部を前記縮小部から円周方向に離間して有する係合部と、を備えるねじ止め用冶具を用意する工程と、前記ねじ止め用冶具の前記把持部を手で掴み、前記部品保持部及び前記係合部を前記開口を通して前記取付け部材の内部に挿入し、前記ねじ止め用冶具を前記円周方向に回すことによって、前記ねじ止め用冶具の前記係合部の前記拡大部が前記縁部に引っ掛かり、前記ねじ止め用冶具が前記取付け部材から抜けなくなる工程と、前記取付け部材に前記部品をねじ止めする工程、とを備えるねじ止め方法である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、ねじ止め用冶具を開口を通して取付け部材の内部に挿入し、円周方向に回すことによって、ねじ止め用冶具が取付け部材から抜けなくなるので、ねじ止め用冶具から手を離してもねじ止め用冶具が取付け部材から落下するのを防止でき、また、取付け部材によるねじ止め用冶具の支持力も強くすることができる。ねじ止め作業中にねじ止め用冶具が移動するのを防止できるので、ねじ止めの作業性が向上する。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、ねじ止め用冶具を円周方向に回したとき、取付け部材の縁部と取付け面との間で、ねじ止め用冶具の部品保持部及び係合部を突っ張った状態にすることができるので、ねじ止め用冶具のがたつきを無くすことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、ねじ止め用冶具を円周方向に所定角度だけ回したとき、ストッパ部がねじ止め用冶具の回転を制限するので、ドライバー等の工具でねじを締めるとき、ねじ止め用冶具がねじと共に回転するのを防止できる。また、ねじ止め用冶具を取付け部材に取り付けたセット状態を確認することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ねじ止め用冶具を開口を通して取付け部材の内部に挿入し、円周方向に回すことによって、ねじ止め用冶具が取付け部材から抜けなくなるので、ねじ止め用冶具から手を離してもねじ止め用冶具が取付け部材から落下するのを防止でき、また、取付け部材によるねじ止め用冶具の支持力も強くすることができる。ねじ止め作業中にねじ止め用冶具が移動するのを防止できるので、ねじ止めの作業性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態のねじ止め用冶具を詳細に説明する。
図1は、部品としてのトリガー11を取付け部材としてのレール12の内部にねじ止めした例を示す。
図1(a)及び(b)に示すように、トリガー11は、ねじ部11a及び円形の頭部11bを有する。
図1(b)に示すように、レール12はC形断面に形成され、天井部12a、左右一対の壁部12b,12c、左右一対の縁部12d,12eを有する。
【0020】
レール12の天井部12aの下面が取付け面である。レール12の天井部12aの下面には、レール12に沿って伸びる取付け溝12a1(
図4、(S1)参照)が形成され、トリガー11はこの取付け溝12a1の底面となる取付け面12a2(
図4、(S1)参照)に取り付けられる。
【0021】
図1(b)に示すように、レール12の一対の壁部12b,12cは、互いに平行であると共に、天井部12aに対して直角である。一対の縁部12d,12eは、一対の壁部12b,12cに対して直角である。一対の縁部12d,12e間には、細長い開口12fが形成される。一対の縁部12d,12eは、天井部12aの取付け面12a2に対して実質的に平行であると共に、取付け面12a2から所定距離離れている。
【0022】
なお、厳密にいえば、
図4(S1)に示すように、縁部12d,12eの先端側は基部側に比べて細くなっている。しかし後述するように、天井部12aの取付け面12a2と縁部12d,12eとの間でねじ止め用冶具を上下方向に挟めればよいので、このような場合も含めて、取付け面12a2と縁部12d,12eとが実質的に平行であるという。
【0023】
図1(a)に示すように、レール12内には、ローラを有するローラ走行体13a,13bが走行可能に設けられる。ローラ走行体13a,13bには引戸14が吊り下げられる。一方のローラ走行体13aには、引込装置15が結合される。引込装置15は、引戸に閉じ方向又は開き方向のアシスト力を付与する公知のものであり、例えば、本体ベース、本体ベースに対してスライド可能及び回転可能なフック、フックと本体ベースとの間に架け渡されるコイルばねを備える。フックがトリガー11に当接すると、フックが回転してトリガー11を掴み、フックが本体ベースに対してスライドできるようになる。コイルばねによってトリガー11を掴んだフックに引張り力が付与されるので、引戸に閉じ方向又は開き方向のアシスト力が付与される。なお、
