特許第5671716号(P5671716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5671716-超高純度硫酸の調製方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5671716
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】超高純度硫酸の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 17/74 20060101AFI20150129BHJP
   C01B 17/90 20060101ALI20150129BHJP
【FI】
   C01B17/74 G
   C01B17/90 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-254012(P2010-254012)
(22)【出願日】2010年11月12日
(65)【公開番号】特開2012-12280(P2012-12280A)
(43)【公開日】2012年1月19日
【審査請求日】2013年11月8日
(31)【優先権主張番号】201010214321.3
(32)【優先日】2010年6月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510301448
【氏名又は名称】上海華誼微電子材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】▲ざん▼ 家栄
(72)【発明者】
【氏名】カーティス ドーブ
(72)【発明者】
【氏名】林 益興
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−302420(JP,A)
【文献】 特開昭61−136903(JP,A)
【文献】 特開平06−127908(JP,A)
【文献】 特開平03−177305(JP,A)
【文献】 特開平10−330104(JP,A)
【文献】 特表2003−519066(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0192144(US,A1)
【文献】 米国特許第06579805(US,B1)
【文献】 特開2002−053311(JP,A)
【文献】 特表2010−516598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 17/69−17/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高純度硫酸調製方法であって
5−20℃工業三酸化硫黄材料液に応用し、それを0.1−0.15Mpaの圧力下で円形気化器に導入し、2−5m/時間の空タワー速度で、40−55℃の条件下で気化さかつ得たガス冷却タワーにより液体凝縮し、同じ条件下でこの液体を円形気化器に導入て、純化された三酸化硫ガスを得るステップと、
循環吸収器の中で、質量百分比濃度10−50%である硫酸循環吸収ステップで硫酸ガスを得てから、高純度硫酸を収集するステップとを有することを特徴とする方法
【請求項2】
前記硫酸循環吸収温度が0−10℃であることを特徴とする請求項1に記載の超高純度硫酸の調製方法。
【請求項3】
高純度硫酸を収集するステップは、循環吸収時硫酸を加入口を通じて補充し、製品主体の含有量が合格であるのを測定してから、製品容器に入るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の超高純度硫酸の調製方法。
【請求項4】
硫酸及び超高純度硫酸と接触する容器とパイプの内壁をフッ素含有材料で塗って保護することを特徴とする請求項1に記載の超高純度硫酸の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高純度硫酸の調製方法に関し、具体に言うと、半導体部品生産プロセスでのウェハ洗浄とエッチングがSEMI C12標準に合う超高純度硫酸の連続化調製方法に係る。
【背景技術】
【0002】
