(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
屈折率ndが1.8412以上、液相温度が1200℃以下、かつ、420nmにおける内部透過率が96.5%以上である光学ガラスであって、組成において、質量%で、Nb2O5、WO3、TiO2、GeO2、TeO2、Bi2O3の含有量が各々1%未満、La2O3の含有量が25〜41%、Gd2O3の含有量が20%以下、B2O3の含有量が4〜20%、Yb2O3の含有量が2%以下、Ta2O5の含有量が0〜24.7%、SiO2+B2O3が12〜22%であることを特徴とする光学ガラス。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の光学ガラスは、特定の屈折率および透過率吸収端波長を有し、組成において、Nb
2O
5、WO
3、TiO
2、GeO
2、TeO
2、Bi
2O
3の各含有量を特定量に限定してなることを特徴とする。
【0034】
本発明では、屈折率ndが
1.8412以上である光学ガラスを得ることを目的としているが
、好ましくは1.85以上である。
【0035】
また、アッベ数νdは36以上、好ましくは38以上、より好ましくは40以上、さらに好ましくは41以上である。
【0036】
本発明の光学ガラスは、420nmにおける内部透過率が96.5%以上、好ましくは96.7以上である。420nmにおける内部透過率が96.5%未満であると、短波長可視領域付近の透過率に劣り、特に、高機能な撮像レンズに用いられる大径プレスレンズ等として使用することが困難となる。
【0037】
また、本発明の光学ガラスは、400nmにおける内部透過率が95%以上、好ましくは95.2以上である。400nmにおける内部透過率が95%未満であると、短波長可視領域付近の透過率に劣り、特に、高機能な撮像レンズに用いられる大径プレスレンズ等として使用することが困難となる。
【0038】
本発明の光学ガラスは、透過率吸収端の波長が300nm以下、好ましくは295nm以下、より好ましくは290nm以下である。透過率吸収端の波長が300nmを超えると、短波長可視領域付近の透過率に劣り、特に、高機能な撮像レンズに用いられる大径プレスレンズ等として使用することが困難となる。
【0039】
本発明の光学ガラスは、透過率75%となる波長λ
T75が387nm以下、好ましくは385nm以下、より好ましくは380nm以下である。λ
T75が387nmを超えると、短波長可視領域付近の透過率に劣り、特に、高機能な撮像レンズに用いられる大径プレスレンズ等として使用することが困難となる。
【0040】
本発明の光学ガラスは、透過率70%となる波長λ
T70が370nm以下、好ましくは365nm以下、より好ましくは360nm以下、さらに好ましくは355nm以下である。λ
T70が370nmを超えると、短波長可視領域付近の透過率に劣り、特に、高機能な撮像レンズに用いられる大径プレスレンズ等として使用することが困難となる。
【0041】
本発明の光学ガラスは、透過率5%となる波長λ
T5が315nm以下、好ましくは315nm以下、より好ましくは305nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。λ
T5が315nmを超えると、短波長可視領域付近の透過率に劣り、特に、高機能な撮像レンズに用いられる大径プレスレンズ等として使用することが困難となる。
【0042】
本発明の光学ガラスは、組成において、Nb
2O
5、WO
3、TiO
2、GeO
2、TeO
2、Bi
2O
3の含有量は、質量%で各々1%未満に限定される。このように限定した理由は以下の通りである。
【0043】
Nb
2O
5はガラスの屈折率を高める効果が大きい成分である。また、Ta
2O
5を多量に含有するガラスにおいては、耐失透性(La
2O
3、Ta
2O
5およびB
2O
3で形成される失透物の抑制)を向上させる働きがある。しかしながら、少量の添加でアッベ数を著しく低下させてしまう。また、紫外域での吸収が大きく、かつ、透過率曲線における吸収端を長波長側にシフトさせ短波長領域の透過率を低下させるため、390〜440nmでの透過率が下がり短波長用レンズとしての使用に支障をきたすおそれがある。したがって、Nb
2O
