(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5671753
(24)【登録日】2015年1月9日
(45)【発行日】2015年2月18日
(54)【発明の名称】生花保持具
(51)【国際特許分類】
A47G 7/02 20060101AFI20150129BHJP
【FI】
A47G7/02 H
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-123211(P2014-123211)
(22)【出願日】2014年6月16日
【審査請求日】2014年6月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513289581
【氏名又は名称】トウブハウジング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】石田 光昭
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−159760(JP,U)
【文献】
特開2013−079540(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3082228(JP,U)
【文献】
実開昭58−147473(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有し薄肉の合成樹脂材から成る筒部の上部に、上端に達する複数のスリットを長手方向に沿って設けることにより複数の舌片を形成し、これらの舌片を前記筒部の上端開放部の内側に向けて重なり合うように折曲した生花保持具であり、上部から挿入した生花の茎を前記舌片間に固定することを特徴とする生花保持具。
【請求項2】
前記舌片は下方の折目により一旦外側に向けて折曲した後に、上方の折目により前記内側に向けて折曲して第1の係止部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の生花保持具。
【請求項3】
前記舌片を内側に向けて折曲した場合に、前記筒部の上端開放部の中央部に前記舌片の先端同士による開口を形成するように前記舌片の長さを定めたことを特徴とする請求項1又は2に記載の生花保持具。
【請求項4】
前記筒部の中間から下部にかけて、下端に達する複数のスリットを長手方向に沿って設けることにより複数のひれ部を形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の生花保持具。
【請求項5】
前記ひれ部の少なくとも一部の先端を外側に向けて折曲し第2の係止部としたことを特徴とする請求項4に記載の生花保持具。
【請求項6】
前記ひれ部は下方先端に向うにつれ細幅としたことを特徴とする請求項4又は5に記載の生花保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば花瓶や花立て等に生花を生ける際に、花瓶内の花が倒れ難くする生花保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、花瓶に生花を生ける際には、花瓶に水を注水し、生花の茎部を花瓶内に挿入することにより花を生けている。
【0003】
また、通常の花瓶内に挿入し、生花を保持するものとして、例えば特許文献1のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−304959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
花瓶や花立てに花を生ける際には、その瓶口の径に近い多数本の生花を挿入した場合に、花を安定させることができる。
【0006】
しかし、例えば花瓶や花立ての口径に比較して少数本の生花を挿入すると、生花束の径よりも花瓶や花立て等の瓶口がはるかに広いことから、生花が片寄ったり傾いたりして安定させることが困難である。
【0007】
水盤等の開口部が広い花器の場合には、剣山に茎部の先端を刺すことにより、生花を直立させることもできるが、瓶口の狭い花瓶等において、剣山を使用することは不適である。
【0008】
また、特許文献1の器具は複数の部品から成る複雑な構造の器具であり、安価に製造することは困難である。
