(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671681
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】積層型半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20150129BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20150129BHJP
H01L 25/10 20060101ALI20150129BHJP
H01L 25/11 20060101ALI20150129BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
H01L23/12 501B
H01L25/14 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2009-52067(P2009-52067)
(22)【出願日】2009年3月5日
(65)【公開番号】特開2010-206083(P2010-206083A)
(43)【公開日】2010年9月16日
【審査請求日】2012年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】513192281
【氏名又は名称】ピーエスフォー ルクスコ エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】PS4 Luxco S.a.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大
(72)【発明者】
【氏名】片桐 光昭
(72)【発明者】
【氏名】谷江 尚史
【審査官】
堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−079401(JP,A)
【文献】
特開2008−130678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 23/12
H01L 25/065− 25/07
H01L 25/10 − 25/11
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板に搭載された半導体チップと、
前記配線基板と前記半導体チップとの間に設けられた接合部材と、
前記配線基板の、前記半導体チップが搭載された面の反対側の面に形成された配線層と、
前記配線層から延ばされて、前記半導体チップと接続されたリードと、
前記配線基板の、前記半導体チップが搭載された領域の外部に設けられたバンプと、を有する下層の半導体装置と、
上層の配線基板、上層の半導体チップ及び上層のバンプを有し、前記下層の半導体装置の上に前記上層のバンプを介して積層された上層の半導体装置と、を備え、
前記下層の半導体装置の前記バンプは、前記上層の半導体装置の前記上層のバンプよりも大きい、積層型半導体装置。
【請求項2】
前記リードは、前記配線層から前記配線基板の厚み方向に延びている、請求項1に記載の積層型半導体装置。
【請求項3】
前記半導体チップは、前記配線基板の少なくとも両端部近傍に隙間をあけて搭載され、 前記配線基板の両端部近傍に前記バンプが形成されている、請求項1または2に記載の積層型半導体装置。
【請求項4】
前記配線基板と前記接合部材とを貫く貫通穴が形成されており、
前記リードは、前記貫通穴を通って、前記半導体チップと電気的に接続されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層型半導体装置。
【請求項5】
前記貫通穴に封止体が充填されている、請求項4に記載の積層型半導体装置。
【請求項6】
前記配線基板の他方の面に別の配線層がさらに形成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の積層型半導体装置。
【請求項7】
前記バンプが、前記配線基板の前記半導体チップが搭載された面に設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の積層型半導体装置。
【請求項8】
前記配線基板がフレキシブル配線基板である、請求項1から7のいずれか1項に記載の積層型半導体装置。
【請求項9】
前記配線基板の前記配線層上に絶縁層が形成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の積層型半導体装置。