5の含有量は1%未満に制限され、好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、特に、着色をできるかぎり低くしたい場合には実質的に含有しないことが好ましい。
【0044】
WO
3はガラスの屈折率を高める成分である。また、中間酸化物としてガラスの骨格を形成するため、耐失透性(B
2O
3およびLa
2O
3で形成される失透物の抑制)を向上させる効果もある。しかしながら、Nb
2O
5と同様に、透過率の吸収端を長波長側にシフトさせ、短波長領域の透過率を低下させる傾向がある。したがって、WO
3の含有量は1%未満に制限され、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0045】
TiO
2はガラスの屈折率を高める成分である。また、耐失透性(B
2O
3およびLa
2O
3で形成される失透物の抑制)を向上させる効果もあるが、Nb
2O
5と同様に、紫外域での吸収が大きく、また吸収端を長波長側にシフトさせる傾向がある。したがって、TiO
2の含有量は1%未満にする必要があり、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0046】
GeO
2はガラスの屈折率を高める成分である。また、耐失透性(B
2O
3およびLa
2O
3で形成される失透物の抑制)を向上させる効果もあるが、Nb
2O
5と同様に、紫外域での吸収が大きく、また吸収端を長波長側にシフトさせる傾向がある。したがって、GeO
2の含有量は1%未満にする必要があり、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0047】
TeO
2はガラスの屈折率を高める成分である。Nb
2O
5と同様に、紫外域での吸収が大きく、また、吸収端を長波長側にシフトさせる傾向がある。したがって、TeO
2の含有量は1%未満にする必要があり、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0048】
Bi
2O
3はガラスの屈折率を高める成分である。Nb
2O
5と同様に、紫外域での吸収が大きく、また、吸収端を長波長側にシフトさせる傾向がある。したがって、Bi
2O
3の含有量は、1%未満にする必要があり、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.1%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。
【0049】
なお、ガラスの着色を抑制し透過率が向上させるために、Nb
2O
5+WO
3+TiO
2+GeO
2+TeO
2+Bi
2O
3を1%未満、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.1%以下とすればよく、これらの成分を実質的に含有しないことが特に好ましい。
【0050】
本発明の光学ガラスは、組成において、Fe
2O
3の含有量は20ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下である。Fe
2O
3の含有量が20ppmを超えると、ガラスの透過率低下の原因となる。なお、下限値については特に限定されないが、一般的には、0.1ppm以上、さらには0.5ppm以上、特に1ppm以上である。
【0051】
本発明の光学ガラスは、組成において、必須成分としてSb
2O
3を含有することが好ましい。既述のように、Sb
2O
3はFe
2O
3による着色を抑制する効果があり、その効果を十分に得るために、Sb
2O
3の含有量は、質量%で0.01%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。上限については特に限定されないが、多量に含有するとガラスの耐失透性が悪化する傾向にあるため、その含有量は2%以下、好ましくは1%以下である。
【0052】
特に、高屈折率ガラスを得るためには、必須成分としてB
2O
3、La
2O
3を含有し、ZnO、ZrO
2、Gd
2O
3、Ta
2O
5からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0053】
具体的には、質量%で、SiO
2 0〜21%、B