【0009】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、少数本の生花でも花瓶や花立ての花器に安定して保持できる安価な生花保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る生花保持具は、弾性を有し薄肉の合成樹脂材から成る筒部の上部に、上端に達する複数のスリットを長手方向に沿って設けることにより複数の舌片を形成し、これらの舌片を前記筒部の上端開放部の内側に向けて
重なり合うように折曲した生花保持具
であり、上部から挿入した生花の茎を前記舌片間に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る生花保持具によれば、少数本の生花でも花瓶等の花器に安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】花瓶に生花保持具を挿入した状態の断面図である。
【
図4】生花を生花保持具により保持した状態の斜視図である。
【
図5】生花を生花保持具により保持した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は生花保持具の素材の斜視図、
図2は組立状態の斜視図を示している。生花保持具1は肉薄で例えばペットボトル等に使用されるポリプロピレン等の弾性を有する合成樹脂材から成り、上下端を開放部とした例えば円筒状の筒部1aから成っている。筒部1aの上端周壁及び下端周壁には、それぞれ長手方向に多数のスリット1b及びスリット1cを設けることにより、それぞれ多数枚の舌片1d及びひれ部1eが筒部1aの長手方向に上端、下端に達するまで形成されている。舌片1d及びひれ部1eは、スリット1b及びスリット1cによりそれぞれ互いに平行に形成されているが、先端に向うにつれて細幅とするようにしてもよい。
【0014】
上方の舌片1dの中間部には、筒部1aの円周方向の上下の2個所に折癖や部分的に肉薄とした折目1f、1gが平行に設けられている。下方の折目1fにおいて、舌片1dが稍々外側に向くように谷折りで折り曲げられ、また上方の折目1gにおいて、舌片1dが内側に向かい筒部1aの長手方向と直交する程度に大きく山折りされている。そして、折目1gにおいて、外側に突出されたフランジ状の第1の係止部1hが形成されている。折り目1gにより折り曲げられた隣り合う舌片1d同士は、重なり合って筒部1aの上端開放部を覆うようにされている。
【0015】
この場合に、各舌片1dの長さは、その先端が筒部1aの上端開放部の中心付近に達する程度とされている。また、上端開放部の中央において、舌片1dによる略円形の開口部が形成するように、舌片1dの長さを調整することもできる。
【0016】
更に、筒部1aの下端に形成した多数のひれ部1eは先端に向うにつれ稍々内側に軽く湾曲しておくと、花瓶Vの挿入が容易となる。また、ひれ部1eの先端部には、筒部1aの円周方向に折目1iが設けられ、この折目1iにおいて、ひれ部1eが外側に向くように大きく谷折りすることにより、第2の係止部1jが形成されている。なお、生花保持具1の下部のひれ部1eのうち、折目1iにおいて折り曲げるひれ部1eは必ずしも全てのひれ部1eではなく、1枚おきに折ったり、任意のひれ部1eのみを折るようにしてもよい。また、折り曲げるひれ部1eの先端の形状を三角形状に尖らせてもよい。
【0017】
図3は筒状の花瓶に生花保持具1を挿入した状態の断面図を示している。花瓶Vは内径が生花保持具1の筒部1aの外径よりも大きめのものを選択することが好ましく、花瓶Vが生花保持具1よりも細径であると、生花保持具1を挿入することができなくなる。筒部1aの下部には複数のスリット1cが設けられていることから、花瓶Vに生花保持具1を挿入すると、第2の係止部1jが外側に突出していても、ひれ部1e同士がすぼむことにより、筒部1aを花瓶Vの瓶口Vaから容易に内部に挿入することができる。
【0018】
そして、生花保持具1は花瓶V内において、すぼめたひれ部1eの弾性力により、第2の係止部1jの先端を花瓶Vの内壁Vbに押し付ける。同時に、外側に拡がった上部の折目1gから成る第1の係止部1hにおいても、折目1g付近が花瓶Vの内壁Vbに接することにより、生花保持具1は花瓶V内に安定して固定される。そして、第2の係止部1jとされない、つまり外側に折り曲げられていないひれ部1eの先端が花瓶Vの底部Vcに達し、生花保持具1の高さ位置が決められる。