【請求項10】
前記接合部材がダイアタッチフィルムまたはダイアタッチペーストである、請求項1から9のいずれか1項に記載の積層型半導体装置。
【請求項11】
前記上層の半導体装置が、該上層の半導体装置が有する上層のバンプを介して前記下層の半導体装置上に複数積層されてなる、請求項1から10のいずれか1項に記載の積層型半導体装置。
【請求項12】
最上層の前記上層の半導体装置が有する前記上層のバンプおよび最下層の前記下層の半導体装置が有する配線基板に形成されたバンプが、他の層に位置する前記上層のバンプよりも大きい、請求項11に記載の積層型半導体装置。
【請求項13】
前記下層の半導体装置の前記配線基板は、前記半導体チップが搭載された領域の外部であって、前記配線基板の他面の前記バンプと重なる位置に形成された穴を有し、前記穴は半田が充填され、前記上層の半導体装置の前記上層のバンプは前記半田に接続される、請求項1から12のいずれか1項に記載の積層型半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と半導体チップとがリードで接続された、半導体装置および積層型半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)のような半導体チップを搭載する半導体装置として、BGA(Ball Grid Array)型またはFBGA(Fine pitch Ball Grid Array)型の半導体装置が用いられている。また、複数のFBGA型の半導体装置を積層したsFBGA(stacked FBGA)型の半導体装置も用いられている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
特許文献1には、sFBGA型の半導体装置が記載されている。各半導体装置の配線基板上には半導体チップが実装されている。各半導体装置の配線基板同士を接続する層間接続端子は、半導体チップよりも外側に配置されている。
【0004】
また、特許文献2〜4には、半導体チップに形成された電極パッドに、キャリアに設けられたリードが接続された半導体装置が記載されている。特許文献2に記載の半導体装置は、ボンディングパッドが形成された半導体チップと、配線が形成されたフレキシブル配線基板(キャリア)と、を有する。フレキシブル配線基板の配線からはリードが突出しており、半導体チップのボンディングパッドに接続されている。
【0005】
半導体チップとフレキシブル配線基板とはエラストマを介して接続されている。フレキシブル配線基板の主面上にはソルダレジストが形成されている。またフレキシブル配線基板の配線のバンプランドには、半田バンプが接続されている。配線基板から突出したリードは、エラストマ及び配線基板に形成された開口部を介して、半導体チップのボンディングパッドに接続されている(特許文献2の
図10参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−311643号公報
【特許文献2】特開2006−013553号公報
【特許文献3】特開平10−144723号公報
【特許文献4】特開平9−246331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子機器の小型化にともない、半導体装置の薄型化が強く要求されている。本願発明者は、半導体装置の薄型化に関して検討を行った結果、次のような課題を見出した。
【0008】
特許文献2に記載の半導体装置において、リードを半導体チップと接続するためには、リードの接続(ボンディング)前の状態において、リードと半導体チップとの間を、所定の間隔以上あける必要がある。この間隔は、リードをボンディングツールで押し切るために必要であり、この間隔が小さいとリードが切断されず、接続不良を起こす。したがって、この間隔を維持するためには、半導体チップと基板との間に設けられたエラストマを薄くすることは困難である。
【0009】
特許文献2では、半導体装置の薄型化という課題には言及されていない。また、半導体チップと実装基板との熱膨張係数が異なることに起因する、半田バンプに対する応力集中を緩和するために、エラストマが設けられている。特に、半導体チップのチップ搭載領域と重なる位置に半田ボールが設けられた半導体装置では、応力緩和のために、十分な膜厚を有するエラストマが用いられる。上記のような理由から、特許文献2に記載の半導体装置を薄型化することは困難である。また、特許文献3,4に記載の半導体装置においても、半導体チップのチップ搭載領域と重なる位置に半田ボールが設けられているため、同様の課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態に係る
