(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671510
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】半導体デバイス基板の研削方法
(51)【国際特許分類】
B24B 55/02 20060101AFI20150129BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20150129BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
B24B55/02 B
H01L21/304 631
B24B7/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-231263(P2012-231263)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-28425(P2014-28425A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2013年9月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-143770(P2012-143770)
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391011102
【氏名又は名称】株式会社岡本工作機械製作所
(72)【発明者】
【氏名】山本 栄一
(72)【発明者】
【氏名】小林 一雄
(72)【発明者】
【氏名】伊東 利洋
【審査官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−288655(JP,A)
【文献】
特開2001−127022(JP,A)
【文献】
特開2006−000997(JP,A)
【文献】
特開平10−055988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/02
B24B 7/04
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス基板のデバイス面を上方に向けて半導体デバイス基板(ワーク)をバキュームチャック回転テーブル上に載置し、回転軸に軸承された砥番2,000〜8,000のダイヤモンド砥粒カップホイール型研削砥石カップホイール型砥石により前記デバイス面の厚みを2〜50μm減少させる研削加工を行うとともに、前記デバイス面の研削加工に供されていない部分の前記カップホイール型砥石の砥石刃にこの砥石刃までの距離5〜20mm位置にあるノズル噴出口より3〜17MPaに加圧された高圧洗浄水を砥石刃への噴射角度が3〜18度の扇形状となるよう噴射させて砥石刃に付着した屑を洗い落とす砥石刃洗浄を行うことを特徴とする、半導体デバイス基板の研削方法。
【請求項2】
砥石刃への高圧洗浄水の噴射圧力が10〜15MPaであり、洗浄水の噴射は前記デバイス面の研削加工中、連続もしくは間歇的に行うことを特徴とする、請求項1記載の半導体デバイス基板の研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス基板の表面をカップホイール型研削砥石で高平坦形状に研削加工する際の、カップホイール型研削砥石の砥石刃に付着した銅研削屑や絶縁層屑を高圧ジェット水で除去して基板研削加工速度の低下を防ぐとともにカップホイール型研削砥石の砥石寿命を向上させる効果のある基板の研削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM、銅配線半導体デバイス基板、貫通電極基板、インクジェットプリント配線基板の製造において、基板から金属電極、銅配線、絶縁膜等を研削加工して平坦形状表面に形成し、ついで、ラップ加工、研磨パッド加工等の研磨加工により、もしくは、エッチング加工により絶縁膜の厚みを減らして電極を絶縁膜表面高さより5〜20μm突出させた貫通電極基板、あるいは、絶縁膜を研削加工して絶縁膜表面に銅配線が表出したより高い平坦形状表面にすることが半導体装置の製造工程において行われている。
【0003】