【0019】
なお、折目1gにより外側に拡がった第1の係止部1hを、花瓶Vの内部に挿入せずに、瓶口Va上に係止させることにより、生花保持具1全体が花瓶V内に落ち込まないようにすることもできる。
【0020】
図4は
図3に示す生花保持具1を挿入した花瓶Vに、生花Fを挿入した状態の斜視図、
図5は断面図をそれぞれ示している。
【0021】
生花保持具1の使用に際しては、花瓶V内に水を注水し、生花保持具1を花瓶Vの上部から挿入して花瓶V内に固定する。この状態で、生花保持具1の上部から複数本の生花Fの茎Sを挿入する。これらの茎Sの挿入により、舌片1dは下方に押し曲げられ舌片1d間に間隙が生ずるので、茎Sの先端を花瓶Vの底部Vc付近まで押し込むことができる。
【0022】
なお、この場合に茎Sの挿入により生花保持具1が花瓶V内で下方に移動しないように、下部の一部のひれ部1eの先端が花瓶Vの底部Vcにまで達していることが好ましいが、花瓶Vの長さが長く、生花保持具1の底部にまで達しない場合には、第1の係止部1hを花瓶Vの瓶口Va上に係止させることが好適である。
【0023】
茎Sの押し込みが終わると、曲げられた舌片1dはその素材の弾性により復元する力が作用し、中心部に位置する茎Sは舌片1dの先端に囲まれて保持され、中心から外れた茎Sは隣り合う舌片1d間で舌片1dの面により挟まれて保持される。このようにして、茎Sは花瓶Vに対して倒れることもなく、また、茎Sの径の大小に関係なく、茎Sは舌片1d間に固定され、移動することはない。
【0024】
また、生花Fの生花保持具1への挿入に際しては、挿入後に各生花Fの茎Sが舌片1d間の好適な個所に位置するように調整することにより、茎Sの保持は更に確実になされる。
【0025】
このように、茎Sが舌片1d間に嵌まり込むことで、茎Sの位置が保持される。従って、茎Sが移動することはなく、また抜け出し方向に対しても茎Sを囲む舌片1dによる接触抵抗が大きく、茎Sは生花保持具1から抜け出し難くなる。
【0026】
更には、第1、第2の係止部1h、1jが花瓶Vに接合していることにより、生花保持具1は花瓶Vから外れることもなく、生花保持具1は生花Fの茎Sを確実に保持することができる。
【0027】
なお、第1、第2の係止部1h、1j、ひれ部1eの内の少なくとも1つは、筒部1aが花瓶Vの径に適合するものであれば、特に設けなくてもよい。また、折り目1f、1g、1i以外にも花瓶Vの大きさに合わせて舌片1d、ひれ部1eの長さを調整するために、他の個所に折り目を適宜に設けることもできる。
【0028】
このように、花瓶Vを生花保持具1に取り付けることにより、生花Fの保持が確実になされると共に、生花保持具1の舌片1dが花瓶Vの蓋部の役割をも果たし、花瓶V内の水が蒸発し難くなり、生花Fをより長持ちさせる。また、屋外で使用する場合にも、生花Fが風雨により倒れることがなく、花瓶V内への土埃等の侵入も防ぐこともできる。
【0029】
生花Fが枯れて花瓶Vから除去する場合には、生花Fを生花保持具1ごと花瓶Vから引き抜き、生花保持具1から枯れた生花Fを取り外して捨てれば、生花保持具1を再び使用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 生花保持具
1a 筒部
1b、1c スリット
1d 舌片
1e、 ひれ部
1f、1g、1i 折目
1h 第1の係止部
1j 第2の係止部
F 生花
S 茎
V 花瓶
【要約】
【課題】花瓶に生けた複数本の生花を安定して保持する。
【解決手段】 使用に際しては、花瓶V内に水を注水し、生花保持具1を花瓶Vの上部から挿入して花瓶V内に固定する。この状態で、生花保持具1の上部から複数本の生花Fの茎Sを挿入する。これらの茎Sの挿入により、弾性を有する薄肉の舌片1dは、下方に押し曲げられ舌片1d間に間隙が生ずるので、茎Sの先端を花瓶Vの中に押し込むことができる。茎Sの押し込みが終わると、曲げられた舌片1dはその素材の弾性により復元する力が作用し、中心部に位置する茎Sは舌片1dの先端に囲まれて保持され、中心から外れた茎Sは隣り合う舌片1d間で舌片1dの面により挟まれて保持される。このようにして、茎Sは花瓶Vに対して倒れることもなく、また、茎Sの径の大小に関係なく、茎Sは舌片1d間に固定され、移動することはない。
【選択図】
図5