積層型半導体装置は、
下層の半導体装置及び上層の半導体装置を備える。下層の半導体装置は、配線基板と、半導体チップと、接合部材と、バンプと、を有する。半導体チップは配線基板に搭載されている。接合部材は、配線基板と半導体チップとの間に設けられている。配線基板の一方の面には配線層が形成されている。配線層からはリードが延ばされ、リードは半導体チップと接続されている。バンプは、基板の、半導体チップが搭載された領域の外部に設けられている。また、配線基板の配線層は、半導体チップが搭載された面の反対側の面に形成されている。
上層の半導体装置は、上層の配線基板、上層の半導体チップ及び上層のバンプを有し、下層の半導体装置の上に上層のバンプを介して積層されている。下層の半導体装置のバンプは、上層の半導体装置の上層のバンプよりも大きい。
【発明の効果】
【0012】
リードが延ばされた配線層が、半導体チップが搭載された面とは反対側に形成されるため、配線基板と半導体チップとの間隔が小さくても、配線層と半導体チップとの間隔が大きくなり、リードを半導体チップに接続するために必要な間隔を確保することができる。さらに、バンプが配線基板のチップ搭載領域の外部に設けられるため、バンプに生じるせん断変形が小さくなる。したがって、接合部材は、配線基板の応緩和機能を有する必要がないため、接合部材の厚みが低減される。これらの結果として、半導体装置および積層型半導体装置が薄型化される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の模式的断面図。
【
図2】
図1の半導体装置の製造方法を説明する模式図。
【
図3】
図1の半導体装置の製造方法を説明する模式図。
【
図4】
図1の半導体装置の製造方法を説明する模式図。
【
図5】
図1の半導体装置の製造方法を説明する模式図。
【
図6】第2の実施形態に係る半導体装置の模式的断面図。
【
図7】第3の実施形態に係る積層型半導体装置の模式的断面図。
【
図8】第4の実施形態に係る積層型半導体装置の模式的断面図。
【
図9】(a)および(b)は、
図8の積層型半導体装置の一製造方法を説明する模式図。
【
図10】(a)および(b)は、
図8の積層型半導体装置の別の製造方法を説明する模式図。
【
図11】(a)および(b)は、
図8の積層型半導体装置のさらに別の製造方法を説明する模式図。
【
図12】第5の実施形態に係る積層型半導体装置の模式的断面図。
【
図13】第6の実施形態に係る積層型半導体装置の模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置の模式的断面図である。半導体装置は、配線基板13と、半導体チップ1と、バンプ10と、を有している。
【0016】
配線基板13は、コア材6と配線層3,4とを有している。コア材6の両面に配線層3,4が形成されている。また、両配線層3,4上には絶縁層8,9が形成されている。コア材6の両面に形成された配線層3,4は、コア材6を貫通するビア(不図示)によって、互いに電気的に接続されている。配線基板13の一方の面31に形成されている配線層4からはリード5が延ばされている。
【0017】
半導体チップ1は接合部材2を介して配線基板13に搭載されている。本実施形態では、半導体チップ1は、配線基板13の少なくとも両端部近傍に隙間をあけて、配線基板13のチップ搭載面32に搭載されている。本明細書において、「チップ搭載面」とは、半導体チップ1が搭載される、配線基板13の一面のことを言う。
【0018】
バンプ10は、配線基板13のチップ搭載面32とは反対側の面の両端部近傍に設けられている。バンプ10としては、半田ボールを用いることができる。上記のように、バンプ10は、配線基板13のチップ搭載領域の外部に設けられている。「チップ搭載領域」とは、配線基板上の、半導体チップ1が搭載されている領域をさす。
【0019】
リード5は配線層4と一体的に形成されている。リード5は配線層4から突出し、配線基板13の厚み方向へ延びて、半導体チップ1と接続されている。配線基板13の一方の面31は、半導体チップ1とは反対側に向けられている。
【0020】
配線基板13および接合部材2には、貫通穴が形成されている。配線層4から突出したリード5は、貫通穴を通って、半導体チップ1と接続されている。つまり、リード5の一端は配線層4と一体的に連結されており、リード5の他端は半導体チップ1と接続されている。貫通穴は封止体7で封止されており、封止体7によってリード5は保護されている。封止体7としては例えば封止樹脂を用いることができる。
