特許第5671709号(P5671709)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671709
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】プラグイン式分電盤用の端子台
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20150129BHJP
   H01R 9/26 20060101ALI20150129BHJP
   H02B 1/20 20060101ALN20150129BHJP
【FI】
   H02B9/00 E
   H01R9/26
   !H02B1/20 S
   !H02B1/20 H
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-19544(P2011-19544)
(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公開番号】特開2012-161175(P2012-161175A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(74)【代理人】
【識別番号】100161403
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】松隈 裕史
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠原 祐二
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−092913(JP,A)
【文献】 実開昭56−057475(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
H01R 9/26
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤面に対して垂直に設置された複数本の幹線バーを備えたプラグイン式分電盤に用いられる端子台であって、複数の幹線バーを跨ぐ方向に延びる端子台本体の下側に、各幹線バーに嵌め込まれる受け金具を複数設けるとともに、端子台本体の上部には各受け金具に接続された電線接続部を形成し、かつ端子台本体がベースとカバーとからなり、受け金具が取付けられた電線接続部がこれらの間にはさんで固定されたことを特徴とするプラグイン式分電盤用の端子台。
【請求項2】
電線接続部を幹線バーの長手方向に突出させて形成したことを特徴とする請求項1記載のプラグイン式分電盤用の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹線バーにブレーカがプラグイン接続されるプラグイン式分電盤用の端子台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、盤面に対して垂直に設置された複数本の幹線バーを備え、これらの幹線バーにブレーカを抜き差しして容易に着脱することができる構造のプラグイン式分電盤は、ブレーカの増設や取り外しが容易で施工性に優れているため、広く用いられている。このようなプラグイン式分電盤の幹線バーの端部には、幹線バーを安定保持するための絶縁材料からなるバーホルダが設けられている。
【0003】
一般に分電盤では、幹線バーの端部に電線を接続し、分岐ブレーカ以外の他の機器に電源を供給する「電源送り」が行なわれることがある。そのため、プラグイン式分電盤においては幹線バーの端部をバーホルダから突出させて穴を形成し、この孔の部分に端子を取り付けて「電源送り」を行っていた。しかし「電源送り」が不要である場合には安全のためにこの突出部を切断することが好ましく、そのために余分な切断作業が必要となったり、余分な銅バーの切断片が発生するという問題があった。
【0004】
また、端子台を用いた「電源送り」を「端子送り」と呼ぶが、プラグイン式分電盤においてこの「端子送り」を行おうとすると、端子台を幹線バーに装着する必要があるためにその分の取り付けスペースが必要となり、ブレーカの取り付けスペースが減少するなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4442853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、バーホルダから幹線バーの端部を露出させる必要がなく、ブレーカの取り付けスペースが減少することもなくプラグイン式分電盤の「端子送り」を行うことができる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決するために検討を重ねた結果、従来は単に幹線バーを保持していただけのバーホルダに端子台の機能を組み込めば、上記の課題を一挙に解消できることに思い至り、本発明を完成した。この知見に基づいて完成された本発明は、盤面に対して垂直に設置された複数本の幹線バーを備えたプラグイン式分電盤に用いられる端子台であって、複数の幹線バーを跨ぐ方向に延びる端子台本体の下側に、各幹線バーに嵌め込まれる受け金具を複数設けるとともに、端子台本体の上部には各受け金具に接続された電線接続部を形成し、かつ端子台本体がベースとカバーとからなり、受け金具が取付けられた電線接続部がこれらの間にはさんで固定されたことを特徴とするものである。
【0008】
なお請求項2のように、電線接続部を幹線バーの長手方向に突出させて形成した構造とすることが好ましい
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バーホルダを端子台として使用することができるので、端子送りのためにブレーカの取り付けスペースが減少することもないことはもちろん、従来のように幹線バーの端部をバーホルダから露出させて穴を形成したり、不要な場合に端部を切断するなどの無駄を一掃することができる。また受け金具を用いて幹線バーと接続する構造としたので斜め刺しがなくなり、ねじ止め構造の場合のような導通不良を招くこともない。
【0010】
また請求項2のように、電線接続部を幹線バーの長手方向に突出させて形成した構造とすれば、電線の接続が容易になるうえ、大型の圧着端子による接続を行ってもブレーカの取り付けスペースに覆い被さることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の端子台が装着された幹線ユニットの全体斜視図である。
図2】本発明の端子台を分離した幹線ユニットの全体斜視図である。
図3】本発明の端子台の斜視図である。
図4】本発明の端子台の分解斜視図である。