特開2004−181584号公報(特許文献1)は、外径が2〜500nm、アスペクト比が5〜15000で中心部に中空構造を有する多層構造の炭素繊維と砥粒と母材を含む研磨用複合材を定盤や砥石台金に固着させた研磨ホイールや研削砥石、研磨パッドを開示する。
【0004】
また、特開2005−217037号公報(特許文献2)は、研磨パッドにノズルより15〜30MPaの圧力の洗浄液(研磨砥粒は含まない)を10〜1500m/秒の噴霧速度で噴射して研磨パッド内に蓄積された研磨屑を研磨パッドより洗い流すドレッシングを行い、その後、別のノズルから15PMaの圧力で噴射させた研磨剤スラリーを前記研磨パッドに供給する研磨パッドのコンディショニング方法を開示する。
【0005】
本願特許出願人は、特開2011−142201号公報(特許文献3)にて、
平坦化加工装置を据え付ける部屋を前方部よりL字状の半導体基板のローディング/アンローディングステージ室、中間部の半導体基板の研磨加工ステージ室および奥部の半導体基板の研削加工ステージ室の3室に仕切り壁で区分けし、前記各ステージ室間の仕切り壁には隣接するステージ室に通じる基板を出し入れできる開口部が設けられ、前記ローディング/アンローディングステージ室の前方部壁室外には複数基のロードポートの基板収納カセットを設けた半導体基板の平坦化加工装置であって、
前記半導体基板のローディング/アンローディングステージ室内には、前記ロードポート背後の室内に第一の多関節型基板搬送ロボットを設け、その左側に基板洗浄機器を、その基板洗浄機器上方に第一の位置決め仮置台を設け、前記第一の位置決め仮置台の後方奥部に第二の移送式多関節型基板搬送ロボットを設けて在り、
前記研磨加工ステージ室内には、基板4枚を載置することが出来るサイズの円形状の仮置台4組を同一円周上にかつ等間隔に設けた仮置台定盤と、基板2枚を同時に研磨加工する平面円形状の第一、第二および第三の研磨定盤3組とから構成される4組の定盤の中心点が同一円周上に在り、かつ、等間隔に回転自在に設置した研磨手段と、前記3組の研磨定盤のそれぞれの傍らに研磨定盤の研磨布をドレッシングするドレッサー3組を設け、および、これら4組の定盤の上方には、1台のインデックス型ヘッドを設け、このインデックス型ヘッドの下方には基板の研磨される面を下方に向けて吸着する基板吸着チャックの一対を同時に独立して回動自在に主軸に支持してなる基板吸着チャック機構の4組を同心円上に設けた8枚の基板を吸着固定できる基板チャック手段を設けて各基板吸着チャックに吸着された半導体基板のそれぞれが前記定盤の4組のいずれかに対応して向き合うことを可能とした研磨加工ステージを設け、
前記半導体基板の研削加工ステージ室内には、第二の位置決め仮置台を前記第二の移送式多関節型基板搬送ロボットの背面側に設け、この第二の位置決め仮置台の右横側にハンドアーム表裏回転式の第三の多関節型搬送ロボットを設け、この第三の多関節型搬送ロボットの右横側に基板表裏面洗浄機器を設け、前記第三の多関節型搬送ロボットとこの基板表裏面洗浄機器の後ろ側に4組の基板チャックテーブルを1台のインデックス型ターンテーブルに同一円周上に等間隔に回転可能に設けた基板チャック定盤を設け、前記4組の基板チャックテーブルをローディング/アンローディングステージチャック、基板粗研削ステージチャック、基板エッジ研削ステージチャックおよび基板仕上げ研削チャック位置であると数値制御装置にインデックス記憶し、および、前記基板エッジ研削ステージチャックの傍らにエッジ研削砥石車を前後移動および上下昇降移動可能と為すエッジ研削装置を設けるとともに、前記基板粗研削ステージチャックの上方にカップホイール型粗研削砥石を上下昇降移動および回転可能に設け、かつ、前記前記基板仕上げ研削ステージチャックの上方にカップホイール型仕上げ研削砥石を上下昇降移動および回転可能に設け、前記第三の多関節型搬送ロボットに前記第二の位置決め仮置台上の半導体基板を前記ローディング/アンローディングステージチャック上へ移送、前記ローディング/アンローディングステージチャック上の半導体基板を前記基板表裏面洗浄機器上へ移送および前記基板表裏面洗浄機器上の半導体基板を前記研磨加工ステージ室内の前記仮置台定盤上へ移送する作業を行わせる研削加工ステージ室を設けた半導体基板の平坦化加工装置を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−181584号公報