図1(a)には引込装置15とトリガー11が干渉しているように示されているが、実際には干渉することはない。
【0024】
図2は、本発明の第一の実施形態のねじ止め用冶具21の斜視図を示す。
図2(a)はねじ止め用冶具21の上面側斜視図を示し、
図2(b)はねじ止め用冶具21の下面側斜視図を示す。この実施形態のねじ止め用冶具21は、上記トリガー11をレール12に取り付けるのに用いられる。
図2(a)に示すように、ねじ止め用冶具21は、基端側の把持部22と、先端側の部品保持部25と、把持部22と部品保持部25との間に設けられる係合部24と、を備える。ねじ止め用冶具21には、基端側から先端側まで貫通する貫通孔26が空けられる。この貫通孔26は中心線C方向に伸びており、貫通孔26内にトリガー11が通される。
図2(b)に示すように、係合部24と把持部22との間には、ストッパ部23が設けられる。
【0025】
ねじ止め用冶具21の各部の構造は以下のとおりである。
【0026】
図2(a)に示すように、把持部22は、手でねじ止め用冶具21を摘み、ねじ止め用冶具21を中心線Cの回りを回転させるために設けられる。把持部22は、貫通孔26の周囲の壁を構成する円筒状の本体部22aと、本体部22aから半径方向に突出する一対の板状の把持片22bと、を備える。把持片22bは、本体部22aの周囲に180度の間隔を離して配置される。把持部22の部品保持部25側の端部には、円環状のフランジ22cが形成される。このフランジ22cの外径はレール12の開口12fの幅W1(
図4(S1)参照)よりも大きい。フランジ22cは、ねじ止め用冶具21をレール12内に挿入するとき、ねじ止め用冶具21をレール12の内部に挿入し過ぎるのを防止する。
【0027】
図2(a)に示すように、部品を保持する部品保持部25は、弾性変形可能な一対の把持片25aを備える。把持片25aは、円筒状の部品保持部25にスリット27を開けることによって形成される。把持片25aは、板ばねのようにその先端部が
図2(a)中A方向に拡開可能である。把持片25aの先端側の外周面は、先端に向かって外径が狭まる円筒面に形成される。
【0028】
図3はねじ止め用冶具21の詳細図を示す。
図3(c)の断面図に示すように、一対の把持片25aの内周面には内側に向かって突出する一対の当接部25bが形成される。この一対の当接部25bでトリガー11のねじ部11aを把持する。
図3(d)の底面図に示すように、一対の当接部25bの内周は円に形成され、一対の当接部25bの内径φ1はトリガー11のねじ部11aの外径よりも小さい。トリガー11のねじ部11aを一対の当接部25b内に挿入したとき、一対の当接部25bが外側に広がる。外側に広がった一対の当接部25bが復元する力によって、トリガー11のねじ部11aが当接部25bに保持される。
【0029】
なお、
図3(c)の断面図に示すように、当接部25bよりも先端側(図中下側)の先端部25cでは内径が拡大している。トリガー11をレール12の取付け面に取り付け終わったとき、トリガー11の頭部11bが先端部25cの位置まで移動する(
図6(b)参照)。先端部25cの内径を拡大することで、トリガー11をレール12の取付け面に取り付け終わったときの把持片25aの変形量を小さくすることができる。なお、
図6(b)には把持片25aが最も外側に広がった状態が示されているが、トリガー11のねじ込みを完了すると把持片25aの撓みは小さくなる。
【0030】
図2(a)に示すように、係合部24は、部品保持部25の外径よりも大きい拡大部24aと、互いに平行な一対の外側面を有する縮小部24bと、を備える。
図3(d)の底面図に示すように、係合部24は、円を基礎とすると共に、円を平行な一対の直線で切断したような小判の形状(四角形と二つの半円を組み合わせたような形状)をなす。
図3(d)には係合部24を斜線で示す。係合部24をレール12の開口12fに挿入できるように、縮小部24bの外法d1は開口12fの幅W1(
図4(S1)参照)以下である。レール12内に挿入した係合部24を、レールの一対の縁部12d,12eに引っ掛けることができるように、拡大部24aの外法d2は開口12fの幅W1よりも大きい(
図4(S3)参照)。
図3(d)に示すように、拡大部24aは係合部24の左右方向の端部に形成され、縮小部24bは係合部24の上下方向の端部に形成される。すなわち、拡大部24aと縮小部24bは円周方向に90度離間している。