図5】要部の断面図である。
図6】要部の切断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1図2において、1は断面がコ字状の左右一対の取付レールであり、開口部分を内側として取付ベース2の上に配置されている。これらの取付レール1、1の間には、支持台3によって3相の幹線バー4が盤面(図1では底面)に対して垂直に配置されている。
【0013】
この実施形態では、取付レール1の上面はプラグインアダプタ5の取付面となっている。このプラグインアダプタ5は前記した特許文献1に詳細に説明されているように、下面に幹線バー4に嵌合させる受け金具を備え、それらから延びる電極バーを上面に配置された分岐ブレーカ6の電源端子と接続する構造のものである。このようなプラグインアダプタ5を用いればプラグインタイプではないブレーカをプラグイン式分電盤に用いることができるが、本発明においてはこのプラグインアダプタ5は必須のものではなく、下面に受け金具を備えたプラグインタイプのブレーカを、直接幹線バー4にプラグイン結合してもよいことはいうまでもない。
【0014】
これらの幹線バー4は下端部を支持台3によって支持されているが、上端部はプラグイン結合が可能なように解放されたままである。このため長手方向の両端部には絶縁材料からなる端子台本体10が嵌め込まれて幹線バー4の上端部を保持している。従来のバーホルダは単に幹線バー4を絶縁支持するための部材であるが、本発明では以下に説明するように端子送りの機能を持たせてある。
【0015】
図3は本発明の端子台の全体斜視図、図4はその分解斜視図である。この実施形態では、端子台本体10は絶縁材料製のベース11とカバー12とから構成されている。端子台本体10は複数の幹線バー4を跨ぐ方向に延びるもので、ベース11の下部には各幹線バー4の上端部が嵌合される3つの凹部13が形成され、幹線バー4の安定支持を行なっている。またこれらの凹部13に対応する位置に、各幹線バー4に嵌め込まれる3つの受け金具14が設けられている。
【0016】
これらの受け金具14は上部が広く、下部が狭くなるように屈曲された金属板であり、最下端部はやや外側に拡がって幹線バー4の上端部に差し込み易いようになっている。図4に明示されているように、受け金具14の平らになった上面には平板状の電線接続部15が設けられている。この電線接続部15には複数の孔部16が形成されており、比較的大径の孔部16aには受け金具14の上面を貫通するボルト17が螺合され、電線接続部15を受け金具14に固定するとともに両者間を電気的に接続している。このように、端子台本体10の上部に電線接続部15を設けることにより、従来の構造では端子台本体10は幹線バー4を絶縁支持や取付レール1,1間の保持のための部材であったものを端子送りとして使用することができるために、プラグインアダプタ5やプラグインタイプのブレーカの取り付けスペースが減少することなく使用することが可能となるものである。
【0017】
この電線接続部15は幹線バー4の長手方向に突出するように、ベース11の張出し部18に形成されており、また幹線バー4の幅方向に十分な横幅を持たせておく。このベース11の張出し部18にはナット19を保持するナット孔20が形成されており、図3に示すように太い電線21を電線接続部15の孔部16dを利用してボルト22で締結することができる。また細い電線23も比較的小径の孔部16bを利用して締結可能である。このように電線接続部15を幹線バー4の長手方向に突出させておけば、電線21や電線23を幹線バー4の端部方向から接続することができ、従来のように電線を捻りながら幹線バー4と直角方向から引き込んで接続する必要がなくなる。なお、ナット19が保持された部分にスタッドボルトを立ておき、電線をナットで締結するようにしてもよい。
【0018】
図4に示すように、ベース11の上部にはカバー12の収納部が形成されており、この収納部にベース11よりも幅狭のカバー12が上方から差し込まれる。カバー12の左右両端には下向きの弾性係止爪24が形成され、ベース11にはこの弾性係止爪24を受ける係止部25が形成されている。このため、カバー12を確実にベース11に嵌め込んで固定することができる。また、図5に示すようにカバー12の下面には突起26が突設されており、カバー12をベース11に嵌め込んだときに電線接続部15の孔16cに嵌合されるようにしておく。これによって受け金具14が取付けられた電線接続部15はベース11とカバー12との間にはさんで固定されることとなる。
【0019】
このように電線接続部15はベース11とカバー12との間にはさんで固定され、電線接続部15と受け金具14とはボルト17で締結されているが、これらの金属部分はベース11とカバー12とからなるバーホルダ本体10に、ねじ止めされたものではない。このため受け金具14は端子台本体10に対して余裕があり、幹線バー4への差込動作に無理が生ずることがないから、斜め入りが生じにくい。この結果、導通不良を防止することができる。しかもねじ止め作業が不要であるから、組立作業工程を少なくすることができる。
【0020】
図3に示されるように、ベース11の両端部には取付レール固定孔27が形成されており、図1に示すように端子台本体10を取付レール1、1の上面にねじ止め固定する。またベース11の両端部が取付レール1、1の内側面に当接し、取付レール1、1の変形を防止する役割も兼ねている。なお、図3に示すようにベース11とカバー12に縦溝28を形成しておき、絶縁バリア板(図示せず)を取付けることができるようにしておけば、相間の絶縁を確保するうえで有利である。
【0021】
このように構成された本発明のバーホルダは、従来のバーホルダと同様に幹線バー4の上端面を安定に保持することができるのみならず、それ自体に端子送りの機能を備えたものであるから、端子送りのための新たな端子台を必要とせず、ブレーカの取り付けスペースを減少させることがない。また従来のように幹線バー4の端部をバーホルダから露出させて電源送りの穴を形成する必要がなく、従って幹線バー4の不要な端部を切断するなどの無駄を一掃することができるなどの利点がある。
【符号の説明】
【0022】
1 取付レール
2 取付ベース
3 支持台
4 幹線バー
5 プラグインアダプタ
6 分岐ブレーカ
10 端子台本体
11 ベース
12 カバー
13 凹部
14 受け金具
15 電線接続部
16 孔部
17 ボルト
18 張出し部
19 ナット
20 ナット孔
21 電線
22 ボルト
23 電線
24 弾性係止爪
25 係止部
26 突起
27 取付レール固定孔
28 縦溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6