【特許文献2】特開2005−217037号公報
【特許文献3】特開2011−142201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献3記載の平坦化加工装置は、半導体デバイス基板の裏面のシリコン基盤面を平坦化加工するにおいては優れるものである。しかし、半導体デバイス基板の配線プリントが施されているデバイス面を高い砥番(実施例では、2,000番のダイヤモンド砥粒)の仕上げ研削砥石で仕上げ研削加工(仕上げ研削時間は2〜4分)してデバイス面を平坦化加工する工程にて、銅配線の銅屑や絶縁膜層屑がカップホイール型砥石の砥石刃先に付着し、研削加工速度を低下させ、カップホイール型砥石の交換頻度が半導体デバイス基板10枚当たりで行う(砥石寿命が短い)必要があることが見出された。
【0008】
本発明者らは、半導体デバイス面の高い砥番のカップホイール型砥石による仕上げ研削加工後に、前記特許文献2記載の高圧ジェット洗浄液をカップホイール型砥石の砥石刃に噴射し、この砥石刃に付着した金属配線屑や絶縁膜層屑を洗い流すことを試みたところ、砥石刃表面より金属配線屑や絶縁膜層屑を洗い流す効果があることを見出した。しかし、半導体チップ製造メーカーは、半導体デバイス面の研削加工時間がこの洗浄工程の追加により長くなることを理由に砥石洗浄工程の追加採用に反対した。
【0009】
次に、本発明者らは、半導体デバイス面の高い砥番のカップホイール型砥石による仕上げ研削加工中に、砥石刃に付着した金属配線屑や絶縁膜層屑を別のダイヤモンド砥石ドレッサーによりデバイス面加工に供されていない部分の砥石刃に当てて除去することを試みたが、せいぜい砥石寿命(砥石による半導体デバイス基板の研削枚数)を2倍に高める効果しか見出されなかった。半導体チップ製造メーカーは、さらなる砥石寿命の向上を期待した。
【0010】
更に、本発明者らは、半導体デバイス面の高い砥番のカップホイール型砥石による仕上
げ研削加工中に、前記高圧ジェット洗浄液を前記カップホイール型砥石の研削加工に供されていない部分の砥石刃に噴射し、この砥石刃に付着した金属配線屑や絶縁膜層屑を洗い流すことを試みたところ、砥石刃表面より金属配線屑や絶縁膜層屑を洗い流す効果があることを見出した。しかも、前記別の砥石ドレッサー使用によるカップホイール型砥石の砥石刃の更なる磨耗が生じる欠点がないので、カップホイール型砥石の砥石寿命も格段に延びると推量される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1は、半導体デバイス基板のデバイス面を上方に向けて半導体デバイス基板(ワーク)をバキュームチャック回転テーブル上に載置し、回転軸に軸承された
砥番2,000〜8,000のダイヤモンド砥粒カップホイール型研削砥石カップホイール型砥石により前記デバイス面の
厚みを2〜50μm減少させる研削加工を行うとともに、前記デバイス面の研削加工に供されていない部分の前記カップホイール型砥石の砥石刃にこの砥石刃までの距離5〜20mm位置にあるノズル噴出口より
3〜17MPaに加圧された高圧洗浄水を
砥石刃への噴射角度が3〜18度の扇形状となるよう噴射させ
て砥石刃に付着した屑を洗い落とす砥石刃洗浄を行うことを特徴とする、半導体デバイス基板の研削方法を提供するものである。
【0012】
本発明の請求項2は、
砥石刃への高圧洗浄水の噴射圧力が10〜15MPaであり、洗浄水の噴射は前記デバイス面の研削加工中、連続もしくは間歇的に行うことを特徴とする、請求項1記載の半導体デバイス基板の研削方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
研削砥石によるワークの研削加工と前記研削砥石の砥石刃に付着した金属配線屑、絶縁層屑、研削屑を含む樹脂屑の高圧ジェット洗浄水による除去のドレッシング作業を同時に平行して行うので、研削加工中、研削砥石の目立てが常時、高圧ジェット洗浄水により実施されるので研削砥石のワーク研削速度が低下することはない。また、高圧ジェット洗浄水による砥石刃のドレッシング作業による砥石刃の磨耗は無視できるほど極めて小さいので、砥石寿命に与える影響は殆どない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1はワークの研削加工作業の要部を示す一部を切り欠いた正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す半導体デバイス基板wの研削装置1は、ポーラスセラミックチャックテーブル2aを回転軸2bに軸承させた基板吸着チャック機構2、砥石軸3bに軸承された高い砥番のカップホイール型研削砥石3aを備える砥石ヘッド3、該研削砥石の砥石刃先3a