2O
3 4〜30%、ZnO 0〜40%、ZrO
2 0〜10%、La
2O
3 15〜50%、Gd
2O
3 0〜40%、Ta
2O
5 0〜30%の組成を含有することが好ましい。
【0054】
以下に、各成分の含有量をこのように特定した理由を詳述する。
【0055】
SiO
2はガラスの骨格を構成する成分であり、失透を抑制するとともに耐候性を向上させる効果がある。また、アッベ数を高める効果がある。SiO
2の含有量は0〜21%、好ましくは1〜20%、より好ましくは3〜16%、さらに好ましくは3.5〜10%である。SiO
2の含有量が多すぎると、ガラスの屈折率が低下したり軟化点が高くなったりする傾向がある。一方、SiO
2の含有量が少なすぎると、ガラスが不安定になって耐失透性が悪化したり、分相が生じやすくなるとともに、耐酸性や耐水性等の耐候性が悪化しやすくなる。
【0056】
B
2O
3はガラスの骨格を構成する成分であり、アッベ数を最も高める成分でもある。その含有量は4〜
20%、好ましくは5〜
20%
、より好ましくは7〜20%である。B
2O
3の含有量が多すぎると、ガラス成形時にB
2O
3とLa
2O
3で形成される失透物が生成しやすく、また、屈折率が低下するとともに耐候性が悪化する傾向がある。一方、B
2O
3の含有量が少なすぎると、高いアッベ数、具体的には40以上、特に41以上のアッベ数を有するガラスを得ることが困難となる。
【0057】
ZnOはガラスの屈折率を高める成分である。また、ガラス粘度を低下させることから、ガラス転移温度を低下させることができ、そのため、金型と融着しにくいガラスが得られやすくなる。また、多量に添加してもアッベ数を低下させにくい成分である。さらに、耐候性を向上させる効果もある。なお、アルカリ土類金属成分(MgO、CaO、SrO、BaO)に比べ失透傾向が強くないため、多量に含有させても均質なガラスが得られやすい。ZnOの含有量は0〜40%、好ましくは1〜35%、より好ましくは1〜30%、さらに好ましくは2〜20%である。ZnOの含有量が多すぎると、逆に耐候性が悪化する傾向がある。一方、ZnOの含有量が少なすぎると、ガラス転移温度の低いガラスが得られにくくなる。また、ガラスが金型と融着しやすくなる。
【0058】
ZrO
2は屈折率を高める成分であるとともにアッベ数を低下させにくい成分である。また、中間酸化物としてガラスの骨格を形成するため、耐失透性(B
2O
3およびLa
2O
3で形成される失透物の抑制)を改善したり、化学的耐久性を向上させる効果もある。ZrO
2の含有量は0〜10%、好ましくは2〜10%、より好ましくは3〜8%である。ZrO
2の含有量が多すぎると、ガラス転移温度が上昇しプレス成形性が悪化すると同時に、ZrO
2を主成分とする失透物が析出しやすくなる。
【0059】
La
2O
3はアッベ数を殆ど低下させることなく屈折率を高めることが可能な成分である。その含有量は
25〜41%である。La
2O
3の含有量が少なすぎると、十分に高い屈折率が得られにくい傾向がある。一方、La
2O
3の含有量が多すぎると、ガラスの耐失透性が悪化し、例えば、ガラス成形時にB
2O
3とLa
2O
3で形成される失透物が生成しやすくなる。また、プレス成形時にもガラスが失透しやすくなる。
【0060】
Gd
2O
3はガラスの屈折率を高める成分である。また、耐失透性(B
2O
3およびLa
2O
3で形成される失透物の抑制)を向上させる効果があり、かつ、作業温度範囲を拡大させることができる成分でもある。さらに、金型と融着しにくいガラスが得られやすくなる。Gd
2O
3の含有量は0〜
20、好ましくは5〜20%である。Gd
2O
3の含有量が多すぎると、ガラスの分相傾向が強くなり均質なガラスが得られにくくなる。また、B
2O
3とLa
2O
3を含有する組成系では、La
2O
3、B
2O
3およびGd
2O
3で形成される失透物が表面に析出(表面失透)しやすくなり、ガラスの液相温度が上昇する傾向がある。また、アッベ数が低下する傾向がある。ただし、Gd
2O
3は他のアッベ数を低下させる成分(例えば、Ta
2O
5、WO
3、TiO
2等)に比べると、アッベ数低下の度合いは低い。
【0061】
Ta
2O
5はガラスの屈折率、化学的耐久性と耐失透性(B
2O
3およびLa
2O
