(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、充電制御機能は専ら送電側に持たせており、充電される端末側では充電制御機能を持たないことを前提としている。このため、充電制御機能を自ら有する端末等に対し、従来の送電装置を用いて充電を行うと、必ずしも効率的な充電制御が行えないという問題があった。
【0005】
たとえば特許文献1の技術では、端末の電池の劣化や故障を検出することはできるが、電池が正常なまま端末自身が能動的に充電を中止したような場合には、これを的確に検出することができない。このため、充電を自動的に再開することができず、管理者による作業が必要となる。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、充電制御機能を自ら有する端末等に対する充電を、より効率的に実行できる充電制御装置、コンピュータシステムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題点を解決するため、この発明に係る充電制御装置は、
充電制御機能を持つ携帯情報端末に対する充電を制御する、充電制御装置であって、
前記携帯情報端末に対して送電を行う、送電機能と、
前記携帯情報端末から充電率を表す値を受信する、情報受信機能と、
前記携帯情報端末が正常に充電されているか否かを、前記充電率を表す値に基づき判定し、前記充電率が所定の閾値未満である場合に、前記携帯情報端末が正常に充電されていないと判定する、判定機能と、
前記送電の実行中において、前記携帯情報端末が正常に充電されていないと判定された場合に
前記携帯情報端末への前記送電を停止し、その後に
その前記携帯情報端末に前記送電を開始する、送電再開機能と
を備える。
【0008】
前記携帯情報端末の前記充電制御機能は、
外部の電源から電力の供給を受けて充電する充電機能と、
前記充電機能の実行を中止する、充電中止機能と、
充電電力の供給が開始されることに応じて、前記充電機能の実行を開始する、充電開始機能と、
を備え、
前記携帯情報端末は、前記充電中止機能を実行した後は、前記外部の電源からの電圧の印加が消失しない限り、前記充電開始機能を実行しないものであってもよい
。
前記充電制御装置は、
前記情報受信機能および前記判定機能を備える判定装置と、
前記送電機能および前記送電再開機能を備える送電制御装置と
を備え、
前記判定装置は、判定の結果に応じて前記送電制御装置に送電再開指令を送信し、
前記送電制御装置は、前記送電再開指令に応じて前記送電再開機能を実行してもよい。
【0009】
また、この発明に係るコンピュータシステムは、上述の充電制御装置と、充電制御機能を持つ前記携帯情報端末とを備える。
【0010】
また、この発明に係るプログラムは、コンピュータを、上述の充電制御装置として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る充電制御装置、コンピュータシステムおよびプログラムによれば、端末が自ら充電を中止している可能性を充電制御装置が検出し、この検出に応じて充電を再開させるための動作を実行するので、管理者による介入の必要性を低減し、効率的な充電制御を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、本発明の実施の形態1に係るコンピュータシステムを含む構成を示す。コンピュータシステムは、たとえば顧客からの注文を店頭で受け付ける店舗に設けられる。本実施形態の例では飲食店に設けられる。一般に、飲食店等の店舗では、電源供給が完全には安定していないことが多く、たとえば大電力機器の動作開始時・終了時や動作中に、ノイズ等により他の機器の電源供給状態が変動する場合がある。
【0014】
コンピュータシステムは、1つまたは複数の携帯情報端末10を備える。携帯情報端末10は用途ごとに複数種類のものが準備されてもよく、たとえば本実施形態では次の3種類を含む。
‐スタッフエリアに設けられるスタッフ用携帯情報端末10a
‐客席エリアに設けられる顧客用注文表示用携帯情報端末10b
‐受付エリアに設けられるスタッフ用注文・会計表示用携帯情報端末10c
各種類の携帯情報端末10の数は、
図1に示した具体例に限らない。
【0015】