【0031】
以下に
図4及び
図5を参照しつつ部品保持部25、把持部22、係合部24の機能を説明する。
図4及び
図5は、ねじ止め用冶具21を使用してレール12の内部にトリガー11をねじ止めする際の工程図を示す。まず、手でねじ止め用冶具21の把持部22を掴み、部品保持部25及び係合部24をレール12の開口12fを通してレール12の内部に挿入する(S1→S2)。部品保持部25及び係合部24の縮小部24bの外法d1はレール12の開口12fの幅W1以下であるので、部品保持部25及び係合部24をレール12の内部に挿入することが可能になる。ねじ止め用冶具21は部品保持部25の先端がレール12の取付け面12a2に当接するまでレール12の内部に挿入される。フランジ22cは、ねじ止め用冶具21がレール12の内部に挿入され過ぎるのを防止する。
【0032】
次に、ねじ止め用冶具21を時計方向に90度回転させる(S2→S3)。すると、係合部24の拡大部24aがレール12の縁部12d,12eに引っ掛かり、ねじ止め用冶具21がレール12から抜けなくなる。また、詳しくは後述するが、係合部24の上面には傾斜面24d(
図2(a)参照)が形成されている。傾斜面24dにより、部品保持部25及び係合部24はレール12の取付け面12a2と縁部12d,12eとの間で上下方向に挟まれ、圧縮される。部品保持部25及び係合部24には反力Pが働き、これらは突っ張った状態になる。したがって、ねじ止め用冶具21がレール12に確実に固定される。
【0033】
ねじ止め用冶具21をレール12に固定した後、トリガー11をねじ止め用冶具21の貫通孔26に挿入し、トリガー11のねじ部11aを部品保持部25に保持させる(S4)。S4には、ねじ止め用冶具21からトリガー11の頭部11bが露出した状態が示されている。
【0034】
次に、例えば電動ドライバー、手動ドライバー等の工具を用いてトリガー11をレール12の取付け面12a2にねじ込む(S5)。上述のように、ねじ止め用冶具21はレール12にしっかりと固定されているので、ねじ止め作業中にねじ止め用冶具21が動くのを防止できる。なお、
図6(a)→
図6(b)に示すように、トリガー11のねじ止め作業の進行に伴い、トリガー11の頭部11bが把持片25a内を移動するので、部品保持部25の把持片25aが左右方向に広がる。把持片25aの先端部25cの内径は当接部25bよりも大きいので、トリガー11のねじ込みが終了した状態では、把持片25aの変形量は小さくなる。
【0035】
トリガー11のねじ込み作業が完了したら、ねじ止め用冶具21を反時計方向に回転させる(S5→S6)。これにより、ねじ止め用冶具21の固定が解除される。ねじ止め用冶具21をレール12から引き抜けば、全ての作業が終了する(S7)。
【0036】
以下に、係合部24の傾斜面24dの構造、機能を詳細に説明する。
図2(a)に示すように、係合部24の拡大部24aの、レール12の縁部12d,12eに対向する対向面(
図2(a)の拡大部24aの上面)には、縮小部24bから拡大部24aの内側に円周方向に向かって係合部24の厚さが厚くなるように傾斜面24dが形成される。傾斜面24dは拡大部24aの平坦面24eに繋がる、平坦面24eはねじ止め用冶具21の中心線Cと直交する平面内に位置する。
【0037】
図3(b)の正面図に示すように、部品保持部25の先端から傾斜面24dの開始点までの長さh1は、レール12の取付け面12a2からレール12の縁部12d,12eまでの長さL1(
図4(S1)参照)よりも短い。一方、部品保持部25の先端から傾斜面の終了点(平坦面24e)までの長さh2は、上記長さL1よりも長い。傾斜面24dを形成することによって、部品保持部25の先端から傾斜面24dまでの長さをねじ止め用冶具21の円周方向において変化させることができる。
【0038】
以下に
図7を参照しつつ係合部24の傾斜面24dの機能を説明する。
図7はレール12にねじ止め用冶具21の部品保持部25及び係合部24を挿入し、ねじ止め用冶具21を円周方向に回転させるときの工程図を示す。
【0039】
図7(a)に示すように、まず、手でねじ止め用冶具21の把持部22を掴み、ねじ止め用冶具21の部品保持部25の先端がレール12の取付け面12a2に当接するまでねじ止め用冶具21をレール12の奥に挿入する。係合部24の縮小部24bの外側面は平らに形成されているので、レール12の縁部12d,12eに沿ってねじ止め用冶具21を挿入することが可能になり、ねじ止め用冶具21を真っすぐに挿入することが可能になる。
【0040】
次に、