3で形成される失透物の抑制)を高める成分である。その含有量は0〜
24.7%、好ましくは3〜
24.7%、より好ましくは5〜22%である。Ta
2O
5の含有量が多すぎると、アッベ数が低下する傾向があり、所望の光学特性を得ることが困難となる。また、La
2O
3、Ta
2O
5およびB
2O
3で形成される失透物が析出して液相温度が上昇しやすくなる。さらに、コストも高くなる。なお、高いアッベ数を必要としない場合は、Ta
2O
5を多く含有させることにより1.80以上の屈折率ndを容易に得ることが可能になる。
【0062】
鉛成分(例えば、PbO)、砒素成分(例えば、As
2O
3)、F成分(例えば、F
2)は、環境上の理由から、実質的なガラスへの導入は避けるべきである。それゆえ、本発明ではこれらの成分は実質的に含有しないことが好ましい。
【0063】
上記組成を有する本発明の光学ガラスにおいて、低分散、高屈折率のガラスを得るためには、SiO
2とB
2O
3の合量を適切に調整することが好ましい。具体的には、これらの成分の合量は12〜
22%
、好ましくは14〜22%である。これらの成分の合量が少なすぎると、低分散を維持することが難しくなり、多すぎると高屈折率のガラスが得られにくくなる。
【0064】
上記組成を有する本発明の光学ガラスにおいて、低分散の(アッベ数が高い)ガラス、特にアッベ数νdが36以上のガラスを得るためには、アッベ数を低下させる成分であるGd
2O
3、Ta
2O
5、WO
3、TiO
2の合量を制限すればよい。具体的には、これらの成分の合量は45%以下、好ましくは42%以下である。
【0065】
また本発明の光学ガラスは、上記成分以外にも種々の成分を添加可能である。例えば、Al
2O
3、CaO、BaO、SrO、Li
2O、Na
2O、K
2O、Y
2O
3、Yb
2O
3、清澄剤等、本発明のガラスの特性を損なわない範囲で添加可能である。
【0066】
Al
2O
3はSiO
2やB
2O
3とともにガラスの骨格を構成する成分である。また、耐候性を向上させる効果があり、特に、ガラス中の成分が水へ選択的に溶出することを抑制する効果が顕著である。その含有量は10%以下、好ましくは5%以下である。Al
2O
3の含有量が多すぎると、ガラスが失透しやすくなる。また、溶融性が悪化して脈理や泡がガラス中に残り、レンズ用ガラスとしての要求品位を満たさなくなる可能性がある。
【0067】
CaO、BaO、SrOといったアルカリ土類金属酸化物(RO)は融剤として作用するとともに、アッベ数を低下させずに屈折率を高める成分である。CaO、BaO、SrOの合量で1〜20%、好ましくは5〜10%である。ROの含有量が多くなりすぎると、プリフォームガラスの溶融および成形工程中に、B
2O
3およびLa
2O
3を主成分とする失透物が析出しやすくなる。その結果、液相温度が上がって作業範囲が狭くなり、量産化しにくくなる傾向がある。さらに、逆に耐候性が悪化しやすくなり、研磨洗浄水や各種洗浄溶液中へのガラス成分の溶出が増大したり、高温多湿状態でのガラス表面の変質(ガラス表面からのRO成分の析出)が顕著になる傾向がある。
【0068】
CaOはアッベ数を低下させることなく屈折率を高める成分である。CaOの含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%である。
【0069】
BaOは屈折率を高める成分である。また、CaOに比べると高温多湿状態でのガラス表面からの析出量が少ない。BaOの含有量は20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
【0070】
SrOは屈折率を高める成分である。また、CaOに比べると高温多湿状態でのガラス表面からの析出量が少ない。したがって、SrOを積極的に含有することにより、耐候性に優れたガラスを得ることができる。その含有量は20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
【0071】
なお、CaO、BaOおよびSrO以外にも、屈折率を高めるために、RO成分としてMgOを添加してもよい。MgOの含有量は10%以下、好ましくは5%以下である。MgOの含有量が多すぎると失透しやすくなる。
【0072】
Li