携帯情報端末10のハードウェアとしては、公知の携帯情報端末またはタブレット端末を用いることができる。たとえば、携帯情報端末10はコンピュータとしての構成を含み、演算を行う演算手段と、情報を格納する記憶手段と、使用者の操作を受け付ける入力手段と、情報を表示する表示手段と、外部の通信ネットワークに対し情報の入出力を受け付けるネットワークインタフェースと、バッテリとを備える。たとえば、演算手段はCPU(中央処理装置)を含み、記憶手段は半導体メモリおよびHDD(ハードディスクドライブ)等の記憶媒体を含む。また、たとえば入力手段はタッチパッドを含み、表示手段は液晶ディスプレイを含む。タッチパッドおよび液晶ディスプレイを含むタッチパネルを備えてもよい。このような携帯情報端末10は、たとえばiPad(登録商標)を用いて構成することができる。
【0016】
携帯情報端末10は、それぞれ所定の端末用プログラム(OS、アプリケーションプログラム、またはこれらの組合せ)を実行する。これらの端末用プログラムは、事前に各携帯情報端末10の記憶手段に格納させておくことができる。各携帯情報端末10は、それぞれの記憶手段に格納された端末用プログラムを実行することにより、本明細書に記載される機能を実現する。
【0017】
コンピュータシステムは、充電制御装置50を備える。充電制御装置50は、携帯情報端末10に対する充電を制御する。充電制御装置50は、管理PC51とシーケンサ52とを備える。管理PC51は、たとえば公知のコンピュータを用いて構成することができる。管理PC51の記憶手段には管理用プログラム(図示せず)が格納されており、管理PC51はこの管理用プログラムを実行することにより、本明細書に記載される機能を実現する。
【0018】
管理PC51は、本実施形態では充電に関する判定を行う判定装置として機能する。また、シーケンサ52は、本実施形態では携帯情報端末10への送電を制御する送電制御装置として機能する。
【0019】
図2に、充電動作に係る接続構成の一部を示す。シーケンサ52は電源53に接続され、電源53から供給される電力を外部に供給可能である。すなわち、シーケンサ52は、外部の機器(たとえば携帯情報端末10)に対して送電を行う、送電機能を有する。電源53はたとえば交流電源であり、商用または家庭用のコンセントであってもよい。本実施形態では、シーケンサ52はアダプタ60を介して携帯情報端末10に接続されており、各携帯情報端末10に充電用の電力を供給する。アダプタ60は、入力側に供給される電力(たとえば電源53から供給される交流100Vの電力)を変換し、出力側の電力(たとえば携帯情報端末10に充電可能な直流10Vの電力)として供給する。
【0020】
シーケンサ52は内部にスイッチ52aを備え、スイッチ52aの開閉を制御することによって携帯情報端末10への送電を制御可能である。スイッチ52aはたとえば機械式リレーによって構成することができるが、公知の開閉手段であればこれに限らない。たとえば、スイッチ52aが開放された状態では携帯情報端末10への送電が行われず、携帯情報端末10の充電はなされない。また、スイッチ52aが閉成された状態では携帯情報端末10への送電が行われ、したがって携帯情報端末10の充電が可能となる。
【0021】
また、管理PC51は、シーケンサ52の動作を制御する制御指令をシーケンサ52に送信する機能を有する。なお、とくに図示しないが、シーケンサ52は、制御指令を受信するためおよびスイッチ52aの開閉を制御するために必要な構成(通信手段、制御手段等)を備えるものとする。
【0022】
図3に、携帯情報端末10と管理PC51との間の通信内容の例を示す。なお
図3には単一の携帯情報端末10のみを示すが、他の携帯情報端末10についても同様である。
携帯情報端末10は、管理PC51と通信可能に接続される。携帯情報端末10と管理PC51との間の通信は、たとえば無線LAN等の無線ネットワークを介した通信であるが、有線LAN等の有線ネットワークを介した通信であってもよく、両者を組み合わせた通信ネットワークを介したものであってもよい。
【0023】
このような構成により、コンピュータシステムは飲食店の営業を支援する。たとえば、顧客が携帯情報端末10bから注文を入力すると、注文の内容がスタッフエリアの携帯情報端末10aに表示される。これに応じてスタッフが注文品を用意する。
【0024】
携帯情報端末10は、管理PC51に充電状態情報を送信する、情報送信機能を有する。また、管理PC51は、携帯情報端末10から送信される充電状態情報を受信する、情報受信機能を有する。充電状態情報は、たとえば携帯情報端末10からリクエスト(たとえばHTTPリクエストメッセージ)を管理PC51に送信することによって伝達される。
【0025】
図4に、携帯情報端末10のハードウェア構成の例を示す。