gを高圧ジェット洗浄するノズル4aを備える洗浄液噴射装置4および半導体デバイス基板のデバイス面に研削液を供給する研削液供給ノズル5を備える。半導体デバイス基板(ワーク)wは、シリコン基盤w
sの表面に形成されたデバイス面w
dを上方に向けて前記ポーラスセラミックチャックテーブル2a上に載置される。図中、6は脱気管、7は給水管、8は流体室である。流体室8を脱気管6で減圧することにより半導体デバイス基板のポーラスセラミックチャックテーブル2a上での固定が確固したものとなる。
【0016】
半導体デバイス基板wとしては、銅配線プリント基板、貫通電極基板、バンプ付き半導体基板、貼り合わせ基板等が使用される。
【0017】
前記カップホイール型研削砥石3aは、砥粒素材として砥番#2,000〜#8,000のダイヤモンド、cBN、SiCの砥粒を用いたビトリアイドボンド砥石、メタルボンド砥石、レジンボンド砥石などが利用できる。なかでも、ダイヤモンドビトリファイドボンドカップホイール型研削砥石が面平坦度仕上げおよび研削速度の面で優れる。
【0018】
研削液供給ノズル5より供給される研削液としては、デバイス面の素材により異なるが、純水、エタノールアミン水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、苛性カリ水溶液、酢酸、塩酸等の導電性水溶液、セリア水分散液、アルミナ水分散液などが利用できる。
【0019】
洗浄液噴射装置4のノズル4aより供給される高圧洗浄液としては、上述の研削液を用いてもよいが、排水処理の面から純水が一般的である。圧力は、砥石の砥番に依存するが、3〜17MPaである。
【0020】
洗浄液噴射装置4としては、旭サナック株式会社の精密高圧ジェット水洗浄機械“HPMJ AFS5400S”(商品名)が利用できる。
【0021】
上記研削装置1を用いて半導体デバイス基板(ワーク)wのデバイス面w
dを研削砥石3gを用いて平坦化加工する作業は、半導体デバイス基板wのデバイス面w
dをバキュームチャック2のポーラスセラミックテーブル2a上に載置し、回転軸2bを100〜150min
−1回転させることによりワークを回転させ、高粒度カップホイール型研削砥石3aの砥石軸3bを1,200〜2,000min
−1回転させながら30μm/分の下降速度で下降させて、そのカップホイール型研削砥石の砥石刃先3a
gを前記ワークw
d表面上で摺擦させて厚みを所望量(2〜50μm)減少させるワークの仕上げ研削加工をするとともに、この研削加工中に前記カップホイール型研削砥石のデバイス面研削加工に供されていない部分の砥石刃先3a
gにこの砥石刃までの距離5〜20mm位置にあるノズル噴出口4aより圧力3〜17MPa、好ましくは、10〜15MPaの洗浄水を噴射させて砥石刃に付着した金属屑、絶縁層屑、樹脂屑等を洗い流す砥石刃洗浄工程を行う。上記研削加工中、ワークの表面には研削液供給ノズル5より研削液が10〜20リットル/分の割合で供給される。高圧洗浄水の砥石刃への噴射角度は、3〜18度、好ましくは、12〜18度の扇形状であり、洗浄水の噴射は前記デバイス面の研削加工中、連続もしくは間歇的に行う。
【実施例】
【0022】
実施例1
砥番#325のダイヤモンドメタルボンドカップホイール型研削砥石を用いて直径200mmのバンプ付きウエーハのデバイス面が粗研削加工された半導体デバイス基板(ワーク)wを仕上げ研削加工の試料とした。
【0023】
この粗研削加工された半導体デバイス基板のデバイス面w
dをバキュームチャック2のポーラスセラミックテーブル2a上に載置し、回転軸2bを120min
−1回転させることによりワークを回転させ、砥番#4,000のダイヤモンドビトリファイドボンドカップホイール型研削砥石3aを用いてこのカップホイール型研削砥石3aの砥石軸3bを1,1,650min
−1回転させながら30μm/分の下降速度で下降させて、そのカップホイール型研削砥石の砥石刃先3a
gを前記ワークw