2Oはガラスの軟化点を低下させるための成分として、例えば0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上含有することができる。Li
2Oはアルカリ金属酸化物(R’
2O)のなかでも最もガラスの軟化点を低下させる効果が大きい。しかし、Li
2Oは分相性が強いため、その含有量が多いと、B
2O
3とLa
2O
3を主成分とする失透物が析出しやすく、液相温度が高くなって作業性を悪化させる傾向がある。また、Li
2Oの含有量が多いと、プレス成形の際に発生する揮発物が増加したり、金型と融着しやすくなったりして、プレス成形が困難になる。したがって、その含有量は5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1.5%以下に制限される。
【0073】
Na
2Oは、Li
2Oと同様に、ガラスの軟化点を低下させる効果を有する。しかしながら、その含有量が多いと、溶融時にB
2O
3とNa
2Oで形成される揮発物が多くなり、脈理の生成を助長してしまう。また、B
2O
3とLa
2O
3を主成分とする失透物が析出しやすく、液相温度が高くなる傾向がある。さらに、プレス成形の際に発生する揮発物が増加したり、金型と融着しやすくなる傾向がある。このような観点から、Na
2Oの含有量は10%以下、好ましくは5%以下である。
【0074】
K
2Oも、Li
2O同様に、ガラスの軟化点を低下させる効果を有する。その含有量は0〜10%、好ましくは0〜5%である。K
2Oの含有量が多くなると、耐候性が悪化する傾向がある。また、B
2O
3とLa
2O
3を主成分とする失透物が析出し、液相温度が高くなりやすい。さらに、プレス成形の際に発生する揮発物が増加したり、金型に融着しやすくなる傾向がある。
【0075】
Y
2O
3およびYb
2O
3はアッベ数を低下させることなく屈折率を高める成分である。そのため、La
2O
3との置換により耐失透性を改善することができる。また、適量添加することによって、B
2O
3−ZnO−La
2O
3系ガラスに起こりやすい分相を抑制する効果がある。Y
2O
3の含有量は
、15%以下、好ましく
は8%以下、より好ましく
は2%以下である。
Yb2O3の含有量は、2%以下である。Y
2O
3やYb
2O
3が多すぎると耐失透性が悪化し、作業温度範囲が狭くなる傾向がある。また、ガラス中に脈理が発生しやすくなる。なお、十分な効果を得るため、Y
2O
3およびYb
2O
3は合量で1%以上含有することが好ましい。
【0076】
上記の組成範囲にあって、より好ましい組成範囲として、質量%で、SiO
2 3〜16%、B
2O
3 7〜20%、ZnO 1〜30%、ZrO
2 2〜10%、La
2O
3 25〜41%、Gd
2O
3 0〜20%、Ta
2O
5 3〜
24.7%、Sb
2O
3 0.01〜2%、Nb
2O
5+WO
3+TiO
2+GeO
2+TeO
2+Bi
2O
3 0〜0.5%を含有し、かつ、鉛成分、砒素成分、F成分、Nb
2O
5を実質的に含有しないものが挙げられる。
【0077】
上記の組成範囲にあって、さらに好ましい組成範囲として、質量%で、SiO
2 3.5〜10%、B
2O
3 7〜20%、ZnO 2〜20%、ZrO
2 3〜8%、La
2O
3 25〜41%、Gd
2O
3 5〜20%、Ta
2O
5 3〜
24.7%、Sb
2O
3 0.01〜2%、Nb
2O
5+WO
3+TiO
2+GeO
2+TeO
2+Bi
2O
3 0〜0.5%を含有し、かつ、鉛成分、砒素成分、F成分、Nb
2O
5を実質的に含有しないものが挙げられる。
【0078】
本発明の光学ガラスは、ガラス転移温度が650℃以下、好ましくは640℃以下、より好ましくは630℃以下である。ガラス転移温度が650℃を超えると、金型の酸化やガラス成分の揮発による金型の汚染等により金型が劣化しやすくなり、また、ガラスが金型と融着しやすくなる。
【0079】
次に、本発明の光学ガラスの製造方法の一例を述べる。
【0080】
まず、所望の組成になるようにガラス原料を調合した後、ガラス溶融炉中で溶融する。次に、溶融ガラスをノズルの先端から滴下して液滴状ガラスを作製することにより、本発明の光学ガラスを得ることができる。または、溶融ガラスを急冷鋳造して、一旦、ガラスブロックを作製し、研削、研磨、洗浄して本発明の光学ガラスを得ることができる。