携帯情報端末10は、入力手段および表示手段を兼ねるタッチパネル11と、特定の操作に用いるホームボタン12と、電源の投入および切断(OSのシャットダウンを含んでもよい)に用いる電源ボタン13と、情報の入出力および電源供給に用いるソケット14とを備える。ソケット14は、携帯情報端末10を充電するための電圧を印加する電圧入力端子として機能する。なお、
図4の例では、電源ボタン13およびソケット14はいずれも、正面からは見えない位置(たとえば側面や背面等)に設けられる。
【0026】
ホームボタン12および電源ボタン13は、携帯情報端末10に対するリセット操作手段として機能する。すなわち、携帯情報端末10は、これらのリセット操作手段のいずれかまたは複数に対する操作を含む所定のリセット操作が入力されることに応じて、電源の再投入またはOSのリブートを含むリセット処理を実行する機能を備える。たとえば、ホームボタン12が操作されると、リセット処理として、電源の再投入またはOSのリブートを指示するための選択処理が開始され、さらにこれらのいずれかを選択する操作に応じて、該当のリセット処理が実行される。
【0027】
本実施形態では、携帯情報端末10は、上記のリセット操作が入力されていない場合には、いかなるアプリケーションプログラムを実行することによっても、リセット処理を実行できない。すなわち、使用者は、ホームボタン12または電源ボタン13を操作しない限り、携帯情報端末10をどのように操作しても、携帯情報端末10自身の機能によって電源の再投入やOSのリブートを実行することはできない。ただし、携帯情報端末10のハードウェアまたはOSの仕様外の動作(たとえば設計ミスまたはバグ)による場合を除く。また、変形例として、ホームボタン12または電源ボタン13を操作せずにリセット処理を実行可能な構成としてもよい。
【0028】
携帯情報端末10は、外部の電源から電力の供給状態に応じて、携帯情報端末10に設けられるバッテリへの充電を制御する、充電制御機能を有する。充電制御機能は次の各機能を含む。
‐外部の電源から電力の供給を受けてバッテリを充電する充電機能
‐所定の充電開始条件が満たされることに応じて充電機能の実行を開始する、充電開始機能
‐なんらかの充電中止条件が満たされることに応じて充電機能の実行を中止する、充電中止機能
【0029】
充電開始条件は、たとえば充電電力の供給が開始されることである。より具体的には、たとえば、ソケット14に対して充電電圧が印加されていない状態から、充電電圧が印加されている状態に変化することである。
【0030】
充電中止条件は、充電状況に関連して定義される所定の条件である。たとえば、ソケット14への電力供給が不安定になることである。電力供給が不安定になるとは、たとえば、電圧が所定の許容範囲の上限を超えるか、または下限を下回ることである。
【0031】
充電開始条件および充電中止条件は、当業者であれば適宜設計可能である。また、充電中止条件については、必ずしも具体的な条件が特定されいなくともよい。なんらかの条件に応じて携帯情報端末10の充電が中止される場合が実際にあるという事実が既知であれば、その条件がまったく不明であっても、本発明の一実施形態の実現には十分である。
【0032】
また、携帯情報端末10は、充電中止機能を実行した後は、外部の電源からの電圧の印加が消失しない限り、充電開始機能を実行しない。すなわち、いったん充電を中止した後は、充電開始条件が満たされるだけでは自動的には充電を再開しない。ここで、外部の電源からの電圧の印加は、たとえば外部からソケット14に電力を供給する電源供給回路のスイッチオフ動作によって消失する。または、ソケット14に接続されていたコネクタをソケット14から引き抜くことによって消失する。
【0033】
本実施形態では、携帯情報端末10は、充電量が所定の終了基準を満たす(たとえば充電率が100%以上である)状態となっても、携帯情報端末10の電源がオンである限り充電を終了しないものとする。
【0034】
図5に、携帯情報端末10に取り付けられる端末ケース20の構成の例を示す。この端末ケース20は、たとえば客席エリアに設けられる顧客用注文表示用携帯情報端末10bに取り付けられるものであるが、他種類の携帯情報端末10に取り付けられるものであってもよい。
【0035】
端末ケース20は、前面部21および背面部22を備え、これらが蝶番23によって開閉可能に連結されている。前面部21および背面部22は、たとえばいずれも全体が透明な素材で形成される。端末ケース20は、背面部22に携帯情報端末10の背面が接触するよう配置した状態で前面部21を閉じることにより、携帯情報端末10の全体を収容することができる。また、前面部21および背面部22は、閉じた状態において、ネジ等の螺合部材により互いに固定可能なものであってもよい。また、そのように固定されることにより、当該螺合部材を取り外さずに端末ケース20から携帯情報端末10を取り出すことが物理的に不可能または困難となるものであってもよい。