超高純度硫酸は、電子級硫酸とも称されて、一種の十分重要なマイクロ電子科学試薬で、電子工業の急速な発展に連れて、その半導体工業での消耗量が大よそ総体超高純度試薬量の30%を占めるようになった。これは、半導体、超大規模集積電気回路のアセンブリと加工に使用されている。超高純度硫酸の純度は、洗浄・エッチング物の製品率、電気性能及び信頼性などに重要な影響を与える。例えば、超高純度硫酸はウェハ洗浄とエッチング中でウェハ上の不純物顆粒、無機残留物と炭素沈着物を有効的に除去できる。一般の状況の下で、超高純度硫酸の純度が国際半導体設備と材料組織により制定された化学材料部分12級−SEMI C12標準(簡称SEMI C12標準)に達して、金属不純物の含有量が質量分数が0.1ppb(1×10−10到1×10−11)以下であるよう要求する。
【0003】
現有の技術の中で、伝統の方法として、工業用硫酸を直接蒸留し、沸点の高い不純物を除去することによって高純度硫酸を調製することである。当該調製方法の製品で、蒸留方法により除去し難い不純物があり、不純物の含有量がSEMI C12標準に合わない。硫酸の沸点が330℃に達して、蒸留エネルギー消耗量が大きく、コストが高く、発生する排気ガスと酸性ミスとが人体に損害を与えて、環境保護に不利である。
【0004】
中国特許200510018925.Xで一種の三酸化硫黄ガスを原料として、三酸化硫黄と水との反応を利用して、分析純硫酸を得る方法を紹介した。当方法は、エネルギー消耗量を低減したが、製品不純物が高すぎて、SEMI C12標準の要求に達成できない。
【0005】
現在、SEMI C12標準に合う超高純度硫酸製品調製関連報告がまだ発表されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、解決しようとする技術課題の一は、一種の超高純度硫酸の制作方法を提供することであり、伝統的な生産方法での汚染し易い、エネルギー消費量過大及びコスト過大問題点及び現有方法での三酸化硫黄を原料とする方法の下での不純物含有量過大の欠陥を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術方案は下記の通り:
一種の超高純度硫酸の制作方法で、工業の三酸化硫黄を原料として、円形気化器で気化して、凝縮後、円形気化器の中で第二回の気化を行って純化された三酸化硫黄ガスを得って、これから異なる濃度の稀硫酸で循環に吸収することによって、最後にSEMI C12標準に合う目標産物超高純度硫酸を収集する。
【0008】
上記調製方法は具体に下記のステップを含める:
1)5−20℃工業用三酸化硫黄液体原料を0.1−0.15Mpaの圧力の下で円形気化器に導入してから、2−5立方メートル/時間の見掛け速度で、40−55℃の条件の下で気化を行って、得られたガスを冷却塔で液体と凝縮し、同じ条件の下で円形気化器に導入して二回気化を行って、最終に純化された三酸化硫黄ガスを得る。
【0009】
2)循環吸収器の中で、質量百分比濃度の10−50%稀硫酸で循環吸収するステップ1)で純化された三酸化硫黄ガスを得ってから、目標産物超高純度硫酸を収集する。
【0010】
前記稀硫酸循環吸収温度は0−10℃である。
【0011】
前記目標産物超高純度硫酸収集の時、循環吸収の稀硫酸を補充口で補充することによって、連続化製造を実現した。測定した結果、製品主体の含有量が合格になった後、製品容器に入る。
【0012】
前記稀硫酸は浄化水で純化された三酸化硫黄ガスを吸収することによって調製する。製品の主体含有量を測定することによって、異なる濃度の稀硫酸を得る。
【0013】
本発明方法で得る超高純度硫酸の主体含量が96−97wt%に達し、ICP−MS分析検定を通じて、金属イオン不純物の含有量が皆0.1ppbより低く、0.5μmより大きいほこり顆粒が皆5個/mlより低く、SEMI C12標準に合う。
【0014】
本発明で、稀硫酸,超高純度硫酸と接触する容器及びパイプの内壁に対して、皆フッ素含有材料を採用してコーティング保護を行う。
【0015】
本発明は、現有の技術と比べて、下記の優位性がある:
本発明は二回気化を採用することによって、三酸化硫黄原料の純度を有効に向上して、現有の技術の下での硫酸製品で金属イオン不純物含有量過大の欠点を克服した。それに、本発明は、異なる濃度の稀硫酸で循環吸収・純化された三酸化硫黄を採用することによって、生産コストを削減して、操作を便利にして、伝統的な工芸の下での汚染し易い、エネルギー消耗過大とコスト過大の欠陥を克服した。その内に、循環吸収された稀硫酸に濃度制限がなく、補充口を通じて補充することによって、循環吸収液中主体産品的含量を実時間で測定できて、伝統的な生産方法での質量不安定の難題を解決して、大規模な連続化生産に適応するようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明方法の製造工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次いで本発明の実施例を通じて更に説明する。但し、実施例は、本発明はこれによって保護範囲を限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