【0021】
本実施形態では、リードと一体の配線層4が、半導体チップ1とは反対側に向けられている。したがって、リードと一体の配線層4と半導体チップ1との間隔は、実質的に、配線基板13の厚みと接合部材2の厚みとの和になる。したがって、配線基板13と半導体チップ1との間隔、つまり接合部材2の厚みが小さくても、リードと一体の配線層4と半導体チップ1との間隔は、配線基板13の厚みだけ大きくなる。これにより、接合部材2の厚みが小さくても、リード5を半導体チップ1に接続するために必要な間隔を確保することができる。
【0022】
半導体チップ1と配線基板13とが接合された領域は、温度変化の際、半導体チップ1と配線基板13との熱変形差によって反り変形する。通常、配線基板13の熱変形は半導体チップ1の熱変形より大きい。そのため、半導体装置は、降温時には半導体チップ側が凸となる方向に変形し、昇温時には半導体チップ側が凹となる方向に変形する。半導体装置を実装基板に実装した後に温度変化が生じた場合、この反り変形によって半導体装置と実装基板の熱変形差が小さくなるので、これらを接続するバンプ10に生じるせん断変形は小さくなる。
【0023】
仮に、バンプ10が配線基板13のチップ搭載領域に設けられている場合、バンプ10は、半導体チップ1や配線基板13の反り変形を拘束する。これにより、バンプ10に生じるせん断変形が大きくなる。
【0024】
本実施形態では、バンプ10は、配線基板13のチップ搭載領域の外部に設けられている。そのため、半導体チップ1および配線基板13が反り変形し、半導体チップ1と配線基板13との熱変形差が緩和される。したがって、バンプ10に生じるせん断変形が小さくなる。
【0025】
バンプ10のせん断変形が抑制されるため、接合部材2は、配線基板13の応力を緩和する機能を有する必要がない。さらに、上述したように、リード5を切断して半導体チップに接続するために必要な間隔であって、リードと一体の配線層4と半導体チップ1との間隔は、配線基板13の厚みだけ大きくなる。これらの理由から、接合部材2の厚みを低減することができ、結果として、半導体装置が薄型化される。
【0026】
配線基板13が、例えばテープ基板のようなフレキシブル配線基板であれば、バンプ10に生じるせん断変形がより抑制されるため、より好ましい。
【0027】
また、接合部材2は、応力緩和の機能を有する必要がないため、本実施形態では、接合部材2として、エラストマだけではなくダイアタッチペースト(Die Attach Paste:DAP)やダイアタッチフィルム(Die Attach Film:DAF)を用いることができる。DAPとしては、例えば、住友ベークライト社CRM−1100シリーズを用いることができ、DAFとしては、例えば、新日鐵化学社NEXシリーズを用いることができる。DAPやDAFは、エラストマのような低弾性体よりも薄いため、半導体装置がより薄型化される。
【0028】
次に、
図2〜
図5を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。まず、コア材6の両面に配線層3,4が形成された配線基板13を準備する。両配線層3,4上には絶縁層8,9が形成されている。配線基板13には、配線基板13を貫通する貫通穴21が形成されている。この貫通穴21を跨ぐリード5が、配線基板13の一方の面31に形成された配線層4と一体に形成されている。
【0029】
次に、配線基板13上に接合部材2を介して半導体チップ1を搭載する(
図2参照。)。半導体チップ1は表面に電極パッド14を有している。電極パッド14は、配線基板13の貫通穴21に位置している。
【0030】
このとき、まだリード5は切断されておらず、半導体チップ1の表面と略平行に帯状に形成されている。また、リード5と電極パッド14との間隔Hは、実質的に配線基板13の厚みと接合部材2の厚みとの和に相当する。この間隔Hは、配線基板13および接合部材2の厚みによって調節することができる。
【0031】
次に、ボンディングツール23をリード5に押し付けて、リード5を切断位置22で切断し(
図3参照。)、さらにボンディングツール23を押し付けて、リード5を電極パッド14に接続する(
図4参照。)。リードの接続方法としては、超音波接続あるいは熱圧着などの方法が用いられる。
【0032】