図7(b)に示すように、ねじ止め用冶具21を回転させると(
図7(b)には約45度回転させた状態が示される)、係合部24の拡大部24aの傾斜面24dがレール12の縁部12d,12eの上面に乗り上げる。そして、レール12の取付け面12a2と縁部12d,12eとの間で部品保持部25及び係合部24が圧縮されるようになり、部品保持部25及び係合部24は上下方向に突っ張った状態になる。
図7(c)に示すように、ねじ止め用冶具21の回転角度が90度になると、ストッパ部23がねじ止め用冶具21の回転を制限する。以上により、ねじ止め用冶具21のレール12への装着が終了する。
【0041】
以下にねじ止め用冶具21の回転角度を90度に制限するストッパ部23を説明する。
図2(b)に示すように、ねじ止め用冶具21の係合部24とフランジ22cとの間の外周面には、レール12の縁部12d,12eに当接してねじ止め用冶具21の回転角度を制限するストッパ部23が設けられる。
【0042】
図8はレール12にねじ止め用冶具21を挿入し、ねじ止め用冶具21を円周方向に回転させるときの工程図を示す。
図8(a)に示すように、ねじ止め用冶具21をレール12の内部に挿入すると、ストッパ部23はレール12の縁部12d,12eと同じ高さに位置する。
図8(a)の下段のストッパ部23の断面図に示すように、ストッパ部23は、外径が開口12fの幅に等しい小径部23aと、小径部23aから半径方向に突出するストッパ本体23bと、を備える。小径部23aの回転はレール12の縁部12d,12eによって案内される。ストッパ本体23bは円周方向に180度離れた位置に二か所だけ設けられる。
【0043】
ねじ止め用冶具21が図
8(a)に示す状態から図
8(b)に示す状態まで90度だけ時計方向に回転すると、
図8(b)の下段に示すように、ストッパ本体23bが縁部12d,12eの対向面12d1,12e1に当接してねじ止め用冶具21の時計方向の回転を制限する。このため、ドライバー等の工具でトリガー11のねじ部11aを締めるとき、ねじ止め用冶
具21がトリガー11と共に回転するのを防止できる。ここで、上記の係合部24の傾斜面24dの機能により、ねじ止め用冶具21の回転角度が大きくなればなるほど、回転の抵抗が大きくなる。ねじ止め用冶具21を90度回転させる間、回転の抵抗が徐々に大きくなり、ねじ止め用冶具21を90度回転させたとき、ストッパ部23がねじ止め用冶具21の回転を停止させる。このため、ねじ止め用冶具21をレール12に装着したセット状態を確認することが可能になる。
【0044】
図9は、本発明の第二の実施形態のねじ止め用冶具31を示す。この実施形態では、部品として、矩形状の孔付き部品41(
図11、(S1)参照)を使用する点が第一の実施形態のねじ止め用冶具21と異なる。長方形の孔付き部品41は、中央に凸部42(
図10、(S7)も参照)を有し、凸部42の両側に二つのねじ通し孔43を有する。孔付き部品41のねじ通し孔43に止めねじ44を通し、孔付き部品41をレール12の取付け面12a2に取り付けることになる。孔付き部品41の凸部42はトリガーとして機能する。
【0045】
図9(a)に示すように、この実施形態のねじ止め用冶具31は、第一の実施形態のねじ止め用冶具21と同様に、基端側の把持部32と、先端側の部品保持部35と、把持部32と部品保持部35との間に設けられる係合部24と、を備える。ただし、第一の実施形態のねじ止め用冶具21と異なり、ねじ止め用冶具31には貫通孔が開けられておらず、把持部32は四角形の板状に形成され、部品保持部35は円柱を基礎とする形状をなす。
【0046】
図9(b)に示すように、部品保持部35の先端には、孔付き部品41の凸部42が嵌められる嵌合部37が形成される。部品保持部35には先端から内方に向かってスリット51が形成される。このスリット51によって、嵌合部37が一対の把持片37aに分離する。把持片37aは、
図9(b)中矢印A方向に拡開可能である。孔付き部品41の凸部42が嵌められたとき、把持片37aは矢印A方向に広がり、弾性力によって凸部42を保持する。
【0047】
係合部24の構造は、第一の実施形態と略同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0048】
係合部24と把持部32との間の外周面に設けられるストッパ部23の構造も第一の実施形態と略同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
【0049】
図10及び