【0036】
図6に、端末ケース20に携帯情報端末10が収容された状態の例を示す。携帯情報端末10および端末ケース20により、携帯情報端末セット30が構成される。
図4〜
図6に示すように、端末ケース20は、携帯情報端末10に対する操作の一部を不可能または通常より困難とするガード部材として機能する。たとえば、端末ケース20は、リセット操作手段(ホームボタン12および電源ボタン13)の操作を不可能または通常より困難とし、また、ソケット14へのコネクタ等の抜き差し操作を不可能または通常より困難とする。ここで、「通常より困難」の意味は当業者であれば理解するものであるが、たとえば、使用者の手または指がその操作を実行するために存在または通過する必要がある空間的領域に、そのガード部材が存在している状態を意味する。
【0037】
前面部21は開口である操作窓21aを備え、操作窓21aがタッチパネル11に対応する。すなわち、使用者は操作窓21aを通してタッチパネル11を操作することができる。また、前面部21は、前面部21を貫通するホームボタン孔21bを備える。ホームボタン孔21bは、ホームボタン12に整合する位置に設けられる。
【0038】
ここで、ホームボタン孔21bの径は、使用者が指によりホームボタン孔21bを通してホームボタン12を操作することを不可能または通常より困難とする程度の径である。たとえば、直径は1mm以下、2mm以下、3mm以下、4mm以下、または5mm以下とすることができる。ただし、ピン等の細長い部材を用いると、ホームボタン孔21bを通してホームボタン12を操作することが可能となっている。
【0039】
また、携帯情報端末10の前面と前面部21との間の隙間も、使用者が操作窓21aを通して指によりホームボタン12を操作することを不可能または通常より困難とする程度の隙間である。たとえば、隙間は1mm以下、2mm以下、3mm以下、4mm以下、または5mm以下とすることができる。
【0040】
背面部22は開口22aを備える(
図5にのみ示す)。ただし、開口22aは、電源ボタン13に対応する位置には設けられない。また、携帯情報端末10の背面と背面部22との隙間は、使用者が開口22aを通して指により電源ボタン13を操作することを不可能または通常より困難とする程度の隙間である。たとえば、隙間は1mm以下、2mm以下、3mm以下、4mm以下、または5mm以下とすることができる。
【0041】
また、前面部21はコネクタ収容部21cを備え、背面部22はコネクタ収容部22bを備える。コネクタ収容部21cおよびコネクタ収容部22bは、ソケット14に挿入されるコネクタ(図示せず)を収容する形状に形成される。コネクタ収容部21cおよびコネクタ収容部22bのいずれかまたは双方に、コネクタに接続されるケーブルを通す貫通孔が設けられてもよい。この貫通孔の位置および形状はとくに図示しないが、使用者がこの貫通孔を通して手または指によりコネクタの抜き差し操作を行うことを不可能または通常より困難とする構成である。たとえば、貫通孔の径は1mm以下、2mm以下、3mm以下、4mm以下、または5mm以下とすることができる。
【0042】
このように、前面部21がガード部材としてホームボタン12をガードし、背面部22がガード部材として電源ボタン13をガードし、コネクタ収容部21cおよび22bがガード部材としてソケット14およびコネクタをガードするので、人間の手または指による操作で携帯情報端末セット30のリセット処理やコネクタの抜き差し操作を実行することが不可能または通常より困難となっている。このため、携帯情報端末10に対する不用意な操作(たとえば顧客の不注意によるもの等)を抑制することができる。
【0043】
ここで、本実施形態ではソケット14へのコネクタの抜き差し操作が不可能または通常より困難であるため、ソケット14への電力供給が不安定になり携帯情報端末10が充電を中止した場合、コネクタの抜き差し操作により充電動作を再開させることが困難となっている。
【0044】
なお、図示しないが、端末ケース20は他の構成に固定されてもよい。たとえば、客席エリアに設けられる顧客用注文表示用携帯情報端末10bを収容する端末ケース20は、客席に対して固定され、これによって間接的に顧客用注文表示用携帯情報端末10bを固定してもよい。
【0045】
以下、
