特許第5671611号(P5671611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5671611多機能モジュールおよびそれを含むデバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671611
(24)【登録日】2014年12月26日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】多機能モジュールおよびそれを含むデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
   G06K19/077 100
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-511660(P2013-511660)
(86)(22)【出願日】2011年5月24日
(65)【公表番号】特表2013-528299(P2013-528299A)
(43)【公表日】2013年7月8日
(86)【国際出願番号】EP2011058497
(87)【国際公開番号】WO2011147843
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2012年12月19日
(31)【優先権主張番号】10305560.4
(32)【優先日】2010年5月27日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309014746
【氏名又は名称】ジェムアルト エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−クリストフ フィダルゴ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ レバンギュス
【審査官】 村田 充裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−123047(JP,A)
【文献】 特開2002−366059(JP,A)
【文献】 特開平06−064383(JP,A)
【文献】 特表2006−503424(JP,A)
【文献】 特開2005−301988(JP,A)
【文献】 特開2004−015118(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01411467(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07−19/077
B42D 25/305
H04B 1/59
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールを備える、又はモジュールを形成する複数のコンポーネントからなる多機能デバイスの製造方法において、
少なくとも一つの積層基板の同一表面上に配置され、共に接続された第1及び第2の電気/電子コンポーネント(C10、C20)を備える多層構造を有するモジュール(1)を作製するステップを含み、
前記第1及び第2のコンポーネントはそれぞれが前記モジュール(1)の外側に露出した主要表面を備え、
前記第1及び第2のコンポーネントの各主要表面が相互に反対方向に配向されるよう配置され、
前記積層基板は、前記第1及び第2のコンポーネント(C10、C20)が配置された位置の間の位置で、前記第1のコンポーネントの主要表面と前記第2のコンポーネントの主要表面とが反対方向を向くように、前記積層基板の表面を外側にして折りたたまれ、
前記デバイスの本体(12)の中に、前記モジュール(1)を挿入するステップをさらに備え、
前記挿入は、前記デバイス本体の主要表面(10)上に露出する開口(8)を通じてなされ、かつ前記本体に配置される凹部(14)に導くように行なわれ
前記凹部(14)は、ユーザと直接的、視覚的、又は触覚的に相互作用するために、前記モジュールの前記第1及び第2のコンポーネント(C10、C20)が前記本体の各反対主要表面(10、11)上に露出する、もしくはさらされるように、前記本体の中に配置されることを特徴とする方法。
【請求項2】
モジュール(1)を備える、又はモジュールを形成する複数のコンポーネントからなる多機能デバイスであって、
少なくとも一つの積層基板の同一表面上に配置される、共に接続された第1及び第2の電気/電子コンポーネント(C10、C20)を備える多層構造を有し、
前記第1及び第2のコンポーネントは、前記モジュール(1)の外側に露出した主要表面をそれぞれ備え、
前記第1及び第2のコンポーネントの各主要表面が相互に反対方向に配向されるよう配置され
前記積層基板は、前記第1及び第2のコンポーネント(C10、C20)が配置された位置の間の位置で、前記第1のコンポーネントの主要表面と前記第2のコンポーネントの主要表面とが反対方向を向くように、前記積層基板の表面を外側にして折りたたまれ、
前記凹部(14)と二つの反対主要表面(10、11)とを備える本体(12)を有し、
前記凹部(14)は、ユーザと直接的、視覚的、又は触覚的に相互作用するために、前記モジュールの前記第1及び第2のコンポーネント(C10、C20)が前記本体の各二つの反対主要表面(10、11)上にさらされる、もしくは露出するように、前記本体の中に配置されることを特徴とする多機能デバイス。
【請求項3】
請求項に記載のデバイスにおいて、
前記凹部(14)は前記デバイスの前記本体(12)の各二つの反対主要表面(10、11)上における、開口(8、9)上に露出することを特徴とするデバイス。
【請求項4】
請求項に記載のデバイスにおいて、