図11は、第二の実施形態のねじ止め用冶具31を使用してレール12の内部に孔付き部品41をねじ止めするときの工程図を示す。まず、ねじ止め用冶具31の先端に孔付き部品41をセットする(S1)。次に、ねじ止め用冶具31の把持部32を指で掴み、部品保持部35及び係合部24をレール12の開口12fを通してレール12の内部に挿入する(S2)。このとき、孔付き部品41はレール12の取付け溝12a1内に挿入されており、取付け面12a2に当接する。
【0050】
次に、ねじ止め用冶具を時計方向に90度回転させる(S2→S3)。孔付き部品41はレール12の取付け溝12a1内に挿入されているので、ねじ止め用冶具31の回転に伴ってねじ止め用冶具31と一緒に回転することはない。ねじ止め用冶具31の係合部24の下面には傾斜面24dが形成されているので、部品保持部35及び係合部24が上方に押しやられ、部品保持部35及び係合部24はレール12の取付け面12a2と縁部12d,12eとの間で上下方向に突っ張った状態になる。
【0051】
ねじ止め用冶具31をレール12に固定したら、孔付き部品41の通し孔43に取付けねじ44を挿入し、孔付き部品41をレール12に取り付ける(S4)。孔付き部品41はレール12にしっかりと固定されているので、ねじ止め作業中に孔付き部品41が移動することはない。
【0052】
孔付き部品41のねじ込み作業が完了したら、ねじ止め用冶具を反時計方向に回転させる(S5→S6)。これにより、ねじ止め用冶具をレール12から取り外すことができるようになる。ねじ止め用冶具をレール12から引き抜けば、孔付き部品41のレール12への取付け作業が完了する(S7)。
【0053】
図12は、本発明の第三の実施形態のねじ止め用冶具51を示す。この実施形態のねじ止め用冶具51は、
図2に示す第一の実施形態のねじ止め用冶具21と略同様な構造を持っているが、フランジ22cを持たない点、把持部52が円筒に形成される点が第一の実施形態のねじ止め用冶具と異なる。その他の係合部24、ストッパ部23、部品保持部25の構造は第一の実施形態のねじ止め用冶具21と同一の構造なので、同一の符号を附してその説明を省略する。フランジ22cを設けなくても、部品保持部25及び係合部24をレール12内で突っ張らせた状態にすることができるので、フランジ22cを省略することも可能である。
【0054】
図13は、本発明の第四の実施形態のねじ止め用冶具61を示す。この実施形態のねじ止め用冶具は、第三の実施形態のねじ止め用冶具51の係合部24を上下二段に設けたものである。把持部52、部品保持部25、ストッパ部23の構造は第三の実施形態のねじ止め用冶具51と同一なので、同一の符号を附してその説明を省略する。係合部24を上下二段に設けることで、大きさの異なる二種類のレール12に対応することができる。小さいレール12の場合には、
図13中下段の係合部がレール12の縁部12d,12eに係合し、大きいレール12の場合には
図13中上端の係合部がレール12の縁部12d,12eに係合する。
【0055】
なお、上記実施形態のねじ止め用冶具の構造は一例であり、本発明の要旨を変更しない範囲で、ねじ止め用冶具の形状は部品に合わせてさまざまに変更することが可能である。
【0056】
上記実施形態では、ねじ止め用冶具を時計方向に90度回転させたとき、ストッパ部を作動させ、ねじ止め用冶具の回転を制限しているが、ストッパが作動するときのねじ止め用冶具の回転角度は90度に限られることはなく、60度等の任意の角度に設定することができる。
【0057】
上記実施形態では、取付け部材としてのレールに部品としてのトリガーをねじ止めする例について説明したが、取付け部材は開口を有するものであれば、レールに限られることはない。取付け部材は天井面に取り付けられることもあるし、壁面に取り付けられることもある。また、部品は、取付け部材にねじ止めするものであれば、トリガーに限られることはない。
【0058】
上記実施形態では、開口を有するレールとして断面C字形のレールを使用した例について説明したが、
図14(a)に示すように、レール12の一対の縁部12d,12eの先端にローラ走行体13a,13bのローラ54を案内する立上り部12d2,12e2を設けることも可能である。この場合、ねじ止め用冶具は、レール12の立上り部12d2,12e2に引っ掛かると共に、立上り部12d2,12e2と取付け面12a2との間に挟まれる。また、
図14(b)に示すように、レール71に開口71aを定める一つのみの縁部71bを設け、縁部71bにローラ54を案内する立上り部71b1を設けることもできる。この場合、ねじ止め用冶具は、レール12の立上り部71b1に引っ掛かると共に、立上り部71b1と取付け面71cとの間に挟まれる。