図7に示すフローチャートを用いて、本実施形態に係るコンピュータシステムにおける充電制御動作の具体例を示す。
【0046】
まず、シーケンサ52は、携帯情報端末10に対する送電動作を開始する(ステップS31)。通常時(後述のステップS35〜S36の間を除く)は、シーケンサ52から送電が実行され、携帯情報端末10のソケット14には常に充電用の電圧が印加されていることになる。
【0047】
携帯情報端末10は、充電状態情報を管理PC51に送信する(ステップS12)。ここで、充電状態情報はたとえば充電率を表す値を含む。ステップS12は、たとえば定期的に、たとえば1分おきに、繰り返し実行される。ここで、「定期的」とは、厳密に一定時間ごとに実行されるものに限らず、少なくともある期間にわたって同一の時間的基準に基づいて実行タイミングが決定されるものであれば、結果として実行が厳密には一定時間ごとにならない処理も包含する。
【0048】
管理PC51は、充電状態情報を受信する(ステップS22)。複数の携帯情報端末10から充電状態情報が送信される場合には、それぞれを受信する。次に、管理PC51は、携帯情報端末10が正常に充電されているか否かを、受信した充電状態情報に基づき判定する(ステップS23、判定機能)。たとえば、ある充電状態情報に含まれる充電率が所定の下限閾値(たとえば90%)以上である場合には、その充電状態情報を送信してきた携帯情報端末10は正常に充電されていると判定し、充電率が下限閾値未満である場合には、その充電状態情報を送信してきた携帯情報端末10は正常に充電されていないと判定する。
【0049】
本実施形態では、携帯情報端末10のソケット14には常に充電用のコネクタが接続されており、また、通常時はシーケンサ52から電力が供給されているので、通常時は携帯情報端末10は常に充電されている状態にある。したがって、通常時は、携帯情報端末10の充電率は100%またはこれに近い値となるはずであり、下限閾値未満となる可能性は低い。
【0050】
充電率が下限閾値未満となる原因としては、たとえば店舗全体の電圧変動等によりシーケンサ52からの電力供給が一時的に不安定となり、これに応じて携帯情報端末10が自動的に充電中止機能を実行した、等の状況が考えられる。このように、本発明に係る充電制御装置50は、携帯情報端末10が自ら充電を中止している可能性を検出することができる。
【0051】
上述のように、携帯情報端末10は、充電中止機能を実行した後は、外部の電源からの電圧の印加が消失しない限り、充電開始機能を実行しないので、シーケンサ52からの電力供給が安定した状況に復帰しても、充電率が上昇しない場合がある。この場合、携帯情報端末10の使用に伴って充電率は徐々に低下する。すなわち、携帯情報端末10の機能(バッテリの機能を含む)が正常であり、かつその時点においてシーケンサ52からの電源供給が正常に回復していても、携帯情報端末10への充電がなされず充電率が低下してゆく可能性がある。このような事態は、従来技術では想定されていないものである。
【0052】
ステップS23において、複数の携帯情報端末10が存在する場合には、すべての携帯情報端末10が正常に充電されているか否かを判定してもよく、一定数または一定割合の携帯情報端末10が正常に充電されているか否かを判定してもよい。
【0053】
ステップS23の実行タイミングは適宜設計可能であるが、たとえば充電状態情報が受信されるごとに、その充電状態情報を送信して来た携帯情報端末10について実行することができる。
【0054】
ステップS23において、正常に充電されていると判定された場合、管理PC51の処理はステップS22に戻り、充電状態情報の受信を待ち受ける。
【0055】
正常に充電されていないと判定された場合、管理PC51は、シーケンサ52に送電再開指令を送信する(ステップS24)。その後、管理PC51の処理はステップS22に戻り、充電状態情報の受信を待ち受ける。
【0056】
管理PC51から送電再開指令が送信されると、シーケンサ52は管理PC51から送電再開指令を受信する(ステップS34)。この送電再開指令は、実行中の送電動作を一時的に中止し、その後送電動作を再開することを表す指令である。
【0057】
シーケンサ52は、この送電再開指令を受信すると、これに応じて送電動作を停止し(ステップS35)、その後所定時間が経過すると送電動作を開始する(ステップS36)。
図2に示す構成では、すべての携帯情報端末10に対する送電動作が一時的に停止されることになる。このように、充電制御装置50(とくにシーケンサ52)は、送電の実行中において携帯情報端末10が正常に充電されていないと判定された場合に送電を停止し、その後に送電を開始する、送電再開機能を有する。ここで、送電動作が停止している時間は、たとえば1秒間である。ステップS36の実行後、シーケンサ52の処理はステップS34に戻り、送電再開知指令の受信を待ち受ける。