リード5と電極パッド14との間隔Hは、リード5を切断するために必要な最小の間隔であることが好ましい。これにより、半導体装置が薄型化される。この間隔Hは、予め配線基板13や接合部材2の厚みによって、調整可能である。
【0033】
次に、配線基板13の貫通穴21を封止体7で封止する(
図5参照。)。これにより、半導体チップ1の電極パッド14やリード5が保護される。その後、例えば半田ボールのようなバンプ10を配線基板13に形成する。具体的には、バンプ10は、配線基板13のチップ搭載領域の外部に設けられる。
【0034】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係る半導体装置の模式的断面図である。第1の実施形態に係る半導体装置では、コア材6の両面に配線層3,4が形成されていたが、本実施形態の半導体装置では、コア材6の一方の面31のみに配線層4が形成されている。
【0035】
配線層4からはリード5が突出している。配線基板13の一方の面31に形成された配線層4は、半導体チップ1と反対側に向けられている。その他の構成は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。本実施形態の場合にも、第1の実施形態と同様に、半導体装置を薄型化することができる。
【0036】
[第3の実施形態]
図7は、第3の実施形態に係る積層型半導体装置の模式的断面図である。本実施形態の積層型半導体装置は、4つの半導体装置41a,41b,41c,41dが積層されてなる。各々の半導体装置41a,41b,41c,41dは、第1の実施形態で説明した半導体装置の構成と同様である。各々の半導体装置41a,41b,41c,41dは、バンプ10によって、互いに接続されている。具体的には、ある層の半導体装置が有するバンプ10が、その下層の半導体装置が有する配線基板13の配線層3と接続されている。
【0037】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、個々の半導体装置41a,41b,41c,41dが薄型化されるため、積層型半導体装置全体が薄型化される。また、ある層の半導体装置が有するバンプ10が、その下層の半導体装置が有する半導体チップ1を避けて配置されている。そのため、
図7からも判るように、積層型半導体装置の厚みは、4つの半導体装置の厚みの和よりも小さくなる。
【0038】
[第4の実施形態]
図8は、第4の実施形態に係る積層型半導体装置の模式的断面図である。本実施形態に係る積層型半導体装置は、4つの半導体装置42a,42b,42c,42dが積層されている。各々の半導体装置の構成は、第2の実施形態で説明したものと同様である。すなわち、各々の半導体装置が有するコア材6の片面のみに配線層4が形成されている。この場合にも、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0039】
本実施形態に係る積層型半導体装置の一製造方法を、
図9を参照して説明する。まず、各々の半導体装置を製造する(
図9(a)参照。)。これは、第1の実施形態で記載した半導体装置の製造方法を用いて製造することができる。ただし、半導体装置の製造の際、コア材6の片面のみに配線層4が形成されている配線基板13を準備する。
【0040】
次に、各々の半導体装置を、バンプ10を介して積層する(
図9(b)参照。)。本実施形態では、コア材6の片面のみに配線層4が形成されている。したがって、バンプ10は隣接する層の半導体装置が有する配線基板13の配線層4同士と接続される。そのため、コア材6には、バンプ10を挿入する穴が開けられている。バンプ10は、例えばリフローによって、接続される。上記のようにして、積層型半導体装置を製造することができる。
【0041】
次に、積層型半導体装置の別の製造方法を、
図10を参照して説明する。まず、バンプ10が形成されていない、各々の半導体装置を製造する。そして、最上層以外の半導体装置42b,42c,42dにバンプ10を接続する(
図10(a)参照。)。具体的には、半導体装置42b,42c,42dの配線基板13のチップ搭載面32にバンプ10を接続する。さらに、積層型半導体装置を実装する実装基板51にも、バンプ10を接続する。
【0042】
次に、バンプ10を介して各々の半導体装置を接続する。なお、積層型半導体装置の実装基板51への接続も同時に行うことができる。
【0043】
この製造方法によれば、先に、例えば半田ボールのようなバンプを、コア材6に形成された穴に挿入する。そのため、上記の積層型半導体装置の製造方法と比較して、コア材6の穴により良くバンプを挿入することができる。したがって、半導体装置同士の接続不良を低減することができる。