前記開口(8、9)は異なる幅を有することを特徴とするデバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記本体の前記各反対主要表面(10、11)に露出する、もしくはさらされる前記第1及び第2のコンポーネント(C10、C20)は、電子コンポーネントであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項に記載のデバイスにおいて、
前記凹部(14)は、ユーザと直接的、視覚的、又は触覚的に相互作用するために、前記モジュールの前記第1及び第2のコンポーネント(C10、C20)が前記本体の各反対主要表面(10、11)上に露出する、もしくはさらされるように、前記デバイスの本体に配置されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項に記載のデバイスにおいて、
前記デバイスの本体の前記各反対主要表面(10、11)に露出する、もしくはさらされる前記第1及び第2のコンポーネント(C10、C20)は、電子コンポーネントであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能モジュールおよびそれを含むデバイスの製造方法に係り、例えばICカード、パスポート、および薄い電子挿入物のような全ての形態において、マルチコンポーネントタイプのスマートオブジェクトの製造方法に関する。
好ましい実施形態によれば、本発明は特に集積化表示装置を有するモジュール、およびそれを含むデバイスに関する。
特に、屈曲に関する優れた機械耐久特性を有することが好ましいマルチコンポーネントオブジェクトの実用的かつ簡易的な製造を可能とすることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
最近のマルチコンポーネントカード、特にバッテリ、マイクロコントローラ、ディスプレイを備えるカードは、プリント回路の形で刻印された相互接続トラックを含む挿入物を必要とする。コンポーネントはその際、必要であれば、溶接するか、もしくは導電接着剤を用いることによって、設置され、また接続される。その支えとなるもの(カード等)はより固いという点、およびその方法がより高価である点において欠点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の欠点を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、以下のステップを含む多機能デバイスの製造方法を提供することにより達せられ解決される。
積層された少なくとも一つの基板上に配置され、共に接続された電気/電子コンポーネントを備える多層構造を有するモジュールを作製する。また、コンポーネントはそれぞれが外部に露出した主要表面を備える。
【0005】
本発明の方法では、コンポーネントは特に各主要表面が相互に反対方向に配向されるように配置される。
接続によって通信もしくは供給が可能となり、かつ接続はあらゆるタイプすなわち電気的もしくは非接触的のいずれか(キャパシタ、電磁的、又は光学的カップリング等)であってもよい。
【0006】
本発明の方法の他の特徴は、
コンポーネントは基板の2つの反対表面上に配置され、コンポーネントは二重に折りたたまれた基板の同一表面上に配置され、コンポーネントは背中合わせに取り付けられることとなる、異なる基板上にそれぞれ配置され、デバイスの本体の中に、モジュールを挿入するステップを備え、挿入はデバイス本体の主要表面上に露出する開口を通じてなされ、さらに挿入は、ユーザと直接的、視覚的、又は触覚的に相互作用するために、モジュールのコンポーネントが前記本体の各反対表面上にさらされる、もしくは露出するように、本体に配置される凹所に導くように行なわれる。
【0007】
本発明の他の目的は、上記方法に対応するデバイスもしくは上記の方法によって得られるデバイスを提供することにより達せられ解決される。
特に、1つの操作において1つのモジュールを挿入するだけでディスプレイおよび/又は、スイッチおよび/又は、生体機能を備える多機能デバイスを製造することを可能とするため、上記の方法は従来技術に対して有利である。
【0008】
本発明の他の特徴および利点は、実施態様および非限定的な実施例、および添付の図面に関する以下の詳細により明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る多機能デバイスの概略図を示す。
図2】本発明のモジュールをチップカード本体に挿入する操作を表す説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、図1は積層された基板上に配置する電気/電子コンポーネントを含む多機能もしくは多層構造のモジュール又はデバイスを示す。
一実施例では、まず始めにモジュールは、基板2上および同一面上に少なくとも2つの異なるコンポーネントC10、C20を含む。
各コンポーネントはモジュールの外側に露出した主要表面F1、F2を有する。
【0011】
基板は、好ましくは、少なくとも大気の温度(23℃)で損傷されることなく折りたたまれるように柔軟であり、および/または薄い。
好ましくは、エッチングもしくはワイヤ又はその他の相互接続手段によって、なされる少なくとも1つの相互接続トラックによってコンポーネントは相互接続される。
マルチコンポーネントはディスプレイC10、および指紋認証感知装置C20を含む。
代替的に、そのようなコンポーネントは電気的接触もしくはアンテナC21、センサC22、1つ又はそれ以上のキーC23、もしくは図示されていない他のコンポーネントを備えるインターフェースのような電気/電子コンポーネントのいずれかによって置き換えられてもよい。
【0012】
デバイスは、好ましくは少なくとも1つのコンポーネントを駆動するためにICチップのようなマイクロコントローラ4を含む。
デバイスは、抵抗、キャパシタなどのような受動コンポーネント5を含んでもよい。
実施例では、コンポーネントは全て基板の同一面上に配置される。