【0058】
なお、携帯情報端末10については、充電が一時的に途絶えても、実行中の機能には影響しないよう構成することができる。本実施形態では、すべての携帯情報端末10について充電率が少なくとも90%に近い値となるので、電力不足による省電力モードへの移行やシャットダウン等は発生しない。
【0059】
また、この例では、ステップS24およびS34の実行時点において送電動作が実行中であることを想定しているが、この時点において送電動作が実行中でない場合(すなわち携帯情報端末10に充電電流が供給されていない場合)には、ステップS35およびステップS36の実行を省略してもよい。または、ステップS36のみを実行してもよい(この場合には、送電再開機能はステップS35の実行を含まないことになる)。
【0060】
ステップS35が実行された結果として、携帯情報端末10側では、ソケット14への電圧の印加が消失する(ステップS15)。したがって、その後にステップS36が実行され充電が開始されると(ステップS16)、ソケット14に対して充電電力の供給が開始されることになる。すなわち、ソケット14に対して、充電電圧が印加されていない状態から、充電電圧が印加されている状態に変化することになる。このため、ステップS15の直前まで充電中であった携帯情報端末10も、ステップS15より前に充電中止機能が実行されたため充電を行っていなかった携帯情報端末10も、ステップS16において充電を再開することになる。
【0061】
このように、実施の形態1に係る充電制御装置によれば、携帯情報端末10が自動的に充電動作を中止しているという可能性を検出し、ソケット14へのコネクタの抜き差し動作なしで充電を再開できることができる。したがって、管理者による介入の必要性を低減し、効率的な充電制御を実現できる。
【0062】
とくに、本実施形態の場合には、ソケット14およびコネクタがガード部材(コネクタ収容部21cおよび22b)によってガードされており、人間の手または指によるコネクタの抜き差し操作が困難であるので、抜き差し操作が不要となった場合の利益がより大きい。
【0063】
また、本発明では、充電率を監視することにより、間接的に充電動作状況を監視することができるので、各携帯情報端末10が実際に充電動作を行っているか中止しているかや、どのような条件において充電を中止するかを厳密に調べる必要がない。したがって、充電動作について仕様が公開されておらず、ある程度ブラックボックス的な挙動を示す携帯情報端末10についても適用が可能である。
【0064】
また、定期的に(たとえば毎日決まった時刻や、数時間おきに)充電電源をオン・オフするようなシステムと比較すると、本発明に係る充電制御装置50は、時間ではなく充電状態情報に基づいて送電の制御を行うので、バッテリの消耗が予想以上に早く進行した場合であっても、電力不足となる前に充電を再開できる可能性が高くなる。
【0065】
なお、実施の形態1に係る充電制御装置50は、携帯情報端末10のように充電制御機能を持つ端末とともに用いると特に効果的であるが、充電制御機能を持たない端末や、充電制御機能を持つか否かが仕様上明確にされていない端末に対しても適用可能である。
【0066】
上述の実施の形態1において、以下のような変形を施すことができる。
実施の形態1では、携帯情報端末10は、充電量が所定の終了基準を満たす(たとえば充電率が100%以上である)状態となっても充電を終了しないが、変形例として、充電量が所定の終了基準を満たす状態となることに応じて、充電動作を終了させるものであってもよい。この場合、「充電機能の実行を中止する」および「充電中止機能を実行する」という表現は、充電量が所定の終了基準を満たすことに応じて充電動作を終了させることを含んでもよいし、除外してもよい。
【0067】
たとえば、ある種類の携帯情報端末が、充電により充電率が100%となった場合に充電を終了し、その後充電率が低下すると自動的に充電を再開するという動作を行うものである場合には、充電率が100%となったことに伴う充電の終了動作は、本明細書でいう「充電中止」には含まれない。すなわち、この場合、充電中止条件には、充電量が所定の終了基準を満たすという条件は含まれず、充電中止機能は、充電量が所定の終了基準を満たすことによっては実行されないことになる。
【0068】