d表面上で摺擦させて厚みを所望量(20μm)減少させるワークの仕上げ研削加工を90秒間実施するとともに、この研削加工中に前記カップホイール型研削砥石のデバイス面研削加工に供されていない部分の砥石刃先3a
gにこの砥石刃までの距離10mm位置にあるノズル噴出口4aより圧力12MPaの洗浄水を1.2リットル/分の割合で噴射角度15度の扇形状に研削加工中連続的に噴射させ、前記砥石刃に付着した金属屑、絶縁層屑、樹脂屑等を洗い流す砥石刃洗浄工程を行った。なお、上記研削加工中、ワークの表面には研削液供給ノズル5より研削液を15リットル/分の割合で供給した。
【0024】
得られた仕上げ研削加工された半導体デバイス基板の中心部の直径約2.3μmの銅プラグの表面粗さは、Ra 0.017μm、Ry 0.141μm、Rz 0.078μmであり、樹脂膜の表面粗さは、Ra 0.178μm、Ry 1.241μm、Rz 0.798μmであった。
【0025】
また、得られた仕上げ研削加工された半導体デバイス基板のエッジ部の直径約1.5μmの銅プラグの表面粗さは、Ra 0.017μm、Ry 0.093μm、Rz 0.072μmであり、樹脂膜の表面粗さは、Ra 0.058μm、Ry 0.339μm、Rz 0.210μmであった。
【0026】
上記実施例1の半導体デバイス基板のデバイス面w
dの仕上げ研削加工を90枚の半導体デバイス基板について連続して3時間かけて行った。得られた半導体デバイス基板のデバイス面w
dの仕上げ研削加工面の表面粗さについて、さほどの差は見受けられなく、半導体チップ製造メーカーの満足がいく値であった。
【0027】
なお、上記実施例1において、カップホイール型研削砥石の摩耗量は、0.3μm/分であり、90秒間の研削で0.5μmであった。よって、カップホイール型研削砥石3aは砥石刃3a
g高さ7mmの標準カップホイール型研削砥石で半導体デバイス基板10,000枚以上と高ライフ(寿命)研削枚数と予測でき、半導体チップ製造メーカーの要求を完全に満たすことができる。
【0028】
参考例1
実施例1において、バンプ付きウエーハの代わりに、デバイス面に樹脂絶縁層が施された半導体デバイス基板を用いる外は同様にして、仕上げ研削加工を行った。得られた仕上げ研削加工された半導体デバイス基板の中心部の樹脂層の表面粗さは、Ra 0.083μm、Ry 0.791μm、Rz 0.592μmであり、エッジ部の樹脂膜の表面粗さは、Ra 0.063μm、Ry 0.556μm、Rz 0.304μmであった。
【0029】
なお、上記実施例1において、カップホイール型研削砥石3aの高圧水洗浄時間は研削加工中の90秒間連続噴射して行ったが、基板の仕上げ研削加工時間中の途中、または最後の方でカップホイール型研削砥石3aの高圧水洗浄工程を10〜20秒間実施する間歇式であっても充分、研削屑や砥石粒残渣の流し出す効果がある。
【0030】
実施例2
上記実施例1において、カップホイール型研削砥石3aの砥番を#2,000、#4,000または#8,000に変え、高圧水の圧力を2、5、10、15または17MPaと変更する外は同様にして半導体デバイス基板のデバイス面w
dの仕上げ研削加工を行った。カップホイール型研削砥石3aの砥番に依存して、得られた仕上げ研削加工半導体デバイス基板の加工品質良好、砥石にCu付着量小、および砥石磨耗量少ないの3評価が非常に良い(◎)か良い(丸)の全てであったときの高圧洗浄水の圧力は、砥番#2,000の砥石では14〜17.5MPa、砥番#4,000の砥石では8.5〜16MPa、および、砥番#8,000の砥石では2〜11MPaのときであった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
カップホイール型砥石によるワークのデバイス面の研削加工と平行して前記カップホイール型砥石の砥石刃先を高圧ジェット洗浄水でインプロセス(in-situ)ドレッシングすることによりワークの研削速度を途中で低減させることなく加工できるとともに、カップホイール型砥石の交換時期を遅らすことができる。
【符号の説明】
【0032】
w 半導体デバイス基板
1 半導体基板の平坦化加工用の研削装置
2 バキュームチャック機構
3 研削ヘッド
3a カップホイール型砥石
3b 砥石軸
4 洗浄液噴射装置
4a 洗浄液噴射ノズル
5 研削液供給ノズル