【0044】
次に、積層型半導体装置のさらに別の製造方法を、
図11を参照して説明する。まず、各々の半導体装置を製造する(
図11(a)参照。)。次に、最上層以外の半導体装置42b〜42dのコア材6の穴に、導電性ペースト71を充填する。
【0045】
そして、上述の製造方法と同様に、バンプ10を介して、各々の半導体装置42a〜42dを接続する。バンプ10は、例えばリフローによって接続される。本製造方法によれば、実装用の実装基板51上に、予めバンプを形成しておく必要が無いという利点がある。また、配線基板のコア材6の穴に、導電性ペースト71を充填しておくことで、バンプ10の接続不良がより低減される。導電性ペースト71としては、例えばペースト状の半田を用いることができる。
【0046】
上記のいずれの製造方法を用いても、本実施形態の積層型半導体装置を製造することができる。したがって、例えば製造装置の仕様に合わせて、適切な製造方法を用いれば良い。
【0047】
[第5の実施形態]
図12は、第5の実施形態に係る積層型半導体装置の模式的断面図である。第3の実施形態の半導体装置との相違点は、各々の半導体装置43a,43b,43c,43dのバンプ10が、配線基板13のチップ搭載面に配置されていることである。
【0048】
バンプ10は半導体チップ1よりも外側に設けられている。この場合においても、配線基板13の、リード5と一体の配線層4は、半導体チップ1とは反対側に向けられる。これにより、配線基板13の厚みの分だけ接合部材2の厚みを低減することができ、半導体装置の薄型化を図ることができる。
【0049】
本実施形態の場合、半導体チップ1を実装基板13に搭載する際、半導体チップ1は実装基板51側に向けられる。したがって、最上層の半導体装置43aが有する半導体チップ1も配線基板13の実装基板51側に搭載され、積層型半導体装置が更に薄型化される。
【0050】
本実施形態では積層型半導体装置について説明したが、単層の半導体装置であっても良い。
【0051】
[第6の実施形態]
図13は、第6の実施形態に係る積層型半導体装置の模式的断面図である。本実施形態の積層型半導体装置は、第3の実施形態の積層型半導体装置とほぼ同様の構成であるが、バンプ10の大きさのみが異なっている。本実施形態では、最上層の半導体装置41aと最下層の半導体装置41dが有するバンプ10が、その他のバンプ10よりも大きい。
【0052】
各々の半導体装置41a〜41dが有する配線基板13は、熱によって、ほぼ同程度に変形する。最下層の半導体装置41dは、バンプ10を介して実装基板51に接続される。したがって、実装基板51の熱変形と最下層の半導体装置41dの熱変形との差によって、最下層の半導体装置41dが有するバンプ10には強い負荷が生じる。
【0053】
また、最上層の半導体装置41aの上層には半導体装置がなく、最上層の半導体装置41aの変形をサポートする部材がない。したがって、最上層の半導体装置41aが有するバンプ10にも、強い負荷が生じる。
【0054】
そのため、最上層と最下層の半導体装置41a,41dが有するバンプ10の接続信頼性が低下することがある。本実施形態では、最下層と最上層の半導体装置41a,41dが有するバンプ10が他のバンプより大きいため、バンプ10の接続信頼性を向上することができる。なお、第4および第5の実施形態の積層型半導体装置に対しても、バンプ10大きさを調整して、接続信頼性を向上させることができる。
【0055】
第3〜第5の実施形態では、4層の半導体装置が積層された積層型半導体装置について説明したが、積層する半導体装置の数は任意の数であって良い。
【0056】
以上、本発明の望ましい実施形態について提示し、詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない限り、さまざまな変更及び修正が可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0057】
1 半導体チップ
2 接合部材
3 配線層
4 リードと一体の配線層
5 リード
6 コア材
7 封止樹脂
8,9 絶縁層
10 バンプ
13 配線基板
14 電極パッド
15 接続パッド
21 貫通穴
22 切断位置
23 ボンディングツール
31 一方の面
32 チップ搭載面
41a,41b,41c,41d 半導体装置
42a,42b,42c,42d 半導体装置
43a,43b,43c,43d 半導体装置
51 実装基板
71 導電性ペースト