また、別の種類の携帯情報端末が、充電により充電率が100%となった場合に充電を終了し、その後はコネクタの抜き差し等により電圧の印加がいったん消失しない限り充電を再開しないという動作を行うものである場合、充電率が100%となったことに伴う充電の終了動作は、本明細書でいう「充電中止」に含んでもよいし、除外してもよい。すなわち、この場合、充電中止条件は、充電量が所定の終了基準を満たすという条件を含んでもよいし、含まなくともよい。
【0069】
本発明の実施の形態1では、飲食店における構成で説明したが、携帯情報端末10と充電制御装置50とがネットワーク上で通信を行う構成であれば、いかなる構成でも実現できる。例えば、スーパーマーケットやドラッグストア等の携帯情報端末とサーバコンピュータとで構成される店舗用のシステムに適用できる。また、表示装置と表示装置に表示情報を送信するサーバコンピュータとで構成されるデジタルサイネージシステムにも適応できる。デジタルサイネージシステムは、街角、駅、空港等に表示装置が設置されるが、人の手に届かないところに表示装置がある場合でも本発明の実施の形態1を適用することができる。
【0070】
携帯情報端末10の種類の数は、
図1に示すとおりの3種類でなくともよい。たとえば、実施の形態1では単一種類の携帯情報端末10が用いられてもよい。
【0071】
ガード部材は、端末ケース20のように携帯情報端末10の全体を収容するものに限らない。少なくともソケット14およびコネクタの近傍に設けられ、それらの操作を不可能または通常より困難とするものであればよい。また、端末ケース20およびガード部材を設けない構成としてもよい。
【0072】
携帯情報端末10以外の部分についてガード部材を設けてもよい。とくに、シーケンサ52から携帯情報端末10までの電気的回路の開閉操作を不可能または通常より困難とするガード部材を設けてもよい。たとえば、
図2においてシーケンサ52から携帯情報端末10に至るまでの回路の一部または全体にガード部材を設けてもよい。このようなガード部材の具体例として、アダプタ60およびその周辺を覆うカバーを、ネジ等の螺合部材により固定し、アダプタ60のオン・オフ操作(たとえばアダプタ60の端子の抜き差し)を不可能または通常より困難とするような構造を用いることができる。
【0073】
図2の例では、単一の充電回路をすべての携帯情報端末10で共用しているため、ステップS35の送電停止はすべての携帯情報端末10について行われる。変形例として、充電回路を複数設け、それぞれ異なる携帯情報端末10のグループ(または単独の携帯情報端末10)を接続してもよい。この場合には、正常に充電されていない携帯情報端末10を含むグループの充電回路についてのみステップS35およびS36を実行すればよい。このような動作は、たとえば携帯情報端末10の識別情報と充電回路とを関連付けるテーブルをあらかじめ管理PC51に記憶させた上で、充電状態情報に携帯情報端末10の識別情報を含めるよう構成することにより、実現することができる。
【0074】
充電状態情報は、携帯情報端末10が正常に充電されているか否かを判定するのに利用可能な情報であれば、どのような内容であってもよい。たとえば充電中であるか否かを示す充電中フラグを含んでもよい。この場合、充電中フラグがオンであれば正常に充電されていると判定し、充電中フラグがオフであれば正常に充電されていないと判定することができる。また、充電率を表す値と充電中フラグとの双方を含んでもよい。
【0075】
充電制御装置50は、ログ記録機能を有してもよい。たとえば、管理PC51は、各携帯情報端末10から受信した充電状態情報の内容に、送信元の携帯情報端末10を表す識別情報や受信時刻を関連付けて記録してもよい。また、シーケンサ52は、ステップS34、S35および/またはS36を実行することに応じて、その内容に実行時刻を関連付けて記録してもよい。このようにすると、店舗等における電源品質のモニタリングを行うことができる。
【0076】
充電制御装置50のハードウェア構成は、実施の形態1のものに限らない。たとえばシーケンサが携帯情報端末10と通信する機能を備えていれば、管理PCを省略してシーケンサのみで充電制御装置を構成してもよい。
【解決手段】充電制御装置50は、携帯情報端末10に対する充電を制御する。充電制御装置50は、携帯情報端末10に対して送電を行う、送電機能と、携帯情報端末10から充電状態情報を受信する、情報受信機能と、携帯情報端末が正常に充電されているか否かを、充電状態情報に基づき判定する、判定機能と、送電の実行中において、携帯情報端末が正常に充電されていないと判定された場合に送電を停止し、その後に送電を開始する、送電再開機能とを備える。