1)5℃の工業用三酸化硫黄液体を0.15MPa圧力の下で円形気化器に導入してから、気化器温度を45±2℃に保持し、2立方メートル/時間毎の見掛け速度で気化して、得られた三酸化硫黄ガスを冷却塔に導入し、冷却塔温度を0−10℃にコントロールして凝縮を行い、凝縮液を二級円形気化器に導入してから、温度が50℃より低いようコントロールして第二回の気化を行う。
【0019】
2)第二回の気化後得られた純化された三酸化硫黄ガスを循環吸収器に導入し、冷凍塩水で循環吸収器温度をコントロールし、0−10℃の下で質量百分比濃度の10%稀硫酸で循環吸収を行い、超高純度硫酸を得る。測定した結果、製品主体の含有量が合格になってから製品容器に入って、循環吸収と同時に、10℃以下の稀硫酸を補充して連続化調製を実施できる。
【0020】
検査分析の結果、超高純度硫酸の主体含有量が96.76 wt%で、単独な陽イオンの含有量が0.1ppbより低く、単独な陰イオンの含有量が0.1ppmより低く、0.5μmより大きなほこり顆粒の数量が2.8個/ml(表1参照)である。
【実施例2】
【0021】
1)10℃の工業用三酸化硫黄液体を0.12MPa圧力の下で円形気化器に導入してから、気化器温度を50±2℃に保持し、4立方メートル/時間毎の見掛け速度で気化して、得られた三酸化硫黄ガスを冷却塔に導入し、冷却塔温度を0−10℃にコントロールして凝縮を行い、凝縮液を二級円形気化器に導入してから、温度が55℃より低いようコントロールして第二回の気化を行う。
【0022】
2)第二回の気化後得られた純化された三酸化硫黄ガスを循環吸収器に導入し、冷凍塩水で循環吸収器温度をコントロールし、0−10℃の下で質量百分比濃度の30%稀硫酸で循環吸収を行い、超高純度硫酸を得る。測定した結果、製品主体の含有量が合格になってから製品容器に入って、循環吸収と同時に、10℃以下の稀硫酸を補充して連続化調製を実施できる。
【0023】
検査分析の結果、超高純度硫酸の主体含有量が96.51 wt%で、単独な陽イオンの含有量が0.1ppbより低く、単独な陰イオンの含有量が0.5ppmより低く、0.5μmより大きなほこり顆粒の数量が2.6個/ml(表1参照)である。
【実施例3】
【0024】
1)20℃の工業用三酸化硫黄液体を0.1MPa圧力の下で円形気化器に導入してから、キャブレーターの温度を55℃以下保持する、5立方メートル/時間毎の見掛け速度で気化して、得られた三酸化硫黄ガスを冷却塔に導入し、冷却塔温度を0−10℃にコントロールして凝縮を行い、凝縮液を二級円形気化器に導入してから、温度が55℃より低いようコントロールして第二回の気化を行う。
【0025】
2)第二回の気化後得られた純化された三酸化硫黄ガスを循環吸収器に導入し、冷凍塩水で循環吸収器温度をコントロールし、0−10℃の下で質量百分比濃度の50%稀硫酸で循環吸収を行い、超高純度硫酸を得る。測定した結果、製品主体の含有量が合格になってから製品容器に入って、循環吸収と同時に、10℃以下の稀硫酸を補充して連続化調製を実施できる。
【0026】
検査分析の結果、超高純度硫酸の主体含有量が96.50 wt%で、単独な陽イオンの含有量が0.1ppbより低く、単独な陰イオンの含有量が0.1ppmより低く、0.5μmより大きなほこり顆粒の数量が3.5個/ml(表1参照)である。
【0027】
【表1】

超高純度硫酸含有量分析に自動滴定装置を採用して分析し、陽イオンにICP−MSを採用して分析し、陰イオンに采比濁計と紫外分光光度計を採用して分析し、ほこり顆粒に対してレザー顆粒カウンターを採用して測定を行う(具体的な機械モデルについて、表2を参照して下さい)。
【0028】
【表2】
最後に説明する必要のある点としては、以上の実施例は、本発明の技術方案を説明するだけで、制限でない。良い実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当領域の普通な技術人員は次の内容を理解すべきである:発明の技術方案に対して修正し、又は同等切り替えを行ってもよく、本発明技術方案の範囲を超えずさえであれば、本発明の請求範囲に含まれるはずである。
【符号の説明】
【0029】
1 原料タンク
2 円形気化器
3 冷却タワー
4 二級円形気化器
5 循環吸収器
6 稀硫酸補充口
7 検定、材料出し口
図1