しかし、それらは基板の2つの反対面上に分けて配置されてもよい。
【0013】
デバイスは、スクリーンの下の基板とスクリーンとの間に配置されている小さな表面を有する薄い、柔軟なもしくは固いバッテリ6を含んでもよい。
スクリーンはOLED、電気泳動、エレクトロクロミック技術、又は薄いディスプレイを製造することを可能とするタイプの技術を用いて作られてもよい。
上記提供される方法は、必ずしも高い温度を用いなくてもよいので、スクリーン技術の範囲は挿入物を備えるカードを製造するために、従来の高い温度での積層方法より広くてもよいということは明記すべきであろう。
【0014】
コンポーネントとはここで電気的、電子的又は電気機械的回路要素を意味する。
場合によっては、電気コンポーネントの接続として単純な接触を考慮してもよい。
本発明の一つの特徴によれば、コンポーネントは各主要表面F1、F2が相互に反対方向に配向するよう配置される。
【0015】
実施例の一実施形態によれば図2では、モジュール1が二重に折りたたまれており、実施例では背面同士が向かい合うように折りたたまれている。必要であれば、接着剤が折りたたまれた配置でモジュールを保持するために背面(コンポーネントを支える前面の反対)に配置される。
例えば、スクリーンC10は表面積が30乃至45mmであり、ISO7816標準に従ったモジュールの表面に対応するコンポーネントC20は実質的にスクリーン表面の3分の1である。
【0016】
折りたたまれた構成において、モジュールはよりコンパクトである。折りたたむことによりモジュールの2つの反対表面上にコンポーネントを有することを可能とする。
折りたたまれていない構成は、あらゆるコンポーネントの配置および接続をより容易にする。
代替的に、コンポーネントC10を運搬する主要表面に関して、基板の背面上のコンポーネントC20、5は基板7の背面上に固定してもよい。
【0017】
また代替的に、そのようなコンポーネントは例えば背中合わせ(背面に対する背面)に取り付けられる2つの異なるモジュールとして、フレキシブル基板2とは異なる基板の一部に分けて配置してもよい。
相互接続が必要なら、周知の手段、より具体的には導電接着剤、異方性導電フィルム(ACF)、熱圧縮、超音波溶接のいずれかによってなされる。
モジュールは、2つの主要表面上にトラックもしくは接続又は、基板を貫通する導電ビアを備える。
【0018】
積層基板上に配置された、電気/電子コンポーネントを備える多層構造を有するモジュールは上述のように製造されるが、好ましくは、現在「3DSiP」と呼ばれている3D技術を使用して電気コンポーネントを取り付けるのがよい。
そうすれば、モジュールはチップカード技術と同様に、カード本体の中に配置される。
カード本体は相互に反対向きの二つの主要表面10、11を有する。また、表面又は平面10上に露出する第一開口8、および表面又は平面11上に露出する第二開口9を含む。第一開口8と第二開口9とは、凹所14を共有する。
開口8,9は異なる断面又は範囲を有し、表面上に露出し、表面上に目に見えるコンポーネントC10、C20の表面に対応している。
【0019】
凹所14は折りたたまれたときのモジュール1の大きさに合うような寸法に構成される。開口9はモジュールが凹所に適合する際、モジュールの背面(ここでは、スクリーンの下)上に配置するコンポーネント20を露出させるような寸法に構成される。
凹所にはモジュールを詰め込み接着させるために、1つ又はそれ以上の支持平面P1、P2、P3が設けられる。
【0020】
そして、平面上に微量の接着剤13が分散されて配置される。
接着剤は、固体の感圧粘着剤もしくは感熱接着剤であってもよい。
好ましくは、一番広い表面を有するコンポーネントC10は本体の表面上で目に見え、利用しやすいように作られ、コンポーネントC10よりも小さな表面を有する少なくとも1つのコンポーネントC20は本体のその反対面上にあって目に見え、利用しやすいよう作られる。
【0021】
モジュールはチップカードモジュールのように、通常カード本体上に配置するか、もしくはカード本体中に挿入される。
必要であれば透明なカバーシート、もしくはコンポーネントC10、C20上に少なくとも1つの開口を設けて、そのデバイスは完成する。
ある実施形態では、凹所は貫通する開口ではなく、その凹所の底を透明としてもよい。
本実施形態では、モジュールはディスプレイを底部(図2の矢印方向)に配置し、凹部の底から見えるように構成してもよい。
【0022】
デバイスは必要なら無線周波アンテナを含んでもよい。デバイスはモジュールおよび/又はカード本体の中にあってもよい。アンテナは二枚のカードを接触又は非接触で接続するように設けられている。
例えば、カード本体のアンテナは本体中で凹所に達し、カード本体の表面の1つ又はそれ以上の開口からアクセス可能な接続末端部を有し、凹所内のモジュール上に配置されている超小型回路を接続することができる。
【0023】
銀行支払い、ポイントのデビット/クレジット、ユニット、ローヤリティポイント、アクセス制限、認証等の操作のような電子商取引を実行するために、チップはその中に蓄積された少なくとも1つのソフトウェアアプリケーションを実装してもよい。
アプリケーションは、リーダ、無線周波端末又は無線周波NFC(Near Field Communication)のタイプの電気的チップや機能を含む本願発明と同一のタイプの他のデバイスと相互作用を行うように実装してもよい。
デバイスはそれ自体がNFC機能を実行できるようにしてもよい。
【0024】
デバイスはまた識別書類、電子パスポート、もしくはそれらに含まれるものであってもよい。
ディスプレイを用いた好ましいアプリケーションでは、本願発明はチップカードモジュールのように、簡単な挿入によって作られるディスプレイを備えるモジュールである点で有利である。
モジュールは他の表面上に露出し、目に見えるコンポーネントを含んでいなくてもよい。
図1
図2